2013年03月22日(金)  facebookにおけるドーナツ化現象

脚本家・今井雅子ページの「いいね」が300人になった。



「いいね」をしてもらえると、何がいいのか。

「いいね」をしてくれた人のページに「脚本家・今井雅子ページ」のアイコンが出る。すると、その友だちの目に留まり、興味を持ってもらえたりする。

「友だちの友だち」に広めやすいのがfacebookのいいところ。宣伝費はかけられないけれどお知らせしたいことはたくさんあるフリーランスの作り手にとっては、とてもありがたい時代になった。

記事をシェアしたり、記事にコメントしたりといったことも、点を線に、線を輪にしてくれる。その輪っか(ドーナツ)が大きくなるほど、たくさんの人に作品を届けられる。

ところで、画家や陶芸家をやってる友人の個展に行くと、「facebookで知り合ったばかりの人がよく来てくれる」という話になる。わたしの場合も同様で、facebook上でつながった人のほうが作品を熱心につかまえ、感想を寄越してくれる傾向がある。

これは、どういうことなのか。

ドーナツの中心にいる「身内」は、熱心に応援してくれる人ももちろん多いけれど、作品の案内をされ慣れていて、「また来たか」となる人も同じぐらい多い。

逆に、ドーナツの外側にいる人は、「友だちの友だちでこんなことやってる人がいるんだ!」と珍しがり、面白がり、作品を通してドーナツの内側に入ってきてくれる。

地価の安い郊外へ人口が流出して都心が空洞化する「ドーナツ化現象」なるものをはるか昔の社会科で習ったが、中心よりも外側が厚く(熱く)なる「facebookにおけるドーナツ化現象」もなかなか興味深い。

2010年03月22日(月)  注文の多い鬼プロデューサーたま3歳7か月
2009年03月22日(日)  空気を読んで使い分ける、たま2歳7か月。
2008年03月22日(土)  マタニティオレンジ255 ゾゾもガオも自分もわかる、たま1歳7か月
2007年03月22日(木)  マタニティオレンジ96 胴体着陸と前方回転
2002年03月22日(金)  遺志


2013年03月21日(木)  「父の花、咲く春」マスコミ試写

「父の花、咲く春」(4/3よる10時BSプレミアム)マスコミ試写へ。

大スクリーンで初めて観る完パケ。初めて観るときは、どうしても脚本との答えあわせになってしまうのだけど、次郎(桐谷健太さん)が、美知子(伊藤蘭さん)が、梅花(蓮佛美沙子さん)が、山藤(林隆三さん)が、晴代(岩本多代さん)が動いている!それだけで感無量。

息を吹き込んでくださった皆さんに感謝。そして、長良川の流れと川辺の花の美しいこと!撮影は真冬なのに、春の訪れを感じさせる映像になっている。

桐谷さんと蓮佛さんの記者会見も、爽やか。

桐谷さんは「次郎は〈ないものねだり〉の男。ないものを嘆くと不幸せになるばかりだけど、自分は普段から〈あるものうれし〉をまわりに言っている。空気も布団もあって当たり前だけど、ないと困る。ありがとう、という気持ちで、当たり前のものに感謝できたら、それだけで幸せになれる」といったことを話された。

作品の次郎を通して伝えたかったことを、自分の言葉で、体で理解されていて、次郎を演じるべき人に演じてもらえた、とうれしくなった。

岐阜のシナハンでお世話になった「NPO法人花の会」の小野崎隆賢さん、幇間・喜久次さんとも再会。お二人はドラマにも監修として参加されている。短い時間に岐阜の花柳界と魅力をぎゅっと凝縮して紹介していただいた充実のシナハンのおかげで、ドラマのイメージが豊かに膨らんだ。

次は長良川の舟遊びの舟の上でお会いしましょう。

桐谷さんは「ぼく、しゃべりすぎですよね」と自分に突っ込むこと、数回。語りたいことがいくらでもあるようで、毎日を多感に生きている印象を受けた。

「自分が役を作り、役が自分を作る.役者の仕事はそこが面白い」「ないものねだり、よりも、あることうれし」など名言も連発。次郎を作りつつ、次郎からも何かを吸収して、次に活かしてくれそう。

そんな桐谷さんを、芸妓・梅花役の蓮佛美沙子さんは「人生を楽しんでいる人」と表現。蓮佛さんの若いのに落ち着いた物腰にも感心。今後がとても楽しみな二人。

2010年03月21日(日)  子守話113「おえかきかさ くるくる」二つの結末
2009年03月21日(土)  マスカラぐらいは、つけますから。
2008年03月21日(金)  「321の会」@アスカフェ→タンタローバ
2007年03月21日(水)  MCR LABO #2「無情」@下北沢駅前劇場
2005年03月21日(月)  弘前劇場+ROGO『FRAGMENT F.+2』
2004年03月21日(日)  アドフェスト4日目
2002年03月21日(木)  「かわいい魔法」をかけられた映画


2013年03月19日(火)  放送まで待ちきれずに「どこかではないここ」

大人女子のアニメタイム「どこかではないここ」(原作:山本文緒さん 今週日曜3/24の22:50-23:15放送)と岐阜発オリジナルドラマ「父の花、咲く春」(さ来週水曜4/3の22:00-22:59放送)の完パケDVDが到着。いずれもBSプレミアムにて。



NHKはオリジナルドラマだとクレジット表記が「作:今井雅子」になるので、脚本家のことを「作家」と呼ぶプロデューサーさんも多い。

先に試写を観るか、放送まで待つか、毎度悩ましいけれど、待ちきれずに「どこかではないここ」を鑑賞。脚本を書いていたのは夏なので、はや半年。その記憶をゆっくり蘇らせながらしみじみ。

脚本で心がけたのは、語り過ぎず、心地よい「間」を取ること。音楽がしみいる余白ができて、主人公の気持ちに寄り添える作品になっていた。女性制作陣が粘ったクライマックスの場面では、目頭が熱くなった。

自信を持っておすすめします。今度の日曜です。ぜひ!
 4/7までNHKオンデマンドこちらで配信中 

2010年03月19日(金)  受賞者さんおめでとう「万葉ラブストーリー 冬」
2009年03月19日(木)  米アカデミー賞オスカー像は小柄で重かった
2008年03月19日(水)  整骨院のウキちゃん5 東京の首都は?編
2007年03月19日(月)  大木達哉さんを励ます会
2004年03月19日(金)  アドフェスト2日目
2002年03月19日(火)  パコダテ人ノベライズ計画


2013年03月18日(月)  そっか、お昼寝卒業、そして卒園。

卒園にあたり、保育園で借りていたシーツを、アイロンがけして返すことになった。

さて、アイロンは、どこにしまってあったっけ。

記憶をたどると、最後にアイロンを使ったのは、今の保育園に転園してきた2年前だったかもしれない。シーツに名前をつけることになり、ハンカチに名前を書いたシートをアイロンで貼りつけたのだった。

2年前は「前の保育園でも同じようなことやったのに、また……」と面倒くさがりながら、アイロンをかけた覚えがある。

今回は、アイロンでシーツのしわをのばしていると、「2年間お世話になったんだな」という感慨がこみあげた。



このシーツで、たまは何度お昼寝をしたんだろう。
でも、もうお昼寝は、ないんだな。
小学校にもお昼寝は、ないんだな。

「お昼寝のいらない」ステージに、たまは進級したのだ。
そう思うと、成長が実感されて、しみじみとなった。

シーツを保育園から持ち帰っても洗濯をさぼったことは一度や二度ではなかったけれど、この小さなシーツを洗うことはもうないんだと思うと、淋しくさえなるのだった。

3月頭の進級お祝い会で、卒園児が証書を受け取るのを見ていたときは、「卒園まであとひと月あるし」という気持ちだったのだけど、お昼寝卒業をかみしめて、「いよいよ卒園」の実感がわいた。

借りたものをきれいにして返すというのは、区切りをつける儀式になるのだな、と思った。

2010年03月18日(木)  ママすき〜きのうからすき〜ちがった、おとといから。
2009年03月18日(水)  「いかにもがさつな感じの水」という詩
2008年03月18日(火)  『スパイダーマン』のプロデューサーの言葉
2007年03月18日(日)  DVD6作品目の『天使の卵』
2006年03月18日(土)  ヘレンウオッチャー【公開初日編】
2005年03月18日(金)  あなたのペンが「愛・地球博」にそびえます。
2004年03月18日(木)  アドフェスト1日目
2002年03月18日(月)  『風の絨毯』高山ロケ3日目 高山観光


2013年03月11日(月)  としょかんのだってこと、わすれてたの(完結編)

2月27日の日記 としょかんのだってこと、わすれてたの(前編)3月4日の日記 としょかんのだってこと、わすれてたの(後編)の、さらに続き。

たまが落書きしてしまった歌詞カードを差し替えるため、同じCDを購入し、それを持って図書館へ。「新品で」と念を押されていたので、その場でCDの封を切ってもらい、歌詞カードを交換。

その過程を親子で見届けて、ひと区切りつけた。

落書きして、それを隠そうとハサミを入れた歌詞カードが、これ。セブン&アイグループのキャラクター「ボノロン」をかいてみよう、と呼びかけられて、つい書いてしまった。これが悲しいほど似ていない。後々見たときに「3歳頃のいたずら」と勘違いしてしまうかもしれない。



「買って弁償する」というお金での解決を6歳児に見せるべきかどうか躊躇いはあった。だが、借りたものを汚したら謝るのも当たり前だし、「何らかの代償が必要になる」のも当たり前。その当たり前のことを当たり前だと知ってもらうために、立ち会わせよう、と考えた。

お金を出せば許されるんでしょ、ではなく、小さな落書きがこんな大ごとになるんだ、と心に刻んでくれたら、と親は願っているが、さて、どうだろう。

わたし自身は、今回の出来事を通して「図書館の本は、みんなで読むもの、次の人に渡すもの」という意識をあらためて持つことができた。

「地球は子孫からの借りもの」というネイティブインディアンの教えを以前聞いたことがある。次の人に渡す、ということは、ベクトルを逆にすると、将来使う人のものを先に借りている、となる。

図書館の本を汚してそ知らぬ顔で返す人は、地球を汚すことにも無頓着な人なのかもしれないし、地球を「借りて返すもの」だととらえられる人は、あらゆる借りものに対して、謙虚さと慎重さを示せる気がする。

2012年03月11日(日)  「無農薬で米作りから酒造りを楽しむ会」最終回
2011年03月11日(金)  ティータイムに激震(1か月前)
2010年03月11日(木)  子守話112「おおさかじいじとマクドナルドへいく」
2009年03月11日(水)  辞書のご近所さん
2008年03月11日(火)  マタニティオレンジ251 一日一万アッハ(aH)
2007年03月11日(日)  『のど自慢』チャンピオン大会
2005年03月11日(金)  絶対王様公演『やわらかい脚立』
2004年03月11日(木)  岩村匠さんと再会
2002年03月11日(月)  漫画『軍鶏』


2013年03月09日(土)  「ビッグイシュー」を買ってみた。

今年4度目のアイススケートへ。

3度目のスケートに行った帰り道、JRの駅前で、ビッグイシューを手に立っている人がいた。

「ビッグイシュー買ったことある?」とダンナに聞くと、
「何それ?」と聞き返され、
「ほら、あの人みたいに立ち売りしてる雑誌。売り上げの何割かが現金収入になって、ホームレスの自立支援になるんだって」と答えて、
「ビッグイシュー、知らなかった?」と聞くと、
「そんなに驚くことでもないだろ?」という反応を返された。

そのまま、ビッグイシューの人から遠ざかりながら、そもそもわたしはなんで知ったんだっけ、と記憶をたどり、映画の企画打ち合わせで、誰かが「ビッグイシューのホームレス人生相談、面白いよね」と言い、その場にいた何人かが「あれ面白いよね」と同調し、わたしが「それ何ですか」と聞いたのを思い出した。

「それ何?」を聞いたのが、今だったか何年前だったかの違いなだけで、わたしも買ったことはないし、誌面を見たこともない。

そう考えると、わたしも、知っているとは言えないわけだった。

そして、数週間経って、今日またスケートに行った帰り、JR駅前の同じ場所に、ビッグイシューの人が立っていた。

50メートルほど行き過ぎてから、立ち止まり、引き返した。

「ください」と言うと、「最新号でいいですか」と聞かれた。
頭上に掲げているのは最新号で、他にバックナンバーが一冊ずつ何種類も箱に納まっていた。

6歳娘のたまと一緒にしゃがみこみ、バックナンバーをひとつずつ見ていった。

一冊手に取るたびに、
「これは、よく売れたクールな特集です」
「これは、地震に備える心構えを特集しています」
などと説明してくれた。

学校について特集されたものにしようかと思ったら、
「まま、ひつじのしょーんがあるよ」
ショーンの顔のアップが表紙になっている一冊をたまが手に取り、それに決めた。



一冊300円。
登録した販売者に、最初の10冊を無料で提供。その売上金3000円を元手に一冊140円で仕入れて販売し、差額の160円を収入にする仕組み。

10冊売れれば1600円。100冊売れれば16000円。
一日でどれぐらい売れるのだろう。

一緒に受け取ったリーフレットによると、ビッグイシュー日本版の創刊は2003年9月11日。創刊以来8年間で516万冊販売、7億1276円をホームレスの人に提供とある。2013年の今、その数字はどこまでのびているだろう。

雑誌の中身はというと、全32ページの薄さながら、中身はぎゅっと濃い。つぶやきシローさんが自らの死亡説が出たことを「負のターニングポイント」と語る巻頭インタビューに始まり、小さなコラムのひとつひとつまで読ませる内容。

古い住宅街を行政が地上げし、取り壊す一方で、「1万2千ポンド以上を家の修繕に使い、一定の年数住み続けること」という条件で空き家をタダ同然で払い下げた地区で、周辺の住民も自分たちの家を修繕するようになた、という記事も興味深い。

壊して新しくするほうが手っ取り早いかもしれないけれど、手をかけて使い続けることで、育つものもある。

「一日の撮影はわずか6秒分」という「ひつじのショーン」の成功の陰で、英国のアニメ制作が斜陽となりつつあることも知った。

知ったつもりになっていたホームレス人生相談は、「人生は結局プラスマイナスですか」という70歳女性講師の質問に「これは今までで一番難しい質問かもしれへん」と困りつつ「幸せと不幸を分ける線があるわけとちゃうし、上見ても下見てもきりがない」「結局、人生に何が起こったかというよりも、とらえ方、気持ちのもち方なんやろうね」と大阪のTさんが回答。

販売者を紹介する「今月の人」では阪急豊中駅前に立っている男性が「やっぱり多く売るコツは、長時間立つことにつきますね。初めて買うのにちょっと勇気がいる雑誌ですから、『あ、何度通ってもあの人いるな』と思ってもらうのが大事かな」。

わたしが初めてのビッグイシューを購入した男性も、「たいてい、ここにいますから、また良かったら他のも見てください」と言っていた。次からは、行き過ぎてためらうことなく、見せて、と声をかけられると思う。

2011年03月09日(水)  確定申告完了(3週間前)と納税への意識
2010年03月09日(火)  一分の差で物干竿に直撃されていたかもしれない
2009年03月09日(月)  自分の子でも知らないことだらけ
2008年03月09日(日)  マタニティオレンジ249 「野菜バイバイ」にバイバイ作戦
2007年03月09日(金)  マタニティオレンジ89 4月から0歳児保育
2006年03月09日(木)  ヘレンウォッチャー【松竹本社編】
2002年03月09日(土)  映画『カンダハール』


2013年03月08日(金)  「勝手にキャッチコピー委員会」ガンダムフロント東京

テレビ東京「勝手にキャッチコピー委員会」(収録の模様は2月19日の日記に)。インパルス板倉俊之さんとの3本勝負の最後のお題は、「ガンダムフロント東京」の「オールターゲット向け」動員コピー。

コアなファンだけではなく、老若男女、幅広い人に来てほしいとのこと。

対戦者の板倉さんは、コアなファン。何がすごいって、それまで「寒い」を連発して体を震わせていたのに、ガンダムフロント東京に着いた途端、吹きすさぶ風に髪を逆立てられても、「寒い」と口にしなくなったのだった。弾丸トークに熱中して寒さを忘れたのか、ガンダム愛の熱さで体温まで急上昇したのか。

わたしは「言葉の匠」としての出演だったのだけど、板倉さんは「ガンダムの匠」なのだった。

小学校の頃、クラスにも板倉さんみたいな男の子たちがいて、ガンダムの話になると止まらなかった。文通していた長野のさおりもガンダムに夢中になっていた。ガンダムの波は手が届くところに押し寄せていたけれど、わたしは波に乗りそびれたまま大人になった。

十年ほど前、ガンダムが登場するある原作の脚本を書く機会があり、当時は主要キャラクターの顔と名前は把握したつもりだったのだけど、「ガンダム、わかりますか?」と司会のビビる大木さんに聞かれて「名前なら知ってます」と答えてしまうレベル。グッズショップにあったアムロ箸に添えられた「アムロ、いただきます!」のコピーが「アムロ、行きます!」のパロディだとわからず、板倉さんに驚かれた。

ここまで距離感のあるわたしでも、ガンダム焼きを頬張りつつ、ライトアップされたガンダム像を眺めると、ワクワクするのだった。

20代にデートで来ていても、30代に夫婦で来ていても、それなりに楽しめただろうなと思った。もっとも、その頃ガンダムフロント東京はまだなかったのだけど。40代の今、ガンダムを知らない娘と来ても、わかってない者同士なりに面白がれる気がする。

そんなわけで、

ときめいた今が
ガンダム適齢期。

というコピーが思い浮かんだのだけど、とくに訴えたいターゲットを館長さんに尋ねたところ「ファミリー」と言われ、女性目線コピーよりも「パパが一家を引き連れて来る」路線か、と考え直すうちにタイムオーバーとなった。

提出したコピーは、

お父さんの好きなものは
ぼくも好き。


せめて「お父さん」を「パパ」にすべきだった、というレベルでもなく、練り足りない。「かつてのガンダム少年が父になって子どもを連れてくる」という図式のコンセプトワードで止まっている。

対する板倉さんのコピーは、

貴様だって
来たいん
だろうに!

客を「貴様」と呼ぶところがガンダムファン心理をくすぐるらしく、館長さんを大いにうなずかせていた。

異種格闘技に引っ張り出されたものの、いつパンチを出していいかもわからないまま試合終了。

メモでは「親子二世代 ガンダム世代」「パパの初恋」といったキーワードまでは思い浮かんでいたけれど、コピーにはまとまらなかった。

ロケバスに乗り込んでから、

ガンダム二世代。

パパの初恋に
会いに行こう。

と、いくらかコピーらしい形を思いついた。

「パパの〜」は、「親の初恋」という秘めたものと「会いに行こう」という呼びかけのギャップを狙ったのだけど、ガンダム愛は恋と呼べるのか。

ガンダムの匠ではなくても、コピーの匠なら、予備知識マッシロでもその場で気のきいたコピーをつけられたはずで、すっかりコピー筋がなまっているのを痛感した。

コピーの仕事が舞い込んだりして、といらぬ心配までしたけれど、結果は3連敗。やはり今井雅子はコピーライターより脚本家が向いているってことで。

2011年03月08日(火)  お弁当箱ぴっかりん(3週間前)
2010年03月08日(月)  確定申告の控えはもらうべし。持っておくべし。
2009年03月08日(日)  小林涼子ちゃん初舞台『ロミオとジュリエット』
2008年03月08日(土)  マタニティオレンジ248 十人十色のお祝い会
2007年03月08日(木)  身につまされた映画『ドリームガールズ』
2006年03月08日(水)  innerchild vol.11『PANGEA(パンゲア)』
2004年03月08日(月)  勝地涼君初舞台『渋谷から遠く離れて』
2002年03月08日(金)  言葉の探偵、『天国の特別な子ども』を見つける。


2013年03月07日(木)  「勝手にキャッチコピー委員会」くら寿司

テレビ東京「勝手にキャッチコピー委員会」。インパルス板倉俊之さんとの3本勝負の残り2つが昨夜深夜25時55分から放送された。

前回より放送時間が一時間ほど後ろになったこともあるのか(次週以降は25時35分からの放送)、前回以上に反応がおとなしい。

まさかの3連敗に、かける言葉がなく、触れないでおこうとしているのかもしれない。

現職のコピーライターなら仕事を失う危機だけど、今はもう脚本家だし、大丈夫、触れてよいですよ……と開き直りつつ、収録では「お笑い芸人に負けるなんて!」とけっこう本気で悔しがってしまったのだけど、そこは幸いカットされていた。

収録の模様は2月19日の日記に譲り、まずは「無添くら寿司」。お題は、くら寿司を知らない人にも刺さるブランドコピー。

勝負を制した板倉さんのコピーは、

食と笑顔で
ほっぺた ふっくら

収録を忘れて食事とおしゃべりに夢中になって、楽しかった、その気持ちが素直にコピーになっている。

対する今井雅子のコピーは、

それでも
地球と
くら寿司は
回っている。

わたしが子どもの頃、お寿司が回るのは珍しかったけれど、今では地球が回るのと同じぐらい当たり前のことになっている。「それでも地球と○○寿司は回っている。」は、回転寿司チェーンすべてで使えてしまうコピーだけど、当たり前じゃないことを数々の発明で当たり前にしてきたくら寿司が真っ先に宣言して天下取ってしまいましょうという提案。

空いた皿五枚を入れると景品が当たるスロットゲームが楽しめる装置に「びっくらポン」と名づけた社長のセンスにならって駄洒落合戦となったのだけど、板倉さんのほうが素直でわかりやすかった。

板倉さんのコピーは意識されたのか無意識なのか、「ほっぺた」と「ふっくら」がハ行で始まり、「っ」が続き、ア行で終わっている。韻を踏んでリズム感があり、響きそのものが楽しい。

わたしが元ネタの「それでも地球は回っている」の言葉をのこしたガリレオ・ガリレイの名前に「ガリ」が二つ入っている点をアピールすると、すかさず板倉さんが「ぼくもガリガリ」と自らをネタに。司会のビビる大木さんが「ガリは売りじゃないですからね」とトドメを差した。

でも、板倉さんが「勝ったのに、この敗北感はなんなんでしょう」と悔しがってくれたのと、「手書きとは思えない」とコピーの字をほめてくれたのは、いい記念になった。

板倉さんのコピーは早速広告などで使いたい、とのこと。わたしのコピーは「お客様向けというより社内向けかも」と言われたので、「社長室に飾ってください!」と売り込んでおいた。多分飾られないだろうけれど、「堺親善大使」ネタがカットされずに放送されたので、それだけでも十分おいしい結果。

ちなみに、「てっぱん」ファンなら第18週「帰ってきたヨッパライ」の小早川のぞみと岩崎潤のセリフ(「なんか地球が回ってる」「バイ・ガリレオ・ガリレイ」)を思い出すかも、とも思ったのだけど、今のところファンも気を遣っているのか沈黙している。

駄洒落じゃないコピーでは、

「おかえりなさい」の味がする。

というのを考えた。

わいわいとお寿司やデザートをつまんでいるときに、「こうしていると家族みたいですね」とMCの新井恵理那嬢。いつもより口数がふえて、他人も家族になれるし、家族はもっと家族らしくなれる。そんな懐の大きさ、あったかさを感じた。

また、くら寿司は「食の戦前回帰」、つまり、添加物を使わず素材の味を大切にする日本の昔からの食事を目指しているとのこと。やさしくて、ほっとする、どこか懐かしい味。そして、わたしの故郷、大阪堺で育まれた味でもある。

くら寿司さん、堺出身同士、今後ともよろしくお願いします。

3本勝負の3本目、「ガンタムフロント東京」は明日の日記に。

2012年03月07日(水)  おじゃる丸スペシャル「銀河がマロを呼んでいる」試写
2011年03月07日(月)  メデコミ会トークライブで即興脚本(1か月前)
2010年03月07日(日)  生きるとは、色を与えて散ること。
2009年03月07日(土)  イタリアの風に吹かれる会
2008年03月07日(金)  マタニティオレンジ247 ヒヤリハットで済んだ話
2007年03月07日(水)  マタニティオレンジ88 笑いの効能
2006年03月07日(火)  ヘレンウォッチャー【全国からありがとう編】
2002年03月07日(木)  誤植自慢大会


2013年03月04日(月)  としょかんのだってこと、わすれてたの(後編)

2月27日の日記 としょかんのだってこと、わすれてたのの後編。

舞台を図書館に移して、物語の続き。
「ここでまってる」と戸口まで下がって尻込むたまの手を引いて返却カウンターへ。

カウンターの中には女性が二名。
ベテラン風の年配の方と、まだ二十代に見える若い方。
ベテラン風の方が空くのを待っていたけれど、若い方と目が合ってしまい、
「あのう、お詫びしなくてはならないことが……」と切り出すと、またも脱走を試みる、たま。
「ここにいなさい」
「やだ、しかられるから」
「黙って返すのは、もっと良くないことだよ」
「でも、しかられる」
「正直にお話ししたら大丈夫。ママも一緒に謝るから」
と引き止め、話を続ける。

「図書館でお借りしていることを忘れて落書きしてしまいまして……」と事情を話すと、その若い方が、わたしの背中に隠れるようにしているたまに目線を合わせて、「えらかったね」と一言。

わたしの手をぎゅっと握っていた、たまの力が一瞬ゆるんだように感じた。
それとも、たまの手を握っていた、わたしの力がゆるんだのか。

えらかったね。

この一言を聞かせられただけでも、一緒に来て良かったと思った。

その後は、事務的に、ことは運ばれた。「上の者に相談します」と若い方からベテラン風の方に事情が伝えられ、彼女に引き継がれると、「図書館では、落書きなど傷をつけられた資料は貸し出せなくなり、破棄することになります。つきましては、破損資料の弁償をお願いします」と伝えられた。

ベテラン風の方がネットで調べ、「アマゾンで買えます」と告げられ、「新品でお願いします(※つまり、中古では買わないこと)。新しい歌詞カードをお持ちいただき、破損した歌詞カードと差し替えます」と言われ、そのときに持参してくださいと弁償の旨が書かれた小さな紙を受け取った。

絶版などの場合は、別のもので弁償するのだろうか。

ベテラン風の方の対応は、あくまで淡々としていた。仕事として、こなすべきことをこなされていたけれど、最初にこの方に声をかけていたら、「えらかったね」は聞けなかった。

あの若い方が一言だけ、たまにかけた言葉が「えらかったね」だった、そのセンスに感心。わたしとたまのやりとりを聞いて、ここに来るまでの経緯に思いを馳せ、たまの屈託を感じ取ってくれたのだろう。と同時に、わたしの「人を見る目」もまだまだだな、と思った。

家に帰ってすぐ、amazonで新品のCDを買った。
「図書館で借りたものを汚すと、新しいものを返さなくてはならない」という教訓を親子で学んだ。

「で、このCD代は、どうする? たまがお年玉から出す?」と聞いたところ、「たまちゃん、ちょきんしてるから」と、ちゃっかりした答え。

じゃあお手伝いしてもらおっか、というわけで、これから1か月のお風呂掃除を手伝ってもらうことに。落書きの代償に掃除というのも良いかもしれない。


2012年03月04日(日)  雛祭りらしいこと
2011年03月04日(金)  「てっぱん」総集編打ち合わせ(1か月前)
2010年03月04日(木)  buku連載15杯目は「脚本家は人恋しがり屋」
2008年03月04日(火)  マタニティオレンジ246 耳掃除ムイムイ
2007年03月04日(日)  マタニティオレンジ86 初節句
2005年03月04日(金)  押忍、ひさしぶりの総会っす。
2002年03月04日(月)  感想


2013年03月03日(日)  「内」に「人」が入ると「肉」になる

たまの保育園のお祝い会を見るために大阪からやって来た両親に「今日はどこに行きたい?」。鎌倉がいいか、それとも、鴻巣のお雛様を見に行こうかと希望を聞いたら、「私ら、すでに旅してきてるから、これ以上旅せんでもええ」と母。「それより、あんたの家を片づけたい」と言うので、ぶらぶらと散歩がてらお昼を食べに行くことにした。

お気に入りのトラットリア・タンタローバが満席で、道路をはさんだ向かいへ移動。デリとレストランになっていたその店が、肉屋とレストランになっていた。田園調布にある熟成肉専門店「中勢以」の茗荷谷店だという。

昨日からランチを始めたというレストランの名前は「内」といい、「内に人が入ると肉になる」と言うので、驚いた。つい先週、たまが「内」という字を「肉」と読み、「それじゃあ内幸町は肉幸町だよ」と大笑いしつつも、「たしかに肉と内は似ている」と感心したばかりだった。



これもご縁、とお店の人に気持ちよく乗せられて、店内へ。

1200円のキーマカレーの次は、スープと前菜とメインとごはんと漬け物で2500円、その上は熟成肉の5000円のコースという強気な価格設定ながら、内装もお味も一見の価値あり。



最初に出される小さなカップのスープは、しっかりと手間ひまが感じられ、次の皿への期待が高まる。前菜のひとつひとつも丁寧に作られ、満を持してのメインは、どうだと言わんばかりの絶妙で上品な肉のうまみを引き出す味つけ。


両親をもてなすには打ってつけの店と思っていたら、「たまちゃんの入学祝いに」とご馳走になった。

秋頃に父から「たまちゃんに、デスクかランドセルか買うたる」と電話があり、「ランドセルはもう買ったし、デスクは買う予定がない」と答えると「ほな、ランドセルを大阪じいじばあばが買ったことにして」と言われ「今さらそれは……」となっていたのだが、肉食系のたまには肉で祝うのも良かろう。

帰りにお肉屋さんのショーケースをのぞいて、びっくり。ブティックの一点もの作品のように麗しく並べられたお肉たちの美しいこと。最高級のプライドを醸し出すたたずまい。冷蔵庫で何週間も寝かせて作るという「熟成肉」のお値段が、100gで数千円!となると、この熟成肉を5000円で味わえるランチはお値打ちということになる。次回、機会があれば、どんな味なのか食べてみたい。

2011年03月03日(木)  雛祭り(1か月前)
2010年03月03日(水)  「ひな祭り」はしなかったけど毎日が「たま祭り」
2009年03月03日(火)  「つばさ」第一週記者試写
2008年03月03日(月)  マタニティオレンジ245 みつけものとなくしもの
2006年03月03日(金)  ちばっちと亀ちゃんの舞台『Soulmate』
2005年03月03日(木)  南イタリア魚介料理『ラ・スコラーレ』
2002年03月03日(日)  文京区のスポーツクラブ

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