2009年10月20日(火)  悦楽共犯者本『円朝芝居噺 夫婦幽霊』(辻原登)

10月11日付け読売新聞「本よみうり堂」内「空想書店」の店長・緒川たまきさんのコメントの中に「悦楽共犯者」という言葉を見つけた。「そもそも、読書の愉しみは、本の醍醐味を受け取る時はいつも独りということにあると思います」と緒川さんは言い、本=読者の悦楽共犯者なのだと説く。うまい言葉だなあと感心し、また本を読みたくなった。

このところ読んだのは、「さびしさ」ではなく「さみしさ」という響きが、いっそうせつない『さみしさの周波数』(乙一)、15の職業についている15人の女性を描いた短編集(解説代わりのおまけに女性占い師が書いた番外編短編もとても良かった)『絶対泣かない』(山本文緒)、宮澤賢治とイソップを足したような寓話が聞きしに勝る面白さだった『頭のうちどころが悪かった熊の話』(安東みきえ)と立て続けに短編集を3つ。電車の移動のお供には、短編の短さがありがたい。

それぞれに悦楽を味わえたが、ここにきて、大型悦楽共犯者が現れた。その名は、『円朝芝居噺 夫婦幽霊』(辻原登)。『牡丹燈籠』や『真景累ヶ淵』で知られる円朝の幻の口演記録が見つかり、それを著者が読み解く過程が極上のミステリーになっている。そんな新聞の書評を読んで興味を持ったのだけど、事実は小説より奇なり、ノンフィクションの持つ圧倒的な面白さにページをめくる手が止まらなくなった。

遠い昔の人に思われた円朝と平成の文人がつながり、円朝を生で聞けなかった後世の読者に語り口が届けられる。この本を読むという行為が、その奇跡に立ち会うことになる。まさに悦楽の共犯である。

著者の辻原氏がかつて小説の題材にした人物の遺品の中に、円朝の口演記録と思しき速記原稿が残されていた。その原稿が著者の手に渡るまでもドラマティック。原稿の類いの遺品の整理を頼まれた古書店の店主が、故人の記録の中に著者の名前を見つけ、知人であった著者の従姉に連絡を取り、興味があればと遺品を見せてもらった中に見つけたのだった。

速記には流派があり、時代とともに進化しているため、当時の速記を解読できる人を捜すまでが、一苦労。解読した内容をこなれた日本語に書き直す作業と並行して、著者は「果たしてこれは本物か?」の調査を進める。語り口の名調子(辻原氏の貢献も大きいかもしれない)も内容の面白さも円朝の作品だと思わせるものがある。だが、「夫婦幽霊」の話に便乗したわけでもあるまいに、速記の中に「幽霊」が登場する。当時はまだ使われていなかった表現が見られるのだ。口演の時期と速記の時期にずれが生じる。だが、これはおかしい。現場に居合わせて書き留めることが速記の宿命なのだから。

となると……元の原稿は群像に連載されていたが、単行本のために書き下ろした最後の章で、著者は大胆な推理をする。果たしてこれは円朝の芝居噺であるのか。だとすると、「時差」の説明は? そこに、「誰が何のために」この原稿を遺したのかも語られている。その推理を証明するのは難しいだろうし、他にも様々な可能性が考えられるだろう。けれど、これ以上に夢のある想像があるだろうか。長い眠りから覚めた原稿への、そして原稿を遺した人物の思いへの、著者の限りない愛が感じられて、胸を打たれた。

本を読んでこれほどの知的興奮を味わったのは、『日本語は天才である』を読んで以来のこと。「速記」も「英語」と同様にひとつの「言語」であるといえるが、使い慣れた「母国語」でない言語は「暗号」となり、それゆえスリルとサスペンスをはらむ。

もちろん『夫婦幽霊』の出来も秀逸。謎解きの面白さに人情話が加わり、夫婦の睦みごとなどの色っぽいネタも盛り込まれ、サービス精神は満点。テレビもインターネットもない時代、マルチな娯楽を提供して人々を魅了していたことが想像できる。比喩の面白さにも目を見張った。 これ、どなたか高座でかけてくれませんかねえ。

次なる一冊は『図書館戦争』。有川浩の本に外れなし、なので、こちらも悦楽共犯者になってくれると思う。

2008年10月20日(月)  「袖すり合う」か「袖ふり合う」か
2005年10月20日(木)  神保町めぐり


2009年10月19日(月)  保育園を休んで家でのんびり

昨日の朝起きると、娘のたまが鼻をぐずぐず。熱はないけど風邪っぽいので、川越まつりは断念し、家でのんびり過ごすことに。夕方になって、だいぶ鼻水もおさまったので、植物園まで散歩し、中でかくれんぼを楽しんだ。まあるい植木がちょうどいい隠れ場になり、ひさしぶりに「見つけられるドキドキ」を味わった。

すっかり体調は良くなったと思ったのだけど、今朝は咳が出ていた。インフルエンザへの警戒もあって、咳き込む園児は登園を自粛したほうがよさそう。今日は打ち合わせがなく、家で仕事する日だったので、保育園を休ませた、

「ママがお仕事しているあいだ、たまちゃんは一人で遊べる?」と聞くと、
「うん たまちゃん あそぶう」と物わかりのいい返事をしてくれたので、パソコンに向かうと、
「パソコンで なんか みるう」と画面をのぞきこんでくる。だから、ママはお仕事なんですけど。結局、二人で脚本開発の資料用に送られてきたDVD映像を観る。たまにはちんぷんかんぷんな内容のはずなのだけど、おとなしく、根気強く観続ける。
「面白い?」と聞くと、「おもしろい」と答えたので、
「どんな話かわかる?」と聞くと、「わかんない」と言う。ママのそばにいられるだけでうれしいのかなあ。

仕事の手を止めて、遊び相手になる。何かしながらでないと落ち着かなくて、お片づけごっこに巻き込み、足の踏み場のない床を片付けたら。「ゆか ひろくなったねえ。ばあば よろこぶねえ」。いつもダンナ母がうちに来るたび、「あら、ずいぶんちらかってるわね」とあきれるのをちゃんと覚えている。

二人で家に閉じこもって過ごす一日は長い。やることがないと、「なんか たべるう」となり、一日中間食をしてしまう。朝から夕方まで子どもを飽きさせず、規則正しく食べさせて、寝かせて……保育園ってすごいなとあらためて思った。

2008年10月19日(日)  おにくぼくじょう! マザー牧場2日目
2007年10月19日(金)  インテリアデザイン『DAYS』のマツエ
2006年10月19日(木)  マタニティオレンジ22 めぐる命と有機野菜
2005年10月19日(水)  新宿TOPS 2階→8階→4階
2003年10月19日(日)  100年前の日本語を聴く〜江戸東京日和
2002年10月19日(土)  カラダで観る映画『WILD NIGHTS』


2009年10月18日(日)  たま画伯、いつの間にか「顔」を描く。

昨日の夜中から「デジカメがない! ない!」と大騒ぎしていた。王子駅前のTagenというカフェ(王子で初めて出会った、また行きたい店。大人っぽい雰囲気なのに子ども用に落書き帳とクレヨンを貸してくれた)で見たのが最後かも、とお店に電話したけれど、ありませんと言う。

バッグから落っことしてしまったか? デジカメには名前なんて書いてないし、写真から持ち主を特定することなんて……と思いめぐらせ、ハッとなる。顔と名前が一致する人の写真がたくさん入っているではないか! 作品の出演者と撮った記念写真の数々……あれが間違って流出しちゃったら、皆さんにご迷惑がかかってしまう。と同時に今井の管理能力が疑われ、信用はまるつぶれ。悪い想像をするときりがないので、とりあえず一晩寝ることにした。

今朝爽やかに目覚めて数秒後に「デジカメ……」と落ち込むと、娘のたまが「ウェルかめ?」とボケる。昨日一緒にいたアサミちゃんにメールすると、「カフェでは見てないよ。劇場でデジカメ見せてもらったのが最後じゃない?」と返信があった。ならば、まだ希望がある! 劇場が開くまでの間、家の室内のどこかに落ちている可能性も考え、雪崩を起こしているテーブルや足の踏み場のない床を片付ける。

その流れでトイレットペーパーをホルダーに補充したとき、「あれ?」。硬い手応えを感じてつかむと、なぜかこんなところにデジカメが! おそらく、デジカメを見ているときに娘のたまがトイレを訴え、デジカメを持ったままトイレに同行し、おむつを脱がせる際にホルダーに突っ込んだ……という動きを取ったのだろうと考えられる。そこに置いたことどころか、デジカメを家に持ち帰って見ていた記憶がまったくなかったので驚いた。無意識にもほどがある。

デジカメの中の画像はほとんどパソコンに移し終えていたけれど、USJとアルルのパンコンテストに加えて、「たまがお風呂で描いた絵」が入っていた。USJの写真は実景だし、アルルへはまた行って撮れるけれど、お風呂で描いた絵は一度限りのものなので、それがなくなるのは惜しまれた。ところが、いざパソコンに取り込んでみると、光が足りなかったせいで、暗くてなんだかよくわからなかった。

お風呂の壁に描いたのは「たまちゃんとママ」で、ママの顔はずいぶん手抜きだけど、自分の顔には、ちゃんと髪の毛と目と口と鼻と手足があった。その写真のかわりに、お絵描き帳に残っていた絵を発見。先週だったか、たまの描く絵に初めて「おめめ」と「かみのけ」が登場したことに驚いたのが、この絵。ついこないだまで、ひらすら線を引いて「あめ」だの「へび」だの言っていたのに、いつの間に顔を描けるようになっていたのか。

ちょうど保育園から持ち帰った絵を開いてみたら、こちらもずいぶん進化していた。昨日審査したコンテストはパンの絵だったけど、たまはいろんなおにぎりを描いていた。大きいの、小さいの、うめぼしにウィンナーにありんこまで。おにぎりの絵も幸せな気持ちにさせてくれる。

【お知らせ】今日10月18日は冷凍食品の日

10日前の日記でもお知らせしたように、10月18日は冷凍食品の日。冷凍(10)食品はマイナス18度以下で保存すれば、保存料を使わなくても長持ち可能というのがその由来。ちなみに10月の第3日曜日は「孫の日」「新聞少年の日」「新聞配達の日」で、今年は10月18日。

今井雅子が日本冷凍食品協会を担当していたコピーライター時代に脚本を書いた啓蒙ビデオ「冷凍の国のふしぎ」はこちらで見られます。絵は島袋千栄さん。

また、「いまいまさこ」の名で作詞した「冷凍マイナス18号ソング」はyoutubeで見られます。

2008年10月18日(土)  おにくぼくじょう! マザー牧場1日目
2007年10月18日(木)  マタニティオレンジ195 ママ友に取材 
2005年10月18日(火)  体にやさしくておいしい中華『礼華(らいか)』
2002年10月18日(金)  「冷凍食品 アイデア料理のテーマパーク」で満腹!


2009年10月17日(土)  子どもが描くパン「らいおんさん賞」×ライオン・パーマのお芝居

2年前に「でか!あんパン」を注文したのが縁で、巣鴨のパン屋「個性パン創造 アルル」の店主・パンG(パン爺?)さんとお近づきになった。あんパンに保育園の同じクラスの子どもたちの名前を入れたいのですがとメールで相談すると、電話がかかってきて、その電話代が心配になるほど、パンのことになったらおしゃべりが止まらないパンGさんは、わが父イマセンと同い年。今井雅子を店頭でもお店のサイトでも応援してくださっている。

そんなパンGさんからのお願いで、お店が主催する絵のコンテストの審査を務めさせていただくことに。給食のパンを納めている2つの保育園(残念ながら、たまの保育園ではなかった)の4歳児クラスの子どもたちが描いたパンの絵から「らいおんさん賞」ひとつ、「ぞうさん賞」2つ、「きりんさん賞」5つを選ぶべく、お店にうかがう。


小さな間口のお店の正面にも中の壁にもパンの絵がいっぱい。はがきサイズの絵にも一人ひとりの個性がちゃんと表れている。同じ年の子が同じ題材を描いても、こんなに違った絵になるのが面白い。七色の食パンに心を惹かれ、らいおんさん賞に決めた。その隣の大胆に黒と茶色で塗られた塊はチョコレートパン。こちらにはきりんさん賞を。

パンに見えるか見えないかという描写技術よりも、パンが持つ楽しさを描いた絵を選んだ。「今の子は幸せよねえ。世界には戦争の絵しか描けない子どももいるのに」とパンG夫人がしみじみと言い、イランの映画監督モフセン・マフマルバフがユネスコで行ったスピーチ「神にさえ見放されたアフガニスタン」の一節を思い出した。

 もしも私の国に降るものが、ミサイルではなくて、本だったら。
 そして、大地に埋まる地雷が一粒の麦だったら。
 そして、その地に吹く風が自由だったら。
 私たちの子どもは、もっと自由だったでしょう。


実りの象徴であるパンの絵を描けることは、平和な時代に生きている証拠。色とりどりのパンの絵は、まさにそのことを語っていた。

焼きたてのパンが所狭しと並ぶ店内は、パンの香ばしいにおいに包まれ、その中での審査は、なんだかとってもいい心地。受賞された子どもたちにはお店のパンが贈られるとのこと。

「たまちゃん、どのパンが好き?」とパンG夫人に聞かれ、遠慮もなく次々と商品を指差すたま。

審査で十分幸せのおすそわけをいただいた上に、たくさんのおみやげと謝礼までいただき、恐縮する。審査員をやって良かったなあと思ういちばん大切なポイントは、主催者側の作品への愛が感じられること。小さなお店の小さなコンクールは、今までに関わったなかで最も気持ちよく幸せなものだった。

今日はライオンに縁がある日のようで、午後からは「ライオン・パーマ」という劇団の芝居を初めて観る。会場は王子小劇場なので、王子駅からすぐの飛鳥山公園でアルルのおみやげパンを食べ、ライオンパーマを強烈におすすめする友人アサミちゃんと待ち合わせ。「とにかく面白いのよー」の言葉通り、ほんとに面白くて、実によくできた本に驚いた。

タイトルは「くちびるコミック」。芽の出ない漫画家が誘拐監禁されて漫画を描かされる。「モラル」という刑事ものと「未確認飛行通販」というコールセンターものと「森を守る」という環境もの。3つの漫画の世界と現実が行き来するのだけど、一人何役もこなしながら、見事なまでに混乱がなく、それぞれが面白い。役者さんがちょっと噛み噛みなのも気にならないぐらいほど引き込まれる。あの手この手で書かせる誘拐犯と漫画家の関係がプロデューサーと脚本家にダブり、犯罪が期せずして才能を引き出してしまったという展開にドキドキ、うるうる。

「ハード・ボイルド&ボイルド・ジョーク」をキャッチフレーズにしているだけあって、ジョークにも笑わせてもらった。東京にはほんと、観ても観ても掘り出し物の劇団がありますなあ。小道具の方と元同僚だったというアサミちゃんによると、作・演出のチャー・アズナブルさんと出演者の加藤岳仁さんとチラシのイラストを描いているロス・アンド・ゼルスさんは同一人物だそうで、なんとマルチな才能!

ライオンに感心しきりの一日だった。

2008年10月17日(金)  イランの非常に強い漢方薬
2007年10月17日(水)  マタニティオレンジ194 長生トマトの歌にノリノリ
2006年10月17日(火)  マタニティオレンジ21 赤ちゃんと話したい
2002年10月17日(木)  Globe Trotter×ELEY KISIMOTOのスーツケース


2009年10月16日(金)  ビックカメラで携帯とパソコンを買っていた

少し前から携帯電話の機種変更を検討していた。使っているのはauでCDMA1という現行のプランからwinというプランに変更する利用者を対象に割引キャンペーンをやっているという。料金もおトクになるというし、ポイントもたまっているしとauショップへ見に行ったのだけど、どの機種にしていいのか絞りきれず、迷いに迷った挙げ句選んだ機種は品切れで、すごすごと引き上げた。

たまたまビックカメラの前を通りがかった折りに何気なく見てみると、三人の店員さんがかわるがわる声をかけ、すらすらと説明してくれる。本家auショップよりも量販店の店員さんのほうが詳しかったりする。ここでもauのポイントを使えるというので、ポイント分で買える機種を選んだ。

データを移し替える間、パソコン売り場へ。ここでは「今井」さんという女性店員さんが熱心に説明してくれ、ネットブックとノートパソコンの違いもわかっていないわたしの初歩的な質問のひとつひとつに根気づよく答えてくれる。ASUS(アスウス)やACER(エイサー)といった初めて聞くメーカーは、台湾のものらしい。バッテリーが長持ちして、Windowsが入っているものに絞り込んで探し、ASUSのものが品切れで同価格帯のACERにした。モバイルネットを申し込むと3万円引き(そのかわり月々千円の基本料金+手続き費用3千円ほどがかかるが、将来モバイルネットをやる予定なら断然おトク)と言われたけど、手続きを待てる時間がなく、パソコンだけを購入する。

いつも感心するのだけど、ビックカメラの店員さんはよく勉強している。おかげで、買う気半分で店に入っても、ビックカメラの袋を提げて出てきてしまう。

パソコンを買ったのは、先日も日記に書いたようにMacの調子が悪いからだった。修理に出す間仕事ができないと困るので、控え選手を投入しておこうと。ところが、AppleのコールセンターにSOSの電話をして、教えてもらった方法を試したところ、
1)パソコンをリセット(コマンド+「C」+あと一つ二つのキーを同時に押しながら電源を入れると通常一回の音が二回鳴るはずだったが……鳴らなかった)
2)ユーザアカウントを別に作成(Macの説明ページは、わかってない人には暗号のよう。アプリケーションからアカウント画面にたどり着くまでがひと苦労。左下の小さな「+」が「アカウント追加」ボタンだと気づくまでに、また苦労)
3)Mac OSを再インストール(これは説明ページの言う通りにやってみて、なんとかできた。すごく時間がかかるので、2枚目はインストール終了まで待たずに寝た)
の3つめの方法がうまく行ったようで、マウス暴走はおさまり、ひさびさに考えるスピードで打てる快適さを味わっている。そうなるとあわててネットブックを買わなくてもよかった気もするけど、打ち合わせに持って行くにはMac Bookは重いしバッテリーも持たないので、デスク用と持ち運び用を分けるのはいいかもしれない。

新調した携帯電話は、待ち受け画面に電光掲示板のごとくニュースが流れ、天気予報が表示され、テレビも見られる。名刺リーダーがついていて、早速やってみると、入力の手間が省けて、これは便利。ただし、書体によっては激しい読み間違えをする。
「ならまち芸能企画研究会」を
「会らまち裏社会真剣大会」と読んだので、再度読み込むと、
「会らまち墓社会真剣大会」と出た。裏社会より墓社会のほうがブラック度を増している。いいまつがえマシーンみたいで、これは楽しい話題を提供してくれそうだ。

2008年10月16日(木)  偶然の遭遇
2007年10月16日(火)  マタニティオレンジ193 シュレッダーごっこ
2006年10月16日(月)  マタニティオレンジ20 ビバ!ウンチョス!
2004年10月16日(土)  SolberryのハートTシャツ
2002年10月16日(水)  カンヌ国際広告祭


2009年10月15日(木)  ど真ん中!『風が強く吹いている』

あちこちに打ち合わせに行くたびに「あれはいい!」「スポ根で成功している珍しいケース」などと試写を観た映画関係者が絶賛していた『風が強く吹いている』をマスコミ試写の最終上映でつかまえることができた。期待以上にわたし好み、ど真ん中の青春映画! 

監督は、朝ドラ「てるてる家族」やNHK「クライマーズハイ」をはじめ、うまいなあと感心することしきりの脚本を書く大森寿美男さん。プレスシートによると、初稿が決定稿のような完成度で、これをぜひ形にしたい!と読んだ人たちが盛り上がり、でも監督どうするとなったとき、「脚本をいちばん理解している大森さんにやって欲しい! イメージを伝えてくれたら、僕たちが、俺たちが、やる!」とスタッフが推し、初監督を務めることになったのだとか。

箱根駅伝を映画で描くなんて、それこそ途方もなく大変なことだけど、脚本が皆を乗せてしまい、それぞれが力を目一杯発揮した結果、実現させてしまった。まるで、劇中でハイジ(小出恵介)の熱意に青竹荘の面々が突き動かされ、ありえない箱根駅伝出場を決めてしまったように。プレスシートを読んでいるだけで目頭が熱くなってしまった。

「なぜ走るのか」は、「なぜ生きるのか」に通じる。これもプレスシートに書かれていることだけど、学生時代、応援団という「なんのためにやってるの?」の疑問渦巻くところで汗したわたしには、「自分の力を引き出す情熱」なんて言葉がビシビシと響いた、学生生活の映画でありながら、一切授業が描かれていない潔さもなんだかかえってリアリティがある。応援団漬けだった四年間を振り返り、あの頃の自分も何かに向かって突っ走ってたなあと懐かしさと眩しさがこみ上げた。予選会や箱根の応援で応援団もしっかり登場していて、これまた血が騒いだ。

何かに一心に打ち込む人を見ていると、目が離せなくて、そのうち涙が出てくる。それが映画で描かれると、作りものっぽさが出てしまったりするのだけど、この映画は、「走る人は美しい」としみじみと思わせてくれた。とくにカケル(林遣都)が走るシーンはどれも絵になって、それだけでもスクリーンで観る価値があると思えるほど。朝焼けに向かって走るシルエットも、流れる景色の中を跳ぶように疾走する姿も。人間ってこんなにきれいに走るんだなあと見惚れて、ずっと見ていたかった。クライマックスの箱根のシーンのあの見応えは、彼をはじめ出演者の走りに宿る本物の迫力の賜物だと思う。

好きなところを挙げるときりがないけど、公開されたら劇場でもう一度観たい!と思える作品だった。次の人に「おすすめ!」タスキを渡したくなること請け合いだから、興行もロングランを記録!? 間もなく10月31日公開。

試写室を出た人が「原作とだいぶ違ってるとこもあったよねー」「そうそう、原作だったら、こう来るのにって思いながら観てた」などと話していて、映画にないお楽しみもあるのか、と未読の原作がますます楽しみになった。その二人が「凝縮し過ぎだよね」と話していたのだが、「詰め込み過ぎ」ではなく「凝縮し過ぎ」というのは脚本への褒め言葉だよなあと思う。原作のエッセンスを削るのではなく濃密なまま映画サイズに納めたということ。

ところで、大学駅伝といえば、学生時代につきあっていた人は、関西の大学の陸上部で長距離をやっていて、駅伝にも出ていた。でも、一度も応援に行かなかったのは、なぜなんだろう。応援団でありながら。その疑問を今はダンナとなった彼にぶつけてみると、「どこでやってるかわからないし。来ても迷うと思って誘わなかった」と言う、「他の人も応援に来なかったの?」「関係者しかいなかったなあ」。そんな……箱根駅伝は沿道に何万人も集まるというのに(映画のエキストラ動員だけでも3万人!らしい)、同じ学生駅伝でもまるで別な競技みたいだ。

「駅伝やってた人なら、絶対面白いよ」とダンナにすすめてみたが、「素人十人で、たった一年で箱根に出るなんて、ありえないよ」とさめた反応。4年かけてやっと5千メートルを15分台で走れるようになった彼は、「そんな甘い世界じゃない」と言う。現実はそうなのかもしれないけれど、作品は、こういうことは起こりえるかもしれないという説得力が十分にあった。ぜひ劇場で観ての感想を聞いてみたい。

2008年10月15日(水)  朝ドラ『つばさ』に参加しています
2006年10月15日(日)  マタニティオレンジ19 おでかけが楽しくなるだっこひも
2004年10月15日(金)  広告労協の女性会議
2003年10月15日(水)  このごろの「悲しいとき」


2009年10月14日(水)  Macのマウスが暴走して困ります

今日10月14日は鉄道の日というのがずいぶん定着した感があるが、堺名物「けし餅」をわが家に届けに来てくれたご近所仲間で鉄道ファンのT氏は失念していた。

さて、鉄道の暴走も困るが、わたしが最近直面しているのは、Macのマウス(ポインタ?)暴走問題。何か月か前に突然、文字を打つときに画面文末に出るチカチカしている縦線(何と呼ぶのでしょう?)が上へ上へ移動するという珍奇な動きを始めた。スクロールバーも上へ上へと暴走するので、サイトを読んでいても、あっという間にページ頭に戻ってしまう。

コマンドキーを押しながらスクロールバーをつかまえると静止するのだけど、日に日に暴走が激しくなり、文章を打ってる途中で文頭や前の行にワープしたり、ひらがなを一文字打っただけで勝手に変換したりするものだから、時間がかかってしょうがない。マウスが暴走するほど、こちらの仕事にはブレーキがかかるのだった。

Macのサイトを見ても、最小限のことが文字だけで書かれていて、機械音痴のわたしには、ちんぷんかんぷん。このそっけなさが、わかる人にはほどよいのだろうけれど……。ウィルスがひどいからとWindowsからMacに乗り換えて、まだ一年半余り。先日から大文字の「O」が出なくなったし、故障するには早すぎないか? でも、走行距離の多い車と同じく、わがMacも走りっぱなしで相当お疲れだろう。暴走マウスは「休みをくれ!」の反乱なのかもと思いつつ、あの手この手でなだめなだめ働かせている。

【お知らせ】「つばさ」DVD第2弾10/2鵯発売

来週発売の「つばさ」DVD第2弾(amazonはただいま26%OFF)がひと足早く到着。特典映像は渋谷と川越でのファンミーティングのほか、ラジオぽてとの「おはなしのへや」でつばさ(多部未華子)が「まじょのなみだ」を朗読するというミニ番外編を収録。絵本の全貌はわたしも初めて観て感激。表紙にある「みやのなおこ」さんは架空の人物ではなく、絵を書かれた方のお名前でした。

2008年10月14日(火)  このごろの、たま語
2004年10月14日(木)  PLAYMATE 第5弾!『SWAP 2004』
2002年10月14日(月)  四あわせの五円玉


2009年10月13日(火)  「月の光」があふれる映画『スノープリンス』

『スノープリンス』を試写で観る。「禁じられた恋のメロディ」の副題がついているが、「禁じられた遊び」や「小さな恋のメロディ」より、チラシの見出しにあるように「日本版『フランダースの犬』」が言い得ている。『ぼくとママの黄色い自転車』を「日本版『母をたずねて三千里』だね」と言われると、他の言い換えを思いつかなくなったが、この作品は、まさに『フランダースの犬』。観ていて何度もアニメの切なさがだぶった。

初々しく微笑ましい主役の二人は、学校にも通えない貧しい少年・草太役にジャニーズJr.の森本慎太郎、ピアノが得意なお嬢様の早代役に桑島真里乃(ちりとてちんでヒロイン喜代美の少女時代を演じていたのが、彼女。ますます貫地谷しほりに似ていたのが、びっくり)。身分違いの二人の間に立ちはだかる壁は『ロミオとジュリエット』を、早代の同級生の男の子たちも加わった冒険は『スタンド・バイ・ミー』を思わせる。

『バタアシ金魚』『東京タワー〜オカンとボクと、時々、オトン〜』『歓喜の歌』などを手がける松岡錠司監督作品。脚本は『おくりびと』の小山薫堂さんのオリジナル。プレスシートによると、「ピュアな少年の物語、清貧というテーマで描きたい」という想いから企画が始まったという。『おくりびと』では石文(いしぶみ)が印象的に使われていたが、この作品に登場する「夜空色の絵の具」もファンタジー感があって、わたし好み。村に現れ、次の村へと去って行くサーカスの非日常感も好き。小山さんは相当ロマンティストな人なのかもしれない。

ドビュッシーの「月の光」が全編を彩り、さらに草太が描く絵にも月の光が射し込む。主役の平均年齢はかなり若いのだけど、二人を支えるべく香川照之、浅野忠信、中村嘉葎雄、岸恵子ら豪華実力派が顔をそろえ、しっとり大人っぽい作品に。「つばさ」で葛城清之助を演じた山本學さんは銀幕でも渋い。短い場面ながら確かな存在感を残していた。

12月12日(土)より全国ロードショー。

2008年10月13日(月)  鎌倉山の陶芸教室と『静辰』
2002年10月13日(日)  新宿のドトールにいませんでした?


2009年10月12日(月)  新幹線の車掌さん×おむつ!

昨日の夜遅く、小中学校のミニ同窓会を終えて実家に帰り、今朝は10時過ぎに出る。両親とは先月小豆島で会っているから、今回は寝に帰るだけ。

昨日の同窓会は、同級生掲示板に「10月に帰るよ」と書き込んだら、「それやったら集まろか」と実現したのだけど、メインの仕事の他に「大阪に来るついで」の打ち合わせも二つくっつけて、一粒で四倍欲張る有意義な関西出張となった。メールだけでも仕事はできてしまうけど、やっぱり顔を合わせたほうが話は早い。

メインの仕事も無事終え、ただいま新幹線で東京へ向かっているところ。551の蓬莱の行列に並んだものの、発車時刻が迫り、豚まんまであと二人のところで断念した。

最後の一席の指定を取って乗り込んだのは最新車両とのこと。「この列車にはおむつ替えシートを搭載しております」とアナウンスあり。新幹線の車掌さんが「おむつ」を高らかにアナウンスする時代が来たか、とうれしい衝撃。

ちなみに新聞によると、今日は「山手線命名の日」100周年とのこと。

2008年10月12日(日)  鎌倉で語り明かす
2007年10月12日(金)  マタニティオレンジ191  「働きマン」と「子育てマン」
2006年10月12日(木)  マタニティオレンジ18 デニーズにデビュー
2005年10月12日(水)  シナトレ3 盾となり剣となる言葉の力
2003年10月12日(日)  脚本家・勝目貴久氏を悼む
2002年10月12日(土)  『銀のくじゃく』『隣のベッド』『心は孤独なアトム』


2009年10月11日(日)  取材でユニバーサル・スタジオ・ジャパンへ

作品の取材で大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンへ。日本上陸してずいぶん経つが、東京暮らしということもあって、なかなか行く機会がなかった。子連れで行けたら良かったのだけど、今回は単身出張。秋露弁当1300円也を食べ、原稿を読んで新幹線の車中を過ごす。


オフィスで打ち合わせを終えてから、USJ入園。思っていたより広くて、非日常を味わえる。

園内はハロウィーン一色。オレンジが好きなわたしにはうれしくなる色使い。かぼちゃがどかどか。他の季節に来るt、どんな感じなのでしょう。

ブレイクダンスっぽいショーを見守る人々。大道芸のストリートパフォーマンスも楽しかった。

名物スヌーピーまん。中はクリーム。他にキティまんもあるそう。


ジョーズやスパイダーマンのフォトスポットにはカメラを持った人の列。三連休の真ん中で、今日はお客さんがよく入っていたそう。アイスクリーム屋さんの看板もかわいい。オリジナルアイスはキャラクターの顔になってるのだろうか。スヌーピーまんでおなかが膨れて、確認できず。

おみやげにクッキーと「スヌードル(snoodle)」をいただく。スパイダーマンをもじった「スパイダー麺」という先行商品が好評で、スヌードルが誕生したそう。

電車を乗り継いで40分ほどで実家のある駅のひとつ手前の駅に到着。思ったより近い。夜はわたしの帰省にかこつけて、小中学校時代のミニ同窓会。30人ぐらい集まる予定が20人ちょっとに。4年前、2005年の10月末に大同窓会をやって以来の人がほとんど。同じクラスになったことがない子も多いし、6クラスの小学校二つが合わさって、11クラスという大きな中学校だったので、名前と顔が一致しなかったりする。「初恋の人告白大会」で盛り上がる。こういうところに名前が出る人は学年の有名人だったりする。

みんなよく飲んでよくしゃべり元気そのもの。おしとやかでかわいらしかった女の子が、すっかりたくましくなって、「ねえちゃん。食べもの遅いで」と若い店員さんをどやしつける。飲み物がなかなか来ないから飲み放題時間を延長しろと迫り、「魚民は三時間やけどねー」と言うと、店員も負けじと「それやったら魚民に行ったらどうです?」。料理の質は少々下げてもいいから酒を寄越せと交渉したら、料理はほとんど出てこなかった。大阪で生きていくのは、カロリーが要りそう。

「クローズの脚本家いて、俺を出してくれ」と中学校時代不良だった男の子が言うので、「クローズみたいな仕事はまず来ないと思うわあ」と言う。彼は『子ぎつねヘレン』のDVDを買って子どもたちに見せてくれているそう。同級生というだけで応援してくれる人たちがいることをありがたく思う。

2008年10月11日(土)  2回目の運動会
2007年10月11日(木)  Sky fish公演 Vol.6『二神(ふたかみ)』
2006年10月11日(水)  マタニティオレンジ17 再開&再会
2005年10月11日(火)  ユーロスペースで映画ハシゴ
2003年10月11日(土)  わたしを刺激してください

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