消えてゆく小さなこと


消 え て ゆ く 小 さ な こ と

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1914年12月31日(木)

思いっ切り
のこと玄能を振り回して
小さくした粗大ゴミ

普通ゴミで回収してもらった

叩っ壊すって気持ちいい
汗かいてすっきりした


1914年12月30日(水)

一日雨だった
細い静かな雨

夕方ふと
Tシャツの袖やエプロンの胸元から
雨の匂いを感じた
ひんやりしっとりした空気


1914年12月29日(火)

しずかな風をうけて
ゆっくり自転車をこいで

気持ちのいい宵だった

このままずっと走り続けていられるなら
いいだろうな
 
家出なんて考えたこともなかったけれど

ひょっとして
そういう願望を持つのもいいのかも

ゲンジツトウヒ の一手かも

そんなことを思いながら帰った


1914年12月28日(月)

母性をテーマとうたうTVドラマ
話の展開より子役の巧さより
どう終わるのかを考えてしまう

母性は育つものだという
子によって育てられるものという
登場する女性はすべて
いろんな母の形を演じている

でも不思議だ
今のところきちんとした父親が登場しない
このままずっといくのだろうか

子育てによって母性が押し上げられるなら
父性によって母性は引き上げられるのではないだろうか

ちらほら父性予備軍のような男性も登場しているが
父性の登場しないままのドラマで
母性をうたえるのだろうか

最後何をもって締めくくるのだろう

いたいけな少女が 
過去に自分に辛い仕打ちをしていた実母に
「わたしがママのおかあさんになってあげる」 とでも
言うのだろうか

母親にとって子どもは何なのか よりも
子どもにとって母親は何なのか を
考えさせられる

悪者で登場した記者
彼の兄は好人物のようだった
兄弟の母親を知りたい気もする


1914年12月27日(日)

ハゴロモジャスミンが
こんもりと揺れている
淡いピンクで甘い

小麦色の肌に瞳は黒い星
ふんわりと花々を纏まと
少しはにかんで微笑む
南洋の島の十代の花嫁 をふと想った


1914年12月26日(土)

急に夏が始まる
ハゴロモジャスミンが一挙に開き
庭中むせ返るような甘さ
ベランダまで香る


1914年12月25日(金)

よい方法はないか
解決策を考える
それが人の知恵
そうやって人は幸せを得てきた
ただ我慢するだけでなく


1914年12月24日(木)

赤い実がいいんだよ
赤い実を眺めなさいあたたかくなるから
赤い実を食べなさいあたたかくなるから
こころの中は赤いのからだの中は赤いの
きみのルビーわたしのドロップ


1914年12月23日(水)

軒先に群れ騒ぐ雀たちの
悪気ない噂話も情報交換も
呟きも囀りもいらない

井戸端の聞き耳頭巾の
汲み上げた水が温んでいる

雀たちよ 
青空に舞い上がれ
大空高く飛んでゆけ
揚雲雀となって誇らしく歌え
鳩となって未知へ旅立て


1914年12月22日(火)

涙を落とせばいいのだ
きれいな涙なら心は軽くなる
泣けばいい泣いていいのだ

けれどそれすらできず
歯をくいしばっている


1914年12月21日(月)

ひとはしあわせか
文明がすすんでしあわせか
文明の進歩はひとをしあわせにしたか
私たちはシアワセか
未だ知らぬことはふしあわせか
絶えず進まねばならぬのか
とどまる事はふしあわせか
戻ることはふしあわせか

ニンゲンであることの
ふしあわせのはじまりは
やはりアダムとイヴの林檎なのか

その苦しさから逃れたくて
ひとはほかの生き物に癒しを求める
罪を悔い詫びるように


1914年12月20日(日)

最近お菓子を食べ過ぎだ
買わないひとになろう
食べないひとになろう

さそってもらわなくていいです
くれなくていいです
おみやげいりません
ホントこまるんです


1914年12月19日(土)

花の世話などしないことをよく分かっている人に
鉢植えを贈るひとって何を考えているのだろう
花束より長持ちして見栄えするから?
後のことは自分に関係ないし
見た目ゴーカでその場でイイカッコできるものね?
そこに残す贈る側の自己アピール?


こっちに世話を振らないでくださいね
私は関係ありませんからね
もらった人がきっちり世話してくださいね
でないと花が可哀相

私はその花 好きでもないし

私は庭が好きなのです
大地に根ざす樹がいいのです
辺りに香る花が好きなのです
やあしばらく今年もまた会えたね と


1914年12月18日(金)

思いついた作業を
やり通して身軽になった
どんどん思いつけばいい
思いつくままやり通せばいい


1914年12月17日(木)

ソレハ
塔の中の暗い石段を一段ずつ
いつか空を仰げると信じて
ゆっくりと廻り上るような
外の空気を吸えると信じて
重く足を運ぶ作業のような

そんな文体で
少しばかり読み疲れるのです


1914年12月16日(水)

水平の虹
そういうものもあるんだね
きれいだった


1914年12月15日(火)

朝の
もうあと20分を生かそう
難しいのだけれど
がんばってみよう


1914年12月14日(月)

シャンプーから帰ってきたキミは
ふんわりさらさらいい匂い
ふっくらして冬毛みたいに丸っこくなった
でも少し老け顔になってた
すぐ寄って来るし離れないし
かと思えばぐったり寝てる
今日はよっぽど気疲れしたんだね
新米トリマーさんだったのかな
お疲れさんでした


1914年12月13日(日)

ヤマブキソウが開いていた
ほんとうにきれいな黄色
日が傾いて木陰になると閉じた
リチギだね かわいい


1914年12月12日(土)

お天気がよくて
木耳はあっという間に
真っ黒に干からびて
かちかちになっていた
水をかけると少しもどった
ふしぎ


1914年12月11日(金)

過去にも
未来にも
しがみつかず
目の前のものを
あたたかく包む
そういう信仰


1914年12月10日(木)

庭の木に茸が生まれた
あなたと森の話をしないと決めて

時おり地面から生える茸とは違うから
ずっとそこで育つのでしょう
あなたの森の話にかわって


1914年12月09日(水)

ARCOROC の白い鍋をよく使う
調理には使わなくて
ほとんどは残った汁物を冷蔵庫にしまう時
カレーやシチューやおでんとか

白くつるつるのその鍋を洗う時
なぜか不思議が起きる
目覚めた時には忘れていた夢が
ふっとよぎるのです

そして 
前にもその白い鍋を洗っている時に
夢を思い出したことを 思い出す

何もない白の中に
夢の断片が引き込まれてゆく


1914年12月08日(火)

動き始めたネムノキに
小さな木耳を2つ見つけた
ネムノキには初めて
まだ新しくやわらかそうで透明感があった
どこからきたのだろう


1914年12月07日(月)

ムリ、ムダ、ムラをなくす と掲げ 
希望あふれる云々 と大仰に書かれたマニュフェスト

その言葉遣いそのものが
ムリ、ムダ、ムラ というもの

とても信じられません

謙虚に 希望をともす くらいにできませんか


1914年12月06日(日)

メロンパンのラスクを貰った 
そんなのあるのね
初めて見ました

何も塗られてなくて
コレってラスク? と思うけれど
ほんのり甘くて
さくさく軽やかで
慣れると案外ハマル

薄くスライスされてできたラスクが
ほぼパン一個分にまとめられて袋に入ってる
メロンパン一個のというのでなくて
メロンパン屋さんのなので
いろんなメロンパン(チョコだの珈琲だの抹茶だのetc)の
ラスクを組み合わせてパン一個分の形にして入れてある
だから縞々カラフルでクッキーの詰め合わせみたい
真ん中辺の長いのも端っこ辺の短いのも
色も味もとりどりで楽しい

で どの袋も詰め合わせがテキトーなので
買うときお客さんは皆 じーっと見て選ぶそうです
ドレニシヨウカナ って

チョコメロンパンラスク とか
ユウバリメロンパンラスク とか
一個のパンから作って丸々入った1袋全部同じ味のより
お楽しみ感があってよく売れるらしい
テキトーな組み合わせが普段のおやつっぽくて
楽しいでした


1914年12月05日(土)

料理家のいうところの
作りながら片付ける 
盛り付けが終わる時には
使ったものは綺麗になってる
なんてことはできません

いろいろ作った時は
なおさら洗い物が山となって混乱する
食後の台所は脱力感
取り掛かるまで時間がかかる
まな板包丁ボール鍋フライパン類食器類
何からするか

でも始めると途中からノッてくる
綺麗になってゆくのが好き
汚れたものが減ってゆくのが好き
水の流れに触れているのが好き
イロンナコトを考えながら
淡々と洗い続ける

終わるころには
スッキリした気分
軽やかな気持ち

洗い物は基本的に好きな作業

でも
洗濯も好き シャワーも好き
庭に水撒きも好き
エコしないで水道料金払いすぎ


1914年12月04日(金)

駅前のも街路樹のも
ハナミズキが一斉に咲き始めた
白もきれい
サーモンピンクもきれい
ひらひら揺れてる
空気が明るくなった気がする


1914年12月03日(木)

あなたのこと もう 忘れたいのです
森の奥のどんなに神秘的な話も
私には縁のない話になってゆくのです


1914年12月02日(水)

お気楽に自分達の都合ばかり押し付けてくる人
それをまたいいかっこして安請け合いする人
苛立ちを抑えられない逃せない
イライラするばかり


1914年12月01日(火)

お湯の中で
細く美しい月のことを考えていたら
時間を忘れてしまった
長湯になった
でもなにかゆったりした気分
時間を忘れるというのは
時間から離れたこと
追われないこと




天窓より          


−ともすれば消えそうになる自分を見失わぬよう−       

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− ささやかに −          

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日付は通し番号として記しています         


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