2014年10月31日(金)  「伝力」講演のはじまりの地、京都へ。

明日11月1日、京都大学教育学部の同窓会総会で講演を行います。

京都での講演といえば、2011年3月20日に京都大学応援団OB会のいぶき会総会での講演が思い出されます。

3月11日に震災があり、呆然として何も手につかず、講演で何を話せばいいのかと途方に暮れていた震災数日後の新聞の片隅、風刺投稿の小さな小さなコラムに目が留まりました。

「足りないもの 伝力。東京電力」

とありました。原発について、計画停電について、情報が錯綜し、安心させるつもりの情報発信がかえって不安をあおっている状況を電力にかけて「伝力」不足と揶揄したものでした。

この伝力の二文字で、目の前の霧が晴れたように思いました。何を書けばいいのか、何を話せばいいのか、無力感で凍りついていたわたしに「脚本家には伝力があるじゃないか」と気づかせてくれたのです。

脚本を書くことは連想ゲームに似て、想像力を働かせ、石ころを磨き、光らせる作業。最初から光る石は落ちていない、石ころを磨いて光らせるのは自分。宝物は自分の中にあって、それを宝の山にするのも宝の持ちぐされにするのも自分次第。

講演で話したいことが見え、体に力が入るようになりました。あの京都講演で誰よりも力づけられたのはわたし自身だったかもしれません。

3年のときが流れる間に「なんで?とそんで?で光らせる」という新しいキーワードが生まれ、そちらの伝道に力を注ぐようになり、講演で「伝力」のことを話すことは減ってきました。

でも、わたしにとって転機となった京都での講演、今回は「伝力」のことをお話したい、とパワーポイント原稿に「足りないもの=伝力」のページを一枚加えました。

講演では「日常はドラマの宝庫 石ころ式脚本の作り方」と題してお話しします。聞きに来られる方に、磨きたくなる石ころを持ち帰っていただけるよう、伝力を働かせたいと思います。

2013年10月31日(木)  議論反論ハロウィン・ガールズ
2012年10月31日(水)  島袋千栄さん個展×わにのだんす
2011年10月31日(月)  安田真奈さん→びたしゅが打ち上げ「電」
2010年10月31日(日)  motherways(マザウェイズ)で子ども服
2009年10月31日(土)  初めての短編小説「クリスマスの贈りもの」
2008年10月31日(金)  『ぼくとママの黄色い自転車』初号試写
2006年10月31日(火)  マタニティオレンジ24 体重貯金
2005年10月31日(月)  もしも、もう一度子育てができるなら。
2004年10月31日(日)  ご近所の会@タンタローバ
2002年10月31日(木)  青年実業家


2014年10月14日(火)  「政界のジャンヌ・ダルク」との思い出

縁あって、土井たか子さんと映画を一本観て語る時間をご一緒したことがありました。日記を読み返すと、ちょうど10年前。まだマッキャンエリクソンでコピーライターをしながら脚本を書いていた頃でした。数々の逸話、様々な印象を残して立ち去られた方ですが、わたしが受け取った言葉や想いを知っていただけたらと思い、その日の日記をシェアします。

2004年08月26日(木) 土井たか子さんと『ジャンヌ・ダルク』を観る

2013年10月14日(月)  おじゃる丸「銀河がマロを呼んでいる」をプラネタリウムで
2012年10月14日(日)  「石ころを宝石に」先生たちと6時間
2011年10月14日(金)  歓喜のuguisu
2010年10月14日(木)  「ママ、ヘタクソにうんだ!」事件
2009年10月14日(水)  Macのマウスが暴走して困ります
2008年10月14日(火)  このごろの、たま語
2004年10月14日(木)  PLAYMATE 第5弾!『SWAP 2004』
2002年10月14日(月)  四あわせの五円玉


2014年10月08日(水)  「100円でいいからください」の人

先週のこと。毎週水曜の定例打ち合わせに出た帰り、渋谷駅に向かって歩いていたら、誰かに声をかけられた気がした。

なんと言われたか、咄嗟には意味を汲めなくて、立ち止まって振り返ると、消え入りそうな女性の声が、さっきと同じ言葉を呪文のように繰り返していた。

「100円でいいからください。100円でいいからください」

女性は長めの裾のすぼまったスカートをはき、くるぶし丈の靴下をはいていた。
髪は真っ白で、年齢は70歳前後に見えた。

繰り返される「100円でいいからください」に足を留める人はいない。
彼女自身に向けられているようにも聞こえるか細さで、自分に向けられた言葉と思わない人も多いのかもしれない。

呼び止められたように思い、実際足を止めたわたしも、それ以上彼女に近づけなかった。

「100円でいいからください」と言われて、100円だけ差し出すべきなのか。
もう少しまとまったお金を差し出すべきなのか。

わたし自身も貧しかった学生時代、貧乏旅行で訪ねたアメリカで、電車賃をくれないかと手を差し出され、小銭を渡して「いつまでもこんなことをしていていいの?」と声をかけたら、手のひらに涙が落ちて来たことを思い出した。あの人は、小銭で救われたのではなかった。

自由に使えるお金がふえた社会人になってからの旅行で訪れたバリでは、百円玉をにぎりしめて「チェンジ」と両替を頼んで来た子どもたちがいた。「100円でいいから」を集めた結果、まとまったお金になったのだ。だとしたら、目の前の彼女に差し出すわたしの100円は、それだけでは微力でも、誰かの100円とあわされば、彼女を助けられるのではないか。

だけど、ただお金を差し出すのがいいことなのか、とも考える。

だったら、どこかお店に一緒に行って、好きな物を食べてもらって、彼女の話を聞かせてもらう代わりにごちそうするのはどうだろう。
いい考えのような気もしたけれど、それは彼女が求めていることではなく、わたしが差し出したいことであって、こちらの意思の押しつけではないかと思い直した。

100円渡そうと、1000円渡そうと、焼け石に水ではないのか。
こういう人こそ生活保護を受ける対象なのではないか。
だったら、彼女の住んでいる町の役所について行って、一緒に申請するのがいいのだろうか。
それもまた、彼女が望んでいることがどうかを確認してからでないと……。

頭のなかをいろんな考えが飛び交ったのは、時間にすれば短い間のことで、結局わたしは彼女に背を向けて駅へ向かった。その背中に「100円でいいからください」の声が突き刺さった。

わたしはどうしたら良かったのか。

彼女のことが頭の片隅から離れなかったせいか、その後、わたしの住む町でも、お金に困っているらしき方を二人見かけた。一人は自動販売機のおつりの返却口に指をつっこみ、小銭を求めていた。わたしが小さい頃、同じことをしている男性を駅でよく見かけた。老いた犬を連れたその男性は、誰かの忘れた小銭で生活しているのだった。もう一人はベンチを寝床にしている男性。このベンチには住人がいたりいなくなったりする。人が入れ替わっているのかどうかはわからない。

渋谷の女性も、わたしの町で見かけた男性二人も、いずれも高齢の方だった。仕事を見つけるのも大変なのかもしれない。渋谷の女性が「100円でいいからください」と訴えるようになるまでには、どんな挫折と葛藤があったのだろうか。

今週彼女がいたら声をかけてみようと思って同じ道を歩いたけれど、「100円でいいからください」の声は聞こえなかった。

2010年10月08日(金)  「てっぱん」は熱いうちにみて♪
2009年10月08日(木)  夫婦別姓に賛成ですか?
2008年10月08日(水)  願えば never ever


2014年10月06日(月)  「そこをなんとか2」放送は終わったけど

先日の東京さかい交流会にて、大阪府立大学同窓会のみなさまに囲んでいただき記念写真。手にしているのは「そこをなんとか2」の宣伝はがき。放送はその前の日曜日に終わってしまいましたが、名刺がわりにお配りしました。



放送は終わっても、そこなん熱は冷めやらず、公式サイト掲示板には前シーズンの2倍に迫る書き込みが。楽子ちゃんはじめ、そこなんファミリーが愛されているのが伝わってきて、うれしいです。

気に入ったドラマ、気になったドラマがあると、掲示板を見に行くことがあります。自分が気づかなかったところを見ていたり、人の感想を読むと、もう一度見たくなります。

そこなん掲示板の感想も、読んでいると、そんな気持ちに。脚本から変わってるところもあったりして、見るたびに発見があって面白いです。

2013年10月06日(日)  付き添いも成長!?2度目のキッザニア
2010年10月06日(水)  子どもは遊ぶのが仕事!
2009年10月06日(火)  台風接近!打ち合わせの話題は「藤原効果」
2008年10月06日(月)  『食いタン妻』と『百均探偵』
2007年10月06日(土)  マタニティオレンジ188 フミキリン
2006年10月06日(金)  マタニティオレンジ15 がんばれ母乳部
2005年10月06日(木)  行動する芸術家・林世宝さん
2004年10月06日(水)  ローマの一番よい三流のホテル
2002年10月06日(日)  餃子スタジアム


2014年10月05日(日)  「父の代理人」文化庁芸術祭参加で再放送

NHK FMシアターで8月に放送された「父の代理人」が文化庁芸術祭参加作品になり、11/1(土)22時から再放送されることになりました。ラジオに耳を傾け場面を思い描く、リスナーの想像に委ねられる50分間。どんな景色が見えたか、お聞かせいただけるとうれしいです。

「文化庁芸術祭って何?」と思われる方も多いと思います。

公式サイトによると「広く一般に優れた芸術の鑑賞の機会を提供するとともに,芸術の創造とその発展を図り,もって我が国芸術文化の振興に資することを目的として昭和21年以来毎年秋に開催される芸術の祭典」であり、「主催公演,協賛公演」のほかに「芸術祭に参加を希望する公演(演劇,音楽,舞踊,大衆芸能の4部門)や作品(テレビ・ドラマ,テレビ・ドキュメンタリー,ラジオ,レコードの4部門)のうちから執行委員会が芸術祭にふさわしいものとして参加を認めた参加公演および参加作品」があります。「父の代理人」はこの「参加作品」にあたります。

「参加公演・参加作品については,それぞれの部門で公演・作品内容を競い合い,成果に応じて文部科学大臣賞(芸術祭大賞,芸術祭優秀賞,芸術祭新人賞)が贈られます」とのことです。

一年に何本ものドラマが放送され、どんどん消化され過去のものになっていく。そんななかで、芸術祭に参加するということは、作り手にとって、作品に根っこを張らせる機会。今夜の再放送をたくさんの人に届けられることが何よりの賞だと思っています。

ネットラジオ「らじるらじる」でも聴けます。ぜひ、ぜひ。

2013年10月05日(土)  アプリでお絵描き&タッチペン
2010年10月05日(火)  鶴岡秀子さんとの対面はまたのお楽しみに
2009年10月05日(月)  小説を書くのもまた楽し
2006年10月05日(木)  『シュガー&スパイス』のグランマ
2000年10月05日(木)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/12/08)


2014年10月03日(金)  「堺市博物館」脚本アップ

8/19(ハニワの日前日)に行った「ドラマティック堺さがし」ワークショップ第二弾。中学生4チームが堺市博物館でシナハンして作った脚本が堺市のサイトにアップされました。

>>>こちら

昨年行った第一弾、高校生6チームの阪堺電車編とあわせてどうぞ。

2013年10月03日(木)  ハードな『わにのダンス』にはメッセージを添えて
2010年10月03日(日)  たま、ブリッジ成功!
2009年10月03日(土)  たまちゃん、4のヨーグルトがほしいのよ!
2008年10月03日(金)  シナトレ11 台詞の前後を考える
2006年10月03日(火)  マタニティオレンジ14 ヘンなのは自分だけじゃない
2005年10月03日(月)  Paulina Plizgaの着るアート
2000年10月03日(火)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/12/02)


2014年10月02日(木)  【たま語】「なやみはないけど、こいはしてる」

夕食の後、女二人でたまと話していると、
「ママのいいところ。なやみをきいてくれる」
と言い出したので、
「悩みなんて、あるの?」
と聞いてみたら、
「ない。でも、こいはしてる」
だって。

恋!?

相手は?と聞くと、男の子の名前を挙げて、
「はつこいだね」

初恋!?

いっちょ前だね。

2013年10月02日(水)  参加者20人とつくった絵本「ちいさなだいぼうけん」
2011年10月02日(日)  「無農薬で米作りから酒造りを楽しむ会」稲刈り編
2010年10月02日(土)  茨城ばあばの有機野菜
2009年10月02日(金)  朝ジョラ「たまちゃん」
2008年10月02日(木)  マッキャンAgain展パーティ 
2006年10月02日(月)  マタニティオレンジ13 おかげの花
2004年10月02日(土)  「平均年齢66-1才」若返りの会
2000年10月02日(月)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/12/02)


2014年10月01日(水)  「夕日のなる木」と「おじゃる丸」が出会って

おじゃる丸17期新作。
ふしぎな「木」のお話、ふたつ書きました。

10月2日(木)
第44話  おジャックとプリンの木

10月6日(月)
第46話 夕日のなる木

「夕日のなる木」は、今井雅子がコンクール応募時代から温めてきたモチーフ。初めてコンクールに応募した脚本のタイトルも「夕日のなる木」でした。

さかのぼれば、中学校の校庭から見える木に「夕日のなる木」と名づけたのが、はじまり。

原点のモチーフがおじゃる丸と出会って、どんなお話が生まれたか、見ていただけたらうれしいです。

2013年10月01日(火)  豪華な舞台劇を母国語で!FMシアター「マー子さん」
2010年10月01日(金)  野菜嫌い克服に「てっぱん」料理
2009年10月01日(木)  ツジモトはチュバサを見ましたかの会
2008年10月01日(水)  行列のできる脚本家
2006年10月01日(日)  マタニティオレンジ12 お宮参りイベント
2004年10月01日(金)  「Licensing Asia2004」にCook81(クック81)登場
2002年10月01日(火)  Mr.少林サッカーからのプレゼント
2000年10月01日(日)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/12/02)


2014年09月28日(日)  「堺の3つのDNA」を確認!東京さかい交流会

今井雅子が堺親善大使として参加するようになって三度目の東京さかい交流会。
出会いあり、年に一度この交流会で会える方あり、交流会を機に親しくなった方ありで、今年も交流を楽しみました。

「堺の3つのDNA(南蛮貿易・匠・自由)が堺の未来を作る」と題した堺名誉大使(Jリーグ初代チェアマン・川淵三郎氏、ゴルゴ13作者・さいとうたかを氏、彫刻家・藪内佐斗司氏と豪華な顔ぶれ!)、堺親善大使・中谷彰宏氏と堺市長によるトークは、笑いとうなずきの連続。登壇の方々のことも堺のことも、もっと好きになりました。

今井雅子は8月に堺市博物館で行った「ドラマティック堺さがし」ワークショップ第二弾について報告。会場で再会した堺市博物館学芸員の矢内氏と一緒に登壇し、NHKニューステラス関西の放送をみなさんと振り返りました。



帰りぎわ、物販コーナーで絵本『わにのだんす』が販売されていたことを知り、「宣伝するんやったー!」と不覚。物販コーナーを見落とすくらい広い会場に堺ゆかりのブースがたくさん出ています。

東京さかい交流会、年に一度の交流会のほか、普段から情報交換などを行っています。県人会の堺市版みたいな感じですが、堺出身の方はもちろんのこと、堺が好き!という方も参加できます。

FBページはこちら

堺といえば包丁。持参した包丁を帰るときまでに研いでくれるのですが、研いだ後の包丁の切れ味は感動的。人参に包丁を立てただけでスーッと切れて、人参がやわらかくなったような錯覚を味わいました。

2013年09月28日(土)  徒競争でまさかの1位!
2010年09月28日(火)  18.2%で発進!「てっぱん」×たま語
2009年09月28日(月)  「瀬戸内国際こども映画祭」を子育て中
2008年09月28日(日)  オレンジの壁のユキちゃんち
2005年09月28日(水)  『Spirit of Wood. Spirit of Metal(平成職人の挑戦)』
2002年09月28日(土)  料理の腕前


2014年09月24日(水)  堺市立新浅香山小学校で「堺ゆめ授業 ようこそ堺の先輩」

高校の数学教師の父と小学校の音楽教師の母を見て育ち、幼い頃から「学校の先生」は夢のひとつだった。「夢のひとつ」というのは、何にでも首を突っ込みたがる性格ゆえ、器械体操を習えば「体操選手になりたい」、アメリカ留学で絵を褒められれば「絵描きになりたい」と夢がふえていったから。

それでも教育への関心は持ち続け、大学は教育学部に進み、4年のときには母校の大阪府立三国丘高校で英語の教育実習を行った。奇しくも受け持ったクラスが文化祭で「オズの魔法使い」の劇をやることになっていたのだけれど、ほとんど手つかずな状態だった。高校時代にオズの脚本と演出をやったわたしは振り付けと演出を買って出て、朝昼放課後に加えて土日も練習に燃えた。

当然授業の準備は後回し。文化祭ではビデオを撮りながら生徒以上に感動して腰が抜けるほど号泣。わたしのために花束を用意してくれていた生徒のほうがよっぽど大人で、実習担当の先生からは「あなたは教師にならないほうがいい。あなたは生徒より楽しんでしまうから」とやんわり諭された。

広告代理店のコピーライターになったわたしは、その後脚本家になり、その経験から学んだことを学校で話すようになった。母校の堺市立三原台中学校で「中学生のドラマ脚本会議」と題した授業をやったのが2012年冬。三国丘高校や金蘭千里高校でも講演し、昨日は舞鶴の日星高校で講演とワークショップ。そして、今日は堺市立新浅香山小学校で一日先生を務めさせてもらった。

朝9時に学校に到着。今回呼んでくださった徳永加代校長先生にご挨拶。お会いするのは、これまた徳永先生に呼んでいただいた8月19日の堺市中教研国語部会ぶり。徳永先生は去年の中教研の全体会でわたしの講演を聴いて、「ぜひ、うちの小学校で」と思ってくださったそう。

今回やるのは「鳥獣戯画からドラマを作ろう」というワークショップ。鳥獣戯画を提案されたのは徳永先生。6年生の国語の教科書に載っているとのこと。お題をいただいて以来、「鳥獣戯画を使ってどんな風に授業を展開しようか」とこの数か月考え続けていた。

心がけたのは、「想像力を働かせる『?』を投げること」「なんで?そんで?で脚本が作れる手応えを味わってもらうこと」。

「グループワーク1 なんで?」で「(寝転がっているかえるは)なんで寝てる?」「(走っているさるは)なんで走ってる?」を話し合い、発表。「グループワーク2 そんで?」で「そんで、これはどこ」「そんで、これはいつ?」「そんで、かえるやうさぎやさるは、なんて言ってる?」を話し合い、発表。最後にわたしが考えた「なんで?」と「そんで?」を発表し、そのセリフを並べてト書きをつけたらハイ脚本のできあがり、を実演で見せる。

ここまでを45分でできるかどうか。ぶっつけ本番。まずはわたしが楽しむこと。

2時間目に3年1組、3時間目に3年2組で授業。「みんなよりひとつ下、2年生の娘がいます」と自己紹介すると、親近感を持ってもらえた様子。大阪の子だからなのか、この小学校がとくに活気があるのか、グループワークの意見交換も発表も元気いっぱい。先に授業をした1組では、「かえるは、なんで寝てる?」「さるは、なんで走ってる?」と聞くと、「さるがかえるをいじめて倒して逃げてる」と答えるグループが多かったので、次の2組からは、たまが考えた例を先に話すことに。たまは「ラジオ体操がはじまる前」で、「かえるはまだ寝ていて、さるはラジオ体操に向かっている」と読み解いていた。

「遠足で、かえるはもう歩けないとだだをこねていて、さるは先生で、早くしないと日が暮れるぞと言っている」と、かえるとさるのキャラクターを膨らませたグループ、「マラソン大会で、さるはかえるにこかされたけれど、後で起き上がって、さるを抜かす」と絵の続きを考えたグループ、短い時間の中で集中力を発揮して、個性的なドラマが生まれた。

3年1組の授業には光eoテレビの取材が入り、授業の後、子どもたちにもインタビューのマイクが。「脚本を書くのはかんたんやってわかりました」と得意げに答えてくれたのがうれしかった。

4時間目は6年1組、5時間目は6年2組で授業。「人間が滅びた世界」というSF風設定や、刑事物設定など、高学年らしい広がりがあった。「さるが背負っている帽子は倒れているかえるから奪ったもので、それを仲間のかえるが取り返そうと追いかけている」というドラマを考えたグループは、即興の芝居で「かえるくん、待ってろよ。必ず取り返すからな」と熱い友情のセリフを披露。

4限目と5限目の間の給食は、ロの字型に机を並べた6年1組にまじって。ともに読書家で伊坂幸太郎を読んでいるのが共通点の東山さんと中山君の間に。

「このクラスには東西南北そろってるねん」「あの子はナルシストのナルシンノスケ」……とクラスメイトを紹介してくれた東山さん。今読んでいる本を見せてくれたり、家族のこともたくさん話してくれたりして、彼女のことにかなり詳しくなった。彼女は授業のときに「こういうのだけは得意」と言っていて、「今回みたいに、絵にストーリーをつける形じゃなくて、何もないところからオリジナルを発想するのはどうするのか」と、とてもいい質問をしてくれた。どんなものを書くんだろうと続きが知りたくなる子だった。

司馬遼太郎を読んでいるのが渋い中山聡太くんは、「無茶なお願いやけど……」と自分の名前を脚本に使ってと遠慮がちに。名前覚えとくね。

児童劇団に行っていて、演じるのが楽しい、と目をきらきらさせて話してくれた女の子。いつかわたしの作品に出てくれたらうれしい。「なあなあ先生」といろんな子がひっきりなしに話しかけてきてくれて、みんなかわいかった。「あの子たちどうしてるかな」と気になる子たちが何十人もできた。

授業の間の休み時間は、持って行った脚本を手に取り、「こんな風になってるんや」と興味深そうに見てくれた。

5時間目が始まる前の休憩時間には、5年生の男の子と女の子が「豊かな言葉の使い手になるために」というテーマで取材してくれた。「豊かな言葉って、どんな言葉だと思いますか?」と聞かれ、「どう思う?」と逆質問すると「やさしい言葉」と思いがけない返事。豊かな食べものはおなかを満たす、豊かな言葉は心を満たす。取材は、眠っている石ころをみがいてくれる。

給食の時間に呼びに来てくれた男の子は「評判って気になりますか?」とこれまたいい質問をしてくれた。



6時間目のクラブ活動の間は校長室で休憩し、購入していただいた本にサイン。放課後の7時間目は先生方と。徳永先生の熱心さに引っ張られているのか、先生方も目と声に力のある方が多くて、頼もしい。今日の授業を振り返った後、「朝起きたらしっぽが生えていたら?」と「赤ずきんはなぜ一人で森へ行った?」のグループワーク。「(しっぽが生えたら)とりあえず休みを取る」「医者へ行く」などと先生方は現実的。小学生からはどんな答えが飛び出すか、見てみたい。

今日の授業は「堺ゆめ授業 ようこそ堺の先輩」という堺市のプロジェクトの第一号とのこと。学校の先生には向いていないと言われたわたしにとっても、夢がかなった一日。やっぱり、わたしが誰よりも楽しんでしまった。

2012年09月24日(月)  ふるさと堺を売り込む「堺親善大使」に
2011年09月24日(土)  おんぶひもの出番なし!高水三山縦走
2010年09月24日(金)  パイプ椅子も熱演『テノヒラサイズの人生大車輪』
2008年09月24日(水)  トマトジュースのレシピで泣かせる『味覚日乗』
2005年09月24日(土)  DVDプレーヤーがやってきた
2002年09月24日(火)  アメリカ土産の「Targetスーパー」のカード
2001年09月24日(月)  『パコダテ人』ロケ2 キーワード:対決 

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