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2013年12月31日(火)
2013年いろいろ十傑だったり五傑だったり

観た順。ベストワンには★印。

■映画
 『ゼロ・ダーク・サーティ』
 『ジャンゴ 繋がれざる者』
 『ホーリー・モーターズ』
 『タワーリング インフェルノ』
『ゼロ・グラビティ』

■演劇
 『オイディプス王』
 『水の音』
 『ひかりごけ』
『走りながら眠れ』
 『獣の柱 まとめ*図書館的人生隋
 『鴉よ、おれたちは弾丸をこめる』
 『ゼロ・アワー ―東京ローズ最後のテープ―』
 『ザ・ファクトリー 3』
 『ショーシャンクの空に』
 『ザ・ファクトリー 4』

■ライヴ
 BOOM BOOM SATELLITES
 小林建樹(monologue)
 パール兄弟
NINE INCH NAILS(FUJI ROCK FESTIVAL)
 HURTS(FUJI ROCK FESTIVAL)
 yanokami indoor festival
 高橋徹也
 DCPRG
 ATOMS FOR PEACE
 Akron/Family

■その他、境界があいまいなもので非常に印象に残ったもの
 『あいちトリエンナーレ 2013』
 『302号室より』
 『瞬か』

■あと飛び込み、『cloud-sensecam』
 Dropbox - Public
年末年始限定つってもタイトルどおり“Public”。ロックされていないのでダウンロードが出来ますぜ、イエーふとっぱらー。
最近使い方の方向性が見えて来たTumblrに放流したろうかと言う欲も浮かびますが(笑)それは限定が解除されてからですね。心のもちよう

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今年(特に後半)はAlice In Chainsからの〜1990'sグランジオルタナティヴシーン、『石のような水』『ゼロ・グラビティ』からの〜ソダーバーグ監督『ソラリス』リバイバルが甚だしく、喪ったものを愛でる傾向にありました。死んだ子の歳を数えたわー。で、そういうのも悪くないと思えた一年。あとはロシア(笑)。

それではよいお年を。



2013年12月29日(日)
TOKYO No.1 SOUL SET『try∴angle』

TOKYO No.1 SOUL SET『try∴angle』@LIQUIDROOM ebisu

毎年恒例でございます。で、油断してて開演時間を間違え遅刻、FAふたつとも見逃す(バカ)。そのうちのひとつHouribe LOUがすげーよかったよ!と言われガックリ、しかも広島の子で、東京でライヴをする機会なかなかないらしく…ギャーン!来年のウィッシュリストにHouribe LOUのライヴを加えることにする。

で、着いたら荒川良々がDJ中。そう、例年は泥酔してフロアで羽目を外し、MC中のビッケにいちいち話し掛けて「うっせえ!」と叱られている良々がついに出演!一曲目は「暦の上ではディセンバー」かけてはずしたらしいが(笑)そっからは正攻法、オールジャンルのヴァイナル使いでしたよビックリ!選曲のツボしっかり押さえてて手練って感じだった。ソウルセットライヴのアンコールに呼び出されて挨拶してたがなんか正気だった、酔う暇もなかったらしい(笑)打ち上げでは好きなだけ呑めばいいよ……。

と言う訳でライヴ本編ですが、新譜が出たこともあり例年とはまた違う雰囲気、しっかしこのバンド…バンドって編成でもないが……この三人のライヴの重戦車っぷりはホント凄まじい。新譜の曲すごくいいんですが、音源で聴いてたのとはなんか聴くモード変えないと振り落とされる感じなんですよ。もう聴く方も必死ですよ。遊び人の本気と書いてマジはおっかねえぞ。MCはすっかり脱力な感じだし、ここんとこ挨拶は「今年も生きてたー!」てなもんだし、この年末恒例のライヴもビッケ曰く「生存確認」ですからね。今年はなんかその傾向がまた強まってて、トシミくんの結婚話から(ヒロシくんの結婚話には誰も触れないところ、彼の底知れぬ恐ろしさを感じましたね・笑)ビッケの家ない発言、「で、いつ迄やるの?」「このなかの誰かが亡くなる迄」と言った会話がもうね、「ああ……(感慨)」てな感じで胸いっぱいですよ。

ライヴ終わったあとに来年は上田現の七回忌でって話になって、「だからささっきのMCとか、シャレにならないからホントやめてほしいの(泣)」とか言ってたんですが、まあそういうのがヒシヒシと身近になってる訳です。リキッドも新宿から恵比寿に移って、この恒例ライヴも恵比寿でやった回数の方がもう多いのかな。トーイくんが生まれて「Jr.」が生まれ、それが新宿リキッドのライヴで演奏されたときの祝祭感は今でもありありと思い出せる。その彼が今はステージに立って、お父さんとハモってる。「こうやって(客も)子供つれてきて、まわしていこうと思うんだよね」なんて言ってたけどこれあながち放言でもないような気がする。実際家族連れが増えてる、リキッドでこれだけ世代差がある客層も珍しいのではないだろうか。

それにしてもトシミくんとトーイくんのハモりの美しいこと!ホント声似てる。トシミがオーバーダビングしたんじゃないかってくらい。しかもハモる方をトーイが唄って、そのうえお父さんより安定感がある(笑)。ほら、こんなものが聴ける日が来るなんて、二十年前は思ってなかったよね。そうやって愛され続けられている音楽がある。そんな音楽に出会えて、聴き続けられていることはとても幸運だと思うし、感謝している。健康に気を付けて、来年も是非リキッドに行きたいと思います。それ迄元気で。


ところでトシミくんの「すしざんまい!」てひとことは何だったんだろう(笑)。



2013年12月22日(日)
『ア・ラ・カルト 2〜役者と音楽家のいるレストラン〜』

『ア・ラ・カルト 2〜役者と音楽家のいるレストラン〜』@青山円形劇場

このタイトルを書くのも最後か。青山円形劇場と書けるのもあと何度かな。

ファイナル行って来ました。四半世紀近く観続けてきたものが終わるのはやっぱりさびしい。青山劇場の前ではこどもの城存続のための署名運動が続いていました。

基本的に構成はいつものとおり。閉店とは言わない。しかしところどころに予感が潜んでいる。また来るねとかずっと来るねとかお客に言われて苦笑い、複雑な表情を浮かべる店長。ついていきますよ、と先輩に声をかける若手ギャルソン。食事をして「おっ、おいしい!すっごくおいしいね!ここのレストランって…おいしかったんだね」と言う台詞にはウケたわー。例年と食材が違うのか?(笑)

ノリコさんと来店しなくなったタカハシのワインを嗜む会は解散の危機を乗り越える。後輩は僕だけになっても続けると言う。父娘や老夫婦は来なくなり、伴侶を亡くした男女がやってくる。幕切れは「例え世界がなくなっても、私だけは生き残りますように」と言えた無邪気な時代から「このレストランだけはずっとここにありますように」へ、そしてその言葉もなくなる。随分遠くにきた。四半世紀を噛み締める。

偉そうですが、中山さんすごい巧い役者さんになったなあと思いました。不遜なふりして天然、キッツいのに愛される毒舌。あの味はなかなか出せない。リニューアルしたこのレストランに彼がいてよかったと思った。

ゲストはイケテツさん。ご自分で言及してらしたがそうだった、女装でヒロスエと言えばイケテツさんだったわ(笑)現在人生最大の体重だそうで、踊りもちょっとあぶないですと事前に言っておられました。ふとったイケテツさん、昔の会社の同僚に似てるんだよね……(笑)。

最後の挨拶では高泉さんも中西さんも感極まっておられた。カーテンコール、観客はスタンディングオベーションで迎えた。いつもどおりの上演だけど、最後の最後で表情が崩れた。何度この公演で笑い、涙し、あたたかい気持ちで劇場をあとにしたことか。長い間有難うございました。



2013年12月21日(土)
『こねこのミーシャ』

『こねこのミーシャ』@ヒューマントラストシネマ渋谷 シアター3

ロマン・カチャーノフ監督没後20周年記念、ロシアのパペットアニメが『mitten+(ミトン プラス)』として日本初公開+リバイバル。『こねこのミーシャ』『ミトン』『迷子のブヌーチカ』『レター』が上映されました。初日おみやげでマシュマロチョコやポストカードが配布され、上映前にマトリョーシカ+テルミン=マトリョミンの演奏会もありほのぼの。会期中いろんなイヴェントが開催されるようです。上映館側の企画に好感。

前回『ミトン』を観たときの感想はこちら。
・『ミトン』

そうそうこちらにも書いてるけど全て父親不在の話なのよ…そしてここ一年でロシアに関する知識が増えたので(…)いろいろ思うところがいっぱい!人形の仕草もお話もたいそうかわいらしいのだが、端々にソ連時代の社会事情が見え隠れ。『こねこのミーシャ』の労働賛歌(文字通りここミュージカル調になる)とかひいーってなります。あと住宅事情な……。そうやって改めて観ると、『ミトン』『レター』のお母さん描写にも恐ろしいものが。最後はいい話になってよかったよかったって感じになってますけども、根っこの部分はなんら改善されていないと言う……ソ連のおかあさんってああなの?ねえ、どうなのこれ(泣)。

しかしその制限された生活のなかにも楽しいことはあるのですよと言う…複雑な気分ですけども、こういういいとこ探しと、暮らしは物量よりも心が豊かであることがだいじ!そして想像力(妄想とも言う)がだいじ!と言う前向きな姿勢がよい。『ミトン』の主人公の女の子なんか、いぬを飼いたいあまりミトンをいぬに見立てて引きずって歩いてたら、そのうちミトンが生きたいぬとなって駆け回りますからね!もう泣ける!つらい!でもかわいい!『こねこのミーシャ』のミーシャ(あたまが有り得ないしましま模様でちょうかわいい)も家がなくなって、あたたかい心地よい寝床を夢に見るんですが、その場面(ここの三番目に出てくる画)がもう……きらめくちょうちょ?、ふかふかのクッション、ねずみの壁紙、飲んでもなくならないミルク。ペーパークラフトのそれらがかわいらしいやら文字通り吹けば飛ぶよな紙製なので儚いやらでのたうちまわりました。

てか上記の作品紹介のサイト、いちばん最初に出てくる画面(家の跡地でぼんやりするミーシャの後ろ姿)でその仄暗さが伝わると思われる。かわいいせつない。ロシアとチェコアニメは本当にせつない。

『迷子のブヌーチカ』のとあるシーンで、おまわりさんが女の子にあげたチョコレートがまさにあの六角形包装のあれでわー!となりましたわ。ソ連時代からあるお菓子。ここ一年ちょこちょこ通販して、包装紙も集めています。どれもかわいい。

はあーロシア楽しい(そこに落ち着く)。物販にこらしめられて帰ってきました。ぬいぐるみもほしかった……。



2013年12月19日(木)
『ポンヌフの恋人』『ホーリー・モーターズ』

『ポンヌフの恋人』『ホーリー・モーターズ』@早稲田松竹

スクリーンで初めて観たときの感想はこちら。
・『ポンヌフの恋人』
・『ホーリー・モーターズ』

『ポンヌフ〜』はホント酷いハナシだけど(アレックスにちょう肩入れして観る)傑作だわね…と思ったのだけど、このとき↑もアレックスに肩入れしてると書いてるな……三つ子の魂百迄ですよ(使い方が違う)。そして何度観てもあのシーン「それはスシじゃなくてサシミだ!」とツッコみたくなる。しっかしホント私はアレックスが大好きだな!高じて?ドニ・ラヴァンが大好きだな!

と言う訳で今回はこの二本を続けて観られる、しかもスクリーンでと言うところが重要で。以下おぼえがき。

・『ポンヌフ〜』では(セットだけど)煌々と輝いてたサマリテーヌが『ホーリー〜』ではああなってるとこがもう
・初代と二代目?のテオをいっぺんに観られたのにもしんみりした
・『ポンヌフ〜』でのエディット・スコブのクレジットを確認。こうやって繋がっていったんだな
・ナースチャ・ゴルベワ・カラックスの姿を改めてじっくりと観る
・ミュージカル演出、暴力的な程の編集、そしてやっぱり音楽
・リタ・ミツコも2007年にフレッド・シシャンが亡くなってしまったなあとしみじみ

……で、ここ今回のポイント。『ポンヌフ〜』公開当時「目覚めよ、パリ!」となっていたラストシーンの名台詞字幕が「まどろめ、パリ!」になっていた!……噂はかねがね聴いておりましたが、真相はこういうことのようです。

・映画コラム『「目覚めよ、パリ!」か? 「まどろめ、パリ!」か?』 byシンジロー【ターザンカフェ】
・清義明のブログ Football is the weapon of the future REDUX『「ポンヌフの恋人」パリは起きていればいいのか、寝てればいいのか?』

いや〜複雑な気分だわ〜(笑)しかし上記コラムを読むと、ストーリーから考えても「まどろめ」ですね。納得。それにしても名誤読。



2013年12月18日(水)
『ゼロ・グラビティ』

『ゼロ・グラビティ』@ユナイテッド・シネマとしまえん スクリーン8

まずはIMAX3Dで観ました。いやー…す、すごかった………。音響含めこれは映画館で是非、と言いたくなる作品でした。通常の3Dや2Dで観ても作品の素晴らしさは変わりませんが、環境や状況が揃うのであれば、是非作り手側がこの環境で観てほしいと思っているであろうIMAX3Dで。作品の素晴らしさは変わらない、と書いたのは、観終わって思い出すのはその映像のすごさだけでなく、役者の表情であったり、声色だったり、台詞のひとことひとことだったりするからです。目に映るものは圧倒的。にも関わらず、映らないものへの余韻が大きいのです。それはストーリーがシンプルかつ深淵であるからだと思います。以下ネタバレあります。

映画の素晴らしさだなあと思ったのは、最近では(ってもう一年前だが)『アルゴ』がそうだったけど、「映画のためのフィクション(つまり嘘)があるけれど、それは映画へ奉仕する嘘である」と言うところ。気圧調整が必要であろう宇宙服をあんなに簡単に着脱出来る筈がないとか、いくら中国の宇宙船だからって機器が漢字表記のみってことはないだろうとか、そういうツッコミは野暮と言うものです。いや、そういうツッコミをしつつ、観ている側はそうであってほしいと思っている。この嘘を信じたいと思っている。私はそうだった。早く脱出してほしい、危機を回避してほしい。ああ映画だもの、これが映画でよかった。だから映画は素晴らしいんだ。

映像は本当にすごい。あまりにもすごいので、映らない部分への想像力が研ぎすまされてしまう。宇宙空間に放り出された衝撃、その宇宙空間でひとりきりになってしまった孤独、そして有限な酸素を使い切ることが予想出来る絶望。これら理解や経験の範囲外が想像されることによって生じる恐怖感。宇宙空間からヘルメットを通過して登場人物の主観になると言う驚異的な長回しショットも、その人物の閉塞感(酸素残量が少ないことも装着している機器表示から判る)が伝わってきて、頭で考えるよりも先に感覚が反応する。観ている間ずっと呼吸が浅かった。

主人公である女性が、ライアンと言う男性的な名前であることは『プライベート・ライアン』をちょっと連想した(こちらのライアンは名字だが)。何も出来ない観客は、ライアンが無事帰還してほしいとただただ祈ることでストーリーに参加している。その名前の由来、家族の話はほんの少しの言葉で語られるだけだが、そのわずかな情報だけで彼女の人生の背景が浮き彫りになる。彼女をサポートし続ける(そう、彼は退場後も彼女を助ける!)コマンダーとの会話により、彼女が「生きる」ことを思い出すシーンは感動的です。サンドラ・ブロック綺麗だったなあ、顔の造作だけじゃなくて内面から滲み出る美しさ。

91分と言う長さもよかった。シンプルなストーリー、圧倒的情報量の映像、想像力を喚起する余白。これぞマスターピース。

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以下おぼえがき。

・ミッションコントロールの声がエド・ハリス!『アポロ13』!この配役はニクい!
・どなたかツイートしてたけど『プラネテス』読んでるひとはうわあと思うよ…デブリこわい……
・事故の原因はロシア、ってとこがなんかニヤニヤしますね…冷戦が終わってもアメリカはアメリカですよね……
・宇宙船内にぷかぷか浮いてる小道具にもニヤニヤ。中国のだと卓球セットとかね

・バリバリのねこ派ですが、あの場面はやっぱいぬだよなあと思った……
・ライカは勿論思い出すけど、それだけじゃなくて
・ひとりっきりのときに聴く遠くのいぬの声って、あまりにもあたたかいのよ
・ライアンが「アウー」ていぬの鳴きまねするところ、身に憶えがあるひとは多いと思うよ!私もやったことあるよ!(泣)
・このいぬのシーン、スピンオフ作品(『Aningaaq』)が公開されています。うわあああああん!これ観てないひとにはなんじゃって感じだろうけど観てるひとはもう、もう!


・あとやっぱジョージ・クルーニーですよ……
・先に観てきたウチの姉が「『L.A.コンフィデンシャル』くらいビックリした」つってたんだけどそういうことかと。ケヴィン・スペイシーの退場くらい唐突で早かったってことね……
・早い!早いよ!しかもあんな!(号泣)
・つーかこの場面、隣の兄さん(外国人)がめっさ泣いてしまってそれはもう嗚咽が出そうな勢いで、違う意味でオロオロした。oh...
・行くことないけど行くことになったらジョージと一緒に宇宙行く
・おばけが!おばけが!わあああああああ
・おばけっつうかああいう状況で出てきたらもー泣くっちゅうねん
・あの脱臼したような唐突さ、よかったなあ…はああ……
・ある意味おいしい役だがその説得力はジョージだからですよそうですよ

・なかったことにされてるっぽいがソダばぁの『ソラリス』大好きなので、個人的にもうジョージ・クルーニー+宇宙と来たら鉄板決定だ
・『ソラリス』、ex.RHCPのクリフ・マルティネスが手掛けた音楽も素晴らしいんです。今でもよく聴く



2013年12月15日(日)
『授業』

『授業』@ATSUKOBAROUH arts drinks talk

『授業』と言う作品を知ったのはザズゥシアターの公演記録から。いつかザズゥでと願いつつ、戯曲(『新・ちくま文学の森14 ことばの国 』所収)を読み、いろいろなプロダクションの上演を観る日々が過ぎました。渋谷ジァン・ジァンでの公演は、2000年3月に『さよならジァン・ジァン、さよなら20世紀』のラインナップで観ることが出来ました。中村伸郎さんは既に鬼籍に入っておりました。最近では東京乾電池公演(柄本明版ベンガル版)を観た。そしてようやく今回、鈴木勝秀演出で観られる機会が訪れました。

スズカツさんが書かれていたLUCKY ROCK BELL公演と同じ選曲、幕切れ。ザズゥの公演でも恐らく同じだったのでしょう。教授を抱く女中マリーの姿が『ピエタ』のタブローに見えたと言ったら言い過ぎか。教授が漏らす「献身的」と言う単語にはっとして、戯曲を読み返すと、果たして書かれてある言葉だった。宗教的な側面を持ち、教育への冷静な視線と強烈な皮肉を含み、共依存のような教授と女中、教授と女生徒の関係を炙り出す。愛ある授業、愛ある生活、愛ある人生。愛と暴力は表裏一体。

それにしても、狂気とはなんぞやと考える。狂気の反対は正気かと言うとそうでもない。正気な狂気、狂気な正気と言うものもある。ひとは正気で狂うことが出来る。教授は滑らかに言語の歴史を語り、極めて正論の教育を生徒に施す。その教育を受けた生徒は四十人。彼女たちがどうなったかを村中の皆が知っており、それでも教授へ教えを請う足は途切れない。さて、誰を狂人と呼ぶ?アツコバルーの白い空間は病室にも見える。その白い空間から退場した生徒は再び授業を受けようと舞い戻ってくる。反復と円環。

傳田さんの低音の声がとてもよかった。あとスズカツさんに全く違うって言われてたけど門人くんMajiでKoiするヒロスエだったよ!と言っておく(笑)かわいいねー。あの小悪魔ドヤ顔スマイルはもはや専売特許。筋肉質な脚とゴツい膝、かわいい顔とのギャップがすごかったわ。ぶっとい足は大きくなる証拠@動物のお医者さん。そしてヨシダさん。念願のヨシダさん演じる教授を観られて嬉しかったです。



2013年12月14日(土)
『マクベス』

『マクベス』@シアターコクーン

意欲的な試みに満ちた長塚版『マクベス』でした。好みで言えば好き。しかしその好きと言う思いと同じくらいモヤモヤしたのも事実です。以下ネタバレあります。

センターステージを囲む客席配置、その観客たちを作品中に巻き込む演出。それによって生まれる光景。それはどれも楽しく高揚するものでした。幻影が述べる口上を楽しく聴き、観客が掲げる緑の傘が「バーナムの森の進撃」に変わる光景はとても美しかった。これを舞台写真等で観たひとはなんて素敵なアイディアだと思い、素晴らしい劇空間がそこにはあったのだなと思うだろう。

しかし、その場ではどうだろう。観客たちはクスクスと笑い乍ら、あるいは半笑いでもたもたと傘を掲げる。面白いね、と囁き合う。ドナルベインに席を奪われた観客は、通路に取り残されスポットライトを浴びる。上演中やむなく席を立たねばならない観客は指定された通路を使わないと「うっかりご出演」することになる、と幻影が説明していたが、彼女は「意図的に出演させられた」ことになる。

何が残念だったかって、傘が緑だったこと、冒頭の口上で、傘はあとで使いますよ、例のものを用意しろって言いますから、と言われた時点で「ああ、森か」と気付いてしまったのですよ……。そりゃ『マクベス』で森が動くってのはよく知られている重要なシーンで、でも知ってはいても、それをどう見せるのかなって楽しみにしているとこでもあるんですよね…それを、事前に盛大に説明された感じがしてガーンとね、したんですよね……。

物語は分断され、段取りが常に意識される。作品世界に惹き付けられたのではなく、作品に参加させられたと言う心象が残る。記憶としては、『マクベス』を観たなあではなく、傘を差したなあ、すぐ近くに出演者が座ったなあ(池谷さんがいらっしゃいました。ずーっっと座ったままで、一幕終わりの終わり迄席を立たなかったので「こんな格好してこんなメイクしているけどひょっとして出演者じゃないの?ただの観客だったら何のコスプレ?怖い!」と不安になる程であった)と言う印象の方が強い。これはこれで面白かった。ただ、それ程信用されてないのかなと落胆もする。こういう手練手管を用いないと観客は飽きてしまうだろうと思われているような気すらしてしまう。『LAST SHOW』のとき、長塚くんは「観客を巻き込むプロレスのような舞台」について言及していた。それがこれらのフックを指しているとすれば?これも好みだろうが、『南部高速道路』のフックはとても効果的だった。今回はオーバーワークだったように思う。そういえば『南部〜』でも傘は印象的な使われ方をしていたな。

マクベス夫人に葬られるバンクォーと彼女を看取る医者を同じ風間さんが、魔女たちの主人であるヘカテとマクダフ夫人を同じ池谷さんが演じる仕掛けは面白かったなあ。小松さんのマルカムもよかった。堤さんは自意識過剰な凡人が王になっちゃった感溢れており、魔女に遭わなければよかったのにねと同情してしまいそうなマクベスでした。しかし反面殺陣がやはり見事で、明らかにやる気ない(闘いたくない)態でマクダフと闘ってるのに全くマクダフが勝てる気がしないように見えると言う矛盾がすごく気になりました(笑)ここは意図的なのかどうなのか、観ていて迷った。

実は横田さんと白井さんの役を入れ替えて観たかったところもある。白井さんとてもよかったんですけども、怒りに荒ぶるマクダフよりも思慮深くもの静かなロスで観てみたかった。そしてなんと言うか数多くのシェイクスピア作品に出演している横田さんの実力をひしひしと感じる場面が多かったので…台詞回し、身のこなし。それが逆に浮いて見えてしまう箇所があったのも事実で、これは今回の演出との相性だよなあ。

少しの出番にも関わらず台詞にあっぷあっぷな役者もいた。その都度我に返った。テンパってろれつが回らないと言う演技と、リアルで台詞に振り回されてる様子ってハッキリ区別がつくものですよ……。この辺りは技巧の問題で、巧い役者は逆に噛んでも「役が」噛んだ印象を観ている側に残す。シェイクスピア、翻訳ものの難物っぷりをしみじみ思い知りました。総じて物語には入り込めなかった。でも、こういう形式の公演を観たと言う体験自体は面白かった。



2013年12月12日(木)
『汚れた血』

『汚れた血』@早稲田松竹

今これをスクリーンで観ることが出来るとは…早稲田松竹さん有難う!そしてこの企画の端緒であっただろう、レオス・カラックス新作撮ってくれて有難うですよ!ああ『ボーイ・ミーツ・ガール』も観たかった。

そんな訳で、「ジュリエット・ビノシュとの出会いはこの作品からだったなあ、この5年後にカラックスは『ポンヌフの恋人』を撮り、26年後に『ホーリー・モーターズ』を撮ったのだなあ」と言う気持ちで観ると言う作業がついてくる。アレックスの留守番電話のメロディーはプロコフィエフの「ロミオとジュリエット」で、今これを聴いて即浮かぶのはソフトバンクのCMだ。携帯電話なんて当時はなく、アレックスは固定電話のコードを極限迄延ばし外に出て、向かいのホテルにいるアンナの姿を追う。今では殆ど見ることの出来ない風景だ。喪われたものを思うせつなさと、それを今目に出来る嬉しさを思う。

フィルムはかなり傷んでおり、沢山ノイズが入っている。しかし映画のなかの光景や、登場人物たちは瑞々しいままだ。単純にうっわドニ・ラヴァンわっかい!かわいい!おはだつるつる!勿論ビノシュも!ミシェル・ピコリは今すっごい渋い面構えだけど、当時もいい感じの中年だなあ…惚れなおす……なんて思ったりもするけれど、それだけではなくて、とにかく若いのだ。構図や色彩の美しさは、若さ故に計算し尽くした感じにもとれる。勿論、ホンも若い。気恥ずかしくなる程の、登場人物たちの言動。その後自分が歩く道をまだ知らない監督が描く世界。

この監督が四半世紀後、『ホーリー・モーターズ』のような作品を撮るとは…と言う思いと、いや、彼の根幹はずっと変わっていない、と言う思いと。あの画作り、音楽との関係性、アレックスからオスカーへのバトン。そしてジャン=イヴ・エスコフィエの不在。そして何より、あの編集、あのリズム感。

デヴィッド・ボウイの「モダン・ラヴ」とともに疾走するアレックスをスクリーンで観ることが出来た。編集とリズム。夢が叶った、と言ってもいいな。嬉しかった。



2013年12月08日(日)
『攻殻機動隊 ARISE border:2「Ghost Whispers」』

『攻殻機動隊 ARISE border:2「Ghost Whispers」』@新宿バルト9 シアター2

バトーとサイトーとイシカワが合流したよー!9課 VS 9課ですよ!これは前日譚じゃないと観られない!アガるわー。ストーリーもいろいろ紹介や説明をする必要があったborder:1よりシンプルで、考え込む暇もないくらい盛り沢山のアクションを楽しめました。序盤ハイスピードな演出が多過ぎやしないかと思ったけどじき気にならなくなった。バイクチェイスのあのシーンは『AKIRA』へのオマージュだよね。わっとなった。

あと「30年振りに交通渋滞が起こる」のように、さりげなく語られる台詞にはっとさせられました。これだけでこの舞台の時代がどんなものか、肌で感じることが出来ると言うか。構成・脚本を手掛ける冲方丁さんの腕ですね。

サイトーがお調子者で微笑ましかったです。ロシアンルーレット中毒みたいなやばげな登場だったのになんだあの展開。まるでアホの子に…(笑)退場っぷりも「これ死んでないよな?この後9課に入るんから死ぬ筈ないんだけど」と思うくらい派手であった。対してパズがなんかいい感じにクールだわ。草薙がまだコドモコドモしてて隙が多いこともあって、なんかパズがおかあさんみたいだよ(おとうさんじゃないのか)。ささんが「(『S.A.C.』では)サイトーがいちばんストイックな感じだったのに…パズがいちばんチャラかったのに……」とショックを受けていた(笑)。

あとバトーなー!やっぱここらへん別モノと了解してはいても『イノセンス』を思い出してしまうわ…悩み多き生き残りみたいな。擬似記憶と判ってい乍らそれを消さないでおくとかせつなすぎる!そんなよりどころって!ここらへん今回出てきたヴィヴィーのように、つくりものの記憶でも信じたいと言う切実さがあってなんだかほろりですよ。はやくいぬを飼うといい……。

そしてアホの子と言えばロジコマ。ああかわいい。

声優の違いにも慣れてきました。しかしイシカワの声をやっていた檀臣幸さんが十月に亡くなったとのこと。誰が跡を継ぐのだろう。声が変わってもキャラクターは生きている不思議を改めて思う。

あ、あとエンドロール後にもうひと展開ありますので、最後迄席は立たない方がいいですよー。ロジコマ好きは特に。

次回は来年六月末!結構空く!待ち遠しい!



2013年12月07日(土)
『石のような水』『ケラリーノ・サンドロヴィッチ・ミューヂック・アワー』

『石のような水』@にしすがも創造舎

今年のFESTIVAL/TOKYOはこの作品で〆となりました。演出は維新派の松本雄吉さん、脚本はマレビトの会の松田正隆さん。

タルコフスキーの『ストーカー』『惑星ソラリス』が下敷きだそうで、かなり好きな世界観。松田さんのテキストは、松本さんの演出でかなり解りやすく視覚化されていたように思います。(タルコフスキーの)『惑星ソラリス』が(ソダーバーグの)『ソラリス』になったくらいの印象でした。個人的には後者が好きで好きでも〜好きでたまらないもので、このパートにはどっぷりハマったわ……。今回の解説『「その後」の世界を描くSFメロドラマ』のメロドラマ部分はまさにここ、と言う感じ。死者とまた会いたい、また話したい。それが出来ればどんなにいいだろう。そして、それが実現したらどれだけ嬉しく、恐ろしいだろう。

対して『ストーカー』パートは自分が苦手とする部分。タルコフスキーがどうこう、ではなく、ああいうストーカーと言われるひとたちがホントに苦手なのですよ…もう思考回路から言動から怖い!怖い!あんな素敵な旦那(ここらへん個人的な好みも入ってます・笑)がいるのに何故!あんな素敵な姉に対して何故!観ているうちにこれは芝居だと言う感覚が稀薄になっていき、占部房子さんのこと嫌いになりそうな程(笑)ニ爛磧璽辰討覆辰討泙靴拭またそう思わせられるくらい占部さんが見事な不気味さでですね…いやーすごかったなー。こちらはメロドラマと言うより昼ドラのようなドロドロっぷりです。苦手と言う割にはすんごい入り込んで観ているじゃないか(笑)濡れ場もエロくてよい。依頼人をある意味死の世界へと誘う旦那、いない子供を育てている妄想にとりつかれている姉。彼らをずっと傍で見ていた彼女の辿る暗夜行路。き、気が滅入る……。個人的に心が寄ってしまうのは断然旦那や姉の方なのだけど、妹のことを考える時間がいちばん長かったなあ。

と言う訳で?心情的にはソラリスパートだけを一作品にしたものを観たいわ!と思いつつ、あとをひく程考えているのはストーカーパートなのでした。

山中崇さんの色っぽさが堪能出来てよかった。代々“案内人”を務める家に生まれた諦観、苦悩を美しい涙で表現した。すうっと音が聴こえそうなくらい、綺麗に涙を流す。そうそう、立ち姿もすうっと音がしそうなくらい静かで綺麗なんですよね。ただ立っている、その姿に惹き付けられる。声もいい。姉を演じた武田暁さんも、ラジオDJと言う役柄にぴったりの魅力的な声。彼女の声がラジオから流れる、それは終末の予告のようでもある…聴いているうちについつい引き込まれてしまう。プロフィールを見てみたら、KUNIO10『更地』でイキウメ大窪くんと共演した方だった。うわあやっぱりこれ逃したの悔しいわ!死者と会うことが出来た女子高生を演じた和田華子さんもよかったです。

音響がかなり凝っていたように感じました。生の声と、それを反響させて聴かせるものと、マイク(多分)を通した声。台詞も、抑揚のないものと会話劇らしい感情をのせたものと数種類あり、その発語が登場人物の“状態”を現しているように感じて興味深かったです。以前同じにしすがも創造舎で観た『血の婚礼』の“蟹の女”を思い出したりもしました。と言えば、石切り場のような美術は九月に行った大谷資料館(大谷石採掘場跡)を、「水によって人物にある変化が起こる」はイキウメの『片鱗』を連想したな。こういうの、作品そのものの感想ではないけれど、個人的にはだいじなことだったりする。

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ところで今回の宣美がとても魅力的で、チラシを飾りたいくらい好きなものだったのですよ。ポスターもほしかったなー、販売してたら絶対買ってた!そしてパネルに入れて飾ってた!クレジットを見て驚いた。contact Gonzoの塚原悠也さんが手掛けたものでした。プロダクションノートによると、松本さんの提案で実現したとのこと。ヘリで空撮、と言うのは塚原さんのアイディアだそうです。
・京都芸術劇場ブログ:「石のような水」チラシ四方山ストーリー!!

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帰路は飴屋さんの『わたしのすがた』(12)コースを辿りました。第4留の診療所跡、まだあった。立入禁止になっていて、建物にはツタがより生い茂って随分な迫力になっていました。

今回3公演セット券を買ったけど、今年は観たいものがとても多かった+スケジュール発表が遅かった(東京オリンピック絡み?)+フェス故各作品の上演期間が短くて、全然追いつかなかった……。遠足ものにひとつも行けなかったのが残念だよ、F/T モブもひとつも観られなかった。ああ、あれもこれも観たかった。

宮沢章夫さんが言うとおり「『非商業的な演劇』はF/Tのようなサポートがなければ成立しない。」次回も楽しみにしておりますので、スケジュールのアナウンスを早めにお願いしまするるる。

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『ケラリーノ・サンドロヴィッチ・ミューヂック・アワー 生誕50周年・ナゴムレコード30周年&新生記念・新宿ロフト』@Shinjuku LOFT

おめでとうおめでとうの声が飛ぶなか、ケラさん「誕生日はとっくに済んでて、て言うかもう来月51になるんだけどね(笑)50のうちにやっとこうってことで」だって(笑)。出演順は大森靖子、パスカルズ、木魚、中野テルヲ feat. KERA&みのすけ、No Lie-Sense。遅刻してオープニング、まりんの「ケラさん逃げて!」を見逃したのは痛恨のエラーです。

大森さんは劇場(激情)型の歌い手さんで、これはすごかったなあ。声質や唄いっぷりがYUKIちゃんを思い出す感じなんだけど、それが没個性かと言うと全然そんなことはなく。パスカルズめちゃ楽しかったー、最近劇伴でばかり観ていたので本体ライヴはすごい久し振り。この時点でもうかなりのひとで、視界が前のひとの背中ってのが殆ど。このあとなんとか移動して、ちょっといい眺めになったんだけど空調の真下で凍え乍ら観た(笑)。

で、木魚ですよ。もうたいへん!ときめいた!てかツネヲさん人魚の肉喰った族か…今何歳なのよ……声も素晴らしい!ハッチャキさんがタイコもってフロアを練り歩く姿は全く見えず(笑)音の移動で今あそこらへんにいるのかな〜と思う。そのうち近くにいた、おとうさん(おじいちゃん?)に肩車されて見物していたちっちゃなおんなの子の前にやってきた!そしてその子にタイコを叩けとスティックを渡した!ここは沸いたわー。おとうさん(おじいちゃん?)はニッコニコ、当人はけろっとしてて、おびえたり照れたりすることもなく淡々とタイコを叩き続けておりました。そして「自分たちではゴスだと思ってんですけどそっちからの誘いが来ない」…や、それは、歌詞が……(笑)あの曲、あの演奏、あの衣裳、あのヘアメイク…で、あの、歌詞が!最高!です!これからもずっとそのままでいて〜。

テルヲさんへの黄色い声に驚き、KERA&みのすけ登場でロンバケのナンバーに沸き、2000年クアトロで再始動って話は…まあいろいろあるよね…メトロのよっちゃんと横川さんのさあ…ははは…そう考えると第三舞台ってホント律儀よねなんて話をした。や、テルヲさんたちじゃなくて私たちが。時間はいろいろなものを解決してくれるので、とてもいいものだと思います。生きてるうちになんとかなるのがいちばんよい。死んでからじゃ遅い。

No Lie-Senseはライダーズのナンバーも。やると思ってなかったからホント驚いた。しかも野宮真貴が登場してコーラスで「だるい人」とか!もうふんぎゃーって感じですよ。もう二枚目のレコーディングにとりかかってるそうです、パワフルー!来年の岸野社長のお誕生会にも出るそうです。「これもう言っちゃっていいんだっけ?」つって、いい!と言ったお客さんに「怒られたらこのひとのせいです」って言ってた(笑)。いやーいいもの観たー。



2013年12月05日(木)
大友良英と『あまちゃん』スペシャルビッグバンドコンサート

大友良英と『あまちゃん』スペシャルビッグバンドコンサート@NHKホール

ホールでは最後とのことです。年末のピットインが本当の最後かな。『あまちゃん』関連のコンサートは6月のピットイン以来だったので、そのときは発表されていなかった楽曲も沢山聴けて楽しかったです。

開演ギリギリ着だったのであまり観られなかったのですが、ロビーはかなり早くから開放されており、ドラマで使われた衣裳や小道具の展示、物販、撮影コーナー等で賑わっていたようです。「やっと僕たちも卒業出来ます」と言っていた大友さんはしみじみしてたっぽい。お祭りが終わるんだなあ。会場を見渡すと、家族連れのひと、年配のひと、ヒビキ一郎みたいなひと(笑)といろんなお客がいる。皆で唄う「潮騒のメモリー」の声に低音が多くて、おお、おとこのお客さんもいっぱいいる…と思ったり。こども(あかちゃん)のバブ声がときどき聴こえてくるのにもニコニコ。ドラマとともに愛された楽曲を沢山聴けて楽しかったです。それにしても音がよかったなー。流石のNHKホール。

しかし今更だが大友さんてお話うまいよねー。JAMJAM日記をはじめとする饒舌なテキストには馴染みがありますが、直接話す「おしゃべり」の魅力を改めて感じた次第です。声もよいしねえ。そしてトーンが全くピットインと同じ。譜面ぺらっと掲げて「見えるかな?こんな譜面を渡して…」って、三階席迄あるホールで見えるかー!(笑)こういう、ヘンにかしこまったり自分を大きく見せようとしないところも好きだなあ。ドラマとの接点を丁寧に解説しつつ、プレイヤーの背景もしっかり紹介する。常に楽曲と演奏者、関わったスタッフ全員への敬意と感謝がある。チャンチキトルネエドとの出会いについて詳しく話してくれていたところもよかったな。今年いっぱいで活動を終える(サイトももうすぐ消えてしまう)彼らのことを記憶に残しておいてほしい、と言う思いが感じられました。

あと芳垣さんの裏番っぷりが素晴らしかったです(笑)。SachikoMが来たのも嬉しかったわー。と言えば、ピットインのときは「潮騒のメモリー」をSachikoさんが唄ったので、前振りで「小泉今日子さんは出ませんが」みたいなことを大友さんが言い出したときはSachikoさんが唄うのかと思った(笑)。

ところで入場してステージを見たときいちばんきゃあっとなったのは、キャラクター化されたおおともっちのイラストであった。あの、あまカフェとかに飾られてたアキちゃんとユイちゃんのイラストと同じひとが描いたと思われる!ちょうかわいい!これもグッズ販売すればよかったのに…って、ひょっとしたらあったのかな?(あまりのひとで近付くのを断念)



2013年12月04日(水)
AKRON/FAMILY Japan Tour 2013

AKRON/FAMILY Japan Tour 2013@UNIT

初来日以来のAKRON/FAMILYです。過去二回の呼び屋さんcontraredeが動かなくなっており(…)どうなるのかなーと思っていたところ、今回はele-king招聘でした。しかしこのバンド紹介のテキストとか、コントラの小林さんが書いた気がしてならない(笑)文体が独特ですからねえ。当日物販にもいらしてましたし、お元気でしたら何よりです。再始動したらまた面白いバンド沢山呼んでくださいね。

と言う訳で不失者(灰野敬二)との対バンも話題となった2011年の来日公演は観られなかったのですが、このときってどうだったんだろう?今回客がおとなしくておとなしくて。お客をステージにあげてのハチャメチャカオスっぷりが印象に強く残っていたので「何があった……」と困惑したよ。バンド側も戸惑っていたような気が…始める前マイルスがフロアにいろいろ声掛けたんだけど、反応がうっすいの。対バンボリスのお客が多かったのかしら……。その上序盤、かなり音がしょぼくてですね。しょっぱなマイルスがピンマイク持って何度もシャウトしてたのに全く聴こえない。ええー大丈夫か?と思ったのですが……ここからがバンドの本領発揮でしたよ!

今回はサポートのM. Geddes Gengrasを加えた四人編成。もともと四人編成で『SET 'EM WILD, SET 'EM FREE』から三人になったんですよね(初来日のときはもう三人だった)。で、最新作『SUB VERSES』は「これのライヴ、三人で出来るんか…」と思わせられるナンバーが多かったのでなんとなく納得。初来で観たときよりは楽器のとっかえひっかえが少なく、その分骨太になったように思いました。マイルスがベースを弾くことが多かったんだけど、低音が強烈!そっから展開するジャムが強烈!生み出されるグルーヴが半端なく、サイケっぷり満開。ベースから倍音出てるのかこっちの耳がおかしくなってるのか判断つかなくなった(笑)。その上にあのチャイムのようなギターがのっかり、美しいコーラスがのってくるのだからたまりません。

ヒッピーぽいお客さんがもちらほら。それもあって、以前から言われてることですがグレイトフルデッドを強く意識したなー。しかしこの日はパーティっぽさは稀薄、よりシリアスになった感じでした。結構ノイズ寄りでもあったし。これはフロアの様子を見てシフトチェンジしたのか、今のバンドの状態がこうなのか、ちょっと判断つかなかった。でもなあ、手拍子やコーラスを促してもノってくる客がとにかく少なかったのね。勿体ない、勿体ないよ!こういうのってフロアとのやりとりも大きいと思うのですよ……。ライヴの内容自体は素晴らしかっただけにもったいないー。追加公演は盛り上がるといいな…てかもっと早くアナウンスされてれば追加も行けたのに!(泣)なんかtwitter検索してみたら今回の来日を知らなかったひとが結構いた様子…師走の慌ただしい時期だったからと言うのもあるのかな…追加に間に合うひとは是非行くといいよ!盛り上がるといいよね、て言うか盛り上げな!こういうのは客も踊らな損ですよ!

メンバー皆マルチプレイヤーだし、皆ヴォーカルとるし(Drsのダナがまたいい声なの)祝祭感溢れるライヴをするバンドって印象なので、野外で爆音で聴きたいなと観る度思います。この日のモードには密室感がある方が合ってたかも知れないが…うーん、どうなんだろう。やっぱり複数公演観たかったなあ。

フジで観られたら最高だよなー。smashに持ってかれるのはちょっと悔しいとかそんな心の狭さは捨てたい!勿論これ迄呼んでくれたコントラリードにはすごく感謝してます。で、コントラが動かなくなった今(…)呼んでくれたエレキングにもすっごい感謝してます!メンバーの皆さんも変わらず日本を好きでいてくれるといい…からあげも好きなだけ食べればいい……。そしてまた日本に来てください!

(セットリストは今探してる)



2013年12月01日(日)
『タワーリング インフェルノ』

新・午前十時の映画祭『タワーリング インフェルノ』@TOHOシネマズ六本木 スクリーン6

「お正月の夜中にいつもやってる映画。何度も観てるのについつい観ちゃう」@塚本晋也

そうそう、幾度となくテレビで放映されていて、でも映画館で観ることが叶わなかった『タワーリング インフェルノ』。それが!ついに!!映画館で!!!スクリーンで!!!!夢が叶った…『午前十時の映画祭』てホント素晴らしい企画!

本年度のラインナップを知ったのは昨年末。ギャー!となって、いちばん行きやすい六本木のスケジュールを観たら12月。すごく!先!だけど!チケットの発売は上映二日前から!忘れたらあかん!と一年近くドキドキしていました…と言うのも、以前この『午前十時の映画祭』に『スティング』がかかったとき、当日券で入れるよね〜一時間半前とかに行けば余裕でしょうと呑気に出掛けて行ったら満席で呆然としたんですよね…名画を愛する先輩方の熱意にどげざ。しかも『スティング』は六本木を逃したあと府中でもかかったからなんとか行けたけど、今回は最終グループだったので、これを逃すともうない。スケジュール帳に発売開始日を太字で書き込んでおりました。無事とれたときはホント嬉しかった…そして寝坊したらどうしよう電車遅れたらどうしようと当日席に着く迄ドキドキしていた。とか言いつつ席に着いても途中で地震とかきませんようにとか隣席のひとが落ち着きないひとじゃありませんようにとか心配でドキドキしてましたよ…どんだけ。で、始まったら始まったでストーリーにドキドキしっぱなしで、もうどっと疲れましたよね……心臓に悪いイヴェントであった(単に小心者)。

とにかくいつか映画館で観たい〜と言う思いが強く、DVDやBSで全編観ると言う発想がまるでなかったので、記憶はちいさい頃観た地上波放映版。で、この映画にどんだけ刷り込みされてたかと言うのを今回再確認した感じでした。以下列挙してみる。

・半袖ワイシャツにネクタイって素敵
 母親がスティーヴ・マックイーン好きだったので、その影響もあったと思われる

・左利きチェック
 いや、これはこの映画でってことはないが(笑)マックイーン左利きなのよね

・高層と火事怖い
 言わずもがな

・ずさん工事を憎む心
・お金がかかると無駄遣いは別
 コスパとかカンタン、お得って言葉に懐疑的な根拠だわ……

・指示待ちする心
 勝手に動いたひとが命を落とし、そのうえ他のひとに甚だしい迷惑かけてるのを目にしたトラウマ

まあ指示に従って亡くなってしまったひともいるのですが。ひとを信じるってとてもだいじなことですよね……パニックのときには特に。指示出したひとを信じるか信じないかを決めるのは自分だ。そのうえで逃げ後れてしまったとしても、それはもう仕方がないし、指示出したひとを恨むことはしたくないよと思いますよ…悪意を持った相手は別だけどな。この見分け方がまた難しいのだけど。

と言うのも、今回このホン品がよいなあと思ったのです。根はみんないい人っぽい。社長は(とりかえしのつかないことだけど)こうなったことを悔やみ、ひとりでも多くのひとを助けようとする。脱出順を決めるくじびきも公正(あの娘婿ですらくじの順は守りましたからね)。社長の娘が脱出するときも、お前責任とって父親と一緒に残れよとかやつあたりするひとがいなかった。勝手に動いて他人に迷惑かけたひとも助かりたい、助けたい一心だったんだなと思える。基本的に人間には良心があるよってつくりなのです。そして非常時にはその良心すら役に立たない場合がある、と言うことをドライに描いていたところも好印象でした。

そこで解釈が分かれる箇所がふたつ。序盤で助けを呼んでくるよって出て行って焼けちゃったビグローさんと、娘婿と一緒にゴンドラにぶらさがって落ちちゃった上院議員さん。彼女を安心させるため、それとも自分だけ逃げるため?娘婿の暴挙を阻止するため、それとも自分も逃げちゃおうとしたため?これなー。前者は安心させるためだと思い、後者は逃げちゃおうとした、と思った。後者は、上院議員が登場時、タクシーにチップを払わないせこさを見せたためだが、そもそもここも思わせぶりで、小銭の前にお札出そうとしてるのよね。でもこれも、最初から釣り銭がないと見込んでわざと高額紙幣を出す振りをした…とも思える訳で。ビグローさんに関しては、なんとなく(笑)これの前に電話が通じないことを隠して嘘つくところがあったしね。いやーうまいわー。どっちにとっても通じるわー。こういう、律儀と言うか伏線の回収が几帳面なところも楽しめました。ねこの行方や、ヘッドフォンしてる子とかね。

あとひとの生き死には運ってとこ。バーテンダーのおっちゃんが最後の最後で死んじゃったのはショックだった!すっごいいいひとだったのに!話がすすむにつれすっかりこのひとに魅了されて、ああ助かりそう、よかったよかったと思っていたところに…ここ、いちばんショックだったかも。あの未亡人だって数々の危機を乗り越えてああよかった、と思った矢先ですよ!しかもあれね、幼い頃の記憶がいかにあてにならないかと言う…私、詐欺師のおじいちゃんがねこを助けに行って死んじゃって、未亡人にねこが手渡されたと思ってた。逆だったうえ、ねこ助けたのはO・J・シンプソンだった。そう、O・J・シンプソン重要な役で出てたんですね…いろいろな意味でビックリした…だって当時はO・J・シンプソンて知らないし!そもそも知ったのってあの事件でだし!

なんかねいろんなものがカット&ペーストされてるのよ。以下また列挙。

・ビグローの彼女が転落したシーンのあとにCMが入るフラッシュバック
・エレベーターから燃えるおっちゃんが出てきてキャーってシーンのあとにCM以下同

上のふたつは実際そうだったと思うの、テレビ放映のとき。

・展望エレベーターにねこ抱いて乗ったおじいちゃんが、他のひとにねこを手渡して転落する
・そして地上で黒人のおっちゃん(ここは合ってる)からねこを受け取る未亡人

……どうしてこうなった。特に三番目、ねこを渡して後ろ向きに転落するおじいちゃんの表情迄記憶している…改竄っぷり甚だしい。あーしかしフレッド・アステア素晴らしかった。踊らなくても、唄わなくても、愛さずにはいられないチャーミングな詐欺師役でした。

あと意外と笑えるところがあったのも新鮮だったわ……。娘婿が非常口から結局脱出出来なくて帰ってきたらそのドアの前に椅子とかいっぱい積んであって開けられなくなってたとか、「カゴはパーだがパニックはおさまった」って台詞とか。あと非常口がセメントで固まってるとか、あまりにもあんまりで笑ってしまったよ…納期キツキツの突貫工事ってつらい。

当時は高層火事怖い消防士すごいかっこいいってくらいのシンプルな感想だったが、大人になった今観ると、このあとの裁判やら何やらのごたごたを思って気が遠くなりましたよね…元凶の娘婿は死んじゃってるし。それにしても設計士の活躍っぷりよ。そもそも設計士があそこ迄やらなあかんのか。出来上がったばかりの自分の作品が崩壊して行くさまを見続けるってところもせつない。シルバーフォックス以前と言っていいかな、まだ銀髪でないポール・ニューマンのタフガイな格好よさ!たまらん!そしてあくまでクールなマックイーン!キャー!キャー!

そしてスクリーンで観て実感したのは、CGに頼らない特撮+スタントの凄み。画面が分厚いと言うか、重いと言うか。ジョン・ウィリアムスの音楽も素晴らしかったです。客席の集中力も高かったように思いました、皆一緒にハラハラドキドキ。いい環境でいい映画を観られるって本当に幸せなことだわ。

映画館を出ると華やかな六本木ヒルズの光景。ビルを見上げ、ここ54階だったよな…と思う。138階のグラスタワーはこれの約2.5倍?そこを、あんなちゃちいパイプかごで!半裸のようなパーティドレスで!強風のなか!無理!!無理です!!!と再び恐怖に震えた次第です。ドレスなんて着ていませんでしたが。