2009年07月03日(金)  なぜかショップ99で話しかけられる

取り置き期限が昨日までの図書館の予約図書を取りに行くのを忘れていて、今朝電話をかけた。
「すみません。取りに行けなかったんですが……」
と切り出して、はて、こういうときは、何と続けるのだろうと適切な言葉を探したものの見つからず、
「流れてしまったでしょうか」
と言ってしまってから、質流れのようだと思った。だが、応対した男性は動じることなく、
「確認してみますね」
と明るい声で受け止めて、電話を離れた。
待つこと数十秒、再び電話口に現れた男性は、
「ありました! 流れていませんでした!」
と電話の向こうから声を弾ませた。どうやら「流れる」という表現を気に入ってくださった様子。
「よかった。流れていませんでしたか」
「いやー、危なかったです。流れる直前で止めました!」
電話の向こう側とこちら側で「流れる」を連呼しあううち、「流れる同盟」のような連帯感が生まれ、顔を知らない図書館員さんに親しみを覚えてしまった。

見知らぬ人との小さな企みごとは楽しい。先日、ショップ99で娘のたまが「コンコンほしい」と真空パックのゆでトウモロコシを手にしたときのこと。原産国を見ると「中国」となっていた。できれば国産がいいのだけど……とためらっていると、「中国産? 微妙だねえ」と心の中を見透かされたように声がした。見ると、わたしよりひと回りぐらい年上の女性が親戚のおばちゃんのような気安さで話しかけていた。思わず「そうなんですよねえ」と応じていると、すぐそばに皮のついた生のトウモロコシがあるのに二人同時に気づいた。こちらは国産。「ひげつきにしたら?こっちのほうが楽しいよ」と言い残し、彼女は店の奥へ消えたが、会計を終えて店を出るときにまた会った。「どっちにした?ひげつき?」と聞かれて、「はい、ひげのほうに」と答え、二人で満足そうにうなずきあった。99円のトウモロコシ一本の買い物がちょっとした冒険に思われて、愉快だった。

なぜかショップ99で話しかけられることが多い。たまが売り場を歩き回りながら「ママ、ぎゅうにゅうかおうよ」などと声を張り上げていると、「お手伝いしてるんだ?えらいねえ」と買い物客から声がかかる。幼子連れなので声をかけやすいのかもしれないが、コンビニではレジのおばちゃんとしか言葉を交したことがない。99は棚が密集していて、通路が狭く、人と人の距離が近いせいだろうか。

うちの近所の99の特長なのかもしれず、コンビニと99の違いを断じることはできないのだけど、99は「よろずや」に近いという感覚がある。まだコンビニなど知らなかった子どもの頃、親戚の田舎町を訪ねたとき、小さな間口の店に野菜からおもちゃまで並んでいる光景が不思議だった。そこは近所の人たちのくつろぎと情報交換の場でもあった。あのよろずやの匂いを99に感じてしまう。コンビニと品揃えに大きな差があるわけではないのに、この違いは何なのか。レジに焼き芋があるせいだろうか。

【お知らせ】「つばさ」が切手になりました

アンジェラ・アキさんの主題歌『愛の季節』とともに「つばさ」のオープニングを彩る佐内正史さんのスチール写真がフレーム付き切手に。購入はエンタメポストへ。佐内さん、映画『ジョゼと虎と魚たち』の劇中で使われた写真も撮られているのですね。お会いしたことはないけれど、「つばさ」のクレジットで「タイトルバック制作 佐内正史」「脚本協力 今井雅子」が隣り合わせになることが多いので、勝手に親しみを覚えています。

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