つれづれ日記。
つれづれ日記。

2010年05月10日(月) つかれてるひと。9

 夏は暑い。
 わかっちゃいるが、暑い。
 一人暮らしの学生にクーラーなんてしゃれたものはなく。目の前にある扇風機の風を無造作に受けるしかなかった。
 気温は三十二度。時刻は午前十時。
 朝っぱらからこれじゃ昼には気温はもっと上昇するだろう。そう考えると、心なしか体感温度が三度ほど上がったような気がした。
「どうぞ」
 差し出された麦茶をぐっと飲み干す。
 冷たい液体が喉をすべるようにとおっていく。
 空になったグラスを差し出すと、そいつはにこやかな笑みで受け取った。
「幽霊って三日でなれるもんなんだな」
 相手の姿を見ながらしみじみ思う。
 普通なら奇声をあげたり腰が抜けるかどうかして、その場から逃げ出すのが定石なんじゃないのだろうか。けれども実際目の当たりにしてみるとどうだ。
多少風変わりではあるものの、慣れてしまえばどうってことない。
「あの」
 遠慮がちな声に我にかえる。振り返るとそいつはおずおずと口を開く。
「わたし、もしかして幽霊だと思われてます?」
 これには驚いた。






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