消えてゆく小さなこと


消 え て ゆ く 小 さ な こ と

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1906年12月31日(月)

怖いもの見たさだったかもしれない
カーテンの隙間から夜の庭をのぞくような
悪い本をぱらりと見るような
毒の実をつぶしてみるような

そのひとの毒気にあたると知っていて


1906年12月30日(日)

なぜだかわからないけれど ふとわかった
女王さまの暮らしに憧れるひとがキライ というだけのことです
わたしはハイジが好きだけど
あなたはクレオパトラの目をしている
金銀財宝下僕を求め家来を従え世に力を誇示するのが好き


1906年12月29日(土)

ん? というカンカクだけで
ケイソツだったかもしれない
ばかだったのはわたし
ピンとくるのを第六感という
それは良いことにも悪いことにも公平なのに
何も考えなかったのはわたし
長い溜息がでる
あなたたちがこそこそしたわけではないのに
やっぱり釈然としない
不要物の山を前にして
わたしにはつながりのないこと


1906年12月28日(金)

山吹草というのが とても元気だと知った
山ではどんなところに咲いているのだろう
リシリヒナゲシというのに似ているだろうか
どちらの山にも訪ねたことは無い


1906年12月27日(木)

戦国の武将のことはよく知らない
お話というのは お話にされているのであり
語り継がれるエピソードというものは
歴史上 必ずしも事実そのものではない
誰かに都合のよいことが誰かによって継がれてゆく
そんなことは承知の上で見ている

子どもというのは
未来を変える大きな力だと思う

もしその家に幾人かの子がいれば
それはまた違う歴史だったかもしれないと思っている


1906年12月26日(水)

夢は夢でいいのに
目標とは別のものでいいのに
実現できない夢だから
いつも虹色に輝いて見える
地道に生きてゆく暮らしに
嬉しい気持ちを灯してくれる
だから夢として持っていればいいのに


1906年12月25日(火)

自分の国を捨てた人
異国で成功すれば立派な国際人と言えるのだろうか
その民族の血が体内を巡る以上
DNAはかわらない 祖国は決まっている 
血を入れ替えることはできない
祖国という基盤を持たぬものは
どこで成功したって
どこの人でもないような気がする
それを国際人と呼ぶのではないと思う
祖国を憂い嘆く気持ちと
嫌い捨てる気持ちは別のはず


1906年12月24日(月)

若い緑の実がたくさんなっている
何時になく多いと思う
樹の危機感なのか

どれだけ落ちてしまうのだろう
どれだけ残るのだろう
初夏に青紫になる実だ


1906年12月23日(日)

先走って独断と偏見
自己満足の自画自賛
行け行けGOGO止まらず省みず変更せず
これでずっと生きてきたトカ
ブレストはケチかケナシにしか思わず
十言われて一をわかり
ボクってテンサイ一を聞いて十を知るトカ
お気楽に生きる術 キミへ


1906年12月22日(土)

自分の言葉をすぐに翻すことのないように
前言取り消しの行動にばかり走らないように
その一言の重みに責任を持ってください
一旦 口から出したものは
あなた自身ですから


1906年12月21日(金)

追いかけてまで口論する気はありません

でもあなたが
迂闊に不用意なことばかり言うなら
激しい言葉を浴びせる用意はあります
覚悟してください


1906年12月20日(木)

吐き出したい言葉があるのに
上手くつなげない
言葉を紡げないのだ
あなたに届くわけではないから

場当たり的発言 やめてほしい


1906年12月19日(水)

落胆 何もかも
他人に対して そういう自分に対して
周りに対して 自分に接する環境に対して
虚ろになる 色が無くなる
工事の音が聞こえても五月蝿くも感じない
路を補修したアスファルトの匂いが入ってくる
それでもとくにどうも思わない
嫌だと拒否するカンカクが鈍っている
何もかもいやな気分になっているのに
こんな日は仕事にならないのに
まだこんな時間なのか


1906年12月18日(火)

先走りせず
ものの内面をよく見て深く考えて
それから決めればいいんだ
行き当たりばったりは止めてほしい
直感勝負なんて最初と最後だけで
途中必要なのはもっと綿密なものと思う


1906年12月17日(月)

1クリックで
目を見張るコトを起こしてしまう
睡魔の淵では要注意なのに
またしても後悔だけでは済まないコトを起こす
一連の所作の慣れと不注意
すみません ごめん 消えてしまった


1906年12月16日(日)

自立するというのは
ひとに頼らず迷惑をかけない・・というわけにもいかないから
迷惑をかけないように気をつける
迷惑をかけていないか気をつける・・ということではないのか

能天気もいい加減にしてほしい


1906年12月15日(土)

美しい調べの流れる町は素敵だと思う
余韻の残る調べは心に響く
音の記憶というものは
映像を蘇らせる


1906年12月14日(金)

御守りは何の為にあるのでしょう
神仏を仰ぐ道しるべとして
自分の心の拠り所として
すがるだけでは解決せぬという戒めとして
見えぬ懐に持つものと思う


1906年12月13日(木)

仁王さまの山門にさがるわらじ
札所を巡る旅に願うのは逞しい足
あるときは先人の草鞋を借りまた次にお礼し
そうやって助け合い分かち合い
後の人に心を配りすすむ山路
そんな説明を読んでいたら
仁王さまの顔がやさしく見えた


1906年12月12日(水)

うれしい話なのに
あまりに突然聞くと実感がわかない
一月すればわくだろうか
三月経てばどうだろう
半年過ぎればただ忙しく
もう忘れているかも知れない
時は自然に流れるのが一番よいと思うから
どうこうせずに落ち着いていようよ


1906年12月11日(火)

八重の山吹がこぼれるように咲き出した
しなる細い枝に並んで
ふわふわとまばゆく揺れている
ずっと重い花だと思い込んでいたから
触れたことがなかった

今日ふと手にのせてみて
あまりの軽さに気持ちがとんでしまった
今まで何を勝手に決め込んでいたんだろう
幾重もの花弁は花簪のように重たげなのに
桜よりすずらんより雪柳よりかろやかで
カーネーションよりやわらかだった
天使の羽より優しいと思った

その軽さは わたしの中で戸惑いのまま
まだ記憶できないでいる


1906年12月10日(月)

暗い朝だ 寒い日だ
鳥の声も聞こえないし
春はどこにいるんだろう
虚ろに雨ばかり降る

昨日花屋の店先で
チューリップとひまわりが並んでいた
チューリップは色褪せて見えたし
初夏を飛び越えて夏を感じるには
ひまわりは早すぎた
結局どちらも素敵じゃなかった


1906年12月09日(日)

昨日から残っていること1
今日仕上げること3
できれば取り掛かりたいこと1
都合5件を 朝から手付かずにいる
頭も手も動かずぼんやり座っている
時間ばかり経ってゆく
熱っぽい気もする
風邪薬かもしれない

残り時間が少なくなってゆく
何とかしなくちゃいけないよ

立ちます椅子から離れます歩きます
一歩出せば次の足は自然に出るもんです
百歩以上歩いて違う場所の空気を吸う
水分をたっぷり摂るお茶でもいい
肘近くまで長い時間手を洗う
できれば階段を使ってできれば外気に
それと99%カカオも効きます

うお座は
水からエネルギーを得るのだと思う
手からも水分を補給できるのだと思う
歩けば水は体を巡る

やっとすっきりしてきた
頑張れる
猛然ダッシュは得意


1906年12月08日(土)

菫はいつも記憶に鮮明だ
噴水のある池を巡る道に面して
高い大きな石積みの上に芝生の斜面が上へ続く
領事館の敷地だけれど
建物はその上の奥 樹木に囲まれて見えない
その石組みの隙間や芝生のいたるところに
大きな濃紫の菫が咲き誇っていた
足元ではなく見上げる場所にゆれる菫
いつも仰ぎ見て通った
異国の種かもしれないと思うほどに
立派な菫たちだった


1906年12月07日(金)

一面にスミレの咲く空き地があった
そこへ砂利が敷き詰められフェンスが張られて
工事が始まるのかとがっかりしてから
2年は経ったと思う 工事はない
今でも砂利の間から健気に一面のスミレ
年に数度行く獣医さんのそばだけれど
たのしみに通る


1906年12月06日(木)

夢なんてつぶれるものだと言う人は
夢が壊れたひと
夢は実るさと言う人は
夢を叶えたひと
だから私は
夢は実るものと言った人の話を聞く


1906年12月05日(水)

静かな湖面がある
細かな漣がときおり現れる程度
岸に寄せるうねりも流れもなく
風と語らうわけでもなく
周りの何の音も届かぬふうに
水がそこに佇(たたず)んでいる
わたしのこころのなかに


1906年12月04日(火)

一人で一日ずっと外の仕事
空気が明るく澄んで
陽射しがまぶしく
春の感じがなくて
サクサク作業がすんで
気づけば夕方だった
風が少し冷たくなった
桜はまだ少し残って はらはら散っているのに
気持ちは初夏へ向かっているみたいだった


1906年12月03日(月)

お節介はいらない
しゃしゃり出ないでほしい
ラウドスピーカーに気をつけよう


1906年12月02日(日)

長閑な春の休みなんて無かった
季節の区切りのない生活を続けるだけで
実りも成果も見えぬまま初夏を迎えるなら
あまりに世界から離れた気がする
公園の噴水のきらめきに
笑みがこぼれるなら嬉しいけれど


1906年12月01日(土)

黄砂や花粉は終わったのでしょうか
新入園児たちの通り過ぎる声や
工事の音や長いクレーンの首や青いネットや
何もかも断ち切りたくて窓もカーテンも閉じている
私がなぜ閉じなくてはいけないのかと思うけれど
関係を絶ちたいのは私だから




天窓より          


−ともすれば消えそうになる自分を見失わぬよう−       

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− ささやかに −          

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日付は通し番号として記しています         


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