2013年07月27日(土)  熱気むんむん上海結婚式

「上海で結婚式やるんだけど来ない?」
と会社時代の上司に誘われ、ちょうど中国語を勉強しているし、娘のたまの夏休み旅行を兼ねて、「行きます」と返事したら、道路が二本交差した角にココと星がついただけのお洒落地図が送られてきた。



ここは上海のどこ?



簡体字のため道の名前を入力することもできず、google mapで上海の地図をスクロールし続けてその二本の道を見つけるのに数時間。
さらに、近くのホテルを予約し、航空券を予約するのに一日がかり。


期限の切れたパスポートと娘の初パスポートの申請やら、旅行保険やら、結婚式に着ていくものの準備やら、7月が飛ぶように過ぎて、あわただしく出発した。



久々の飛行機、久々の海外。そして久々の結婚式。



初めての上海は、とにかく暑かった。

飛行機を降り立った瞬間、むわっという熱くて重たい空気にまとわりつかれた。



会場は、趣のあるクラシカルな洋館。



まずは、アフタヌーンティー。
ガーデンでは着々と、しかし、時間はだいぶ押し気味に、結婚式の準備とリハーサル。


日本から、中国国内から、お祝いに駆けつた人たち。

正装から超普段着まで、落差が激しかった。



庭でシャンパンタワーやケーキカットのセレモニーをしているときに、建物内では親戚と思しき人たちがすでに宴会を始めていた。



この大らかさが大陸流なのかもしれない。







個室に分かれての会食と、ガーデンでのセレモニーを繰り返して、結婚式は進む。
新鮮なことだらけの中国式。

しかも、中国人ウェディングプランナーでさえもビデオを見て研究したという古式ゆかしき伝統にのっとっているとか。



司会は、CMのナレーションで何度も声をお借りしたケイ・グラント氏。

説得力ある低音で日本語と英語を行き来して、声だけでセレモニーがぐぐっと格調高くなるのは、さすが。


中国語の通訳も入り、3か国語での司会進行。

お色直しは3回。

それでも「5回のところを減らした」とのこと。



結婚式はただでさえ特別なものだけど、日本から遠く離れた町の歴史ある建物で、仕事の顔とはまったく違う元上司のデレデレぶりを3か国語で味わうという、非日常感あふれる体験。



たまは新郎新婦を先導するカップルの一人としてお祝いの花びらをふりまく役を務めた。

感想は?

「ちゅうごくごへたくそだねっていわれた」とのこと。

「でも、にほんごは、たまちゃんのほうがうまいもんね」

この先も覚えているかな、初めての国際交流。

赤地に金文字のメッセージブックには「けっこんしておめでとう」と書いていた。





2012年07月27日(金)  故郷の売り込み方を学ぶ「大阪まるかじり」
2010年07月27日(火)  早起きして原稿送ってルプチメックのパン
2009年07月27日(月)  パイプ椅子でのけぞって『カムイ外伝』
2008年07月27日(日)  SKIPシティ国際Dシネマ映画祭9日目 クロージング
2007年07月27日(金)  あの傑作本が傑作映画に『自虐の詩』
2005年07月27日(水)  シナトレ2 頭の中にテープレコーダーを
2004年07月27日(火)  コメディエンヌ前原星良
2002年07月27日(土)  上野アトレ
2000年07月27日(木)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)


2013年07月25日(木)  物語が生まれる胎動@絵本ワークショップ

ひさしぶりに、「今日という日を漢字一文字で表すと?」をやってみたくなった。

「縁あって集まった人たちと、2時間で絵本のストーリーを作る!」に挑戦した、神保町EDITORY×ツブヤ大学×エンブックス「わにのだんす」チームの絵本づくりイベント。
今日を漢字一文字で表すなら、「生」。

ライブの「生」!

「生」き生きしたアイデアと意見が飛び交い、世界に一つだけの物語が「生」まれた。
奇蹟と言ったら大げさだけれど、今宵、神保町EDITORYでは、集まった人たちの化学変化とさまざまな偶然がとてもうまい具合に作用しあっていたと思う。

蓋を開けてみなくちゃわからない、ぶっつけ本番の実験的な試み。果たして時間内に物語がまとまるんだろうかという不安を経て、とにかく楽しんでやるっきゃない開き直り、当日を迎えた。

いざ蓋を開けてみると、これ以上はないというほどの強力で個性的な参加者が集まり、とても刺激的で白熱したアイデア出しが始まった。

お題は、こちら。



「スプーンとフォークが○○するお話」。
どんなスプーンとフォークが何をしたら面白いか、キャラクターとあらすじを同時に考えていく。

首が曲がったままのスプーンとフォークが出会う話。
捨てられたスプーンとフォークが出会い、他の使い捨て食器とも出会って、最後に大きな木を形作る話。
いつもは人に食べさせるスプーンとフォークが「自分たちだって食事したい」と言い出す話。

誰かが何か言うと、すかさず他の誰かが「こうしたら?」とアイデアを転がす。一人では思いつかないような物語が、思いつきのかけあわせで生まれていく。本当に「物語を作りたい」人たちが集まっていたのだ。

司会をしながら、わたしがずっと感じていたのは、「胎動」。

物語が生まれようとする勢いは、迷いを吹き飛ばし、目移りするヒマもなく、ひたすら前へ前へと突き進む。後戻りすることもなく、まわり道することもなく。その胎動の力強さが、いい結果を招いてくれた。足踏みしたり寄り道したりは物語を膨らませるのに必要な時間ではあるけれど、それをじっくりやっていたら、物語はおしまいまでたどり着けなかった。生まれいづる勢いにまかせたことが幸いした。

無数の選択肢の中から直感で選びとった答えを重ねて、物語はラストシーンまで運ばれた。

《仲間とはぐれ、自分が何者であるかもわからなくなったスプーンとフォークが出会い、仲間探しの旅に出かけ、自分たちのアイデンティティである「すくう」と「さす」を見出す冒険物語》。

これにつけるタイトルはどうしよう?
「なんのかたち?」
「ぎざぎざとつるつる」
「スクーとサスー」
「ちいさなだいぼうけん」
どれにするかは、絵をつけてみてから決めさせてもらうことに。

結果的には、2時間という制限時間も、いい刺激になってくれた。
切り捨ててしまったアイデアの中にも光るものがたくさん。あっちの方向に行ってたらどうなってたかな……と妄想するのもまた楽しい。

ワークショップ後も興奮冷めやらぬ人たちから感想をうかがったり、絵本「わにのだんす」を手に取っていただいたりで、会場のEDITORYを出たのは11時過ぎ。

完成した物語にこれから絵をつける島袋千栄さんは先に帰り、わたしとエンブックスの社長で編集長の西川季岐さんと、イベントの企画運営のツブヤ大学の望月大作さんで記念撮影。おでこのてかりが、会場の熱気と手応えを物語っている。


この心のほてりは、ライブならでは。講義も脚本教室も、いつも始まるまではハラハラ。今日は初めての絵本づくりイベントということで、なおさらだったのだけど、終わってみると、は〜やっぱり生はよいわーおもろいわーやめられんわーとなるのだった。

2011年07月25日(月)  ン十年ぶりのラジオ体操
2010年07月25日(日)  捨てられないモノは写真に残して手放す
2008年07月25日(金)  SKIPシティ国際Dシネマ映画祭7日目 審査員ディナー
2007年07月25日(水)  父と娘から生まれた二つの『算法少女』
2005年07月25日(月)  転校青春映画『青空のゆくえ』
2003年07月25日(金)  日本雑誌広告賞
2000年07月25日(火)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)


2013年07月24日(水)  夏に育つ「○まわり」

みんなも考えそうな単語でマスを埋める、言葉ビンゴ。


お題は夏。




あいす、すいか、せみ、なつやすみ……。
夏らしい単語が並ぶ中で、



りまわり?

ひまわりが、なぜか利回りに。



わたしが野村証券のMMFひまわりのコピーを書いていた頃、
「ひまわり」と「りまわり」をかけていたのだけど、たまが知る由はないし……。

「かきごおり」が「かきごうり」になっているたまにとっては、「こうりまわり」も氷まわりで夏単語かも。

2011年07月24日(日)  5年越しの片想い実るTIES(本郷三丁目)のケーキ
2010年07月24日(土)  初めての受賞脚本『昭和七十三年七月三日』執筆メモ
2009年07月24日(金)  映画『引き出しの中のラブレター』とラヴレター募集
2008年07月24日(木)  潜在意識?『7月24日通りのクリスマス』
2007年07月24日(火)  マタニティオレンジ150 自分一人の体じゃない
2000年07月24日(月)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)


2013年07月21日(日)  スイカ割りって何の意味があるの?

育成室(学童保育)のキャンプ2日目。

「男の子と女の子ってこうも違うんだ!」と驚かされることの連続。


女の子はコテージの階段を椅子と机にして仲良くお絵描き。

生意気だけど、リクツが通じて、リクツで言い返して来る。





一方男の子は、そこかしこでケンカ。

虫取り網を取り合って、順番を取り合って、どこからでもケンカが始まる。

リクツが通じないから、こわいお父さんお母さんにガツンと叱られる。



だけど、男の子は女の子以上に甘えたさん。


一年生の男の子がわたしの胸をむぎゅうとつかんだのを目撃した他の男の子たちが「あの人はつかんでいいんだ」と思ったらしく、むぎゅう攻撃に。



さらに、「あいどるみたい」と言い出す男の子までいて、モテ期到来か!と思ったら、「おばあいどる」「ぼろぼろあいどる」と呼ばれ、最後は「ぼろすたー」というあだ名に落ち着いた。



ボロとはいえ、一応はモテてるのか、とちょっとはいい気に。

でも、悪さした男の子に「こら、抱きしめるぞ!」と両手を広げると、みんな逃げていった。



男の子はまだまだ謎だらけ。

もうひとつの驚きは、子どもたちの温度の低さ。



行きのバスで「キャンプでがんばりたいこと」を聞いたら、
「とくにありません」の連発。


あまりにさめているので、力が抜けた。



わたしが小学生のときは、もっとノリが良かった気がするのだけど。


大阪と東京の違いなのか、都会っ子気質なのか、時代の流れなのか。



スイカ割りをやったとき、部屋から出てこない子を誘ったら、
「やらない。意味ないから」という返事。


数十人に棒を振らせるために生スイカではなく紙風船スイカ(をビニール風船の上にテープで貼り付けている)なのだけど、それを割ることの意味を求められても……。



意味のないことに夢中になるのが、楽しいんじゃないのか?



でも、いざやってみると、子どもらしさを発揮。
当たれば大喜び、外れれば悔しがり、外野は大声で指示を飛ばす。
班対抗の種飛ばし大会では、競い合って唇を突き出した。


ほら、楽しかったでしょ。



人生なんて、意味のないことの連続。

だから、かっこつけてないで、楽しんだもん勝ちよ。

2012年07月21日(土)  「やわらかい生活」裁判を考える会
2011年07月21日(木)  被災地で「食」と「職」を作り出す「お好み焼きしんのすけ」
2010年07月21日(水)  39度の熱とうすうすパンツで独り寝
2009年07月21日(火)  一目惚れの恋のその後
2008年07月21日(月)  マタニティオレンジ313 なす術なし!の手足口病
2007年07月21日(土)  体に寄り添う仕事用の椅子
2005年07月21日(木)  日本科学未来館『恋愛物語展』
2004年07月21日(水)  明珠唯在吾方寸(良寛)
2002年07月21日(日)  関西土産
2000年07月21日(金)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)


2013年07月20日(土)  光の道をぬけてキャンプファイアへ

育成室(学童保育)の2泊3日キャンプに親子で初参加。

子どもの頃のキャンプが楽しかった思い出があるので、キャンプ委員に立候補した、わたし。レク係を仰せつかり、1日目の灯籠作りと3日目の石ころアートの担当になった。

灯籠は、昨年までは竹ひごと模造紙で作っていたそうだけど、ネットで見つけた牛乳パックの灯籠を作ることにした。

>>>2013年06月06日(木)  牛乳パックが灯籠に!

牛乳パックなら材料費ゼロ。
用済みのパックにちょっと手をかけると、いい感じの透け具合の灯籠に「化ける」というのも面白い。

牛乳パックがかさばらないように+カッターがすべらないようにということで「底を中心に十字に開いた」状態でパックを回収し、持って行った。また、印刷面を子どもが薄く上手にむけるように「端っこだけ数センチむいて」おいた。残りはそろそろと手でゆっくり引っ張ってはがし、そこにカッターで模様をつけたり、ポスカで絵を描いてもらう。

1年生も集中してカッターをせっせと動かし、思い思いの灯籠を作った。

できあがった灯籠は約50個。
並べて、ティーキャンドルを灯し、キャンプファイアへ続く光の道を作った。
仄かな灯りが集まって、とても幻想的であったかい明るさが浮かび上がった。



牛乳パック灯籠は風にあおられて倒れやすいことは、わが家のベランダでの予行演習で実験済み。キャンドルのまわりに小石を3つ4つ置いて、安定させた。

最後に二枚牛乳パックが余ったので、こんな灯籠を作ってみた。
模造紙よりも厚みがあるので、「しなり」を作れるのも牛乳パック灯籠のいいところ。


キャンプファイアも本格的。
夜空を焦がす勢いの炎。はぜる火の粉。
猛々しくもあり、厳かでもあり。
月明かりと松明しか灯りがなかった頃の遠い記憶が呼び覚まされるよう。


30年ぶりぐらいに踊ったマイムマイムは、体がしっかり覚えていた。
これまでに通算何回ぐらい踊ったものやら。
人一倍踊っている気がするけど、今夜はさらに通算マイム回数が10回ほど加算された。

2012年07月20日(金)  「そこをなんとか」顔合わせ
2010年07月20日(火)  ひねもす原稿を打っていた
2009年07月20日(月)  渋谷はるのおがわプレーパーク5周年
2008年07月20日(日)  映画祭と日常を行き来する通勤審査員
2005年07月20日(水)  立て続けに泣く『砂の器』『フライ,ダディ,フライ』
2002年07月20日(土)  トルコ風結婚式
2000年07月20日(木)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)


2013年07月14日(日)  遊民谷の旅人から住人へ

「無農薬で米作りから酒造りを楽しむ会」というワークショップで知り合った音楽家の小室ひろさんと仲間たちが群馬の赤城山近くに立ち上げた(そして日々進化中の)「遊民谷」。そこで「アースガーデン」と銘打ってマルシェとコンサートが開かれると聞いて、娘のたまと遊びに行ってきた。

電車を4回乗り継いだ最寄り駅から、さらに車で15分。

ここは日本なのか? 
ここは平成なのか?

そんな俗世間から切り離されたようなピースでアースで「わっしょい」なパラダイス。

最初は「この輪にどう入っていこうか」と面食らったけど、その輪はしなやかで、はじめましてのよそ者を自然に仲間に入れてくれた。

ステージでは途切れることなく歌と踊りが。





ステージの後ろの木は自然のクローゼット。なんだか、とっても幻想的。お話が生まれそう。


きゅうり。ラーメン。紅ほっぺのスムージー。メロンパン。チョコベーグル、カレー……。


日本の人なんだかどこの国の人なんだか謎のオーラを発している人。「なに人?」と聞いたら「遊民谷人」と答えそう。いや「遊民」かな。隣のお店の店番が留守で、かわりにお会計をしてくれた。


ぶら下がってる竹の笛(竹ボラというらしい)を片っ端から吹いてみて、「なったよ!」と声を弾ませる、たま。そこかしこにちりばめられた遊びに、子どもは真っ先に気づいて、まっすぐに飛びついて、じょうずに楽しむ。


子ども同士が打ち解けるのは、あっという間。仲良くなった女の子たちとたまは、木と木の間に渡したハンモックで、ゆらゆら。ブランコごっこした後は、持って行った絵本『わにのだんす』 hを読み聞かせ。色とりどりの旗がはためく遊民谷に、カラフルなわにがよく似合ってた。


ジャングルのスコールみたいな突然の土砂降り。きれいだった。


同じ頃、イベントで使いすぎたのか、トイレの水が流れなくなる事態が。あれだけ降っても、バケツにたまった雨水は、わずか。「もっと雨水を有効に使う方法があれば」「トイレ問題どうしよう」と議論する運営スタッフのみなさん。

「貯水タンクの容量をふやすべきか」
「ダメよ、そしたら原発と同じ。どうやって水を節約できるか考えないと」

エコでアースでピースな遊民谷。
ここは日本。
ここは平成。
でも、いつもの生活とはずいぶん違う空間と時間。

知らない場所のような、でも懐かしいような。

はじめて会う人の練習するアコーディオンに合わせて、たまは歌い、
はじめましての人と寝袋を並べて眠る。

すこしずつ、すこしずつ、旅人から住人へ。

2012年07月14日(土)  次回作はNHKBSプレミアム「そこをなんとか」
2010年07月14日(水)  「いつか公平」つかこうへいさんの祈り
2009年07月14日(火)  「好き!」を見せるとトクをする
2008年07月14日(月)  英国ロイヤル・バレエ団 日本公演2008『眠れる森の美女』
2007年07月14日(土)  マタニティオレンジ146 コンロの火を消した犯人
2002年07月14日(日)  戯曲にしたい「こころ」の話
2000年07月14日(金)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)


2013年07月13日(土)  たまとママの黄色い自転車

海外へ引っ越すことになった友人が粗大ゴミに出そうとしていた自転車を「もったいない!」と引き受けたのは、10年ほど前のこと。

捨てられる予定だった中古自転車は、やがて子ども用補助椅子を載せられ、思いがけず長い余生を過ごしている。

もともとママチャリ仕様ではないためか、バランスを取り辛くて、転びそうになったことは何度もある。子どもを乗せた拍子に前輪が浮いて暴れ馬状態になったことも一度や二度ではない。それでも乗り続けている。

タイヤも古いので、何度となくパンクを繰り返し、自転車屋さんに駆け込んでいる。「新しいのを買ったほうが……」と自転車屋さんには遠慮がちに薦められる。でも、いかにもママチャリじゃないのが気に入ってるし、愛着もある。

世話が焼ける分だけ、かえって情が湧いてしまったとも言える。

映画『ぼくとママの黄色い自転車』(2009年)のイメージをくれた自転車でもある。

原作『僕の行く道』と設定を変えて、新幹線ではなく自転車で小豆島を目指す脚本にしたとき、頭に思い浮かんだ「黄色い自転車」が採用され、タイトルにもなった。小豆島では映画にちなんで「黄色いレンタサイクル」が始まった。

今日、自転車屋さんに空気を入れに行くと、前輪の空気の減りが激しかった。後輪のタイヤは損傷がひどくて数か月前にチューブを替えたのだけれど、前輪もそろそろ替え時かもしれない。

前輪と後輪に空気を入れてもらい、少し軽くなったペダルを漕いで、二人乗りでプールへ向かった。
「うしろのしゃりんは、どうして、くうきがいっぱいだったの?」と、後ろの補助椅子からたまが聞いてきた。
「後ろのタイヤは替えたばかりだからかな」とわたしが答えると、
「あのじてんしゃやさんで、たいやもらうと、いいね」とたま。

「タイヤもらう?」
と笑って聞き返すと、
「あれ? たいやもらう、じゃないか……」
なんかへんだぞ、と気づいた様子。

「タイヤ替えるっていうのを、他の言い方すると、なんだろね?」と、わたし。
「たいやぬすむ?」
「盗むは、違うよねー」
「ちがうよねー」と、たまも笑って、
「たいやもらってやる、もちがうよねー」
「違うよねー。タイヤ転がす、も違うよねー」
「ちがうよねー」

タイヤ回す、タイヤ引っ張る、タイヤに立つ、タイヤに乗る……。
わざと違う答えを出し合って、笑い合った。

「たいやかう、はどう?」とたま。
「タイヤ買う、でもいいかな。でも、元々あったタイヤと交換するから、取り替えるとか、付け替えるって言ったほうが近いね」
「じゃあ、たいやあたらしくするは?」

タイヤを新しくする。
タイヤを替えるの言い換えは、今のが一番しっくりくるね。

同じことでも色んな言い方があって面白いね、と発見した。

こういう言葉遊びをさせたら、日本語は天才。
Eテレの「にほんごであそぼ」は秀逸なタイトルだと思う。

日本語はレゴブロックより自由に好き勝手に組み立てられて、いかようにも形を変え、どこまでも広がる。

そして、ハンドルで両手がふさがっていても、遊べる。

「じゃあ、タイヤに空気が入って、自転車が軽くなったっていうのを、いろんな言い方で言ってみよう」と提案すると、
「たいやにくうきがはいって、かぜがきもちよくなった」と、たま。
「タイヤに空気が入って、風を切って走ってる」と、わたし。

先ほどの「わざと間違えごっこ」とは違い、今度は真面目に「近い言い回しごっこ」。

「たいやにくうきがはいって、ゆっくりのときと、みえるものがちがう」
「タイヤに空気が入って、景色が流れてる」

「けしきがながれてるってなに?」
「速く走ると、おうちや木をびゅんって通り過ぎて、線みたいに見えるでしょ?」
実際はそんなにスピードは出ていないのだけれど、
「うん、みんな、はしってるね」と、たま。

そういえば、たまは初めて自転車の二人乗りをした頃、目に見えるものの名前をひとつひとつ呼んで、「しんごうが、はしってる〜」などと歌うように言っていた。

もっと小さくて、まだ補助椅子をつけてなかった頃は、「わんわんのところにのりたいよう」とねだり、広い前カゴにちょこんと座って、わたしに自転車を押させたこともあった。

そんな思い出も乗せている、黄色い自転車。

たまの成長に合わせて、キーキーときしむ音も大きくなっているけれど、たまが後ろに乗れるもうしばらくの間、ママチャリとして働いてもらおう。

2010年07月13日(火)  迷子の英語。迷子の記憶。
2009年07月13日(月)  ちびっ子総立ち!東京大学奇術愛好会のマジックショー
2008年07月13日(日)  マタニティオレンジ311 東京ディズニーシーでパークデビュー 
2002年07月13日(土)  『寝ても覚めても』『命』
2000年07月13日(木)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)


2013年07月12日(金)  一輪と向き合うように一人と、一日と。「光輪花」

縁あって「光輪花」という生け花に出会い、今週、二度体験する機会を得た。

この過程、脚本作りにとても似ている。

まず、いくつかあるお花をじっくり眺めて、一輪を選ぶ。

次に、その一輪をじっと見つめて、対話する。

正面から、横から、いろんな角度から。

花だけでなく葉っぱや茎も。

じっくり見て、どこがこの花の持ち味だろう、と観察する。

つぎに、花器を選ぶ。

立派な焼き物の器でなくても良い。

ドレッシングのガラス瓶やペットボトル、水差しだって花器になる。

どんな器に生けると、この花が映えるだろうと思いをめぐらせ、ひとつを選ぶ。

花器を決めたら、花をどう生けようか、考える。

茎の長さはどうしよう。

葉っぱは間引いたほうがいいかもしれない。

茶色くなったところを取り除いたほうが、花が映えそう。

花と花器がいちばんしっくり来る形を考えて、必要ならハサミを入れる。

選んだのは、オレンジに赤い斑入りの花。

檜扇(ひおうぎ)という。

辞書で「檜扇」を引くと、見開きの隣のページに「美育」があった。

昭和44年版の同じ辞書に「食育」はなく、「美育」という言葉のほうが歴史が古いらしい。

美しいものを愛でて心を豊かにする「美育」の力を先生は信じている。

その言葉が、わたしの選んだ花の名前と辞書のご近所さん。

花に呼ばれたような気持ちにもなって、なんだかうれしい。



花器に生けたら、いろんな角度から見てみる。

正面はこっちと決めて、それに縛られることはない。

生けてみて、こっちから見たほうがいいなと思ったら、そこを正面にする。

心のまま。

自由。

「終わりましたか?」と先生が聞かれる。

これでよし、定まった、と思ったら、終わり。

終わり、というのは、生けきった、ということ。

花。花器。花の長さ。葉っぱの数。角度……。

たった一輪でも無限の生け方があって、何を選ぶかに「個性」が表れる。

そこが、脚本づくりととても似ている、と感じるところ。

花と向き合う心は、子育てにも通じるところも。

この子のいいところはどこだろう、とじっと見てみる。

そのいいところを光らせるには、どんな環境がいいだろうと考える。

一輪を光らせるように、一人を光らせたい、と思う。

そして、いくつもある選択肢からひとつを選び続けて、終わりにたどりつくのは、「人生」そのもの。

大事なのは「じっくり考えて自分で選ぶ」こと、「選んだ結果に満足する」こと。

一日一日に一輪のように向き合っていけたら……。

そんなことまで思いを馳せさせてくれる、奥深い生け花。

先生のお宅から持ち帰って、わが家の器に生け直した。

花器に選んだのは、きれいな色のワインボトル。



檜扇の隣は、スカシユリ。

スカシユリの葉っぱを大胆にむしって、花のまわり以外は丸裸にむいてしまい、先生に驚かれた。

それも個性、それもまたよし。

子どもにもぜひ体験させてあげたい、と思っていたら、ちょうど文京区で夏休みに子ども生け花講座が。
>>>こらびっと文京 夏休み!わくわくお花をいけてみよう

費用は実費300円。

実費(お花代)にアシが出てしまうのではと心配になるほど良心的なお値段。

親子での参加もできるようなので、ぜひ。

2012年07月12日(木)  なんだかモヤッとする文京区育成室保育料激変値上げ
2010年07月12日(月)  7/21多摩で『ぼくとママの黄色い自転車』野外上映
2009年07月12日(日)  朝ドラ「つばさ」第16週は「嵐の中で」&「ラジオぽてとin渋谷」
2008年07月12日(土)  ログ解析〜みなさんどこから飛んで来るの?
2005年07月12日(火)  『子ぎつねヘレン』打ち上げで ipodをゲット
2003年07月12日(土)  15年目の同窓会
2002年07月12日(金)  『真夜中のアンデルセン』小原孝さんのピアノ収録
2000年07月12日(水)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)


2013年07月10日(水)  見知らぬおばさまと扇風機を値切った!

あまりに暑くて寝苦しいので扇風機を見にビックカメラへ。

「え、扇風機って数千円かと思ったら数万円するんですか!」
「そうですねー今はDCが主流で」
「DC扇風機のDCって何ですか?」
「直流って意味です」
「DCで安いのないんですか」

そんな店員さんとの会話を経て「こちらはいかがですか」とすすめられたのが、シャープのPJ-CD2Sというイオンファン扇風機。

昨日まで19800円だったのが12800円に値下がり!

上下左右に首を振る姿がピクサーのロゴと一緒に出て来るスタンド(わかります?)みたいでかわいい。わー、これいいかもと思ったら、隣で「かわいいわね。洗濯物もよく乾きそう」と言うおばさま。

しばらく二人で見入って、「二人とも買ったらいくらになるか聞いてみましょうか?」とわたし。

「端数の800円を切ってもらえない?」と二人で交渉したところ、若い醤油顔の店員さんが上の人と相談しに奥へ引っ込んで、「お値段このままで送料無料でどうでしょう?」と戻ってきた。

「在庫がなくてお届けが16日になってしまうんですが」と言われ、「そんなに待たされると気持ちがなえるわねー」とおばさまと顔を見合わせた。

「やっぱり800円切ってよ。こっちは待つ間暑い思いするんだから」とおばさまがもう一押し。醤油顔店員さんももう一押し。
その結果、「わかりました。送料サービスの12000円で」と交渉成立。

出会ったばかりのおばさまと「やりましたね!」と勝利を分かち合い、仲良く手続きカウンターへ。

「こういうの、はじめてですよ」と苦笑する醤油顔店員さんに「あなたお醤油顔で好みだわ」と持ち上げたり「わたし明日誕生日なのよ」とアピールしたりで、隙あらばさらに値下げをもくろむおばさま。

若く見えて75歳、今もお仕事されているそうで、気が若い。

お嬢さんは7月17日生まれで「明日から二人で旅行行くのよ。自分たちで自分たちの誕生日祝いするしかないんだから」とおばさま。

ってことは、すぐに届かなくても困らないわけで……。

「こっちは待つ間暑い思いするんだから」の決め台詞を放っておきながら、「旅行から戻ってくるの16日だから、17日に届けてくださる?」

さすが。あっぱれ。まいった。

名刺でも渡そうかしらと思ったけれど、いえいえ、一期一会だからこその愉快な体験。
戦利品の扇風機を見て、「そういや、これを買ったとき、こんなことがあったな」と微風程度に思い出すのが、涼しげで良い。

「おかげさまでたのしかったわ」と言い残し、おばさまは颯爽と立ち去った。

扇風機12000円。
値切りごっこ、プライスレス。

2012年07月10日(火)  「パキラのアキラ」と「たまママ漫才」
2011年07月10日(日)  「無農薬で米作りから酒造りを楽しむ会」草取り編
2010年07月10日(土)  ルーフバルコニーのある暮らし
2009年07月10日(金)  リチャード・ギアが「ヘァチ」と呼ぶ謎『HACHI 約束の犬』
2008年07月10日(木)  脚本家デビュー9周年
2007年07月10日(火)  マタニティオレンジ144 離乳食も食いだおれ
2005年07月10日(日)  12歳、花の応援団に入部。
2003年07月10日(木)  三宅麻衣「猫に表具」展
2002年07月10日(水)  『朝2時起きで、なんでもできる!』(枝廣淳子)
2000年07月10日(月)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/28)


2013年07月08日(月)  おめでたい席には鯛の塩釜焼き

週末、わが家でお祝い事のパーティをやった。

お祝いといえば、鯛!

京都の天才料理人に教えてもらった豚肉の塩釜焼きレシピ(>>>2013年06月09日(日) 手から「おいしなるビーム」出てる人
)をアレンジして、鯛の塩釜焼きに挑戦。

オーブンレンジのレシピにあった鯛の塩釜焼きレシピを合体させてみた。

1)内臓を取り出した鯛の腹に、にんにく1かけとローズマリー(5cmほど)と厚くむいたレモンの皮1/2個分を詰める。



2)鯛にオリーブオイルと胡椒をすりこみ(表面に油をしっかりすりこむことで、塩がしみこみすぎるのを防ぐ)、ローズマリーを散らす。

3)卵白1個分を泡立て、塩500g(鯛が大きめの場合は塩をふやす)とすりおろしたレモンの皮1/2個分を混ぜる。

4)クッキングシートを広げ、塩を敷いた上に鯛をのっけて、鯛のまわりにもペタペタと塩を塗りつけ、塩釜コーティングする。


5)魚の形にととのえて、竹串などで魚っぽく目玉やうろこを描く。


6)クッキングシートでくるんで、180-200度のオーブンで50-60分蒸し焼きにする。

いろんなレシピを見ると卵白の量も、塩の量も、焼き時間も、まちまち。
けっこう「適当」でもおいしく出来て、見た目の豪華さの割に失敗が少ない。


何よりテーブルに出したときの演出効果がバツグン。
ケーキカットならぬ「塩釜割り」イベントもなかなか盛り上がる。




2010年07月08日(木)  保育園休んで「つばさ」DVD
2009年07月08日(水)  『築城せよ!』がヒットすれば、日本映画の未来は明るい。
2008年07月08日(火)  同級生さっちゃんと19年ぶりの再会
2007年07月08日(日)  マタニティオレンジ142 布の絵本とエリック・カール絵本のCD
2005年07月08日(金)  いまいまぁ子とすてちな仲間たち
2000年07月08日(土)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)

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