消えてゆく小さなこと


消 え て ゆ く 小 さ な こ と

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1903年02月28日(土)

駒がならぶ
季節が移る
新しい風の色
晩鐘をきく


1903年02月27日(金)

首根っこをおさえて
現実を直視せよ と
言いたかったのだけれど
心が通わぬときは
伝わらない


1903年02月26日(木)

素敵な花嫁の写真を見ました
立派とか厳かとかではありません
軽やかです

湖の辺に立つすらりとした彼女に
一重のコットンレースのドレスの裾が
白い風のようにまとわり

髪はゆるやかに風にあそび
手鞠ほどの小さな薔薇のブーケ

嬉しくてたまらない少女のようで
少しはにかんだ少女のようで
水色の風の中に立っているようで
リヤドロの乙女のようで

でも胸をはって
しっかりと立って

とても素敵だと思いました
きっと幸せな生活は崩れないだろうと思いました

婚礼の儀式というより
好きだから一緒に暮らす
だから嫁ぐ という
そのシンプルな日のドレスでした
心もきっとスキップして


1903年02月25日(水)

小雨ではないので
山歩きは難しいでしょう
足止めされているかもしれませんね
宿で仲間と楽しい時間を過ごせますよう
晴れ晴れとした顔で下りて来れますよう
念じています


1903年02月24日(火)

秋の雨の音
たっぷり静かに

すべてが冷たくなって
夏の心は忘れてしまった

次に青空を見る日はきっと
ただ仰ぎ見上げて幸せなんだろうなと思う

青い海をいくつ数えただろう
台風の通る国で


1903年02月23日(月)

種は届きましたか
もう芽吹きましたか
すくすく伸びそうですか
蕾をつけるでしょうか


1903年02月22日(日)

びっくりさせたい
ただいたずらごころ
咲くかどうかはわからない種をまく


1903年02月21日(土)

いずれ戻るのだ
いつかは地球のエネルギーに

何に生まれて
何で命絶えようと
絶え間ない輪廻のひとつ
宇宙のエネルギーのひとつに過ぎない

だから死は怖くはない
ただ生き方を考える


1903年02月20日(金)

秋の風が漂いはじめると
燃える気持ちは落ちてゆく
ただ閑かな傍観者となって
どちらでもよいと思えてくる


1903年02月19日(木)

筋は通そうと思います
喜ばれるどうかは分からないけれど
おこがましいと 躊躇われるかもしれないけれど
ひとの記念日は残したいと思います
お節介なだけかも知れないけれど
今はもうそれしかできないから


1903年02月18日(水)

秋の道は細く続くのがいい
直線でない真っ直ぐがいい
先の方まで見えるのがいい
風が通ってゆくのがいい
歩きながら未来を想えるのがいい


1903年02月17日(火)

大きなポスターだったのに
プログラムは小さくて
紹介は簡単すぎて
名前も載っていなかった
きっとがっかりしたでしょうね
下積みってこういうことなんですね
次を目指して頑張ってください


1903年02月16日(月)

大きな目標を持って打ち込める人達って
素直な人なんだなと思う

人生の殆どをそこに絞って生活するなんて
到底出来ない私は
いろいろな努力のことより先に
その目標を信じ続ける素直さに敬服する

そしてそこには 
たくさんの「感謝」という言葉がありました

人を支え伸ばすのは やっぱり
信じ続ける素直な心なんだなと思う


1903年02月15日(日)

無花果が好き
前はワイルドに食べるのが好きだったけれど
今はちょっと凝ってます
丁寧に皮をむいて カットして
デザート用のお皿とフォークを使います
そして 気取って食べます
カットすると中の不思議な美しさに飽きない

水気のない果実は 
果物っていうよりお菓子に思える
バナナも熟したやわらかな柿も


1903年02月14日(土)

夢を見た
知らぬ人からの電話
何かの返却の催促みたいで
途中で切れて繋がらない
誰? 何を?

何か借りたままのものがあるのだろうか
忘れてしまったものがあるのだろうか

キャッシングもローンもしていないし
本もビデオも借りていないし
振込み忘れもないはず

何か意味ある夢なのか
何かを返すべき相手があるのだろうか


1903年02月13日(金)

紅差し指の もどかしさ

鈍く重い 諍 (イサカイ) の傷痕


1903年02月12日(木)

火照った風の芯に
冷たいものが潜み出す
落ち蝉がふえる
夜の虫が鳴きはじめる
夏が終わってゆく
青蔦もオリーブも遠い


1903年02月11日(水)

秋の気持ち
いつもは忘れている薬指を
研ぎ澄ませる気持ち
真ん中にする気持ち


1903年02月10日(火)

よその家の慶びごとも哀しみも
時が経てばただそれなりの行事として
熱くもなく冷たくもなく残るだけ
気持ちの中では同じに消えてゆく


1903年02月09日(月)

白い秋桜を散らしたように
絹色の雲が一面に広がる
高く涼しい空だった

ミントの香りの青い発泡入浴剤が好き
窓から下りてくるひんやりした空気
星の下の野天湯を想う

自分に苛立っていた気持ちがすっと静まる
気持ちが秋になった日


1903年02月08日(日)

甘ったれ後継ぎの若い僧の読経を
椅子に腰掛けて聞きながら眠いと思っている
けだるく首を振る扇風機より涼しい風が
向こうの庭の方から抜けてくる
外の暑さを遮る重い屋根
ほの暗く高い天井


1903年02月07日(土)

あなたのあの
年老いたシベリアンハスキーはどうしていますか
まだ元気で跳びついてきますか
じゃれてごろごろしてきますか
それとももう
会わないままですか


1903年02月06日(金)

伝えたい気持ちがあって
届けたい思いがあって
おはようと言う
その繰り返し


1903年02月05日(木)

夕立のあと 
発つのはどこへ
自由の海へ 
絆を深めに
星を数えに


1903年02月04日(水)

春には椿の花の落ちる道
返事も相槌もありませんでしたね


1903年02月03日(火)

風に転げて
横倒しになったままの小さな植木鉢
茎が青い天をさし始めていた
戸惑いと躊躇い


1903年02月02日(月)

それは過去でしょうか完了形でしょうか

現在でしょうか進行形でしょうか

心に揺れる青いもの


1903年02月01日(日)

浪漫のある人だった
小さなことも大きなことも
たくさん浪漫のある人だった
言葉は少ないけれど
胸に浪漫の溢れている人だった
あたたかで少し哀しい




天窓より          


−ともすれば消えそうになる自分を見失わぬよう−       

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− ささやかに −          

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日付は通し番号として記しています         


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