陽射しが明るさをまして どこかでハコベなど咲いている気がする 春がきっと どこかの片隅からのぞいている気がする
遠くの山の雪空を見る 午後にはきっとここへくる ちらつくだろうか 小鳥屋の鳥たちは中へ入れてもらえるだろうか キジバトは庭の赤い実を啄ばみに来るだろうか
積もらず風に流れてゆくだけ 冬だということを忘れるなと 吠えてゆくだけ
がんばろうよと誰かが言い出してくれることが そうだなと思えるから 手をとったまま立ち上がろうとしてくれるから いっしょに立ち上がれる
頑張ってといわれてもどうしようもなく 座り込んでいるだけではどうにもならないと知っているけれど
誰かといっしょにひざを立てることは 掛け声も自ずと出たりしているのです
冷たい雨 冬らしい寒さ 凍える指先 傘の雫
でもほっとしている 冬を忘れてはいけない
私たちの心は 四季に支えられている
花をひと茎 わけてください 大切に ここで 育てたい
明るい窓辺に寄せて 光という微笑みをあつめたい きらめいて飛び出す光の球を 部屋中に満たしたい
今夜の夢を枕もとへそっと 明日の夢はカーテンの中へ
心に残さなかったことが急に目にとまる 小さな切抜きに心を大きく弾ませる この部屋に飾りたい この手で作りたい 指がしなやかにお辞儀する あたたかな色の炎と グラスに生きる小さな葉
自分で名乗りを挙げたのですね それは貴方の名刺ですね これから先ずっと掲げ続けるのですね 色を変えることなく
私の時間は何処へ消えたのだろう 失せたのか 遺っているのか 記憶に欠片もしない時を拾うことはできない
存在すら気づかれぬまま 膨張し続ける空虚に 針を刺すのは何だろう
とびはねる年でありたい うたい続ける年でありたい 整えしつらえる年でありたい
何らかの心得をつかみ無を知りたい 抗わず流れを見定めたい
祈念す
星は壊れようとしているのか 耐えようとしているのか 再生しようとしているのか
そのたびに 恐ろしい数の人が死ぬ 人間など何も偉くないと まざまざと見せつけられてひれ伏すだけ
何を学んだか 謙虚に生きることを思い起こせ 一粒の種を大切にした日々を覚えよ 宙の力 星のエネルギーを 全てわがものにできると思うな
ひとを殺せるほどに偉いと思い上がるな
月夜に殻を脱いだのか 新しい風が動き出す どこからなのか どこへなのか 分からぬままに流れ出す 髪をなで 頬をつつんで わたしの明日へ星を飾る
言葉を交わし笑みをならべ 光の中へ出てゆくあなた方よ 私は だれにも会いたくない 闇の中にいたいのです 寿ぐ言葉の眩しさに 闇から出たくないのです
マリアに祈るスヌーピーも 苔むす森へ抜けるドアも 回顧の窓
小さな音がして 窓に届いていた メッセージ
扉を開いたそのとき 貴女の虜になった でもひとの虜にされることは嫌だとわかった だから離れました 貴女は貴女でいいのです 私は私でいいのです 重なるのは嫌
あたたかなタートルのセーターに顎までもぐって 木のテーブルに頬杖をつく 昔と変わらないスタイルで紅茶を待つ この小さなロッジのような店が好き 白い壁もこげ茶の柱もホンモノのランプも
店主の時間は止まっている 壁の写真に彼と彼の仲間たちがいる 顔だけ日に焼けた若者達が銀世界で笑っている 真っ青な空に輝いている
あのとき 波うつ赤い髪とピンクのふわふわカーディガンの貴女に どきりとして憧れたのは 突然湧いた嫉妬だったのかもしれない
人込みに紛れたのか 闇に潜んだのか あなたの背中を見失った 追いかけたつもり 探したつもり だったけれど 今は待つだけ でも、もうそこには 戻らないのかも知れない
いつも私が最後のスタンプ それがずっと続くのは だんだん哀しくなって 少しやりきれない気分です
頭の中の空が晴れる ぱーっと風が吹いて 雲がどんどん流されて 明るくなってゆく そんな感じ
結局のところ うんと血が巡りまわって すみずみまで活性化 ってことかな
予感がする てんさらばさらが飛び立ってゆく ねぇ本当はそのほうがいいのでしょう? 桐の箱から放たれて また誰かの掌にそっと包まれる夢
貴方が誰と手を繋いでいるのか より 貴方が胸に何を抱いているのか の方が気になります それが貴方を評価する
自分のことを情けない哀しい そんな惨めな思いばかり溢れる 自信に満ちて突き進むひとを横目で見ている あなたが捨ててしまったものを見ている
のろのろと仕方なく進んでいるだけの時 靜かな場所を通りかかります そこはとても静か 哀しさにあるときも静かにゆっくり流れてゆく時間を その人は紡いでいるのです
年末という言葉に 慌ただしさだけが強調されて きっと何も見ずにいる
何かを忘れながら というより 思い出すことを忘れてゆきながら 明日のことを考えようとして 混乱してゆく海
もう少しでぷいっとなるところだった ならなかったのはキミがやさしかったからです ありがとう
プッツンと切れはしない ぷいっと なるだけ
あっち向いたまま 背中が全部耳になって じっと俯いたまま 体中が石になって
前はよく涙をこぼした この頃あまり泣かなくなった気がする 強くなったかと思ったけれど 泣いていた時のほうが 晴れやかな顔をしていた だから 泣いていいんだよ
ひとは誰でもいくつか不満を持っているけれど 自分らしい折り合いのつけ方で暮らしてゆくこと 自分らしい折り合いのつけ方をさがしてゆくこと それが生きるってこと じゃないかと思う
解消する 共存する 離れる 消えるそれもアリだとは思います
それは自分の苛立ちをかき立てるためかもしれない 自分で決着がつかなくて何かに委ねようとしている 苛立ちは背中を押してくれるだろうか その後押しは後悔をさせないだろうか
人が居なければ寂しいというタチでなく 居ない方が楽と思うタチ きっと無人島でも暮らせる
万能の言い訳
− いそがしくて −
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