2009年12月04日(金)  「鉄」の皆さんとお座敷列車忘年会(鉄道用語修正版)

ご近所仲間で鉄道ファンのT氏に誘われ、人生初のお座敷列車を体験。JR千葉が去年この時期限定で走らせた「お座敷東金(とうがね)号」で、車内忘年会の需要を当て込んだもののよう。

両国駅の普段は使われない3番ホームから発車。通勤客が乗り降りする2番ホームから見下ろす形になり、「おい、あれは何だ?」と少なからぬ注目と動揺を集めていた。

3番ホームへ向かう通路には赤絨毯と、家庭サイズのごじんまりしたクリスマスツリーが。


ホームには屋台が並び、おでん、焼き鳥、お弁当、飲み物を販売。声を張り上げる売り子さんたちはJR千葉の人たちだろうか。

12/18 日記を読んだT氏より専門家コメント到着。以下3つのテーブルにて紹介。

両国駅でおでん等を販売していたのは、JR東日本系の弁当・車販・構内営業会社NRE(日本レストランエンタプライズ)の社員さん達です。販売員の女性はたぶん車販嬢だと思います。男性販売員達は法被は羽織るわ、髷のおもちゃカツラをかぶっているわで面白かったですね。

少年のように目を輝かせたいい大人たちが続々とホームに現れる。こちらは「鉄」の方々だろうか。とくにディープそうな雰囲気をかもした方々がわたしの座席指定特急券が示す座席のある車両に消えて行く。

「とくにディープそうな雰囲気をかもした方々」が手にしていたのは、「特急券」ではなくて「グリーン券」です。「お座敷東金号」は快速列車なので、特急ではなく、普通列車扱いです。全席グリーン指定席なので、正式な名称で言うところの「普通列車用グリーン券」が必要なのです。普通列車用グリーン券には自由席と指定席の二種類があり、値段も異なるので、「指定席グリーン券」が通称として使われています。

T氏の鉄道仲間の人たちで一車両ほぼ貸し切りとのこと。ほぼ、というのは、四席だけ別グループということだったが、その一角に乗り込んできたのは男性一名だった。キャンセルがあったのか、男性が一人で四席をおさえていたのか。


SL只見号でT氏より紹介され(>>>2004年10月23日(土)  SLに乗ったり地震に遭ったり)、昨夏「串駒」の利き酒会でもご一緒した(>>>2009年07月07日(火)  彦星は一年ぶりの会津の酒!「第5回 天明・七夕の宴」)「呑み鐵」さんが、贔屓の会津の酒を持ち込んでいた。取り寄せではなく、買い付けに行かれたとのこと。もちろん鉄道で。呑み鐵さんのデータによると、

■泉川 純米吟醸 ふな口本生 21BY 廣木酒造(福島県会津坂下町)使用米 五百万石
■飛露喜 特別純米 生詰 20BY 廣木酒造(福島県会津坂下町)使用米 五百万石・華吹雪
■出羽桜(出羽燦々誕生記念) 純米吟醸 本生 出羽桜酒造(山形県天童市)使用米 出羽燦々

スペックに詳しいのが「鉄」に見られる傾向だが、日本酒を語るときにもそれが現れる。このお酒がどれも素晴らしく(とくに「泉川」!!)、列車の揺れともあいまって(走り出す前に飲み始めていたけれど)、極上の酔い心地を体験することになった。

その酔いが吹っ飛ぶほど、自己紹介の濃いこと、濃いこと。一行は、T氏が声をかけたメンバー、呑み鐵さんが声をかけたメンバー、今日初対面の鉄道ライターのSさんが声をかけたメンバーと大きく3つに分かれ、順に「鉄」分が濃くなっていくのが自己紹介が進むにつれて如実にわかる。

各地の廃線を訪ね歩く廃線鉄、中国大陸の鉄道に魅せられた中国鉄、呑み鐵さんは音鉄でもあり、撮り鉄の方は新聞社のカメラマンであるが鉄道を撮るのが本業のような口ぶりでミャンマーまで撮りに行ったりしている。さらに、鉄道写真だけで生計を立てている希有な鉄道カメラマン(T氏より贈呈された本の写真を撮られていた)や鉄道雑誌の編集者も。

この後、夜行で能登へ向かうという方は、福島から見参。一日何時間乗っても飽きないのだろうか。呑み鐵さんも同行し、翌日横浜に戻るのは保存会のSLを磨くためという。

呑み鐡さん達が向かったのは能登半島ではないです。彼らは金沢行きの「急行能登」に乗るのが目的でした。この「能登」、まだ正式発表はJRからなされておりませんが、来春3月での列車廃止がほぼ決定しております。ちょうどお座敷東金号乗車の日に一部報道されたばかりでした。彼らは来春廃止を知らずに乗る計画を立てておられましたが、たまたま報道がされた直後に乗車することとなったのです。正式発表が出るとお名残り乗車のお客さんが多数押し掛けることになり、廃止の日まで「賑やかな」状態になるのだと思います。

JRの社内啓蒙誌にエッセイ連載を始めたわたしは「自称書き鉄です」と名乗ってみたが、皆さんの鉄分の濃さに当てられ、クラクラ。鉄の世界はかくも深し。

T氏の「時刻表検定一級」などはミーハー鉄のわたしからすると鉄道への造詣の深さの表れに見えるが、鉄仲間たちは「ええっ、そんなの取ってるの?」と笑い、T氏も「すみません」と頭をかくのだった。検定するまでもなし、というレベルなのか。

濃厚な鉄集団の中でも異彩を放っていたのは、アメリカから来たジョンおじさん。「I'm confused . I bought a ticket to Narita」と成田空港まで行くつもりが連れて来られてまいったよ、のような口ぶりであったが、ジャパンレイルパス(海外からの旅行者専用の格安乗り放題パス。一同、「欲しい!」)で日本の鉄道を味わい尽くしている筋金入りの鉄。アメリカではトランスポーテーション(交通学?)を教えているという。バナナラベルのコレクターでもあり、アリシャンバナナのラベルを求めて埼玉県の川口まで行ってきたとか。ラベルを剥がした大量のバナナを差し入れしてくれた。その昔バナナ工場に勤めていたのがラベル収集のきっかけで「世界に2万5千種あるうち1万5千種は集めた」と言う。

「串駒」で何度か一緒に飲んだT氏の大学時代の友人で折り紙研究会出身のT2君はキャラ的には相当濃い人ではあるのだけど、鉄分含有量がかなり少ないため、今日は異彩度がかすみがち。折り紙の象を残し、埼玉に帰るため途中駅で下車した。

「ここどこ?」「名前からして成田の東?」という「成東」駅で下ろされ、普通列車で引き返す。「片道じゃなくて往復お座敷列車にすればいいのに。屋形船みたいに」「でも、座りっぱなしだと泥酔者続出じゃない?」。たしかに夜風がいい酔い覚ましに。お座敷ではないけれど、車内は貸し切り状態で、2次会会場に。以前T氏の紹介で会った女の子がタイから一時帰国中の小学校時代の幼なじみと参加していて、その二人と話が弾んだ。ほかにも、再会あり興味深い出会いありで話は尽きず、両国駅に着いてから5時間ほどしゃべり続けたことに。

お座敷列車忘年会。毎年恒例にしたいほど、楽しかった。

2006年12月04日(月)  マタニティオレンジ37 LEGOと想像力 
2004年12月04日(土)  『父と暮せば』@岩波ホール
2002年12月04日(水)  カブレラ


2009年12月03日(木)  「あにょ」ごっこで思い出した「押忍」五段活用

今週は前半締切に追われ、昨日やっと脱稿して初稿を送れたので、今日はひさしぶりに気持ちに余裕がある。余裕残量は3歳の娘のたまには、手に取るようにわかるらしく、娘の余裕度にも比例する。生返事を繰り返していると、「もう、ふんじゃわかんないよ」となじられるが、我慢できずにそう言った時点からさかのぼって数十分は置いてけぼりにしてたんだろなと思う。

じっくり向き合えるときは、とことん話を聞いて、おしゃべりする。言葉は、二人共通のおもちゃ。いかようにも変化して、楽しみ方は無限大。今日はお風呂で、ひさしぶりに「あにょ」ごっこ。「あにょ」だけを発して会話する。「あにょあにょ?」「あにょ!」「あにょ」「あにょ〜〜〜〜」。ナンセンスだけど、互いの声色や表情を面白がり、同じ言葉の繰り返しのリズムが笑いを増幅する。

高校生のとき、交換留学で大阪のわが家にアメリカからブラッド君がホームステイに来た。そのとき、英語がほとんどできない父が「ぷく」という遊びで一瞬にして心をつかんでしまったことを思い出す。「あにょ」ごっこと同じく「ぷく」だけで会話するのだが、それに合わせて両手で「ぷく」なる物体を描くジェスチャーゲームのようなもの。ブラッド君と父の「ぷく」対決を見ながら家族で大笑いしたのが懐かしい。

もうひとつ思い出したのが、大学時代にいた応援団での「押忍(おす)五段活用」。「オス!」だけで喜怒哀楽を表すという宴会芸で、明らかに不条理なことを先輩から言いつけられたときの絶妙な「オス?」や、先輩にしごかれながら自分を奮い立たせるために声を張り上げる「オース!」に涙が出るほど笑った。ごっつぁん(先輩からメシをおごられること)をおあずけになったときの「オスぅ」が餌を取り上げられた犬のように物悲しく、押忍の奥深さに唸ったものだ。

短い言葉でも、込めるニュアンスによって豊かな意味を伝えることができると、人は3歳の頃から知り、人生の折々に感じるものらしい。

2008年12月03日(水)  「何見てるの?」「ゆめみてるの」
2006年12月03日(日)  マタニティオレンジ36 撮影大会 
2005年12月03日(土)  第12回函館港イルミナシオン映画祭 参加2日目


2009年12月02日(水)  右脇→右胸の痛みの原因は?

「今日は何をしてましたか あたしは少し胸が痛いです〜」と毎日聞いている朝ドラ「ウェルかめ」の主題歌が、今日は違った響き。昨日の夕方、急に右胸が痛くなった。胸といっても鎖骨から指4本ほど下に行ったあたり。けっこう鋭く痛みが走って、数秒でおさまる。なんなんだろ、これは?

さらに数週間さかのぼると、右脇の下がピリピリと痛むことが数日間続いた。そのときとは痛みの種類が違うけれど、どちらも右半身だし、関係あるのかと気になる。右から少しずつ心臓に向かって攻めているということはないか?

心配性なので、体のどこかが不調を訴えると、悪いほうに想像を働かせてしまう。ぎっくり背中のときは、まず膵臓を疑ったし、今回も循環器系が心配になる。そのくせ病院も苦手だし、下手にのこのこ出かけてインフルエンザをもらってきてはと余計な心配をしてしまう。

こんなときは、とりあえずネットで検索だ。前回の右脇ピリピリは、ヘルペスの症状が近いらしく、湿疹が出ない場合もあると知って、「湿疹の出ないヘルペス」だと自己流に診断した。今回は、「肋間神経痛」が近いらしい。肋間という割には上すぎる気もするが……。と、右胸に痛みを抱え、「数か月前にひどい咳が続いていた」という人を発見。わたしも9月頃にひどい咳が続いた。それが原因かもしれない。

夕方、行きつけの整骨院で「咳で胸が痛くなることってあります?」と聞くと、なんたらという筋肉の緊張がほにゃららと専門用語で答えがあり、とりあえず、痛む周辺の筋肉の緊張を緩める施術をお願いした。

院長の見立てが正しかったのかどうか、痛みはまったく出なくなった。でも、痛みは体からのSOS。喉元過ぎると熱さを忘れてしまいがちだけど、警告を受け止め、人間ドックを申し込む。

【お知らせ】「月刊シナリオ」1月号「作家通信」

本日発売「月刊シナリオ」1月号「作家通信」コーナーに近況掲載。『ぼくとママの黄色い自転車』DVDを「来年元旦発売」と書いてしまいましたが、正しくは「1/21」です。

2006年12月02日(土)  マタニティオレンジ35 飲茶再発見
2005年12月02日(金)  第12回函館港イルミナシオン映画祭 参加1日目
2001年12月02日(日)  函館映画祭3 キーワード:Enjoy


2009年12月01日(火)  文豪トルストイと童話トルストイ

娘のたまが、保育園で借りてきた『3びきのくま』というロシア童話に夢中になっている。けっこう文字数があるので、一回読み通すのにかなりの熱量を要するが、ページを閉じるなり「もっぺん」と催促され、ひと晩に何度も読む羽目になる。

くまのお父さん、お母さん、子どもが住む家に人間の女の子が迷い込み、大、中、小のスープ皿からスープを飲み、大、中、小の椅子に掛け、大、中、小のベッドに寝てみる。大きいの、中くらいの、小さいの、のリズムの繰り返しは、お気に入りの三浦太郎さんの絵本『わたしの』(この絵本も何度読んだことか。おすすめです)で親しんでいて、その上級編といった感じ。

お父さんくま、お母さんくま、子どもくま、それぞれにロシアらしい響きの名前がついていて、子ぐまの名前は「ミシュートカ」。たまは、「タマ・ミシュートカ」と言い直させた(本人の発音ではミチュートカ)ので、わが家ではその名前となった。

深い色味の絵がすばらしく、大人も絵本の世界に引き込まれる。イラストは「バスネツォフ」とある。「シーツ」を「しきふ」と訳すところが、古典の味わい。翻訳は「おがさわらとよき」とある。

さて、気になるのは作者の「トルストイ」。amazonで作者名をクリックすると「戦争と平和」などの作品がずらりと並ぶが、あの文豪トルストイと同一人物か? そういえば、わが家にある『大きなかぶ』の作者もトルストイだが、こちらは「A.トルストイ」となっている。

調べてみると、トルストイはロシアによくある名前で、文豪トルストイはレフ・ニコラエヴィチ・トルストイ、『大きなかぶ』のA.トルストイは、アレクセイ・ ニコラエヴィッチ・トルストイで別人だった。よく混同されるアレクセイ・コンスタンチノヴィッチ・トルストイは文豪トルストイの又従兄らしい。

大きなかぶトルストイと3びきのくまトルストイが同一人物かと思ったら、くまの作者を「LNトルストイ」と表記するサイトもあり、LNとはレフ・ニコラエヴィチのことだという。文豪が童話も手がけていたのか、ファーストネームまで同名同姓なのか。『イワンのばか』も書いているのなら、同じ人なのかもしれない。

子どもの絵本一冊から世界文学史を紐解くことになった。

2008年12月01日(月)  生きることは、おくりものをおくりあうこと。
2005年12月01日(木)  Annettからのクリスマスプレゼント2005
2004年12月01日(水)  小原孝・佐山雅弘 Piano de Duo - 4
2001年12月01日(土)  函館映画祭2 キーワード:これが有名な


2009年11月30日(月)  朝ドラ「つばさ」スピンオフ本読み

脚本を書いた「つばさ」スピンオフドラマ「好きと言えなくて」の本読みに立ち会う。ラジオドラマ以外で本読みに呼んでいただくのは、はじめてのこと。役者さんが台詞を声に出して言うのをナマで聞くと、書いたときとは印象が変わったりして、こういうニュアンスもありだな、などと発見がある。役者さんの癖で語尾や言い回しが微妙に変わったりするが、そのほうが自然に聞こえたりする。台詞が登場人物に吸収されていくようで、ドキドキした。

まずは玉木つばさの弟・知秋(冨浦智嗣)、つばさの幼なじみの宇津木万里(吉田桂子)、鈴本スーパー次期社長の俊輔(三浦アキフミ)の「青春編」。テーブルを囲んでの読み合わせの後、動きのリハーサル。ここで面白かったのが、アクション指導。ほとばしる若さがぶつかりあう山場のシーンの動きをアクション指導の男性が見本を見せながら作り込んで行く。どう動くとダイナミックに見えるかの計算、指先が伸びていると嘘っぽくなるなどのアドバイスを興味深く聞く。「台詞言いながらやってみよう」と指示し、台詞との組み合わせで効果的な動きを探る。繰り返すうち、どんどん見栄えのする動きになっていった。

終わってから「アクション指導が入るとは思いませんでした」と指導の方に声をかけると、「ちゃんと動きをつけないと、ケガしますからね」とのこと。アクション指導者の話を書いてみたくなりました、いつか取材させていただくかも、と話す。

打ち上げぶりに見て、ぐっと印象が変わっていたのが、冨浦君。ずいぶん大人っぽくシャープになった感じ。「僕、大丈夫で下か? あれで良かったですか?」と熱心に聞いてくれた。

8・9週などを演出した福井充広さんが紙コップに「祝スピンオフ」の旗を立てた手作りのお祝いグッズを持って、激励に来る。放送中の「ROMES」に関わっているそう。

青春編のリハーサルの途中で、「中年編(仮)」(※仮までが正式名称)出演の宅間孝行さん(真瀬昌彦役)、ROLLYさん(浪岡正太郎役)、脇知弘さん(ロナウ二郎役)が続々到着。真瀬さんはいきなりジャージに着替え、ROLLYさんはギター持参。そして、もう一人、「つばさ」に登場していなかった新たな登場人物が……。その女優さんとは初対面ながら、同世代ということもあり、親しみを覚えた。

初々しい青春編に対し、中年編(仮)はこなれた感じ。真瀬と浪岡の掛け合いは、演じている宅間さん、ROLLYさんがなんだかうれしそうで、見ているこちらも頬が緩む。笑う場面じゃないのに漫才を見ているような気分になったり。ああ、帰って来た〜とうれしくなった。西谷真一チーフディレクターも、生き生き、ノリノリ、熱と愛がこもっていた。

本読みの詳しい様子やスピンオフの最新情報は、後藤高久チーフプロデューサーが日々更新している「つばさ」スタッフブログをどうぞ。

今週中に撮影、大急ぎで編集して12月下旬に総集編PR番組として放送の予定。総集編予告編を含めて各編10分。どうぞお楽しみに。

2006年11月30日(木)  マタニティオレンジ34 六本木ヒルズで『プラダを着た悪魔』
2005年11月30日(水)  保湿ティッシュは甘かった
2003年11月30日(日)  小津安二郎生誕百年
2002年11月30日(土)  大阪のおっちゃんはようしゃべる
2001年11月30日(金)  函館映画祭1 キーワード:ふたたび


2009年11月29日(日)  twitterと斎藤緑雨とアフォリズム 

やってみると面白いよと言われてツイッターなるものに登録したものの何もつぶやかずに眺めていたら、アメリカに住む友人が見つけて「フォローします」と名乗りを上げたので、わたしも彼をフォローする。mixiのマイミクの敷居をぐっと下げた感じ。

書き込むスタイルとしては、ブログよりも掲示板に近い。文字数制限があることによって、前置きや修飾語が省かれていき、スケジュール帳にメモするような感覚。備忘録として使えるか? とりあえず、日記の更新が数週間も滞っているので(この日記は12/11に書いている)、その時間差を埋めるのに有効かもしれない。


今日はよく歩く。散歩コースにできたカフェへ行き(バナナジュースとバナナケーキがおいしい、バナナ好きにはバンザイ!)、公園で娘が遊ぶ砂場のまわりをぐるぐる歩き、午後は図書館へ。

石田衣良さんが新聞ですすめていた斎藤緑雨のアフォリズムの本を借りたのだが、昔の文体につっかえつっかえしているうちに返却期限が来てしまった。アフォリズム(Aphorism)とは日本語にすると「箴言」。短く簡潔な格言めいたもので、切れ味のいいつぶやきとも読める。ぼやき口調になっているものもあり、緑雨の時代にツイッターがあったら、この人はおびたたしい数をつぶやき、熱心なフォロワーを獲得したかもしれないと想像する。

2008年11月29日(土)  来年の年賀状の季節
2006年11月29日(水)  日本アカデミー賞PR番組「日本映画のミカタ」
2001年11月29日(木)  2001年11月のおきらくレシピ
2000年11月29日(水)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)


2009年11月28日(土)  「チャイルドオアシスライブ」と「はだしになって」

広告会社時代にお世話になった大先輩の浜田哲二さんが作曲家の佐瀬寿一さんらと取り組んでいる「チャイルドオアシスソング」プロジェクト。21世紀の子どもたちが歌える新しい童謡を作ろうという試みで、わたしも作詞で参加させてもらっている。いまいまさこ作詞第一弾、はだしで春夏秋冬を味わう楽しさを歌った『はだしになって』は佐瀬さんの曲がつき、デュエットでのデモ収録が終わり、さあこれからどう発信していこうかというところ。

2008年09月04日(木)  佐瀬寿一さんと『はだしになって』
2008年04月16日(水)  マタニティオレンジ269 『およげ! たいやきくん』作曲家が贈る新しい童謡

そのチャイルドオアシスソングの活動の一環で親子ミニコンサートが開かれることになり。マタニティビクス仲間のトモミさんとミュー母娘を誘って、娘のたまを連れて四人で参加した。

会場は浜田さんのギャラリー。椅子をたくさん並べて、前方が子ども席、その後ろに大人席。子どもだけで座って大丈夫かなと見ていたら、最前列に陣取ったミューとたまはリラックスした様子で、始まりを待っている。誕生日が一日違いの二人は、一年に数えるほどしか会わないけれど、通じ合うものがあるようで、互いが隣にいることで安心できたのかもしれない。

佐瀬さん作曲の「およげ!たいやきくん」で幕開け。お母さん世代にはおなじみだけど、子どもたちは初耳。続いて「ちくわぶ」というおにいさんとおねえさん(もちろんわたしから見ると、年下!)のバンドが加わり、チャイルドオアシスソングから生まれた野菜の歌などを披露。

佐瀬さんはキャンディーズの「暑中お見舞い申し上げます」や山口百恵の「パールカラーにゆれて」も作詞されていて、数々のヒットを放っているけれど、素顔はちょっぴりシャイで笑顔が人なつこくて子ども心を持ったおじさん。とぼけたトークにも味があった。

真ん中あたりで「寒空はだか」さんという芸人さん登場。いつもは浅草などでお年寄り若干名を相手に話しているらしく、今日の数十名を「大入り」と言う。ばらばらのお客さんが五人だけ、カシオペア座のように点々と座っていたりするらしい。お母さんたちは笑い(わたしはかなり受けた)、子どもたちは困った顔で聞いていた。

寒空さんがCDを出している「東京タワー」という歌があり、「東京タワーにのぼったわ〜」という歌詞ではじまり、最後は「よかっタワー」にあわせて手でタワーの形をつくる。子どもたちが真似するまでやりますよ〜と、マリンタワー版やらランドマークタワー版やら延々と歌い続け、子どもたちも「これをしないと終わらないのでは」と焦ったのか、最後には数人が「よかっタワー」のポーズを決めた。こういうとき、たまは固まっていて、後になって「ミューミューはタワーしたんだけど、たまちゃんはしなかったんだよね」と冷静に話していた。

「いっぽんでもニンジン」「かつおぶしだよ人生は」、再び「およげ!たいやきくん」と佐瀬さんの歌で締め、コンサートは約一時間で終了。大人には短いぐらいが、子どもにはちょうどいい時間。集中して最後まで聴き入っていた。

終了後はおつまみとドリンクが出て歓談。「ちくわぶ」のおねえさんには子どもたちを引きつける磁力があり、子どもたちがハーメルンの笛吹きのようについて行く。うちのたまも一生懸命話しかけていた。たまは輪の外でまごまご、じたばたするタイプで、ミューは対照的に、主張するわけでもないのにすんなり輪の中心にいる。

子どもたちが楽しそうにやっているのを見ながらトモミさんとじっくり話したり、会社時代の知り合いに再会したり、短編小説「クリスマスの贈りもの」の小冊子を配って宣伝させてもらったり、脚本家を目指す男の子と出会ったり、大人にとってもオアシスな時間だった。

当初プログラムにあった「はだしになって」は時間の都合からか披露されなかったが、改訂した最新の歌詞をご紹介。

はだしになって
作詞 いまいまさこ
作曲 佐瀬寿一

春の足音 聞こえてきたら
靴を脱いで 靴下脱いで 
はだしになろう

はるるんるん はるるんるん

はだし はだし はだかの足で
大地にアンテナ ピンと張る
はだし はだし はだかの足で
春をさがしに でかけよう

2)
水がきらきら いいきもち
砂のこちょこちょ くすぐったいよ
はだしになろう

なつつるりん なつつるりん

はだし はだし はだかの足で
お魚たちと こんにちは
はだし はだし はだかの足で
夏の思い出 つかまえよう 

3)
落ち葉のじゅうたん 色とりどり 
サワサワザクザク 踏みしめて   
はだしになろう

あきみのりん あきみのりん

はだし はだし はだかの足で
木の実どんぐり 見いつけた
はだし はだし はだかの足で
秋のぬくもり たしかめよう

4)
ふわふわ雪が おいでおいで   
庭かけまわる 犬おいかけて   
はだしに なろう

ふゆぶるるん ふゆぶるるん

はだし はだし はだかの足が
かじかんだら お湯にざぶん
はだし はだし はだかの足で
冬に足跡 残そうよ

くり返し)
めぐるるるん めぐるるるん

はだし はだし はだかの足で
春夏秋冬 るるるるるん 
はだし はだし はだかの足で
季節のめぐみ あじわおう

2005年11月28日(月)  『ブレスト〜女子高生、10億円の賭け!』制作会見
2003年11月28日(金)  雪菓(ソルガ)
2000年11月28日(火)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)


2009年11月27日(金)  「つばさ」スピンオフ脚本&「小ぎつねヘレン」じゃ大違い

朝ドラ「つばさ」の脚本が届いたので、恒例の写真撮影(第9週〜26週の脚本はこちらへ)。

タイトルは「好きと言えなくて」。第15週「素直になれなくて」とちょっと似てる。「つばさ」は千代と加乃子、加乃子とつばさをはじめ、登場人物それぞれの「素直になれなくて」「好きと言えなくて」を描いていたドラマともいえる。意地を張ってしまったり、照れがあったりして、思ってもないことを言って衝突を招いたり、遠回りしたり。そんな不器用だけど一生懸命な人たちが好きだったし、スピンオフという形でまた会えるのがうれしい。

季節は最終回が終わって一年半後、川越まつりの少し前の秋という設定なので、撮影小道具に選んだのは、ハートの湯たんぽ。川越も寒くなってくる頃だし、劇中で焚き火も焚かれるし、湯たんぽのぬくもりが恋しい季節。

湯たんぽには「Love is..」と書かれている。ラジオドラマ『夢の波間』でご一緒した柳生博さんの好きな言葉で柳生さんのやっているバーの名前にもなっている「Happiness is...」に似ている。「つばさ」は「Love is..」(愛とは……)を繰り返し問いかけるドラマでもあったと思う。

最終回のその後であり、総集編の少し前。「つばさ」の世界の住人たちがどんな「愛」を見つけたのか。10分弱の短いドラマ2本だけど、観終わった後に湯たんぽのぬくもりを残せたらうれしい。

それぞれのバージョンタイトルは知秋、万里、俊輔が出演する「青春編」と真瀬、浪岡、ロナウ二郎が出演する「中年編(仮)」。中年と呼ぶのはさすがに……ということで、代案のタイトルを考案中なのかと思ったら、(仮)まで含めて正式タイトルとのこと。人を食ったようなタイトルに「つばさ」スピンオフらしさが出ている。

中年(仮)は、仮免と同じく、仮の中年、つまり中年にはなりきっていないという解釈? 38歳という設定の真瀬が中年(仮)なら、わたしも中年(仮)の資格十分。せめて、自称であっても(仮)だけはつけておきたいもの。

ところで、脚本には転売などの防止のため、一冊ごとに通し番号が振られている。「つばさ」本放送では、わたしはNo.117をもらっていた。今回は脚本ということでNo.002に浮上。脚本家と脚本協力では大違いなのだなと、この数字を見て感じた。

大違いといえば、今日届いた別な郵便物を見て「!!」となる。原稿を寄せた掲載誌だが、プロフィール欄で『子ぎつねヘレン』が『小ぎつねヘレン』に、『ぼくとママの黄色い自転車』が『僕とママの黄色い自転車』になっていた。ファックス原稿を先方が打ちかえるというので不安があったのだが、時間がないしゲラチェックはおまかせください、ちゃんと確認しますからと自信たっぷりに言われた。本文は無事だったが、タイトル二か所が見落とされていた。

「小ぎつね」という表記はもちろんあるし、童謡の「小ぎつねコンコン」は「子ぎつね」ではなく「小ぎつね」になっているのだけど、わたしにとっては、今井雅子が今井正子になるぐらいの違和感がある。「ぼく」と「僕」も、意味あいが変わってくる。主人公の大志はまだ「僕」と漢字で書けないだろうからと「ぼく」とひらがなにしているので、「僕」になると、大志のことじゃないみたいな気がしてくる。

作品はわが子だとすると、タイトルには作り手である親の思いが込められている。その思いをくんでいれば、タイトルの文字校正にはとくに注意を払ってくれたはずなのだが……。そこはこちらからも念を押すべきであったか。わたしも鑑賞作品のタイトルをうっかり間違えたり、友人の子どもの名前を勘違いしたりということはあるので、気をつけようと自分を戒める。


2009年11月26日(木)  「たまちゃん」は英語で「いしっころ」

このごろ、娘のたまは「○○は えいごで なんていうの?」というのがお気に入り。『パコダテ人』の前原星良ちゃんのおさがりでもらったアルファベットの布絵本(AはApple、BはBallと各アルファベットのポケットにその文字で始まるものが入っている)の影響かもしれない。

「いすは英語でチェアーよ」などと答えると、
「ちがうよ。イースだよ」。
「じいじ」は「ジイージ」になる。

「たまちゃんは えいごで なんていうの?」と聞くので、
「たまちゃんは、どこの言葉でもたまちゃんよ」と答えると、
「ちがうよ。たまちゃんは えいごで いしっころ」。

ころころ転がる石ころは玉……という連想が浮かぶが、なぜ英語になると石ころ?
子どもが考えることはぶっ飛んでいる。

他に好きなのが「いちばん○○な人ごっこ」。
「ママ きいてきいて」とせがむので、「このうちでいちばんかわいいのはだあれ?」などと質問すると、「たまちゃん!」と遠慮も照れもない返事。わが家でいちばんやさしいのも絵が上手なのも、全部たまちゃん。でも、「いちばん寝るのが好きなのは?」と聞くと、「パパ!」。適当に答えているわけではないらしい。

場所を移して「保育園でいちばんやさしいのはだあれ?」と聞いても、「たまちゃん」。ほんとにたまちゃん?と聞くと、「だって たまちゃん おともだちに おもちゃどうぞって するよ」。たしかに、家にいるとわがまま放題だけど、保育園では譲ることができる子になっているのを先日の保育参加で確かめられた。

昨日保育参加だったという同じ組の男の子のお母さんとお迎えのときに一緒になったら、「びっくりしましたよ。たまちゃんがお友だちの着替えを手伝って、小さいボタンまで留めてあげていたんです」。うちでは「できない〜」とべそかいて甘えるくせに、やさしさを差し向ける対象がいると、しっかりするらしい。

石ころちゃん、やさしさを磨いて、珠になれ!

2007年11月26日(月) マタニティオレンジ208 たむけんパーティで宴会場デビュー
2006年11月26日(日)  マタニティオレンジ33 百年前の赤ちゃん
2002年11月26日(火)  健康法


2009年11月25日(水)  結婚記念日に『沈まぬ太陽』

3日遅れだが、娘のたまが3歳3か月になった11月22日は9回目の結婚記念日だった。

記念日好きのわたしとは対照的に記念日無視なダンナは、なぜか去年、前日に「記念日ランチはどうか」と提案し、神楽坂のフレンチの店に予約を入れ、成長(そして歩み寄り)を感じさせたが、今年は何も考えていなかった。去年は誰かに入れ知恵でもされたのだろうか。

そこで娘が気をきかせたのかどうかはわからないが、今年の当日朝、「きょう じいじばあばの おうち とまる」と言い出したので、急遽、夜どっかに出かけようかということになった。

新宿ピカデリーのレイトショーで『沈まぬ太陽』を観よっか。
だったら、その近くの気になってたイタリアンで晩ご飯食べよう。
と、話は決まった。

娘を預けに行くのに手間取り、ダンナと落ち合えたのは、6時半。そこからピカデリーで座席をおさえ、店(Briccola=ブリッコラというトラットリア)に着くと、7時前。上映は8時半から、駆け足のディナーになるなあと思ったら、「一時間半もあるね」とダンナ。「記念日のディナーに、一時間半でおつりが来るなんて言っちゃダメよ」と言いつつ、しっかり食べて店を出てからユニクロで買い物する余裕があった。話題はほとんど子どものことだし、せっせと女の子を口説く隣のテーブルを見ると若いなあと思う。結婚9年目って、こんなものかしらん。

映画の感想もまっ二つ。インターミッションをはさんで3時間を超える大作を観終えた第一声は、「いやー、見応えあったねえ」とわたし、「いやー、そうかな」とダンナ。「いやー」しか合ってない。

『沈まぬ太陽』は、映画『子ぎつねヘレン』『ぼくとママの黄色い自転車』、連続ドラマ『快感職人』でご一緒した井口喜一さんがプロデューサーで参加。音楽は「つばさ」の住友紀人さんで、斎藤興業の水村役の市山貴章さんも出演。さらに、『〜ヘレン』律子役の松雪泰子さん、『ぼくママ』琴美役の鈴木京香さん、『天使の卵』特別出演の三浦友和さんの三人が主要な役どころ。録音の郡弘通さんは『パコダテ人』でお世話になり……と今井雅子作品に縁のある方がたくさん参加されているが、贔屓を差し引いても、スクリーンで観てよかった、いいものを観たという満足感を大いに得られた。それなのに……何が不満か?

でも、帰る道すがら、どこが受け付けなかったかを聞いてみると、「組合をやっていようとなかろうと、どの企業でも僻地への異動はあるわけだし、それを飛ばされたと思うんじゃなくて、そこで飛んでやろうっていう意地を見せてほしい」ということらしい。主人公・恩地が不本意な異動にくさらず、地に足着けて結果を出す姿が描かれているとわたしは受け止めていたが、言われてみれば、結果を出すまでの過程は描き足りなかったかもしれない。それは時間の問題もあるだろう。恩地を演じる渡辺謙の迫力が行間を埋めていたとも言え、この人の存在感が映画の重厚感そのものだったなと感じた。

もうひとつ、ダンナが引っかかっていたのは、「完全なフィクション」だとうたいつつ明らかに事実がベースにあり、実際に起きた事故が描かれている以上、ノンフィクションが混ざっていることが、観る側を戸惑わせるということだった。エンターテイメントとして鑑賞するには、事実が重すぎるという。

ダンナの指摘にはうなずけるところもあり、なるほどねえと面白い議論になった。とにかく、映画を観て意見が一致することはめったになく、二人そろって「いい!」となったのは『大統領の理髪師』と少し前の『フィッシュストーリー』ぐらいで、『風が強く吹いている』も、わたしは感涙、ダンナは失笑という天と地の差があった。天と地といえば、「行天」「恩地」と登場人物の苗字で性格を対比させるのは面白い。『白い巨塔』の財前、里見しかり。

作品のモデルとなった企業は映画へのネガティブキャンペーンに躍起になっているというが、その点については、「映画を観て、かえって希望を持った」というのが二人の一致した意見だった。原作を読んでいないので、タイトルの「沈まぬ太陽」は輝かしく君臨し続ける企業の有りようを例えたものだと思っていたら、そうではなく、どんな圧力にも屈することなく胸に燃え続ける強い信念を指しているらしい。

結婚生活は、赤々と燃えなくとも、せめて穏やかな光を灯し続ける「沈まぬ月」であればよろしいか。

2006年11月25日(土)  カミロボ×みちのくプロレス×劇団ヨーロッパ企画
2004年11月25日(木)  ソウなのか、ソウでないのか。

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