消えてゆく小さなこと


消 え て ゆ く 小 さ な こ と

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1902年09月30日(火)

どうなってしまったのか
何処に行ってしまったのか
さっぱりわからない
尋ねることもできなくて
ただ待つしかありません
でも待ち疲れ 
もう忘れてしまうかも知れません


1902年09月29日(月)

いつもはお風呂もシャワーも熱いのが好き
頭の中で何かが一つに集まってくる感じが好き
ぼんやりつかっていても ふと考えが固まるから

でも今日は 思い切りぬるめのシャワーを
意味なく長い時間 ぼんやりと浴び続けた

冷たさの緊張感もなく
熱さの昂揚感もなく
ただ自分の感覚が溶けて流れ出してゆく
ひろがって薄まって拡散してマヒしてゆく
いろんなわだかまりが どうでもよくなった自分が残った

ヌルマユ という意味 わかったような気がした


1902年09月28日(日)

ひとのシアワセのオコボレをもらっても
シアワセじゃあないと思う
ひとりで泣けるほうが よほどシアワセだと思う

毎日ホノボノしていられれば
シアワセなんだろうか
ひとのものを分けてもらっても

私は自分のナミダの味はしっかり味わって生きたい
哀しみのナミダも憤りのナミダも
私が自分のナミダの味を知りたい時に 
はっきりそれを手伝ってくれるのがいい

喜怒哀楽もっといろいろ たくさんのココロの振幅を
しっかり感じ取れるのがシアワセだと思っている
ひとつのことしか感じ取れなくなったら
固まったココロでしかないと思っている
感受性豊かなやわらかなココロを持っていることが
シアワセなのだと思う


1902年09月27日(土)

洒落たリビング、行き届いたキッチン、美しいガーデン、
素敵な家庭を演出し
優しい母親、可愛い妻、おしゃれな奥様、しっかり女房、
素敵な主婦を演じ
だから私たちはしあわせ家族 
という暗示を家族に与え続け

そのオスソワケをどうぞ 
アナタモ キット シアワセナ キモチニナレル
という発信に 

もううんざりしているのです
素直じゃないので 胡散臭く感じてしまうのです
世の中そんなに平和なの と


1902年09月26日(金)

すぐに届けていました
嬉しいことも悲しいことも
応援も残念も腹がたつも
すぐそのままに言葉にのせて
素直な気持ち伝えていました
一方的だったと思います

でももう送らない
迷惑かも 面倒かも
一度生まれた不安は消せない
あなたが持つ影の存在を否定しようとするほど
肯定へ導かれてゆくのです

一つ面倒が消えた 
その程度でしょうね きっと
貴方にとっては


1902年09月25日(木)

見えた やっと見えた
どんなことにも結論が いつかは見える

あまりにも嫌なこと続きで
まみれて押されてつぶされそうだったけれど
ゆっくり回したガラガラから最後にころんと落ちた
一粒の金色の玉のように
追い込まれてはっきりと出た 一つの安心

並べられたものの意味がやっとつながった
神の意思を認めた

苦手な甲高い声も金色の鈴に聞こえるよ


1902年09月24日(水)

見開いて見つめ続けてドライアイ
一滴の涙も落ちず

告げるべき言葉失い
唇の乾くまま 喉に亀裂が走る

時の流れに取り残されて
こころ渇く日々


1902年09月23日(火)

色褪せた紫陽花が夕闇の底に沈んでゆく
雨の匂いを呼び寄せて

もう甦る明日はないのに
少し気取ったお喋りをしながら

色ある花の命みじかし


1902年09月22日(月)

手紙を書きたいのです
長い長い手紙を 便箋に インクで
終わる当てのないことをつらつらと 
話はあちこちに飛んで
途中で泣いたり休憩したり
一緒に笑ったことを思い出したり
見晴らしのいい景色を思い出したり
ただ長い間おしゃべりしていたい
そんな手紙を書きたいのです
順序がヘンだったり字が疲れてきても眠くなっても
書き続けたいのです
見栄えよくする変換などなく
歪んだり間違えたりそのままを
送りたいのです
昔そうしたように

でも今 送る人がありません


1902年09月21日(日)

今朝ひびきのよいシジュウガラの声
窓のすぐ傍の松の枝先で遊んでいる
誘われて向日葵の偵察にきたの?

もう少しよ 一番咲きが種になるのは
まだまだ眩しく咲き出すから
毎日偵察に来てね そしていい声聞かせて
あなたの声は清々しい


1902年09月20日(土)

貰って嬉しい花束は 
セレクトにその人らしさが出てる花束

自分の大好きなのを選りすぐったのも
高級品一色のも
花雑誌から出てきたようなのも
豪華に見えるように組まれたのも
私の好みにあわせたのも
ショップの人にお任せのも

花屋の店先のやり取りが思い浮かぶセレクトが好き

あなたはどんな花を束ねてくれますか


1902年09月19日(金)

からだのどこかが痛むと何かを失いそうで怖くなる
光を失う恐怖
音を失う恐怖
声を失う恐怖
足を失い手を失い
胃や肺を失いからだのあちこちを失って
それでも生きているかも知れないという恐怖
死の恐怖より強い恐怖

命を失うことは恐怖ではない
責任だけを案じます


1902年09月18日(木)

梅雨の梅雨らしさを忘れて
心だけ真夏を彷徨う
人の心のじめじめと折り合うことが出来ず
からりと割り切ろうとばかりする
声も影もあやふやになるはずの夕暮れが
あまりに明るいまま降りてこないので
この心の隠しどころなくて うろつくばかり


1902年09月17日(水)

大人は発狂という手がある
子どもは発狂しないものと誰が決めた?
子どもだって発狂したいこともあるでしょうに
発狂寸前のサインを大人が見落としているだけだ
あの叫び方は恐いアソビ 尋常ではない


1902年09月16日(火)

伝えようとしても空回り
真剣に受け止めてくれてないのがわかる
とにかく聞き流せば過ぎる みたいな
そっちのことでしょ
もう少し真剣になってよ

小さなことに大人が真剣にならないから
流してしまうから
おかしな子どもたちが育つ世の中になってしまう
子どもは大人の真似をしてるに過ぎない
そして自分がされたことを覚えてゆくのだ
尊重されて育った子どもは人を尊重する


加害者が子どものとき 何故それで終わり?
周りの大人が責任を持たねばならないのに
被害者は救われない


1902年09月15日(月)

新しいことの始動の日が決まる
準備に日が少ないけれど
テンション上げてなんとかなるだろう
だらだら未整理のものを整頓しなくちゃ
捨てきれなかったものを覚悟決めなくちゃ
クリエイティブなことは期限のあるほうが
よい結果の出るときもある

新しい日が本当に記念日になるように
心に刻めるよう準備をひたすら行動に移すのみ
薬でぼーっとしているけれど


1902年09月14日(日)

壊れたまま ずっと動き出さないものを前にして
諦めようがなくて途方にくれているのか 
もう見なくなってさっぱりしたのか
それぞれの思いは計り知れなくて
自分の気持ちもつかめなくて


1902年09月13日(土)

靴磨きの少年が数人 台を並べている
中に一人まだ幼い少年がいる
紳士は毎日その子の台に靴を載せながら問い掛ける
大きくなったら何になりたいの

少年は額に汗をかいて靴をピカピカにしながら言う
ホットドッグ屋の車を買うんだ
たくさん売ってお腹が空けばいつでも食べられるし
道路に寝てるお腹の空いてる小さい子たちにあげるんだ

横の年長の少年たちは彼をわらう
俺はこんな仕事とっととおさらばして
もっとでっかい仕事にありつくんだ

紳士は国の偉い役人でした
そして小さな少年も大学を出てその道に入っていった

昔読んだお話をふと思い出した
ささやかな夢 大きな夢 何が違うの
自分以外の人の喜ぶ顔も思い描いている夢は
きっと大きな夢なんだと思う


1902年09月12日(金)

アマチュアとして輝いていたとき
貴方は後進の人や仲間を大切にしていましたね
先輩をたてていましたね
でもプロの夢に手をかけたとき
周りをライバルにしか見なくなった 傲慢になって

意固地とジェラシーが言葉に出て来るのを見るのが嫌で
応援できなくなりました


1902年09月11日(木)

壊れて直しようがないといっても
残骸があれば少しは直せるでしょう

でも ドアの向こうが
竜巻に運ばれたようになくなってしまえば
もうその部屋は直せない
テーブルもソファもテラスもパラソルも
見慣れたもの何一つ残っていない
根こそぎ剥ぎ取られた庭に何か芽吹くでしょうか
大きな閂を下ろす必要もなく
枯れ草の転がるゴーストタウンになってゆくのでしょうか
銀の目をした白い尾が横切った


1902年09月10日(水)

こういうこともあるんだなぁと 
みなは驚くでしょう
そしてがっかりするでしょう
あなたの落胆を心配するでしょう

でも ひょっとしてあなたは笑っているかもしれない
世の中そういうコトもあるってことさ
かえって迷いが消えて踏ん切りついてよかったさ
決着のときが少し早まっただけなんだ と


1902年09月09日(火)

小さな金魚の浮き玉を
ガラス鉢に入れてみた

つついて ゆらゆらしたり
沈めて ぷかりと浮かばせたり

冷たい水の退屈

アナタにも届けましょうか


1902年09月08日(月)

どうしているのか 気にかかるけれど
聞けません わかりません
文章から 貴方のことは何もわからない
斜に構えたコトバからは


1902年09月07日(日)

新しい洗濯機を使っているし
新開発の洗剤を使っているし
新技術の薬品も使ってみたし
それでも落ちないのだから
落ちないものとずっと思っていたけれど
試しに石鹸で手洗いしてみたら
なんときれいになりました

新とつくだけで機械や薬品を信奉してしまう
いけないね
手という最高のものをもっていたのに
今 手洗いに凝っています


1902年09月06日(土)

やっぱりあなたを待っているのです
楽しい顔でやって来てほしいから
人ひとり通れるほどの道をあけて
花をたくさん植え込んで


1902年09月05日(金)

思い切り書いたこと 
思い切り捨てました
誰も知らない

大きな土石流に流されたような
新しい景色を見ている


1902年09月04日(木)

スーパーに小さい子の描いたお父さんの絵が
ずらっと貼り出されている
父の日だから

思うこと書いたら ひどく理屈っぽくなった
そんなんじゃない 想いはそうじゃない
寡黙で頑固であたたかい
その存在感の真ん中にいた自分を
急に愛しく思っただけ
もう心の中でしか話せない
手遅れだったのに最後まで苦痛を言わなかった
だから涙がとまらない ただ恋しい ただそれだけ


1902年09月03日(水)

私にとっては二人で一組だった貴方達
友達同士だったのでしょう?
なのにどこかちぐはぐになって
一人ずつになってしまった
それってヘンでしょ

わかったことは
私にはもう残っていないということ
問いたい気持ちも 
問う術も


1902年09月02日(火)

どっしり落ち着いた門や
花々で飾られたウェルカムアーチや
そういう表玄関は苦手だから
裏木戸から招いてくれる庭が好きだった
留守が多くなって
訪れる人が少なくなって
お喋りして行く人の影もまばらになって
だんだん入りそびれてゆく
草が生え お茶の時間もなくなって
小さな閂が下ろされました


1902年09月01日(月)

青い実を啄ばんだ小鳥
赤い実を思い出せない

白い花に赤い実のつく青い実のつく
甘い実のつく酸っぱい実のつく
その不思議

啄ばんで忘れ 囀って想い




天窓より          


−ともすれば消えそうになる自分を見失わぬよう−       

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− ささやかに −          

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日付は通し番号として記しています         


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