2004年06月01日(火)  歌人デビュー本『短歌があるじゃないか。』

職場の隣の席で誕生日もお隣(2/10生まれ)の名久井直子嬢は、アートディレクターでありながら読書家で、本の装丁も次々と手がけていて、朗読会をやったりもしていて、歌人のお友だちも多い。

文学少女がそのまま大人になったような彼女が、本のページからふと顔を上げ、「今井さん、『猫又』って知ってる?」と聞く。知らない、と答えると、「そっか。じゃあこれは今井さんじゃないんだ」とページに目をもどす。気になってのぞきこむと、「ここにね、今井雅子さんって人の書いた短歌が出ているの。今井さんかなあと思ったんだけど」と見せてくれた。

クリスマス流星たちが引き寄せるロマンティックな祈りの時間

なんか、わたしが書きそうな歌だなあ。というより、こんな歌を作った気がする。でもなぜそれが活字になっているんだろう……と考えていると、同じページの端のほうにある『くりひろい』の五文字が飛び込んできて、「あ、わかった!」。あれはもう3年前のこと、『パコダテ人』の撮影で仲良くなった小山理子さん(宮崎あおいちゃんのマネージャー)に「知り合いの人がやっている言葉遊びの同人誌があるんですけど、今井さんも出してみません?」と誘われ、メールで送ったうちの一首(俳句は一句、和歌は一首と数えるそう)だ。

そのときのお題が「折句(おりく)」で、「くりひろいの五文字を各句の頭に折り込んだ和歌を作る」というものだった。忘れた頃に本に登場するとは、びっくり拾い。それをたまたま会社の隣の席の人が発見したというのも面白い。聞けば、著者の一人が友人とのこと。小山さんに電話したら、「ええーっ、知りませんでした。でも、すごいですね、面白いですね」と喜んでくれた。本の名前は、『短歌があるじゃないか。一億人の短歌入門』(穂村弘・東直子・沢田康彦 角川書店)。もちろん早速購入。なんたって記念すべき「歌人デビュー」本なので。

古い郵便物の山から小山さんに送ってもらった同人誌を発掘すると、ちゃんと『猫又』と書いてあった。ちなみにそのとき出した今井雅子の全7首はこちら。

クリスマス
流星たちが
引き寄せる
ロマンティックな
祈りの時間

くるくると
りんごの皮むき
ひとつなぎ
ろくろのリズムで
いい感じ

くじびきは
理不尽だよと
ひとりごつ
廊下掃除は
いつだって俺

空想と
理想の間の
非現実
ロマンティストは
いつも孤独

薬指
リング待ってる
人はみな
ろくでなしだと
言う彼からの

暗がりの
理科実験室が
秘密基地
ろ過機かこんで
息のむ僕ら

空爆の
理由も知らぬ
ひとびとが
路肩に散らす
いのち悲しき


最後の歌を見て思い出した。2001年秋、アフガニスタンの空爆のニュースが毎日流れていた頃だった。

2002年06月01日(土)  フリマ
2000年06月01日(木)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/26)
1979年06月01日(金)  4年2組日記 日記のざいりょう

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