消えてゆく小さなこと


消 え て ゆ く 小 さ な こ と

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1905年05月31日(水)

この熱風に
長袖スーツにネクタイ、革靴で外を歩く人が普通の国
おかしな国
そんな国他にない
クールビズってどこに


1905年05月30日(火)

猜疑心というもの
人を一番不幸にするものかもしれない
男であれ 女であれ
哀しみより辛いもの
持ちたくないものです


1905年05月29日(月)

考えることは嫌いじゃない
だからその時になれば考えるよ
ひとりも嫌いじゃない


1905年05月28日(日)

よくわからないうちに
もう特別な貴方ではなくなっていた
何のときめきもない
貴方のこと いろいろ考えすぎて
疲れてしまったから

普通以上に離れてしまった気持ち
わたしの中に貴方はない
だからわたしを意識しないで下さい


1905年05月27日(土)

いい子ね
いい子でいてね

いい子という言葉の響きは
いい人という言葉より
きっと心地よい
きっと胎内から始まる記憶
最初に出会う幸せ
懐かしくあたたかなもの
母の声まなざし
通り過ぎてきた数々のよきこと
素直になれる気持ち


1905年05月26日(金)

あなたはいつも其処にいなくて
わたしはいつも此処にいる

それって不公平ではありませんか

天窓から見えるのは
見知らぬ人の動く影
主は留守と決まっている
猫は黙って屋根にいる


1905年05月25日(木)

あの浜はどこだったろう
貝殻をたくさん拾った
貝殻でできたみたいな浜だった
ビー玉のようにまるくなった色ガラスも拾った
夢中になって拾った
飽きず遊んだ
あぁでもどこだったろう
遠い日 何かの途中で寄った浜
もう二度と行けないのでしょうね
浜昼顔など咲いているのでしょうね


1905年05月24日(水)

私を待っているというのでしょうか
私は覚えが無いけれど
約束をしていましたか

言葉はむずかしい
無言の約束は それ以上に


1905年05月23日(火)

看板を立てているでしょう?
(いざな)っているでしょう?
小径を通しているでしょう?

手足がどんなに離れていようと
それはあなた
自分の身は切り離せない
源はただひとつ


1905年05月22日(月)

優先順位を よく考えて
大切なことを 選べ

今日は何をすればいいの
今から何をしに行くの

すっと結論の出る日はうれしい
何を後にまわそうと


1905年05月21日(日)

泳ぎたかった私
何も考えずに体すべて投げ出して浮かんでいたい私
全ての音を忘れて水の音だけ聞いていたい私
潜っていたい私
そのまま水底で暮らしたい私

もういいのです
あなたの声を聞きたかったのではないから
一方通行のつもりだから

潜りにいこうかな
全て水に流しに

蝉も静かになったことだし


1905年05月20日(土)

暗い石の階段を下りる
細い地下道を辿る

古い森へ出るのだ
風を切るのは梟
野鼠も野兎も身を潜めて

月明かりさす泉のほとりに
香りながら夜開く月色の花
命をとるし命を救う

口にする勇気がありますか

帰り道は容易い
振り返らずに小さく別れを告げるだけ
今居たように窓辺にいる


1905年05月19日(金)

風に息をつぐとき
流れに手を入れるとき
何処から来たのか悩むだろうか
共有するこのひと時でよいではないか
すべて一期一会


1905年05月18日(木)

何かを掴みたくて
空に手を伸ばす
どんなに伸ばしても
掌は空っぽ
そうだよ何も掴めるわけない
世界は暗示に満ちているのに
そこから何も得ようとしなければ
空など掴めっこない
自分に取り入れる気持ちがなければ
澄んだ樹液も甘くない


1905年05月17日(水)

自分に罪は無いと言い張り続ける人
そうではないでしょう
罪を認め 罪を悔いたとき
言い張り続けねばならぬ気持ちから
解き放たれるのに
いつまでもただの甘え


1905年05月16日(火)

暑い日が続いて 
日除けを下げたままの天窓

蝉がうるさいので
台風の風を確かめてみた
妙にやわらかく涼しい


1905年05月15日(月)

体の調子のバロメーターとして
見つけたこと 思いついたことを
すぐやる課になれる日
どんどんこなせることが楽しい日
ただそれだけで幸せと分かる日
体の中の靜かなエネルギーを感じる日

そんな日が長く続けばいいのに
思わぬ邪魔がいつだって入る
リズムは全部壊されて出直しとなる
神は意地悪だと思ったりするけれど
気付かぬうちの気の緩みかもしれないし
初めから決まっている宇宙の流れかもしれない


1905年05月14日(日)

持て余していた気持ちに
アジケナイ という言葉が 
やっと浮かんだ
ずい分使っていない気がする

キライ と突っぱねるのではない
ツマラナイ と放り出すのでもない
ただ アジケナイ 
イロンナコトガ ナニモカモ

振り払えない


1905年05月13日(土)

子猫の尻尾があまりに可愛くて
尻尾のあるひとが羨ましいと思った


1905年05月12日(金)

切り捨てたい気持ちなのに言葉が出ない
気持ちを整理できない
自分で説明できない

一方的に並べ立てられるものがあって
一度見てどれも共感のないものなら
たぶん其処へはもう寄らないでしょう

貴方の夢が職人でもアーティストでも
工房でもアトリエでも関係なく

大勢の作品を寄せて
壮大なネットワークを立ち上げる一歩かもしれないし
それもビジネスとしてアリだと思うけれど

とどのつまり
貴方の向かうところが何なのか
見当がつかない

デパートを目指しているわけでも
コンビニを目指しているわけでもないのは わかる
ネットショップでもないでしょう

でもその特異化された空間は 何なのだろう

道行く人に声をかけたりかけなかったり
黙って煙草をくゆらしていたり
傍のラジカセが一日鳴っているような路上の店と
どう違うのだろう

お金さえあれば 一発で
素敵な空間を創りあげられるでしょう
でも
長く息をしてゆくということを
熟成されてゆくものの香りや輝きを
忘れないで


1905年05月11日(木)

モノを書く人が書いていた
野蛮になれと書いていた
自分の作り上げてきたものを壊すことで
自分が作ってきたものから自由となる
究極の自由は野蛮になること とあった

それは 羽ばたきなのかな
それは 雄叫びなのかな


1905年05月10日(水)

外に何の動くものの気配もない午後
地面も屋根も灼けている
風さえ灼けている
coolな部屋にいても
涼しい風を思い起こせない
華奢な花たちを抜ける高原の風も
細い月が傾く夜の風も

なぜか熱い風を思う方が心地よい
熱い砂
椰子の葉を大きく揺らす風のざわめきを聞く
からだは投げ出されて消えてしまった

熱い国の甘い飲み物がいいかもしれない


1905年05月09日(火)

ミソハギが咲いている
ランダムで楽しげだ
ガウラも綺麗だけれど
少し寂しげ


1905年05月08日(月)

見上げる風景もあるし
見晴らす風景もあるけれど
見下ろす風景が好き
高い場所の風が好き


1905年05月07日(日)

あなたが風情を感じずに撮ったものに
風情が残るわけがない
単なるデータでしか残らない
何を焦って 感じるココロを置き忘れてきたの
あなたが何も感じぬものに
ひとが惹きつけられるでしょうか
単に役立つものを残そうとしているのでしょうか
感動とは別の


1905年05月06日(土)

生き延びようとする命
というより
自分ではきっと何もわからない
生かされているから
生きるしかないという命
ただその眼差しがいじらしい

親にすがるしかない小さな命
母猫のお腹に頭をのせて眠っている
小さな寝息が気になる


1905年05月05日(金)

ビルの合間に
日が落ちたあとの
薔薇色の空があった

胸にしみるオレンジの夕焼け色ではなく
頬を染めるときの薔薇色
久しぶりに出会ったね

風を受けながら
涙が止まらない

気持ちをとかす色
わたしの中の頑ななものをとかす
ひとに文句を言うのをやめようと思う
甘いニュアンスの服をまた着ようと思う


1905年05月04日(木)

栗鼠のようにどっさりナッツを食べた
熊のようにたっぷり蜜を舐めた
巣籠するかもしれない


1905年05月03日(水)

貴方は情報が欲しかったんですよね
嬉しい情報を受け取るのが好きなんですよね

優しいメールや楽しいメールや
そういう心遣いのものではなくて


1905年05月02日(火)

犬のいるひとは犬のはなし
猫のいる人は猫のはなし
花壇のある人は花のはなし
芝生のあるひとは芝のはなし
畑のある人は野菜のはなし
何も無い人は部屋のはなし
誰も旅に出ない
そんな毎日


1905年05月01日(月)

雨後の明るさが違う
日の強さが違う
そろそろそこまで
梅雨明けという文字が
見え隠れする空気
もう夏などうんざりなのに
爪痕ばかり残る国の地図に
又にぎやかに旅の案内




天窓より          


−ともすれば消えそうになる自分を見失わぬよう−       

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− ささやかに −          

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日付は通し番号として記しています         


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