2008年10月16日(木)  偶然の遭遇

先日、七里ケ浜の駅で待ち合わせたテスン君とユキコさんと海沿いのレストランを目指して歩いていたときのこと。「あっちが山だから、海はこっちです」と自信たっぷりなテスン君を信じてついて行ったら、「あれ? 間違ってました。海はあっちですね。ここ曲がりましょう」となり、道を右に折れた。すると、少し先にロケバスらしきものが停まっていた。「なんかの撮影かな」と話しながら目をやると、ロケバスの脇に立っていた男性がじっとこちらを見ている。「あ」とテスン君が気づいて、「こんなところで」と声をかけた。

飲み仲間のテレビ局プロデューサーだというその彼に、テスン君が「こちら『子ぎつねヘレン』を書いた脚本家の今井雅子さん」と紹介してくれた。3年前の映画だし、ピンと来ないかも、と一瞬思ったら、「ああ。あの犬、死んじゃったんですよね」と思いがけない反応。ヘレンの餌を横取りしようとしてほふく前進で近づくというアカデミー賞に動物部門があったら受賞間違いなしの名演技を披露したロッシは、映画撮影から間もなく亡くなり、『子ぎつねヘレン』が遺作となった。そのことはノベライズ本の後書きなどでも触れられているけれど、ヘレンと聞いて真っ先にロッシの死と結びつけた人は初めてだった。「実は、あの犬を最初に起用したのは僕なんですよ」と言われ、納得。「『ロシナンテの災難』というドラマで……」「それ見てましたよ」「それで、ロッシって名前になったんです」「そうだったんですか」……。テスン君が道を間違えて、あの角を曲がらなければ、聞けない話だった。

その翌日に鎌倉山で陶芸教室を体験したのは、工房を主宰する陶芸家のダンちゃんとダンナの遭遇がきっかけだった。二人は小学校時代の同級生。焼き鳥屋のカウンターで隣に座ったのが、二十歳のときの同窓会以来18年ぶりの再会となった。

ご近所仲間の会も、店で隣合わせになった偶然から始まった。会社の元同僚のイズミ嬢と当時はまだ恋人だったチョッキー君がお昼を食べている隣のテーブルにわたしとダンナが案内された。向こうは食事を終えかけていて短い会話を交わしただけだったけど、また近いうちにあらためてとなった。二度目に再会したときに映画と鉄道を愛するT氏と彼女のミキちゃんを紹介され、三度目に再会したときに、後にたまのひとつ年上のマユタンが誕生することになるK夫妻を紹介され、その4組がご近所仲間の会としておつきあいを続けている。

『http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4103810017/imaimasakocaf-22/自由が丘物語』という子育て日記本で出会った「偶然は人生最高の香辛料」という言葉をしみじみと思い出している。

2007年10月16日(火)  マタニティオレンジ193 シュレッダーごっこ
2006年10月16日(月)  マタニティオレンジ20 ビバ!ウンチョス!
2004年10月16日(土)  SolberryのハートTシャツ
2002年10月16日(水)  カンヌ国際広告祭

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