2007年06月26日(火)  マタニティオレンジ136 サロン井戸端

保育園の園長先生の提案で、意見交換会なるものが開かれた。クラスごとの保護者会を園全体規模にしたようなもので、参加は自由。第一回目の今回はテーマをとくに設けず、一時間の中で参加者が一人一言発言すること、会に名前をつけることが目標となった。わたしが10分ほど遅れて席(子ども用の小さな椅子)に着いたときには、3歳児クラスのお母さんがトイレトレーニングについての武勇伝で和やかな笑いを誘っていた。「保育園を良くしていくために何が必要か、考えて行き着いたのは、コミュニケーションだったんです」と保育士さん。日頃から保護者と園が話せる関係を作っておけば、問題が起こったときに知恵を出しやすいし、つまらないことで衝突することも少なくなる。

コミュニケーションにちなんで、わたしは「挨拶」と「連絡帳」について話した。子どもを産むといろんなものをあきらめなくちゃならないと思い込んで「産まず嫌い」だったけれど、産んでみたら世界が広がった。とくに保育園に預けるようになってからは、みんなの中で自分も子どもも成長させてもらっている。朝いろんな人に「おはよう」と声をかけることもこれまではなかったし、連絡帳でのやりとりは交換日記のようで楽しい。そんなことを話した。子どもとコミュニケーションを取る大切さは口すっぱく言われるけれど、子どもを抱えた親こそコミュニケーションに飢えている気がする。少なくともわたしは、「今日のたまちゃん、ごきげんでしたよ」「うちの子と遊んでましたよ」と教えてくれる人がいることに、居場所を用意されたような心地よさと心強さを感じる。

きょうだいが他の園に通っているお母さんによると、「こんなに先生たちが笑っている園は珍しい」のだそう。3才児まで50人ちょっとの小さな園だからこそ先生方にも余裕があり、行き届いた保育ができる。「保育はサービスではなく善意。してあげるのではなく、こうなるといいなという気持ちで動くことが大事」と保育士さん。育児はあくまで親がするものであり、手助けが必要なところに手を差し伸べるだけ。けれど、その手がいつでも出せるように、見守る目は休んでいない。とてもあたたかい雰囲気の園なので、転園すると、子どもよりも親が「帰りたい」となってしまうのだとか。4、5才児クラスがない園なので、3才児クラスを終えると、他の園に移ることになる。「転園すると、すでにいる人たちの関係が出来上がっていて、後から入り辛いという話をよく聞くけど」「シャッター閉めているのは本人のほうかも。声をかけられるのを待つのではなく、自分から声をかけたら、それでも無視されることはないはず」「声をかけあうこの園の良さを、みんなが転園先に持っていけばいいんじゃない?」「やっぱり行き着くところはコミュニケーション」などとサロン感覚でくつろぎながら井戸端会議のにぎやかさ。会の名前は「サロン井戸端」となった。

2004年06月26日(土)  映画『マチコのかたち』

<<<前の日記  次の日記>>>