消えてゆく小さなこと


消 え て ゆ く 小 さ な こ と

1st    index         new


1903年05月31日(日)

イチロー選手の犬
一弓(いっきゅう)という名前
かっこいい(名前のわけも)
きっと男の子なんだろうね
一弓号 すごくいいね
柴犬という噂 ほんとかな
イチローに似てそうだ
ポチたまで 取材に飛んでくれないかな
黒柴かな


1903年05月30日(土)

夕方ふと気づいた
今日一日ルビーのこと思い出さなかった
冷たい雨の中を動いていたから
違うことばかり考えていた


1903年05月29日(金)

雨あがりの秋の夕暮れ
木の冷たい匂いがする

私の気持ちなど関係なしの
頑なな香り


1903年05月28日(木)

秋は紫
藤色の擬宝珠がひんやりと香っている
アメジストセージの色が濃くなりだした
紫式部が色づき始めた
やっと静かにはじまった
あとは黙って待つばかり
紫は黙する色と思う


1903年05月27日(水)

胸のすく見事な茜色
オパールのようにきらめく夕焼け雲だった
一機の爆音もなく
靜かな秋らしい夕暮れだった


1903年05月26日(火)

いるんだね どこにだって
張り切りボーイが

チームで仕事に来てるのに
一人うるさくがちゃがちゃやって
ばたばたしてぶーたれて早口でわからんよ
皆 物静かに汗してるのに見習えよ
チーフはさすがだった

オヌシ デキルナ と
周りから見られなきゃ一人前になれないよ


1903年05月25日(月)

金木犀を待っている 
やっと一年の終わりが見えてくる気がするから

終点があと少しの先にあるのなら ほっとする
忙しくても ゆっくりと歩調を整えようと思えるから


1903年05月24日(日)

アングルを決めるのはあなたの気持ち
ぴたりとはまったものは動かせない
切り取ったのは一つの真実
操作するならあなたの真実から離れる
自分は変わらないと思っていても
そこにはかわったあなたがある
操作するならあなたは自分を失う


1903年05月23日(土)

ふるふるとさがっている花がかわいいと思う
シュウカイドウ つりふねそう たで

ちょんとつついてみたくなる
つつかれて愉快なんだろうね


1903年05月22日(金)

誰かに会うかも知れなかったけれど
誰にも会わなかったけれど

切ったり繋いだり何度も


1903年05月21日(木)

はまなすの色のコスモスを
好きになりました

ふんわり束ねて抱えれば
仔猫のリボンに触れるよう
くすぐったい
うれしい気持ち


1903年05月20日(水)

冴えた月のあと
深い秋が始まろうとしている

寂しい秋になる前の
深く満ちた落ち着き
時がゆっくりと空をゆく

いろいろな片付けをして
生きてゆくかたちを省みる

鏡の一番美しい季節だと思う
眩しすぎず 暗すぎず
なめらかに風を映す


1903年05月19日(火)

生きてゆく道連れは 夜明けの風さ 
    ・
蒼い 夜明けの風さ

という歌詞にたまらなく惹かれている

生きてゆく ということ
夜は明ける ということ
風は蒼い ということ

揺るぎない大前提なのに
軽やかで爽やかだ

大仰に立ち向かわなくとも
ひとは生きてゆける


1903年05月18日(月)

コートのポケットの隅 小さな指環
指先でまさぐるその赤い石は
冷たいの熱いの?

私ならきっと踵を返す
人波を分けて泳いで 扉を開ける

貴方の背中に額をあずける
ただ黙って きっとあたたかな涙


1903年05月17日(日)

昔 嫌いだった彼岸花
毒気のある色だと思っていた

あるとき 好きになりました
きれいな花とずっと思ってきた

でもやっぱり嫌いになりました
どうしたって その燃える色を
暗いと思う自分がいる


1903年05月16日(土)

忘れているアナタに贈る
深紅の嵐
アナタの胸で吹き荒れて


1903年05月15日(金)

腹をたてて疲れ果てて
雨は恵 嵐は滋
地に重みをあたえ
わたしをしずめる


1903年05月14日(木)

私は魚 水に生きる

水をとるな 
私を殺すな 


1903年05月13日(水)

青い湯の中で
人魚になる
踊り疲れた白い足


1903年05月12日(火)

腹が立って泣いていた
外は雨だし月はだめだし
ちょうどよかった
誰にも気づかれない

一昨日の月 
きれいだったな


1903年05月11日(月)

わたしの言葉は聞かない
返事もないし 言い訳ばかり

皆さんの言葉は聞くのですね
おんなじコト わたしが ずーっと前に言ったのに
何の意味もなかったね


1903年05月10日(日)

角ごとに
曲がれば暗い

弾む気持ちで曲がったのは
いつだったか

生きていることを思い出しながら
白木蓮を見上げた日
金木犀を振り仰ぐ日


1903年05月09日(土)

彩雲よ

いつの間に
わたしの中の
綺麗なもの
見失う

風の寂しい 秋の夕暮れ
暗い角を曲がる


1903年05月08日(金)

夕暮れが急に早まった
知らぬ間に暗くなって
ライトがいる
淋しい風になった
誰かを恋しくなる
寡黙なひと
背筋を伸ばしたひと
大きな手があたたかい
あの日 笑顔だったね
だから涙が出るの


1903年05月07日(木)

木蓮ののびやかさを
風の中にたたずむように
虹をかけた窓


1903年05月06日(水)

のんびりしてるのか
意図してるのか
ぽつんぽつんと間延びしながら
次から次に小出しにひっぱる
やめてほしいな
最初からわかっていたはず
きちんと全部伝えて欲しかった


1903年05月05日(火)

雨の音
雨の音

止んで晴れる
青い空が出て
白い雲が流れて

雨が降りだし
暗く走ってゆく
一日そんなことを繰り返して

額を窓におしあてて
熱をそとへ伝えるだけの
つまらない午後

一日閉じたまま
言葉も出ない
溜息ももれない


1903年05月04日(月)

イシコロを入れていたタカラバコと
お白粉を入れた桐箱
それが今の宝箱
てんさらばさらを待っている


1903年05月03日(日)

悲しい恋をした女は 美しくなる
悲しい恋から逃げた女は しあわせになれない


1903年05月02日(土)

過去の自分と別れたいときがある
何もかもから離れて
知らない場所
知らない人と
出会いたいと思う時がある
誰にも会いたくないとき


1903年05月01日(金)

家の周りのあちこちで
工事が盛ん
朝からモーター音ばかり
ドリルや研磨や電鋸や
大型車が出入りして
頭が錯乱状態
作業している人は
耳栓してるのでしょうか

地震でも酔ってしまったけれど
音酔いしている
奥にある言葉が出てこない




天窓より          


−ともすれば消えそうになる自分を見失わぬよう−       

* * * * * * * * * * * *        
* * * * * * * * * * * *        

− ささやかに −          

*  **  ***  ****        

日付は通し番号として記しています         


 *