最初に読んだ萩尾作品は何だろう?
これはすぐに答えることができる。 1971年少女コミック春の増刊「花嫁をひろった男」だ。 金沢から神奈川へ引っ越す際、新幹線乗り換えの米原のホームで買った。 新幹線に乗ったのは生まれて初めてだった。社内販売のアイスクリームが 卵がたっぷり使ってあるような味でおいしかった。 少コミ増刊は分厚かったが、そんなに印象に残る作品はなくて (そのころの少コミは新興の雑誌で、なじみがなかった。) 「花嫁をひろった男」だけが、記憶に残った。
しかし、当時の私は、それをとっておこうとか、考えなかった。 あの作品はひっかからなかった。(オスカーがでているというのに) 手元には、もちろん切り抜きひとつ残っていない。
次に読んだのは「精霊狩り」「小夜の縫うゆかた」だった。 友人の家で読んだ。でも、それを入手しなければ、という切実な気には ならなかった。 その頃の私は、別マとりぼんと週マと少フレは読んで把握していたのに 少コミはやっぱり新興だったのだ。「あそび玉」でさえ、見逃してしまった。
72年「3月ウサギが集団で」にいたって、初めて、友人の雑誌を ゆずってもらい、何回も何回も何回も読んだ。 どこか他の作品とは違う、と思った。 でも、すでに「ポーの一族」が始まっていることを知らなかった。
当時もっとメジャーな雑誌に描いておられたら、 もっと早くに気が付いていたかもしれない。 でも、そういう雑誌では、新しいことはできなかったかな、、、?
2年後に金沢にまた引っ越した。 その直前に、髪を切りに行った美容院で 「メリーベルと銀のばら」最終回(73年別コミ3月号)を読んで なんだか大変なことが始まってると思ったものだった。 その翌年、フラワーコミックスが発刊された。 一巻は買いそびれて2刷だが、以後初版で追いかけることになった。 (この項続く)
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