2009年11月29日(日)  twitterと斎藤緑雨とアフォリズム 

やってみると面白いよと言われてツイッターなるものに登録したものの何もつぶやかずに眺めていたら、アメリカに住む友人が見つけて「フォローします」と名乗りを上げたので、わたしも彼をフォローする。mixiのマイミクの敷居をぐっと下げた感じ。

書き込むスタイルとしては、ブログよりも掲示板に近い。文字数制限があることによって、前置きや修飾語が省かれていき、スケジュール帳にメモするような感覚。備忘録として使えるか? とりあえず、日記の更新が数週間も滞っているので(この日記は12/11に書いている)、その時間差を埋めるのに有効かもしれない。


今日はよく歩く。散歩コースにできたカフェへ行き(バナナジュースとバナナケーキがおいしい、バナナ好きにはバンザイ!)、公園で娘が遊ぶ砂場のまわりをぐるぐる歩き、午後は図書館へ。

石田衣良さんが新聞ですすめていた斎藤緑雨のアフォリズムの本を借りたのだが、昔の文体につっかえつっかえしているうちに返却期限が来てしまった。アフォリズム(Aphorism)とは日本語にすると「箴言」。短く簡潔な格言めいたもので、切れ味のいいつぶやきとも読める。ぼやき口調になっているものもあり、緑雨の時代にツイッターがあったら、この人はおびたたしい数をつぶやき、熱心なフォロワーを獲得したかもしれないと想像する。

2008年11月29日(土)  来年の年賀状の季節
2006年11月29日(水)  日本アカデミー賞PR番組「日本映画のミカタ」
2001年11月29日(木)  2001年11月のおきらくレシピ
2000年11月29日(水)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)


2009年11月28日(土)  「チャイルドオアシスライブ」と「はだしになって」

広告会社時代にお世話になった大先輩の浜田哲二さんが作曲家の佐瀬寿一さんらと取り組んでいる「チャイルドオアシスソング」プロジェクト。21世紀の子どもたちが歌える新しい童謡を作ろうという試みで、わたしも作詞で参加させてもらっている。いまいまさこ作詞第一弾、はだしで春夏秋冬を味わう楽しさを歌った『はだしになって』は佐瀬さんの曲がつき、デュエットでのデモ収録が終わり、さあこれからどう発信していこうかというところ。

2008年09月04日(木)  佐瀬寿一さんと『はだしになって』
2008年04月16日(水)  マタニティオレンジ269 『およげ! たいやきくん』作曲家が贈る新しい童謡

そのチャイルドオアシスソングの活動の一環で親子ミニコンサートが開かれることになり。マタニティビクス仲間のトモミさんとミュー母娘を誘って、娘のたまを連れて四人で参加した。

会場は浜田さんのギャラリー。椅子をたくさん並べて、前方が子ども席、その後ろに大人席。子どもだけで座って大丈夫かなと見ていたら、最前列に陣取ったミューとたまはリラックスした様子で、始まりを待っている。誕生日が一日違いの二人は、一年に数えるほどしか会わないけれど、通じ合うものがあるようで、互いが隣にいることで安心できたのかもしれない。

佐瀬さん作曲の「およげ!たいやきくん」で幕開け。お母さん世代にはおなじみだけど、子どもたちは初耳。続いて「ちくわぶ」というおにいさんとおねえさん(もちろんわたしから見ると、年下!)のバンドが加わり、チャイルドオアシスソングから生まれた野菜の歌などを披露。

佐瀬さんはキャンディーズの「暑中お見舞い申し上げます」や山口百恵の「パールカラーにゆれて」も作詞されていて、数々のヒットを放っているけれど、素顔はちょっぴりシャイで笑顔が人なつこくて子ども心を持ったおじさん。とぼけたトークにも味があった。

真ん中あたりで「寒空はだか」さんという芸人さん登場。いつもは浅草などでお年寄り若干名を相手に話しているらしく、今日の数十名を「大入り」と言う。ばらばらのお客さんが五人だけ、カシオペア座のように点々と座っていたりするらしい。お母さんたちは笑い(わたしはかなり受けた)、子どもたちは困った顔で聞いていた。

寒空さんがCDを出している「東京タワー」という歌があり、「東京タワーにのぼったわ〜」という歌詞ではじまり、最後は「よかっタワー」にあわせて手でタワーの形をつくる。子どもたちが真似するまでやりますよ〜と、マリンタワー版やらランドマークタワー版やら延々と歌い続け、子どもたちも「これをしないと終わらないのでは」と焦ったのか、最後には数人が「よかっタワー」のポーズを決めた。こういうとき、たまは固まっていて、後になって「ミューミューはタワーしたんだけど、たまちゃんはしなかったんだよね」と冷静に話していた。

「いっぽんでもニンジン」「かつおぶしだよ人生は」、再び「およげ!たいやきくん」と佐瀬さんの歌で締め、コンサートは約一時間で終了。大人には短いぐらいが、子どもにはちょうどいい時間。集中して最後まで聴き入っていた。

終了後はおつまみとドリンクが出て歓談。「ちくわぶ」のおねえさんには子どもたちを引きつける磁力があり、子どもたちがハーメルンの笛吹きのようについて行く。うちのたまも一生懸命話しかけていた。たまは輪の外でまごまご、じたばたするタイプで、ミューは対照的に、主張するわけでもないのにすんなり輪の中心にいる。

子どもたちが楽しそうにやっているのを見ながらトモミさんとじっくり話したり、会社時代の知り合いに再会したり、短編小説「クリスマスの贈りもの」の小冊子を配って宣伝させてもらったり、脚本家を目指す男の子と出会ったり、大人にとってもオアシスな時間だった。

当初プログラムにあった「はだしになって」は時間の都合からか披露されなかったが、改訂した最新の歌詞をご紹介。

はだしになって
作詞 いまいまさこ
作曲 佐瀬寿一

春の足音 聞こえてきたら
靴を脱いで 靴下脱いで 
はだしになろう

はるるんるん はるるんるん

はだし はだし はだかの足で
大地にアンテナ ピンと張る
はだし はだし はだかの足で
春をさがしに でかけよう

2)
水がきらきら いいきもち
砂のこちょこちょ くすぐったいよ
はだしになろう

なつつるりん なつつるりん

はだし はだし はだかの足で
お魚たちと こんにちは
はだし はだし はだかの足で
夏の思い出 つかまえよう 

3)
落ち葉のじゅうたん 色とりどり 
サワサワザクザク 踏みしめて   
はだしになろう

あきみのりん あきみのりん

はだし はだし はだかの足で
木の実どんぐり 見いつけた
はだし はだし はだかの足で
秋のぬくもり たしかめよう

4)
ふわふわ雪が おいでおいで   
庭かけまわる 犬おいかけて   
はだしに なろう

ふゆぶるるん ふゆぶるるん

はだし はだし はだかの足が
かじかんだら お湯にざぶん
はだし はだし はだかの足で
冬に足跡 残そうよ

くり返し)
めぐるるるん めぐるるるん

はだし はだし はだかの足で
春夏秋冬 るるるるるん 
はだし はだし はだかの足で
季節のめぐみ あじわおう

2005年11月28日(月)  『ブレスト〜女子高生、10億円の賭け!』制作会見
2003年11月28日(金)  雪菓(ソルガ)
2000年11月28日(火)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)


2009年11月27日(金)  「つばさ」スピンオフ脚本&「小ぎつねヘレン」じゃ大違い

朝ドラ「つばさ」の脚本が届いたので、恒例の写真撮影(第9週〜26週の脚本はこちらへ)。

タイトルは「好きと言えなくて」。第15週「素直になれなくて」とちょっと似てる。「つばさ」は千代と加乃子、加乃子とつばさをはじめ、登場人物それぞれの「素直になれなくて」「好きと言えなくて」を描いていたドラマともいえる。意地を張ってしまったり、照れがあったりして、思ってもないことを言って衝突を招いたり、遠回りしたり。そんな不器用だけど一生懸命な人たちが好きだったし、スピンオフという形でまた会えるのがうれしい。

季節は最終回が終わって一年半後、川越まつりの少し前の秋という設定なので、撮影小道具に選んだのは、ハートの湯たんぽ。川越も寒くなってくる頃だし、劇中で焚き火も焚かれるし、湯たんぽのぬくもりが恋しい季節。

湯たんぽには「Love is..」と書かれている。ラジオドラマ『夢の波間』でご一緒した柳生博さんの好きな言葉で柳生さんのやっているバーの名前にもなっている「Happiness is...」に似ている。「つばさ」は「Love is..」(愛とは……)を繰り返し問いかけるドラマでもあったと思う。

最終回のその後であり、総集編の少し前。「つばさ」の世界の住人たちがどんな「愛」を見つけたのか。10分弱の短いドラマ2本だけど、観終わった後に湯たんぽのぬくもりを残せたらうれしい。

それぞれのバージョンタイトルは知秋、万里、俊輔が出演する「青春編」と真瀬、浪岡、ロナウ二郎が出演する「中年編(仮)」。中年と呼ぶのはさすがに……ということで、代案のタイトルを考案中なのかと思ったら、(仮)まで含めて正式タイトルとのこと。人を食ったようなタイトルに「つばさ」スピンオフらしさが出ている。

中年(仮)は、仮免と同じく、仮の中年、つまり中年にはなりきっていないという解釈? 38歳という設定の真瀬が中年(仮)なら、わたしも中年(仮)の資格十分。せめて、自称であっても(仮)だけはつけておきたいもの。

ところで、脚本には転売などの防止のため、一冊ごとに通し番号が振られている。「つばさ」本放送では、わたしはNo.117をもらっていた。今回は脚本ということでNo.002に浮上。脚本家と脚本協力では大違いなのだなと、この数字を見て感じた。

大違いといえば、今日届いた別な郵便物を見て「!!」となる。原稿を寄せた掲載誌だが、プロフィール欄で『子ぎつねヘレン』が『小ぎつねヘレン』に、『ぼくとママの黄色い自転車』が『僕とママの黄色い自転車』になっていた。ファックス原稿を先方が打ちかえるというので不安があったのだが、時間がないしゲラチェックはおまかせください、ちゃんと確認しますからと自信たっぷりに言われた。本文は無事だったが、タイトル二か所が見落とされていた。

「小ぎつね」という表記はもちろんあるし、童謡の「小ぎつねコンコン」は「子ぎつね」ではなく「小ぎつね」になっているのだけど、わたしにとっては、今井雅子が今井正子になるぐらいの違和感がある。「ぼく」と「僕」も、意味あいが変わってくる。主人公の大志はまだ「僕」と漢字で書けないだろうからと「ぼく」とひらがなにしているので、「僕」になると、大志のことじゃないみたいな気がしてくる。

作品はわが子だとすると、タイトルには作り手である親の思いが込められている。その思いをくんでいれば、タイトルの文字校正にはとくに注意を払ってくれたはずなのだが……。そこはこちらからも念を押すべきであったか。わたしも鑑賞作品のタイトルをうっかり間違えたり、友人の子どもの名前を勘違いしたりということはあるので、気をつけようと自分を戒める。


2009年11月26日(木)  「たまちゃん」は英語で「いしっころ」

このごろ、娘のたまは「○○は えいごで なんていうの?」というのがお気に入り。『パコダテ人』の前原星良ちゃんのおさがりでもらったアルファベットの布絵本(AはApple、BはBallと各アルファベットのポケットにその文字で始まるものが入っている)の影響かもしれない。

「いすは英語でチェアーよ」などと答えると、
「ちがうよ。イースだよ」。
「じいじ」は「ジイージ」になる。

「たまちゃんは えいごで なんていうの?」と聞くので、
「たまちゃんは、どこの言葉でもたまちゃんよ」と答えると、
「ちがうよ。たまちゃんは えいごで いしっころ」。

ころころ転がる石ころは玉……という連想が浮かぶが、なぜ英語になると石ころ?
子どもが考えることはぶっ飛んでいる。

他に好きなのが「いちばん○○な人ごっこ」。
「ママ きいてきいて」とせがむので、「このうちでいちばんかわいいのはだあれ?」などと質問すると、「たまちゃん!」と遠慮も照れもない返事。わが家でいちばんやさしいのも絵が上手なのも、全部たまちゃん。でも、「いちばん寝るのが好きなのは?」と聞くと、「パパ!」。適当に答えているわけではないらしい。

場所を移して「保育園でいちばんやさしいのはだあれ?」と聞いても、「たまちゃん」。ほんとにたまちゃん?と聞くと、「だって たまちゃん おともだちに おもちゃどうぞって するよ」。たしかに、家にいるとわがまま放題だけど、保育園では譲ることができる子になっているのを先日の保育参加で確かめられた。

昨日保育参加だったという同じ組の男の子のお母さんとお迎えのときに一緒になったら、「びっくりしましたよ。たまちゃんがお友だちの着替えを手伝って、小さいボタンまで留めてあげていたんです」。うちでは「できない〜」とべそかいて甘えるくせに、やさしさを差し向ける対象がいると、しっかりするらしい。

石ころちゃん、やさしさを磨いて、珠になれ!

2007年11月26日(月) マタニティオレンジ208 たむけんパーティで宴会場デビュー
2006年11月26日(日)  マタニティオレンジ33 百年前の赤ちゃん
2002年11月26日(火)  健康法


2009年11月25日(水)  結婚記念日に『沈まぬ太陽』

3日遅れだが、娘のたまが3歳3か月になった11月22日は9回目の結婚記念日だった。

記念日好きのわたしとは対照的に記念日無視なダンナは、なぜか去年、前日に「記念日ランチはどうか」と提案し、神楽坂のフレンチの店に予約を入れ、成長(そして歩み寄り)を感じさせたが、今年は何も考えていなかった。去年は誰かに入れ知恵でもされたのだろうか。

そこで娘が気をきかせたのかどうかはわからないが、今年の当日朝、「きょう じいじばあばの おうち とまる」と言い出したので、急遽、夜どっかに出かけようかということになった。

新宿ピカデリーのレイトショーで『沈まぬ太陽』を観よっか。
だったら、その近くの気になってたイタリアンで晩ご飯食べよう。
と、話は決まった。

娘を預けに行くのに手間取り、ダンナと落ち合えたのは、6時半。そこからピカデリーで座席をおさえ、店(Briccola=ブリッコラというトラットリア)に着くと、7時前。上映は8時半から、駆け足のディナーになるなあと思ったら、「一時間半もあるね」とダンナ。「記念日のディナーに、一時間半でおつりが来るなんて言っちゃダメよ」と言いつつ、しっかり食べて店を出てからユニクロで買い物する余裕があった。話題はほとんど子どものことだし、せっせと女の子を口説く隣のテーブルを見ると若いなあと思う。結婚9年目って、こんなものかしらん。

映画の感想もまっ二つ。インターミッションをはさんで3時間を超える大作を観終えた第一声は、「いやー、見応えあったねえ」とわたし、「いやー、そうかな」とダンナ。「いやー」しか合ってない。

『沈まぬ太陽』は、映画『子ぎつねヘレン』『ぼくとママの黄色い自転車』、連続ドラマ『快感職人』でご一緒した井口喜一さんがプロデューサーで参加。音楽は「つばさ」の住友紀人さんで、斎藤興業の水村役の市山貴章さんも出演。さらに、『〜ヘレン』律子役の松雪泰子さん、『ぼくママ』琴美役の鈴木京香さん、『天使の卵』特別出演の三浦友和さんの三人が主要な役どころ。録音の郡弘通さんは『パコダテ人』でお世話になり……と今井雅子作品に縁のある方がたくさん参加されているが、贔屓を差し引いても、スクリーンで観てよかった、いいものを観たという満足感を大いに得られた。それなのに……何が不満か?

でも、帰る道すがら、どこが受け付けなかったかを聞いてみると、「組合をやっていようとなかろうと、どの企業でも僻地への異動はあるわけだし、それを飛ばされたと思うんじゃなくて、そこで飛んでやろうっていう意地を見せてほしい」ということらしい。主人公・恩地が不本意な異動にくさらず、地に足着けて結果を出す姿が描かれているとわたしは受け止めていたが、言われてみれば、結果を出すまでの過程は描き足りなかったかもしれない。それは時間の問題もあるだろう。恩地を演じる渡辺謙の迫力が行間を埋めていたとも言え、この人の存在感が映画の重厚感そのものだったなと感じた。

もうひとつ、ダンナが引っかかっていたのは、「完全なフィクション」だとうたいつつ明らかに事実がベースにあり、実際に起きた事故が描かれている以上、ノンフィクションが混ざっていることが、観る側を戸惑わせるということだった。エンターテイメントとして鑑賞するには、事実が重すぎるという。

ダンナの指摘にはうなずけるところもあり、なるほどねえと面白い議論になった。とにかく、映画を観て意見が一致することはめったになく、二人そろって「いい!」となったのは『大統領の理髪師』と少し前の『フィッシュストーリー』ぐらいで、『風が強く吹いている』も、わたしは感涙、ダンナは失笑という天と地の差があった。天と地といえば、「行天」「恩地」と登場人物の苗字で性格を対比させるのは面白い。『白い巨塔』の財前、里見しかり。

作品のモデルとなった企業は映画へのネガティブキャンペーンに躍起になっているというが、その点については、「映画を観て、かえって希望を持った」というのが二人の一致した意見だった。原作を読んでいないので、タイトルの「沈まぬ太陽」は輝かしく君臨し続ける企業の有りようを例えたものだと思っていたら、そうではなく、どんな圧力にも屈することなく胸に燃え続ける強い信念を指しているらしい。

結婚生活は、赤々と燃えなくとも、せめて穏やかな光を灯し続ける「沈まぬ月」であればよろしいか。

2006年11月25日(土)  カミロボ×みちのくプロレス×劇団ヨーロッパ企画
2004年11月25日(木)  ソウなのか、ソウでないのか。


2009年11月24日(火)  ビデオ鑑賞より読書!たま3歳3か月

娘のたまは2日前の11月22日に3歳3か月になった。ここ数か月、すっかり忘れたかのようにビデオを観ていない。読書の秋を意識したのか、この一か月はとにかくよく本を読んだ。本棚からどっさり取り出し、次から次へと読んでとせがみ、さらに同じ本を何度もせがむので、ひと晩に十数冊、のべにするとその倍を読むことになる。おかげでわたしもずいぶん絵本の朗読には自信がついた。

今やドラマの現場で「本読み」といえば役者さんが脚本を読み合わせることだが、その昔、本読みといえば、脚本家が役者を前に読み上げ、意図やニュアンスを伝えたものらしい……とアンデルセンの自伝に書いてあった。脚本家にとって、音読する習慣を持つというのはいいことだ。

たまが絵を見ながらお話をつけるようになったのも最近のこと。ずいぶん言葉が豊かになったなあと感心する。実に楽しそうにお話を作る。わたしは子どもの頃、「つるのおんがえし」の絵本を開いて、「わたしは ほんまは つるやったんです」と大阪弁で読み上げていたらしい。

ダンボールに引っぱり紐をつけた船に乗り込んだり、お人形を乗せて引っ張ったりという素朴な遊びを好む。アナログ派のわたしは、電池を使わない低カロリーのおもちゃで工夫して遊んでくれるのがうれしい。

語彙がふえて、おしゃべりもますます面白くなった。
「ママが ちいさくなっても このふく あげないから! ママが あかちゃんになっても だっこしてあげないから!」
これは、わたしの仕打ち(と本人は思っている)に腹を立て、精一杯抗議しているつもり。だけど、かわいくて、にやにやしてしまう。
「パパは たまちゃんと あそびたくて はやく かえってくるんだよね」
などとナルシストな発言が目立つ。愛されているということを疑わない幸せな季節だ。

アエラの開いたページに容疑者の写真が載っているのを見て、「なに これ? へんな ひと」と興味津々。たまたま手にしていたこんぶで目を隠し、目張りの真似をしておどけて見せる。犯罪も殺意も目張りの意味もまだ知らない。これもまた幸せな季節だ。

2007年11月24日(土)  マタニティオレンジ206 はじめて手をつないで散歩
2006年11月24日(金)  マタニティオレンジ32 「手で舐める」ベビーマッサージ
2002年11月24日(日)  TAMA CINEMA FORUM


2009年11月23日(月)  一条の光の中で〜たま閉じ込められ事件

洗面所のドアを閉めて一人遊びに興じていた娘のたまに、「そろそろ出ておいで」と声をかけ、ドアを開けようとしたら、開かない。間違って中から鍵をかけたのかと思ったら、そうではない。では、たまが止めているのか? それにしては、5ミリほど開くだけで、それ以上は動かない。何か決定的なストッパーが存在している。

「ドアの前に何か落ちてない?」と聞くと、「みえないよー」と答える。中が真っ暗なのだ。「手で触ってごらん」と伝えるが、「わかんないよー」と言うので、ドアの下のほうをたたき、「たまも同じところをたたいて」と指示し、その手を下げていって床をたたかせる。たたく音だけして、発見はない。

たまが「ママぁ」と呼びかける声が不安げだ。ドアの下のほうにあるスリットのような隙間から手を差し込むと、小さな手がぎゅっとにぎり返して来た。この隙間が何のためにあるのかこれまではよくわからなかったが、こういう非常事態に励まし合うという重要な使い道があったのか! 一人で暗闇に閉じ込められたたまも心細いはずだが、親も相当パニックになっている。たまのほうが幾分余裕があるのか、爪やすりを隙間から差し入れ(差し出し?)たりするが、こんなことやっていては進展がない。

ドアを無理矢理開けようと試みるが、やはりガンと跳ね返される。一体何が引っかかっているのだ? 落ち着け落ち着けと自分に言い聞かせるけれど、頭の中では、このまま埒が開かなかったときのことをシミュレーションし始める。

こういうときは119番か? 生まれ育った大阪・堺の地元紙「泉北コミュニティ」でわたしが真っ先に読んでいた110番・119番通報コーナーを思い出す。見開きで数十件の出動記録に、「子どもが閉じ込められはしご車出動」がけっこうな確率で混じっていた。でも、はしご車は要らない、ドアさえ開けてもらえばいい場合は、どこに頼めばいい? カギの119番か? でもカギじゃない。のこぎりでドアを切るか? でものこぎりもドアの向こうだ。蹴破るしかないか? ドアの修理代はおいくら万円……?

それよりもっと怖いのは、ドアを壊せなかったときだ。おむつが持つのか? 最後にいつ買えたっけ? 寝てしまったら、風邪を引くぞ。その前に、不安でどうにかなってしまわないか?

そのとき、一人ブレストの成果なのか、ふと「引っかかっているのは上のほうなのでは?」とひらめいた。床に落ちている何かがストッパーになっているのではなく、上のほうで何かが出っ張っているのではないか。としたら、引き出しだ!

「たま、引き出しが開いてるでしょ? それを閉めて」と確信を持って訴えたが、即解決とはならず、「みえないよー」「わかんないよー」が続く。「引き出し、こっちよこっち」とドアをたたいて方角を知らせ、引き出しを触らせ、「それを閉めて!」。ようやく引き出しが閉まる気配があり、ドアを開けると、開いた!

たまを抱きしめて涙ぐむのは親のほうで、たまは「こわくなかったよ」とけろりと言う。時間にすれば、10分弱の出来事だったが、その何倍にも感じられた。

洗面所に入って灯りをつけ、状況を再現、ドアを閉め、引き出しを開けると、ドアはほとんど開かない。


その状態で灯りを消すと、闇に一条の光が差し込むといった具合で、これでは引き出しが開いているかどうかもわからない。30秒もしないうちに、耐えられなくなって飛び出した。

2009年11月22日(日)  『パコダテ人』で保育園児だった星良ちゃんが……!

今井雅子の映画脚本デビュー作『パコダテ人』で、シッポが生えてしまう函館市役所職員古田はるお(大泉洋)の一人娘まゆちゃんを演じた前原星良ちゃん。映画の中ではひまわり保育園ひよこ組という設定で、「ぴまわりぽいくえん ぷるたまゆ」とたどたどしく愛らしいパコダテ語を披露してくれたが、本人も当時現役保育園児だった。

パコダテ人に出た後の宮韻△いちゃんや大泉洋さんの大活躍にも目を見張るが、見違えるほど成長したといえば、今や中学2年生となった星良ちゃん。身長だけでも50センチ以上伸びて、わたしに追いつき、追い越し、15センチほど引き離してしまった。

ダンス部で青春しながらバレエ教室も続けている星良ちゃん、今日がその発表会。1〜3名ずつの小さなプログラムが並んだ第一部のトリ、『ドンキホーテ』の「キトリ」の赤と黒のカルメンな衣装の星良ちゃんがステージに上がった瞬間、客席はハッと引きつけられ、場内の空気が変わった。扇を仰ぎながらステージから微笑みかけるさまの艶っぽいこと。緊張を感じさせない舞台度胸は、さすが。ひいきを差し引いてもおつりの来る堂々たるプリマぶり。ジャンプは高く、スピンは美しく、手足の表情は実に伸びやか。客席を引きつけ続け、最後のお辞儀も優雅さと貫禄をたたえ、ブラボー! わたしの膝で見ていた娘のたまも惜しみない拍手を贈った。

第二部『くるみ割り人形』では、「あし笛」役。もう一人の女の子との息の合った踊りに、曲の途中で拍手が沸き起こった。

星良ちゃんだけでなく、他の子たちを見ているのも楽しく、衣装もそれぞれ凝っていて、目を楽しませてもらった。幼稚園ぐらいの小さな子たちは立っているのが精一杯で、お辞儀だけがしっかり決まってたりするが、それも微笑ましい。恥ずかしそうに踊る子たちの中で、小さいながらも「わたしを見て」オーラを放っている子もいる。ちゃんと個性が出ていて面白かった。星良ちゃんをはじめ小学校高学年ぐらいの子たちは、「表現する」ことに気を配る余裕が出て、見応えがあった。

踊るのが大好きなたまは動きを真似したりして、バレエに興味を持った様子。習わせてみるのもおいいかもと思うが、先日の棒立ち運動会を思い出し、チュチュ姿で固まっている図を想像してしまった。

2008年11月22日(土)  8年目の「いい夫婦の日」
2007年11月22日(木)  マタニティオレンジ205 たま15/12才ではじめて歌う
2006年11月22日(水)  何かとめでたい「いい夫婦の日」
2002年11月22日(金)  ザ テレビジョンお正月超特大号


2009年11月21日(土)  六義園で七五三写真四人衆

タイトルに三、四、五、六、七をそろえてみました。

それはさておき、娘のたまは明日で3歳3か月。いわゆる七五三は先週だったようだが、写真だけでも撮っておこうかと、妹のとこのおさがりの着物を娘のたまに着せ、日本庭園の紅葉が色づきかけた六義園(りくぎえん)へ。小石川後楽園とともに江戸の二大名園に数えられていたというが、わたしは和歌を庭園で再現しようとしたという六義園に断然親しみを覚える。

撮影は、2004年にブレーン・ストーミング・ティーンを出版した際の雑誌取材で写真を撮ってもらって以来、親しくさせていただいているフォトグラファーの内藤恵美さんにお願いする。いつもこちらがお礼を言う側なのに「撮らせていただいて、ありがとうございます」と言ってくれる気持ちのいい人。とても自然な雰囲気を作って撮ってくれるのと、撮ることを楽しんでくれるのがありがたい。

今日の内藤さんは千歳飴代わりにアンパンマンのお菓子が詰まったクリスマスバッグを持って登場。気遣いの内藤さんに対して、親のわたしたちは、着物を着せて出て来るのが精一杯。たまの髪はボサボサだし、前髪はギザギザのガタガタだし、口のまわりは粉ふいてるし、鼻くそが見え隠れ。それでいてティッシュもタオルも持ってきていないという詰めの甘さ。

将来、たまが今日の写真を見たら、突っ込みどころ満載だけど、それはそれで親の性格がうかがえて面白いかもしれない、と開き直る。

紅葉目当てで、六義園は一年でいちばんにぎわう季節。お年寄りが多く、口々に「あらかわいい」「おめでとうございます」などと声をかけられる。他にも七五三と思しきおめかしした親子連れを何組も見かけた。

「カメラマンを連れ出すなんて贅沢だねえ」と年配の男性。そう、ほんと、贅沢なこと。快くつきあってくださる内藤さんに感謝。写真は、たまを撮る内藤さんをわたしが撮ったもの。

たまは履き慣れない草履を嫌がり、運動靴に履き替え、ついには着物も窮屈だと言い出し、おなかがすいたとぐずり、撮影は一時間ちょっとで終了した。

六義園の南側にはアンパンマンの本を出しているフレーベル館があり、アンパンマンショップを併設している。その正面にあるアンパンマンの像の前で、たまは今日いちばんの表情を見せてくれた。子どものいい顔を引き出すのも、アンパンマン頼み。

六義園近くの名古屋コーチンのお店で焼き鳥ランチの後、わが家に移動して、さらに撮ってもらう。レゴで遊ぶたま。積み木で遊ぶたま。内藤さんは遊び相手になりながら、パシャパシャ撮る。いつの間にか、子守と写真が逆転し、夕方まで遊んでもらった。こちらの写真は内藤さんが撮ったもの。

たまは去年撮ってもらった記憶は残っていないのか、今日が初対面だと思っている様子。すっかり内藤さんになついたが、「サイトウさーん」と呼ぶので、違うよと訂正したら、後々「たまちゃん、ナイトウさんのこと、まちがえてサイトウさんって いっちゃったんだよね。あはははは」とネタにして喜んでいた。

斎藤さん、じゃなくて、内藤さんに、記録も記憶もありがとう。

2006年11月21日(火)  『築城せよ。』と魔女田映画祭
2003年11月21日(金)  押忍!いくつになっても応援団
2002年11月21日(木)  ファミレスの誘惑


2009年11月20日(金)  ドラマも映画も小説も11月は短編月間

脚本を書かせていただくことになった「つばさ」スピンオフドラマ2本は、最後の詰め。一本10分弱ながら、その短時間に起伏をつけて決着をつけるという短編ゆえの難しさがある。加えて、朝ドラ「つばさ」を観ていた人には、その番外編として楽しめ、総集編への期待を高めてもらい、かつ、観ていなかった人には、独立した作品として楽しみつつ総集編を観てみようと興味を持ってもらわなくてはならない。

第1回から第4回まで審査を務めたNHK奈良の「万葉ラブストーリー」脚本募集が約10分のドラマだが、応募作品を読んで、「詰め込み過ぎ」だの「ドラマが乏しい」だの手厳しい指摘をしていたくせに、いざ自分で書いてみると、これまでの万葉ラブの受賞作はよく出来ていたなとあらためてレベルの高さに感心した。これまでの受賞者12名の皆さんは即戦力になれると本人たちにも伝えているけれど、短編があれだけうまく書ければ、長編はもっとうまく書けるのではと思う。

そんなこんなで四苦八苦しつつも、後藤プロデューサー、西谷ディレクターとの打ち合わせは雑談も弾んで楽しく、書かせていただけるのはうれしく、ようやく山頂(決定稿)が見えてきたところ。12月初旬に撮影、総集編が放送される12月29日・30日の前に放送される予定。総集編とあわせてお楽しみくださいませ。

『つばさ』総集編(前後編)
★放送予定※変更になる場合があります)
<前編>12/29(火) 総合・午前8:15〜9:44
<後編>12/30(水) 総合・午前8:15〜9:44


「つばさ」公式サイトは番組放送終了後も進化を続け、スタッフブログもほぼ毎日更新。ファン掲示板もにぎわっているので、感想やスピンオフへのエールなどをぜひぜひ。

短編といえば、前田監督とやった『隣のモンちゃん』『オセロ』以来、ひさしぶりに短編映画の脚本を書いた。オリジナルのコメディで、初稿に皆さんが乗ってくれ、そのままどんどん膨らませて決定稿に持ち込めたという幸せなお仕事。順調に行けば、年明け撮影、春頃完成の予定。どんな風に公開されるのかはまだ決まっていないが、わたしの痛い過去を作品にリサイクルした好例となった。どんな経験も脚本家には無駄にならない、を証明できる一本になるかもしれない。

先日の日記にも書いたけれど、11月はエッセイ(これも短編ジャンル?)の依頼も多かった。仕事の傾向につられてか、手に取る本も短編ばかり。出版社の方によると、短編は売るのが難しいらしいが、電車での移動時間を読書にあてるわたしには、短編の短さがありがたい。

そして、今井雅子の初めての短編小説4編を集めた「クリスマスの贈りもの」は、今日で公開3週間目。まだお読みでない方は、ぜひUSJの期間限定(来年1/6まで)サイトLimited Christmasへ。左から順に4編読むと、少しずつお話がつながっているので、右から読まれませぬように。

2006年11月20日(月)  マタニティオレンジ30 偶然は人生最高の香辛料
2005年11月20日(日)  G-up side,B;session『ゼロ番区』
2004年11月20日(土)  高倉台・三原台同窓会
2002年11月20日(水)  カタカナ語

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