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漫画関連ファイル


2001年05月30日(水)
萩尾望都『残神』をまとめ読みした簡単な印象

『残酷な神が支配する』の単行本を昨日まとめて読んでみました。
私は、この作品を雑誌掲載時に1回、コミックスを買ったときに1回しか
読んでなかったのでした。というのは、今回もそうだったけれど、
5巻目までの話は身体的な拒絶感が先に立ってしまうのです。
ジェルミが殺人をおかしてからこそが本編の趣がありますが、
そこに入ってからも、何回も読んで楽しむという質のお話ではないので、
1回読んだだけだったのですね。
これまで書いてきたことは、だから、それだけの記憶で書いていたので、
一読しただけで十分という印象の強さがあったということと、
細部を見落としていたなという両方を今回強く思いました。

私がこれまで書いてきたような「ジェルミに心から人を愛して欲しい」とか
「ジェルミに自分で解決してほしい」とか「サンドラを等身大にひきずりおろしてほしい」とか
「イアンには何もできない」とかいったことは全部、作品中に出てきていました。
それはセリフの形で、主にイアンが口にしていました。
作者は、そういう議論がでてくることは百も承知だったんですね。
でも、セリフにはあるけれどそうしなければならないとは思っていらっしゃらないようです。
あえて、そこを避けるために、わざわざセリフで書いているのかなあと思いました。
では、そこを避けて何を書こうとされているのだろう。

あえて中心を避けるというか、出てくる人物がみんなうそをつく。
つかなくてもよさそうな、うそをつく。そして、事態はもつれていく。
そもそも話の発端さえ、ジェルミが罠に陥ってしまう必然性はまるでなく、何もないところに
糸のひっかりをつくったような感じでした。それがさらにどんどんだんごになっていく。
読んでいて、まるでスラップスティックコメディを見るかのようでした。
だからこの作品は、この人物はこうするべきだと議論するような話ではないかもしれません。

中心はどこにあるのか、それはもしかしたら無いのか、
これが今後この作品を読んでいく上での私の課題です。

作中、これまでの萩尾作品のありとあらゆる断片が散らばっているのおもしろかった。
時間があったら対照表を作りたいくらいです。それは『トーマの心臓』に始まって『ポーの一族』、
様々な短編にまでおよびます。これは萩尾さんの冗談ととるべきか、それとも萩尾作品に
鋭くせまるためのネタになるのかというのも、誰かやってくれればうれしいんだけど・・・

今までのパターンからいうと、空前絶後のクライマックスがラストにくることが多かったので
最終回にものすごく期待してしまったのですが、全体を見渡してみると
何回かに分けて、そういう場面はもうすでに描かれていたのでした。
遭難するシーン。イアンがグレッグを撃つ夢の場面、マージョリーがオフィーリアのように
浮かんでいるシーン。もう一箇所くらいあったかな。
私は、これらのシーンが無条件に好きです。これはもう、萩尾さんの独壇場ですから
「お前は人殺しだ」といいながらイアンがジェルミにキスするシーンなんて、大好きだったりします。
ただし、そこに至るまでの過程がどうにもこうにも苦痛だったりするのですね・・・・





関連ファイル


2000年01月24日(月) 「残神」と「トーマ」
2000年02月03日(月) 初めて読んだ萩尾望都
2000年02月04日(月) ポーの一族 by 萩尾望都
2000年02月05日(土) 「小鳥の巣」
2000年02月06日(日) 「トーマの心臓」by萩尾望都
2000年02月08日(火) 萩尾望都 「救えない」ということ
2000年02月09日(水) 1972年〜1974年
2000年02月10日(木) 萩尾望都 初期作品
2000年02月11日(金) 萩尾望都 絵柄の変化
2000年02月12日(土) 第2期 ポーシリーズ
2000年02月13日(日) 萩尾望都 ちょっとお休み
2000年02月17日(木) 「銀の三角」 by 萩尾望都
2000年03月22日(水) 少女まんがの世界展
2000年06月27日(火) 『まぼろしの白馬』 by エリザベス・グージ
2000年11月22日(水) 『残酷な神が支配する』スクリーンセーバー
2001年03月28日(水) 『残酷な神が支配する』
2001年04月16日(月) 『塔に降る雪』文庫版解説by萩尾さん
2001年05月26日(月) 『残酷な神が支配する』が終わった。
2001年05月27日(日) 萩尾望都『残神』感想用掲示板
2001年05月28日(月) 『ジェラールとジャック』と『残酷な神が支配する』



2001年05月28日(月)
『ジェラールとジャック』と『残酷な神が支配する』

よしながさふみさんの『ジェラールとジャック』の第2巻が発売されて
もう1ヵ月が過ぎたというのに、私はまだ一日に一回はこの作品を読み返しています。
もうセリフもコマ割りも絵も全部頭に入っているというのに、何度読んでも飽きることがありません。
こんなにはまったのは久しぶり。読み返しては、その都度、少し幸せな気分になっています。

読んでいるうちに、このお話が『残酷な神が支配する』にちょっと似ていることに気がつきました。
連載の途中ではわからなかったけれど、この作品の主人公ふたり、
ジェラールとジャックはそれぞれに不幸な過去を持っています。
ジェラールは、妻に裏切られ、妻の(不貞の結果である)子供を助けることができなかった。
ジャックは、幸福な家庭に生まれながら、成長するにつれ両親が不仲になり、
やがて借金のカタに父親の手で男娼として売春宿に売られてしまう。

妻に裏切られた夫。子供を失った父親であるジェラールと
母の行いのために、父によって男娼にされてしまったジャックは
グレッグであり、ジェルミであってもおかしくなかったかもしれません。

売春宿に客としてやってきたジェラールにジャックは手酷く扱われます。
それは、ジェラールを裏切った妻が貴族であったことから、子供らしい誇りから
貴族であることを振りかざすジャックへの八つ当たりだったかもしれません。
ジェラールはジャックの身請けのための金を支払い、
「まっとうな仕事がどんなにつらいものかやってみるがいい」
と言ってジャックを自由にしてやります。
ジャックは言葉どおり仕事を探し、たどりついたところはジェラールの屋敷の下男の仕事でした。
そして奇妙な主従関係が始まりました。

出会いは、ほとんど暴力に近い形だったのに、それは傷として残らない。
ジェラールは、ジャックに仕事をすることの意味を教え、教育を与える。
そのことによって、じつは、ジェラールの父親としての心の傷が埋められていく。
ジャックは、仕事を責任をもって果すことで、自尊心を育てる。
そしておだやかな毎日の中でまっすぐに成長していく。

彼らの心の傷は、他者への暴力という形はとらない。
そのへんは根本的に『残神』とは違っています。
自分の気持ちに縛られずに、他者を思いやることのできる様子が
いろいろなセリフやエピソードからわかります。
グレッグの愛が奪うことであったのに比べて、ジェラールとジャックの愛は
与えることから始まっているようです。

母親の再婚相手の屋敷に行った事で、自分が不義の子であることに気がついたジャックを
(酔っ払った)ジェラールは抱きしめて言います。
「どこへも行かせない!
俺が本当の父親よりも母親よりも
お前を愛してやる!」
この言葉はジャックの心にしみこんでいきます。
自分は不幸の元凶ではなく、自分はいなくてもいい存在ではない。
なぜなら、両親よりも愛してくれる人間がいるから。
そしてジャックの心はジェラールへ向かっていきます。

妻の不貞の相手であるアマルリックの登場により、
ジャックはジェラールの抱えている心の傷を知ります。
それは、自分の父親の人生を破壊したものと同じであることを知ります。
その時にジャックの頬に流れる涙はいったい何でしょう。
父親のために流す涙でしょうか。それともジェラールのために流す涙でしょうか。
そこでジャックが言う『愛している』という言葉には
いろいろな意味がこめられていて、読んでいてせつなくなってしまいます。

ジェルミが言うだけなら何度でも言えるという『愛している』という言葉と
ジャックの『愛している』という言葉には、遠い隔たりがあります。
ジャックの言葉は、自分の父親への許しであり、ジェラールの自己嫌悪を
溶かすくらいの重さがあります。

そうして、ふたりは初めて対等に向かいあうことができるようになりました。
自分の家族から受けた傷をお互いに埋め、実の親子のようにかけがえのない存在になります。
そして、やがてそれは並行して、恋人同士の愛情へも発展していきます。
コミックスの第一巻の帯にあったあおりがなかなかいいんですよ。

『恋よりも深い関係』

物語の背景にはフランス革命期の状況がさりげなく説明されていて、
お話をドラマティックに盛り上げています。
父親らしい自制心からジャックに手を出すことを控えていたジェラールも
革命政府の追っ手が迫った最後の瞬間に本当の自分の気持ちを言ってしまう。
あとは怒涛のクライマックスで、ふたりの姿はほほえましいといか
いいようがありません。

最後に、ジェラールの独白部分があります。
自分を裏切って、子どもを捨てて死んだわがままな妻の墓の前。
愛するあまり裏切りが許せずに妻を憎んでいたジェラ−ルは
墓に向かってこう言います。
これまで、憎んでいたものたちを許そう。
独裁者や密告者や妻や妻の愛人を許そう。
妻を許せなかった自分を許そう。
(ここから引用)
『ジャック、お前を愛さなかったら
 俺は今でも自分を許せなかった』
(引用終わり)

数ある愛情不足の物語の中で、これくらい明確に
再生を宣言したお話は、これまでなかったんじゃないかしら。
ほとんど確信犯的独白シーンかもしれない。

お話しを夢中で読んでいる子どもたち、大人たちの中に
ゆっくりとこの言葉が浸透していくのかもしれないと思います。
気づかないくらいさりげなく。
心の傷は他者への暴力という形をとることがあるかもしれない。
自分を壊すという形をとることがあるかもしれない。
でも、そのふたつとは違った形もあるかもしれないと。




よしながふみ関連ファイル


2000年01月12日(水) 『彼は花園で夢を見る』 byよしなが ふみ
2000年05月12日(金) 『ジェラールとジャック』第一巻byよしながふみ
2000年05月25日(月) 『西洋骨董洋菓子店』第一巻byよしながふみ
2001年04月15日(日) 『ジェラールとジャック』第2巻
2001年04月18日(水) 『ジェラールとジャック』第2巻 その2
2001年04月19日(木) 『ジェラールとジャック』第2巻 その3
2001年04月23日(月) 『西洋骨董洋菓子店』 第2巻
2001年05月01日(火) よしながふみさんの新作
2001年05月16日(水) よしながふみさんの同人誌新刊情報



2001年05月27日(日)
萩尾望都『残神』感想用掲示板

私の『残酷な神が支配する』(5月26日付ファイル)の感想について、
ネットのお友達から丁寧なメールをいただきました。
とてもおもしろかったので、感想、メール、それに対する返信を掲示板に転載しました。

感想掲示板(期間限定・『残神』についての感想など)




関連ファイル


2000年01月24日(月) 「残神」と「トーマ」
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2001年05月26日(土)
『残酷な神が支配する』が終わった。

これは1回だけ読んだ最初の感想です。

読んで思ったのは、もうすでにこの物語の山場は終わっていたんだということでした。
誰もが納得するような最終回は最初から描かれる気はなかったんだ。
しかし、音楽が余韻を残して終わっていくように、
静かに物語が終わったんだなあと今感じています。
読者としてしあわせなひと時ですね。

私は、この物語の中で、ふたりが遭難するところがすごく好きでした。
あの場所へ毎年帰っていく。繰り返し。それは、ひとつの理想かもしれません。
しかしそれは、うちの掲示板でKさんがかつて言われたように
結局古典的な物語の形に着地してしまったのかしら?とも思います。
その辺は、再読してまた考えてみますが。

チャイルドアビューズについては、
萩尾さんに快刀乱麻の解決を求めるのは間違っていると思いつつ、
ジェルミの個人的なケースとして考えると、
本質的な解決のないままに終わってしまった感じがします。
そのかわりに、割合とわかりやすいイアンによる推測という形で終わっている。
(このへんは、私個人としては、受け入れがたい)
ジェルミは理不尽に受けた傷を抱えたまま生きていくのか?
グレックは死んでしまったことで免責されていいものか?
ジェルミは、サンドラを再び受け入れられたのか?

くしくも、『ジェラールとジャック』に構造がとても似ています。
比較検討してみるのもおもしろいかもしれないと思いました。

《2回目の感想》

親と子は支配と被支配の側面はたしかにあるけれど、
その面だけを取り出して見るのはちょっとつらい。
それ以外のいろいろなものがまだあるんじゃないだろうか。
もちろん、いろいろな要素のなかから、テーマにそって、
切り取るという作業をするものなんだろうけど。

萩尾さんの中のご両親との葛藤は、完全には解決することはないのかな。
どうしても平行線をたどっていくのかしら。
作品と作者は別だということはわかっている。
でもつながっているような気がする。
作品を読んでいると、萩尾さんがご両親を欠点を含めて丸ごと受け入れ、
自分自身も愛して受け入れているというふうには思えないんだな。
他者との関わりには常に見えない壁がある。
誰かを心から受け入れて愛し愛されることのやわらかさがあったら
どんなに心地よいだろう、、、、と思ったりする。
それがなくても作品としては、すばらしいけれど。

萩尾作品の中の「愛」はいったい何だろう。
ジェルミとイアンの間にあるものは何だろう?

《三回目感想》

イアンは当事者じゃない。
彼がジェルミを受け入れ、彼がグレッグを許しても
問題は解決していない。

子供は生贄でも供物でもない。
犠牲になる必要はない。
ジェルミを虐待した罪はグレッグが贖うべきで
ジェルミが苦しむ必要はない。

ジェルミが犯した殺人の罪はそれとは別に
ジェルミが償うべき問題でそれをうやむやにするのも
また間違い。情状酌量の余地はあるかもしれないけれど。

問題は何も解決していない。
微妙にずれた論点が宙ぶらりんのまま、
物語は終わってしまった
それが、物語の幅を生み出すというのなら、
ただの絵空事だと思うなあ。

『銀の三角』が結局、結び目が解けてほどけて
何もかもなくなってしまったように、
またしても、ただの夢だったのかしら。
それって、なんだか空しくなってしまうのは
私だけだろうか?




関連ファイル


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2001年05月25日(金)
「スラッシュを読む日本人が見たやおい漫画を読むアメリカ人」

スラッシュ君はアメリカやおいのページを持っていらっしゃいますが、
いろいろなサイトでお名前を見かけます。
このコラムでは、日本のやおい漫画を読むアメリカ人とのつきあいを通して
日米やおい文化論にまで話が及んでいるようです。

「スラッシュを読む日本人が見たやおい漫画を読むアメリカ人」
http://www.sting.co.jp/voice/v38.htm
アメリカンやおい(スラッシュ君のHP)
http://www.fou.com/slash/
STING VOICE GARDEN(コラムが載ってるHPのTOP)
http://www.sting.co.jp/v_menu.htm



2001年05月24日(木)
小野山理絵さんのコラム

検索をして遊んでいたら、漫画についてのコラムがHITした。

漫画は何でも知っているby 小野山理絵
http://www.nifty.ne.jp/forum/fbook/ohanashi/fwrite/a980930/index.html

コラムに取り上げる作品、短い文章にまとめた鋭い内容。
ただものじゃないって感じ。私は寡聞にしてお名前を知らなかったんだけど
もしかしたらいろいろ書いていらっしゃるのかしら。
検索しても本はHITしないなあ。
でもBS漫画夜話の本に連載されているのかな?

コラムの中の今さん、萩尾さん、よしながさん、へのコメントの的確さは
これまでの評論で見たことがないような気がする。



2001年05月17日(木)
『鳥っこ倶楽部スペシャル』

巻頭特集に今市子さんの『文鳥様と私』が載っている
鳥っこ倶楽部スペシャルという雑誌が出ました。(あおば社刊 390円)
今さんの作品は51ページ。書き下ろしカラーと、表紙カラーイラストテレカプレゼント
なんかがあります。主として同人誌の再録のようです。

雑誌一冊鳥の漫画というのを買ったのは初めて。
ハムスターやインコや犬や猫のアンソロジー本も出版されているようですね。
『ハムスターの研究レポート』と『文鳥さまと私』は持っているけれど、
ほかのは読んだ事がないなあ。
漫画のジャンルもいろいろと細分化されているのね。
と、ありきたりなことしか書けないのは、私がペットを飼っていないからかしら。
娘は3年物のミドリガメを飼っているけど。
カメ漫画はないのか?



2001年05月16日(水)
よしながふみさんの同人誌新刊情報

よしながふみさんのファンサイトにGW新刊の通販情報が載りました。

《オリジナルJUNE》
「言えないけど好き」A5/44P/500円/100g
GW新刊。『1限目はやる気の民法』の藤堂(兄)X田宮のお話。

《スラムダンク》
「あなたとはじめて会った頃」A5/202P/1500円/450g

詳細はこちらの通販のページへ

大沢家政婦協会 闇の関西支部 【よしながふみFC】
http://www.geocities.co.jp/AnimeComic/1383/



2001年05月15日(火)
第五回手塚治虫文化賞

第五回手塚治虫文化賞のまんが大賞を
岡野玲子さんの『陰陽師』が受賞したそうです。
関連記事は以下URLに。
手塚治虫文化賞についてのページでは
過去の受賞作の一覧を見ることができます。

受賞にともなって、第10巻の刊行と
新章の雑誌掲載は少し延期されるようです。

マンガ大賞に岡野玲子・夢枕獏氏 手塚治虫文化賞( asahi.com 文化・芸能 トピックス)
http://www.asahi.com/culture/topics/K2001051300115.html
手塚治虫文化賞
http://www.asahi.com/tezuka/index.html
岡野玲子公式HP OGDOAD_top
http://www.najanaja.co.jp/



2001年05月14日(月)
『金魚古書店出納帳』by芳崎せいむ

「アワーズガール」は今市子さんと藤原薫さん目当てて買っていますが
その他の作品もいろんなジャンルやタイプのものがあって、おもしろいです。
私は少女まんが以外の雑誌はあまり買わないのだけれど
違う傾向の漫画家さんを知るいい機会になりそうです。

中でも、ちょっと気になっているのが、芳崎せいむさんの『金魚古書店出納帳』。
ネット上でもいろいろなところで話題に上っていますが
ひとことでいうと、漫画の古本についてのウンチク漫画。
毎回、古書店を舞台に、古本をめぐるドラマが展開します。
その古本についての知識もかなり確かです。
前号は水木しげるさんの本についてでしたが、
今発売している3号では、リリカとトーマの心臓でした。

「『トーマの心臓』のラストシーンでエーリクがユーリに渡した本のタイトルは何?」

と、漫画おたくな女の子が言う。

「私、自分と共通言語を持っている人としか話したくないの。」

・・・・共通言語。そうですよね。確かに、『トーマの心臓』はある種の人たちにとって共通言語かも。

今月号には漫画のラストに1ページコラムがついていて、
『トーマ』や『火の鳥』、今村洋子さんやリリカについての、基礎知識が書いてあります。
こういう試みは今まで無かったから、ちょっと楽しみかも。

《あなたはSOKEと共通言語を持っているか?》
次のセリフの出典は何でしょう。
1・「さあ、ミルクを飲んで」「心がなごむよ」
2・「私の故郷は外国(とつくに)潮路の果て」
3・「カンパリソーダにジンをたらして」
4・「この男と一緒に死ぬことがこんなに幸福です・・・・!」
5・「お待たせしました。リボンの騎士です」
6・「ぼくは自転車を愛する男だ」
7・「恋は成就している」「そうだろ?」
(・・・以下次号)



2001年05月11日(金)
SOKE共通言語 回答

1・「さあ、ミルクを飲んで」「心がなごむよ」
2・「私の故郷は外国(とつくに)潮路の果て」
3・「カンパリソーダにジンをたらして」
4・「この男と一緒に死ぬことがこんなに幸福です・・・!」
5・「お待たせしました。リボンの騎士です」
6・「ぼくは自転車を愛する男だ」
7・「恋は成就している」「そうだろ?」

1.大島弓子『バナナプレッドのプディング』
  鬼に食われてしまった衣良に、御茶屋峠が言うセリフ。
  「薔薇のしげみのところからずっとね」というセリフよりも私は
  ミルクの方が好き。最近の『西洋骨董洋菓子店』のココアのシーンも
  これが下敷きにあるような気がしている。
2.木原としえ『エメラルドの海賊』
  プレシベリエールのフィリップことミーブが歌う歌。
  北の国の異母兄弟の悲劇・・・でも、ハッピーエンドだったかな。
  新連載の冒頭のカラーページのエメラルドグリーンがすごくきれいでした。
  お名前が漢字になる前の作品は、当時の私にとって宝物。
3.三原順『はみだしっ子』
  グレアムのセリフ。別にたいした意味はない。
  昼間は優等生のふりして、じつは、不良化していくあたりのグレアムが好きだったりする。
  どこまでもクソまじめな自己矛盾を抱えていくところが。
4.よしながふみ『ジェラールとジャック』
  あはははは、目下のところマイブーム。ほんとは違うセリフを書きたかった。
  R−18で書けません。
5.森川久美『ヴァレンティーナ』シリーズ
  ヴァレンティーノの名前の時のほうが、ちょっと妖しいムードがありましたね。
  「セイレーンのような髪ですね」「セイレーンを見たことがおありかね」というところもなかなか。
6.萩尾望都『三月うさぎが集団で』
  この作品でたぶん、私は萩尾さんの作品に開眼したので、個人的に思い入れがあるのかも。
  派手な設定ではないけれど、ものすごくおもしろい短編でした。
7.名香智子『シャルトルシリーズ』
  妻子を置いて家出中のアンリにソンモールが言うセリフ。
  美女姫シリーズ、シャルトルシリーズ、ソンモールの性格、アンリの性格、
  そういう背景がすべて、この短いセリフの中にこめられている。
  なおかつ、そういうものが吹き飛ぶくらいの幸福感(アンリと読者の)に
  あふれているセリフです。(ソンモールは切ない)



2001年05月10日(木)
「アワーズ・ガール」第3号

「アワーズ・ガール」第3号がでました。
ほんとは昨日が発売日。金沢は一日遅れで今日になりました。
これは急いで本屋さんに行って買いましょう。
今市子さんの超ポスターがついています。
美しいです。大きいです。私2冊買っちゃうかも。(←買いました)
そして、表紙は藤原薫さんでおしゃれ。同じ絵のカードもついています。
巻頭の今さんのカラーページの海が美しい〜
氷見の海かもしれません。

今回の「夜と星の向こう」は話が急転回して
まるで『百鬼夜行抄』のお話が連載になったような感じ。
今までのオムニバス風の連載とちがって、長編でじっくり楽しめそうです。

まだ他の作品を読んでいないので感想はあとから追記します。
でも、どれもこれもちょっと一味違う感じがする。

編集者はただものではないかもしれない。マニアのツボを押さえてますよね。
(でも、読者ページのコメントはどうかと思うが。タメ口ききすぎ。)

金沢では、だいたい主だった書店に3冊くらいしか入荷しないようです。
一番たくさん入るのはBOOKS宮丸かな。
アワーズライトが入荷してる本屋さんにしか、配本が無いという話も聞きました。
地方の方は急いだ方がいいかもしれません。

http://www.shonengahosha.co.jp/special/oursgirl_03.html



2001年05月09日(水)
《あなたはSOKEと共通言語を持っているか?》

次のセリフの出典は何でしょう。

1・「さあ、ミルクを飲んで」「心がなごむよ」
2・「私の故郷は外国(とつくに)潮路の果て」
3・「カンパリソーダにジンをたらして」
4・「この男と一緒に死ぬことがこんなに幸福です・・・・!」
5・「お待たせしました。リボンの騎士です」
6・「ぼくは自転車を愛する男だ」
7・「恋は成就している」「そうだろ?」





2001年05月01日(火)
よしながふみさんの新作

4月は、私的には、よしながふみ月間でした。
コミックスが2冊発売されたことに加えて
4月28日には新作が載った雑誌が2冊発売されました。
でも、金沢では、発売日に出ないんです。たいてい一日遅れなの。
おまけに連休で、5月になってやっと読むことができました。
おもしろかったわ。

『西洋骨董洋菓子店』
新書館WINGS2001年6月号
http://www.shinshokan.co.jp/comic/wings-top.html
今月号はコミックス2巻の続きです。
橘のヒミツが明らかになったところで、続くとなって
いったいどんなふうに展開するのか?
と思ったら、重くならず、そらさず。良い展開だったわ。
橘のボンノー全開ですが、きっとこの男にも、心の闇があるに違いない・・・・
と悩むエイジがかわいかったです。

『それをいったらおしまいよ』
BE・BOY GOLD 2001年6月号
http://www.biblos.co.jp/beeep/pub/mag/gold/main.htm
読みきりですが、登場人物みんな、一回限りにするにはあまりに惜しいキャラ。
美人で生活能力が無さそうなはらぺこ作詞家、深海崇と
面倒見がいいのにクールぶっている勤務医、渡瀬耕平。
ちょっとだけでてくる見合い相手の女医さんも、渡瀬の両親もみんな素敵。
金子みすずの詩が引用されていますが、よしながさんの作品にすんなり収まって
これでまたみすずファンが増えるかもしれませんね。
深見がさりげなく語る作詞も、じつはなかなかおもしろい詞で、
こんなところにもよしながさんのセンスの良さを感じるのでした。
(このごろメロメロだわねー)

金子みすずの詩は小学3年生の国語の教科書にも採用されています。
天文関係のカレンダーにも載っているきょうこのごろ。
100年近く前に生きた人とは思えない言葉の新しさです。

金子みすゞの世界へようこそ
http://www.city.nagato.yamaguchi.jp/misuzu/misindex.htm