2013年07月03日(水)  おくりものをおくりあうこと。(金蘭千里中学校講演・後編)

先週の実践女子大学では質問がなかなか出なくて長い沈黙があったけれど、今回は果たして……。

やはり中学生、なのか。
やはり大阪、なのか。

次々と手が挙がり、質問が途切れることなく30分。

「こんなん聞いてええんやろか」のハードルを飛び越えて、ギャラの質問まで飛び出した。その質問のおかげで、さらに聞きやすくなったようで、素朴な疑問をたくさん投げかけてもらえた。

帰りの新幹線からツイッターにせっせと書き込み、自前ハードディスクから自然消滅する前に外付けハードディスクにお引越。「脳みその出張所」を持ちましょうと今回の講演でもお話ししたところ。

順番はうろ覚えだし、漏れもあるかもしれないけれど、書き留めた質疑応答は以下の11問。

Q1.書けなくなるときはありますか? そういうときはどうしますか?
A1.スランプはあまりないですが、ネタに詰まったときはパソコンの前で唸っていてもしょうがないので、お皿を洗ったり子どもの相手をしたり、他のことをして気分転換します。その間も脚本のことを頭の片隅に留めて心の傘を開いておくと、ふとしたときにひらめきます。
勉強もそうで、気分が乗らないときはいったん離れたほうが集中できると思います。

Q2.脚本は何日ぐらいで書きますか?


A2.90分の脚本を2日で書いたことがあるのが最速です。速さは大事だけど、速ければいいってものでもなくて、粗いと直しに時間がかかって、結局遠回りになります。29文字×26行を一時間で10枚書くこともあれば1枚のことも。考えがまとまっていると速いし、悩むと止まります。映画だと2時間分の脚本を書くのに一か月ほどもらえて、急がなくていいからじっくりいいもの書いてと言われたりします。

Q3.『子ぎつねヘレン』のとき、いくらもらいましたか。

A3.駆け出しでしたが結構な原稿料でした(講演では具体的な数字を披露)。こんなにもらえるのと驚きましたが、かなり時間がかかってるので、これぐらいもらわないと大変ですね。子ぎつねヘレンは、原稿料以上に著作権の二次使用料が大きかったです。地上波で放送されるだけで30万など。DVDを買ったり借りたりしたときの著作権使用料もとても大きいので、最近は違法にアップロードされたものを観れたりもしますが、ちゃんとレンタルして観てくださいね。

Q4.学校で配られたプロフィールにCMソングってあるけど、どんなのを作ったんですか?


A4.冷凍食品は-18度以下で冷凍をという冷凍マイナス18号ソングをYouTubeで見られます。「魚・魚・魚」の歌みたいにいつかブレイクするかもしれないので、どんどん見て話題にしてあげてください。他にやきいもやトマトやちらし寿司の歌も。

Q5.締め切り前なのにアイデアが思いつかなくて進まないときはどうしますか?

A5.頭の片隅に留めておくと、締め切り前のぎりぎりにアイデアが思いつくこともあります。札幌のNHKの脚本コンクールに出す作品を書いたときは、締め切り1週間前に「発症後の記憶の蓄積ができなくなる記憶障害」というのがある、と会社の隣の席の人が読んでいた雑誌で知って、それで書き始めたんですが、北海道とつながらなくてどうしようと思ってた。そしたら、会社に出勤する途中の階段で「雪=記憶だ!」ってひらめいたんです。はかなく溶ける雪と記憶と重ねて、でも、雪をぎゅっと固めて雪だるまにしたら溶けにくくなる。そこから「雪だるまの詩」という作品が生まれました。
最良の案が思いつかないときも、そこで立ち止まらず、代わりの案で先へ進んで、演出やプロデューサーともっといい案を考えます。たまにホームランを打つのではなく安定して打てるのがプロかなと思います。


Q6.日記を書くのと脚本を書くのとどっちが楽しいですか?

A6.映画やドラマになったほうが反響は大きいけれど、日記のファンというのも結構います。20年以上音信不通だった友人が、実はずっとわたしの日記を読んでいて、先日講演を聴きに来てくれました。書いてて良かったって思いましたね。また、日記を読んで、「この人に脚本の仕事を頼んでみよう」とプロデューサーなどが声をかけてくれることも。長い自己紹介みたいな感じですね。

Q7.脚本家になろうっていつから決めてたんですか?

A7.小学生からお楽しみ会といって学芸会の脚本を書いて自作自演したりしていました。でも、脚本家という職業があるのは知りませんでした。夢は小さい頃からコロコロ変わって、教師になる夢もあって教育実習にも行きました。担当したクラスが文化祭でやる劇が偶然わたしが高校時代にやったのと同じ「オズの魔法使い」だったので、演出と振付けを買って出て、朝練昼練放課後練習に燃え、本番では生徒より感激して号泣し、担当教官から「教師がいちばん楽しんでどうするんですか」と教師には向いていないと言われ、コピーライターを経て脚本家に。好きなことを続けてたら仕事になったわけですが、今こうして学校でお話しさせてもらってるし、教師の夢もかなっています。

Q8.出演者に会う機会はありますか?

A8.ロケに行くと沢山話せます。脚本のことで質問されることも。脚本を書き終えたら差し入れ持って行くぐらいしか仕事がないので、差し入れを届けがてら撮影にお邪魔します。

Q9.小説を書いたりはしないんですか。

A9.書いたりしてますが、本はなかなか売れなくて。でも原作者になって自分の原作が映像になると楽しいので、出版社に売り込む漫画の原作を今書いているところです。

Q10.どういうときにアイデアを思いつきますか。

A10.歩いていたり電車に乗っていたりするとき。劇作家も沢山歩くそうです。頭の片隅で考え続けながら歩いてると、ひらめくことが多いです。机の前でひらめくことはあまりなくて、パソコン打つのはまとめているときです。

Q11.映像を観て、脚本と違ってると思うことはありますか。
A11.あります。すごくいいシーンに化けることもあるし、逆に、こんな感情むきだしのつもりじゃなかったのにと違和感を覚えることも。原作者の方も脚本を読んで、同じようなことを感じるのかもしれません。自分の想い描いたイメージと出来上がった映像が違うときは、脚本の指示がうまく伝わらなくてイメージを共有できなかったんだなと反省します。

ギャラの話を聞かれたことで著作権使用料の話ができ、脚本家にいつからなろうと思っていたかと聞かれて教育実習のエピソードを紹介できた。「冷凍マイナス18号の歌」も、「雪だるまの詩」も、質問が石ころ棚の奥から引っ張り出してくれた。

講演は、「おくりもの」のつもりで、相手の心に届くようにと願いを込めて話しているのだけれど、講演のたびに、わたしもたくさんの「おくりもの」をもらっている。

自分の中に眠っている宝物に気づかせてもらえて。
それを誰かの手で磨き直してもらえて。

今日のように質問がたくさん出たり、熱い感想を伝えられたりすると、自分が贈った以上の「おくりもの」を受け取ったような気持ちになる。



映画『子ぎつねヘレン』から生まれた絵本『子ぎつねヘレンの10のおくりもの』のサイン本に添えるメッセージ「生きることは、おくりものをおくりあうこと」のように、講師も教えられて、成長させてもらえる。

講演は、おくりものをおくりあうこと。

2012年07月03日(火)  でんでん虫のでんこちゃん
2010年07月03日(土)  子どもが時を刻んでいる
2009年07月03日(金)  なぜかショップ99で話しかけられる
2008年07月03日(木)  マタニティオレンジ307 シール貼り放題!段ボールハウス 
2007年07月03日(火)  マタニティオレンジ140 七夕に願うこと
2005年07月03日(日)  親子2代でご近所仲間の会
2000年07月03日(月)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/28)


2013年07月02日(火)  金持ちより、人持ち。(金蘭千里中学校講演・前編)

大阪・金蘭千里中学校にて、3年生に向けた「進路講演会」でお話しさせていただく。前回講演した中学2年生は、今高校3年生。
>>>2009年11月16日(月) 金蘭千里中学校講演「宝物はあなたの中にある!」

3年半ぶりの、ただいま!

校長室には、前回講演したときに書いた色紙が。

「宝ものはあなたの中にある。それを宝の山にするのも宝の持ちぐされにするのもあなた次第」と小説『ブレーン・ストーミング・ティーン』の一節をしたためたもの。脚本協力した朝ドラ「つばさ」総集編と脚本を書いた「つばさ」スピンオフの告知葉書とともにラップをかけて大事に保存してくださっていた。



その左隣にある絵本『わにのだんす』は、講演の後、辻本賢校長に受け取っていただいた。

お茶目でお話好きな辻本校長は3年半のブランクを感じさせない気さくさで迎えてくださり、相変わらず楽しそうにうれしそうに金蘭の生徒や卒業生の自慢をされるのだった。色々と気を遣うことの連続ではと察するのだけれど、実に飄々としている。学校と生徒たちを面白がる力が人一倍すぐれているのだろう。


『わにのだんす』に添えたメッセージは、おなじみの「金持ちより人持ち」。

講演では、とくに、そのことを感じる。

もちろん謝礼を頂戴し、交通費まで出していただけるのだけど、何のために講演に行くかといえば、お金を受け取るためではなく、人に会いに行くため。わたしが脚本の仕事を通して発見したこと感じたことを分かち合い、その石ころを受け取った人たちが面白がって転がして光らせてくれるのが何よりうれしい。

今回の講演では、たくさんの質問が石ころを磨いてくれた。
忘れないうちにと帰りの新幹線からツイッターに書き込んだ質疑応答は、かなりの分量があるので、明日の日記に送ることにする。

前回と今回の大きな違いはfacebookの登場。3年半の間に、わたしも金蘭千里中学校もfacebookを始めていた。
>>>金蘭千里高等学校・中学校(公式)facebookページ

講演が終わって校長室に戻ると、パソコンをのぞきこんだ辻本校長が「もううちのfacebookに上がってますわー」。またたく間にレポートがアップされ、すでに「いいね」が2つついていた。そのスピードもさることながら短時間でまとめたレポートの的確さに驚いたら、国語科の先生が書かれたとのことで納得。

2012年07月02日(月)  「ありがとう」と「ごめんね」と「だいすき」
2010年07月02日(金)  「千回おめでとう」の千賀と再会
2009年07月02日(木)  「胸が痛む」のではなく「おっぱいが泣く」という感覚
2008年07月02日(水)  マタニティオレンジ306 雨の日も風邪の日もビデオ三昧
2007年07月02日(月)  マタニティオレンジ139 マジシャン・タマチョス
2006年07月02日(日)  メイク・ア・ウィッシュの大野さん
2005年07月02日(土)  今日はハートを飾る日
2004年07月02日(金)  劇団←女主人から最も離れて座る公演『Kyo-Iku?』


2013年07月01日(月)  「はとぶえ」と「堺かるた」は宝物(広報さかいインタビュー)



堺市の「広報さかい」7月号の堺親善大使連載インタビュー「好きです堺」に今井雅子が登場。

5月の東京さかい交流会の折に取材を受けたもので、このとき堺市広報課の方が、かなり厚みのある「脚本家・今井雅子日記」のプリントアウトを持って来られたのが印象的だった。

プリントアウトには蛍光マーカーがびっしり引いてあり、そこまでわたしの人生を読み込んで取材に臨んでくださったのかと驚き、感激した。おかげで、とても気持ちよく話を引き出していただけた。

取材対象への興味と敬意を抱くこと。それが基本。それが大事。脚本執筆の取材においても、PTA新聞の取材においても。その興味と敬意が相手に伝われば、取材する側にも返ってくる。

取材は「なんで?」と「そんで?」の連続。質問に答えることで、記憶の森に埋もれていた石ころが掘り起こされ、頭のあちこちに散らばっていたカケラがまとまり、彫刻され、輝きだす。

今回の取材では、堺で過ごした子ども時代の話を中心に聞いていただいたので、「体を使って遊びを作り出していた経験が今につながっている」「はとぶえと堺かるたは堺の宝で、わたしが物を書く原点」と自分の中にある宝の山にあらためて気づくことができた。

「はとぶえ」は、堺市の小学校の子どもたちから詩や作文や習字や図画を募って採用掲載する児童文化誌。昭和26年(1951年)に「児童詩集」として創刊されたのが始まりだそうで、すでに62年の歴史があり、今も続いている。「はとぶえに載る」ということは、自分の書いたものが認められたということ。その誇らしさが、書き続ける自信をくれる。

「堺かるた」は堺市の歴史や名所をうたいあげたもので、格調高い名調子は何十年経っても忘れない。(こちらで札の紹介も)

この二つを始められた別所八十次先生が、わたしが高倉台小学校に在籍していたときの校長先生だった。他の小学校以上に、はとぶえと堺かるたに力を入れられていた環境で、わたしの「言葉」への興味は磨かれていたことになる。

PDF版はこちら

広報誌に納まり切らなかったエピソードも読めるHTML版はこちら。中学校時代のソフトボール部の話題も。

2011年07月01日(金)  ウーマンリブ公演『サッド・ソング・フォー・アグリー・ドーター』
2010年07月01日(木)  7月になつちまつた
2009年07月01日(水)  2才10か月で「夏の扉」を開ける
2008年07月01日(火)  マタニティオレンジ305 トイレトレーニングは「まだ!」
2007年07月01日(日)  マタニティオレンジ138 いつの間にか立ってました
2005年07月01日(金)  ハートがいっぱいの送別会
2003年07月01日(火)  出会いを呼ぶパンツ
1998年07月01日(水)  1998年カンヌ広告祭 コピーが面白かったもの


2013年06月30日(日)  青空ごはんがおいしい理由



公園のテーブルで、ピクニック。

青空の下で食べると、どうしてこんなにおいしいの?

空気がおいしいから?

風が気持ちいいから?

細胞が喜んで、お箸が進むのかも。

もちろん、お酒も進みます。

おしゃべりも、弾みます。

一人一人のお弁当を広げるのも楽しいけれど、

大皿をつつき合うのは、もっと楽しい。

子どもたちは、さっさと席を立って、なわとび。

二重跳び、できるかな。

ほろ酔いの大人が我も我もと競い合って、目を回して。

そして、また、おなかが空きます。

2010年06月30日(水)  外装工事が終わり、一年の半分が終わる。
2009年06月30日(火)  『1Q84』の話題からエリックさんにたどり着く
2008年06月30日(月)  『蘇る玉虫厨子』洞爺湖サミットへ!
2006年06月30日(金)  中国語版『子ぎつねヘレンの10のおくりもの』
2002年06月30日(日)  FM COCOLOで『パコダテ人』宣伝
2001年06月30日(土)  2001年6月のおきらくレシピ
2000年06月30日(金)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/28)


2013年06月29日(土)  楽しむ余裕を残しておく

やってしまった。

育成室(学童保育)のキャンプ係の連絡を早く書き込まなきゃ、と夕食の支度と並行してキッチンでパソコンを打っていた。

食事が出来てもメールが書き上がらず、「先に食べてて」とたまとダンナを促し、なおもパソコンに向かっていると、

「ままがおわるまで、まってる」と、たま。

「もうちょっとかかるし、冷めちゃうから食べてて」とわたし。

焦っているし集中できていないしで打ち間違え、また苛立ちが募る。

こういうときは、一旦切り上げて、ささっと食べて、続きを打ったほうが早い。
……と、頭ではわかってるのだけど「あと少し」とずるずる引っ張ってしまう。

キャンプ係の皆さんをお待たせしちゃ悪いから、急がないと。
でも、そうなると家族を待たせてしまうという、ジレンマ。

わかってる。
晩ご飯を後回しにするより、連絡を後回しにするほうが正しいってこと。
でも、あと少し、もうここまで書けたんだから……。

「ねえ、まま、たべないの?」
と催促を繰り返していたたまが、
「もう、まま、いつまでやってるんだろね?」
とあきれてパパに同意を求め、
「ほんとだねー」
とパパ(ダンナ)がうなずいたところで、プチン!と何かが弾けた。

「しょうがないでしょ! たまのためにやってるんだから!遊んでるんじゃないんだから! 二人して責めないでよ!」
うわーっと吐き出しながら、別に責めてないじゃないかと頭の隅では思い、何やってんだわたし、と早くも反省と自己嫌悪が始まっていた。

うえーんとたまが泣き出し、わたしにブレーキをかけてくれた。
「ごめんね。たまはちっとも悪くない。ママがあせっていっぱいいっぱいになっちゃっただけ」と謝って、抱きしめて、一緒に泣いた。

「ままがしんぱいだったから」としゃくり上げる、たま。
「ままがたべないとたおれちゃうとおもったから」
ありがとう、やさしいね。うれしいよ。
やっぱり、ごはんが先だね。
パソコンの蓋を閉じ、「ようし、食べよう食べよう」。

家族との食事を後回しにしてでも早く連絡メールを回してくれなんて頼まれてない。
わたしがカッコつけて、頑張っちゃっただけ。

小学校のPTAにしたって育成室の父母会にしたって、子どものためにやってるなんて、子どもは知ったこっちゃない。そんな時間があったら、子どもは相手をして欲しい遊んで欲しい。

この手の活動は、「やってあげてる」「やらされてる」と感じた途端、重荷になる。
だから「好きでやってる」「楽しんでやってる」と思ったほうが、ラク。
そのつもりでやっていたつもりだけど、いつの間にか色んな皺寄せを背負い込んで、シーソーが傾いて、受け身になっていたらしい。

張り詰めてたものが「キレる」瞬間を感じてが、はっきりとわかった。
いろいろ溜めてたんだなって。

でも、それを子どもにぶつけるなんて最低だ。

去年の夏から秋、文京区が突然育成室の保育料を大幅に値上げするというので、納得のいく説明と利用者との対話を求めるキャンペーンを立ち上げたことがあった。
このときも、メールを打つのに没頭して、何度もたまを淋しがらせた。
「まま、ぱそこんじゃなくて、たまちゃんをみて!」
と訴えられて、猛省した。
わたしは一体何のためにこんなことをしているんだろう。
目の前のわが子ひとり幸せにできないで、何がキャンペーンだ、と。

その頃やりとりしていた区議さんに、
「こういう運動は、楽しむ余裕を残しておくことが大切なんですよ」と言われた。
本当にそうだな、と思う。
「好きでやってる」「楽しんでやってる」と思える余裕がなくなったときは、少し休んだほうがいい。そうじゃないと息切れしてしまう。

サービス精神も、責任感も、大事。
でも、いちばん大事なものを見失わないように。

たまから笑顔が消えていたら、わたしからも笑顔が消えている証拠。
楽しむ余裕を残して、ほどほどに、ぼちぼちと。

2011年06月29日(水)  「てっぱん」と堺泉北のご縁のエンブックスさん
2010年06月29日(火)  6月に食べたsweetなもの
2009年06月29日(月)  涙は世界でいちばん小さな海
2008年06月29日(日)  マタニティオレンジ304 「たらちねの母」と「たらちねの女」
2007年06月29日(金)  マタニティオレンジ137 おっぱいより朝ごはん
2002年06月29日(土)  パコダテ人大阪初日
2000年06月29日(木)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/28)


2013年06月28日(金)  朝ドラ×村岡花子=花子とアン

『赤毛のアン』を日本語に翻訳した村岡花子さんの半生が、朝ドラに!

わたしはまったく関係ないのだけど、朝ドラファンとして、村岡花子訳『赤毛のアン』のファンとして、このマリアージュに喝采!

村岡花子さんは、ラジオともとても縁の深い方。『コドモの新聞』という戦前〜戦中のとてもチャーミングなラジオ番組に出演し、親しまれていた。FMシアター『昭和八十年のラヂオ少年』を書くときに日本のラジオ史を調べていて、こんな素敵な女性がいたんだ、と印象に残った。

半年かけて、もっと深く知ることができるのが楽しみ。しかも、脚本は中園ミホさん。主演は吉高由里子さん。「てっぱん」でヒロインあかりが父・橘公一と対面する第21週「ひまわり」を演出された橋爪紳一朗さんも参加されている模様。

朝ドラは「ん」で終わる作品が多く(「てっぱん」しかり)、「あまちゃん」「ごちそうさん」「花子とアン」と「ん終わり」が続く。3連続は「ハイカラさん」(1982年前期)「よーいドン」(1982年後期)「おしん」(1983年)以来。

2010年06月28日(月)  とりあえず今日のツイッター
2009年06月28日(日)  朝ドラ「つばさ」第14週は「女三代娘の初恋」
2008年06月28日(土)  読んで満腹『おとなの味』(平松洋子)
2006年06月28日(水)  ロナウジーニョとロナウドは別人?
2002年06月28日(金)  シンデレラが出会った魔女の靴


2013年06月27日(木)  「そこをなんとか」DVD&ブルーレイ発売

昨年秋に放送されたNHK BSプレミアムドラマ「そこをなんとか」(脚本:今井雅子・横田理恵)がDVDとブルーレイに!



新入りが加わったので、恒例の作品棚更新を。


作品がブルーレイになったのは初めてで、これはうれしい。

「てっぱん」ファンの方が「初音さんの料理の繊細さはブルーレイで見ないと再現できません!」と力説されていたけれど、それほどDVDとブルーレイに差が出るのか。そこなんのシェアハウスの多国籍料理で検証してみよう。

2012年06月27日(水)  豚まんクーラーはないけれど
2010年06月27日(日)  子守話115「デニズとデニーズズ」
2008年06月27日(金)  マタニティオレンジ303 幻の一発芸、体文字の「TAMA」
2007年06月27日(水)  中国経絡気功整体の大先生
2002年06月27日(木)  泉北コミュニティ


2013年06月26日(水)  沈黙のち行列(実践女子大学講演・後編)



円(縁)を太らせたベーグルで腹ごしらえをして、実践女子大へ。

講演という石ころは、聴いてくれる人たちが磨いて、光らせてくれる。
だから、質疑応答の時間が何よりの楽しみ。
わたしの石ころに感想や質問の石ころがぶつかって、わたしの頭の奥のほうや記憶の深いところを引っ掻いてくれる。

が、今日は質問が出ない。

これまでの講演では、出足が鈍くても、促すと、誰かが手を挙げた。
しかし、今日は出ない。

「なんで?」と「そんで?」の連想ゲームで石ころ(ネタ)に磨きをかけて光らせる脚本作りの過程で「伝力=伝える力」も鍛えられる。どうやったらもっと面白くなるか、もっと楽しんでもらえるかと想像力を働かせることは、同時に、受け手の気持ちに想いを馳せることでもあるから……。

そんな話をあちこちの講演でしているのだけど、そう言う今井雅子本人の発伝量が足りなかったか。



最後に行った講演、4月の故郷・大阪堺市の図書館では、質問が引きも切らなかった。大阪と東京、怖いもの知らずの世代とまわりの目が気になる世代の違いはあるかもしれないけれど……。

4月の図書館講演と今回の大学講演の決定的な違いは、「自分から進んで聴きに来ているかどうか」。

貴重な休日の午後、わざわざ家から出かけて、人によっては電車を乗り継いで人の話を聴きに行こうというのは、よっぽどのこと。移動に時間とお金をかけた分だけ、しっかり元取って聴いてやろうという気持ちもわく。

だから、姿勢は自然と前のめりになり、よくうなずき、よく笑い、よく質問する。

一方、授業や講義の一環としての講演は、単位になるから聴いておくというのが第一の動機で、誰がどんな講演をするのかへの関心はさほど高くない。

そういう相手に話をするときこそ、「伝力」が試される機会。
だから、
座席の背たれにつけた背が浮いて、前のめりになるように。
どこか遠くを見て、別なことを考えてた目が、こちらを向いてくれるように。
閉じていた心の傘が開いてくれるように。
……という気持ちで話した、のだけれど。

壇上で待つ、ほんの数分は、その何倍もの長さに感じられた。

すると一般聴講の男性の手が挙がった。共同脚本について立て続けに突っ込んだ質問をされた。同業者なのか、業界通なのか、とにかく質問が出るのはありがたい。後が続きやすくなる。

続いて先生から「これから将来を決める学生たちに一言」。そして、満を持して学生から手が挙がり、「脚本だと色んな人に口出しされて好きなものが書けなくて大変では?」と質問があった。

この学生さんに、ボーナス得点を!

学生の頃のわたしには、人前で手を挙げて発言するなどという勇気はなかったから、こういう場で質問できる人に敬意を表してしまう。

一人では思いつかないことをチームで思いつける、一人だと石ころのままのネタをみんなのアイデアを持ち寄って光らせることができるから脚本作りは楽しい。連想ゲームには人のアイデアを取り入れる柔軟さと、自分のやりたいことを貫く頑固さの両方がと最後の質問に答えて、ちょうど終業の時間となった。

大半の学生さんが次の講義へ移動してしまった後、何か一言伝えよう、と残った学生さんが列を作ってくれた。

一対一で話してみると「面白かったです!」と瞳が輝いた。

もともと書くことが好きで、標語や小説を書いていたこともあるけど今は遠ざかっていて、でも今日の講演を聴いて、また書いてみたくなりました。そんなことを言ってくれた学生さんたちは、いいこと見つけた!というような明るい顔をしていた。

長い沈黙の後の長い列は、「十人いれば十通り、百人いれば百通りの感想の伝え方」があることを教えてくれた。

大阪に比べると、うなずきも笑い声も控えめで、壇上からは「節伝モード」に見えたのだけど、一人一人の胸の内では、それぞれの形で伝力が蓄伝されていたらしい。

「すみません、うまくまとまらなくて」と恐縮し、一語ずつ噛み締めるように感想を伝えてくれた一年生。

「父の花、咲く春を観たくなったので、リクエストを出します」と言ったもう一人の一年生は、「大学に入ったばかりなんですけど、卒業後の進路を今から決めといたほうがいいんでしょうか」と人生相談もしてくれた。

こうなりたいという未来に向かって進むのもいいけど、無我夢中で走っているうちにやりたいことが見つかることもある。

今なら、何にでもなれる。何だってできる。
やり直す時間も体力も、まだまだある。
若いって、すばらしい。
きらきらと目を輝かせる、わたしより半分ぐらいの年の女の子たちを見て、そう思った。

年を重ねた分だけ、世界は広がり、人生は豊かになるけれど、若さにはかなわない。わたしが彼女ぐらいの年だった頃「君たちはいいね」とまぶしそうに目を細めていた人生の大先輩たちも、こんな気持ちだったのかもしれない。

若い人たちのきらきらを吸収して、心のツヤとハリを持ち続けたい。
そんなことを思うような年になったんだなあと、ちょっとしみじみした。

一般聴講の方ともお話できた。
図書館でチラシを見たという女性は、声をかけたお友達の女性と聴きに来てくれ、熱く感想を語り、二人して握手を求めてくれた。
そのお友達は番組制作と出版に関わるお仕事をされていて、チームで意見を出し合って石ころを宝石にしていく面白さと大変さを日々実感しているので、身につまされて聴いてくださったそう。

20数年音信不通だった友人は、前触れもなく現れ、驚かせてくれた。
連絡先も知らなかったのだけど、向こうはわたしの日記をずっと読んでいて、講演があることを知って駆けつけてくれた。
つながってなかったと思ったら、実はつながっていたことに、びっくりして、うれしかった。
久しぶりだったせいか、舞い上がったせいか、お互い大阪弁じゃなくて標準語で、なんか変だったね、と後で気づいた。

そして、質疑応答で口火を切った質問者は『築城せよ!』の古波津陽監督だったとわかった。

会うのは三度目だけどじっくり話したのは初めて。講演に呼んでくださった国文科の先生方との飲み会にも飛び入り参加し、愛知工業大学の創立50周年事業で『築城せよ!』を作ったときのエピソードを聞かせてくれた。

今井雅子脚本をデビュー前から読んでいるご意見番のアサミちゃんは、いつの間にかいなくなっていて、「知ってる作品ばっかりで懐かしかった」と後からメールがあった。

こうして、また皆さんに石ころを磨いてもらい、来週は大阪の私立金蘭千里中学校にて講演。

2012年06月26日(火)  地上350メートル
2011年06月26日(日)  サンリオピューロランドを「たまセンター」と呼ぶ
2010年06月26日(土)  JAGDA新人作家展とキャンドル展とことりっぷ
2009年06月26日(金)  江ノ島の大道芸人「のぢぞう」さん
2008年06月26日(木)  知らなかった、大坂夏の陣『戦国のゲルニカ』 
2007年06月26日(火)  マタニティオレンジ136 サロン井戸端
2004年06月26日(土)  映画『マチコのかたち』


2013年06月25日(火)  ベーグル化現象(実践女子大講演・前編)

ふだんなじみのない町を縁あって訪ねるとき、その町に行かないと会えないとっておきのお店を探す。

実践女子大での講演を聴きに来てくれるアサミちゃんに「日野駅の近くにベーグルカフェがあるよ」と教えてもらい、ネットで調べてみると、「cafe Spinel(カフェスピネル)」という、ことごとくわたし好みな佇まいのお店。講演前の腹ごしらえはここにしよう、とアサミちゃんにつきあってもらうことにした。

アサミちゃんは、脚本家・今井雅子がデビューする前から脚本を読んでは的確なアドバイスをくれているご意見番。

函館にオマケの丸がついた「ぱこだて」という言葉をひらめいたときに、
「アサミちゃんがゴキブリをコキプリって呼ぶとかわいくなるって言ってたっけ」と思い出し、「しっぷ」の効き目が強過ぎて「しっぺ」を通り越し「しっぽ」が生えるという奇想天外な物語が生まれたのだった。

その『ぱこだて人』(コンクール応募時はひらがなだった)の初稿を書き上げてアサミちゃんに送り、カンヌ広告祭から帰ってみると、付箋にびっしりコメントを書き込んだ原稿が返ってきていた。

そこから一気に書き直し、締切日の夜中に「今日の消印押してもらえますか?」と鷺沼の郵便局に持ち込んだ応募作が函館港イルミナシオン映画祭のシナリオコンクールで準グランプリに。その応募原稿がたまたま前田哲監督の目に留まり、驚くべき幸運の連鎖でオリジナル脚本での映画デビューが決まった。

キャストにもスタッフにも恵まれ、朝起きたらしっぽが生えていたヒロイン日野ひかるに、宮崎(崎の右側の上は「大」ではなく「立」だけど文字化けするので)あおいちゃん。
もう一人のしっぽ人間に、大泉洋さん。

その『パコダテ人』の誕生に縁の深いアサミちゃんに初めて講演を聞いてもらう場所が「日野」だなんて、出来過ぎ。

そして、ベーグル(も上出来!)の輪っかは「てっぱん」の「円」にも通じて、これまたご縁を感じる。



なんでもないことが面白かったり特別だったりするのは、「世の中原石(ネタ)だらけ」と思って「心の傘」を開いているからであり、「頭のビデオカメラ」と「脳みその出張所」をフル稼働させているから、かもしれない。

「偶然のような必然」に気づくのは、偶然と偶然をつなげて運命づける連想を働かせてこそ。偶然という石ころも、重ねたり掛け合わせたりで宝石になる。

「たまたま」のように見える「点と点」がつながって、線になって、またつながって円になって、またつながって、その輪が大きく太くなると、人生はもっとふっくらおいしい。

これを「ベーグル化現象」とでも名づけようか。

真ん中が空洞でいいのか、というツッコミはさておき。

今日「たまたま」聴いた講演が、誰かの必然に、そして宝石に、なってくれればと願いつつ実践女子大へ向かった(後編へ続く)。



2011年06月25日(土)  「萩の月」は冷やして食べるべしの宴
2010年06月25日(金)  たこ焼き持って保育園へお迎え
2009年06月25日(木)  眞木準さんのコピーが大好きだった
2008年06月25日(水)  整骨院のウキちゃん7 赤道ぐらい知ってますよ編
2007年06月25日(月)  割に合わない仕事
2005年06月25日(土)  『子ぎつねヘレン』ロケ見学最終日
2002年06月25日(火)  ギュッ(hug)ギュッ(Snuggle)
2000年06月25日(日)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/28)


2013年06月21日(金)  EDITORY×エンブックス×ツブヤ大学「絵本をつくろう!」

神保町にあるEDITORYというそれはそれは素敵な空間でツブヤ大学さんとイベントをやることになり、下見を兼ねて打ち合わせへ。

まあ、なんと、わたし好みすぎる内装!

内装を手がけた方がコード収納小物や照明まで手作りされたそう。



わたしが一目惚れしたのは、自前の雑誌を引っ掛けるランプシェード。
「LEDなので、雑誌が電球焼けしないんです」とのこと。
雑誌を替えれば、簡単に模様替えができちゃう。
アイデア光る非売品!
商品化されたら、買いますよ!


男子トイレ、女子トイレを文庫本のタイトルで表現するセンスも、心憎すぎ!


男子は「男の作法」。女子は「朝の少女」。

すっかり骨抜きになり、住み着きつきたくなるほどの心地よさに、ついつい長居してしまった。

この素敵空間で、どんなイベントをやるかというと、「絵本づくり」。

絵本『わにのだんす』を作った3人(エンブックス西川李岐、絵:島袋千栄、文:今井雅子)と一緒に、即興で絵本のストーリー開発をやって、みんなで世界に一冊だけの絵本を作ってみようというもの。

その日集まったメンバーの化学変化でどんな絵本が生まれるのか、未知数だらけの実験的なワークショップになる予定。

黒板塗料を塗った棚スペースに、早速わにを飾っていただいた。


EDITORY×エンブックス×ツブヤ大学
BooK学科絵本講座「絵本をつくろう!」


7/25(木)19時受付 19時半-21時半
神保町EDITORYにて
参加費4000円(絵本印刷製本費・送料込み)
定員30名

当日発表のお題に沿って皆さんで絵本のストーリーを開発。その物語に後日、島袋さんが絵をつけ、エンブックスの独自POD(プリントオンデマンド)で、成果の絵本を皆さんに後日届ける、というワクワクする企画。詳細はツブヤ大学のページへ。

Facebookイベントページはこちら

メールでお申込みの場合は、7/25「絵本をつくろう!」参加希望と記して、お名前とご連絡先、年代を明記の上、info@univ2289.com まで。


2010年06月21日(月)  紙芝居のわんわんにパンをあげたい
2009年06月21日(日)  朝ドラ「つばさ」第13週は「恋のバリケード」
2008年06月21日(土)  親目線で観た劇場版『相棒』
2007年06月21日(木)  マタニティオレンジ133 おおらかがいっぱい
2005年06月21日(火)  『子ぎつねヘレン』ロケ見学4日目
2002年06月21日(金)  JUDY AND MARY
1998年06月21日(日)  カンヌ98 2日目 ニース→エズ→カンヌ広告祭エントリー

<<<前の日記  次の日記>>>