2008年10月20日(月)  「袖すり合う」か「袖ふり合う」か

竹内まりあが歌う朝ドラ『だんだん』の主題歌を聞きながら、「袖ふり合うって聞こえるけど、袖すり合うじゃないの?」とダンナが言った。「すり合うじゃなくて、ふり合うだよ」と答えると、「ふり合うってどういう状況?」と聞いてくる。「だから、袖を振ってるんじゃないの? 振り袖っていうじゃない」と答えたのだけど、考えてみると、袖をぶんぶん振り合っている二人というのもおかしな図だ。

新明快国語辞典で「袖」を引くと、【袖触(ふ)り合うも多生の縁】だとわかった。「見も知らぬ旅人同士が同じ木の下に一時いこい宿るのも、決して偶然ではなく、この世に生まれる以前からの深いつながりによるものだ」とある。触れ合いの「ふり」だったのかと納得すると同時に、「他生」は俗用で「多生」が正しいのだと知る。「袖振り合うも他生の縁」と二箇所も間違って覚えていた。昔、脚本家の大先輩の荒井晴彦氏の名前を「新井春彦」と日記に書いてしまい、前田哲監督から「半分間違っていますよ」と指摘されたのといい勝負。

……と書いたら、「竹内まりあではなく、まりやです」と読者から指摘があった。これは思い違いではなくうっかりミス。この手の間違いを知らず知らずふりまいているんだろうなあ。そういえば、最近経済ニュースなどで「レバレッジを効かせる」という表現をよく聞く。leverはテコだから、leverageはテコ入れ。覚えたダンナが早速「ベバレッジを効かせる」と使っていたが、beverageはジュースなどの飲み物である。アルコールが入ってないから効かせるのも難しい。

2005年10月20日(木)  神保町めぐり

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