2009年07月01日(水)  2才10か月で「夏の扉」を開ける

会社勤めをしていた頃、髪を切って出社したら、ひとつ違いのアートディレクター男子のソエちゃんが「今井ちゃん、夏の扉を開けたね」と声をかけた。それを聞いて、まわりにいた「松田聖子を聴いて大きくなった」世代の同僚たちが、「今井、切ったんだ?」と振り返ったが、『夏の扉』がリリースされて10年以上経つのに共通言語になってるってすごいねえと感心し合った。深夜の残業時に誰かがパソコンで聖子ちゃんをかけると、フロアに残っている人たちが次々と口ずさみ、いつしか大合唱になり、「なんでみんな歌えるの?」と驚き合ったこともあった。

そんなことを思い出したのは、娘のたまが生まれて初めて髪を切り、夏らしいすっきりショートになったから。生まれたとき、産道内を旋回してとんがった頭に髪がぐるぐる巻きに張りついてポンパドール夫人状態で生まれてから2才10か月。髪は腰あたりまで伸びた。「切らないの?」「どうして伸ばしてるの?」といろんな人に聞かれたが、ここまで伸ばしたら3才の七五三まで……と思ううちに、また夏がめぐってきた。子どもは汗をかく。加えて、たまは最近お風呂を嫌がり、パスすることも度々。髪からすえた匂いを放つようになり、ダンナの両親からも「切ったら?」とせっつかれるようになった。

たま本人は長い髪を結わえるのを気に入っていたようだけど、保育園の先生からも「たまちゃん、切ったほうがいいわよ」と言われたらしく、自分から「かみ、きる」と言い出した。「かみきりやさんで きる」と言っていたのだが、美容院に連れていける日を待っているといつになるかわからない。わたしも中学校に上がるまでは親に切ってもらってたよな、と思い出し、「ママの髪切り屋さんで切ろっか」と聞くと、あっさり「いいよ」。先週の金曜日、二人きりの夕食の後に「じゃあ、今切る?」「うん」。

最初にハサミを入れるときにはそれなりのためらいがあったけれど、たまは何の感傷もない様子で、「もっと きって」と催促してくる。こちらもザキザキ、ジョキジョキと遠慮の取れたハサミで切り進めるうち、『ほたるの墓』のせっちゃんのようなおかっぱ頭になった。短いほうが子どもらしい愛らしさがあって、母娘ともに気に入った。

ダンナにもダンナ両親にも好評で、保育園の先生方からも「たまちゃん、切って可愛くなりましたね」と褒めていただいたのだが、たまは、「たまちゃんね、まえはかわいくなかったねっていわれたの」。どうやら「可愛くなった」と繰り返し言われるうちに「前は可愛くなかったのか」と深読みしたらしい。子どもながら、なんともフクザツな乙女心。ずいぶん大きくなるまで伸ばしたんだなあと感じた。

さて、25センチの髪は、どうしようか。筆にしても、使うのはもったいないし、飾っておいても埃をかぶりそう。「よく針刺しの中に髪入れたりしてるよね」とダンナに言うと、「たまの髪に針を刺すの?」の顔をしかめられた。それもそうだ。だったら、小さなぬいぐるみの中に入れようか。それはそれで変に命が宿りそうな不気味さがある。カツラに寄付するには短いし……今のところ、ヘアーゴムでしばった束をたまが振り回して遊んでいる。

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