1998年06月22日(月)  カンヌ98 3日目 いざCMの嵐!

(勤務していた広告会社マッキャンエリクソンに提出したカンヌレポートより)

7時前に起きて8時過ぎにpetit dejuner。cafe au laitがおいしい。croissontもふかふか。2つも食べる。1泊160フランでこれだけの朝食(おかわり自由、バイキング方式)がついてくるのは良心的。しかもchambreも毎日掃除してくれる。C'est bien.

陽射しがきついのでサンガードを入念に。会場(Palais de France)までは5分ほどだけど、その間にやけてしまいそう。

9:00〜 Category1 Alcoholic Drinks
少し遅れて266作品中253作品を見る。そのうち覚えているのは1割もないかも。かなり疲れた。印象は「Miller(ミラービール)のひとり勝ち」。とにかく面白いのは、ことごとくMiller。とくに大受けは1/112"LUCKY CAPS"。"If you get 3 Miller caps,it may be your lucky day tomorrow(ミラーのキャップを3つ集めたら明日はいい日かも)"のナレーションが入り、画面に順に出てくるミラーのキャップをじーっと待つ。その間の取り方が絶妙で、1つ出るごとに笑いが大きくなり、3つめの「ハズレ」にみんな大喜び。インタラクティブのいい例。

個人的に受けた1/144"Cooler/Generic"。イスやソファでくつろいでいるMillerビールたち。人間はどこかなと思ったらクーラーボックスの中でぶるぶる震えていた。パラドックスな世界。

1/159"Weird Guy"は爆笑。部屋の中でくねくね踊っているデブ男が、ボトルの "Twist to open(ひねって開ける)"を見ては踊る。どんなにひねっても開かねーなーと汗だくになり、ますますビールが飲みたそう。栓抜きのいらないフタのニュースを見事に伝えていた。

実験的なものとして1/108"Sideways"にも拍手。テレビを見てお疲れの皆様に横になって見られるCMというわけで、ボトルが横になって登場。おちゃめ。

1/109"Robot Love"は会場も拍手でわたしも好きな作品。"Not everyone watching this commercial may not have a Miller Time, but you might(このCMをご覧のすべての方がミラータイムを楽しんでいるわけではないかもしれませんが、あなたはそうかも)"のナレーションではじまり、ロボットとピクニックしている若い女が映る。ロボットがミラーを飲んで(浴びて)錆びて壊れてしまい、修理に出すとスクラップに。later that year(その年の後になって)彼女の新しい恋人が買ってくれたMillerは昔の彼氏(ロボット)をリサイクルしたもの。再会を喜び合う二人……という輪廻チックなストーリー(紹介文は"A classic love story with a buddhistic ending")。

満場一致の喝采で受けたのは1/116"FLY"。屋外パーティでMillerのグラスに落っこちたハエが出てきて飛び続けていると、自らたbug zapper(虫除け灯?)に飛び込んでしまう。そこに入るコピー、"Don't drive drunk(酔っ払い運転禁止)"に会場は笑いと拍手の渦。

元気さに圧倒というかド肝を抜かれたのが、1/117"Evil Beaver"。ログハウスを作った人間に怒ったビーバー(着ぐるみを着た人間が演じている)が「俺の木を返せ〜!」とログハウスにかじりつく。そのすさまじさとラストのビーバーのニヤリという何とも言えない表情に拍手。ツイストダンスのデブ男もビーバーも適役をうまく配している。コンテのアイデアを最高に形にできるヤツを選ぶというキャスティングの妙に感心。若いカップルの彼氏を弓で殺して自分が彼女の隣におさまる小太りキューピットの話1/118"Cupid"もありがちなのに笑えた。

"This commercial was specially made for Texas. Thank you for your time(このCMはテキサスのために作られました。おつきあいありがとうございました")ではじまる1/113"JIMMY IN TEXAS-COW"も受けてた。ミラーライト好きのジミーがテキサスがいいとこだと聞いて乗り込んでいく話。

1/110"PRO-WRESTLERS"は「指一本触れてはいけない」というプロレス対戦を終えたレスラー二人が試合の続きでビールを注ぎ損じるというもの。バーで二人並んで外すのがおかしい。

以上すべてUSAの作品。日本で作った1/112"MIRACLE JUMP"はUSA Miller15連発の後に出てついでに笑いを誘っていたけど、ノリ的にはかなり違った。"OK"ぐらいの受け取られ方。

その直前が1/121"ANGEL"。天上人たちがミラーが切れたので地上にいたずらして輸送トラックを事故らせ、ミラーを「昇天」させて手に入れる話。大爆笑。さらにその前が1/120"ARM COMTROL"。「好きなものを見ると犬はしっぽを振りますが、この若い男性にも同じことが発見されました」というナレーションではじまり、ミラーの瓶を持つと腕をぶんぶん振る男が登場。瓶にドラムスティックを差すと、すごい勢いでドラムを叩く。大受け。

USAが元気といえばBudweiserのカエルのシリーズもそう。「バド」「ワイ」「ザー」と言うカエルの座を狙うトカゲとイグアナの会話がおかしい。商品カットなしで十分コミュニケーションできるいい例。

Budweiserの他のものでは"Bud for you"のキャンペーンが面白かった。"Bad for you(お気の毒に)"とかけて、「まあ、バドでも」て感じ。超能力者がテレビの公開番組で腕を競う1/164"MIND CONTROL"では念力でバドをグラスに注いで喝采を浴びた直後、観客の一人が念力でそれを飲んでしまう。アメフトの試合後、勝った喜びでビールのかけあいをやっていると、「何やってんだ?せっかくのバドを」とチームメイトにボコボコにされる1/175"VICTORY"
。若い女が恋人を家に招きいれ、父親を起こさないよう部屋まで導くが、足音にはびくともしなかった父親がバドの開く音で目を覚まして銃を手に駆けつけてしまう1/176"FARMER'S DAUGHTER"。犬を骨で釣ってイスから下ろした飼い主が、同じ手でバドに釣られてイスを横取りされる1/178"MY CHAIR"。それぞれ受けてた。

バドではもうひとつ、ズルをしてでもバドを飲みたいぐーたら亭主どもを面白く描いた"Make it a Bud Light"のシリーズが笑いと共感を集めていた。力仕事しているフリをするためにニセモノの下半身を車や台所の下にもぐりこませる男たちだが、草刈り機の下から出ている下半身が見つかり、嘘がばれる1/180"HANDY MAN"。窓にホースを取り付けて偽の雨を降らせ、庭仕事から逃れる1/181"RAIN"。女どもの買い物につき合わされるのに疲れた男どもがディスプレイの洋服の影に隠れて飲む1/182"SHOPPING"。いずれも日本でもそのまま流せそう。

アルコールカテゴリーで驚いたのは、下ネタの競演。日本だと視聴者からクレームが入りそうな表現がゾロゾロ。とくに「ビールのおしっこネタ」はタブーでは(日本ではそれを連想させないように気を遣っている)と思うのだが、堂々とやってのけている。1/63"IT'S EASIER WITH BEER"では、バーのトイレで男二人が「出なくてもじもじ」してるところに三人目の男が入ってきて気持ちよく放尿。"Just Bjer self"(be yourselfとbeerをかけている)というオーストリアのビールのCM。スウェーデンの1/202"THE BALOON"も「Kopparberg lagerを飲むと膀胱に何が起きるか。おしっこの勢いが違う」と実証。ポーランドの1/78"WINTER TIME"は男二人が並んで美しい雪山を鑑賞……と思いきや、雪におしっこで"Elbrewery"とロゴ作成中。

男と女のHネタもあっけらかんとやっている。1/59"THE WILD LOFE OF THE VIKING"はドイツのAsgaard beerの作品。中年夫婦をベッドの足側からとらえた映像。バイキングの本を読んでいる夫のシーツの下半身辺りが盛り上がり、"good for your horns(ツノに効くビール)"と意味深なコピー。バイキングのビール? カナダ発1/105"FASTER"は「もっと早くぅ」「これ以上は無理だよ」と思わせぶりな女と男の激しいやりとり。姿を現した男は女を扇いで風を送っていて、「そんなことよりLabaat Liteを飲むほうがリフレッシュする」というオチ。イギリス発1/247"CONFESSION"は自分の激しいセックスを神父に打ち明けるメキシコ人男が登場。それを懺悔と受け止めた神父が「よくぞ打ち明けてくれました」と言うと「みんなに話しているんだ」。要は、のろけてるだけ。Hな上に神父までコケにして……商品名のScottish Courageの勇気とかけているのか?

「記号」として目だったのは冷たさの表現。究極の表現として、まわりにあるものが全部凍ってしまう。そんな大げさな、と思ってしまうほど。スペイン発1/76"MAHOU ICE"は、炎をも氷に変える"Mahou ice"のグラスを持って、悪魔につかまった娘を助ける話。1/229"MAD DOG"はバーでZimaを飲んでいる男の尻に噛み付いた犬が瞬間に凍り付いて床にコロンと落っこちる。"A few derees cooler(ちょっぴりクール)"とコピー。

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