2003年01月15日(水)  ひつじの国 ひつじの年

■虹色のマフラーをこの冬はじめて巻いてみた。虹色といっても草木染めのようなやさしい色で、楽しいけれど派手にはならない。通勤の間、このマフラーに出会ったニュージーランド旅行を振り返っていた。13年前の春休み。妹の高校の卒業旅行ということで二人で3週間かけて南島を旅した。最初に滞在した街クライストチャーチで教会を見学したら、日曜礼拝の後のティータイムに誘ってもらえた。MIF(ミルク・イン・ファースト)という言葉をはじめて知った。牛乳の後に紅茶を注げば自然に混ざるのよと教えてくれた女性が「ダニーデン(Dunedin)というステキな街に両親が住んでいるから行ってみたら?」と言ってくれた。ご両親は見ず知らずの東洋人姉妹を暖かく迎えてくれた。「一日4回はお茶をするのよ」とオバサマはおいしい紅茶を何杯も注いでくれた、アイスクリームを添えて食べた巨大なアップルパイのおいしさが忘れられない。地元のハイスクールも見学させてもらい、国語の授業(『怒りの葡萄』が題材だった)に出席したり、技術の授業で作った木工のお盆をお土産にもらったりした。わたしたちが去る日、オジサマは「君たちが僕たちを忘れないように」と毛糸でできた小さな羊を二匹手渡してくれた。写真を撮るとき、ハイチーズのかわりに「Kiwi」と言うのがおちゃめなオジサマだった。ダニーデンの夫妻の紹介で、今度はテ・アナウという自然豊かな街に住む一家を訪ねた。若夫婦と3人の小さな子どもたち。遊び相手ができて大喜びの子どもたちとはすぐに仲良くなれた。ピクニックバスケットを持って自然公園を散策した。とにかく空気が澄んでいて、自分まで透き通れそうなきれいな場所だった記憶がある。一家の家業は羊の放牧。夕方になるとスクーターに乗って丘を走り、羊たちを小屋に追い戻す。若いお父さんの運転するスクーターの後ろに乗っけてもらった。起伏のある草の上を疾走する感覚はたまらないスリルがあった。羊の毛刈りも見せてもらった。ふわふわの毛をバリカンで剃られると羊は情けないぐらいやせっぽちになった。着太りしてたんだなあと驚いた。テ・アナウの一家もダニーデンの夫妻と同じように「ニュージーランドに来たときはいつでもここを家にしていいよ」と言ってくれた。クライストチャーチの教会での思いがけない出会いがなければ訪ねることもなかったかもしれない二つの町のあの人たちは今、どうしているだろう。わたしはあれから3度引っ越してしまったけれど、日本からの手紙は今も同じ住所に届くだろうか。虹色のマフラーを見ながら、そんなことを思っていた。ニュージーランドのウールは日本の虫の口にも合ったようで、青から緑にかけての3センチ四方がごっそり虫に食べられてしまっている。その虫食いを内側に隠し、赤から黄色の部分を外側にして使い続けている。襟元をあったかく包んでくれる七色の毛糸は、心優しくて懐かしいひつじの国の人たちの思い出につながっていて、とても手放せそうにない。そういえば今年はひつじの年。

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2002年01月15日(火)  ノベライズ

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