消えてゆく小さなこと


消 え て ゆ く 小 さ な こ と

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1904年11月30日(水)

ソフトクリームが好き
やっと現実生活へ生還する
どんな療養食より薬より
たっぷりのチョコミックスで
元気を充填しました

濃厚で冷たすぎるアイスクリームと違って
主張しない優しさが好き
すべてエネルギーになって
すっと私の中に溶けてゆく感じが好き

滋養になるというのは
こういうことなんだと思う
人に対しても同じだと思う


1904年11月29日(火)

闇を覗き込んで生きる人と
光を求めて生きる人と

私は明るい方へ行こうと思っている
でも闇は必ずあるものでしょう?
光のさすほうへ顔を向ければ必ず背中に闇を背負うものでしょう?
人は闇からの声も聞かなくてはいけないと思う
耳を傾けながら明るいほうへ進むのです
闇の方向を知ることは光の方向を知ること
眩しさの真っ只中でも 向きを誤らないために

光の言葉だけ並べても 生き方の半分しか教えてくれない


1904年11月28日(月)

気の早い雨が
紫陽花のまだ緑の蕾に降り注ぐ
待ってよ まだ早い
眩しい風の中の花々を
風が緑に光るのを 
しっかり見届けてからにして
もうすぐウツギが色変わりするから


1904年11月27日(日)

花たちが妙に急いでるのは なぜ
誰がそんなにせかすのだろう
花屋に何が並ぼうと
苗屋に何が出ようと
ましてやスーパーの果物売り場など
そんな季節は気にしなければいい
浮気な虫たちが慌ただしかろうと
今 旬を 鷹揚に楽しめばいい
せっかくゆっくり育ってきたのに
そんなに嬉しくなさそうにしないで


1904年11月26日(土)

自分の頭で考えない人と話していても
何も愉しくない
誰と話していようが同じじゃないか
あなたであろうが あなたでなかろうが
どこに違いがあるというの
あなたと話したいのは
あなたという人と話したいのであって
あなたという人間の心と話したいのであって
あなたの精神活動と触れ合いたいのであって
誰かがどこかで発表しているであろうことを 
あなたの口からまた聞こうと思っているわけではない


1904年11月25日(金)

重い熱の中にいる間に
すでに燕が飛び交っていた
ときおり高い可愛い声は
彼らだったのだ
生活に何の革新も得られぬうちに
夏が立ってしまった
青い花だけ活き活きとして


1904年11月24日(木)

離れてほしい
離れていてほしい
自由でありたい
繋がれずにいたい
議論したいわけじゃない
自分の思いを留めているにすぎない


1904年11月23日(水)

重い大きな皿を落とした
おせんべいを割ったように
真っ二つに割れてしまった


1904年11月22日(火)

レンズの先にきらめきを追い続けた貴方の作品は
本当にきれいだったけれど
久しくときめきがない
自分の感動はどこへ置き去りにした?
あの透き通る輝きはどこへ行った?
一匹狼の鋭い視線はどこへ失せた?
解説の果てに単純に資料と化したものは
大成への邪念と交錯した 鉛色の雫をさげるだけ
後進とグルーミングし合い もう退役のつもりか
目指した芸術はどこへいった?


1904年11月21日(月)

夢と情熱があるなら 生きてゆける
夢と情熱を捨てさせられたなら
それは悲劇のプリンセスたち
支えになるものがない


1904年11月20日(日)

人を許せる気持ちになるまで 
本当に長い時間がかかる
許していい と思えるまで


1904年11月19日(土)

ジャーマンアイリスが咲き出していて
香りは 甘い水 だと思った


1904年11月18日(金)

野生の小動物のように自分の力で前進する
それが楽しいのだと言ってた
自転車乗りって そういうカンカクなのかな
私は風になって鳥のようなカンカク


1904年11月17日(木)

ほわっと した感じのひとだったのに
くっきりの人にかわったね
でもそれは初めて見た時の貴女の印象と同じ
戻ったのかな


1904年11月16日(水)

胸を満たしている人につきなさい
汗でも涙でも

カラの心は干からびてしまうから


1904年11月15日(火)

広がる のではなく 漲(みなぎ)る のではなく
ふくらむのです
その風は


1904年11月14日(月)

救急車のサイレンの音が止まって
意識が遠のいた
空白の中にどれだけの時間が経ったのか
今いつなのか何曜なのか
夢の中にいて
雨の音がした
雨の匂いがした
たっぷりと湿った空気が入り込んできた


1904年11月13日(日)

プランターに植えていた苺の苗が元気に茂り
真っ白の花をたくさんつけて
しっかり緑色の実になり始めた
犬のおやつにあげようと植えたのに
花をパクついていたから数が減った

待っててね 真赤になったらあげるからね
ランナーを別のプランターに引いたのも
しっかり育っているから楽しみにしておいで


1904年11月12日(土)

桜はソメイヨシノと思っていた
朧にどっしりした大樹
はらはらと散り続ける様
凛々しい花と思っていた
凛々しさは日本の魂と
凛々しい花は少ないと

でも桜って本当にたくさんの種類があること
あまり知らなかった
今八重桜に惹かれている
淡黄緑で淡紅で淡白で
何ともいえぬ優しさと清々しさの


1904年11月11日(金)

あなたに何が起こっていたか
やっと分かった気がする
何を始めようとしていたか
何を始めたか
何に別れを告げたか


1904年11月10日(木)

咳が出る
喉に何かが刺さっているような
小さな破片があるような

嫌な咳だ


1904年11月09日(水)

一番美しい宝石はと問われれば
迷わず PEARL と答える
命があるから
生命のあたたかみと輝きをもつから
永遠不滅では ないから
ひとの命と同じに消えゆくから
移ろいゆくものは淡い
衰えゆくものは儚い
限り在る淡く儚い命は美しく愛しい


1904年11月08日(火)

目の前の映像が信じられない
現実にあることに思えない
なんでこんなことに
なんでこんなことに
なんでこんなことに
運悪くいろんなことが重なり合って一瞬のできごと
運って でも神が決めてることじゃないのか
こんなこと決めてるのか
何の為に

あんな折れ曲がって巻きついた電車など見たことがない
まっすぐに脱線しただけなら怪我だけで這い出せたろうに
引っ張り出してもらえたろうに

まだ中に人がいる
土砂崩れでもないのに
都会のど真ん中で
出られないまま
夢ならいいのに
悪夢でも覚めるのに


1904年11月07日(月)

行動は早く起こすのがよいのだろう
そうすれば 出遅れるという失敗もないのだろう
けれど あまりに早くあっけなく結果が出て
終わったという実感が湧いてこない
まだ済んでいないような錯覚が残っている


1904年11月06日(日)

開けてはいけないパンドラの箱かも知れないし
詰め込んだのは私かも知れないし

開けてみなければ わからない


1904年11月05日(土)

BERRY のようなひとと
NUTS のようなひとと

赤いひとと 
青いひとと 
白いひとと


1904年11月04日(金)

残り毛糸を捨てる
郷愁を捨てる
残り布を捨てる
誰も知らない
私の胸にだけ残す


1904年11月03日(木)

初めてのケーキ屋の味見を思い立つ
結局一人で3つ食べることに

おいし〜 とか しあわせ〜 とか そんな印象はなく
ただ おなかいっぱいになるケーキ でしかなくなった
馬鹿げた話だ

店の前の街路樹のハナミズキがきれいだった


1904年11月02日(水)

知りたがりで突っ走るばかりがいいわけではない
知れば哀しいことも
知らない方が幸せでいられることも

知らずにおける強さ
知っても揺らがない強さ

強さがあればシアワセデイラレルだろうに
持ち合わせが少ない


1904年11月01日(火)

風の強い日はつらい
何をする気も萎えてしまう
外に気を取られ落ち着いて考えていられない
出て行ったところで何もできない
窓の外が荒れている
いろんなものがバタバタしている
今日一日が無意味に動き回っている




天窓より          


−ともすれば消えそうになる自分を見失わぬよう−       

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− ささやかに −          

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日付は通し番号として記しています         


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