2009年07月12日(日)  朝ドラ「つばさ」第16週は「嵐の中で」&「ラジオぽてとin渋谷」

昨日の川越参りに続いて、今日は渋谷で開かれた「つばさ」ファンミーティングにお邪魔する。子守の都合がつかず、娘のたまを連れて行くことに。会場は親子連れが多く、ほっとしたが、始まるなり、たまは「ちゅばさ どこ?」を連呼。「つばさ、見にいこうね」と話していたのだが、つばさ=玉木つばさに会えると期待してしまった様子。多部ちゃんはビデオレターで何度か登場したが、たまは本物を所望。そこまでファンになっていたとは知らなかった(後でじいじばあばに報告するときも「ちゅばさ テレビだったの」)。

今回は「ラジオぽてとin渋谷」ということで、真瀬昌彦役の宅間孝行さん、丸山伸子役の松本明子さん、浪岡正太郎役のROLLYさん、ロナウ二郎役の脇知弘さんが登場。まず、寸劇で幕が開いた。つばさがベッカム一郎とラジオで共演する初日のラジオぽてとという設定で、二郎が気象情報コーナーをやっているブースの外では、あとの3人がベッカムの番組に大受け。放送を終えた二郎が出てくると、「よし、戦略会議だ。この波に乗って、ラジオぽてともメジャーになるぞ」と真瀬。すかさず、歌を作って売り出せば、と算盤を弾く伸子。だが、浪岡の考えた旋律は、つばさがいない淋しさで暗く沈み、「それじゃあメジャーはダメじゃー」と二郎が突っ込む。伸子に「くだらない」と言われた二郎は「日本一くだらないラジオ局ですから」と開き直る。儲けることしか頭にない伸子は「ラジオぽてとの金庫番ですから。といっても、金庫は空っぽですけど」。だったらグッズ作る金もないのでは、と「♪集金だ〜」「♪スポンサー探し〜」とミュージカル風に出て行き、二郎も「♪街ネタ探し〜」。浪岡は「やはり、地道に精進するしかありませんね」と一同を見送ってギターを鳴らし、お茶目に舌を出す……という2分ほどの内容。

続いて、ぽてとメンバーのトーク。司会は埼玉放送局の結城さとみアナウンサー(たぶん……)。後藤高久チーフプロデューサーも参加。関西出身の後藤さんはかなり話し上手なのだけど、同じく大阪・高槻出身のROLLYさんの面白さが炸裂で、イントネーションもかなり大阪弁が出ていて、ノリノリでお話しされているのがよくわかった。『ロッキー・ホラー・ショー』を3回、『星の王子様』を2回観に行ったファンとしては、ROLLYさんの素のおしゃべりをたっぷり聞けて、大満足。ROLLYさんは宅間さんを「いじめっ子のジャイアンキャラ」だと位置づけ、「パン買って来いとか言わないでくださいよ」などと言っているらしい。控え室でのおしゃべりもとても楽しそう。「みんな自分の楽屋に帰らないんですよ」という松本さんの言葉にも、メンバーの仲の良さがうがかえる。

各自がお気に入りのシーンを紹介するコーナーでは、まず脇さんが放送したばかりの第15週「素直になれなくて」でつばさに「なんで僕じゃなくてつばさちゃんなんだよ」と本音を漏らすシーンを。演出(福井充広さん)から注文された通りに演技した後で「今までのこと忘れて、素でやってください」と言われて、納得のいく演技になったそう。

松本さんは、第12週「男と女の歌合戦」の「あなた」熱唱のシーンを。スクリーンとスピーカー音声で再生すると、あらためて歌のうまさが際立つ。松本さんが少女時代に田川陽介さん(夫の良男役)のファンクラブに入っていたのは、びっくり。ここで登場した息子の隼人役の下山葵君が妙にトーク慣れしているのも、びっくり。「松本さん、どうなんだろと思ってた」「うちの母親に似ていて「やりやすかったです」と言う下山君に、「お前、上から目線だな」と隣から宅間さんが突っ込む。

ROLLYさんが選んだのは、第10週「愛と憎しみの川越」で、ブロッグ塀を壊して玉木家の庭に乱入する場面。撮り直しがきかない一発勝負のこの一瞬で「できるだけ派手に、しかも足は地面と直角に」を狙ったとか。家に帰って何十回も再生し、よくやったと自賛したというのがお茶目。スクリーンで観ると迫力もお茶の間の数倍で、会場は大いに沸いた。

宅間さんは、第9週「魔法の木の下で」の優花と心を通わせる場面。抱き上げた瞬間、「くさい!」と優花が逃げる演技に、「あれはアドリブ?」と視聴者からの問い合わせが多数あったそう。優花ちゃん役の畠山彩奈ちゃんの演技がそれほど真に迫っていたということ……と話題は真瀬より優花に集中。

最後に多部ちゃんが選んだのは、第10週の頭でラジオぽてとメンバーが川越キネマに優花ちゃんを迎える引っ越しを総出で手伝う場面。その理由をビデオレターの中で「ぽてとメンバーのもうひとつの家族らしさがよく出ているから」と多部ちゃん。彼女らしい(つばさらしい)選択。「僕は手伝えよ、と思いましたけど」と後藤さん。この場面の最後でつばさと伸子は座っておしゃべり。その後ろで荷物を運ぶ二郎が転んでいるのだが、転んだのはアドリブだとか。ROLLYさんは「本当は冷蔵庫ぐらい一人で運べますが、あの場面は重いフリをしていたんです」(たしか実家が電気屋)と勝ち誇るが、「あれ? さっき、あれは重かったって言ってなかったっけ」とすかさず真瀬さんが突っ込む。

ROLLYさんが「受けを取った場面」として紹介されたのが、第15週で真瀬が「お電話代わりました」と受話器を奪う瞬間。肘鉄を食らった浪岡の眼鏡が吹っ飛び、あわててかけ直しているのだけど、わたしは見落としていた。スローモーションで観ると、ますますおかしく、会場は大爆笑。眼鏡が飛んだ瞬間、ROLLYさんの頭の中では「ここで演技をやめるべきか、続けるべきか」の二択がよぎったが、「おいしくなるかも」と判断して続行。よく見ると、真瀬もつばさも顔が笑っているのだが、「ぽてとが話題になって喜ぶ場面だからいいでしょう」と宅間さん。「高槻出身のROLLYさんには、すぐにかけ直すんじゃなくて、這いつくばって探してほしかったな」のような突っ込みをすると、「やってましたね、あれは」と負けず嫌いなROLLYさん。あの一瞬で?? 松本さんの「もう一回観たい〜」に応え、結局3回再生。

多部ちゃんが再びビデオレターで登場し、これから20週までの特別ダイジェストを上映。川越の重鎮、城之内エンタープライズを仕切る房子(冨士真奈美さん)が登場したり、真瀬と翔太のつかみあいがあったり、真瀬の胸で泣くつばさがあったり、竹雄と麻子が怪しい仲になったり、包丁がぎらついたり……短い時間に「!」の連続で、会場は「ええっ」とどよめいた。これからの「つばさ」もますます目が離せません。

最後はROLLYさんのギターに合わせて「あなたが好き」を合唱。ファンミーティングのことを略して「ファンミ」と呼ぶそうだが、三位一体ならぬ「ファンミ一体」ないい雰囲気。今日集まった方のつばさ熱は相当なもので、「川越へ行かれたことのある方?」の問いかけに、ほぼ全員と思われる数の手が一斉に挙がった。川越で開催中のつばさ展ではスタジオセットの再現も見られるそうで、これを目当てにまた行ってみたい。

会場を出て、スタジオパークへ。撮影日には上からセットをのぞけるコーナーがあるが、今日は撮休日。つばさ出演者のサインはそれぞれの役者さんの個性が出ていて、読み物としても面白い。たまがいちばん喜んだのは、「おかあさんといっしょ」のビデオコーナーと飲食コーナーの横浜豚まん(280円。大ぶりで予想以上においしい)だった。

さて、明日からの第16週は「嵐の中で」。8、9週で登場した横矢みちる(山本未来)が再び登場。彼女が取材している河川敷に住むホームレス(永島敏行)が実は翔太(小柳友)の父で、父子をつなげようとするつばさ(多部未華子)と拒む翔太(小柳友)の関係に波風が立つ。さらに、真瀬に思いを寄せるみちる、つばさをますます意識する真瀬も加わり、川もあふれる、思いもあふれる一週間。小豆の煮え方から台風接近を察知した竹雄(中村梅雀)は、防災で存在感を発揮しようと試みるが、防災グッズの「防災くん」を売りさばくことを思いついた加乃子(高畑淳子)に相手にされず、心穏やかでない。

今週のキーアイテムは「ぬか床」。漬け物から家族の秘密が明らかになるというのも、「つばさ」ならでは。

停電中の玉木家のドタバタぶりは健在。ラジオの男のお茶目な台風ネタにもご注目。今週も本筋の重苦しさを小ネタのバカバカしさが救っています。タイトルは「嵐の中で」。打ち合わせで「台風一家」というタイトルを提案したら、笑いだけは取れた。子どもの頃、ニュースで「台風一過」と聞くたびに、台風の親子を想像した人は多いのでは。演出は1〜3週、6週、10週、14週の西谷真一チーフ・ディレクター。続く第17週「さよならおかん」は再び今井雅子増量週間。

2008年07月12日(土)  ログ解析〜みなさんどこから飛んで来るの?
2005年07月12日(火)  『子ぎつねヘレン』打ち上げで ipodをゲット
2003年07月12日(土)  15年目の同窓会
2002年07月12日(金)  『真夜中のアンデルセン』小原孝さんのピアノ収録
2000年07月12日(水)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)


2009年07月11日(土)  川越でおいしいものと「ちゅばさ」探し

朝から「つばさ」第15週「素直になれなくて」の感想が続々。ベッカム一郎(麒麟の川島明)とロナウ二郎(脇知弘)の漫才に泣かされた方、多数。見逃した方は、NHKオンデマンドでつかまえる手も。涙の雨の後は、台風で暴風雨が吹き荒れる第16週「嵐の中で」。つばさや翔太や真瀬の心にも、嵐が吹き込む予感……引き続きお楽しみください。

「つばさ」の脚本開発が一段落つき、他の仕事が動き出す前の今週末は、娘のたまと遊ぶことに。「どこ行く? 川越行こっか?」と候補のひとつに挙げたら、「かわごえ いく!」とノリノリ。ゴールデンウィークにじいじに連れて行ってもらったのが楽しかった様子。ちょうど電話をかけてきたじいじも誘って、3人で出かけることに。「かわごえ ひと いっぱい いるよ。ちゅばさ いっぱい いるよ」と先輩ぶって教えてくれた。


東武線の川越駅に着くなり、「あ! ちゅばさだ!」とポスターに駆け寄るたま。今や積水ハウスのCMを見ても「ちゅばさ」と指差すほど、多部ちゃんセンサーは発達。加えて、ひらがなはまだ読めないのに「つばさ」のタイトルロゴも識別でき、今日はこのあと行く先々で「ちゅばさ」を発見することになる。


巡回バスで蔵造り通りまで出て、まずはトイレ。川越まつり会館の外にある身障者対応トイレには、子ども用便座がついていて感激。子連れ外出の強い味方! 無事用を足せて、よし、しばらくオムツが持つぞと喜んでトイレを出ると、「大丈夫ですか?」と女性が駆け寄ってきた。いつの間にか、たまが非常用ボタンを押していたようで、こちらは平謝り。もう一人、後から飛んできた男性職員さんが女性職員さんから報告を聞いた反応が「大丈夫だったんだ? 良かった」というあたたかいもので、恐縮しつつ、川越の人の優しさに触れられる場面となった。

トイレから駐車場を抜けたすぐ先からは菓子屋横町。前回来たときに気づかなかったワゴン車でスコーンを売る楽楽カフェに目を留める。「スコーンには目がないんです」と名乗りを上げてバナナチョコスコーンを買う。その場であたためてもらい、併設されたアウトドアのテーブルでいただく。お店の顔のゴールデンレトリーバー君がずっと狙ってて可愛かった。

その向かいは同じ名前のベーカリー楽楽(サイトもあったかみがあって素敵!)。気になってのぞいてみると、なんとまあわたし好み。内装にふんだんに使われた木とパンの色がいい感じに溶け合って、ブラウンのグラデーションのようなあたたかな店内。どのパンもとてもおいしそうに見え、実際とてもおいしかった。パンを買った人にサービスされるドリンクとともに、建物の庭先にあるベンチでいただく。

菓子屋横町探険をさらに続けると、こんなのぼりが。「15分では観られない川越がある」。うまいコピー。飴細工の実演販売、量り売りの金平糖、駄菓子屋さん……懐かしさと楽しさがまじりあって、ウキウキしてくる。ノスタルジーのないたまは、「べべ(=せんべい)ばべたいよー」を連呼。


以前食べた「亀どら」がおいしかったのを思い出し、亀屋さんへ。たまが「亀どらのつばさ」ののぼりを指差し、「あったよ」と教えてくれた。試食したうぐいす豆亀どらが気に入ったので購入。ここでもお茶サービス。「ひるたま」紹介のポスターの下でお茶を飲む、わが家のあまたま(=甘えん坊たま)。亀屋さんでは、あまたまそっくりな「あんこ玉」が亀どらと並んでよく出ていた。

時の鐘がある鐘つき通りを歩いていて、たまがいきなり興奮してつかんだのが、ふかしいもとあんこを薄い皮で包んだ「いも恋」。前回わたしと来たときに食べておいしかったのを思い出したのか。じいじと3人で分け合って食べる。たまがむさぼるように食べるのを見て、「これは『いきなり饅頭』ってやつだ。今度作ってあげるよ」とじいじ。


かなりの勢いで食べ続けているので、お昼は食べなくてもいいかなと思っていたら、「大八 勝山」という店の前で「ちゅる ばべる」とたまが言い出し、店内へ。名物の川越ラーメン(いもの素挙げが乗った醤油ラーメン)と紫いも餃子(紫いもを練り込んだ皮で特許を取っている)を注文。ともに、いもが入っている以外はオーソドックスな味だけど、旅先の食事らしくて、よい。たまはラーメンに入ったコーンを熱心に食べていた。お店の人が子連れに優しく、ありがたかった。


再び蔵造り通りを歩いていると、「あれ、甘玉堂じゃないか?」とじいじが指差したのは、陶器を扱う「やまわ」というお店。「ここがロケ地です!」と主張していない奥ゆかしさが老舗らしい。ここもあまたまに似た「くらたま」というお菓子を扱っているが、2時過ぎですでに品切れだった。店の中から奥の蔵にかけてトロッコの線路が続いていて、今は使われていないレールの間に手書きのタイルが埋め込まれているのが愛らしい。前に川越に来たときはトロッコの線路に気づかなかったが、今回はあちこちで線路跡を見つける楽しみがあった。

終始「ちゅばさ」探しに活躍したたまは、歯科医院の入口に置かれたバスケットの中の「つばさ」をガラス戸越しに発見。建物の全景写真を撮りそびれたが、元は川越で最初のデパートだったそう。その向かい辺りにあるりそな銀行川越支店の洋館も美しい。


もうひとつ、前回来たときに気になっていたのが、パリの香りがする石造りのカフェ エレバート(CAFE ELEVATO)というカフェ。ゆったりした椅子のカウンター席で、子連れ入店には不向きと言えるが、たまを膝に乗せてアイスカフェオレを飲む。置かれているグッズもセンスがよく、居心地のいい空間。新宿三丁目のカフェ・ユイットがトップスビルとともに幕を閉じてしまった(最後にもう一度と思っていたら、6月28日に閉店していた)喪失感を和らげるかのように、ここと楽楽ガーデンカフェに出会えたのは収穫だった。お気に入りのカフェがあることは、その街を訪ねる理由になる。

「呉服かんだ」というお店の店先に子ども用の草履がセールになっていたのが目に留まり、買い求めようと店内へ進むと、今度は子ども用のじんべいと目が合った。白地にスイカ模様のものに一目惚れしたが、90センチサイズだと来年はきついし、110センチサイズだと今年はぶかぶかだし……と迷っていたら、子犬模様の100センチを見て、たまが即決。さっさとレジへ持って行ってしまった。「これはまけられないのか」とじいじが交渉したら、割り引いてくださり、いい買い物ができた。家に帰って着替えたたまはすっかり気に入り、町内のマジックショーに着てでかけた。

2008年07月11日(金)  マタニティオレンジ310 「きー」ときどき「あれ?」
2007年07月11日(水)  マタニティオレンジ145 皆様のおかげの空の旅
2004年07月11日(日)  ヤニィーズ第7回公演『ニホンノミチ』
2002年07月11日(木)  映画『桃源郷の人々』
2000年07月11日(火)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/28)


2009年07月10日(金)  リチャード・ギアが「ヘァチ」と呼ぶ謎『HACHI 約束の犬』

「あのハチ公物語がハリウッド映画に!」と映画関係者の間でも話題の『HACHI 約束の犬』。先日新宿ピカデリーにて『築城せよ!』(7/8の日記にて紹介。おすすめです!)を観たとき、初めて予告編を観たのだが、リチャード・ギア演じるロマンスグレーの大学教授がHACHIを「ハチ」ではなく「ヘァチ」と呼ぶのがツボに入り、泣ける映画のはずなのに笑いをこらえることに。というのも、最近「カバは英語でヒポパタマス」だと知った娘のたまが「たまは英語で何ていうの?」と聞いてきて、「たまはTAMAよ」と最初のAをAPPLEのAにして発音すると、「テァマ」とうれしがって繰り返したことを思い出してしまったから。隣の席で観ていた友人アサミちゃんに後で事情を話すと、「うちの甥っ子も、幼稚園の頃英語を習い始めて、玉子をテァマーゴって呼んでた」とアサミちゃん。

オリジナルのハチ公物語に敬意を示して日本語の名前にしたのだろうとは想像するが、劇中ではどういう経緯で「ヘァチ」と呼ばれるようになったのかが気になり、ちょうど試写状が届いていたマスコミ試写で確かめることに。受付で『子ぎつねヘレン』の宣伝担当だった清宮嬢と数年ぶりに再会。

以下、ネタバレが気になる方は読み飛ばしていただいて……。

「ヘァチ」の謎は、迷子の子犬の首輪についていた「八」という数字の名札にちなむものだった。犬を拾った教授が友人の日系人に「八」の札を見せ、「ラッキーな数字だ」と教えられて気に入り、それを名前にする。英語での映画化にあたり「名前はハチにすること」という縛りがあり、その設定が成立する理由を考えたのだろうか……と脚本開発の背景を想像した。納得してしまえば、「ヘァチ」が不自然に聞こえることはなく、あとはHACHIの仕草やHACHIが引き起こす事件のひとつひとつに笑いつつ、物語に引き込まれていった。そして、迫り来る悲劇の結末がわかっているだけに、教授とHACHIの絆が深まるほど、切なさをかき立てられるのだった。

犬の映画はズルい。犬を飼っていた人は、劇中の犬に「うちの犬」を重ねて観てしまうから、共感度数が数割増になる。HACHIの場合、ハリウッド映画でありながら、日本人になじみの深い秋田犬であるところも、さらにズルい。わたしが中学生の頃から十年あまり飼った雑種のトトは柴犬っぽい顔立ちだったけれど、HACHIの顔がしばしばトトにだぶった。犬らしい芸当をやらず、ボールを投げても取ってこないところもそっくりで、HACHIを見ていると、20年以上前の記憶がどんどん呼び起こされ、家の外で抱きしめて眠ったときのトトの体のあたたかさを思い出したりした。母を怒らせて閉め出されたときだったか。愛想よくシッポを振ることはしない代わりに、わたしの笑顔も涙も同じように受け止めてくれる寄り添い上手だった。

トトと一緒に思い出したのは、チャコのことだった。愛らしい顔をした茶色い小型犬で、うちに迷い込んだのを一週間ほど預かる間にもらい手がみつかり、歩いて10分ほどの距離の家で飼われることとなった。ところが、うちの母になついてしまったチャコは、しばしば夜中に脱走し、うちの玄関先で「入れてよ」と言わんばかりに甲高い声を上げた。母はとりあえず家の中に上げ、一緒の布団で添い寝してやり、朝が来ると申し訳なさそうに新しい飼い主に電話をかけていた。そんな感傷を抜きにしても、会いたい人に向かってひた走る犬の一途さは涙を誘う。昔の傑作長尺CMで、ひたすら走る犬を追ったものがあった。お酒の広告だったか、コピーもナレーションもほとんど入っていなかった気がするが、観るたびに泣けるCMだった。犬があれば、コピーはいらず、台詞もいらないのかもしれない。

記憶の箱の蓋が開くたびに温かい涙がこみあげ、40度以上のお湯で落とせるマスカラが流れてしまうのではと心配になったほど。8月22日公開の今井雅子の6本めの長編映画『ぼくとママの黄色い自転車』は「今年いちばん泣ける映画」というふれこみで、こちらも愛らしい犬が登場するが、「8月8日(ハチでそろえて、覚えやすい!)公開のHACHIに涙を持って行かれないか?と心配したり、「HACHIで犬映画需要が高まれば、ぼくママにも追い風になるかも」と思い直したり。

さらに、駅で教授を待ち受け、飛びつくHACHIの姿が娘のたまに重なり、困った。毎日6時15分に保育園へ迎えに行くわたしが現れるタイミングを、時計を読めないたまは感覚で測る。あの子のママが来たから、次はわたしのママの番という風に。駅の出口から吐き出される乗客一人一人の顔を確かめるHACHIの顔を見ていると、たまもこんな顔をしてわたしを待っているのだろうかと胸がしめつけられた。たまは最近『クイール』にはまり、毎日のように「わんわん みる」とせがむのだが、クイールが悲しげな顔をすると、「ママがいいようって いってる。たまちゃんみたい」などと言う。そんなことも思い出されて、涙ダムはますます決壊するのだった。

『HACHI』を観て、なるほどと思ったのだが、教授が急に還らぬ人となって引き裂かれたのは、「HACHIと教授」だけではない。HACHIよりも、もっと長い時間を彼とともにして来た家族もまた引き裂かれる悲しみを味わい、背負う。その部分の膨らませ方はとてもハリウッド的で、後日談で回想をサンドイッチするスタイルもこれまたハリウッドお得意の手法なのだけど、家族を膨らませたことでサンドイッチスタイルが効いているという図式はハリウッド的脚本の王道といおうか模範解答といおうか……ピースはぴったりはまっているけれど、予定調和ともいえて、ないものねだりだけれど、そこは物足りなく感じた。

もうひとつ、HACHIのフルネームが「HACHIKO」となっていて、ところどころで「HACHIKO」が出てくるのだが、「HACHIKOありき」だと知らない海外の人が観たときに「このKOは何ぞや?」とならないのか、気になった。エンディングで「実際のハチ公は……」と日本での実話が紹介されるので、劇中でもHACHIKOとしたほうがつながりが良かったのだろうか。「モデルとなった日本のHACHIはハチ公と呼ばれ……」とナレーションで解決する方法もあったような……などと代案まで考えてしまうのは困った職業病だが、リチャード・ギアが子どものように号泣したという脚本は、出演者(もちろんHACHIも含めて)の熱演に支えられ、いっそう感動的な映画に仕上がっている。渋谷のハチ公を見る目が数倍優しく温かくなるのは間違いなし。パンフレットを読んで知ったのだが、ハチ公像は第二次世界大戦中に「鋳潰」されたものを1948年に地元有志が再建したものだという。その辺りのことは日本版の『ハチ公物語』に描かれているのだろうか。こちらも観たくなって調べてみると、「『HACHI 約束の犬』公開記念 期間限定スペシャルプライス」の廉価版DVDが7月29日に発売とのこと。

2008年07月10日(木)  脚本家デビュー9周年
2007年07月10日(火)  マタニティオレンジ144 離乳食も食いだおれ
2005年07月10日(日)  12歳、花の応援団に入部。
2003年07月10日(木)  三宅麻衣「猫に表具」展
2002年07月10日(水)  『朝2時起きで、なんでもできる!』(枝廣淳子)
2000年07月10日(月)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/28)


2009年07月09日(木)  1962年の広告ウーマン『その場所に女ありて』

映画と鉄道を愛するご近所仲間のT氏から「神保町シアターで成瀬巳喜男特集がありますから、ぜひ」と熱い推薦状と資料が届いた数日後、今度は「京橋のフィルムセンターで広告業界を描いた映画の上映があります」とメールが届いた。1962年の東宝作品『その場所に女ありて』(鈴木英夫監督)と1958年の大映作品『巨人と玩具』(増村保造監督)。「どちらも当時の俊才監督の手によるものです。この監督達の名前は知っていて損はありません。広告業界の人が見たら、これはどうしょうもなく全く違う世界なんでしょうけれど、もう半世紀近い昔の日本のこととして見れば、これはこれで面白いと思います」とのことで、まずは『その場所に女ありて』を観た。

最初はバカでかいタイプライターやそれを扱う「幹事長」と呼ばれる女社員の男言葉や事務所のような座席配置といった違和感に気を取られてしまったが、司葉子が演じるコピーライター上がりの営業職のヒロイン律子に乗っかって観始めると、律子が広告代理店のコピーライターだった頃の自分や同僚の姿に重なり、いつしか時代の違いよりも「昔も今も同じ」という想いが勝っていた。

「数字を上げたい」得意先と「表現」にこだわる代理店との攻防、競合他社とのコンペでの仕事争奪戦、その戦い方をめぐる社内での駆け引き……自分が体験した出来事と重ね合わせ、緊張感や焦燥感が生むサスペンスに引き込まれ、はらはら、どきどき、きりきりと大忙しの鑑賞となった。(以下、ネタバレがあるので、8/26(水)7:00pm〜の回を観る予定の方はご注意を)

広告表現は進化しても人間は進歩していないのだなと感じさせるエピソードがいくつか。たとえば、キャッチコピーが決まらないアートディレクターの倉井(なんと山崎努!)に相談され、律子が即興で答えたコピーが採用となり、その広告が賞を取る(今で言うADC賞のようなものだろうか)が、ゴーストライターである律子の名前は当然クレジットされず、アートディレクターは自分一人の手柄にし、受賞を手土産に転職を決めるというエピソード。実力がないゆえ先行きに不安を感じ、アルバイトでコピーを書いてくれと律子に頼む情けなさが、とてもリアルだった。クレジットから名前を外された誰かがくさるとか、自分の仕事を大きく見せて引き抜かれたものの後が続かないとか、そういう話はゴロゴロしていたが、それをやってしまうクリエイターにも「自分を売れるうちに高く売りたい」という野望や将来の不安がある。映画ではその部分も実に説得力ある台詞で描いていた。

もうひとつ、広告キャンペーンのコンペでの競合代理店が取った「相手の代理店に抜け駆けでアイデアを出させる」というずるい手も、決して映画のために誇張されたエピソードではなく、アルバイト感覚で他社のプレゼンを手伝うという話はけっこうある。そういうアイデアがコンペを勝ち抜いて世に出てしまって、コマフォトや宣伝会議に載ったりTCC賞やADC賞を取ったりしたら、クレジットはどうなるんだろう、などと余計な心配をしてしまう。

仕事でも麻雀でも男と互角に渡り合える律子は、よりによって製薬会社のコンペを競う競合代理店の担当営業の坂井(なんと宝田明!)と恋に落ちて一夜を共にする。だが、坂井は律子の会社のチーフデザイナーにコンペ用のアイデアを出させていた。最終コンペに勝ち残った両社のレイアウトを見せられたときに、律子はチーフクリエイターの裏切りを見抜くと同時に坂井が勝つために卑怯な手を使ったことを知ってしまう。

律子に問いつめられたチーフクリエイターは辞表を出すと約束するが、それを会社ではなく「私に出してね」と言う律子が何ともカッコ良く、惚れ惚れした。人を責めるのではなく、失敗を悔いるのでもなく、立ち止まらずに前へ進み続ける。広告の人間はこうでなくちゃ、時代に置いて行かれる。

その後、アイデアが律子から競合へ漏れたとあらぬ疑いをかけられ、解雇をほのめかされたときも、律子はチーフクリエイターの裏切りは自分の胸に秘め、自身の潔白と仕事への情熱を訴えて会社に留まろうとする。弱音を吐かなかった律子がこのときばかりは男連中を前に「女が一人で仕事だけの七年はご想像以上のものがあります」と切実に訴えるのだが、半世紀前の広告業界で女性が働くということは、今とは比べ物にならない窮屈さや重苦しさがあっただろうと想像する。わたしのいたマッキャンエリクソンという会社は外資系のせいか、若い女子も好き勝手発言出来る空気があったけれど、組合の担当で広告労協の女性会議なるものに関わったとき、平成の世になってからも、女泣かせな話はいっぱいあった。

脚本は鈴木英夫監督、升田商二という男性二人だが、仕事を背負って生きる女のしんどさがとても丁寧に描かれている。ただ、酔いつぶれて坂井の部屋に運び込まれて、互いの気持ちを確かめ合う場面で「僕の気持ちは決まっている」と言われて、「愛してるってこと?」と律子が答えたのが、強がりの鎧を一気に脱いだ気がして、もったいなく感じた。その前にネックレスを外す仕草だけで女モードのスイッチが入ったことを見せてくれたように、ここは潤んだ目でうなずくだけのほうがときめいた気がする。さらに欲を言えば、仕事一筋だった律子が坂井と一夜を共にした後の恋の高まりをもう少し見たかった。本当なら毎日でも会いたいのにコンペ準備でお互いそれどころではない。残業の合間にせつない電話の一本でもあれば、ようやくコンペ案の提出日に得意先で再会できた喜びと、その直後の失望の大きさが増したと思う。全体的に女は生き生きとしてたくましく、男はだらしなかったり情けなかったり。森光子と児玉清が演じる律子の姉とそのヒモの二人にも、それは象徴されていた。

広告業界を映画で観るのは面白い。T氏におすすめされたもう一本、『巨人と玩具』もぜひ観てみたい。こちらも1回めの上映は終了していて、2回目は8/20(木)7:00pmから。

2008年07月09日(水)   ダニに噛まれたり 毛虫にかぶれたり
2007年07月09日(月)  マタニティオレンジ143 はじめてのお泊まりに大興奮
2003年07月09日(水)  LARAAJI LARAAJI(ララージララージ)
2002年07月09日(火)  マジェスティック


2009年07月08日(水)  『築城せよ!』がヒットすれば、日本映画の未来は明るい。

打ち合わせの帰り、銀座界隈から有楽町へとぶらぶら歩きながら、なんと多くの映画館があり、多くの映画がかかっていることだろうと思った。

年に数百本観るツワモノがいる一方で、何年も映画館へ足を運んでいないという人もいる。年に数本止まりが大多数で、月に一本なら観ているほうかもしれない。そんな限られた中の一本に選ばれるのは熾烈な競争だなあ、と作り手の一人として切実な気持ちになった。

ある映画制作会社の社長さんが以前「何行く?と友人や家族で話題になったとき、候補に挙がるのは3本まで。そこに入ってないと勝負にならない」と話されていたことも思い出した。

わが身を振り返れば、6月に映画館で観た作品はなく、今月は『風の絨毯』プロデューサーの魔女田さんこと益田祐実子さんが代表を務める仕事人集団・平成プロジェクトの最新作『築城せよ!』を新宿ピカデリーで観たのみ。『スラムドッグ$ミリオネア』も『グラン・トリノ』も『剣岳 点の記』も観たいけれど、一番終了が迫っている作品を優先させた。観たいリストのうち、あといくつ、スクリーンでかかっているうちにつかまえられるだろうか。

その『築城せよ!』は、6月20日公開で、新宿ピカデリーでの上映は当初2週間の予定だった。その間に駆けつけるのは厳しいかなあと危ぶんでいたら、口コミ人気に加えて、『徹子の部屋』に宮大工・勘助役の阿藤快さんが出演されて制作風景が紹介され、上映期間が延長されることに。

「7/9までは確実にやります」と古波津陽監督(クレジット映えするカッコいい名前。波田陽区にも似てるけど)から案内メールがあり、何とか滑り込めたのだが、帰りがけに受付で「いつまでやっていますか」と聞いたら、「17日までは確実に」とのお返事。間に合う方はぜひ!の気持ちを込めて、鑑賞の感想を。携帯で撮ったピンぼけ写真は、ロビーに飾られていた甲冑とダンボールのシャチホコ。 

60分サイズの『築城せよ。』を観て、あまりの奇抜さにぶっ飛び、上映会場にいた古波津監督をつかまえて「最高!!」と伝えたのが、2006年の暮れ(>>>2006年12月12日(火)  あっぱれ、『築城せよ。』!)。その上映会自体は、『私、映画のために1億5千万円集めました。―右手にロマン、左手にソロバン!主婦の映画製作物語』を読んだ古波津監督が「こんな映画を作ったのですが、宣伝の知恵をお借りしたい」と魔女田さんに連絡を取ったところ、持ち前の行動力でシアターサンモールを借りて実現させたものだった。

そこで話を終わらせず、愛知工業大学の記念事業と結びつけて、「『築城せよ。』を劇場版長編にしよう」と思い立った上にあれよあれよという間に形にしてしまったのが、魔女田マジック。その実行力はもちろん、先立つ物(=製作費)を調達した錬金術に脱帽。この不景気に、大口ドカンではなく小口の出資先を説得して回り、3億5千万円を積み上げた。朝日新聞の別刷りbe一面のフロントランナー欄を「平成プロジェクトの益田祐美子」が飾る日も遠くない気がする。

こう書くと、とんでもない豪傑を想像されそうだけど、魔女田さんは、わたしを紹介するときに「今井さんとはウマが合うの。レズみたいな感じ」などと爆弾発言をして相手を面食らわせるような人。天才というより天然で、無意識のうちにまわりを天災に巻き込むところが、いかにも魔女。『築城せよ!』の中で「頼りないぐらいがちょうどよい。手助けせんと人が集まり、心がひとつになる」といった台詞があったが、これは魔女田さんのことではなかろうか。

映画の成立については、先日ひさしぶりに連絡を取り合ったシネマジャーナルの景山咲子さんが立ち会った監督と魔女田さんのインタビューが詳しいので、こちらをぜひ。魔女田さんの顔を覚えておくと、スクリーンの中に見つける楽しみが。こんな登場の仕方も、さすが魔女。

さて、映画の内容について。公開時の新聞批評に「設定が奇抜な割に出来事が想定内」だと書かれていたが、エピソードに「あるある」というリアリティが宿っていたからこそ、「現代に蘇った戦国武将がダンボールで城を建てる」という突飛な設定に感情移入して観られた。数百年の時を超えて現代に迷い込んだ侍の戸惑いやドタバタを愛せるからこそ、彼の晴らせなかった恨みに心を寄せ、悲願の城を建てるために民と心を通わせようとする姿を応援したくなるのだった。

はまり役を配したキャスティングも、そのリアリティを支えていて、とくに殿様の霊に乗り移られる役場職員の「ふらぼん」(=ふらふらしたぼんぼん)を演じた歌舞伎役者の片岡愛之助さんの二面性がお見事。よく通る声と歌舞伎の所作の美しさに殿様の説得力が宿っていた。

江守徹さん演じる敵役の町長は、さすがの存在感。それでいてお茶目。海老名はなさんの建築科学生、その教官の藤田朋子さん、ふせえりさんの役場職員と女性も生き生きしていてチャーミング。各登場人物のキャラクターづけがうまく、一人一人が取る行動が実に自然で納得でき、悪役も愛せるところがわたし好み。

ちりばめられた小ネタと伏線が楽しく、ところどころに光る台詞があり、よく練られた脚本に感心した。日本らしい物づくり精神や故郷への思い、輪廻転生思想なども盛り込まれ、『築城せよ。』から長編らしい大きな物語に飛躍した『築城せよ!』。海外の映画賞で評価された短編と同じく、こちらの劇場版も世界に打って出て欲しい。

特筆すべきは、ラスト近くの絶景の息をのむ美しさ。ここ数年観た映画で最も美しく、映画らしいスケールのあるシーンで、これだけでもスクリーンで観る価値あり。欲を言えば、もう少し長く観たかった。あと5秒あれば、盛り上がった涙が落ちた。

しかし、その後、まさか烏に泣かされるとは。ダンボールと烏にこれほどの意味と愛情を込めた映画も珍しく、それらに注ぐ目線が優しくなってしまっているの自分に気づいて、不思議な余韻を味わっている。

宣伝にお金をかけられない映画は、存在を知られる前にひっそりとスクリーンから消えてしまいがちだが、この作品は、見過ごすのがもったいない掘り出し物。物語も井戸の底で眠っていた霊が眠りから覚めるという掘り出し物の話だし、撮影のために実際にダンボールで高さ25メートルの城を建てたエキストラやボランティアスタッフの底力を見せた点でも掘り出し物。

民が心をひとつにすればダンボールで城が建つように、一人一人が力を合わせれば、オリジナルでこれだけパワーのある映画を作れるのだ、と勇気が湧いてくる。今月の一本、この夏の一本に選んでも、損のない作品。これがヒットしたら、日本映画の未来は明るいと思う。

皆の者、築城せよ! 愛知、大阪他、全国で公開中。

2008年07月08日(火)  同級生さっちゃんと19年ぶりの再会
2007年07月08日(日)  マタニティオレンジ142 布の絵本とエリック・カール絵本のCD
2005年07月08日(金)  いまいまぁ子とすてちな仲間たち
2000年07月08日(土)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)


2009年07月07日(火)  彦星は一年ぶりの会津の酒!「第5回 天明・七夕の宴」

大塚にある『串駒』にて、一年ぶりの「天明」の会。会津坂下の曙酒造さんがお酒をひっさげて参上し、それを極上の肴とともに心ゆくまで味わう。今宵が5回目で、過去の日記をたどると、わたしは第1回、第4回についで3回目の参加。写真は発泡した澱酒の瓶を開け、しぶきを見守る蔵元の鈴木氏。

2008年07月06日(日)  串駒 天明(曙酒造)七夕宵宮の会
2005年07月07日(木)  串駒『蔵元を囲む会 天明(曙酒造) 七夕の宴』

今回通されたのは本店から数件離れた串駒房会場。ご近所仲間のT氏の大学時代の友人のH氏・W嬢カップルと折り紙名人のT2氏、T氏の鉄道仲間の飲み鉄氏と大きな年輪テーブルを囲む。H氏、W嬢、T2氏とは数年前に串駒で同席(>>>2005年09月27日(火)  串駒『蔵元を囲む会 十四代・南部美人・東洋美人』)して以来。飲み鉄氏とはSL只見号で同席(>>>2004年10月23日(土) SLに乗ったり地震に遭ったり)して以来。テーブルの全員が只見線のSLに乗ったことがあり、T氏推奨の日本映画を観たことも一度や二度ではないという顔ぶれ。共通の話題には事欠かず、お酒が入ると、ますます話が弾んだ。

ご両親の出身地ということで会津に肩入れされている飲み鉄氏は、「ようこそ会津へ」のバッヂをつけて参加。「極上の会津へ」の観光パンフレットを配り、「たまちゃんにどうぞ」とあかべこのぬいぐるみをお土産にくださる(日記を読んでくださっているそう)。さらにわが家のファミリーネームの駅名が刻まれた貴重な昭和52年の硬券(駅員さんがハサミを入れる硬い切符)まで頂戴する。

名物の店主は、初めて見たときから見事なまでにイメージが変わらず、今宵も仙人のような風貌と引き笑いは健在。「よく5回も続いたもんですよ」と自虐的ぼやき口調のオヤジトークも相変わらず。「私も党を作ろうと思ってるんです。民に酒と書いて民酒党」(後で知ったのだが、実際に民主党がそういう名前の店を出してすぐに畳んだことがあったとか。店主はご存知だったのかな)などとのたまい、似顔絵入り串駒給付金を発券。

さて、毎回かなりレベルの高い音楽や芸能のサプライズが登場するのが串駒会の魅力のひとつ。今回はナポレオンズのボナ植木さん(背の高い眼鏡のほう)と声帯模写の丸山おさむさんが登場。丸山さんの紹介でボナさんがカードマジックを披露。その前に、まず腕まくり。ちょうど目の前で目を輝かせているわたしと目が合い、「好きなマークと数字は何ですか?」。「ハートの7」と答えると、なぜかそのカードがいちばん上に。さらに、カードに名前と電話番号を書き入れ、折り目をつけ、真ん中に押し込むと、いつの間にか一番上に上がっている。20センチの至近距離でも何が起きているのかさっぱりわからなかった。カードは裏面にボナさんのサインを入れてもらい、記念にいただく。「せっかくですから電話番号も書いてください」と言ったら、律儀に書いてくださった。ほんとに通じるのかな。「ナポレオンズを二人で呼ぶと金がかかりますけど、一人なら酒飲ませればやってくれますから」と店主。洋酒のナポレオンがコンビ名の由来だそうだが、日本酒もいけるらしい。丸山おさむ氏にも何かやってとお願いしたら、「よそで言わないでくださいよ」な物真似を披露してくださった。

さて、今宵のメニュー。まず、お酒は、
1 天明 純米仕込み一号五百万石
2 央 純米吟醸 黒ラベルKN 中汲み澱絡み 無濾過本生原酒
3 天明 純米 みずほ 無濾過 瓶火入れ瓶囲い
4 天明 純米吟醸 美郷錦 無濾過 瓶火入れ瓶囲い
5 天明 さらさら純米
6 央 袋垂れ 純米吟醸 白ラベルN 山田錦 無濾過本生原酒
7 天明 純米大吟醸 中取り 亀の尾 無濾過本生原酒

酒の肴は、
い 枝豆(早生茶豆)
ろ みねおか豆腐の胡桃みそ
は 鮭の田舎焼き
に 季節のサラダ(会津地物 天明さんのトマト)
ほ ソーメン 七夕仕立
へ ワタナベ黒豚 肩ロースステーキ(鹿児島産)

と 酒の友&胡瓜(会津地物 天明さんのきゅうり)
ち 会津産みずほ米のおむすび
り 味噌汁

会津地物のトマトときゅうりは生命力ほとばしる採れたて。胡桃みそ、鮭の田舎焼きは、素朴で奥深い味。素材の力を活かした串駒さんの肴は、日本酒が進む。鹿児島産の黒豚の登場に、飲み鉄氏は「会津と仲が悪いはずなのに、なぜ?」。「やっつけろってことでしょう」と解釈して平らげる。去年は遅めの昼食を食べたせいで胃が本調子ではなかったけれど、今年は絶好調。日本酒を飲むのは、去年のこの会ぶりではというほど久しぶりで、彦星様に再会する気持ちで喉がときめいた。市販されていない業務用専用という1番の「天明 純米仕込み一号五百万石」がいちばんわたし好み。酸味が強く、ワインのような味わい。3と6もすいすい飲めて、食事が進んだ。3は新米として食べられる極早稲種「瑞穂黄金」を使ったお酒。同じお米で作ったお酒とおにぎりを同時に味わう。チェイサーが仕込み水というのもなんとも贅沢。

去年の回で蔵元の鈴木夫人の話に繰り返し登場した「五ノ井酒店のごん太君」は今年、ご本人が参上。「どんな人なのかなと思ってたんですよ」と話しかける。100キロ級の大きな体に、愛らしい目で、まさにごん太君。一年前に話に聞いて、一年経って姿を確かめるというのも、七夕の会ならでは。

2008年07月07日(月)  この夏の目玉作品『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』
2007年07月07日(土)  マタニティオレンジ141 5人がかりで大阪子守
2005年07月07日(木)  串駒『蔵元を囲む会 天明(曙酒造) 七夕の宴』
2002年07月07日(日)  昭和七十七年七月七日
2000年07月07日(金)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)


2009年07月06日(月)  恋に落ちて、掃除する。

昨日、日付が変わる頃、恋をしてしまった。今日は、その相手のことばかり考え、仕事が手につかない。写真を見ては、素敵、とため息。遠く九州のほうにおられるその方は、WA-PLUSという「和モダン家具」ショップのチェスト氏。「一本の木(ONE WOOD)から生まれる形」がコンセプトで、年輪がくっきりな刻まれたお顔は品とセンスの良さが滲み出ていて、惚れ惚れ。これまで出会ったどんなチェストとも違うこの存在感、今すぐわが家にお呼び寄せして、一緒に暮らしたい!

ちょうど、そろそろ脚本開発が一段落する朝ドラ「つばさ」のお仕事記念に何か買い物をしようと思っていた矢先。宝石には興味ないし、洋服にはシーズンがある。家具なら家族みんなで永年楽しめそう。

しかし、どこに置こう、と狭い上にちらかり放題でますますスペースがないわが家を見回し、まずは掃除が必要だと思い至る。チェスト氏も遠路はるばるやって来て、こんな汚い家に押し込められては不本意かもしれない。欲しいものがあるとき、「お金を貯めてから」はよくあるけれど、「場所を貯めてから」の壁にぶちあたった。

少し前に人づてに存在を知ったそうじ力研究会によると、掃除には力があり、幸運を呼び込むという。逆に言うと、掃除をしていない家にはマイナスパワーがはびこっているらしい。そうじ力の基本は「換気」「すてる」「汚れ取り」「整理整頓」「炒り塩」だそうで、「換気」と「汚れ取り」は心がけているものの、「すてる」と「整理整頓」は相当努力が求められる状態。娘のたまが床の障害物をよけ続けた結果、段差に強くなったのは不幸中の幸いだけど、急な来客があってもとてもお通しできない状態。

そういうわけで、WA-PLUSのサイトを開いたまま、チェスト氏の写真を励みに掃除と整理整頓に励んでいる。他にも積み木のパッチワークみたいなチェストがあり、こちらもまた強烈な誘惑。

2008年07月06日(日)  串駒 天明(曙酒造)七夕宵宮の会
2004年07月06日(火)  拝啓トム・クルーズ様project
2003年07月06日(日)  池袋西武7階子ども服売場
2002年07月06日(土)  とんかつ茶漬け
2000年07月06日(木)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)


2009年07月05日(日)  朝ドラ「つばさ」第15週は「素直になれなくて」

「つばさ」第14週「女三代娘の初恋」はいつにも増して反響があり、とくに劇中劇の「婦系図」を楽しまれた人が多かった様子。映画と鉄道を愛するご近所仲間のT氏からは、〈鏡花の「婦系圖」が出てくるとは思いませんでした! 映画の「婦系図」もいろいろ名作がございますよ。野村芳亭(田中絹代と岡譲二)、マキノ雅広(山田五十鈴と長谷川一夫)、衣笠貞之助(山本富士子と鶴田浩二)、三隅研次(万代昌代と市川雷蔵)…。どれも美男美女の組み合わせです。ある意味日本メロドラマの代表作。こちらも機会がありましたら是非どうぞ〉とのこと。こんな風に「つばさ」をきっかけにわたしの世界も少しずつ広がって、楽しませてもらっている。

さて、第15週では、第1週の第一声から美声で酔わせてくれている人気芸人ベッカム一郎(川島明)がついに姿を現すことに。ベッカム一郎の配役が決まったとき、わがダンナに「麒麟の川島明が出るんだよ」と報告したら、「麒麟の相方はシマウマか?」とボケた反応が返ってきたが、麒麟はお笑いコンビ名で、相方は、『ホームレス中学生』を書いた田村裕。「つばさ」の劇中では、ベッカム一郎の相方はロナウ二郎(脇知弘)で、この二人がコンビを解消した事情が第15週で明らかに。タイトルは「素直になれなくて」。シカゴのあの名曲を連想して、切ないイメージを足し、またしてもうまく名づけたものだとプロデューサーのネーミングセンスに感心。

全国放送に進出したつばさとベッカムとのラジオ共演にもご注目。大きな世界を見てしまったことで、足元にある大切なものを見失いかけたつばさを家族や仲間、そして最後はラジオそのものが引き戻す一週間。ささやかな日々をコツコツと積み重ねることが、大きな力になるというのは、コミュニティ放送だけでなく、和菓子の商いにも主婦業にもいえることで、子育てもそうだなあと実感。

演出は、第8週「親子の忘れもの」、第9週「魔法の木の下で」の福井充広さん。8、9、12週「男と女の歌合戦」に続いて4度目の今井雅子増量週間。「脚本協力 今井雅子」のクレジットが月〜土の毎日(通常週の6倍!)出るので、オープニングタイトルにもご注目。次回増量週間は第17週「さよならおかん」。第16週「嵐の中で」も恋の嵐が吹き荒れるドキドキの週なので、引き続きお楽しみください。

【お知らせ】7/22新宿バルト9で『ぼくママ』試写トークに出演

今井雅子脚本の6本目の長編映画『ぼくとママの黄色い自転車』は、いよいよ8月22日公開。その1か月前に「ママする主婦する自分する 働きたい女性のためのコミュニティサイト」キャリア・マム会員限定特別試写会を開催。上映前に、キャリア・マム代表の堤香苗さんと今井雅子のトークが決定。どんな話になるのか、わたしも楽しみ。

7月22日(水)11:10開場/11:30トークショー/11:50開映
新宿バルト9にて
40組80名様をご招待


他に7/21の大阪試写会に30組60名様、7/24の名古屋試写会に25組50名様をご招待。いずれもお子様連れOK。応募(7/13まで)はこちらへ。キャリア・マム会員限定なので、会員でない方は登録が必要。

2008年07月05日(土)  マタニティオレンジ309 ビデオより、輪になってあそぼ!
2007年07月05日(木)  桃とお巡りさん事件
2003年07月05日(土)  柳生博さんと、Happiness is......
2000年07月05日(水)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/28)


2009年07月04日(土)  整骨院のウキちゃん8 ノオッ!プリーズ!サンキュー!編

今井雅子日記の隠れた人気連載「整骨院のウキちゃん」、このところウキちゃんがかなり人間の掟を学習してしまってカルチャーショックを受ける機会が減ったせいでお休みしていたが、相変わらず整骨院通いは続いている。娘のたまを保育園へ迎えに行った帰りに子連れで寄ることが多く、先日、ウキちゃんがたまの診察券を作ってくれた。たまがいつも背伸びをしてわたしの診察券を箱に入れたがるのを見て、気をきかせてくれたらしい。

たまは大好きなウキちゃんに会いたくて、喜んでついてくるが、わたしは院長と助手のウキちゃんの掛け合い、さらに患者の皆さんを交えた会話を楽しみに通っている。ウキちゃんがダイエット話をしていると、「ウキちゃん、腰に浮き輪ついてるんです」と口をはさむ院長は、口が減らない患者さんに「ウキちゃん、口にテーピングしといて」と軽口で命じる。長屋のようなにぎやかなおしゃべりをうつぶせで聞きながら、肩凝りのついでに頭の凝りもほぐしてもらっている。

「頭の中のレコーダーを回せ」というタイトルで先日提出した「月刊ドラマ」8月号掲載の「セリフと寄稿」の原稿に、「会社を辞めてフリーになった今は、電車やカフェで過ごす時間がめっきり減ったが、整骨院で肩こりをほぐされながらテープを回す。うつぶせで施術されているので、台詞から人物を想像する練習になっている」と書いた。字数の関係でこのくだりを削ることになってしまったが、今のわたしにとって整骨院は格好の台詞収集の場。今日、隣のベッドで舌好調だった患者氏と院長のやりとりが、最高におかしかった。

患者「雷門のバス停に行ったらよ、外人のでかい女が、三人かけられるベンチを横向きで二人で占領してたんだよ。それで俺がノオッ!って言ってやったんだ」
院長「外人さん相手に、ビシッと言ったんですか」
患者「だって詰めりゃもう一人座れるんだよ。ベンチの横にいたんだよ。びっこのばあさんが」
患者「びっこは放送禁止用語ですけど」
患者「とにかくよ、かわいそうじゃない。それでノオッ!って言って外人さんどかして、プリーズ、サンキューって座ってもらったんだよ」
院長「ちょっと待ってください。そのおばあさん、日本人ですよね」
患者「ああ、そうだよ」
院長「だけど、プリーズ、サンキューですか」
患者「そうだよ」
院長「その外人さんもびっくりしたでしょうね。雷門に行ったら雷オヤジがいて」
患者「近頃はみんなガツンと言わないだろ。一人ぐらいうるさいのがいねえと」

隣のベッドでうつぶせになって笑いをかみ殺しながら、おいくつぐらいの方なんだろうと想像する。声の調子や言葉遣いからは高齢だと思われるが、やたらと他人を年寄り扱いするので、実は若いのだろうかと予想が揺れる。患者氏は雷門バス停のおばあさんの話を続けて、

患者「今日は4がつくババアの日だから、でかけてたんだな」
院長「ババアの日って……巣鴨の4の日のことですか」
患者「4の日はババアが多くて、バスなんか大変なことになってるよ。こないだも急ブレーキかけたら、杖ついて立ってたばあさんが腰でスピンして飛んできたからな。運転手に言ってやろうかと思ってよ。バスの前んとこに『4の日』って貼っとけって」

とバスの運転手をしかった後、話題は公園での健康体操に移った。

患者「公園でばあさんたちが体操してんだよ。人よりちょっとでも長生きしようと思ってさ、いじらしいじゃない」
院長「でもそのひとたち、年下なんですよね?」
患者「戸籍抄本とったわけじゃねえけど、八十過ぎてるってことはないだろ」

それを聞いて、隣の患者氏が八十を超えていることがわかった。

患者「俺は無駄なおしゃべりしてるヤツを見ると、注意するんだよ。口の体操はよそでやってくれって」
院長「口の体操……うまいこと言いますねえ」
患者「体操するときは、集中しろってんだよ。いじらしくやってるばあさんの横で、老いらくの恋だかなんだか知らねえけど、毎日しつこくしゃべりかけて邪魔している野郎がいるから、昨日注意してやったんだ。いい加減にしろって」
院長「話しかけられて困ってるって相談されてたんですか?」
患者「いいや」
院長「じゃあ、もしかしたら、その人、おばあさんのお知り合いだったかもしれないじゃないですか」
患者「知らねえよ、そんなこと。でも、今日はそいつ、現れなかった」

いいなあ、この怖い者知らずな独走ぶり。こんな威勢のいい80代を脚本に書いてみたい。「明日は休みか? 行ってらっしゃい」と院長とウキちゃんに威勢良く告げ、患者氏は風を切って出て行った。「いつ来たら、さっきの人に会えるんですか?」と思わずウキちゃんに聞いてしまった。

「整骨院のウキちゃん」バックナンバーはこちら。
2007年11月06日(火)  整骨院のウキちゃん1 伝説の女編
2008年01月08日(火)  整骨院のウキちゃん2 首都得意なんです編
2008年02月08日(金)  整骨院のウキちゃん3 となりのトトロ編
2008年02月20日(水)  整骨院のウキちゃん4 「ティ」ってどうやって打つの?編
2008年03月19日(水)  整骨院のウキちゃん5 東京の首都は?編
整2008年03月24日(月)  整骨院のウキちゃん6 ナターシャは白いごはんが大好き編
2008年06月25日(水)  整骨院のウキちゃん7 赤道ぐらい知ってますよ編
【お知らせ】『ぼくママ』ノベライズ予約受付開始

ノベライズ版『ぼくとママの黄色い自転車』(小学館文庫)が完成し、見本誌が到着。新堂冬樹さんの原作『僕の行く道』の映画化脚本(今井雅子)を藤田杏一さんがノベライズ。間もなく書店に並ぶ模様。ぜひご予約を。原作(文庫版が出て売れ行き好調だそう)と読み比べるのも、「ここが変わったのか」の発見があって面白いです。

2008年07月04日(金)  マタニティオレンジ308 パパのせつない片想い
2007年07月04日(水)  肉じゃがと「お〜いお茶」とヘップバーン
2006年07月04日(火)  2年ぶりのお財布交代
2005年07月04日(月)  今井雅之さんの『The Winds of God〜零のかなたへ〜』
2003年07月04日(金)  ピザハット漫才「ハーブリッチと三種のトマト」
2002年07月04日(木)  わたしがオバサンになった日
2000年07月04日(火)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/28)


2009年07月03日(金)  なぜかショップ99で話しかけられる

取り置き期限が昨日までの図書館の予約図書を取りに行くのを忘れていて、今朝電話をかけた。
「すみません。取りに行けなかったんですが……」
と切り出して、はて、こういうときは、何と続けるのだろうと適切な言葉を探したものの見つからず、
「流れてしまったでしょうか」
と言ってしまってから、質流れのようだと思った。だが、応対した男性は動じることなく、
「確認してみますね」
と明るい声で受け止めて、電話を離れた。
待つこと数十秒、再び電話口に現れた男性は、
「ありました! 流れていませんでした!」
と電話の向こうから声を弾ませた。どうやら「流れる」という表現を気に入ってくださった様子。
「よかった。流れていませんでしたか」
「いやー、危なかったです。流れる直前で止めました!」
電話の向こう側とこちら側で「流れる」を連呼しあううち、「流れる同盟」のような連帯感が生まれ、顔を知らない図書館員さんに親しみを覚えてしまった。

見知らぬ人との小さな企みごとは楽しい。先日、ショップ99で娘のたまが「コンコンほしい」と真空パックのゆでトウモロコシを手にしたときのこと。原産国を見ると「中国」となっていた。できれば国産がいいのだけど……とためらっていると、「中国産? 微妙だねえ」と心の中を見透かされたように声がした。見ると、わたしよりひと回りぐらい年上の女性が親戚のおばちゃんのような気安さで話しかけていた。思わず「そうなんですよねえ」と応じていると、すぐそばに皮のついた生のトウモロコシがあるのに二人同時に気づいた。こちらは国産。「ひげつきにしたら?こっちのほうが楽しいよ」と言い残し、彼女は店の奥へ消えたが、会計を終えて店を出るときにまた会った。「どっちにした?ひげつき?」と聞かれて、「はい、ひげのほうに」と答え、二人で満足そうにうなずきあった。99円のトウモロコシ一本の買い物がちょっとした冒険に思われて、愉快だった。

なぜかショップ99で話しかけられることが多い。たまが売り場を歩き回りながら「ママ、ぎゅうにゅうかおうよ」などと声を張り上げていると、「お手伝いしてるんだ?えらいねえ」と買い物客から声がかかる。幼子連れなので声をかけやすいのかもしれないが、コンビニではレジのおばちゃんとしか言葉を交したことがない。99は棚が密集していて、通路が狭く、人と人の距離が近いせいだろうか。

うちの近所の99の特長なのかもしれず、コンビニと99の違いを断じることはできないのだけど、99は「よろずや」に近いという感覚がある。まだコンビニなど知らなかった子どもの頃、親戚の田舎町を訪ねたとき、小さな間口の店に野菜からおもちゃまで並んでいる光景が不思議だった。そこは近所の人たちのくつろぎと情報交換の場でもあった。あのよろずやの匂いを99に感じてしまう。コンビニと品揃えに大きな差があるわけではないのに、この違いは何なのか。レジに焼き芋があるせいだろうか。

【お知らせ】「つばさ」が切手になりました

アンジェラ・アキさんの主題歌『愛の季節』とともに「つばさ」のオープニングを彩る佐内正史さんのスチール写真がフレーム付き切手に。購入はエンタメポストへ。佐内さん、映画『ジョゼと虎と魚たち』の劇中で使われた写真も撮られているのですね。お会いしたことはないけれど、「つばさ」のクレジットで「タイトルバック制作 佐内正史」「脚本協力 今井雅子」が隣り合わせになることが多いので、勝手に親しみを覚えています。

2008年07月03日(木)  マタニティオレンジ307 シール貼り放題!段ボールハウス 
2007年07月03日(火)  マタニティオレンジ140 七夕に願うこと
2005年07月03日(日)  親子2代でご近所仲間の会
2000年07月03日(月)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/28)

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