1巻2巻の興奮がさめやらないまま、翌月は第3巻「小鳥の巣」が出た。 それまでの、暗く重いムードから一転して、ギムナジウムが舞台。 当時は知らなかったけど、マザーグース、シェークスピア、ブラウニングの詩 などなど、英国趣味が全開だった。 同世代の読者の中には「船よ帆かけて進め、、、、、、、東へ」の一節を 思わず口ずさんでしまう人がたくさんいたかもしれない。 (これはオリジナルだと思うけど)
3冊のコミックスは私にたくさんのものを与えてくれた。 それは、いろいろな世界への入り口でもあったし それから数年間の(一番心のやわらかい年代の)情緒的な気分のベースになった。
連載3作は、それぞれ絵柄も雰囲気も微妙に違っているので 単行本で読んでいると時期が違うように思えるが作品リストを見ると ポーシリーズ2作目「ポーの村」から「グレンスミスの日記」 「ポーの一族」「メリーベルと銀のバラ」「小鳥の巣」は、 別冊少女コミック1972年7月号から73年7月号まで 一年間一回も休まず連載されている。
すごい!
当時の別コミ読者は、毎号どんな思いで読んでいたんだろう。 リアルタイムで読めなかったのが少し残念だ。 私が5年早く生まれていたら、絶対ラブレターならぬファンレターを 書いていただろうな。
そして、息をつかせず、「トーマの心臓」が始まった。
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