つれづれ日記。
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2010年05月29日(土) 委員長のゆううつ。その2−4

「ぼくの話はいいから。詩帆ちゃんのお母さんってどんな人?」
 話題をあたしのことにもどされて。
「普通の親――とは言い切れませんね。女手ひとつであたしを育ててくれましたから」
 脳裏に浮かぶ母親を想像してみる。エプロン姿で朝早くからパンを作って働いて。人手が足りないからってバイト感覚で時々仕事を手伝って。そういえばお小遣い前借りって形で携帯電話買ったんだった。きっともどったらただ働きだな。どれくらい手伝えばいいのかなぁ。
「恋愛結婚だったらうまくいったんでしょうけど。あたしができちゃったことを報告する前に逃げられちゃったみたいです」
 昨日聞いたばかりの事実を伝えると、先輩はふむふむとうなずく。
「お母さんに言われたことは二つ。電話はちゃんと入れることと、父親に会ったらお母さんとあたし自身の分、ぶんなぐってくること」
 続けて言うと、今度は腹を抱えて笑いだした。
「なかなかすごいお母さんだね」
「否定はしませんけど」
「だから君みたいな娘さんが生まれたわけだ」
「そこは否定させてください」
 普通でないことは認めるけど。あたしまで同類に見られたらたまったもんじゃない。それに、先輩だって普通とは思えない。皮肉屋だし変な異世界でも平然としてるし。
「先輩はあの話、どこまで信用してるんですか」
 ものはついでと思い切って切り出してみた。
「あの話って?」
「神様の娘さんって話です」






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