つれづれ日記。
つれづれ日記。

2012年05月22日(火) 「今宵、白雪の片隅で」UP

多人数参加型西洋ファンタジー世界創作企画『ティル・ナ・ノーグの唄』投稿作品になります。

いつもより若干幼いのは仕様です。はい。

実際はもっと前に「小説家になろう」で公表させてもらっていたんですが。
珍しくリザにーさんのお話。彼は今までの自分の作品にもちょこちょこ出てはくるのですが。彼メインの話というのはなかったかも。
今までの作品のことも考えて、海の王子様――極道――長(神様? 妖精?)の息子――ヤンキー? という、なんだか不可思議な職業になってしまいましたがにーさんなのできっと笑って許してくれるでしょう。彼が年をとることはまずないんですが、それでも師匠や苦労人と出会う前っぽいですね。ましてや詩帆なんか生まれるずっとずっと前……の、はず?


呪いのことはまあ、某作品で言ってる通りですね。そのときはヤンキー入るとは思ってもみませんでしたが。


そのうち本編もちゃんと書かないとなあ。うん。






過去日記
2010年05月22日(土) 委員長のゆううつ。46
2007年05月22日(火) 生存報告
2004年05月22日(土) 大沢昇祭

2012年05月08日(火) 白花(シラハナ)への手紙(仮)・88

「よく来てくれたの。さっそく頼むよ」
 エリーさんのご両親──ニナちゃんとウィルくんの祖父母が経営している宿は本当に歩いてすぐのところにあった。なるほど。これなら安心だし手伝いだって行こうと思えばすぐに行ける。
「あやつはどうしているかの。近頃まったく顔を見せてもらえんでの」
 頼まれたのは古びた椅子を別室に運ぶこと。腰を悪くしてしまったらしく、代わりになる従業員さんも今日はお休みだったらしい。それでエリーさんの代わりにわたし達がかりだされたわけだ。
「ユータ……ユータスさんのこと、気になるんですか?」
 故郷では畑仕事を手伝っていたし、人並みの足腰や体力には自信がある。椅子を抱えながらおじいちゃんに聞くと、そっぽを向きつつこんな声が返ってきた。
「なんだかんだで可愛い孫だからの」
 なんだ。しっかり愛されてるんだな。
 なんだかホッとすると同時に嬉しくなってしまった。どうしてかはわからないけど。
「小さいころから細工師の修行をしているなんてすごいと思います」
 脳裏に浮かぶのは先日の工房での横顔。いつもと違う真剣な表情に声をかけることすらできなかった。悔しいけど、わたしもちゃんと見習わないといけない。
「終わりました。次は何をするといいですか?」
 全ての椅子を二階に運び終わっって軽く腰をたたく。幸い今日は予定もないしせっかくだから拭き掃除でもしていこう。
「本当に悪いの。それじゃあ──」
「どなたかいませんの?」

 ──そして、冒頭に至る。






過去日記
2010年05月08日(土) 委員長のゆううつ。34
2006年05月08日(月) 今日も今日とて
2004年05月08日(土) 50の質問

2012年05月07日(月) 白花(シラハナ)への手紙(仮)・87

「ちょっと、そこの」
 声をかけられたのは掃除をしている最中だった。
「そこの黒髪のあなたですわ」
 周りを見回してみる。あたりには宿の従業員さんと、わたしくらい。その中で黒髪なのはわたしくらい。
「わたしですか?」
「あなた以外に誰がいるといいますの。ちょっとわたくしの元へ来なさい」
 初対面なのに強気な発言の主は、わたしの腰より少し上くらいの高さの女の子だった。


「悪いけど、おじいちゃんの家を手伝ってくれないかしら」
 朝起きるとエリーさんに申し訳なさそうに頼まれた。おいじちゃんというのはおばさまの実のお父様のことで、アルテニカ家の近くで宿を経営している。本当に近くなので時々様子見も兼ねて食事を届けにいくこともあるとか。今日もそのつもりだったけど、急な用事で都合がつかなくなったらしい。
「掃除と受付を頼まれていたんだけど都合がつかなくなっちゃって。あの子は仕事中だし、頼んでもああでしょう?」
 あの子とは言わずもがな。今日は朝早くに工房へ出かけて行ってしまった。確かに掃除はできたとしても、受付──人と接する業務は難しそうだ。もっともわたしだって接客業ができるとは限らないけど。
『居候しているアルテニカ家のもとで勉学にはげむこと。それが私の元で学ぶ条件だ』
 エリーさん宛に書かれた手紙にそう書いてあったと後から聞かされた。そもそも居候させてもらっている身だし断る理由はないので二つ返事で引き受けた。






過去日記
2010年05月07日(金) 委員長のゆううつ。33
2007年05月07日(月) 「EVER GREEN」11−13UP
2004年05月07日(金) 「EVER GREEN」5−14UP

2012年05月06日(日) 白花(シラハナ)への手紙(仮)・86

「イオリさんが良かったら、時々ここ(工房)に顔をのぞかせてくれると嬉しい」
 帰り際、カルファーさんにそんなことを言われた。
「ユータスには才能がある。だけど、あの通りそれ以外のことには無頓着というか──、からっきしなんだ」
 さしずめユータスの管理係と言ったところか。
「君のためになるかもしれないしね。一つのことに集中しているとそのうち周りが見えなくなる。お互い息抜きは必要だろう?」
 言っていることはよくわからないけれど、年長者のアドバイスということで胸に留めておくことにした。
「ユータ」
 今日使った呼称をさっそく使うと、言われた相手は拒絶することなく『ん』とだけつぶやいた。
「ユータはすごいんだね」
「別にすごくない。もの心つく前から同じことを繰り返しているだけだ」
「修行をして、一人前になって。いつかは自分の工房を持つの?」
 いつか彼自身に聞かれた質問を口にする。なかなか返事がないのでどうしたんだろうと後ろを振り向くと彼はずっと後ろの方にいた。
「ユータ?」
「わからない」
 これまたいつかのわたしと全く同じ台詞で。弟子というからには最終的に行き着くのはそこじゃないのか。
 お互い似たもの同士なのかもしれない。そう思うと少しだけ親近感がわいた。
 それと同時に。
「わたし、負けないから」

 負けたくない。
 この日、わたしに新たな目標ができた。

「……何に?」
 彼のつぶやきは聞かなかったことにする。











過去日記
2011年05月06日(金) 「委員長のゆううつ。」STAGE1−12UP
2010年05月06日(木) 委員長のゆううつ。32
2006年05月06日(土) 分析結果
2005年05月06日(金) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,54UP。
2004年05月06日(木) 仕事について。その2

2012年05月05日(土) 白花(シラハナ)への手紙(仮)・85

「ここは、僧帽筋」
「じゃあ、ここは?」
「上腕二頭筋」
「ちゃんと覚えてるじゃないか。坊──じゃない、嬢ちゃん、やればできる!」
 ユータスさん──ユータを待っている間、わたしはなぜか彼の兄弟子であるライアンさんと勉強をすることになった。たまたま持って来ていた解剖物理学の本にライアンさんが興味を持ったからだ。それにしても、さっき坊主って言おうとしましたよね。
 ライアンさんはユータと同じ細工師のはずなのに、見た目はユータス達、工房の面々と体格が違う。後から聞くと正確には硝子職人だそう。それにしても、一般的なそれとかけ離れている。
「筋肉はいいぞ。骨格にちゃんとした筋肉が乗ってこそ完璧な人体ってもんが出来上がる」
「はあ」
 わたしは何をしているんだろう。延々と筋肉講義を受け、でも確かに覚えるには役に立ちそうだからと小一時間話を聞くことになってしまった。
「じゃあ、ここは、こんな感じになっているんですね」
 ノートに言われたことを書き出してみると、ライアンさんは軽く目を見はった。
「へえ。嬢ちゃんは絵もかけるんだな」
「人並みには」
 子どもの頃は体が弱かったから遊び半分で渡されたスケッチブックに目に見えるもの全てを描き連ねていた。
「どうだ? 細工師をやってみるってのは」
「冗談はやめてください」
 わたしは医学を学ぶためにティル・ナ・ノーグにやってきたのであって、細工師になるために来たんじゃない。そりゃあ、絵を書くことは好きだし工房を見るのはわくわくするけれど、それだって趣味の範疇だ。
 そんなこんなで日も暮れて。これ以上残っていたら今度は家に帰れなくなる。
「そろそろ日もくれた。ユータス、今日は家に帰りなさい」
「けどまだ途中──」
「休むのも仕事。いいから帰りなさい」
「──はい」 
 カルファーさんの凄みのある声に半ば尻込みする形でユータスとわたし達は工房を後にした。






過去日記
2010年05月05日(水) 委員長のゆううつ。31
2006年05月05日(金) 「EVER GREEN」9−0UP
2005年05月05日(木) 中間報告九回目
2004年05月05日(水) 仕事について

2012年05月04日(金) 白花(シラハナ)への手紙(仮)・84

 大の男衆に囲まれて黙々とサンドイッチを食べる姿は異様だった。『やっぱり帰る!』とニナちゃんが途中で逃げ出したのも頷ける。ちなみにここにいるのはユータスさんに、ウィルくん、カルファーさんとユータスさんの兄弟子にあたるライアンさんだ。
「まさかと思うけど、家でも『あんた』とかましてや名前を覚えていない、なんて言わないだろうな」
 わたしがここまできた経緯をかいつまんで話すと、ライアンさんの片眉がピクリと上がった。と、同時にユータスさんの肩もぴくりと動く。知り合って半月はたつし日常的にとは言わなくても顔はそれなりに合わせている。まさかと思うけど、本当に名前もわからないようだったら怒るし落ち込む。 
 結果的は最悪の事態にはならなかった。けれど。
「えーと……イオリ?」
 呼び捨てだった。これが普通なのかもしれないけど。
「イオリ姉ちゃんも、いつまでもさん付けって他人行事じゃない?」
 ウィルくんの声に、今度はこっちがうならされてしまう。ユータス・アルテニカさんという名前はわかる。でも、アルテニカさんだと家の誰のことを言ってるのかわかりづらいし、ユータスさんとは呼んでいるものの、正直違和感があった。
 ダークグリーンの瞳と薄茶色の髪。それを聞いて連想させるものはわたしにとってひとつしかない。小さい頃からずっと一緒にいてくれた、わたしの友達。わたしの相棒。その子の名前は。
「……ユウタ」
「ん」 
 また実家の愛犬の名前を口にしてしまった。呼ばれた方にも違和感なくうなずかれてしまった。
「ちがうんです。いきなり変な呼び方してしまってごめんなさい。これには、その」
「『ユータ』じゃないの?」
「一応、ユータスさん、なんですけど」
「ん」
「……じゃあ、ユータで」
 とっさの呼び名がこれから先も定着していくとは当時は思ってもみなかった。






過去日記
2010年05月04日(火) 委員長のゆううつ。30
2007年05月04日(金) 裏EG その4
2006年05月04日(木) あなたの家族記念日はいつですか
2005年05月04日(水) 連休どうですか?
2004年05月04日(火) 衝動書き・2

2012年05月03日(木) 白花(シラハナ)への手紙(仮)・83

「どうしてここに?」
 工房に職人以外の顔見知りの人間がいる。不思議に思って当然だ。
「おばさまに頼まれて持ってきたの」
 頼まれたかごを手渡すと、『ん』と受け取った後、作業台の机の上に置いた。伸びをした後に、椅子に座り、手を握って閉じてを繰り返した後、作業を続けるんだろう。再び工具を手に体をかがめ──
「ユータス、それはお客様に対してあまりにも失礼なんじゃないか?」
 ようとしたところで、非難めいた声に中断された。声の主は言うまでもなくカルファーさんだ。
「せっかくここまで昼食を運んでくれたんだ。冷めないうちに食べなさい」
「でも」
 なおもしぶるユータスさんに、依頼人も以来の品も食事を取るくらいの猶予はちゃんとくれるぞと追い討ちをかけるカルファーさん。
「皆さんにはこちらをどうぞ」
 合間に作っていたクッキーを手渡すと、ありがたくいただくよとカルファーさんがさんが笑顔で応対してくれた。
「安心して。姉ちゃんが作ったものは入ってないから」
 いつの間にか戻ってきたウィルくんが、気になるセリフを口にする。なら大丈夫かとうなずくユータスさんにも気になるところはあるけれど、せっかくだからみんなで食べましょうと簡単なお食事会になった。
「ユータスさんは今日は帰るんですか?」
「ここに残る」
 サンドイッチに口をつけながら、彼は首を縦にふった。






過去日記
2010年05月03日(月) 委員長のゆううつ。29
2007年05月03日(木) 裏EG その3
2006年05月03日(水) ゴールデンウィーク
2004年05月03日(月) Iさん日記

2012年05月02日(水) 白花(シラハナ)への手紙(仮)・82

 知らないって言っても、知り合ったのはひと月前のことだし。こんなに真剣な表情ができるんだって驚いてしまった。
 思い起こせば、初めて出会った時も『ちがう』って言われて。そもそも何が違ったのかわからなかったんだけど。後で聞いてみよう。不真面目ということはないけど、いたって真剣にちがう方向に突き進んでいるというか。みもふたもなく言えば、始終ぼんやりしているというか。
「……ちゃんと仕事してるんだ」
 ものすごく失礼な意見を口にしても、言われた相手は聞こえてないかのように──実際、作業に夢中で聞こえてないんだろう、真剣な表情で手元を動かすことだけに神経を注いでいる。
 ぼんやりしていたとしても、彼が真剣に仕事をしているのは事実。わたしはまだ異国に来たばかりで、住むところだってようやく決まったばかり。好意に甘えてばかりの自分に、黙々と仕事をこなす同世代の男子。異国につけばどうにかなると思っていたわけじゃないけど、なんというか、現実を見せつけられたという感じ。はじめは大丈夫なのかなと心配したけれど、相手の心配ができるほどの場所にわたしは立つことすらできていない。
「カールさん? どうしたんですか──」
 人の気配に気付いたのか、眼鏡をはめなおした彼は顔だけふりかえって。
 そこでようやく。
「……イオリ?」
 意識が仕事から、わたしの方に向けられた。






過去日記
2010年05月02日(日) 委員長のゆううつ。28
2007年05月02日(水) 裏EG2 書きながら思ったこと
2004年05月02日(日) 衝動書き

2012年05月01日(火) 白花(シラハナ)への手紙(仮)・81

 ユータスさんが久しぶりに帰ってきたとはペルシェに出会った日の夜に聞いていた。でも、住み込みで、しかもそんな小さな頃から親元を離れて工房で暮らしているなんて知らなかった。何か事情があったんだろうか。家庭仲が悪いというわけではないだろう。ここ数日間の暮らしを見ていればよくわかる。むしろ、和気あいあいとしていたし彼だってぼーっとしてはいるものの、家族を嫌がっている様子はなかった。じゃあ、別の理由が?
「才能があるのは確かなんだけどね。ちょっと訳ありで予定よりも早く修行させることになったんだ」
 苦笑しながらカルファーさんが扉を開ける。そこには探していた男子がいた。
「…………」
 椅子に座って。後ろからだと全く動いていないように見える。時おり腕が動いたり、頭を軽く動かす姿が見えなければ眠っていると勘違いしていただろう。
「気になるなら近くで見てみるといいよ」
 いいんですか? と尋ねると物音をたてなければ大丈夫と許可がでた。細工に集中してるんだし、邪魔するのは悪い気がする。だけど、何をしているのか気になりもする。そっと音を立てないようにして近づいて。相手の手元をのぞきこんでみた。
 何かの修理なんだろうか? もともと大きくない媒体の中に、小さな部品を詰め込んでいる、ような気がする。
 かちゃ、かちゃ、かちゃと金属がすれあう音が響く。音をたてている本人はというと。

 いたって真剣な表情で。それはわたしが全く知らない男の子の顔だった。
 






過去日記
2010年05月01日(土) 委員長のゆううつ。27
2007年05月01日(火) 裏EG その1
2006年05月01日(月) 中間報告十六回目
2005年05月01日(日) おかげさまで7万
2004年05月01日(土) EVER GREEN
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