2009年03月08日(日)  小林涼子ちゃん初舞台『ロミオとジュリエット』

子ぎつねヘレン』の矢島美鈴役、『ブレスト〜女子高生、10億円の賭け!』の佐々木操役、『ドクターヨシカの犯罪カルテ』(坂上かつえさんと共同脚本)の藤崎莉奈役と今井雅子脚本作品にいちばん多く出演してくれている小林涼子ちゃんの初舞台『ロミオとジュリエット』を観る。東京グローブ座の客席を埋めたのは、見渡す限り女性(圧倒的に若い!)。男性率は1%あるかないかというところで、「キュン」というトキメキ音が四方から聞こえてきそうな感じ。ロミオ役の上田竜也さん、ジュリエットの従兄弟ティボルト役の長谷川純さん、ロミオの親友マキューシオ役の山下翔央さんなど乙女のハートを射抜く美男子キャストぞろいな上、小林涼子ちゃんのファンも女の子が多いそう。

脚本は数々のドラマのほか、『電車男』『7月24日通りのクリスマス』など映画でも活躍されている金子ありささん。舞台は初めてということだが、現代的な台詞回しでシェイクスピアの世界を時代設定はそのままに、今の若者に通じる話に仕立てた。休憩を挟んで3時間になりそうな大作を2時間にぎゅっと凝縮したことでテンポ良く物語が運ばれ、笑いをまぶしつつクライマックスでは場内をすすり泣きの嵐に巻き込むさすがの出来映え。その脚本に命を吹き込む役者陣も達者で、とくに若い出演者が思いのほか滑舌が良く、台詞を自分のものにしていたことに目を見張った。

お目当ての小林涼子ちゃんは、ぐっと大人っぽくなったけれど少女の可憐さも遺していて、いちだんと輝きを増していた。用意していただいた席が舞台正面の前から3列目という目が合いそうな距離で、大きな瞳に吸い込まれそうになりながら、見とれてしまった。着せ替え人形のように次々と変わるドレスはどれもよく似合い、長い手足とバレエ仕込みの美しい動きが映えた。とくに舞踏会での猫の仮装ドレスは、ロミオでなくとも恋に落ちてしまう愛らしさ。内面のキラキラしたものがそのまま瞳の輝きや表情のきらめきに現れているような涼子ちゃんの魅力は、恋にときめくジュリエットの役柄に良く合っていて、生き生きと舞台を動き回ると、ピクシーダストの軌跡が見えるようだった。初舞台の初々しさと持ち前の度胸のバランスも、愛すべきジュリエットを作り上げていた。

悲劇のラストの余韻さめやらぬなか、カーテンコールのお辞儀に出演者の感激と感謝がこもっていて、そこにまた、じいんとしてしまった。最後は、客席総立ちで拍手の嵐。

終演後、涼子ちゃんの楽屋へ。わたしのおなかが大きいときにマネージャーの宇井さんを交えてお食事をしたきりで、おなかから出てきた娘が2歳半ということは、3年近く会っていないことになる。以前イギリス旅行をしたときに、シェイクスピアの里、ストラットフォード・アポン・エイヴォンのシェイクスピア劇場で『ロミオとジュリエット』の台本の豆本と目が合って日本に連れて帰ったのだけど、それは今日涼子ちゃんにプレゼントするためだったのだ。子ぎつねヘレンを撮っていた頃、涼子ちゃんが「今、星の王子様を訳しているんです」と言っていて驚いたのだけど、それが英語ではなくフランス語で、二度驚いたことも懐かしい。舞台を観て、あらためて、また作品をご一緒したい、と心から思った。

2008年03月08日(土)  マタニティオレンジ248 十人十色のお祝い会
2007年03月08日(木)  身につまされた映画『ドリームガールズ』
2006年03月08日(水)  innerchild vol.11『PANGEA(パンゲア)』
2004年03月08日(月)  勝地涼君初舞台『渋谷から遠く離れて』
2002年03月08日(金)  言葉の探偵、『天国の特別な子ども』を見つける。

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