消えてゆく小さなこと


消 え て ゆ く 小 さ な こ と

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1903年11月30日(月)

熱い粥が一匙ごとに腹にしみわたる

そういう感覚の生活を美しいと思う したいと思う
命を支える素朴なところを大切にして 暮らしたいと思う 


1903年11月29日(日)

小さなひとたちを号令で動かそうとする世の中になったら
オシマイだ
掛け声や号令も時には楽しいけれど
人の心を動かすものではない
心を動かすのは心のこもった言葉
心が動いたときに行動も起こるのだと思う

大人は手軽な号令でなく 
慎重にあたたかい言葉を選ぶべきです


1903年11月28日(土)

覗くことのなかった世界を垣間見る
人の愚かさは互いに何と近くにあるのだろう
すぐ隣に 背中合わせに
あまりの近さに驚く

人は 堕ちずに生きてゆくために
捨てるべきものがあるのだと知る


1903年11月27日(金)

これ以上
気持ちを
乱さないように
気をつけて

PEARLなきもち
SNOWなきもち


1903年11月26日(木)

からっきし勇気がないんだよ
いつまでも度胸がないんだよ
守るものなんて数えるほどなのに
何かを抱えてうずくまる
それじゃ何も変わらないと分かっているのに
立てば少し空に近くなるのに
頭の芯の それは睡魔か目眩


1903年11月25日(水)

毎日が感動だった日々は 何処へ行ってしまったのだろう
これが普通これで当然 と納得を繰り返し
はるかなものを見る時間を忘れ
イマの連続だけ

あの日何を願ったの?
あしたは何を願うの?

祈りの向こうに明日があるというのに


1903年11月24日(火)

それは知らぬ間に
突然あっさり放り込まれていて
無愛想にでんとしている
贈り物とは程遠いプレゼント
リボンがありません


1903年11月23日(月)

大仰な挨拶や緞帳が下りて でなく
何となく手持ち無沙汰になって退屈した客たちが
次第に席を立ってがらんとして
空気が入れ替わってしまったように

終焉というのはただ呆気なく
すでに来たのかもしれない


1903年11月22日(日)

たぶんわかっていると思うけれど
感じていると思うけれど
わたしはどんな時もキミを応援してる
いつも味方してる
そうするのが当たり前
力になれなくても支えたいと思ってる
ずっと思ってきたよ


1903年11月21日(土)

知らぬ間に暖簾がかわっていた
中の造作もかわっていた
いつから足を向けなかったか思い出せない
確かに前を通りはしていたけれど
無視していたから

壁に有名人のサインばかり
殺風景に飾られていた


1903年11月20日(金)

青空 というより 春空
雲のない明るい青
陽射しがあったかい
犬がねそべってる
猫がすわってる
冬の中のほんの少しの春だけれど


美しいひとになろう

美しい言葉を話そう
美しい考え方をしよう
美しい皮膚にしよう
美しい部屋にしよう

健やかなバランス

美しい空を   忘れたくない


1903年11月19日(木)

ものに寄せる気持ちより
声やぬくもりや存在
残したいのはそういったもの 
だから大切に心にしまえばいい
胸の奥は無限大
そうやって呪縛から解かれてください


1903年11月18日(水)

何の変化もなく静かに過ぎた日
変化を待つのが苦しいときもあるけれど
変化のないのが安らぎとなるときもある
今日は静かに過ぎた
それは一つの区切り


1903年11月17日(火)

突然に文字が頭に浮かんで離れない

灰 と 廃

そして頭の中で 
足が突っ張っている
引き込まれるのをこらえている


1903年11月16日(月)

命ある水を受けて
活力を得よ

あなたは水にふれ息を吹き返す
水の中に意識を取り戻す
そのことを忘れないでいて

顔を洗えば出直せる


1903年11月15日(日)

ひっそりとそこに
じっとしていた
気づかず素通りする足元に
鈴もない小さな猫
覗き込めば小さな声でニャアといった
私の後に通る人もその後に通る人も
誰も止まらず素通りして行く
猫はそのまま


1903年11月14日(土)

願ったことは
もっと素直に かっこつけずに生きてほしい
ほんとのことを伝えてほしい
夕闇に耳打ちしてほしかった
深夜こっそり教えてほしかった
泣いていたならそのままで
ただそれだけ


1903年11月13日(金)

私は四角く生きられない
まるくも生きられない
平らにも真っ直ぐにも
風葉のようにそよぐのも
雲のように流れるのも
なにもできない

わたしのゆらぎ水の中


1903年11月12日(木)

ひとつの山を越えられずにいる
すべて記憶を捨てて軽やかになれば
越えられるのだろうか
あと幾つも 越えねばならぬ山が見えている
後ろへ後ろへと引っ張る記憶なんて
捨てたほうがいいの かな
突然消えたくなるのです
誰からも


1903年11月11日(水)

外はとてもあたたい陽射しがふりそそぐ
どこかで春の小鳥がないた気がした
外へ出たらどう?今日は外がいいよ
それでも迷って窓辺にいる


1903年11月10日(火)

同じことを何年も続けられないから
フルスピードで駆け抜ける
そういう思いもあった というだけでいい
いつだったかはもういい
全て過去になってゆくから


1903年11月09日(月)

返事を待っているのです
目の醒めるような
きりりと美しいその字で


1903年11月08日(日)

誰かいるような
こちらを見ているような
庇に時おり猫が寝ていたりする
少し向こうのその小さな高窓が気になっていた
この窓灯りを確かめようとしているの?
それともその灯りを届けようとしているの?
あたたかい色が灯っている
きっと同じ夕映え


1903年11月07日(土)

君の中の私
螺旋のように
隠れながら現れながら
新しいスパイラルに
からまりながら彩りながら
消えることなく


1903年11月06日(金)

惰性のままに
体に悪いことばかり続けてる
もっと健康のこと真剣に考えないとね


1903年11月05日(木)

星ふたつ
何の変化もなく
夜は更ける
決めどきかもしれないね
そう思っても もう胸は痛まない
前はあんなに苦しかったのに
本当の最後になるかもしれない


1903年11月04日(水)

はたはたと大きく翼を動かして
雲の影を抜けてゆく灰色の鳥よ
もがいているふうでもなく
突き進みもせず落ちもせず
精一杯の様子で 
ゆっくりゆっくり同じ高さで
気づけば町を越えていった


1903年11月03日(火)

あなたに伝えようか迷う言葉があります
言葉というより思いです
思いというより考えです
私の視点です
あなたにどう伝わるのか
あなたがどう受け止めるのか ということより
あなたもその時考えてくれていたかしらと
そのことが不安です
私だけが深く受け止めていたのかもしれないから


1903年11月02日(月)

虚ろな気持ち 
力が出ない

精神を泳がせる時間をください
魂を眠らせる時間をください

瞼に焼きつく一瞬の光跡をいくすじも見せて
明日に漲る歓びとなる雄々しい光を放ってみせて


1903年11月01日(日)

哀しいことは きっと
人の役に立っていないこと
誰かのために何かを為していないこと

人は人をささえて人である
支えてもらう前に人のために何かをして
心の明かりが灯るのだと思う
自分のことしか見えぬから
自分のことしか為さぬから
明かりが次第に消えてゆく




天窓より          


−ともすれば消えそうになる自分を見失わぬよう−       

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− ささやかに −          

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日付は通し番号として記しています         


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