初日 最新 目次 MAIL HOME


I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
kai
MAIL
HOME

2018年12月04日(火)
『鈴木家の嘘』公開&サウンドトラック発売記念ライブ

明星/Akeboshi 映画『鈴木家の嘘』公開&サウンドトラック発売記念ライブ@六本木Super Deluxe


-----
明星/Akeboshi:Vo, Key, G
川照:Drs
佐々木大輔:Tp, Hrn, Fhr, Tin whistle, Perc
酒井絵美:Vn
---
トークゲスト
野尻克己(『鈴木家の嘘』監督)
-----

橋口亮輔監督作品の映画音楽家としても知られているAkeboshiさんの最新作は、橋口組の助監督を務めてきた野口克己初監督作品、『鈴木家の嘘』サウンドトラック。mouse on the keysの川さんも参加しており、この日のライヴにも出演するというので出かけていきました。motkではおなじみ、佐々木さんも一緒です。Akeboshiさんの声を実際に聴くのはmotk『the flowers of romance』release tour以来、ご本人のライヴには初めて行きました。

ふわっと出てきてふわっと話し、ときどき話して笑わせて、ふわっと帰っていく。地声からもう倍音鳴ってますみたいな深い声。あたたかく、厚みがあるのに軽やかな声。なんて不思議な声。いやー、すごいな。ピアノとギターのリフからみるみる風景が拡がっていく。色が滲んで姿を変える水彩画のよう。

「ジャズでもやりますか」。サウンドトラックから、ということでインストも数曲。『ぐるりのこと。』『恋人たち』の曲もやってくれました。川さんのカウントから、音源とはまた違うアレンジ(と思われる)の演奏が始まる。スティックとブラシの使い分け、マットを敷いてミュートするスネアの音色、そしてハイハットの使い方。いやー左足の妙技がよく見えたワー。思えば(というかポンチさんから指摘されてあっそうかと思う。気づけよ)川さんのドラムセットって、motkでは下手、nine days wonderでは中央に位置しているので、上手側から演奏を観る機会ってなかなかないんですよね。キックとハイハットペダル、下半身だけでこんなに多彩なリズムが出せるのだなあ。そこへあの手数の多い上半身ですよ。フィルが! すごく繊細! 音量はフルパワー時の半分以下だったと思いますが、その分テクニカルな面を満喫出来ました。やっぱすごいなー。細やかな手仕事とおちつきのない下半身(というと語弊がありそうだが・笑)、素晴らしい……。ついでに普段着ぽい格好で演奏することもあまりないので貴重であった。まあ、普段着もほぼ黒で揃えてたがな。靴はadidasでした、ってこれはmotkのときもそうだったわ。

佐々木さんはティン・ホイッスルからスタートし、金管三種にクラベス等のパーカッション、エレピも一曲やって大忙し。「頼んだ訳じゃないんですけど、あれもやれますよ、これもやれますよ、こないだ新しいこれ買ったんですけどいい感じですよ、っていってくれるから。こちらもついつい……」とAkeboshiさん。この日の楽器は総重量約15kg、全部持って電車できたそうです、ヒィ。

中盤、ハンディカメラを持った怪しげな男性がするりとステージ脇に。記録用の映像を撮るのかな? と思っていたら「僕のマネジャー、田中くんです」。高校の後輩だそうで、ひとしきりいじられる。本人はやく演奏に入ってほしそうにもじもじしてる。「はやく始めてほしい?」と訊いておいてそこからまたひとしきり喋るAkeboshiさん、いじわるか(笑)。しかし「じゃ、五分後よろしく、」とようやく演奏が始まった五分後、田中くんの役割に驚かされることになりました。

ギタートリオで一曲演奏。それを田中さんが撮っている。エレピに戻り、「再生してください」。壁面に今撮った映像が映し出され、カウントとともに再び演奏が始まる。撮影はこれのためだったのか! ワンテイク目にツーテイク目の演奏が重なる。ギターにエレピのリフが絡み、ヴォーカルがハモる。リズムパターンも違うものを重ねていく。ループマシン使ってリアルタイムでリフを重ねる独演とかは聴いたことあるけど、バンド形式でこういうやり方観たのは初めてだったなー。アイディアって素晴らしい、それを形に出来るプレイヤーって素晴らしい。また皆さん楽しそうに演奏するんだこれが。リラックスしてる様子だけど、お互いなんか仕掛けたろ的ないたずらっ子揃いって印象で終始ニコニコ。

それでもメロディは儚いし切ないし、演奏した先から消えていく。Akeboshiさんの音楽は、ひなただったり蛍だったり、ちいさいけれどあたたかい。掌につつんだ、と思ったときにはきっともう消えてる。だいじに聴いていきたい音楽。

ライヴ後はAkeboshiさんと監督のトークショー。飛び入りで出演者の木竜麻生さんも参加し、撮影現場やMV「点と線」制作の様子が聴けました。野尻監督はとにかく粘るらしい。「じゃ、もう一回やってみようか」「すごくよかったけど、もう1パターン撮っとこうか」といわれると「野尻組だ〜!」と思うとのこと。出演者の岸本加世子さんが「もう、しつっっっっっこい!!!」といってたそうですよ(笑)。MVは映画本編の一年後という設定だそうですが、登場人物としてだけでなく、役者として成長した一年後の木竜さんの姿が捉えられてよかった、という話をされていました。

「ここ、閉まっちゃうんですよね」。そう、ビル老朽化のためスーデラは来年閉店。移転先を探しているとのことなので、再オープンを待ってます、みたいなことをいっていた。ライヴスペースとしても個性的だし、スクリーンとして使用出来るコンクリ打ちっ放しの壁面は、今回のようなイヴェントにも重宝されていた。この日も壁いっぱい使った映画の予告編と「点と線」のMVを観ることが出来ました。しかしここで田中くんがやらかしてくれた、これを〆に観て、イヴェントをしっとり終える筈の「点と線」映像の頭出しもたもたする、やっと始まったと思ったら途中で停まる(笑)。Akeboshiくんに「やっぱり今日は(打ち上げで呑んで)田中に運転してもらおうかな」なんていわれてましたははははは。

最後はサイン会。長蛇の列が出来てましたよ!「デビューしたばかりの頃モーションブルー横浜でサイン会をやったら、案の定(地元なので)同級生がきて、そいつにはふざけたいい加減なサイン書いたんです。そしたらすごく怒られたんですよね(怒ったのはその同級生か事務所の偉いひとかは不明)……それが嫌な思い出として残って、もうサイン会なんてやらない、と思っていたのに……」なんていってましたが、楽しそうに対応してましたよ。木竜さんがにこやかに対応していたので心強かったのかもしれませんね、微笑ましく夜は更けていったのでした。

-----




・明星/Akeboshi - ''点と線'' 〜映画「鈴木家の嘘」主題歌〜
---
出演・文字:木竜麻生
監督:野尻克己
---
Drums:川昭(mouse on the keys)
Contrabass:真船勝博
Cello:徳澤青弦
Violin:梶谷裕子
Trumpet:佐々木大輔
Accordion:良原リエ
---
Music, Lyrics, Piano, Vocal:明星/Akeboshi

・『鈴木家の嘘』公式サイト