2012年02月01日(水)  パン屋少女と画家の恋(中学生のドラマ脚本会議その3)

母校の堺市立三原台中学校での「中学生のドラマ脚本会議」。1/30の先生方中心の大人組(>>>1/30の日記)に続いて、1/31の2限目に一年五組の授業で第二弾をやった(>>>1/31の日記)。

同じ日の5限目に国語科の加藤先生が一年三組の授業で第三弾。わたしは教室の後ろで見学させてもらった。

Oヘンリーの原作「Witches' Loaves(魔女のパン)」のあらすじをおさらいすると。
パン屋のマーサは独身の四十女。2千ドルの預金と自分の店を持っている。
恋人はいないが、気になる客がいる。同い年ぐらいの紳士だ。
しかし、彼が決まって買っていくのは、マーサの自慢の焼きたてパンではなく、古くなって半額になったパンである。
彼の指先に絵の具がついているのに気づいたマーサは、彼が売れない絵描きで、貧乏だから、古いパンしか買えないのだと思う。
そのことを確かめるために、マーサが店に絵を飾ってみると、彼は絵をほめた上で「遠近法がなっていない」と指摘した。
彼は才能があるが芽が出ていないのだとマーサは思い、そんな彼を支えたい気持ちを募らせ、胸をときめかせる。
ある日、彼が店に来たとき、外で消防車のサイレンが鳴った。彼が外へ様子を見に行ったすきに、マーサは彼が買い求める古パンの間にバターを塗る。
絵描きのプライドを傷つけずに栄養のついたものを食べさせたいという想いからだった。
マーサの小さな親切に気づいた彼の反応が楽しみだった。
だが、マーサの夢想は、店に怒鳴り込んで来た彼の声で破られる。
一緒に来た彼の友人によると、彼は絵描きではなく、建築家の卵だった。
コンペに提出する設計図の下絵を消すために古パンを使っていたのだが、いよいよ完成というときに、バターのせいで台無しになってしまった。
マーサの短い恋は、終わった。

まずは、キャラクター決め。候補がいくつも出て、拍手採決をしても、なかなか決まらない。10分ほどかけて「赤川ヨシコ」というヒロインの名前が決まり、相手役の男は「青山ヨシカズ」となった。赤川と青山というベタな対比、ヨシコとヨシカズという昭和なネーミング、今どきの中学生は意外と古風なのか?

さて、年齢は?

「10代がいい!」という声が圧倒的。ヒロインは「17歳」に。10代で自分のパン屋を持つのは無理があるので、親の店を手伝っていることに。相手役は少し年上の「19歳」となった。

大人組は20代男女、一年五組は30代男女、一年三組は10代男女。会議の出席者が変わると、キャラクターも変わる。それにしても、同じ中学一年生で、かたや30代、かたや10代。ここまで違いが出るとは、面白い。

続いて、

恋をする

の出会いの場面を作ることに。

このクラスは恋バナが好きなようで、
「店の看板をつけようとしたら、ぐらっとなって助ける」
「ヤンキーにからまれたところを助ける」
といった少女漫画ヒーロー的出会い案が続けて出た。

「看板つけるのは工事の人がやるんとちゃう?」という意見が出たので、後ろから「看板だと大き過ぎるなら、電球替えるとか、時計の針合わせるというのもあるよ」と助け舟。

「小麦粉を買いに行ったときに、運ぶのを手伝ってくれる」というアイデアも出て、いちゃもんつける客が来たときに、ヨシカズが店に居合わせて、小麦粉をぶちまけていちゃもん客の目をそらし、ヨシコを自転車に乗せて逃げる、というロマンティックな出会いの場面が生まれたが、

「自転車あったら貧乏に見えへん」というツッコミが入り、手を引いて走って逃げることになった。

教室の窓際の席で、前後で相談している女の子に「出会いの場面考えてる?」とわたしが声をかけると、「こういうベタなんしか思いつかへん」という返事。「ベタすぎるときは、ちょっとずらしたらええねん。手広げた瞬間に服がビリッと破けるとか。そしたらビンボー感も出るし」とアドバイスすると「うわー、すごい」と感心されたので「まあ、プロやから」。

「その服をヨシコが持って帰って繕ったら、次に会う口実もできるで」と話していたのを、「加藤先生すみません」と割って入って提案。「手を引いて逃げたときにヨシカズが転んでケガをする」という他の生徒のアイデアとの合わせワザで、そのときに服が破れて繕うことにしてもええねと話す。

原作で重要な働きをする古パンはなかなか出て来ない。それどころか、原作ではマーサが一方的な片想いを募らせるのに、一年三組版では早々といい感じになってしまっている。

なんて自由なんだ〜!

さらに恋バナは続く。ヨシコが服を繕ったら、ヨシカズはどう出るか?「お礼をする」という意見が出て「何を贈る?」と加藤先生。「絵」という答え。「いつも絵を持ち歩いていて、それをあげる」「誰が描いた絵?」と先生。原作では男は絵描きではなく建築家となっているので、「ヨシカズじゃない人の絵」という答えに落ち着きかけるが、「別にヨシカズが描いてもええんちゃうん?」という意見が出た。

おお、出ました!

思わず、わたし、興奮。実は前日(1月30日)の夜に大人組の描く本会議に参加された何人かの先生方と教育委員会の方と会食した際に「考えてみたら、絵描きの設定でも行けますよね」という話になったのだった。設計図ではなく油絵の下絵を消すのに古パンを使っていてもいいのでは、と。ただ、その場合は絵の具を塗る前に下絵を消すので、台無し感は設計図よりは薄れるけれど。

でも、大人たちがそのことに気づいたのは、脚本会議が終わって何時間もしてから。会議中に「建築家ありき」の縛りを取っ払った中学生のほうが、頭が柔らかい。

でも、大人にも柔軟な発想をする人はいて、大人組脚本会議で「古パンにハムとチーズをはさんでは?」と絶妙な変化球を投げ込んだ教育委員会のS氏が、わたしの隣で授業を参観しながら「なるほど、油絵だったらバターと相性がいいですねえ」と唸った。「バターを塗ることで、絵に味が出て、かえっていい絵になって、入賞したりしたら、災い転じて、ですよねえ」

最後まで通すことよりも議論が盛り上がったところにじっくり時間をかけたいという加藤先生の方針で、一年三組の脚本会議は、二人の恋が盛り上がったところでチャイムが鳴った。



「片想いありき」の縛りも軽々と取っ払ってしまった一年三組。「両想いになってから、画家の卵の彼が買っていく古パンにバターを塗る」展開をわたしは思いつかなかった。序盤からいきなり恋を盛り上げてしまうところに10代の若さを感じた。

授業が終わると、生徒たちが口々に「続きどうなるんやろ?」「もっとやりたかった」などと話す光景が見られた。「普通はさっと切り替えるんですよ。こんな風に授業の余韻が残るってことは、それだけ面白かったってことです」と教育委員会のS氏。

廊下に出ると「せんせ、せんせ」と女の子たちが集まってきて「サインください」と紙とペンを差し出してきた(ちなみに一年五組の子たちは「アドレス教えて」だった)。授業中熱心に原作のプリントの隅に漫画を描いていた子がいたのだけど、その子が「これあげる」と持って来た。よく見ると、「ミス・マーサ 40歳」のキャラクター像。


うわー、中学生から見た40女って、こんなオバサンなのか!
これもひとつの原作の解釈。

そして、もうひとつの絵は、


女の子によると「赤川ヨシコが車にひかれそうになったのを青山ヨシカズが助けようとして、死んでしまうところ」だという。
「ええっ。相手が死んでまうん? そしたら古パンはどうなるん?」と聞くと、
「古パンで墓石みがくねん。でも、ある日、バターつけたパンでみがいて、お墓ダメにしてしまうねん」

うわーーーーーーーー。

脚本会議の冒頭でわたしは「原作を家とすると、脚本はそのリフォームの設計図。家を支える柱は取っ払えないけれど、間取りや内装は変えられる」と説明した。しかし、中学生の手にかかれば、床板までもべりべりとはがされ、元の家は跡形もないほど姿を変え、大黒柱一本だけが残される。

その大黒柱は「恋した男の古パンにバターを塗る」の一点なのだった。

1月31日午前の一年五組の脚本会議の模様を取り上げたNHKニュース(関西ローカル)は、

NHKオンライン 大阪放送局にて動画を見られます。1/31(火)の4番目。次週分に差し変わる前に間に合えば、ぜひ生徒たちの生き生きした表情を見てください。

堺市立三原台中学校のサイトの1月31日と2月1日にも写真と記事が出ています。

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今日のtwitterより(下から上に時間が流れます)
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母校・堺市立三原台中学校での「中学生のドラマ脚本会議」授業2日目。前日の大人組(1/30の日記)は先生方中心だったので活発な意見が出たけれど、中学生はどうなのか。

発想は大人より面白いものを持っているだろうけれど、それを口にするハードルが高そう。なので、先生方のアドバイスを受けて「近くの人と自由に相談していいよ」形式を取り、一人ずつ当てるのではなく、自発的に出た声を拾いに行くことにした。

9時45分から2限目の授業。生徒を教室に入れ、席に着かせるまでに5分近くかかる。残る45分でどこまで行けるか。「今井雅子さん?」と親しげに話しかけてきてくれた女の子たちは1組の子だった。

昨日入る予定だったNHKの取材は、授業に合わせて今日にずれた。テレビカメラを向けられて、教室は、ちょっとそわそわ。

地元紙「泉北コミュニティ」とPTA新聞の取材、他に見学の先生方が数名。

昨日と同じく、Oヘンリーの「Witches' Loaves」を千葉茂樹さんが翻訳した「魔女のパン」を原作に、脚本開発会議。



あらすじをおさらいすると。
パン屋のマーサは独身の四十女。2千ドルの預金と自分の店を持っている。
恋人はいないが、気になる客がいる。同い年ぐらいの紳士だ。
しかし、彼が決まって買っていくのは、マーサの自慢の焼きたてパンではなく、古くなって半額になったパンである。
彼の指先に絵の具がついているのに気づいたマーサは、彼が売れない絵描きで、貧乏だから、古いパンしか買えないのだと思う。
そのことを確かめるために、マーサが店に絵を飾ってみると、彼は絵をほめた上で「遠近法がなっていない」と指摘した。
彼は才能があるが芽が出ていないのだとマーサは思い、そんな彼を支えたい気持ちを募らせ、胸をときめかせる。
ある日、彼が店に来たとき、外で消防車のサイレンが鳴った。彼が外へ様子を見に行ったすきに、マーサは彼が買い求める古パンの間にバターを塗る。
絵描きのプライドを傷つけずに栄養のついたものを食べさせたいという想いからだった。
マーサの小さな親切に気づいた彼の反応が楽しみだった。
だが、マーサの夢想は、店に怒鳴り込んで来た彼の声で破られる。
一緒に来た彼の友人によると、彼は絵描きではなく、建築家の卵だった。
コンペに提出する設計図の下絵を消すために古パンを使っていたのだが、いよいよ完成というときに、バターのせいで台無しになってしまった。
マーサの短い恋は、終わった。

このお話、「恋をする」「盛り上がる」「行動を起こす」「ふられる」とキレイに起承転結の展開になっていて、要は「ヒロインが恋をしてからふられるまでのお話」と前置きした上で、キャラクター決めに取りかかった。

「ミス・マーサ40歳の恋愛ドラマ、見たい? 親しみやすく、大阪の女の人にしよか? 年も自由に決めていいよ」と問いかけると「20歳!」「25歳!」「30歳!」と声が上がった。

「20歳がいい人、拍手」
「25歳がいい人、拍手」
「30歳がいい人、拍手」

拍手採決方式、眠気覚ましにも有効。意外なことに「30歳」になった。


名前は「川村マサヨ」と「土橋マサキ」に。土橋は「38歳」。20代男女に設定した大人組よりもオトナな設定。

では早速、マサヨの恋バナを作っていこう。まずは、

恋をする

「原作では、気になる客がいるとこから始まってるけど、出会いの場面作ってみよか? どこに恋したんやろ?」と振ると、「店の前にむっちゃ長い坂があって、そこを果物が転がっていったのを拾ってあげた」と映像が目に浮かぶ具体的なアイデア。

「もうちょっと親切にしてみよか?」と誘導して、「紙袋からこぼれたりんごを拾ってあげて、ついでに紙袋も持ってあげる」と優しさ倍増。

土橋さんてステキ、とキュンとなったマサヨ。出会っていきなり「親切にしてもらったお礼に自慢のパンをサービス」というアイデアが出る。りんごでつなげて「アップルパイ」をプレゼントすることに。

なのに、次にお店に来たときに買い求めるのは、古パン。「わたしのアップルパイ、口に合わなかったのかしら」とマサヨはますます彼が気になる。

おお、序盤からドラマティックな展開。続いて、

盛り上がる

「恋するマサヨのファッション、ビフォーアフターでどう変わった?」と聞いてみる。髪型は? メイクは? 着るものは? 登場人物の見た目は、いろんなことを語ってくれる。その人の性格や気持ちだけでなく、季節も語る。ハイビスカスのワンピースだと季節は夏。あるいは、春にハイビスカスを着る「ずれた女」という描き方も。

「春で、さくらのワンピース」に落ち着いて、いよいよ、

行動を起こす

「消防車を見に行くのがいいと思う?」と代案を求める。土橋に惚れ直すか、土橋の貧乏を思い知るか、マサヨが行動を起こすきっかけになる場面にできないか。

この質問はちょっと難しかったようで、しばし、考え込まれてしまった。

ここで、「土橋が絵に見入る」という案が出て、ちょっと驚いた。気になる客が本当に絵描きがどうかを確かめるためにマーサが店に絵を飾る場面は原作に出てくるけど、位置的にはずっと前。原作にある要素の前後を入れ替えるのは、脚本の構成ではよくやる手で、ドラマ「ビターシュガー」でも二冊ある原作のエピソードの順序を動かしている。

その手を中学生が無意識のうちに使ったことに、びっくりした。

土橋が絵に見入ることで、隙が作れる。その後ろ姿を見て、服が汚れていたりほつれていたりしたら、マサヨは土橋が「売れない絵描き」であることを確信し、親切にしたい気持ちが募る。

なるほど自然。

と、ここで、後ろのほうから「ハンバーグ」という声が上がった。古パンにこっそりはさむのが、バターではなくハンバーグではいけないのか?と。「ハンバーグやったら、すぐにばれるやん」と別な生徒からツッコミが入る。「それやったらハチミツは?」

大人組では「ハムとチーズ」をはさむ案も出たが、生徒組も「古パンにはバター」の代案が出たのが面白い。

設計図の下書きを消す前に気づく可能性はあるけれど、バターではなくデミグラスソースで設計図が台無しになるという線も、なくはないか。でも、無理はあるか。

というわけで、原作通りバターで行くことに。このお節介のせいで、ラストは

ふられる

「土橋が結婚していて、妻が一緒に乗り込んできたら、ますます痛い」「結婚じゃなくて婚約にしたら?」という意見も。

「ふられるで終わっていい? ハッピーエンドでなくていい?」と投げかけると、教室の空気はハッピーエンドを支持。

「この人は建築家ですって言いに来る友だちとくっつくのは?」というアイデアが出るが、そうなると土橋がヒロインの相手役っぽくなくなるという反対意見が出る。たしかに捨て駒的ではある。

「じゃあ二人目の男ともダメになってしまう」という代案が出て、「りんご食べられへんのにアップルパイ食べさせるとか」。ちょっとひねって「アーモンドアレルギーなのに、アーモンドが入っていることに気づかず、アップルパイを食べてしまい、破局」という案をわたしが出し、「で、どうやって土橋とくっつくの?」

「バターのことを謝りに行く」
「でも、行くの遅すぎへん?」
「それやったら、すぐに謝りに行ってたけど、会ってもらえんかった」

と意見交換があって、「謝りに行くときはアップルパイを持って行く」というアイデアも出た。他にも意見が出るうちに、

「マサヨはアップルパイを持って土橋に謝りに行くが、土橋は意地になって会おうとしない。でも、マサヨが置いて行ったアップルパイがむっちゃおいしくて、友だちに買いに行ってもらう。マサヨは毎日アップルパイを買いに来る土橋の友だちが自分のことを好きなんやと思う。でも、実はアップルパイを好きなのは土橋だとわかって、ついに土橋と両想いになる」

というハッピーエンドが生まれた。りんごで始まりアップルパイで実る恋! この流れなら、「りんごで作ったデミグラスソース」で設計図を台無しにして、りんごで貫くのもありかもしれない。

「これにタイトルつけるとしたら?」と聞くと、
「マサヨのアップルパイ」

お見事。


脚本会議の模様はお昼と夕方のNHKニュース(関西ローカル)で放送。NHKオンライン 大阪放送局にて動画を見られます。1/31(火)の4番目。次週分に差し変わる前に間に合えば、ぜひ生徒たちの生き生きした表情を見てください。

午後からの国語科の加藤先生による一年三組の授業では、さらに常識を打ち砕かれる展開が誕生。長くなるので、続きはまた明日。

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2012年01月30日(月)  パンがバターに化けるまで(中学生のドラマ脚本会議その1)

母校・堺市立三原台中学校での二日間にわたる「中学生のドラマ脚本会議」授業。その興奮がさめないうちに書き留めたいと思いながら、一週間近く経ってしまった。

少し記憶があやふやになっているところはあるけれど、まだ余韻は残っている。わたしが感じた手応えと熱気が、この日記を読む人にも届きますように。

きっかけは、昨年10月、母校で講演した折りに「中学生に脚本作りを教えたい」と校長の着本先生に話したことだった。「いつかやりたいですね」と遠い約束で終わってしまうところを、着本先生は「いつやりましょうか」とすかさず動いてくれ、3か月後に実現することになった。

さらに校長先生が教育委員会にも働きかけてくれたことで、堺市の教育センターの研修の一環として授業を行えることになった。

そこからは、校長先生と国語科の加藤先生とメール交換しながら、何をするか、どんな授業にするかを探っていった。

まず一日目にわたしが生徒向けに授業をして、それを見学した先生方と意見交換をする。また、先生向けの脚本教室もやる。それを踏まえて二日目に加藤先生が生徒向けに授業をした後に先生方と意見交換をする。そんな流れを決めた。

授業の内容は、役者のワークショップでやるような即興芝居をやってみようかとも思ったのだけど、短時間で脚本作りの醍醐味を味わえるように「原作からドラマを作る」ことにした。授業のタイトルを「脚本教室」ではなく「脚本会議」としたのは、実際の脚本開発の現場に近いブレストをやってみようと思ったから。

誰でも知っている古典的な話を現代風にアレンジするのがいいと思い、原作は「桃太郎」でやるつもりだった。ところが、一月半ばにOヘンリーの「Witches' Loaves」を原作にしたラジオドラマを聴いて、気が変わった。宅間孝行さんが出るので聴いたのだけど、起承転結が明快だし、恋の話だし、中学生にいじってもらうには打ってつけの素材! ほんと、ネタはどこに転がっているか、わからない。

早速amazonで調べて、読みやすいと高評価を得ていた千葉茂樹さん翻訳の魔女のパン (オー・ヘンリーショートストーリーセレクション 3)を取り寄せた。「魔女のパン」は原題の直訳だけど、宅間さんのラジオドラマでは「ミス・マーサのパン」というタイトルだったし、「善女のパン」という別名もあるらしい。

読んでみると、難しい漢字にはルビを振ってあるし、これなら中学一年生にもとっつきやすい。いい原作が見つかったことで、だいぶ気がラクになった。


ところで、著作権保持者の一人としては、授業で文学作品を取り上げる場合の著作権はどうなるのか気になるところ。調べてみると、学校教育においては、例外的に著作権の許諾なく使用や複製ができることになっているらしい。

というわけで、事前承諾なしに使わせていただいたが、とにかく読みやすいし、表題作品の他にも脚本会議の材料になりそうな短編が納められている。使わせていただいたお礼代わりに、この本を声を大にしておすすめしたい。

〈この「魔女のパン」を何度も読んでおいてください。頭で丸暗記する必要はありません。体にたたきこんでください〉と生徒あての手紙を添えて中学校に送った。

そうして迎えた脚本会議本番当日。

予定では生徒向けの授業をまずやるはずだったのが、インフルエンザによる学級閉鎖があり、「1日目に先生方と脚本会議、その後先生方向けに脚本教室と意見交換」「2日目の午前にわたしの脚本会議授業、午後に加藤先生の脚本会議授業、その後に意見交換」という流れに変更になった。

脚本会議に参加されたのは、三原台中学校の先生方と、堺市の教育センターによるリーダー研修の先生方、PTA新聞の取材の方、地元紙「泉北コミュニティ」の記者さん。校長先生が声をかけた、地元高校の演劇部の顧問の先生も。

仕上がりのドラマや映画を「家」とすると、脚本は「設計図」に喩えられる。オリジナル脚本の場合は「新築の家の設計図」であり、原作ものの脚本の場合は「改築の設計図」と言える。改築と同じく、原作の面白いところは残し、もっと面白くできるところは変えていく。そのときに大事なのは「柱」まで取っ払ってしまわないこと……といった前置きをしてから、会議を始めた。

さて、原作「魔女のパン」。原作を見ながらではなく、わたしの頭の中に残ったあらすじを書き起こしてみると。
パン屋のマーサは独身の四十女。2千ドルの預金と自分の店を持っている。
恋人はいないが、気になる客がいる。同い年ぐらいの紳士だ。
しかし、彼が決まって買っていくのは、マーサの自慢の焼きたてパンではなく、古くなって半額になったパンである。
彼の指先に絵の具がついているのに気づいたマーサは、彼が売れない絵描きで、貧乏だから、古いパンしか買えないのだと思う。
そのことを確かめるために、マーサが店に絵を飾ってみると、彼は絵をほめた上で「遠近法がなっていない」と指摘した。
彼は才能があるが芽が出ていないのだとマーサは思い、そんな彼を支えたい気持ちを募らせ、胸をときめかせる。
ある日、彼が店に来たとき、外で消防車のサイレンが鳴った。彼が外へ様子を見に行ったすきに、マーサは彼が買い求める古パンの間にバターを塗る。
絵描きのプライドを傷つけずに栄養のついたものを食べさせたいという想いからだった。
マーサの小さな親切に気づいた彼の反応が楽しみだった。
だが、マーサの夢想は、店に怒鳴り込んで来た彼の声で破られる。
一緒に来た彼の友人によると、彼は絵描きではなく、建築家の卵だった。
コンペに提出する設計図の下絵を消すために古パンを使っていたのだが、いよいよ完成というときに、バターのせいで台無しになってしまった。
マーサの短い恋は、終わった。

この原作をもとに、脚本開発の現場と同じく、まずは「キャラクター」を決めることに。

ヒロインのミス・マーサを大阪の女にしましょう。年齢も40歳に縛られずに、好きに考えましょう、と提案。皆さんの意見から、

島田まりこ 28歳

という名前と年齢になった。原作では、ヒロインは「2000ドルの預金と自分の店」を持っていることになっている。新しいパンが一個5セントなのを日本円で百円として、「預金は約400万円」に。28歳の若さにしては、裕福すぎるのでは?と問いかけると「バツイチで、慰謝料で店を持った」というアイデアが出た。

このあたり、大人組はリアル。

まりことのバランスで、今度は相手の男のキャラクターを決める。

正木たつや

という名前で、年下がいいということになり、25歳ぐらいだった覚えがあるが、「大学院生」という設定になった。原作では相手の男はドイツ語訛りなのだが、脚本では加藤先生の出身の「出雲」の言葉を話すことに。

続いて、柱を決めていく。

この物語、お手本のように美しく「起」「承」「転」「結」の流れになっている。

起 恋をする
承 盛り上がる
転 行動を起こす
結 ふられる


この流れに沿って、わたしが質問を投げかけ、順番に当てていきながら、答えをつなげていった。

面白かったのは、新キャラ「ひろこ」の登場。

片想いで盛り上がるヒロインの妄想シーンをどう表現するかというところで、「独り言よりも相手がいたほうがいいのでは?」とわたしが提案。すると「同い年で早くに結婚して子どもが育ち盛りの女友達」に電話で相談してはどうかというアイデアが出た。

「今日、ヘンな客が来たのよ。古いパンはありますかって聞いて買って行ったの。手は絵の具で汚れてるし」と警戒するまりこに「画家じゃないの?売れないから貧乏で、安い古パンしか買えないんじゃない?」と指摘するひろこ。ひろこはダンナの稼ぎが少なくてお金で苦労しているので、「そういう男とくっつくと苦労するよ」と釘を差すが、蓄えのあるまりこは「わたしだったら彼を支えられる」とますますのめりこむ、という流れ。

ひろこ登場で、がぜんドラマティックになった。

さらに盛り上がったのが「転」の「行動を起こす」場面。原作では、消防車のサイレンが聞こえて男が外に飛び出すのだが、これは「隙を作る」ための事件にしかなっていない。「まりこが正木に親切にしたいという動機づけになるよう、ここを強化できないか」と投げかけてみた。

ますます正木に惚れさせる出来事、あるいは、ますます正木の貧乏を実感させる出来事。

「一円玉や五円玉といった小銭をたくさん落とす」という意見が出て「しかも破れたポケットから落ちる」という合わせワザが生まれた。さらにベタな展開にするなら、正木が他の客に親切にしようとしたら(たとえば、ベビーカーを運ぶのを手伝うとか)小銭ジャラジャラという三枚合わせもできる。

ここで、「その前に、まりこが正木にハムやチーズをはさんだ古パンをサービス品で売ろうとするが、正木が、ぼくはまだいい、と断る場面をつけたい」という意見が差し込まれた。正木はもちろん「設計図の下書きの線を消すために古パンを買っているので、ハムやチーズ入りはいらない」のだけど、まりこは正木を「慎み深い人」だと勘違いし、ますます好もしく思う。だからこそ、目立たないバターをはさむ。

この前に「恋をしたまりこが、正木にパンをサービスする」というアイデアが別の人から出されていた。通常2個100円のところを「3個100円」にするというもの。ハムとチーズ入りは、おまけサービスを発展させた形となる。

このように「他の人の出したアイデアを拾ってふくらませる」ことが脚本会議を弾ませる大切な要素なのだけど、大人組が自然とそれをやってのけたことに感激した。

そして、いよいよ悲劇のラスト。

「正木の正体を告げる友人は、いらない」と登場人物を整理するとともに「正木も怒鳴り込まない」という意見が出た。その理由は「わたしの正木は向井理のイメージなので、怒鳴り込んだりはしない」というもの。頭の中にキャラクター像をきっちり描けているからこそのキッパリした主張。

では、どうやってまりこは失恋するのか?

ここで、なんと、再び「ひろこ」が活躍することに。

古パンにこっそりバターを塗って以来、正木が店に来なくなり、気になるまりこ。そこに、何も事情を知らないひろこが電話をかけてきて、「あんたが気になってたカレ、画家じゃなくて建築家だったらしいよ。でも、大事な設計図の下書き消すの失敗して、仕事落としたんだって。あんな男とくっついてたら、苦労してたよ」と言う。それを聞いて、まりこは、正木がなぜ古パンしか買わなかったと同時に、自分のお節介が正木を不幸にしたことを知り、後悔の涙を流すのだった。

という大人組ならではの痛い流れが出来上がった。

最後に「この脚本にタイトルをつけるとしたら?」と問うと、「ほろ苦いバター」という答え。たしかに、原作以上にバターの苦さが際立っている。甘い恋を実らせる小道具になるかと思いきや、苦い結末に。まるでビターシュガー。語呂良く「ほろ苦バター」はどうでしょうと提案した。

ラストまで行き着く前にチャイムが鳴り、20分ほど延長。でも生徒向けの脚本会議では授業時間の50分しか使えないので、「どうすれば50分を有効に使えるか」が明日への課題になった。

この後、休憩を挟んで、脚本の書き方教室。「てっぱん」第15週「幻のランナー」の脚本と放送されたドラマ映像を見比べ、脚本の書式を説明した。それから、質疑応答を経て、三原台中学校の国語科の先生方と明日の授業をどうするかの意見交換。最後にはリーダー研修で参加された他校の先生方からも意見をうかがった。

「名前と年を好きに決めていい、というのは、生徒には敷居が低くて答えやすい。正解があるのではなく、なんでもあり、というのは、日頃の授業にはあまりないので」
「細かくシーンを分けていくと時間がかかるので、シーンを絞って、ひとつのシーンに時間をかけてはどうか」
「一人一人当てていくと考え込んでしまうので、近くの人同士で自由に相談できるようにしてはどうか?」
といった現場の先生ならではの意見やアイデアが出された。

板書きをする時間がもったいないので、あらかじめ短冊にした模造紙に書いておこう、と加藤先生と用意し始めたのだけど、「結局は起承転結だけあればいいんだ」ということに気づいて、

中学生のドラマ脚本会議
恋をする
盛り上がる
行動を起こす
ふられる

この五本の短冊だけを用意した。

学級閉鎖対応で先生方との脚本会議を1日目に持ってきたのだけど、結果的には、2日目の生徒向け脚本会議の予行演習ができて、良かった。

大人組の作るほろ苦脚本に対して、中学生組はどう出る? 続きはまた明日。

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2002年01月30日(水)  ボケ


2012年01月26日(木)  もつ鍋と喫茶店のケーキ

福岡から新鮮な「もつ」が5キロ届いて、送り主ゆかりの東京人たちがわが家に集まって食すことになった。

もつがわが家の食卓に上ったことはなく、下ごしらえもどうしていいものやら。客人が集まったときには、まだ凍ったままだった塊を、まずは流水でゆるめ、ぐつぐつ沸騰したお湯でゆでて脂をどけると、半分ぐらいの量になった。

鮮度がうかがえる、きれいなもつ。



もつ鍋の具は、豆腐、ねぎ、ごぼう、小松菜。だしは、S氏が持ってきた醤油のヤマキのもの。これにUさんが持ってきたゆず胡椒を合わせると、絶品!


椒房庵の味噌だれで土手焼き風にしたらおいしいのではと思い、こんにゃくと合わせて煮てみると、これまた絶品。他に小豆島のオリーブ塩漬け、ダンナ母が拾ってくれた銀杏(茶封筒に入れて電子レンジでチン)、近所の肉屋のローストビーフ、根菜の胡麻サラダ、Uさんが持ってきてくれた浅漬け。合間にゆば丼。締めにうどん。


よく食べ、よくしゃべり、あっという間に終電を気にする時間に。デザートはO君が用意。「それが、実は、アトレが工事中で……」。あてにしていたケーキ屋で買えず、駅の近くのイタリア料理店で「ここのケーキをテイクアウトできますか?」と聞いたところ「できますけど、わたしのおすすめは、近くの喫茶店のケーキです」とすすめられた喫茶店で買ってきたとのこと。

見た目は素朴だけど、丁寧に作られた感じがするケーキ。「ここの、おいしいよ」と褒めると、「ホントですか?良かったあ」とO君はほっとした顔。「おいしかったよってそのイタリアンのお店の女の子にお礼言ったら? どこに出会いが転がってるかわかんないよ」と彼女募集中のO君にけしかけながら、別腹にチーズケーキを納めた。

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2011年01月26日(水)  日本文理大学チアリーディング部に刺激されて
2010年01月26日(火)  映画『バレンタインデー』は本編もパンフも注目
2009年01月26日(月)  わんわん電車 にゃんにゃん電車 ケーキ電車
2008年01月26日(土)  マタニティオレンジ227 スプーンをお洗いします
2007年01月26日(金)  ひと月遅れのクリスマスプレゼント
2006年01月26日(木)  李秀賢君を偲ぶ会と映画『あなたを忘れない』
2002年01月26日(土)  オヨヨ城


2012年01月23日(月)  たまくじ全30本(たま絵つき)

1月2日の日記で紹介したたまくじ。おみくじ代わりに占った人が今日で500人を越えたので、全30種類の運勢を発表します。

「たま先生、今年の○○運はどうなっていますか?」というわたしの問いにたまが思いつきで答えたのを書き留めたもの。即興ゆえにナンセンスで上から目線な「たま語」らしさがよく出ているような。

【まにきゅあうん】。ことしは あかい まにきゅあが いいでしょう。あっためて くれるから。



【ゆきうん】。ことしは ゆきが つもるでしょう。ちょっと くしゃっとなってるけど まるい ゆきです。

【あまえうん】。ことし たまちゃんは ままに いっぱい あまえます。あなたも いっぱい ままに あまえてね。

【いいひとうん】。ことしは いいひとが みつかりますよ。かみのけの あるひと です。


【おかしうん】。ことしは たくさん おかしを たべられると おもいます。あなたは いいひと ですから。

【りょこううん】。ことしは りょこう できますよ。やまの しゃしんが とれるでしょう。


【ままうん】。ことしは ままは かわいくならないです。ざんねんです。

【てれびうん】。ことし てれびより おもしろいのは りんちゃんの かおです。このひとです。


【かわいこうん】。ことしは かわいく なれます。たまちゃん ぐらいに なれます。

【おしごとうん】。ことしの おしごとは うまくいきますよ。いすに すわる おしごとです。


【おとしものうん】。ことしは おとしものを しないとおもいます。おとすとしたら だいすきな こまかいごむです。

【おしゃれうん】。ことしは かわいいふくを きるのが いいですよ。かわいいーといわれますよ。

【ひっこしうん】。ことしは ひっこししても いいですよ。どあと げんかんと えんとつのある いえです。


【てすとうん】。ことしは てすとが うまくいきますよ。しらないけど。

【すぽーつうん】。ことしは すぽーつ しても しなくても どっちでも いいです。

【おてんきうん】。ことしは はれますよ。てるてるぼうずが がんばります。


【かみがたうん】。ことしは ぽにーてーるが いいとおもいます。かわいいから。

【ぶたまんうん】。ことしは ぶたまんを たべられます。たべたら わかります。

【おじゃるうん】。ことしも おじゃるまるは えぼしを かぶります。


【あそびうん】。ことしは たくさん あそべます。たのしい ぬりえが できます。

【けんかうん】。ことしは けんかが あります。やられた こは やめてよ わるいことしてないよと いいましょう。


【にんきものうん】。ことしは にんきものに なれます。それ きょねんも いいましたよ。

【かけっこうん】。ことしは あしが はやくならないと おもいます。なんでって きかないでよ。

【けんこううん】。ことしは かゆい と たべる ももか に きをつけましょう。はみがきしないと むしばになります。


【はなくそうん】。ことしは はなくそを ほじったら はなから てぃっしゅが でます。

【おっさんうん】。ことしは おっさんに なれないです。おならは でます。

【やさいうん】。ことしは にんじんを たべましょう。びたみんが いっぱい はいっています。


【さんたうん】。ことしは さんたさんが きます。ねたら きます。

【おたんじょうびうん】。ことしの おたんじょうびは たのしい おたんじょうびです。たのしみに しましょう。

【にがつうん】。ことしの にがつは きちらぎです。




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2011年01月23日(日)  ひろしま駅伝と「てっぱん」のご縁
2010年01月23日(土)  落ち葉のプール
2009年01月23日(金)  お菓子の国のおくりもの
2008年01月23日(水)  図書館の本についた謎の汚れ
2007年01月23日(火)  マタニティオレンジ63 晴れた日の小石川界隈散歩
2006年01月23日(月)  いまいまさこカフェブログOPEN
2005年01月23日(日)  中国禅密気功の師曰く
2004年01月23日(金)  今日はシナリオの日
2002年01月23日(水)  ラッキーピエロ


2012年01月21日(土)  子どもと一緒にASOBONO!(東京ドーム)

子どもがいなかったら、行かない場所というものがある。

今日行った東京ドームのASOBONO!(アソボーノ!)もそのひとつ。

たまに、しつこく、しつこく「こどもといっしょに、あそぼーの、いこーの」とねだられて、重い腰を上げて行ってみれば、思いのほか面白かった。



ずいぶん前、二子玉にあるボーネルンドのおもちゃいっぱいの施設へ行ったけど、それをもっと開放的にした感じ。内装がとてもかわいくて、カラフルにペイントされた窓や仕切りが楽しい。引越先探し中のわたしは「これはリフォームの参考になるかも」と写真をバシャバシャ。

体や手を使って遊ぶ低燃費の遊具が充実。これは磁石でお絵描きコーナー。


わたしがいちばん夢中になったのは、壁に歯車をはめこんで、連動させて回す遊び。子どもそっちのけでのめりこんでいるお父さんたちも。


休日は60分900円で30分ごとに延長という料金システムだけど、平日は1500円の一日フリーパスがあり、隣のフードコートへも出入りできるらしい。今度は平日に行こうね、とすっかり気に入って帰った。

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2011年01月21日(金)  餅入りお好み焼きにはお醤油
2010年01月21日(木)  シナトレ13 企画書は自分を売り込む広告だ!
2009年01月21日(水)  キスかキフか? 非常時に強い女と自転車の会
2008年01月21日(月)  マタニティオレンジ223 3日ぶりの母娘再会
2007年01月21日(日)  マタニティオレンジ62 母の誕生日を祝う娘
2006年01月21日(土)  ご近所仲間新年会
2005年01月21日(金)  1人1ピッチャー!? 体育会飲み会
2002年01月21日(月)  祭り


2012年01月15日(日)  新幹線ホームでチュー

昨日の越後湯沢からの帰り、上野駅新幹線ホームにて。

「わあ、ちゅうしてる〜!」


駆け寄り、「こまち」と「はやぶさ」のチューに見入るたま。絵本『新幹線のたび〜はやぶさ・のぞみ・さくらで日本縦断〜』で噂の二人の顔は予習済み。

「ちぇ、なんだよ、こまちとはやぶさのヤツ、よろしくやりやがって」と横目で見ながら、独り者の「たにがわ」が駆けて行った。

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【たま語】「たまちゃんちでじゃんけんごっこするの。かったらあいすがもらえて、まけたられしーとだけなの」レシートだけってイヤだなあ。「れしーともやくにたつのよ。はなくそまるめたのをくっつつけたりとか」それもイヤ。( #たまくじ どうぞ→ http://shindanmaker.com/180186 )

2011年01月15日(土)  おしりにしっぽをつけたつもりが……。
2010年01月15日(金)  アテプリの脚本家さんとつながった
2009年01月15日(木)  身長5ミリで体重500グラム増
2008年01月15日(火)  マタニティオレンジ220 わんわん
2007年01月15日(月)  マタニティオレンジ59 人間ドライヤー
2005年01月15日(土)  ノンストップ『Mr.インクレディブル』
2004年01月15日(木)  谷川俊太郎さんと賢作さんの「朝のリレー」
2003年01月15日(水)  ひつじの国 ひつじの年
2002年01月15日(火)  ノベライズ


2012年01月14日(土)  トンネルを抜けると越後湯沢

2年前の冬に行った越後湯沢、良かったよね、また行きたいねと昨夜ダンナと話していたら、横でちゃっかり聞いていたらしく、今朝「きょう、いちごゆざわいく!」とたま。

2年経っても「いちごゆざわ」のままなのか!

しかし、休日の遅めの朝食の席で切り出されても。

「明日行こうか」と言うと、「いやだ!ぜったいきょう!」と譲らない。「今日は雪だよ」と言うと「ゆき、あったほうがいい!」。明日の予報も雪なので、ならば今日行くか、となった。

ちょっと厚着した普段着の一家が越後湯沢に着いたのは、お昼過ぎ。雪ははらはらと舞う程度で傘いらず。歩いてゲレンデまで行けるのが、このスキー場のいいところ。

ソリをレンタルで借りようと思ったら、子ども用のソリ遊びゲレンデが一日一人700円であるというので、そこで遊ぶことにした。


湯気の立つ団子を分け合い、ちょっと休憩。

ロープウェイ乗り場に着くと、目の前に、保育園で同じクラスの男の子。朝の9時半から滑っていて、ひと風呂浴びて帰るという。

その前に腹ごしらえ、とロープウェイ乗り場の向かいのとんかつ屋へ。もち豚のとんかつもさることながら、ハンバーグが目を見張るおいしさ。

店を出たら、これから東京へ帰るクラスメート親子とまたばったり。

ソリ遊びの後、雪上エスカレーターみたいなもので上まで上がれるのだけど、坂道に強いたまは自力で。


ソリよりスピードが出て楽しかったのが、チューブと呼ばれる底が丈夫なゴムボートのようなもの。まん丸なので途中で回転したりしてコーヒーカップ的なスリルも。子どもよりオトナが夢中になっていた。

雪の上にはプラスチックの家もぽつぽつ建っていて、たまはそこで「おままごとごっこ」。家に招かれたオトナはぶるぶる震えてたけど、たまは「らんど(暖炉のことらしい)であったまってください」と余裕。子どもは風の子だなあ。

今回はロープウェイで上まで行かず、ふもとだけで半日過ごし、ロープウェイ乗り場の中にある温泉であったまった。


雪の壁にキャンドルが灯る幻想的な道を歩きながら駅へ向かう途中、ふかしたての笹団子を頬張った。

夕食は駅の中にある回転寿司へ。おいしそうな店構えで期待はしたのだけど、その期待を大いに上回る、駅の回転寿司にあるまじきレベルの高さ。

ネタは新鮮だし、軍艦のこぼしっぷりも威勢がいい。


白子も美しいこと!

このお寿司だけでも越後湯沢に来る価値あるねと大満足で店を出ると、駅の屋台もこれまた魅力的。しかしもはや胃に余裕はなく、次回は屋台の分のスペースを空けておこうと誓った。

日本は広い。足をのばせば、何でもおいしい雪国が広がっている。

そして、日本は狭い。上野から1時間4分で行ける新幹線も。

新幹線で一時間ちょっとで行けて、雪とおいしいもののある旅先といえば、福島もある。福島の冬は、スキー場はどうなっているのか。子どもたちは、この冬は、雪とも遊べないのだろうか。

やはり、日本は広い。

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【たま語】「いちごゆざわいく」と越後湯沢で雪んこに。雪の上でおうちごっこ「らんどであったまってね」それは暖炉。回転寿司で「なんでながとろがあるの?」それはネギとろ。

2011年01月14日(金)  オリンピックの今井雅子さんとつながった
2010年01月14日(木)  脚本家をメジャーにしよう!計画
2009年01月14日(水)  ねんどせんせい、器を届けに来る。
2008年01月14日(月)  出前のちお取り寄せイタリアン
2007年01月14日(日)  innerchild vol.12『アメノクニ/フルコトフミ』
2004年01月14日(水)  泣けました、「半落ち」(横山秀夫)
2002年01月14日(月)  災い転じて


2012年01月13日(金)  Draw a stickmanと島袋千栄さん

facebookで見つけたDraw a stickman

マウスでstickman(人形)を描くと、



人形が動き出して、自分が主人公のお話を作り出す。途中で指示が出て、新たな小道具を描き足すと、さらに物語が進む。


わあ面白い、ともう一度やってみたら、どんな絵を描いても物語は同じものが繰り返されることがわかった。絵のパターンによってストーリーが枝分かれしたら、何度でもやってしまうのだけど、と思っていたら、隣で見ていたたまが「もういっぺん」とリクエスト。

物語は同じものの繰り返しでも、子どもはヘタウマ漫画がひょこひょこ動くのが楽しいらしい。

絵が好きな子に育ってくれるのはいいことなので、わたしも調子に乗って、いろんな人形を描いた。髪の毛がもじゃもじゃの子にしたり、足元に花を咲かせたり、着ているものを変えたり。小道具の形も変えてみたり。

「絵は楽しいよ」と教えてくれた一人、島袋千栄さんからアニマルガールズの手帳が届いた。「自分が生み出したキャラクターを一人でもたくさんの人に知ってほしい」と、新年の挨拶にわが子の手帳を配る親心。愛されてるなあアニマルガールズ。そして、わかるわかるその気持ち。

島袋さんとは今年エンブックスから一緒に絵本を出すことになっている。エンブックスを一人で始めた西川俊充さんも、これまでに出した2冊の本がかわいくてしょうがない。そして、いま3人で作っているエンブックス4冊目の絵本も、かわいいかわいいと育てて、うちの子をよろしくねと世に送り出す。



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【たま語】昨夜パイロット版が放送されたNHKのNEWS WEB24の話を聞いて「にゅーすでぶ、みたいよう」と興味津々。でぶじゃなくてウェブなんですけど。 (おみくじ代わりに #たまくじ → http://shindanmaker.com/180186 )

2011年01月13日(木)  手がかりを残すヒマもなかった
2010年01月13日(水)  若手脚本家、2009年日本映画を語る座談会。
2008年01月13日(日)  ずんぐりむっくりドイツの加湿機
2007年01月13日(土)  味付けおまかせ羅臼のこんぶ茶
2003年01月13日(月)  成人の日
2002年01月13日(日)  ごちそう


2012年01月12日(木)  buku終刊「また逢う日まで」

「出張いまいまさこカフェ」を連載していた池袋シネマ振興会のフリーペーパーbukuが配布中の今号で終了。編集者の北條一浩さんと「おつかれさまランチをやりましょう」ということになった。

連載前に一度だけ打ち合わせしたときは、新宿トップスビル8階のカフェhuit(ユイット)で待ち合わせた。テーブルの真ん中から木が生えていて、ぐるりの壁を本棚が取り囲んでいて。こんな家に住みたいと思える理想の空間だったその店は、今はもうないので、はじまりの場所に帰ることはできない。

「出張いまいまさこカフェ」と連載名をつけてくれたのも北條さんだった。カフェにちなんで、再会の場所もカフェがいいと思い、このところ何度か雑誌で見かけて気になっていた「cafe1894」を提案した。勘違いして「cafe1984」とメールを打った。

三田線が巣鴨駅の停電で止まり、30分遅れて日比谷の三菱一号館に到着。その一階に、目指すcafe1894はあり、わたしが店に入ると顔を上げた男性が北條さんだった。街ですれ違っても、多分お互い気づかない。bukuは3か月毎の刊行で、連載は22回を数えるから5年余りぶりの再会になる。

天井は高く、椅子は肘かけつき。床の木は飴色。美術館のカフェらしい優雅さをたたえ、カフェの空間そのものがアンティークな芸術品のように格調高い。


麗しいランチをいただきつつ、いろんな話をした。わたしとbukuをつないだのは、bukuの装幀を手がけていた名久井直子で、まずは彼女の話がとっかかりになった。今や売れっ子ブックデザイナーの名久井とは、北條さんが「編集会議」のライターだったときに取材をして知り合ったという。わたしは会社員時代に名久井と机を並べて仕事していた。縁って面白いですねえ、とそこからは、いろんなつながりに話が飛んだ。

本の縁。映画の縁。どこで何がつながるかわからない。大好きな作家の西加奈子さんに念願かなって会えた話をしたら、北條さんも西さんを取材されたことがあったとわかり、西さんいいですよねえと盛り上がった。ツイッターの話に飛んでも脚本の話に飛んでも、連想ゲームのように話が広がり、次の駅へ運ばれていく。

つながる人とはつながるのだとあらためてうれしくなり、「たまちゃんとどうぞ」とプレゼントされた包みを家に帰って開けてみると、スロットマシンでマークが三つそろったような「こんな本探してたのよ」が三冊。子どもに読み聞かせたい絵本。組み立てて立体の乗り物になる塗り絵。親子で東京散歩のガイド。

編集者・北條さんの「感想力」の高さはこれまでも日記でたびたび取り上げてきたけれど、メールでの原稿のやりとりから、わたしの好みをずばりと見抜いてしまう能力にも驚いた。

そういえば、buku連載「出張いまいまさこカフェ」第1回のタイトルは〈脚本家は「つなげる」のが仕事〉。そして、buku連載最終回のタイトルは〈また逢う日まで〉。

最終回が掲載されている最終号のbukuは池袋の映画館などで無料配布中。表紙は『ヒミズ』の園子温監督。見つけたらぜひ手に取ってみてください。ビターシュガーの市子の所信表明に触発されて、脚本家・今井雅子のこれからを語っています。

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「新宿バルト9」と打とうとして「しんじゅくばるとないん」を変換すると「真珠配るとナイン」と出た、わがおとぼけMac。真珠配ると、なくなるわなあ。

丸と棒の人形を描くと勝手に動き出してパラパラ漫画的冒険アニメのはじまりはじまり。劇中の小道具や背景も自分で描き足します。どうやったらこんなの作れるんだろ。不思議不思議→Draw a #stickman

【たま語】「じいじ かみのけあるよ。うしろにあるよ」待ち人はじいじなのね。→ たまえさんの【いいひとうん】。ことしは いいひとが みつかりますよ。かみのけの あるひと です。http://twitpic.com/820r26 #たまくじ http://shindanmaker.com/180186

【たま語】「ままのまさこのこは、こどものこでしょ」そうよ。「りえこちゃんのこは、おとなのこなんだって」。大人の針と子どもの針、大人の歯と子どもの歯があるように、漢字の子も大人と子どもがあると思ってる。

【たま語】♪大きくなったらお空に声が届くかな〜とパパが歌っているとプーという音。咄嗟にたまのせいにするパパに「もう、かみさまおこるよ!」と歌詞と掛け言葉のような切り返し。お空の神様聞いてたかも。

【たま語】「おしょうがつには、かしつき、やるんだよね」お正月に加湿器やるの?「そう。ふりそできてね、しっぱいしたら、かおにすみでかかれるの」それは〈かしつき〉ではなく〈はねつき〉では…?

2011年01月12日(水)  「おさかなは、つかまったときに、もう、かわいそうなんだよ」
2010年01月12日(火)  「クリスマスの贈りもの」を縦書き文庫に引っ越し
2009年01月12日(月)  陶芸家・檀上尚亮さんの個展
2008年01月12日(土)  boofoowooの服
2007年01月12日(金)  『半島を出よ』(村上龍)
2002年01月12日(土)  アボルファズル・ジャリリ 

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