何となく国内ミステリの気分なので読み放題からチョイス。
「聴き屋の芸術学部祭(市井豊)」
読み始めてすぐどうやら昔冒頭部分を読んだことがあることに気づく。
多分試し読みだったんだろうなあ。
気にはなっても買うまでではなかったようで今回読み放題に入っていたのはラッキーだった。
短編4本収録。
ユーモアミステリーになるんだろうか。
T大芸術学部が舞台で聴き上手の柏木君を主人公にキャラの濃いサークル部員たちの会話がテンポ良くて面白い。
最初と最後の話が殺人が絡んで他は大学サークルの小さい謎がテーマ。
やはり第5回ミステリーズ!新人賞佳作入選でデビュー作の冒頭の一篇が出色か。
ただ動機はわかるが納得しきれないのは納得させるだけのエピソードが弱いか、どこか感情が乗らない登場人物たちのせいか。
柏木君の淡々としたフラットな佇まいは好きなんだけどね。
あんな酷い殺され方をした彼女が浮かばれないなあとちょっと思ったり。
あとは「聴き屋」という設定が活かしきれていない気がする。
せっかく面白い設定なのに聴き屋が機能するのは最初の1篇だけであとはキャラ付けとしての聴き屋だから勿体ない。
こうなると別に聴き屋じゃなくても柏木君が推理するだけで成り立ってしまうんじゃないだろうか。
個性豊かな芸術学部生の中でも柏木君の先輩がなかなか強烈で好きだ。
卑屈で影が薄くオドオドしてまるで背後霊のような存在なのに妙に印象に残る。
先輩が出てこないと寂しい(笑)
いいキャラです。
高校と違って大学は青春ミステリとは言わないのかしら。
でもたまにはこういうのもいいかな。