2005年11月20日(日)  G-up side,B;session『ゼロ番区』

脚本家の川上徹也さんに紹介してもらった赤沼かがみさんが代表を務めるG-upは、演劇プロデュースユニットとでもいうのだろうか、新進作家や劇団と組んで、コンスタントに精力的に公演をプロデュースしている。わたし好みの作品が多く(これまでにハズレ!と思ったことがばい)、知らない劇団や俳優さんに出会えるきっかけにもなるので、毎回案内が届くのを楽しみにしている。

今回案内をいただいた『ゼロ番区』は、知人である岡安泰樹(おかやす・たいじゅ)さん出演ということで、さらに楽しみが加わった。7月の舞台『The Winds of God〜零のかなたへ〜』では特攻隊員役で坊主頭だった岡安さん、今回は死刑確定囚役で、坊主がちょっと伸びた感じの短髪。なんだか、見るたびに若返っている気がする。この人のお芝居は内側から迸るものが感じられて、見ていてすがすがしい気持ちにさせられる。本当に芝居が好きで、芝居を通して何かを伝えたい人なのだと思う。

タイトルになっている『ゼロ番区』は実際に使われている用語のようで、死刑または無期の刑を受けた、あるいは上訴中の収容番号の末尾がゼロの「ゼロ番囚」が収監される区画を差すのだとか。場所は東京拘置所の通称「ゼロ番区」。登場するのは死刑執行を待つ男四人と、彼らを見守る看守の男三人。死刑確定囚は独居房が基本だが、四人は一時的に同房に収容されていて、彼らが寝起きする雑居房と看守たちの詰め所を行き来する形で物語は進む。

看守が囚人たちに「ゼロ番区のゼロはお前たちが無意味だってことだ」といったような言葉を吐くが、たとえ死刑に値する罪を犯し、執行までのわずかな時間を塗りつぶすように生きる身であっても、彼らには感情があり、絶望もすれば希望も持つ。最後の瞬間まで人間なのだ、ということをこの舞台は訴えかけているように思えた。

死刑という運命と向き合う囚人たちが四人四様であるように、囚人と向き合うという看守も三人三様。囚人と看守、見張られる側と見張る側という対極の立場にある彼らだが、それぞれに苦悩があり、葛藤があり、双方の抱えるそれらが重なることも、わかりあえる瞬間もある。鍵の内側と外側は大違いだが、それでも同じ人間。そんな風に思えたら、ゼロという響きにあたたかみや重みが加わる気がする。実際のゼロ番区を知る人にとっては、ファンタジーなのかもしれないけれど。

G-up side,B;session『ゼロ番区』
新宿スペース107

【出演】
関 秀人
大内厚雄(演劇集団キャラメルボックス)
岡安泰樹(エル・カンパニー)
入山宏一(絶対王様)
日高勝郎(InnocentSphere)
濱本暢博(劇団OUTLAWS)
松本 匠(エル・カンパニー)

【スタッフ】
作・演出 松本匠(エル・カンパニー)
音響 平田忠範(GENG27)
照明 廣井 実
舞台監督 長谷川裕
制作 伊藤恭子
企画 RISU PRODUCE
製作 G-up
プロデューサー 赤沼かがみ

2004年11月20日(土)  高倉台・三原台同窓会
2002年11月20日(水)  カタカナ語

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