2009年06月30日(火)  『1Q84』の話題からエリックさんにたどり着く

こないだまとめて読んだはずなのに、いつの間にか未読の新聞が山積みになっていて、それをまたまとめて読む。6月25日朝日オピニオン面、天野祐吉さんの「CM天気図」に「地球の出」の話。「月の地平からゆっくり昇ってくる地球」という風に「かぐや」から眺めた地球の映像を紹介している。そうか、月から見れば地球はまた昇るのか……。考えたこともなかったそのことを知り、そのうれしさだけで今日の元は取ったような気分になる。ぜひ想像だけでなく映像を見てみたい。「JAXA・NHK」とあるからCMではないのだろうか。

6月27日朝日別刷りbe「サザエさんをさがして」には、「人の痛みは見えません。痛度計があればいいな、と思っていました」と日本リウマチ友の会の長谷川三枝子会長の話。温度計(体温計)ならぬ痛度計。痛みの当事者でないと出てこない言葉だと感じ入った。

折しも「月刊ドラマ」の「セリフとト書き」欄に寄せた原稿(7月中旬発行の8月号に掲載)に、「実感のある言葉を脳内ハードディスクに蓄積することが大事」ということを書いた。身近な家族や知り合いの日常会話、たまたま居合わせた他人の何気ない言葉を頭の中のレコーダーを回して録音する方法を紹介したが、新聞にも無数の名言がちりばめられている。

このごろは新聞を開くと必ずといっていいほど『1Q84』の話題を目にする。「読んでみなくてはわからない」「紹介しきれない」と皆さん書かれているものの、連日の書評を積み重ねると、読んだような気になり、現物を手にする頃にはハングリーマーケットの裏返しの満腹状態になってしまいそう。映画『アメリ』を観たときのように答え合わせにならなければいいのだけど……と思いつつ、読者ごとに視点や印象が異なるのが面白く、つい記事を拾ってしまう。

村上春樹作品で最後に読んだのは、高校時代ぶりに再読した『ノルウェイの森』で、その前は『海辺のカフカ』だった。『海辺のカフカ』を読んだときに、「わたしは昔の作品のほうが好きだ」とあらためて思ったのだが、『パン屋襲撃』『1973年のピンボール』『TVピープル』を好んで繰り返し読んだ。

『ノルウェイの森』以来遠ざかっていた村上作品に『TVピープル』で再会したのだが、それを教えてくれたのは、通っていた京都の大学の近くにある古民家に暮らすエリック・ガワーさんというアメリカ人のフリージャーナリストだった。彼が日本語の小説を読むのを手伝うというアルバイトを知人から引き継ぎ、いくつかの短編を一緒に読んだ。他の小説は何を読んだか記憶が飛んでしまったが、『TVピープル』の記憶だけが突出している。これが最初の一篇だったのかもしれない。外国人は村上春樹が好きなのか、という発見とともに、その作品を楽しんだ。つっかえつっかえながらも漢字を読めるのだから、エリックさんの日本語レベルは相当なものだった。政治にもとても興味があり、わたしよりも日本の政治家をよく知っていた。趣味も多彩で、アルバイトというより、こちらが広い世界を教えてもらっている感覚だった。

そんなわけで、『1Q84』の記事を見るたびエリックさんを思い出し、今どうしているのだろうと気になり、「Eric Gower」で検索してみると、『日本は金持ち。あなたは貧乏。なぜ?―普通の日本人が金持ちになるべきだ』『 エリックさんちの台所 (海外シリーズ)』『 英文版 エリックさんの新・和食 - The Breakaway Japanese Kitchen : Inspired New Tastes [Illustrated] (ハードカバー)』と3冊の著書にヒットした。本を出していることは意外ではないし、一冊目はエリックさんらしいと思ったが、料理の著書があるとは意外。料理本の紹介から行き着いたThe Breakaway Cookというサイトで、顔写真のエリックさんに再会する。20年近い歳月が経っているので、最初は「こんな顔だったっけ」と思ったが、しばらく眺めているうちに、だんだんエリックさんに見えてきて、そうだ、やっぱりこの人に違いないと確信に至った。

劇団Motherにいた宮村陽子のことをアメリカ人の友人が「Yoko Miyamura」で検索して発見し、「女優になっていたとはビックリ!」とメールが来た、というエピソードを彼女に聞いたことを思い出したが、エリックさんが料理研究家になっていたとは驚いた。彼が京都を去った後、彼の友人のこれまたエリックさんが新しい住人となり、わたしは引き続き日本語教師となった。2号さんは料理好きで、毎回レッスンの後にランチをふるまってくれたのだが、1号さんも料理をする人だったのか。

京都を去ったエリックさんは鎌倉のほうへ引っ越した記憶があるが、今は日本を離れてアメリカにいるらしい。おいしそうな料理とレシピが並ぶブログを眺めながら、書き込んだら驚いてくれるかしら、とドキドキしている。

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2008年06月30日(月)  『蘇る玉虫厨子』洞爺湖サミットへ!
2006年06月30日(金)  中国語版『子ぎつねヘレンの10のおくりもの』
2002年06月30日(日)  FM COCOLOで『パコダテ人』宣伝
2001年06月30日(土)  2001年6月のおきらくレシピ
2000年06月30日(金)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/28)


2009年06月29日(月)  涙は世界でいちばん小さな海

昨日の夜、娘のたまがお風呂に入るときに泣き(このところ毎回ぐずる)、お風呂上がりに「たまちゃんの なみだ すっぱいよ。なめてみて」と言ってきた。「すっぱいじゃなくて、しょっぱいだよ」と訂正しながら、映画『子ぎつねヘレン』でヘレンが太一の涙をなめてあげた場面を思い出し、連想の糸をたどって「涙は世界でいちばん小さな海」という言葉を思い出した。

脚本を書き始めた頃、コンクール入賞が縁で初めてディレクターから「ラジオドラマのプロットを書いてください」と声がかかり、大はりきりで書いた。今だったら本命の一本に注力して、保険でもう一本という出し方をするけれど、当時は「やる気を見せることが何より大事!」だと鼻息を荒くし、10本ほどを送りつけた。帯に短し襷に長しの10本で、どれも採用には至らなかったが、その中の一本に「世界でいちばん小さな海」の話があった。この言葉を発見して、何かで使いたくてしようがなかったのだ。コピーライターとして勤めていた広告会社の仕事でも提案した覚えがある。

10年ほど前の出来事ですっかり忘れていたけれど、2才児のしょっぱい涙に思い出させてもらった。「世界でいちばん小さな海」というタイトルに惹かれているので、ドラマでも小説でも何か作品にしてみたい。まずは手っ取り早く、子守話で。一昨日の土曜日、子守のあてがなく、自宅でたまを見ながら原稿を書いていることになったのだが、たまは朝から「じんじゃ いく」と呪文のように唱え続け、「後でね」「これ終わったらね」と言っているうちに日が暮れ、それでも「じんじゃ」と食い下がっていた。罪滅しの気持ちを込めて。ママが約束を破ったお話。もうひとつは、遠い海へ去った友だちの話。

子守話84「せかいでいちばんちいさなうみ その1」 

こんどの にちようび うみに つれていってあげるねと
たまちゃんの ママは やくそくしていたのに
おしごとで うみに いけなくなって しまいました。
「ママの うそつき」
たまちゃんは かなしくて なみだが こぼれました。
なみだは しょっぱくて うみの あじが しました。

ひとつぶめの なみだで たまちゃんは 
きょねんの なつに いった うみを おもいだしました。
ふたつぶめの なみだで たまちゃんは 
さかなが あしの あいだを すりぬけた くすぐったさを おもいだしました。
さんつぶめの なみだで たまちゃんは 
うきわで なみに ゆられた きもちよさを おもいだしました。

「たまちゃん ごめんね」と ママが だきしめて
たまちゃんの なみだは かぞえきれなくなりました。
「いいの たまちゃんは いま うみに いるから。
 せかいで いちばん ちいさな うみで あそんでるの」と
たまちゃんは いいました。
すると ママの めからも なみだが ふってきて
たまちゃんの ほっぺたに ちいさな うみが できました。
ほんものの うみは つめたいけれど
おふろみたいに あったかい うみでした。

子守話85「せかいでいちばんちいさなうみ その2」

たまちゃんが かっていた かめの タートルが 
にげだして いなくなってしまいました。
「きっと タートルは ふるさとの うみに かえったのよ」と 
ママが いいました。
タートルのことを おもいだしていたら
たまちゃんは なみだが ぽろぽろ こぼれてきました。
「ママ なみだが しょっぱいよ」と
たまちゃんは なきながら いいました。
「なみだは せかいで いちばん ちいさな うみだから」と
と ママは いいました。
タートルの いる とおい とおい うみが
たまちゃんと つながった きが しました。
これから なみだが こぼれるたびに
たまちゃんは タートルのことを おもいだすでしょう。


ちなみにボツになった「世界でいちばん小さな海」のプロットを読み返すと、テーマは「誰の心にもある優しさ。悪人になりきれない人間」で、「タクシーに乗り合わせた妙な4人の交流」と一行コピーがある。老婆をひき逃げしたタクシー運転手が、老婆を後部座席に乗せて走っていると、逃走中の強盗と迷子の5歳児が乗り込んで来て……というドタバタ珍道中もの。死んだと思った老婆が息を吹き返し、大人二人を説教すると、おばあちゃんっ子の二人は号泣。それを見た5歳児が「なみだはせかいでいちばんちいさなうみなんだよ」と言い、タクシーが海へ向かう頃には家族のように打ち解けているという話。

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2008年06月29日(日)  マタニティオレンジ304 「たらちねの母」と「たらちねの女」
2007年06月29日(金)  マタニティオレンジ137 おっぱいより朝ごはん
2002年06月29日(土)  パコダテ人大阪初日
2000年06月29日(木)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/28)


2009年06月28日(日)  朝ドラ「つばさ」第14週は「女三代娘の初恋」

全26週156話の「つばさ」は半分にあたる第13週第78話までが放送終了。ストーリー上は前半後半と分けているわけではないけれど、明日の第14週第79話から後半となる。

第14週のタイトルは「女三代娘の初恋」。妻になっても母になっても女であるように、母になっても祖母になっても娘なのだなあとタイトルを見て思う。子どもの頃、母の恋を聞き出すのが好きだった。見合い結婚だった父とのドタバタコメディのようなデートの話に何度も笑ったが、わたしが生まれる前に他界していた祖母の恋の話もよく聞かせてもらった。何をするにも熱く激しく、恋愛もそうだったらしく、会ったことのない「恋するおばあちゃん」にかっこいい人という印象を抱いている。そんなわけで、第14週で千代の恋が明らかになるのは、なんだかうれしい。女に年齢制限はないのに、日本のドラマや映画は、おばあちゃんの恋を封印してしまっている傾向がある。とくに朝ドラでおばあちゃんを恋する存在として描くのは、珍しい気がする。

キーアイテム(アイテムなのか?)は大衆演劇。鏡花原作の「婦系図(おんなけいず)」を翻案した大衆演劇をラジオぽてとのイベントで上演するのだが、それに乗せて玉木家の千代(吉行和子)、加乃子(高畑淳子)、つばさ(多部未華子)の女三代の初恋を描いてしまうという「つばさ」の中でもとくにアクロバティックな展開。舞台用の台本に本番の大胆なアドリブが加わり、それでいて筋の通った一本の芝居に見えて、それが劇中劇として機能する……という脚本が組み上がっていくのを、魔法を見るような思いで見ていた。これまた離れ業な演出は、1〜3、6、10週を担当したチーフディレクターの西谷真一さん。

人物相関図、練習風景など、お芝居がらみの小ネタも満載。どの登場人物が劇の中でどの人物を演じるか、キャスティングの過程やそれぞれのキャラクターの活かし方にニヤリとさせられる。演出を買って出るのは、なんとあの人。演出モードの彼女の新境地も楽しいし、つばさワールドの住人の新たな魅力をそこかしこに発見できる一週間。着物姿のみなさんも新鮮で、つばさも真瀬も麻子も和装がよく似合う。川越キネマのホールで演じられる大衆演劇の本番は、ナマで見たい!と思わせる気合の入った熱演。のど自慢のときからさらに進化したホールにも注目。

新しい登場人物は、品のある渋い存在感を放つ葛城清之助(山本學)。文化振興財団の理事長としてラジオぽてとに現れる彼には、別な顔が……。葛城さんに注目して観ると、よりハラハラ感が高まって楽しめるかも。

続く第15週「素直になれなくて」には、「ベッカム一郎の朝イチ! 豪快シュート」のベッカム一郎(麒麟の川島明)が、ついに登場。今井雅子のクレジットも毎日出るので、第14週から引き続きお楽しみください。

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2008年06月28日(土)  読んで満腹『おとなの味』(平松洋子)
2006年06月28日(水)  ロナウジーニョとロナウドは別人?
2002年06月28日(金)  シンデレラが出会った魔女の靴


2009年06月26日(金)  江ノ島の大道芸人「のぢぞう」さん

遺伝というものがどの程度あてになるのかわからないけれど、娘のたまを見ていて「わたしの子だなあ」と感じるのは、「芸好き」なところ。マジックや大道芸を見るのがわたしはとにかく好きで、出先のデパートや路上で遭遇すると予定を大幅に変更して見入ってしまう。「愛・地球博」でもいちばん心惹かれたのはそこかしこで繰り広げられていた大道芸だった。その趣向を引き継いだのか、たまは素人手品に歓喜し、シルク・ドゥ・ソレイユに身を乗り出し、わたしはその場にいなかったけれど、猿回しを見たときには異様な興奮ぶりだったという。

先日江ノ島へ遊びに行ったとき、わたしが条件反射的に大道芸に足を止め、ダンナに肩車されたたまがまばたきを忘れたかのように釘づけになり、そのまま最後まで見ることになった。「のぢぞう(野地蔵)」さんという大道芸人で、最初はパントマイム風のパフォーマンスをされていたが、夕方で観客がまばらだったことから、例外的という口調で「しゃべります」と宣言し、トークを交え出した。最初は風船で動物等を作る芸で、見始めてすぐに、目が合って、かもめをいただいた。それから大きな糸巻きのようなコマを空中に上げる芸や、空中の定位置を動かないトランクを引っ張るパントマイム芸があり、観客のカップルをアシスタント役に巻き込んでのジャグリング芸。このカップルに贈った「ハートの止まり木に止まった二羽のキスバード」の風船がとてもかわいかった。

印象に残ったのは、最後の催眠術。観客から引っ張ってこられた若い男性4人が「催眠術」にかかって、「背もたれ90度倒し空気椅子」の状態で静止する。バランス力学的にこんなことが可能なのか、とこちらは瞠目した。間の取り方が絶妙で、何ともいえない味があるのぢぞうさん。気になって調べてみると、江ノ島の方で、横浜大道芸倶楽部というアマチュアサークルの事務局長さんとのこと。

大道芸といえば、20年ほど前に旅行先のニューオーリンズで見た光景が忘れられない。観客から募ったボランティア13人を地面に這いつくばるお祈りのポーズで並べ、何が始まるのかと思ったら、黒人の男の子が助走をつけて、その上を前方宙返りで飛び越えてしまった。走り幅跳びでも驚く距離を前宙で! あまりのことにしばし呆然、その後で拍手喝采。相撲でいえば座布団を投げたくなる気分でドル札を帽子に放り込んだ。

さて、のぢぞうさんにもらった風船のかもめをたまはすっかり気に入り、わらしべ長者の少年よろしくぶんぶん振り回して江ノ島を後にしたのだが、そのとき大声で歌っていたのが、「とんぼのめがね」。たまは、かもめではなくとんぼだと思った様子。というわけで、今夜の子守話は、「かもめかもね」のお話。風船は日に日に張りを失い、やがてすっかりしぼんで、かもめに見えなくなってしまった。風船がしぼむのは物悲しいけれど、生き物の形をしていると、なおさら哀愁を感じる。

子守話83「かもめかもね」

だいどうげいにんの おにいさんが たまちゃんに
みずいろの ふうせんで つくった とりを くれました。
「これは かもめよ」とママは いいましたが
たまちゃんは かもめを しりません。
「みずいろだから とんぼさんだ」
たまちゃんは そういって 
とんぼのめがねの うたを うたいだしました。
「とんぼの めがねは みずいろめがね
 あおい おそらを とんだから とんだから」
みずいろの ふうせんは
「とんぼかもね。でも、かもめかもね」と
こまった かおを しながら 
たまちゃんに ぶんぶん ふりまわされて
そらを とんでいました。

そのひから まいにち たまちゃんは
みずいろの ふうせんと あそびました。
おさんぽも おかいものも いっしょに でかけます。
「とんぼさん とんぼさん」と たまちゃんが よぶたびに
「かもめかもね」と みずいろの ふうせんは こたえました。

ふうせんの なかの くうきが すこしずつ ぬけて
みずいろの ふうせんは しょんぼりして いきました。
たまちゃんが ぶんぶん ふりまわしても
もう そらを とびまわる げんきは ありません。

あるひ ママが ずかんの ページを ひらいて いいました。
「たまちゃん これが かもめよ。
 ほら ふうせんの とりさんに よくにているでしょう」
たまちゃんは やっと みずいろの ふうせんが
とんぼじゃなくて かもめだと わかりました。
そして 「かもめさん かもめさん」と はじめて
ほんとうの なまえで よびかけました。
でも ふうせんは すっかり くうきが ぬけて
ぺしゃんこになって ゆかに ひっついていました。
「かもめかもね」とは いってくれませんでした。


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2008年06月26日(木)  知らなかった、大坂夏の陣『戦国のゲルニカ』 
2007年06月26日(火)  マタニティオレンジ136 サロン井戸端
2004年06月26日(土)  映画『マチコのかたち』


2009年06月25日(木)  眞木準さんのコピーが大好きだった

朝刊でコピーライターの眞木準さんが亡くなったと知る。享年60才。まず名前の活字が目に飛び込んだが、まさか訃報記事だとは思わなかった。

コピーライターとして広告会社に入社したものの、コピーのことを何もわかっていなかった頃、TCC(東京コピーライターズクラブ)のコピー年鑑や月刊誌のコマーシャルフォトや宣伝会議に載っているコピーを片っ端から読んで、いいコピーとはどういうものかを研究した。「これ好き」と思ったコピーが、かなりの確率で眞木準さんの書いたものだった。「わたしは、この人のコピーが好きだ」と学習するまでに時間はかからなかった。その好みは、コピーライターの経験を積んでからも変わらなかった。

いちばん好きだったのは「恋が着せ、愛が脱がせる」という伊勢丹のコピー。恋愛とファッションの関係をこんなに的確に、そして美しく、品よく、さらには伊勢丹というブランドらしさも匂わせて、短く鋭いコピーに閉じ込めてしまった。この一行で、いろんな恋を思い出したり、思いめぐらせたりしてしまう。そんなチカラを秘めたすごいコピーだった。

TCCコピー年鑑の記念号で、会員が「自分の書いたいちばん好きなコピー」を挙げる特集があって、眞木さん本人は何を選んだかと注目したら、「夏野(娘の名前)」と書かれていたように記憶している。その年鑑が手元にないので確かめられないけれど、わたしの記憶が正しければ、出産どころか結婚もしていなかったその当時は、マイベストコピーに娘の名前を選ぶということが変化球のように感じられた。でも、今は、むしろ素直で素敵だと思える。お話しして、人柄に触れてみたかった。

「お話しして」と書いてみて思い出したのだけど、眞木さんとお話しする機会が一度あった。宣伝会議賞というコピーのコンテストで入賞したとき、その授賞パーティにいらしていて、名前を呼べば振り返るようなすぐ近くに憧れのその人がいた。審査員の一人だったのだろうか。会場で出会った他の受賞者に「眞木さんのファンなんだけど、声かけようかな、どうしよう」と相談し、「迷ってないで、声かければいいじゃない」と背中を押されたことは覚えているのに、声をかけたのか、かけなかったのか、結果が記憶から抜け落ちている。おじけづいて逃げたのかもしれないし、言葉を交わしたとしたら、舞い上がって、頭の中がマッシロになったのだろう。

コピーライターから脚本家という道に進んでしまったけれど、眞木準さんの書くコピーから受けた刺激は、今脚本を書く上でも活きていると思う。言葉を面白がる、それが、言葉を面白くする。そんなことを片想いの師匠に教わった。感謝を込めて、合掌。


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2008年06月25日(水)  整骨院のウキちゃん7 赤道ぐらい知ってますよ編
2007年06月25日(月)  割に合わない仕事
2005年06月25日(土)  『子ぎつねヘレン』ロケ見学最終日
2002年06月25日(火)  ギュッ(hug)ギュッ(Snuggle)
2000年06月25日(日)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/28)


2009年06月24日(水)  江ノ島の思い出「たまえのしまをゆく」

少し前に友人セピー君とわが家で江ノ島へ遊びに行ったときにセピー君が一眼レフで撮った写真が、CDに焼いて送られてきた。CDのタイトルが「たまえのしまをゆく」というのがチャーミング。写真を再生しながら楽しかった初夏の半日を懐かしく振り返った。

まずは江の電長谷駅近くのDAY'sというカフェで腹ごしらえ(このバーガーの写真はわたしが撮ったもの。ボリューム満点!)。子連れにも感じが良く、対応も慣れていて助かった。



セピー邸へ向かう途中の海で、娘のたまは野生に帰り、大はしゃぎ。おむつまでびしょびしょになりながら波とたわむれ、波打ち際の海草を見て「おばけー!」と逃げ回っていた。絵本『うみべのハリー』でハリーが海草をかぶった姿をみんなが「おばけ」と言う場面があるけれど、それを覚えていたのかも。セピー君の写真がきれいなので、大きめサイズで。

成就寺で紫陽花を見てから、江の電で江ノ島へ。モーターボートに乗った後、エスカー(有料エスカレーター)を乗り継いで山頂へ。道すがら、「じゃこさつまあげ」「じゃこアイス」「じゃこお好み焼き」「じゃこ餃子」などじゃこ尽くしの誘惑のなか、「じゃこコロッケ」を食べる。


最近整備されたという山頂は花いっぱいで楽園のよう。わたしが「ここでお茶したい!」と一目惚れしたロンカフェ(LON CAFE)というフレンチトースト専門店は一時間待ち。名前を告げて、展望台へ。ここでもたまは再び野生に帰り、ぐるぐると走り回り続ける。待望のロンカフェは期待に違わぬ雰囲気と味で大満足。時間が止まったような、いつまでも佇んでいたい気持ちのいいお店だった。

山頂から帰るときに、「のぢぞう」さんという大道芸人のパフォーマンスをやっていて、くぎづけになってしまった。この話は、また日をあらためて。

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2008年06月24日(火)  カレーとコーヒーとチョコレート
2007年06月24日(日)  マタニティオレンジ135 うっかりケーキでたま10/12才
2005年06月24日(金)  『子ぎつねヘレン』ロケ見学7日目
2004年06月24日(木)  東京ディズニーランド『バズ・ライトイヤー夏の大作戦』
2000年06月24日(土)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/27)


2009年06月23日(火)  人脈が金脈を呼ぶ魔女田式錬金術

朝ドラ「つばさ」の案内メールの返信で、「女が作る映画誌」シネマジャーナルの景山咲子さんからひさしぶりに連絡をいただいた。映画『風の絨毯』の公開のときにプロデューサーの益田祐美子さんに紹介されて、もう5年経つ(>>>2003年5月18日(日)風じゅーの風よ、吹け!)が、先週土曜日に公開された映画『築城せよ!』のインタビューで益田さんに再会し、そのことを日記に書いた際に「今井さんのお名前を出しました」と報告してくださったのだった。

早速、シネマジャーナルのスタッフ日記の2009年6月第2週をを訪ねてみると、「『築城せよ!』の古波津陽監督とプロデューサー益田祐美子さんのインタビューに同席」とあり、益田さんを「脚本家の今井雅子さんが魔女田さんと呼ぶように、魔法のような微笑でお金を生み出す錬金術師」と紹介している。魔女田さんとあだ名をつけたのは『風の絨毯』で益田さんとともにプロデューサーを務めた山下貴裕さんで、せっせと広めているのはわたしだが、日記のこのくだりを読んで、思わず吹き出してしまった。というのも、先日の今井雅子日記(>>>2003年6月19日(金) 報酬系とドーパミンと子守話80話)で『築城せよ!』公開をお知らせしたなかで、わたしは「プロデューサーの魔女田さんこと益田佑美子さんの錬金術にも磨きがかかり」と書いていたから。一卵性双生児のような表現の一致が景山さんと以心伝心のようで、おかしくなった。

思わぬところで、思わぬ形で人と人をつなげてしまう魔女田さん。さらにすごいところは人脈と金脈をつなげてしまうところ。「金持ちより人持ち」になりたいとわたしは思っているけれど、魔女田式錬金術では、「人持ちは金持ち」の法則が成立する。今回の『築城せよ!』では製作費3億5千万円を集めてしまったが、約800社にお金を出させたのもすごいけど、断られたのが一社というのも、これまたすごい。「キスがいい? 寄付がいい? って聞くと、みんなあわてて寄付してくれる」と冗談のようなことを本気で言う。

シネマジャーナルの『築城せよ!』インタビューでもプロデューサーというより魔女的な発言を連発。「映画は作るときはお金がかかるけれど、維持費がかからないんですよ」などと目のつけどころが面白い。自主映画の『築城せよ。』を劇場版にしようと思い立ち、実現するまでの思考回路と決断の早さと行動力も人間離れしている。天然ボケキャラも含めて、天然記念物として保護したい。古波津監督が吸引力バツグンの魔女田パワーにびっくりしながら巻き込まれていった様を想像していたら、こちらも愉快になり、ますます『築城せよ!』を観たくなった。


今日の子守話は、戸田幸四郎さんの『リングカード・どうぶつ』がヒント。表に動物のイラスト、裏に名前が日本語と英語で書いてあるカードで、「いたちはウィーズル(weasel)だって」などと娘のたまと親子でふむふむ見ているうちに、「かば」の英語名が「ヒポパタマス(hippopotamus)」だと知った。「ヒポパタマスの中に、『たま』が入っているね」と言うと、たまがうれしがって「ひぱたます」と舌足らずに繰り返したので、英語を使いたがるカバの話を即興で作って聞かせた。外資系の会社に勤めていたこともあって、やたら英語を混ぜる人はまわりにずいぶんいたけれど、ある日「中途半端に英語ができる人ほど、不用意に英語を使いたがる」と帰国子女の友人に言われて、気をつけて観察してみると、本当にその通りだと納得した記憶がある。言葉はコミュニケーションの道具。使っても使われるな、の教訓を込めて。

子守話82「おバカなカバのヒポパタマス」

たまちゃんが みちばたで カバさんに あいました。
「こんにちは カバさん」と あいさつすると
「わたしは カバではなく ヒポパタマス ですけど」と
ヒポパタマスと なのる カバさんは ふんぞりかえって いいました。

「まちがえて ごめんなさい」と たまちゃんが あやまると
「きにしないでください。ネバーマインド」と
ヒポパタマスと なのる カバさんは もっと ふんぞりかえって いいました。
ふんぞりかえりすぎて せなかが いたくなって
「あいたたた アウチ!」と いいました。
カバさんの いうことは たまちゃんには はんぶんぐらいしか わかりません。

「えいごを しらないなんて シリーですね。おバカさん」
ヒポパタマスと なのる カバさんは そういって さかだちしました。
「カバさんが さかだちしたら おバカさんだ!」と たまちゃんが いいかえすと
「わたしは ヒポパタマスですから さかだちすると スマタパポヒです」と
カバさんは すずしい かおで いいました。

たまちゃんは なんだか つまならなくなって
「バイバイ カバさん」と てを ふって たちさりました。
「なんだ えいごを しゃべれるじゃないですか。またね。シーユー」と
ヒポパタマスと なのる カバさんは さいごまで
たまちゃんの しらない ことばを つかいたがりました。

ヒポパタマスと たまちゃん。なまえは ちょっと にているけれど
ざんねんながら おともだちには なれませんでした。


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2008年06月23日(月)  念ずれば、柿の葉寿司 
2007年06月23日(土)  「イラン・ジョーク集」のモクタリさんと鎌倉ナイト
2005年06月23日(木)  『子ぎつねヘレン』ロケ見学6日目
2000年06月23日(金)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/27)


2009年06月22日(月)  手は焼けるけど世話も焼きたい、たま2才10か月。

イヤイヤとイジワルに拍車がかかり、娘のたまは、あと2か月で3才(ということは、『ぼくとママの黄色い自転車』もあと2か月で公開)。とどまるところを知らない間の2才児ぶりは3才になれば落ち着くのだろうか。口もずいぶん悪くなり、最近の口癖は「もう、しらないよ」と「たまちゃん、わるいよ」。親のほうが「知らないよ」と突き放したくなるが、思い通りにならないと、「しらないよ」とそっぽを向く。「わるいよ」もこっちの台詞だが、食事のときにわざとお行儀の悪いことをして、自分から「たまちゃん、わるいよ」と開き直る確信犯。不良と書いて「ワル」と読む、に憧れているのか。

記憶力と言葉が発達したおかげで、親を言い負かすこともふえた。「ママ、さっき○○っていったじゃない」と理屈で追い詰められることも、しばしば。食べものに関しては一時間前に聞いた話だってしっかり覚えていて、「きょう ベーグルちゃんがとどいたって いってたよね?」と冷蔵庫を探りにくる。

まだオムツで、トイレトレーニングはすっかり後退。ゴールデンウィークに母乳を卒業した途端、指吸いが復活して、いつ見てもチュパチュパ。昨日偶然テレビをつけたら地元のケーブルテレビの保育園訪問で、たまの保育園が映ったのだけど、昼寝の時間に指を吸っているのは、たまだけだった。「赤ちゃんだねえ」とからかうと、「たまちゃん、あかちゃんよ」とこれまた得意の開き直り。そのくせお世話ごっこが大好きで、人形たちのお母さん役や先生役をやりたがる。人形をオイルサーディンのように並べ、布団代わりのタオルをかけ、トントンとたたきながら寝かしつけてあげていたりする。手は焼けるけど、世話も焼きたいお年頃。

今日の子守話は、日曜日に保育園の前を通り過ぎたときの会話がヒント。たまが「きょう ほいくえん おやすみなんだよ」と言い、「お休みの日の保育園は何しているのかな」と応じた自分が保育園を擬人化したのを面白く思ったのだが、たまは「ほいくえんは おやすみしているよ」と自然に答えた。「おやすみする」という動詞がアクティブな響きに聞こえて、「日曜日の保育園ではみんな何をしているんだろう」と想像した。『おもちゃのチャチャチャ』の保育園版のようなお話。

子守話81「にちようびの ほいくえん」

きょうは にちようび。ほいくえんは おやすみです。
おやすみの ひの ほいくえんは だれもいなくて とっても しずか。

と おもったら 

おやおや にぎやかな こえが しますよ。
ちょっと のぞいて みましょうか。

だれも いない はずの きょうしつで
つみきあそびを しているのは おにんぎょうの ぽぽちゃんたちです。
ぽぽちゃんたちは いつも ほいくえんの こどもたちが
つみきで あそぶのを うらやましいなあと おもっているのです。

つみきあそびに あきると ぽぽちゃんたちは おせわごっこを はじめました。
「わたし おかさん やりたい!」「わたしも」「わたしも」
みんな おかあさんやくを やりたくて しかたありません。

おすもうごっこで ゆうしょうした
あかい かみのけの ぽぽちゃんが おかあさんやくに えらばれました。
そして いつも こどもたちに されているように
ほかの ぽぽちゃんを だっこしたり 
ごはんを たべさせたり ふくを きがえさせたりしました。

おせわごっこの つぎは おにわに でかけます。
ベランダから すべりだいを すべりおりて すなばに ちゃくち。
すなの プリンや ケーキを つくって パーティごっこです。
ぽぽちゃんたちの ようふくも ぬので できた てと あしも 
あっというまに どろんこに なりました。

みんなが やってくる げつようびまでに 
もとどおりの きれいな ぽぽちゃんに ならなくては なりません。
ベランダに もどって せんめんだいで ジャバジャバ プールあそびです。

どろが おちて きれいになると こんどは みずを とばします。
みんなで わになって ぐるぐる まわれ まわれ。

まわりつかれたら おひるねの じかんです。
きょうしつで ひなたぼっこしながら ぽぽちゃんたちは すやすや。
ねむっている あいだに ようふくも からだも すっかり かわきました。

おひるねから さめると ぽぽちゃんたちは はこの おうちへ かえります。
それから げつようびの あさまで もうひとねむりするのです。


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2008年06月22日(日)  マタニティオレンジ302 英語も飛び出す、たま1才10か月
2007年06月22日(金)  マタニティオレンジ134 わが家語
2005年06月22日(水)  『子ぎつねヘレン』ロケ見学5日目
2004年06月22日(火)  はちみつ・亜紀子のお菓子教室
2003年06月22日(日)  不思議なふしぎなミラクルリーフ
2002年06月22日(土)  木村崇人「木もれ陽プロジェクト」
2000年06月22日(木)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/26)
1998年06月22日(月)  カンヌ98 3日目 いざCMの嵐!


2009年06月21日(日)  朝ドラ「つばさ」第13週は「恋のバリケード」

今日は父の日。日頃娘のたまの子守でお世話になっているダンナ父にお礼をと思い、「今からうかがおうと思いますが、いらっしゃいますか」と電話。切ったついでに大阪の父にも電話しようと思い立ち、かけてみると、「おう」と気のない返事。声もいつもと感じが違うが、「お父さん?」と聞くと、「ふむ」と答える。落ち着きのない父の妙な落ち着きが気になる。

わたし「雅子だけど」
父(電話)「どうした?」
わたし「そっちこそ、なんちゅうしゃべり方してるん?」

こちらは大阪弁だが、父のイントネーションはなぜか標準語。

わたし「もしかして……巣鴨のお父さん?」
父(電話)「ああ。そうだよ」

なんと、「父」違い! 大阪の父にかけたつもりが、よくかけるダンナの実家の番号を無意識にプッシュしていたらしい。電話を切ったと思ったら、またわたしからかかってきたので、ダンナ父は「おう」「どうした」というそっけない応対となったのだった。「なんちゅうしゃべり方」を責められるべきはこちらのほうで、電話の前で平謝りだったが、嫁のそそっかしさには慣れているダンナ父は今さら驚かず、電話の向こうで苦笑していたようだった。

さて、明日からの朝ドラ「つばさ」第13週は、玉木家の父・竹雄(中村梅雀)とお隣の宇津木家の鳶の頭・泰典(金田明夫)が対立。川越キネマに下宿を始めた翔太(小柳友)、翔太にまだ想いを残す万里(吉田桂子)、万里に想いを寄せる知秋(冨浦智嗣)……の化学反応で、仲良しの宇津木家と玉木家が『ロミオとジュリエット』のモンタギュー家とキャピュレット家のような犬猿の仲に!? さらに泰典、佑子(平岡由里子)、加乃子(高畑淳子)の遠い過去が明らかになり、ますます混乱。ご近所ネタでよくぞここまで話が転がるものだと打ち合わせに出ながら感心(毎回目からウロコではありますが、この週はとくに)した、「つばさ」の中でもとくに「つばさ」らしい熱烈でパワフルな一週間。

タイトルは「恋のバリケード」。バリケードがタイトルになる朝ドラも珍しいけど、本気の朝ドラ「つばさ」の場合は、バリケードが比喩では終わらない。今週のキーアイテムは、「バリケード」、そして「傷」でしょうか。毎週いろんな人をつなぐ働きをするヒロインつばさ(多部未華子)は、愛の力で傷を手当てしているとも言えるかも。過熱した騒動の後は、余熱でほんのりあったかい気持ちに。演出は第12週から2週連続の大杉太郎さん。

これまで朝ドラを観ているときは意識していなかったけれど、春からの前期は26週156話、お正月をはさむ後期は25週150話あるので、前期放送の「つばさ」は早いもので(と毎週書いている気がするけど)、第13週が終わると折り返しとなる。マラソンと同じく、「ここまで来たか」の感慨を味わうとともに、「あと半分」と気が引き締まる。

【おしらせ】出張いまいまさこカフェ12杯目掲載「buku」配布中

先日の日記(2009年06月18日(木)「出張いまいまさこカフェ」を支える「感想力」)にも書いたけれど、6月19日発行のbuku21号に掲載された12杯目で「出張いまいまさこカフェ」は連載3年。今回のタイトルは「映画鑑賞で相性診断」。タイトルに絡むくだりの部分で、「おや」となる。文字校正したときに見落としていた、余計なひと文字が……。やはり校正は声に出して読まなくては。気づかれた方、ここだな、と苦笑してやってください。

他の記事も読み応えたっぷり。インタビューは『ごくせん』本城健吾役の石黒秀雄さん(表紙写真も)と『ディア・ドクター』西川美和監督。池袋の映画館などで配布中。毎月29日に持参すると、池袋の映画館で映画が1000円割引に(1冊で2名まで)。


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2008年06月21日(土)  親目線で観た劇場版『相棒』
2007年06月21日(木)  マタニティオレンジ133 おおらかがいっぱい
2005年06月21日(火)  『子ぎつねヘレン』ロケ見学4日目
2002年06月21日(金)  JUDY AND MARY
1998年06月21日(日)  カンヌ98 2日目 ニース→エズ→カンヌ広告祭エントリー


2009年06月20日(土)  台詞もト書きも日々の生活の中に

『月刊ドラマ』に依頼された「セリフとト書き」という欄の原稿を書いている(今月末締切なので、7月発売の8月号に載るのでは)。台詞もト書きも日々の実感から拾い上げられるもので、脚本は何気ない毎日の喜怒哀楽から生まれる……そんな内用になっているが、当たり前の生活に感動を見出せるチカラは、脚本家に不可欠な資質のひとつだと思う。コピーライター時代、「生活者の視点を忘れるな」と口酸っぱく教えられたが、脚本を書く上でも、とても大切な心がけだ。締切に追われていても、アイデアが便秘気味でも(むしろそういうときこそ!)、生活をおろそかにしてはいけない。

そんなわけで今日は家族サービス。あと2日で2才10か月の娘のたまのリクエストに応えて、一家3人で上野動物園へ。自分から言い出したくせに終始指をくわえ、動物たちを見ても「ふーん」という反応。「あれのりたいよお」とモノレールを見て泣きわめき、「じゃあ、帰るときに乗ろうね」となだめたら、「帰る」と言い出して、きかない。仕方なく乗せると、乗っている間は大して喜ばず、降りるときになって、「のりたい!」と騒ぎ出す。「今乗ったでしょ」「もっとのる」の押し問答で、動物園を見回しても、檻の中も含めて、最も手がつけられない生き物になっていた。

「このわがまま娘は、はあ……」とため息つきつつも、いつか娘がぐずる場面を書くときには、今日のことを思い出そう、と心に刻んだ。

家に帰ると、ぐったり。でも、お昼の時間。泣きぐずったたまはおなかをすかし、なだめるのに体力を消耗したわたしとダンナも疲れ果て、買い物に行く気力もない。「おなじみのレトルトカレーうどんか、朝ご飯みたいだけどベーグル(楽天のベーグル屋 エルクアトロギャッツで購入した15個2000円送料込みのものを冷凍庫にストック)とスープか」と選択を迫ると、「カレーうどんでいっか」と妥協感ありありな返事。「ごめん、今ので、作る気なくした」と言うと、「じゃあ、寝て空腹を忘れるか」とダンナは昼寝を始めてしまった。

これまた「お昼どうする?」の小ネタとして使えるかもなあ、と冷凍ベーグルをチンしてたまと分け合いながら思った。

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2008年06月20日(金)  マタニティオレンジ301 太ももで豆腐うらごし
2005年06月20日(月)  『子ぎつねヘレン』ロケ見学3日目
2004年06月20日(日)  日本一おしゃべりな幼なじみのヨシカのこと
1998年06月20日(土)  カンヌ98 1日目 はじめてのカンヌ広告祭へ 


2009年06月19日(金)  報酬系とドーパミンと子守話80話

朝日新聞別刷り「be」の6月6日付けサイエンス版に「報酬系」のことが載っていた。脳には報酬系と呼ばれる神経回路があり、そこが損得勘定をして人の行動を左右しているという。昨日の日記に書いた「感想力」はまさにこの報酬系の活性剤だといえる。いい感想をくれる人に、いい仕事で応えようという意欲が湧くのだ。

報酬系という親しみやすい単語が脳研究の分野の用語として使われていることが興味深く、調べてみると、この報酬系は「ドーパミン」に関係しているらしい。ドーパミンという単語を知り、その響きにはまったのは、今の半分ほどの若さだった大学生の頃。チアリーダー仲間で読書家の理系だったヤスコちゃんが「脳がドーパミンという快楽物質を出すと、苦しみが快楽になる」ということを教えてくれ、もう一人の同期のトンちゃんとともに「ドーパミン、ドーパミン」をかけ声にランニングや筋トレをしていたのが懐かしい。ランニングハイもドーパミンの仕業だが、褒められたり報われたりするときの満たされた気持ちもまたドーパミンが運んでくるものだったのだ。

頑張れば報われると信じられると、努力は苦ではなくなるという見地からも「褒めて育てる」は一理あるらしいが、子どもを育てる側からいえば、子育ての苦労を吹き飛ばし、喜びに換えてくれるのは、子どもからの報酬だといえる。「ママ だいすき」「ママ また つくってね」その一言で、どこからかチカラが湧いてくるし、子どもの成長を日々見られることがごほうびだと思えるからこそ、愛情を注げる。実際、記事によると、母親は、他の子の写真よりも自分の子の写真を見たときに、報酬系が最も活発に働くという。パブロフの犬のように、わが子の顔を見ただけで報酬系が反応するらしい。

今日で80話目の子守話(火曜日に行った回転寿司がかなり気に入ったらしく、「くるくるやさん また いこうね」を連発。なので寿司ネタで)も、報酬系がはりきった結果。「これを聞かせたらどんな顔するかな」の期待と、聞かせたときの反応が、おはなしの種から花を咲かせる水や栄養になっている。「今年中に100話」の目標達成まで、あと20話。

子守話80「おすしと くるくる」

あるひ パパと ママが たまちゃんに
「くるくる まわる おすしやさんに いこっか」と いいました。
ダンスが だいすきな たまちゃんは
「たのしそう!」と おおよろこびで でかけました。

ところが くるくる まわるのは たまちゃんではなく おすしでした。
すっかり まわるつもりだった たまちゃんは がっかりです。
「ママ おねがい。いっしゅうだけ まわらせて」と おねがいすると
「ちちんぷいぷい。たまちゃん おすしぐらい ちいさくなあれ」と
ママが まほうを かけてくれました。

ちいさくなった たまちゃんを ママは
おやゆびと ひとさしゆびで ひょいと つまんで
まわってきた いなりずしの おさらに のっけました。
「いっしゅうだけ まわったら もどるんだぞ。
 いなりずしの おさらごと ひきあげるから」と パパが いいました。
「はーい。いってきます」と たまちゃんは いくらの つぶより 
ちいさくなった てを ふって しゅっぱつしました。

おさらから ながめる けしきは とても ゆかいです。
「みてみて。おやゆびひめ みたいな おんなのこが のってる!」
いなりずしの よこに ちょこんと たっている たまちゃんを みて
おきゃくさんたちは おおさわぎ。
でも だれも たまちゃんを たべる ゆうきは ありません。
「バイバーイ」と あいさつして 
たまちゃんは つぎの テーブルへ むかいます。
パシャリと しゃしんを とる おにいさん。
「わたしも のりたいよう」と なきだす おんなのこ。
「おにんぎょうの かたちの おすしなんて あったかしら」と
てんいんさんは めを ぱちくりさせました。

あっというまに いっしゅうの たびが おわって 
たまちゃんは パパと ママがいる テーブルに もどってきました。
「たまちゃん さあ おしまいよ」と 
ママが いなりずしの おさらに てを のばしました。
「やだ! もう いっしゅう まわる」と たまちゃんが いうと
「やくそくは やくそくだ」と パパ。
でも くいしんぼの ママは いたずらっこの たまちゃんが いないと
ゆっくり おすしを たべられるので
「じゃあ もう いっしゅうだけね」と ゆるしてくれました。

たまちゃんは おおはりきりで にしゅうめを まわりはじめました。
ところが おきゃくさんは もう びっくりして くれません。
たまちゃんが てを ふっても おすしに むちゅうで しらんかおです。
たまちゃんは ゆかいな きもちが きえて
だんだん こころぼそく なってきました。

ながい ながい にしゅうめが おわって
パパと ママの いる テーブルが みえてくると
たまちゃんは なみだが でそうに なりました。
「パパ ママ ただいま!」
たまちゃんが おおきな こえで いうと
ママが たまちゃんの ほうを みました。
ところが なんということでしょう。ママが てを のばしたのは 
たまちゃんが のっている いなりずしの おさらでは なくて 
その うしろから きた まぐろの おさらだったのです。
パパも あなごの おすしを ほおばるのに いそがしくて 
たまちゃんに きづいて くれません。

ぐずぐずしていると パパと ママの いる テーブルを
とおりすぎてしまいます。
たまちゃんは いなりずしの おさらから ジャンプして
テーブルに もどろうと しましたが
きゅうりまきの きゅうりより みじかい あしでは むりでした。
「パパ ママ さようなら〜」
その こえも パパと ママには とどきません。
たまちゃんの さんしゅうめの たびが はじまりました。

パパと ママが みえなくなると なんだか もう にどと 
パパと ママに あえないような きがして
たまちゃんは なみだが ぽたぽた おちてきました。
「ちいさくなって まわりたい なんて いわなきゃよかった」
「いっしゅうだけで やめとけば よかった」
くやんでも もう ておくれでした。

と そのときです。
めのまえに とつぜん おとしあなが あいて
いなりずしの おさらは あなに おっこちてしまいました。
たまちゃんも いっしょに まっさかさま。
なんしゅうも まわった おすしは すてられて しまうのです。
たまちゃんも ゴミに なってしまうのでしょうか。
そうしたら ほんとうに パパと ママに あえなくなってしまいます。

どうしよう どうしよう どうしよう。

どすんと おすしの ゴミの やまのうえに しりもちを ついた
たまちゃんは びっくりして めを さましました。
あれれ そこは くるくる まわる おすしやさんの なかではなく
たまちゃんの おうちです。
たまちゃんが ベッドから おっこちた おとで
パパと ママも めを さましました。
「どうしたんだい たまちゃん」とパパ。
「こわい ゆめを みたの?」とママ。
たまちゃんは パパと ママに だきついて 
「もう おすしやさんで まわりません」と べそを かきました。

明日公開の映画のお知らせをひとつ。
【おしらせ】魔女田さんプロデュース『築城せよ!』明日公開

侍の魂が乗り移ったホームレスがダンボールで城を建てるという発想にぶっ飛んだ(>>>2006年12月12日(火) あっぱれ、『築城せよ。』!)中編『築城せよ。』が、劇場版長編『築城せよ!』となって、いよいよ明日公開。タイトルの「。」が「!」になって、さらにパワーアップしているそう。『風の絨毯』で1億5千万円集めたプロデューサーの魔女田さんこと益田佑美子さんの錬金術にも磨きがかかり、この不景気に「キスかキフか?」を迫って(>>>2009年01月21日(水) キスかキフか? 非常時に強い女と自転車の会!)800社から制作資金を集めたのはアッパレ。


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2008年06月19日(木)  「第2回万葉ラブストーリー」受賞作発表
2007年06月19日(火)  父イマセン、ピースボートに乗る。
2005年06月19日(日)  『子ぎつねヘレン』ロケ見学2日目
2004年06月19日(土)  既刊本 出会ったときが 新刊本
2003年06月19日(木)  真夜中のアイスクリーム


2009年06月18日(木)  「出張いまいまさこカフェ」を支える「感想力」

少し前、新聞で酒井順子さんが「編集者に求められるのは『感想力』だ」という趣旨のことを書かれていて、紙面を前に大きくうなずいてしまった。身を削って書いた原稿への反応を、送った本人はドキドキそわそわしながら待つ。「受け取りました」だけのそっけない返事だと、「で、どうだったの?」「ダメだったのかしら」と気になるが、その報告さえ来ないと「100時間かけた労作が黙殺!」「よっぽどコメントに困っているのか」と気を揉んだり、気に病んだりする。

よくあることで、相手は単に忙しかったり忘れていたりするのだが、こちらが思うほど原稿が重く扱われていないことは物語られる。そんななかで心のこもった「感想」が送られてくると、「砂漠にダイヤモンド!」のきらめきを放ち、「この人の仕事が最優先だ!」という気持ちになる。ダメな原稿を褒めて欲しいのではなくて、こちらが原稿を書いた心意気を相手が引き受けたことが伝わる一言が欲しいのだ。

いい感想をくれるといえば、エッセイ「出張いまいまさこカフェ」の連載でお世話になっている池袋シネマ振興会のフリーペーパーbukuの編集者・北條一浩さん。原稿を送ると、「受け取りました」の返信とともに、毎回短いけれど気のきいた感想を送ってくださる。「面白かった」だけでなく、どこがどう面白かったか、具体的に書いてあるので、ありがたい。たとえば、

「オレオクッキー」と「大気圏」という比喩がすごく面白いです。「なるほどな」というより、むしろ「オレオクッキー」や「大気圏」について考えさせられるというか。言ってる事、わかりますか(笑)?

これは〈オレオクッキーにたとえれば、クッキーの部分が打ち合わせ、クリームが執筆。それぐらいホン作りに占める打ち合わせの比重は大きい〉〈白紙の状態から方向性を探る企画段階の打ち合わせでは、「どんなホンにしようか」を念頭に置きながら、核心から少し離れた大気圏あたりの話をすることが多い。(中略)そんな雑談のなかに、「それで行こう!」と光る発見があり、一気に大気圏突入となることはよくある〉というくだりを面白がってくれたもの。同じメールの中で、感想に続けて、

「いただいた原稿でまったく違和感ないのですが、1点だけ。「ハコ書き」とは何か、そこだけサラッと、カンタンな説明というか形容をつけていただけるとうれしいです。その分、文字数が増えても、どこかで調整していただいてもどちらでもかまいません。あくまで一般の、業界外の人にも読んでほしいので。

と修正の依頼があったが、こういう心配りのきいた書き方をされると、「喜んで!」と快く直しに取りかかれる。北條さん自身が原稿を書く人で、bukuではインタビュー記事も担当されているので、書き手の立場がよくわかるのだろう。わが身を振り返ると、人の原稿にどれだけの敬意を払えているだろうか。北條さんの感想力を見習いたい。

6月下旬発行のbuku21号に掲載される「出張いまいまさこカフェ」12杯目は、前回書いた毎日映画コンクールのスタッフ部門2次選考会の続編で、タイトルは「映画鑑賞で相性診断」。北條さんからの感想は〈丁々発止の選考の様子から、「シネマお見合い」にストンと落すところがとても面白かったです。しかし、濃い時間を過ごされましたね!〉。bukuは3か月に1回発行だから、12杯でまる3年連載が続いたことになる。毎回気持ちよく乗せてくれる編集者の感想力の賜物だ。

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2008年06月18日(水)  堺名産 小島屋の『けし餅』
2007年06月18日(月)  マタニティオレンジ132 たま300日
2005年06月18日(土)  『子ぎつねヘレン』あっという間の見学1日目
2000年06月18日(日)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/26)


2009年06月17日(水)  海へ帰ったサンマクジラと足利事件の17年半

たまった新聞をまとめ読みしていたら、「サンマクジラ」の続報があった。「サンマクジラ」というのは記事にあった言葉ではなく、5月28日付の朝刊一面に載った「動けぬ巨体 激やせ」の写真を見て、「サンマみたいだ」と思ったことから勝手に名づけた。和歌山県田辺市の内之浦湾の浅瀬に、仲間とはぐれた大型のマッコウクジラが迷い込んで2週間、餌も食べずにやせ細っていくかわいそうな姿を記事は伝えていた。

何とか海へ返そうと、あの手この手の追い返し作戦が試みられたが、迷いクジラは反応せず、地元では死んだ後の処理をどうしようかと検討を始めていた。ところが、何がきっかけだったのか、そのクジラが突然、沖へ向かって泳ぎ出し、背びれを高く持ち上げて海中へ潜っていく姿が目撃されたという。一体どこにそれだけの力が残されていたのか。背びれを上げた角度から相当深く潜ったのではと予想され、水深千メートルほどまで潜れば豊富な餌にありつけるという。ぐったりと動かなかったサンマクジラが、深い海の底で、ひさしぶりのごちそうをモリモリ食べて、クジラらしい体格を取り戻す姿を思い浮かべたら、じいんとなった。目の前で見守っておられた方々はなおのこと感慨深いだろう。

命のたくましさを伝える記事に心を揺さぶられ、元気づけられる一方で、普通に生きることを奪われた命の記事には、やり場のない憤りや空しさで心が揺れる。このところ連日取り上げられている足利事件の菅家利和さんの失った17年半。どんな償いがあろうと埋められないその時間を、どのような無念で向き合ってきたのか、インタビューを読みながら想像している。6月8日の読売長間、〈絶望の「自白」〉の大見出し、〈「やってません」13時間〉の横見出し、〈菅家さん「悲しくて泣いた」〉の黒ベタ白抜き見出し。「やったんだな」「やってません」の押し問答の取り調べが13時間続いて、気持ちが折れ、「刑事の両手を力いっぱい握りしめ、泣いてしまった」という。「刑事は私がやったから泣いたと思ったらしいが、本当は、いくらやってないと言っても聞いてもらえなくて、悲しくて泣いた」。なんという絶望。望みが絶たれるのは、こういうことなのだ。あってはならないことが起きてしまった。


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2008年06月17日(火)  マタニティオレンジ301 苦心作のアルバムが届いて、「おひまい」
2005年06月17日(金)  『子ぎつねヘレン』ロケ地網走は歓迎ムード
2000年06月17日(土)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/26)


2009年06月16日(火)  親子で「まわるおすし」デビュー

保育園の迎え時間のギリギリまで締切と闘い、夕食の計画は空白。保育園から娘のたまと手をつないで帰りながら、「まわるおすしにいこっか」と提案すると、「いく! たまちゃん まわる!」と食いついた。あなたは回らなくてよろしい。店の前を通るたびに「ここ、まわるおすしのお店なんだよ」と教えていたのだが、寿司ではなく自分が回ると思っていたらしい。

通されたのは、レーンから垂直に伸びる二人がけのテーブル席。レーン側にたまを座らせる。手当たり次第皿をつかまえるので、危なっかしい。たまは初めてだが、わたしも最後に行ったのがいつだったか思い出せない。タッチパネルで注文できることに驚き、その注文品の到着をパネル画面が知らせてくれることに二度驚き、浦島太郎状態。会社時代に仲良くしていたヤギサキ嬢が人生初の回転寿司体験を前に「お皿をつかまえられるかな」と心配して、「そんなに高速回転しないよ!」と友人たちで大笑いしたが、今夜のわたしは、相当笑える素人だった。お茶の入れ方を忘れてオロオロ、お茶だと思ったらお湯で、今度はお茶の葉を探してオロオロ……。そこに我慢のできない2歳児が加わり、「たまちゃんの おすし こないよ!」「たまちゃんの おすし いっちゃったよ!」の大合唱。

たまは「生しらす」と「ねぎとろ」を気に入り、「大学いも」「プリン」「ジュース」と甘いものもペロリ。たまのために取ったサビぬきのトルティーヤ巻きやいなりは見向きもされず、わたしが面倒見ることに。二人で7、8皿食べれば十分だろうと思っていたら、倍の皿数になった。店と道路を隔てた向かい側にワゴン車のクレープ屋が来ていて、店に入る前は「後で行ってみようか」と話していたのだが、満腹だし、甘いものを食べ過ぎたし、クレープはもう入らないと判断して、家のほうへ歩き出すと、「あとで いいにおいやさん いこうねって いったじゃない!」とたま。魚のDHAで記憶力がさらに良くなったか? なんとかなだめすかして家へ帰ったけれど、においだけはいただいた。そんなわけで、今夜の子守話は「いいにおいやさん」の話。

子守話79「いいにおいやさん」

たまちゃんとママが おさんぽしていると
みちの むこうがわから いいにおいが してきました。
「あまーい におい。これは クレープね」と
ママが いいました。

クレープがやける いいにおいは みちの むこうがわに とめた
オレンジいろの ワゴンしゃから ながれてきます。
「クレープやさんだ」「いってみよう」
ママと たまちゃんは うきうきと あるきだしました。

ところが オレンジいろの ワゴンしゃに ちかづいていくと
やきいもの においが ながれてきました。
「あれれ クレープやさんじゃなくて やきいもやさんかな」
ママと たまちゃんは くびを かしげました。

もっと ちかづいていくと 
こんどは カレーライスの においが してきました。
「あれれ いったい どうなってるの?」
ママと たまちゃんは かおを みあわせました。

「いらっしゃい なんのにおいに しますか」と
くるまの なかから おにいさんが こえを かけました。
オレンジいろの ワゴンしゃは クレープやさんでも 
やきいもやさんでも カレーやさんでも ありませんでした。
いいにおいを うってくれる おみせだったのです。

くいしんぼの ママは さっきの クレープの においを 
「もういちど」と おねがいしました。
おにいさんが 「クレープ」と ラベルに かいた びんから
ひとしずくを おさらに たらして かぜを ふきかけると 
ふわあっと クレープの あまい においが ひろがりました。
ママは うっとりと めを とじて においを すいこみながら
「バナナと チョコレートクリームも いれてくださいな」と いいました。
おにいさんが 「バナナ」と「チョコレート」のびんから 
ひとしずくずつ おさらに たすと 
バナナチョコレートクリームいりクレープの においに なりました。

こんどは たまちゃんの ばんです。
さあ なんの においを おねがいしましょうか。
たまちゃんは うーんと かんがえて
「にじの いいにおいを くださいな」と いいました。
あめあがりの そらに かかる なないろの にじは
どんな においなんだろうと たまちゃんは しりたくなったのでした。

ところが おにいさんも うーんと かんがえました。 
ずらりと ならんだ いいにおいの びんの なかには 
「にじ」のラベルは なかったのです。
「たまちゃん ほかの においに したら?」と 
ママが いいましたが たまちゃんは いいだしたら ききません。

しばらく かんがえていた おにいさんが
「そうだ」と てを たたきました。
いいことを おもいついたようです。
おにいさんは ならんだ びんの なかから 
ななつの びんを とりだしました。
そして 「めを とじて くださいな」と たまちゃんに いいました。

たまちゃんが めを とじると いちごの においが しました。
たまちゃんの あたまの なかに 
いちごみたいな あかい いろが ひろがりました。

いちごの においを おいかけて みかんの においが しました。
たまちゃんの あたまの なかは
あかいろと だいだいいろに なりました。

こんどは レモンの においがして
そのあとに はっぱの においが しました。
たまちゃんの あたまの なかに
あかいろと だいだいいろと きいろと みどりいろが ならびました。

さあ つぎは なんの においでしょう。
うみの しょっぱい においが してきて
たまちゃんの あたまの なかに うみの あおいろが くわわりました。

そして この あまずっぱいのは なすの おつけものの におい。
うみの いろよりも ふかい あいいろを
たまちゃんは おもいうかべました。

それから もういちど あまい くだものの においが しました。
むらさきいろの ぶどうの におい。
あかいろ だいだいいろ きいろ みどりいろ
あおいろ あいいろ むらさきいろ。
たまちゃんの あたまの なかに ななつの いろが そろいました。

「さいごに おかあさんが ぎゅっと だっこしてあげてください」
と おにいさんの こえがしました。
おかあさんが たまちゃんを ぎゅっと だっこすると
おひさまの においを いっぱい すいこんだ 
せんたくものの いいにおいが してきました。
たまちゃんの あたまの なかに
よく はれた あおい そらが ひろがって
きれいな なないろの にじの はしが かかりました。


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2008年06月16日(月)  「SKIPシティ Dシネマ映画祭」で審査員やります
2007年06月16日(土)  お宅の近くまでうかがいますの法則
2005年06月16日(木)  Hidden Detailのチョコ名刺
2002年06月16日(日)  一人暮らしをしていた町・鷺沼
2000年06月16日(金)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/26)


2009年06月15日(月)  「(ホームレス)公田耕一氏と(アメリカ)郷隼人氏」のその後

2009年04月01日(水)の日記に「(ホームレス)公田耕一氏と(アメリカ)郷隼人氏」のことを書いたところ、朝ドラ「つばさ」並みの反響があった。両歌人に興味を持って検索し、今井雅子日記にたどり着かれる方が毎日数十名単位で現れ、「気になっている人がこんなにいるのか」と二人の知り合いでもないのにうれしくなっている。

朝日歌壇目当てで月曜の朝日新聞朝刊が待ち遠しくなり、一週間の始まり(くどいけれど、「月曜日から始まる」派!)の楽しみがふえた。感情移入できる登場人物がいると、ドラマや小説が面白くなるのと同じく、「今週のあの人はどうなっているか」という期待を膨らませて、紙面を開き、名前を探す。(ホームレス)(アメリカ)のカタカナは(東京都)などの漢字の中でひと際目立つのだが、その二つがないからといって気をぬけない。「公田耕一氏、郷隼人氏あて」の歌が潜んでいたりするのだ。4月6日には、こんな歌が掲載された。

獄中から青テントから歌々は生きよと迫る癌持つ我に
(東京都)北條忠政

この歌を見ると、次回からは「(東京都)北條忠政」さんの歌も探すことになる。5月4日には、こんな歌。

郷さんはやはり薩摩の人なりし「きばいやんせ」とエール送らん
(鹿児島市)山本幸子

そうなると、郷氏が薩摩の人だとわかる歌も最近掲載されていたことになる。新聞はまとめ読みだけど、朝日歌壇だけは毎週チェックしていたつもりだが、見落としてしまっていた。ご本人ではなく他の方の歌から郷氏のことを教えてもらった。

もちろん、ご本人の歌を手がかりに人となりを想像していく楽しみは、ジグソーパズルを組み立てているうちに絵が浮かび上がって行くようでもあり、推理小説を読むような知的な興奮も味わえる。最近の(ホームレス)公田耕一さんの作品。

5月4日掲載
リサイクル文庫にひつそり黄ばみたる「清唱千首」戀の部を読む

5月25日掲載
ララ物資ならぬ支援のジー・パンのウエスト58が入りぬ

6月1日掲載
林芙美子を二千回生き華やげど「放浪記」とは淋しき言葉

6月8日掲載
辞書持たぬ歌作りゆえあやふやな語句は有隣堂で調べる

これらの歌から、「リサイクル文庫は図書館にあるものかな。前にもたしか図書館の歌があった」「ウエスト58は厳しい生活で痩せたからなのだろう。そういえば、体調を崩したような歌もあった」「森光子さんの記事は新聞で読んだのかしら。やはり朝日かな」「有隣堂でホームレスが辞書を立ち読みしていたら目立つのでは」などと想像したり思い出したりする。選者の一人、高野公彦氏によると、〈「清唱千首」は塚本邦雄の評釈書」〉とのこと。

塚本邦雄の「日本脱出したし 皇帝ペンギンも皇帝ペンギン飼育係りも」という歌には、短歌に疎いわたしも見覚えがある。この人の歌集も読みたくなる。ララ物資とはララ=LARA;Licensed Agencies for Relief in Asia:アジア救援公認団体が第二次世界大戦後の日本に提供した食料品、医薬品、日用品などの援助物資のことらしい。

掲載賞品である葉書を取りに来てくださいという朝日新聞からの呼びかけに、今は名乗る勇気がないと返事を寄越されたそうだが、公田氏の歌には、彼の行動範囲がうかがえるヒントがちりばめられていることが多い。探さないで欲しいと言いつつも、見つけて欲しいという複雑な気持ちもあるのかもしれない。放浪時代の「つばさ」の玉木加乃子のように。

今週は月曜が新聞休刊日で、昨日6月14日付けの日曜朝刊に朝日歌壇が載った。その中に

有り難し「きばいやんせ」と励ましの言葉届きぬ異国の独房に

と(アメリカ)郷隼人氏から、5月4日付けの「きばいやんせ」の歌に返歌があった。短歌連載の形をした現在進行形小説を読んでいるようで、実に面白い。活字では「独房」に「セル」とルビを振ってあるところが英語圏の刑務所らしいが、cellと聞くと「細胞」を連想してしまうわたしは、狭い窮屈な部屋を思い浮かべた。そんな心の動きもまた短歌になるのだろうが、人の歌を読んだ感想を歌を詠む技術はまだない。けれど、毎週読んでいるうちに自分も参加したくなったので、身近な題材であるわが子を詠んだ吾子短歌を初投稿してみることに。さて、結果はいかに。

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2008年06月15日(日)  マタニティオレンジ300 3か月でこんなに変わる 
2007年06月15日(金)  マタニティオレンジ131 映画『それでも生きる子どもたちへ』を観て
2005年06月15日(水)  『秘すれば花』『ストーリーテラーズ』
2002年06月15日(土)  『アクアリウムの夜』収録
2000年06月15日(木)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/26)


2009年06月14日(日)  朝ドラ「つばさ」第12週は「男と女の歌合戦」

6月17日発売の『「つばさ」サントラ(正式名は「NHK連続テレビ小説「つばさ」オリジナル・サウンドトラック」)』が届き、早速パソコンに向かいながら聴いている。番組では一部しか聴けない曲をたっぷり、じっくり。全28曲収録だけど、全体の3分の1にも満たない数なのだとか。第一週の試写のとき、音楽の住友紀人さんが隣の席に座られてお話する機会があり、「ドラマでこんなに曲作ったことないです」とおっしゃっていたけれど、毎週違う顔を見せるカメレオンドラマなので、何パターンが作って使い回すということが難しいのかもしれない。

全26週の放送は間もなく折り返し。15日からの(「来週から」と書きたいけれど、「日曜日が一週間の始まり」説があるので……)第12週は、「男と女の歌合戦」。第8週「親子の忘れもの」、9週「魔法の木の下で」に続いて、「脚本協力 今井雅子」のクレジットが月曜から土曜まで毎日表示(通常週の6倍!)される今井雅子増量週間。

今回は、タイトルからお察しの通り、のど自慢! ヒロインつばさ(多部未華子)が勤める川越のコミュニティ放送「ラジオぽてと」でのど自慢大会が開かれる。 つばさの同僚、伸子(松本明子)の別れた旦那・良男(太川陽介)がひょっこり現れるけれど、伸子は頑な態度。一方、玉木家では、つばさの父・竹雄(中村梅雀)が母・加乃子(高畑淳子)の愛を信じられなくなり……。果たして、ヒビが入った夫婦の仲は修復できるのか、ヒロインつばさは今週も悩み、「つなげる」行動を起こす。(ところで、太川陽介さん、「心の翼」という歌を出しているのですね。「つばさ」+「歌」つながり!)。

のど自慢大会のテーマは「愛」。そういえば、『天地人』の兜にも「愛」……というわけで、今週の注目アイテムは様々な形の「愛」。毎週あの手この手で「愛の形はひとつじゃない」ことをメッセージしている「つばさ」に、かつてない数の「愛」アイテムが登場。ハート大好きなわたしは、小道具にもドギドキ。歌謡ネタも盛りだくさん、懐メロも続々。 いつもながらドタバタで笑って、ほろりと泣ける、愛にあふれた一週間。いつも観ている方もときどき観ている方も観ていない方も、ぜひ。演出は「つばさ」初登場の大杉太郎さん。

連続テレビ小説「つばさ」(月)〜(土)放送中
【放 送】総合・デジタル総合 8:15〜8:30
     デジタル衛星ハイビジョン 7:30〜7:45
     衛星第2 7:45〜8:00
【再放送】総合・デジタル総合 12:45〜13:00
     衛星第2 19:30〜19:45 /(土)9:30〜11:00(一週間分)

◆NHKオンデマンド配信(>>>こちら)でつかまえる手も。


続く第13週「恋のバリケード」、第14週「女三代娘の初恋」を経て、第15週「素直になれなくて」は、再び「毎日クレジット」週。引き続き「つばさ」をお楽しみください。


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2008年06月14日(土)  高校生だった三人が母になって
2007年06月14日(木)  『坊ちゃん』衝撃の結末
2002年06月14日(金)  タクシー


2009年06月12日(金)  永遠キャベツと永遠パイナップル

キャベツの芯は茎で、そこから葉っぱが出て、うまくいけば、再びキャベツを収穫にできることを先日知った。わが家はキャベツの在宅率(?)高し。いつもは芯のぎりぎりまで食べて、いちばん固いところもスープストック用のくず野菜に使ったりしているが、早速芯を浅い水につけてみた。

毎日水を取り替え(人参のへたもそうだけど、水を替えないと、臭くなる)、待つこと一週間足らずで、かわいい芽のような葉っぱがあちこちから顔を出した。どんどん伸びてまあるいキャベツになあれと思ったが、葉っぱが大きくなる前に枯れ始めてしまった。水栽培から土栽培に替えるべきだったのか。でも、きれいな黄緑がキッチンを明るくしてくれ、「ほうら、キャベツの赤ちゃんだよ」と娘にも見せ、観葉植物として楽しめた。

パイナップルの芯も同じく茎で、芯から収穫を続ければ、ネバーエンディングパイナップルも夢じゃないとか。今度はパイナップルでも試してみよう。

情報源は、朝ドラ「つばさ」の続きに見ている「生活ほっとモーニング」のガーデニング特集。他にも「玉子パックを使って発芽させるワザ」(パックの蓋をかぶせることで乾燥を防ぎ、ミニ温室状態を作れる)が紹介されていて、こちらも早速やってみた。番組で観た通りにパックに穴を開け、水受けように穴の開いていないパックと二重にし、土を敷き、種を蒔き、水をやり、毎日水をあげていたら、芽ではなくもわもわと白いカビが生えてきて、悪臭に加えて虫まで湧いてしまった。何がいけなかったのか、野菜・くだもの用の土を使ったのに……と思ったら、「土」ではなく「肥料」! 100%肥料の上に種をまいて水をやり続け、カビの温床を作ってしまったのだった。

永遠キャベツに挑戦するのは、まだ早い。

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2008年06月12日(木)  中田金太さんの置き土産『玉虫厨子』と対面
2007年06月12日(火)  想像力という酵母が働くとき
2005年06月12日(日)  惜しい映画『フォーガットン』


2009年06月11日(木)  怒り-anger-は危険-danger-の一歩手前

ログ解析の逆引きのことを書いた一昨日の日記でも触れたけれど、訪問者がどうやってこの日記にたどり着いたか足跡をたどっていくと、自分が書いた日記なのに忘れていたことに再会することがよくある。「Friends」の詩もそのひとつ。一時期チェーンメールでどんどん転送されてきた英語の詩を訳して載せていたのだけど、Friendsは2002年05月29日(水)(『SESSION9』というホラー映画の感想を綴っている)から2002年06月06日(水)(「同窓会の縁」について綴った)まで7回に分けて掲載していた。ちょうど今から7年前のこと。詩の最後に「友だち週間です。今すぐ20人に転送を」と締めくくられていて興ざめしたチェーンメールだったのだけど、台詞に使えそうな名文句がちりばめられているので、ここにあらためて全文を紹介。"Yesterday is history.Tomorrow is mystery"の部分が昨年公開された映画『カンフーパンダ』の台詞で使われていたようで(これもまたログ解析で足跡をたどって知った)、公開中はそのフレーズでの検索が多かった。

Friends 友だち



Many people will walk in and out of your life.

But only true friends will leave footprints in your heart.

To handle yourself, use your head;

To handle others, use your heart.

何人もの人が あなたの人生を通り過ぎていく。

けれど あなたの心に足跡を残すのは 本当の友だちだけ。

自分に言うことを聞かせるには 頭を使いなさい。

他人に言うことを聞いてもらうには 心を使いなさい。

Anger is only one letter short of danger.
If someone betrays you once, it is his fault;
If he betrays you twice, it is your fault.
怒り-anger-は危険-danger-の一歩手前。
誰かがあなたを一度裏切ったら、悪いのは彼だけど
彼があなたをもう一度裏切ることになったら、悪いのはあなた。

Great minds discuss ideas;
Average minds discuss events;
Small minds discuss people.
優秀アタマはアイデアについて議論し、
平凡なアタマは出来事について議論し、
退屈なアタマは他人について議論する。

He, who loses money, loses much;
He, who loses a friend, loses much more;
He, who loses faith, loses all.
お金を失うことは痛手だが
友人を失うことはそれ以上に痛く
信頼を失うことは致命傷である。

Beautiful young people are accidents of nature,
Learn from the mistakes of others.
You can't live long enough to make them all yourself.
美しい若者は、自然が生み出した事故に過ぎない。
人は、他人の過ちから学ばなくてはならない。
すべてを自分のものにするには人生は短すぎる。

Friends, you and me ....
You brought another friend ....
And then there were 3 ....
We started our group ....
Our circle of friends ....
There is no beginning or end ....
友だち、あなたとわたし
あなたは別な友だちを出会わせてくれ
三人になった
わたしたちはグループをつくり
友だちの輪ができた
その輪にははじまりも終わりもない。

Yesterday is history.
Tomorrow is mystery.
Today is a gift.
昨日は歴史
明日は神秘
今日は贈りもの

作者不詳/今井雅子訳


他に『BANK(時間銀行)』『Snuggle(ギュッ)』『The Value of a Smile at Christmas(クリスマスの価値ある笑顔)』『HEAVEN'S VERY SPECIAL CHILD(天国の特別な子ども)』『If I had my child to raise over again(もしも、もう一度子育てができるなら)』『If all the raindrops(もしも雨粒が)』といった詩の訳も日記のあちこちに掲載していて、これらのフレーズもちょくちょく尋ね人になっている。

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2008年06月11日(水)  大学ノート80冊分の日記
2007年06月11日(月)  茨木のり子さんの言葉の力
2005年06月11日(土)  東京大学奇術愛好会のマジックショー
2002年06月11日(火)  『風の絨毯』同窓会
2000年06月11日(日)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/26)


2009年06月10日(水)  生クリームよりどら焼き

今日のおやつは、徒歩圏にある「福どら」の栗どら焼き。「栗いっぱい」という名の通り、栗あんの中に栗の塊が見え隠れして、初夏なのに秋の気分を味わった。

学生時代、「ケーキバイキングで10個食べてきた」と喜んでいるわたしに、下宿先の大家のミチコさんが言った。「雅子ちゃん。甘いものは数じゃないのよ。おいしいものをひとつだけ食べたほうが幸せだなあって思うときが来るから」。「10個はちょっときつかったけど、ケーキ1個より2個のほうが幸せに決まっているではないか」と若い胃袋の持ち主は思ったが、どら焼きひとつを手で割って口に運び、しみじみと味わうようになって、あのときのミチコさんが言ってたことは、こういうことなのかと納得した。

生クリームよりも小豆を好んで口にするようになったのは、いつ頃からだろうか。週一回ペースで通っていた近所のケーキ屋にぱったり行かなくなり、デパ地下で素通りしていた和菓子コーナーに足を止めるようになり、気がつけば、何かおやつをというとき、ケーキよりおまんじゅうを買い求めている。2002年09月25日(水)の日記に「バタどらなしでは生きていけない」と大げさなことを書いているが、宮崎映画祭で出会った日高屋のバタどらにはまった頃が「クリームか小豆か」の分岐点だったのだろうか。どら焼きの出番が多いのは、和菓子の中では洋菓子に近い存在のせいかもしれず、そうすると、今後はおはぎや道明寺へと嗜好が移るかもしれない。

どら焼きの中では、皮の焼き色がまだらになっているものが、とくにわたし好み。日本橋にある玉英堂彦九郎(ぎょくえいどうひこくろう)の「とら焼き」(皮が虎のようにしましまなので「とら」焼きらしい)、東十条にある黒松本舗の「黒松」は、いずれも絶品。

最近食べたどら焼きでは、朝ドラ「つばさ」の舞台、川越にある亀屋の「亀どらのつばさ」(「朝どらのつばさ」にかけている?)が、ふわふわの皮と上品な白あんで、とてもおいしかった。娘のたまが食いつき、「ちゅばさのどらっどらー、またばべようね」とせがむので、今度川越に行ったら探そう。亀屋さんはそこかしこにあった覚えがある。「あさどら」と言えば、神楽坂の梅花亭のどら焼き。一度差し入れに持って行こうと思いつつ、なかなかお店に立ち寄れずにいる。

5月23日の日記に書いたサラリーマン転覆隊の村田淳一さんと元同僚の宇野実樹嬢の船上結婚パーティのお土産、オリジナル焼き印入りどら焼きは京都の阿月というお店のもの。持ち込んだデザインの焼き印を作り、どら焼きに押してくれるらしい。おめでたい配りものがあるときに、使ってみたい。

【お知らせ】さだまさしニューアルバムに「ぼくママ」主題歌収録

8/22公開、今井雅子脚本の6本目の長編映画『ぼくとママの黄色い自転車』。さだまさしさんが書き下ろした主題歌『だきしめて』を収録したアルバム『美しい朝』、本日発売。

「抱きしめて」といえば、2002年06月25日(火)の日記のタイトルは「ギュッ(hug)ギュッ(Snuggle)」。「抱きしめて」な写真と英語詩(今井雅子訳つき)を掲載。


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2007年06月10日(日)  マタニティオレンジ130 親が子にできるのはほんの少しばかりのこと
2005年06月10日(金)  『メゾン・ド・ウメモト上海』の蟹味噌チャーハン
2004年06月10日(木)  「きれいなコーヒー」と「クロネコメール便」
2002年06月10日(月)  軌道修正
2000年06月10日(土)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/26)


2009年06月09日(火)  「脚本コンクール 要領よく」を検索できる時代

この日記についているログ解析機能を使って訪問者の足跡をたどるのが、パソコンでの執筆中の気晴らしになっている。「ブックマーク、直接入力」が5割、「検索結果」が3割、あとの2割が「いまいまさこカフェ」からのジャンプというざっくりした内訳になっているが、検索結果の逆引きが面白い。

ひとつは、世間の「今井雅子」への関心度を測れるということ。名前が看板である脚本家は、探されてなんぼというところがある。朝ドラ「つばさ」で「脚本協力 今井雅子」のクレジットが出る毎週月曜は「今井雅子」での検索数がふえる。「今井雅子 脚本家」「今井雅子 つばさ」などにまじって、なぜか「今井雅子 高校生」という検索ワードが目立つ。同姓同名(多数!)の高校生がいるのか、「つばさ」でヒロインを演じる多部未華子さんが主演した『ブレスト〜女子高生、10億円の賭け』を思い出して、「あの高校生のドラマを書いた人では」と気になったのか。「今井雅子 印税」という検索ワードもある。印税を調べて、どうするつもりだったのだろう。

「つばさ」関連では、キャストやスタッフの名前、「宮崎ポロナティーヴォ」(ポロナティーヴォ=地鶏)や「センジュくん」(正式名は「らくらくおそうじ センジュくん」「あまたま君」「ぽてと君」といったドラマに登場するネタで検索して、やって来られる。第8週、第9週を放送中は「まじょのなみだ」「おはなしの木」で検索してやってくる人が急増。これまた世間の関心度がよくわかる。

仕事関連以外では、「トロフィーワイフ」「香盤表」での検索結果が毎日のようにあり、最近は「朝日歌壇 公田耕一 郷隼人」も加わって三つ巴の様相。「読売新聞 池辺晋一郎 耳の渚」「落合恵子 その日ぐらし」、そうそう、わたしも愛読してます。「ぎっくり背中」、あれは痛かった……。底知れないネットの海の中に、自分と同じことに関心を寄せる人がいる、自分と同じ目に遭った人がいる。最果ての地にで日本人を見つけたようで、なんだかうれしくなる。

自分の日記なのに書いた本人を忘れていることに再会させてもらうこともある。「幸せのシッポ」の検索ワードで、『パコダテ人』をやってたときに永六輔さんに遭遇したエピソードを思い出した。

わたしの日記は一か月分を一ページに表示できるので、まったく脈絡なく書かれた別々の単語がひっかかってしまうこともある。「よその子供を𠮟ると親にキレられた」は2008年4月の日記にヒット。

𠮟るときはタイミングが大事。ぶれないことが大事」だそうで、悪いことをしたらその場ですぐにしかり、しかっている途中で ..... 早速、『21世紀を生きるすべての子供/b>たちに贈る佐瀬寿一のチャイルド・オアシス・ソング』の企画書が送られてきた。 ..(中略).. 会社でも脚本の仕事でもこんなに叱られた覚えがない。年は食っても初心者なんだからしょうがないじゃないかと開き直りたく ..(中略).. オンエアまで待ちきれず、早速パソコンで再生して観る。映画もドラマも完成版を観るときは脚本との答え合わせみたいになって ..(後略)..


「堺市立三原台中学校 裏サイト」という検索ワードを見て、わが母校にも裏サイトがあるのかと気をもんだが、これも日記上ではつながりのない「堺市立三原台中学校」と「裏サイト」にヒットした形。ここ数日は「あめふりくまのこ イラスト」を探しに来られる方がふえたのだけど、残念ながら、日記に書いたのは「あめふりくまのこ」の「イラスト」ではない。「小学六年生 おっぱい」を探しに来られた方もいたけれど、これも当日記では取り扱っておりません。

「脚本コンクール 要領よく」は2008年6月の日記にヒット。

映画本編は犯人からの犯行予告を読み解く鍵がチェスになっていて、 よくぞこれだけチェスネタを捻ったものだと感心する。チェスを少しでもかじっ ..(中略).. 賞を授けるだけで終わる脚本コンクールも多い中で、形にして世に送り出すところまでやるのが、このコンクールの魅力。受賞者にとっては、賞金 ..(中略).. それでも何とか要領を覚え、ダンナに書かせた「たまへの手紙」も入れ込み、無事完成。あとは製本されて届くのを待つばかり。 ..(後略)..


検索された方は、無事目当ての情報にたどり着き、応募できただろうか。脚本の世界は要領よくないことの連続なので、「脚本」と「要領よく」の組み合わせは、わたしには新鮮に映った。2時間の映画の脚本を書くのにその何百倍もの時間をかけ、逆に言うと、何百時間かけた脚本は2時間で消費されてしまう。けれど、一見無駄に思われる時間と手間をかけるからこそ生まれるもの、熟成されるものがある。ゴールにすいすいたどり着くことを求めるより、道中でのじたばたを面白がる姿勢が、脚本家には求められる気がする。それにしても、要領のよさを検索できるなんて、便利な時代になったものだ。

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2007年06月09日(土)  マタニティオレンジ129 梅酒を作りながら夫婦とはを考えた
2005年06月09日(木)  ついに『あつた蓬莱軒』のひつまぶし!
2002年06月09日(日)  日本VSロシア戦
2000年06月09日(金)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/26)


2009年06月08日(月)  「投資」と「浪費」の境目

5月に万葉LOVERSの集いに参加するため東京から新幹線で西へ向かっていたときのこと。ひさしぶりに空路ではなく陸路での移動となり、窓の外の景色を楽しみながら、「投資」と「浪費」について考えていた。

新書『断る力』が売れている経済評論家の勝間和代さんが「自分のためになること=投資」と「自分にとって無駄なこと=浪費」を見極め、浪費を断り、投資にいそしみましょうと説かれている。朝日新聞土曜版beのコラムでも繰り返し語られていることなのだが、この「投資と浪費」の区別がわたしにはわかりにくい。「移動は自転車で」が投資になるのはなんとなく理解できるけど、「ジムでバイク漕ぎ」が投資なのは理解しづらい。体力はつくし、頭を空っぽにして整理する効果はあると思うものの、景色は変わらないし、出会いもハプニングも期待できない。新幹線の窓から見える家並みの一軒一軒で営まれる暮らしに思いを馳せるほうが、わたしにとっては実のある時間。座りっぱなしで体力はつかないので、これも浪費なのだろうか。勝間さんにお会いして直接うかがう機会があればと思うけど、お茶もお酒も浪費ですと断られそう。

ぼけっとお茶するのも、とりとめのないおしゃべりをしながらお茶するのも好きだし、寄り道や行きあたりばったりの散歩での出会いに思いがけない拾い物をした気持ちになるし、アイデアは無駄話から生まれると思っている。そもそも脚本を書く上では失敗も後悔もネタになるので、何事も投資だとも言える。投資と浪費の境界線を引くことに意味はないのかもしれない。

とはいうものの、仕事や頼まれ事を引き受けすぎてスケジュールや家族や体調にしわ寄せしてしまうたびに、「わたしに断る力があれば」と恨めしくなる。「成立しない企画10本」に関わる時間を「形になる一本」に絞ったほうが良かったんじゃないか、などと立ち回りの下手さを嘆いたりもする。去年から今年にかけては「つばさ」の脚本協力を引き受けたために他の仕事を断ることになり、形になる一本を優先できたけれど、それは結果論。普段は「先の見えない10本」で身動きがとれなくなって、スケジュールが折り合わずに大きな魚を泣く泣く見逃す羽目になる。

企画に参加することは投資だけど、見通しが甘いギャンブルは浪費になる。それでも頭から「浪費」と見限ることができないのは、無駄かもしれないことの中に何か得るものがある期待を捨てきれないから。時間食っちゃったなあと徒労に終わったことを嘆く企画でも、毎回の打ち合わせは楽しかったし、出会いは残り、それが次の仕事を運んでくれたりもするのでとんとん勝負という気もする。

京都駅でわたしを出迎えて奈良駅までご一緒してくださったさのっちさんに、そんな話をしたら、「わたしの人生なんて、無駄だらけです」と朗らかに笑っていた。別な日に「時間を無駄にせず、無駄なことしよう」という石原良純さんの言葉を新聞で見つけて、こちらはわかるわかる。

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2008年06月08日(日)  マタニティオレンジ298 「m」とフライング父の日
2007年06月08日(金)  マタニティオレンジ128 モラルない親
2005年06月08日(水)  歩いた、遊んだ、愛知万博の12時間
2002年06月08日(土)  P地下
2000年06月08日(木)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/26)


2009年06月07日(日)  朝ドラ「つばさ」第11週は「愛の複雑骨折」

「つばさ」第11週は、「愛の複雑骨折」。宮崎ポロナティーヴォに入ったきり会えなかった翔太(小柳友)が試合で埼玉へ。しかし、スタジアムに駆けつけたつばさ(多部未華子)が見たのは、負傷して救急車に運び込まれる翔太! 「看病は究極の独占」だと母・加乃子(高畑淳子)にそそのかされ、入院した翔太の見舞いに通うつばさ。

その病院には、小料理屋「こえど」の女将・篠田麻子(井上和香)がボランティアで世話を焼く認知症の老人・松沢英次(石橋蓮司)がいるが、麻子と松沢の間には何やらわけがありそう。麻子には昔の恋人も現れ、その悲しい別れの理由が明らかに。玉木家では、加乃子の愛を見失った父・竹雄(中村梅雀)が加乃子の献身を求めて仮病を使うが、失敗に終わり、ますます悶々……とあちこちで心が折れたりホネが折れたりの複雑骨折な一週間。「病院サテライトスタジオ」でのつばさの活躍に乞うご期待。演出は4、5、7週を担当した大橋守さん。

週ごとに登場のし方を変えてくるラジオの男(イッセー尾形)、今週の変装テーマは複雑骨折? 週ごとに、といえば、斎藤興業の斎藤(西城秀樹)の部下二人組、水村(市山貴章)と奥富(阿部亮平)も毎回違った動きを見せていて、そこを楽しみに観ている人も。さあ、今週は? 

連続テレビ小説「つばさ」(月)〜(土)放送中
【放 送】総合・デジタル総合 8:15〜8:30
     デジタル衛星ハイビジョン 7:30〜7:45
     衛星第2 7:45〜8:00
【再放送】総合・デジタル総合 12:45〜13:00
     衛星第2 19:30〜19:45 /(土)9:30〜11:00(一週間分)

◆NHKオンデマンド配信(>>>こちら)でつかまえる手も。


これまた小ネタで、声はすれども姿は見えない「宏夫の妻」は、今週はこえどのシーンで登場。どこから聞こえてくるか、ご注目。恐妻家の鈴本スーパー社長・宏夫をいつもどこかから叱りつけるその声は、「サザエさん」役でおなじみの加藤みどりさん。余談だけど、サザエさんの名字が「フグ田」だとは知らなかった。磯野じゃなかったっけ、と思ったけど、マスオさんと結婚してフグ田になったというわけか。フグタ……すごい名字だ。フクダと似ているのに、濁点の位置が移動しただけで大違い。

ところで先週第10週のタイトル「愛と憎しみの川越」の「川越」は「川を越える」という意味が込められていたようで……。「憎しみの川を越えた彼岸は、愛」というわけ。考えてみると、人生には、乗り越えるべきさまざまな川が横たわっている。「つばさ」はいろんな形で「川を越える」お話ともいえて、その舞台の地名が「川越」というのは興味深い。

「川越に行ってきました」の報告が友人知人たちから続々。あまたま風のお菓子もいろんなお店から出ているのだとか。行って食べ比べてみたい!


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2008年06月07日(土)  高島屋ミヤケマイ個展『ココでないドコか』で乾杯
2007年06月07日(木)  誰かにしゃべりたくなる映画『しゃべれどもしゃべれども』
2005年06月07日(火)  友を訪ねて名古屋へ
2004年06月07日(月)  絨毯ひろげて岐阜県人会
2002年06月07日(金)  ドキドキの顔合わせ


2009年06月04日(木)  『ぼくとママの黄色い自転車』ノベライズ刊行準備中

8月22日公開の映画『ぼくとママの黄色い自転車』のノベライズのゲラが届く。ライターは藤田杏一さん。『マリと子犬の物語』のノベライズも手がけられている。小学館文庫より発売。新堂冬樹さんの原作『僕の行く道』とあわせてどうぞ。

今日の子守話のヒントは、昨日の夕食。娘のたまに「たまちゃん」と呼びかけると、「わたし、たまちゃんじゃないよ。ママよ」という返事が返ってきて面食らった。「ママはわたしよ」と言い返すと、「違うよ。パパだよ」と言われ、「そしたらたまちゃんはどこへ行ったの?」などと話しながら、子どものこの発想はどこから来るんだろう、どこまで本気でどこまで冗談なんだろうと面白くなった。

中学生の頃夢中で読んだ『エイリアン通り(ストリート)』という漫画の中に「本気で冗談やってる」というセリフがあったけど、子どもの会話は、まさにそんな感じ。そういえば、『エイリアン通り』の気に入ったセリフを交換日記に書き写していたのが、今の仕事につながっているのかも、といもづる式に思い出した。きらめくセリフの数々にどれだけ勇気をもらったことか。わが青春のバイブルを描いてくださった作者・成田美名子さんに感謝。

子守話78「わたしはわたし」

わたしは たまちゃん。
じぶんのことを 「たまちゃん」と よびます。
パパも ママも じいじも ばあばも ほいくえんの せんせいも
みんな わたしのことを 「たまちゃん」と よびます。

でも あるひ おもちゃの とりあいをしていて
「これ たまちゃんの!」と わたしが いうと
「たまちゃんは わたしよ」と あいての おんなのこが いいました。
「なに いってるの? あなたは みみちゃんでしょ」と いうと
「ううん。わたしは たまちゃん。あなたが みみちゃんよ」と
ほんとは みみちゃんの おんなのこが いいました。

ところが ほいくえんの おともだちと せんせいまでも
「あなたは みみちゃんで こっちが たまちゃん」と
いいだしたので わたしは とても こまりました。

どうしたら わたしが みみちゃんじゃなくて たまちゃんだって
わかってもらえるのでしょう。

たしかに わたしと みみちゃんは よくにています。
どちらも 8がつ うまれで せたけも おなじくらい。
かみのけの ながさも おなじくらいです。

どこか ちがうところは ないかしら。
わたしは いっしょうけんめい さがしました。

そうだ!わたしは ぎゅうにゅうが すきだけど
みみちゃんは ぎゅうにゅうが きらいです。
わたしは みんなの まえで ごくごくと ぎゅうにゅうを のみました。
ところが みみちゃんも ごくごくと ぎゅうにゅうを のみました。
おあいこです。

こまった こまった どうしよう。わたしは うーんと かんがえました。

そうだ! みみちゃんは てつぼうぶーらんが できるけど
わたしは てつぼうぶーらんが できません。
ところが わたしが てつぼうに ぶらさがると
ぶーらん ぶーらん なんと せいこうして しまいました。

わたしは ますます こまってしまいました。
わたしに ぴったりな ふくは みみちゃんにも ぴったり。
わたしだけが おぼえていると おもっていた うたを
みみちゃんも ぜんぶ うたえます。
なにから なにまで みみちゃんは おなじです。
とうとう わたしは じぶんが たまちゃんなのか
みみちゃんなのか わからなくなってしまいました。
 
みんなが ちがうって いっても わたしには わかる。
わたしは ぜったいに たまちゃんで
みみちゃんでも ほかの だれでも ないんだよ。
だって 「あなたは たまちゃんじゃない」っていわれたら
こんなに かなしくて くやしくて たまらないもの。

「それが わたしが たまちゃんだっていう しょうこ!」
わたしは じぶんでも びっくりするぐらい おおきな こえで いいました。
そのこえに びっくりして めが さめました。
となりで ねむっていた パパと ママも めを さましました。
「たまちゃん どうしたの?」
パパと ママが どうじに いって わたしの かおを のぞきこみました。
「たまちゃん」と よばれて こんなに うれしかったことは ありません。


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2008年06月04日(水)  死ぬということへの悪あがき
2007年06月04日(月)  黒澤明映画『生きる』
2002年06月04日(火)  回文ぐるぐる「サッカー勝つさ」
2000年06月04日(日)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/26)


2009年06月03日(水)  ピンク一色のカフェに全身ピンクで乗り込む

「会いたいね」と言い続けること数か月、友人まいちゃんと渋谷での打ち合わせ前にお昼を食べる。大阪で高校生だった頃、同じ交換留学プログラムで研修を受けて仲良くなったまいちゃん。高校もその後の進路も別々だったけど、縁あってお互い東京にいて、ときどき会っている。

友だちづきあいが長続きするかどうかの大きな分かれ道は、「食べものの趣味が合うかどうか」だとわたしは思う。同じ食べ物を好きということではなく、同じものを食べたときの気分を気持ちよく分かち合えること。「ランチにいくら出すか」だったり、「予算の中でどの店を選ぶか」だったり、そういう経済感覚も含めて、食べものの楽しみ方に価値観があらわれる。

「まいちゃん」「まいまい」と呼び合うまいちゃんとは、あだ名も似ているけど、食べものの好みがとても近い。彼女が選んで持ってきてくれたお菓子(シーキューブのシュークリームとか)は、その後もわたしの好きなものリストに入ったし、一緒に行ったお店を出るときに、いつも二人ともにこにこして、よかったねと言い合っている。

そういう気の置けない友だちは、新規開拓の良きパートナーになる。そういうわけで、「渋谷だったら、行ってみたいお店があるんだけど」と指名したのは、「タロス」という南イタリア・サルデーニャ島家庭料理のお店。大好きだったレストランJ(現在は閉店)の情報を求めて購読しているeatpiaのメルマガで紹介されていた。eatpiaはおいしいお店連合のようなレストランガイドのサイトで、ここに加盟しているお店はわたし好みの確率高し。

渋谷西口から徒歩3分ぐらいの便利なところにあるカジュアルで明るい雰囲気のお店で、まいちゃんと現地集合。1050円のランチは、サラダビュッフェ(温泉卵に感激)とパンとパスタ(ナスと魚介をチョイス。貝たっぷりのボンゴレ風)と食後の飲み物がつく。渋谷のランチとしては大満足なコストパフォーマンス。子育ての大先輩でオーストリアに留学中の高校生の女の子と中学生の男の子がいるまいちゃんから、はるか未来の学校の話をふむふむと聞いたり、「つばさ」の感想を聞いたり。まいちゃんは「いろんなお母さんがおるやん。ああゆうお母さんを朝ドラでやるって、おもろいと思うわ」と面白がってくれる。会話は二人とも思いっきり大阪弁。

とそこに、プロデューサーから「打ち合わせ開始を遅らせたい」と電話。じゃあ、デザートにいこっか、となる。居心地のいい店内にこのまま居座ってショーケースから選んでもいいし……となったところで、思い出した。「そうや。たばこと塩の博物館にオープンテラスのカフェができたらしいんやけど、そこ行けへん?」「行く行く」とノリ良く立ち上がるまいちゃん。

少し前、新聞で紹介されているのを見て、ネットでも下調べしたそのカフェのメニューがクレープとガレット中心で店名が「セ・ボン・プラージュ」ということからパリっぽいお店を想像していた。坂を上って、たばこと塩の博物館が近づいてくると、目がちかちかするようなピンクが飛び込む。おお、あれは! 浮き上がるような派手派手ピンク! 後で調べると、JT=日本煙草産業のコーポレートカラーである「緑」の補色「フランベリーピンク」をアクセントカラーに採用したとのことだが、アクセントではなく全体がピンク! シャンゼリセ通りはもちろん、インドにあるピンクシティのジャイプールにあっても、このまばゆさは度肝を抜きそう……とうれしさもまじって興奮していると、「まいまい、同じ色やん」と隣からまいちゃんの突っ込み。言われて、わが身を見れば、よりによって今日は全身ピンクで、店にすっかり溶け込んでしまっている。


ランチを食べたばかりにもかかわらず、「二人で一枚」という発想はなく、「二人で二種類分け合おか」となるところも、あうんの呼吸。

「塩キャラメル」と「バナナチョコレート」を注文したら、運ばれてきたのはプレーン。「え?」となったわたしたちの反応を見て、「間違えました? でも、よかったら食べてください」「いいんですか!」。そのプレーンがまた絶品! あっという間に平らげると、塩キャラメルとバナナチョコも登場(写真がピンクフィルターかかったようになっているのは、テラスの屋根もピンクだから!)。3枚を次々とやっつけて、「うちらの胃袋どないなってるねん!」。

話題はもっぱら食べもののこと。保護者会で予算一人あたり200円までのお菓子を買ってくる係になったときのまいちゃんの体験談が興味深かった。こういうとき、どこにポイントを置くかにもその人の食べもの観はよく現れる。早起きして遠出して自分が大好きなうさぎ屋のどら焼きを買っていったら大評判だったけれど、合理的に考える人は「わざわざそこまでしなくても」と思うのよ、という話。200円のお菓子、何買おうってわくわくできたほうが楽しいやんなあ、と話す。まいちゃんには「大麦工房の大麦ダクワースは157円でむっちゃ幸せになれるで」と紹介した。

ドリンクを200円でつけて、一人800円。「満足しましたー」とレジの女の子と話していると、「そのカッコ、うちの店来るために着てきはったんですか?」と言葉も発想も思いっきり関西。「うわ、この指輪、むっちゃかわいい」とこれまたピンクなQ-potのいちごホイップ指輪を褒めてくれるのも、いかにも関西人。「もしかして、関西人?」と聞くと、「みんなそうです」。元気と愛想がよくてかわいい店員さんたち、なぜかそろいもそろって関西人らしい。ノリついでに、まいちゃんとの写真も撮ってくれた。

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2008年06月03日(火)  「夜は街より家にいたい」「予定はなるべく入れないで」という感覚
2007年06月03日(日)  マタニティオレンジ127 0歳児時代は子どもより自分優先!?
2005年06月03日(金)  劇団浪漫狂『ピカレスクpp行進曲』
2003年06月03日(火)  海南鶏飯食堂(はいなんじーふぁんしょくどう)
2002年06月03日(月)  きる ふぇ ぼん
2000年06月03日(土)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/26)
1979年06月03日(日)  4年2組日記 先生の家


2009年06月02日(火)  『友子とモコ』第46回ギャラクシー賞奨励賞受賞

今年1月31日にNHK-FMのFMシアターで放送されたオーディオドラマ『友子とモコ』が第46回ギャラクシー賞(放送批評懇談会が1963年に創設した、日本の放送文化に貢献した優秀な番組・個人・団体に贈られる賞とのこと)の奨励賞を受賞。推してくださった方、ありがとうございます。

『友子とモコ』についての過去の日記はこちら。
2009年01月31日(土) 1月31日に『友子とモコ』を放送する意味
2008年12月26日(金) ラジオドラマ収録→東京帰還
2008年12月25日(木) ラジオドラマを録りに札幌へ

今日の子守話は、保育園へ娘のたまを送る途中の出来事がヒント。空気をつかんで口に放り込み、もぐもぐしているのを見て「何しているの?」と聞いたら、「くうき ばべてるの」(いまだに「たべてる」と言えない)という答えが返ってきた。「おいしい?」と聞くと、「おいしいよ」と実においしそうに食べる。その心の中には、どんな色や味を思い浮かべているんだろうなと想像した。

77「くうきチョコレート」

おなかが すいたら おやつは くうきを たべましょう。
おててを のばして つかんで おくちに ぽいっ。
きょうの おやつは くうきチョコレート。

くうきチョコレートは くうきだから だれにも みえません。
いろも かたちも ありません。においも あじも しません。
だけど たまちゃんには
チョコレートのいろ チョコレートのかたち
チョコレートのにおい チョコレートのあじ。

くうきだから たまちゃんが おもいうかべた 
いろや かたちや においや あじに へんしんできるのです。

おいしくなあれと たまちゃんが おまじないをかけると
チョコレートは とっても おいしくなりました。

たまちゃんは くうきりんごと くうきバナナも たべました。
おなかのなかで くうきりんごチョコレートと
くうきバナナチョコレートが できあがりました。

「たまちゃん ばんごはんよ」と ママが よびにきましたが
「おなか すいてないよ。くうきチョコレートと 
 くうきバナナと くうきりんごを たべたから」と
たまちゃんは いいました。

「だったら たまちゃんの おなかに はいった
 くうきのチョコレートと バナナと りんご
 ママが たべちゃおう」
ママは そういうと たまちゃんの おなかに 
おててを のばして つかんで おくちに ぽいっ。
「おいしいわねえ」と ママが うっとりと たべると
たまちゃんは また おなかが からっぽに なりました。

「くうきの おやつも おいしいけど ほんものの おしょくじは
 はごたえも たべごたえも あるわね」と 
ばんごはんを もりもり たべながら ママが いいました。
「たべすぎて ふとりぎみの ママは
 くうきで おなかいっぱいに したほうが いいんじゃない?」
たまちゃんは そういいたかったけれど
くちごたえは やめておきました。


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2008年06月02日(月)  マタニティオレンジ296  「ママ いっぽん!」「もっかい もーむー」 
2007年06月02日(土)  『ベンディングマシンレッド』発進
2002年06月02日(日)  お宅訪問
2000年06月02日(金)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/26)
1979年06月02日(土)  4年2組日記 バレーボール


2009年06月01日(月)  子どもが消えた!パニック

今朝、保育園の連絡ノートを書いていたら、「たまがいないぞ!」とダンナが叫んだ。「そんなはずないよ」と言って見回したが、姿が見えない。「え! ほんとにいない!」「何やってんだよ!」「知らないよ、わたしはノート書いてたんだから!」と言い合いながら、決して広くない家の中を右往左往。「ベランダか!」と出てみた。最近たまはベランダに出るのが好きで、一人で出入りしている。しかし、ベランダにもいない。「まさか、落ちたか!」と悪い予感に青ざめる。室外機に乗って落ちたら危ないなと思っていたが、ほんとにそれが起きてしまったのか! 。ありえないとは思うけれど、本当にどこにもいないので、消去法で考えると、落ちたとしか考えられなくなってくる。

たくましい想像力が現実を先回りして最悪の事態を思い描き、息苦しくなってきたそのとき、「なんだ、ここかよ」と素っ頓狂なダンナの声がして、敷きっぱなしの布団から顔を出したたまをダンナがもみくちゃにしていた。くしゃっとしわの寄ったかけ布団の下に隠れていたのを見落として、そこを飛び越えて、あわて者のわたしとダンナはあたふたしていたのだった。

たまは二度寝のつもりだったか、かくれんぼのつもりだったか。ばあ、と顔を出したら両親がすごい形相で駆け寄ってきて、泣き笑いしながら痛いほど強く抱きしめるので、怖がって泣き出してしまった。しかし、親の涙も負けてない。我ながら驚き、恥ずかしくなるほどのあわてふためきようを振り返り、これほど何かに必死になったのは、いつぶりだろうと思った。生まれて間もない頃、布団の上に寝かしていたはずなのにいなくなったときも焦ったが、そのときは、キックで体が移動し、予想以上の距離を進んで家具の下に潜り込んでいた。

家の中でほんの数分迷子になっただけで、この騒ぎ。外で迷子になったりしたら、生きた心地がしないだろう。自分にとって、わが子がかけがえのない存在であることをあらためて思い知った出来事だった。

というわけで、今日の子守話は迷子の話。

76「まいごのママとたまちゃん」

ママと たまちゃんは いつも いっしょ。
ママと たま なまえも よくにて なかよしこよし。

ところが デパートにでかけた あるひのこと。
つないだ てと てが はなれて
たまちゃんと ママは はなればなれに なった。

「ママー」と たまちゃんが よぶと
たくさんの おんなのひとが いっせに ふりむいた。
そして たまちゃんを みて
「うちのこじゃないわ」と いった。たまちゃんは
「みんな わたしの ママじゃないわ」と なきべそをかいた。

とそのとき「たまちゃーん」とこえがした。
ふりかえったのは たまちゃん ひとり。
ママが なきべそかいて はしってきた。
「ママー」「たまー」「ママー」「たまー」
なんども なまえを よびあっていたら 
なみだが ぽろぽろ こぼれてきた。 

「もう はなれないでね」と 
ママが たまちゃんの てを ぎゅっと にぎった。
たまちゃんも ぎゅっと にぎりかえした。


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2008年06月01日(日)  出張いまいまさこカフェ8杯目『企画という恋が終わるとき』
2007年06月01日(金)  「いしぶみ」という恋文
2005年06月01日(水)  映画『子ぎつねヘレン』撮影中
2004年06月01日(火)  歌人デビュー本『短歌があるじゃないか。』
2002年06月01日(土)  フリマ
2000年06月01日(木)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/26)
1979年06月01日(金)  4年2組日記 日記のざいりょう



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