2009年02月14日(土)  駅から歩いて湯沢高原スキー場

雪を見たい、と娘のたまが言う。今年の東京はなかなか雪が降らない。1月に大阪の実家へ帰ったとき、風に舞う雪をほんの数分見ただけだ。タイミング良く「駅から歩いて行ける湯沢高原スキー場」の話を聞いた。子どもが遊べるファミリー用ゲレンデもあるという。今朝起きて、「今日行ってみよう」と思い立ち、10時38分に上野を出たら、12時前に越後湯沢に着いた。

トンネルを抜けるたびに雪国が待ち受けているのを期待したけれど、越後湯沢に降り立っても、風景は茶色まじりで一面の銀世界ではなかった。駅で買った笹だんごを食べながら、歩いてゲレンデを目指す。道路の雪は解けていて、すべる心配はない。路肩に積もった雪も今朝の小雨で解けたせいか、固まって氷のようになっている。雪を触ったたまの感想は「かたい」。絵本で読んでいるふわふわの雪と違うのが不満な様子。


下調べなしに来たので、ファミリーゲレンデの場所もわからず、ロープウェイで上ってみる。ウィンドブレーカーをソリ代わりにしてたまを乗せて引っ張ると、「こわい」。雪だるまを作ろうと呼びかけると、「さむい」「おなかすいた」。ロープウェイの駅から歩いてすぐのところにある「Alpina(アルピナ)」というイタリアンレストランへ行ってみると大正解。本店は湯沢町の岩原スキー場にあるラ・ロカンダ・デル・ピットーレというピッツェリアで、雰囲気といい接客といい味といい、ゲレンデでこんな食事ができるとはと驚くレベル。大きな窓から銀世界をのぞみながら、焼きたての石釜ピザと釜焼きラザニアを楽しむ。大満足で店を出たのだけど、後で「絶景と極上イタリアンコース」なるもののチラシを発見。前菜・サラダ、スープ、ピザ、パスタ、肉料理、デザート、コーヒー又は紅茶がロープウェイ往復料金込みで3500円。ロープウェイが1500円だから、これはお値打ち。知っておれば……と予習不足を悔やむ。年中無休とのことで、緑の季節に来ても良さそう。越後湯沢へはお得な日帰りパックもあるようだし、次回はもう少し予習して行ってみよう。

ロープウェイで麓に下りると、その目の前がファミリーゲレンデだった。ソリを借り、歩いて坂を上って滑る。すべり台みたいで喜ぶかと思ったら、「こわい」「つめたい」「べちょべちょ」。たまがいちばん喜んだのは、大きなお風呂。風呂上がりに濡れた靴下を履くのをいやがり、わが子のひ弱さを思い知らされた。

越後湯沢で感心したのは、土産屋といい飲食店といい、どこもおいしそうな雰囲気を醸し出していること。駅とゲレンデを結ぶ道を歩く間に立ち寄ってみたいお店がそこかしこにあった。名物「もちぶた」を食べてみたかったけれど、たまが寝てしまったので夕食を食べずに帰る。新潟県中越地震を忘れないために地元の青年部が雪で作ったオブフェにろうそくの明かりを灯すところをちょうど見ることができた。東京とはまったく違う風景と空気に触れて、日帰り旅行なのに、ずいぶん遠くへ行ってきたような気分を味わった。

2008年02月14日(木)  火事と水回りクリーニングの木曜日
2007年02月14日(水)  松井久子監督の第三作を応援する会
2006年02月14日(火)  一度泊まってみたいチョコレートのホテル
2005年02月14日(月)  5年ぶりにケーキを焼く
2002年02月14日(木)  ゆうばり映画祭2日目


2009年02月13日(金)  Philaeのクッキーネックレス

「ハリーウィンストンって知ってる?」と先日ダンナに聞かれた。ウィンストン・セーラムなら知ってる。昔コピーを書いていたタバコのSalemを作っているR.J.レイノルズの本社があるところ。でも、ハリーウィンストンは知らない。答えはジュエリーブランドで、「ティファニーより憧れらしいよ」と知ったばかりのくせにダンナはイバった。贈ってくれる人がいないから、縁がないのである。

言われてみれば、ジュエリーブランドには相当疎い。宝飾欲が低いのだ。宝石を見ても憧れのため息が出ない。その代わり、ケーキの形のピアスにはときめく。ブランドでいえば、アーロンバシャ(Aaron Basha)のBaby Shoesにはハートを鷲づかみされた。宝飾欲が低い代わりに雑貨欲が高いから、かわいいカタチや面白いモチーフに惚れる。

雑貨欲を満たしつつお値段もかわいいジュエリーになかなか巡り会えずにいたのだけど、先日ネットで見つけたPhilae(フィラエ)というフランスのブランドのネックレスに一目惚れした。その名も「クッキーネックレス」と「ドーナツネックレス」。本物みたいなクッキーやドーナツが誘惑していて、思わず食いついた。クッキーがいいかドーナツがいいか、迷った末にクッキーを選んだ。

今日届いた包みを開けると、画像で見る以上に実物はクッキー感があり、ドーナツも欲しくなってしまった。誰に会うわけでもないのに早速つけて、鏡の前でニマニマしている。Philaeは1999年にイブ・サンローランがスポンサーとなり、ナタリーとオーシリーというデザイナー姉妹が立ち上げたブランドだそう。

クッキーネックレスに出会ったのは、ナルミヤインターナショナル会長だった成宮俊雄さんが手がける雑貨小物のネットショップMarizza(マリッツァ)。何年か前に辰巳琢郎さんの誕生パーティーにお邪魔する機会があったとき、知らない人だらけでオロオロしていたわたしに居場所を作ってくださったお茶目なおじさまが成宮さん。マリッツァが仕入れる雑貨にも、チャーミングな人柄がうかがえる。色使いが楽しいFanny fouks、童話の世界をモチーフにしたデザインがユニークなN2など、雑貨感覚で集めたくなるアクセサリーの宝庫。sold outになっているものも多いけれど、ちょくちょく再入荷、新作入荷しているので、こまめにのぞきたくなる。行くと、見たい商品がありすぎて、ついつい長居をしてしまう。仕事にならなくて困っている。

2008年02月13日(水)  マタニティオレンジ236 保護者会で問題解決 
2007年02月13日(火)  マタニティオレンジ77 一年先を想像する 一年前を振り返る 
2004年02月13日(金)  ウィーリー・ウォンカのチョコレート工場
2002年02月13日(水)  ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 1日目


2009年02月12日(木)  ハンブルク・バレエ×ジョン・ノイマイヤー『人魚姫』

「ハンブルク・バレエの『人魚姫』観ない? 振付はノイマイヤーよ」と友人カヨちゃんよりお誘い。ハンブルク・バレエもノイマイヤーも知らないけれど、人魚姫には思い入れがある。市村正親さんが『BARアンデルセン』のマスターとアンデルセンの世界の一人芝居を演じる『真夜中のアンデルセン』という実験的な音楽劇ドラマを作ったことがあり、劇中で取り上げたのがこの物語だった。深夜番組にしては高視聴率だったけれど、シリーズ化はされず、次は『雪の女王』をやりたいという目論みは叶わなかった。でも、最初で最後の一本が人魚姫だったのは正解だったと、今日のバレエを観て、あらためて思った。

アンデルセンだと思われる「詩人」が第一幕冒頭から登場し、彼が語り部の役割を担って物語を運んでいく。上下する曲線で海底と地上を表現するなどシンプルだけど明快な美術は洗練された現代アートを見ているよう。衣装も気合いの入ったクラシックバレエと比べると、エコか、というほど軽量。王子に至ってはメインの衣装が水着で、これまでに見たどんな王子の衣装よりもロイヤル感がない。ヒマさえあればゴルフの練習をしている王子という描き方も画期的。

魔法をかけられて人間の足を手に入れる前の人魚姫をどう表現するのか興味があったが、空気が海水に見えるほど、人魚姫の「泳ぎ」はすばらしかった。男性ダンサーにリフトされて伸びやかに泳ぎ回るときはもちろん、二本の足を地につけているときさえ、海底を泳いでいるように見える。しなやかにくねる動きはまさに魚を思わせた。足を得た人魚姫が陸に上がると、一歩を踏み出す痛みが、ちゃんと見える。人間の体をうまく使いこなせないもどかしさも、手に取るようにわかる。人間の体がどれだけ雄弁に語ることができるかを見せられているようだった。

跳躍の高さや回転数よりもストーリーを表現することに身体を駆使した振付は、ラストにもよく表れていた。悲しみに沈む人魚姫の動きは静かになっていくが、伝わって来る感情が観客の心を動かしていく。それが膨らみきったところで、泡になって天に召される場面が訪れる。シンプルに徹した舞台装置はここからの逆算だったかと思えるほど、星くずのようなきらめきの静謐な美しさが際立った。

しばしの余韻を割って湧き起こった拍手と「ブラボー」の声が鳴り止まず、カーテンコールが繰り返された。手を取り合ってお辞儀を繰り返す出演者たちの手応えも伝わって来て、舞台と客席が心地よい興奮を分かち合った。振付のノイマイヤー氏が登場すると、拍手はいっそう大きくなった。

巨匠ノイマイヤーの名をバレエに疎いわたしは知らず、コピーライター時代に仕事をしたイラストレーターと同じ名前だ、いやあれはルーマイヤーだというお粗末な知識だったが、作品を観て、「女心がわかる」「胸が締めつけられる」という評判に納得した。あらすじをよく知っているせいもあるけれど、バレエのヒロインにこれほど感情移入したのは初めてだった。身体の動きのひとつひとつに感情が宿り、人魚姫の海よりも深い悲しみが胸を刺す痛みとなって伝わってくる。バレエは踊るのではなく演じるのだ。バレエダンサーの表現力の豊かさに目を見開かせてくれたジョン・ノイマイヤーの名は、今日の舞台とともにわたしの脳裏に刻まれた。名前にイマイが入っているのも親近感。

劇場を出て、並びの席で鑑賞した元同僚のヤマムロ嬢、タカトモ嬢と東急百貨店本店前のビストロVIRONで夕食。ここのパンが好きだけど、食事をしたのは初めて。シャンパンで乾杯し、ワインを飲み、パンをちぎり、カスレを食べ、バレエを語る。「今井が飲みかけの日本酒を手土産にうちに遊びに来たのを思い出して、こないだ爆笑したよ」とヤマムロ嬢に言われ、「ああ、ありましたね。ハーフボトル事件」と笑う。こういう時間が書き続ける力をくれる気がする。ちょうど仕事が空いた谷間の晩に、いい栄養を蓄えられた。

2008年02月12日(火)  マタニティオレンジ235 好きなものがいっぱい
2007年02月12日(月)  MCR LABO #1「運命」@shinjukumura LIVE
2006年02月12日(日)  『子ぎつねヘレン』完成披露試写
2005年02月12日(土)  浸った者勝ち映画『ネバーランド』
2004年02月12日(木)  本のお値段
2003年02月12日(水)  ミヤケマイ個展 MAI MIYAKE EXHIBITION2003


2009年02月11日(水)  はじめてのケータイ小説印税

ケータイで読める電子書籍書店ケータイ読書館に『ブレーン・ストーミング・ティーン』が並ぶようになって半年あまり。初めての印税支払いがあった。ケータイ小説バカ売れにはほど遠いささやかな金額ではあるけれど、ダウンロードして読んでくださった読者の存在を確かめられて、うれしくなる。

ケータイで読んでみようと思われた方は、左のQRコードから、または下記の方法で。月額コースのポイントでの購入で、1ダウンロードは300ポイント(円)。

【NTTドコモ】
■対応機種
FOMA 90x/851/80x/70xシリーズ(L,M,NKを除く) mova 506/505シリーズ
■アクセス方法
iMenu→メニュー/検索→コミック/書籍→小説→ケータイ読書館

【au】
■対応機種 CDMA 1X WIN(EZアプリ BREW®)対応機
■アクセス方法
Ezメニュー→トップメニュー→カテゴリーで探す→電子書籍・コミック・写真集→総合→ケータイ読書館

【SoftBank】
■対応機種 3G端末 70x/80x/90xシリーズ(NK,MO,SEを除く)
■アクセス方法
Yahoo!ケータイ→メニューリスト→書籍・コミック・写真集→電子書籍→ケータイ読書館

読んでくださった方は、ぜひ感想をお聞かせください。

読者の反応が気になり、張り合いにもなるのは、娘のたま相手の子守話も同じ。今日は「ちょうちょさんがとぶおはなし」「ペンギンさんのすべりだいのおはなし」のリクエストに応えて、二つ。たまの最近のお気に入りはペンギンとちょうちょ。ちょうちょは年末からのブームだけど、ペンギンは1日に上野動物園で見て以来。映画『旭山動物園物語』を見せたら、喜ぶだろうか。

子守話44 ペンギンさんのとっくん

たまちゃんがこうえんにいくと
すべりだいに ペンギンさんがいました。
なんきょくのうみの こおりのやまのすべりだいを
じょうずにすべれないのが くやしくて
こっそりれんしゅうにきたのです。

ペンギンさんはこわがりで すべりだいのてっぺんで
ぶるぶるふるえていました。
だいじょうぶよ。すなにおちてもいたくないよ。
たまちゃんがこえをかけると ペンギンさんは
ゆうきをだして えいっとすべりました。

ペンギンさんは おしりではなくおなかをすべりだいにつけてすべります。
びゅうんとスピードがでて すなばに かおからつっこんでしまいました。
あいたたたとペンギンさんはべそをかきました。
でも ひとりですべれて とくいそうでした。

こおりのやまも ゆうきをだしてすべってみるよ。
そういって ペンギンさんは なんきょくにかえっていきました。

ペンギンさんのまねをして たまちゃんも 
おなかをすべりだいにつけて すべってみました。
びゅうんとスピードがでて すなばに かおからつっこんで 
すなだらけになってしまいました。
ペンギンさんのきもちは ちょっぴりわかったけれど
おなかですべるのは これっきりにしようとおもいました。


子守話43 とべないちょうちょ

たまちゃんがあるいてくると ちょうちょがないていました。
「わたし はねがあるのに とべないの。
 おとうさんも おかあさんも おねえちゃんも おにいちゃんも
 みんな じょうずにとべるのに。
 わたしだけ とべないから ひとりぼっちになっちゃった」

れんしゅうをしてみたら とべるようになるよと たまちゃんはいいました。
けれど はねをどんなにがんばってうごかしても
ちょうちょのからだは うきあがりませんでした。

かみひこうきみたいに いきおいをつけたら 
とべるかもしれないと たまちゃんはおもいました。
でも たまちゃんのてからはなれたちょうちょは ぼとっとおっこちて
いたたたたと またないてしまいました。

たまちゃんは ちょうちょに たかいたかいをしてあげました。
それから ちょうちょをかたにのせて すべりだいにのぼりました。
すべりだいのしたにさいている しろいはなのまわりを
ほかのちょうちょが ひらひらととんでいるのが みえました。

たまちゃんは ちょうちょをおうちにつれてかえりました。
2かいのベランダからみおろすと にわをとぶちょうちょたちは 
ちいさなてんてんのようでした。

たまちゃんは どこにいくときも ちょうちょといっしょでした。
とうきょうタワーにも いっしょにのぼりました。
こんなにたかいところには どんなちょうちょも のぼってこれないでしょう。

とべないちょうちょは すこしずつ げんきになっていきました。
たかいところにいるときとおなじぐらい
じめんをちょこまかあるいているときも たのしそうでした。

そして あるひ ちょうちょは そらをみあげて いいました。
「とべなくても たのしいことがいっぱいあるって
 たまちゃんが おしえてくれたから
 いまは この とべないはねが きらいじゃないよ」
そのことばをきいて たまちゃんは うれしくて
きもちが ふわりとかるくなりました。
こころに はねがはえたようでした。

2008年02月11日(月)  100人抜きの皇居外周ジョギング
2007年02月11日(日)  切り抜く代わりに書き抜き新聞記事
2004年02月11日(水)  口福の餃子
2002年02月11日(月)  こどもの詩


2009年02月10日(火)  加湿器で焼き肉 洗面器でエレベーターガール

テーブルの下に置いてある加湿器のペンタ君の前にかがみこみ、娘のたまが突然「おにくぼくじょう」と言い出した。即座には意味がわからなかったけれど、黒いしましまが焼き肉の鉄板に見えたらしい。なるほど似ている。去年の秋に訪れたマザー牧場で見た牛より羊より馬より、焼き肉が印象に残っているたまは、マザー牧場を「おにくぼくじょう」と呼んでいる。

子どもは大人以上によく観察し、記憶している。それが、物を見立てる遊びに現れる。今日はお風呂の中で洗面器をかぶって、「なんかいにいきますか?」と聞いてきた。エレベーターガールのつもりらしい。そういえば、エレベーターガールの帽子って、てっぺんが平らになっているのがときどきある。それをどこかで見て覚えていたのではないだろうか。エレベーターに乗り込んで、たまみたいな女の子がエレベーターガールやってたらおかしいだろうなと想像して、今夜の子守話ができた。大人の真似してお仕事して、失敗もするけど感謝もされるのは、おさるのジョージ風。

子守話42 ちいさなエレベーターガール

てっぺんがたいらな あかいぼうしを 
あたまに ちょこんとかぶって
わたし エレベーターガールみたい

デパートのエレベーターにのりこんで
「いらっしゃいませ なんかいを ごりようですか」

おきゃくさんはびっくり
だって エレベーターのボタンより ひくいところで
エレベーターガールの こえがする

「3かいをおねがいします」とおきゃくさん
「かしこまりました」とエレベーターガール
ぴょんと とびあがって 3のボタンをおした

「5かいをおねがいします」とおきゃくさん
「かしこまりました」とエレベーターガール
だけど とびあがっても 5のボタンにとどかない
しかたがないから おきゃくさんが おしてくれた

8かい おもちゃうりばで とまったままのエレベーター
ひらいたドアのむこうは ちいさなエレベーターガールの すきなものだらけ
おきゃくさんごめんなさい もうすこし みていたいの

くだりはじめた エレベーター
まいごのおとこのこが のってきた
えーんえーんと ないてばかり ことばは まだうまくはなせない
こまったこまった おとなたち だけど 
ちいさなエレベーターガールには おとこのこのいいたいことがわかる

エレベーターをおりて おとこのこのてをひいて
いっしょにおかあさんをさがしにいった
ぶじ おとこのこのおかあさんを はっけん
「ありがとう ちいさなエレベーターガールさん」
さいごにひとつほめられて とってもいいきぶん

でも ほんもののエレベーターガールになるには まだまだ
おうちで おにんぎょうあいてに れんしゅうしましょう 

2008年02月10日(日)  誕生日ケーキ三昧
2007年02月10日(土)  秘密のトンネル
2005年02月10日(木)  「香盤表」の由来
2002年02月10日(日)  ペンネーム


2009年02月09日(月)  福福(200929)の日

39回目の誕生日がやってきた。2月9日で29歳を祝ったのが、つい数年前のことのように感じるけれど、あっという間に10年。「肉の日」と語呂が覚えやすいせいか、肉のアイコンつきのお祝いメールが携帯に次々と届く。「河豚の日」「服の日」でもある。

大阪出身でコピーライターで脚本家とわたしとは何かと共通点が多い友人の川上徹也さんからは「ブックの日」とお祝いメール。『仕事はストーリーで動かそう』など、このところ出版づいている川上さんは今日「ブックの日」関連イベントに出席するのだとか。肉、服、ブック。好きなものが語呂合わせになっているのはうれしい。そういえば、エッセー「出張いまいまさこカフェ」を連載している池袋シネマ振興会のフリーペーパーbukuは、毎月29日を「bukuの日」と呼んで映画の割引をやっている。

会社勤めしていた頃は、座席にプレゼントが届き、同僚がランチやディナーをごちそうしてくれ、一日中誕生日気分に浸れたけれど、フリーになると、いつもの日とあまり変わらない。朝、保育園に送る途中で娘のたまがハッピーバースデーを歌ってくれ(ちゃんと「ディアママ」になっていた)、その足で打ち合わせに向かい、打ち合わせを終えて帰宅すると、8時。急いでパスタをゆでると、ゆであがるのを待ち受けたかのように、「ウンチでた」。トイレへ連れて行くと、誕生以来最大と思われる規模の噴火の後で、どこから手をつけていいか途方に暮れる状態。ダンナと手分けしてトイレ掃除班と風呂で洗い流し班に分かれた。あたふたとトイレ掃除をしながら、ウンチパニックに見舞われる誕生日なんて今年限りかもしれないと思うと、楽しくなってきて、笑ってしまった。

とんだ誕生日プレゼントだったねと少々伸びたパスタを平らげ、「そうだ、冷蔵庫にいちごがあった」と取り出すと、「じゃあ、あれを出そうか」とダンナ。「たま、さっき練習したでしょ」とうながされて、冷蔵庫の奥に隠してあったケーキの箱を取り出し、たまに渡すと、「おたんじょうびおめでとう」と小さな手で差し出してくれた。思いがけないプレゼントにほろりとしていると、今度は奥の部屋に二人して引っ込み、オレンジの花束を持って戻ってきた。これまた贈呈の仕方を二人で示し合わせていたらしい。たまはサプライズのたくらみをちゃんと理解していて、そのときが来るまでナイショにしていた。2009年の誕生日は、「不(2)」意打ち「食(9)」らったの日となった。

mixiの2月9日生まれコミュニティをのぞくと、「2009年2月9日は福福の日」という書き込みがあった。2つのケーキを3人で分けて、台所にオレンジの花を活けて、福福。

2008年02月09日(土)  プレタポルテ#2『ちいさき神の、つくりし子ら』
2007年02月09日(金)  マタニティオレンジ76 母になってはじめての誕生日
2006年02月09日(木)  倉カルミネにて2006年の誕生日
2004年02月09日(月)  今年もハッピーバースデー
2003年02月09日(日)  何才になっても祝うのだ
2002年02月09日(土)  シモキタ(下北沢)


2009年02月08日(日)  もうひとつの人格? あかりちゃん登場

確定申告に一日費やす間、ダンナの実家で娘のたまを見てもらう。帰ってきて、夕食を食べるまでは「たまちゃん」だったのだが、お風呂を入る前に突然「わたし、あかりちゃんよ」と言い出した。「あかりちゃんて誰?」と聞いても、「わたし、あかりちゃんよ」。あかりちゃんなんてお友だちはいないし、読んでいる絵本にも登場しないのだけど、保育園の絵本に出てきたのだろうか。本人があかりちゃんだと言い張るので、こちらもつきあうしかない。

「じゃあ、あかりちゃん、たまちゃんのパパとお風呂入る?」とダンナがお風呂に入れた間も「あかりちゃん」になりきり、「あかりちゃんは、えらいね。たまちゃんはシャンプーいやがるんだよ」と言うと、いつもは抵抗するシャンプーにも耐えてみせた。なかなかの女優魂。

お風呂から出てからも、あかりちゃんごっこは続いた。間違って「たまちゃん」と呼ぶたびに、「あ、あかりちゃんだったね」と訂正していたが、時間が経つと本人も混乱してきて、自分のことを「たまちゃん」と呼んでしまい、元のたまちゃんに戻った。

あかりちゃんがどこから出て来たのはわからずじまい。「赤ちゃん」がなまったのだろうか。どうして突然別の女の子になったのだろう。わたしも小さい頃、「〜のつもり」と別人になりすます遊びをやったけれど、2歳の頃からやっていたのだろうか。もうひとつの人格とか乗り移りとか、怖いものじゃなければいいけど。

2008年02月08日(金)  整骨院のウキちゃん3 となりのトトロ編
2007年02月08日(木)  マタニティオレンジ75 授乳しながらランチ&シネマ
2006年02月08日(水)  クリピロ様セネガル行ってらっしゃい会
2005年02月08日(火)  映画『不良少年の夢』試写会
2004年02月08日(日)  FRIDAYの亀ちゃん
2002年02月08日(金)  フライングワイン


2009年02月07日(土)  『パパ ママ バイバイ』と講談「哀しみの母子像」

朝刊2紙と夕刊1紙。あっという間に古新聞になってたまるそれを何日かに一度、バサバサとまとめて目を通し、目に留めた記事を切り抜く。ひとつの見出しに立ち止まる時間は数秒だけど、アンテナを張っている記事とは目が合う。「32年前 横浜の米軍機墜落事故知ってますか 母子の無念講談に」という東京版の見出し(2月1日朝日)が目に飛び込んだ瞬間、もしかして、と思い出したのは、子どもの頃に繰り返し読んだ絵本だった。

米軍機が民家に突っ込み、幼い兄弟が亡くなるが、重症を負った母親は子どもたちの無事を信じ、もう一度会えることを励みに苦しい治療に耐える。1歳だった弟の康弘君が息を引き取ったときの言葉がタイトルになった『パパ ママ バイバイ』。同じ著者・早乙女勝元さんがベトナム戦争で孤児になった女の子を描いた『ベトナムのダーちゃん』とともに、幼なじみのヨシカと何度も読んでは、「ひどい話やなあ」「かわいそうやなあ」と嘆きあった。

調べてみると、『パパママバイバイ』の刊行は1979年3月。わたしが9歳のときだ。本を読んだのは小学校3、4年の頃だった記憶があるから、本が出てすぐに読んだのだろう。本はわが家にあったものなのか、ヨシカの家にあったものなのか。米軍機墜落が77年9月27日で、兄弟の母親・和枝さんが亡くなったのが事故の4年後。絵本の中では、和枝さんは生きる力を振り絞っていた。けれど、和枝さんが亡くなった日のことは記憶に残っている。「宮崎緑さんが泣きながらニュースで言うてた」と知らせてくれたのもヨシカだった。

そんな記憶のかけらを拾い集めながら新聞記事を読んだ。和枝さんの父・土志田勇さんと講談師の神田香織が知り合い、「事故のことを講談にしてもらえたら」と頼まれてから3年。その間に土志田さんは亡くなってしまったが、約束の講談がついに完成し、7日に初披露するという。主催は憲法行脚の会で、土井たか子さんのトークもあると書かれているのを見て、これは行けということだと縁を感じた。土井さんとは5年前にお会いする機会があり(2004年8月26日(木) 土井たか子さんと『ジャンヌ・ダルク』を観る)、それ以来ご無沙汰していた。

そして、当日の今日。講談が始まるぎりぎりに会場に着くと、ほぼ満席。講談は横浜の海の見える丘公園に立つ「愛の母子像」の風景で始まり、回想を経て現在に終わる。もう一度わが子を抱きたいという願いを形にした母子像と、それがかなわなかった現実の対比が哀しい。平和な暮らしを一瞬で奪った墜落事故。自衛隊のヘリコプターが軽症のアメリカ兵だけを救助して現場から去ったこと。全身を焼かれるような治療の苦しみ。多くの人から善意を差し出されての皮膚移植。事故から1年4か月経って子どもたちの死を知らされたこと。それでも生きる希望を奮い立たせ、子どもたちの分も生きようとしたこと。絵本の記憶をたどりながら聞いたが、絵本が刊行されてから亡くなるまでの間に、さらに辛い出来事があったことを講談で知った。心理療法がうまくいかず、最後は精神病患者扱いされ、呼吸困難のために喉に差し込まれた器具で会話もままならず、心の叫びを聞き届けられない形で和枝さんは亡くなっていた。この世の中に、これほどの無念があるのかと打ちのめされ、呆然となった。

休憩を挟んで、神田さん、土井さん、漫画家の石坂啓さんのトークとなった。和枝さんたちが犠牲となった事故では9人が死傷、他にも市民が犠牲になった米軍機墜落事故があるという。だから米軍基地や安保条約や自衛隊はけしからん、と頭ごなしに否定する論調には飛躍を感じてしまったが、和枝さんたちの死から何を学べばいいのか、平和な暮らしを守るとはどういうことか、考える機会をもらった。わたしの中でも風化していた事故に、親になった今再会したのも、何かの縁かもしれない。娘のたまは2歳で、3歳と1歳で亡くなった兄弟の間の年齢。かわいい盛りの子ども二人を奪われ、幸せな暮らしを奪われ、未来を奪われた和枝さんの絶望を想像すると、やりきれない。何の罪もない市民がなぜこんな目に遭わなくてはならないのか、その無念と怒りを忘れないでいたい。わたしの座席の足元で昼寝の寝息を立てるたまを見ながら、そう思った。


会場は、三田駅からすぐの「女性と仕事の未来館」。初めて訪れたけれど、木をたくさん使ったあたたかみのあるインテリアの明るい雰囲気が気に入った。2階にあるカフェの店員さんに聞くと、厚生労働省の建物なのだそう。「Makiba Style」という店名は、お役所センスなのか。好きなデザートを3種類選んだ盛り合わせが499円。ケーキセットにすると、ドリンクが199円でつけられる。食事メニューも充実していて、ここは穴場。おむつ替え台と子どもトイレがそろった広々トイレもあり、たまは大喜びだった。

2008年02月07日(木)  映画『歓喜の歌』に感きわまる
2007年02月07日(水)  マタニティオレンジ74 子育て中の美容院とエステ
2004年02月07日(土)  二人芝居『動物園物語』


2009年02月06日(金)  倍速カレンダー

シモの話で恐縮だが、ひと月前、正月明け早々に近所の婦人科に駆け込み、「不正出血です!」と訴えた。その朝に出血に気づき、悪い病気だったらどうしよう、仕事はキャンセルかなどと考えていたら目の前の仕事も手につかず、ネットで調べてみても安心材料は見つからず、「医者に診てもらうのがいちばん」と家を飛び出したのだった。

診察の結果は、「月のものです」。拍子抜けしたわたしに、「前回はいつだったんですか?」とお医者様。「よく覚えていませんが、ついこないだだった気がします」と答えると、「ちゃんとつけといたほうがいいですよ」と基礎体温表を渡され、ストレスや疲れで生理不順が起きているのかもしれませんから経過を見てくださいねと送り出された。安心を手に入れると、数千円の検査費は高くついたなとケチくさいことを思ったりした。

そして、再び「月のもの」がやってきた。基礎体温表はほったらかしだったけれど、不正出血騒動が記憶に刻まれているので、前回がいつだったかは覚えている。「ついこないだ」と思っている間に、きちんと4週間の時が流れていて、おかしいのはわたしの体ではなくて時間感覚だったことがはっきりした。カレンダーが倍速で過ぎていっているような感じで、1月中に書くはずだった年賀状を、今頃になって書き始めている。

時間に流されていると、日々刻々と変わる娘の成長も倍速で飛ばして見ることになりかねない。娘のたまと向き合う時間は大切にしなくてはと思う。このところ、たまのお気に入りは「パパのおるすばん」の話。パパが一人で留守番してカレーを作っているところに、お土産を持ってママとたまが帰宅するという展開。日によってお土産がコロッケだったり豆腐だったりみかんだったりするので、コロッケカレーにしたり、豆腐をカレーにまぜたり、カレーの後にみかんになったり。ママとたまが時間差で帰宅するパターンもある。

子守話41 パパのおるすばん

パパがおうちにかえると ママもたまちゃんもいませんでした。
パパはひとりでおるすばん。
ばんごはん なにたべようかなと れいぞうこをあけると
おにくがちょっぴりと いろんなやさいがちょっとずつ。
そうだ カレーをつくろう。
おにくをいためて やさいをいためて ぐつぐつにこんでいると、 
ピンポーン。ママとたまちゃんが おかいものからかえってきました。
うわあ おへやのなかが とってもいいにおい。
きょうのばんごはんは カレーだよ。
たまちゃんのおみやげは コロッケだよ。
パパとママとたまちゃんは おいしいコロッケカレーをたべました。

2008年02月06日(水)  『看護』4月号に「玉稿」掲載
2007年02月06日(火)  マタニティオレンジ73 ひろくてやわらかい床を求めて
2004年02月06日(金)  ミニ同期会
2002年02月06日(水)  電車にピップエレキバン


2009年02月05日(木)  焼き鳥屋で会社の同窓会

広告会社のコピーライターをやめて、3年半。会社を辞めていちばん淋しいのは、飲み会が減ったこと。残業が毎日のことだったから、晩ご飯は大抵同僚と食べていた。残業中の残メシのこともあれば、仕事が終わってからの帰りメシのこともあり、何日かに一度はお酒が入り、仕事の打ち上げやら歓送迎会やら飲み会はちょくちょくあった。会社をやめてフリーになったとき、そういうつきあいがバサッ、ドサッとなくなってしまった。

だから、保険会社や冷凍食品協会の仕事で組んでいたアートディレクターのフジモトさんから飲み会の誘いが来て、飛びついた。恵比寿にある牛タンと焼き鳥のお店『りん』に集まったのは、フジモトさんとわたしの他に、オオツカ君、オバタさん、イシワリ君とフジモトさんの5人。オバタさんとわたしが女性、オオツカ君とわたしがコピー出身で、あとの3人はアート。同じ頃に会社にいたけれど、今は全員辞めて、あちこちに散っている。

フジモトさんとわたしは誕生日がひと月違いで、10歳違い。2月9日にわたしが29歳になった翌月の3月9日にフジモトさんが39歳になった年、保険会社の仕事でロサンゼルスへロケに行った。「空でスカイ?」「雪でスノー」「砂糖でシュガー」などと英語ダジャレを言い合って、笑ってばかりの毎日だった。10年も前のことなのに、昨日のことのような気がする。わたしのダンナが年下だと思い込んで「フジモトくん」と呼んだほど見た目は若々しいくせに、オッサン化炭素(CO3)の放出量は半端ではなく、「地下一階は近いかい?」「墓地にぼちぼち行くか」などとぼやいては、周囲をオッサン化炭素中毒に陥らせていた。

フジモトさんとは、冷凍食品協会の仕事で中国の冷凍食品工場をマイクロバスで訪ねて回ったこともあった。当時はほうれん草の残留農薬問題で大騒ぎになっていたけど、去年の餃子事件に比べたら、まだ警戒レベルは低かった。工場を案内してくれた人たち、皆さんどうしているだろう。

同窓会をするたび、自分の昔を知っている人は、脳みその出張所だなあと思ってしまう。本人が覚えてないことを覚えていてくれ、何年も忘れていた名前を思い出させてくれる人たち。脳みその奥深くに沈殿していた記憶がかき回され、ゆっくりと浮き上がってくるのが面白い。

元同僚との同窓会で盛り上がるのは、思い出話ともうひとつ、今の会社の噂。広告業界はかなり厳しい時代になっていて、われらが古巣も例年になく苦労を強いられている様子。脚本家でなくなって、もう一度会社員になるとしたら、またあそこで働きたいと思うぐらい好きな会社なので、頑張って欲しい。

フジモトさんが年末に行ったコスタリカのリゾートの写真を見せてもらったり、「確定申告は青色と白色とどっちでやるべき?」話をしたりするうち、5時間が過ぎて、終電の時間になった。5人の中で、いちばん最近会社を辞めたのがオバタさんで、「話し相手がいなくて、毎日淋しいのよ〜。また相手にしてよ」と言うのを聞いて、わたしも辞めたとき、そうでしたと話す。一日に使い切るべき言葉が使い切れなくて、生ゴミみたいに腐ってガスがたまっていく感じ。時間が経つと慣れるけれど(言葉分泌量が減るのか?)、やっぱり飲み会でワイワイやるのは楽しい。

【今日のおやつ】古賀音だんご みたらし

いただきもののみたらし団子。幡ヶ谷にあるふるや古賀音庵というお店の名物「古賀音だんご」のみたらし味。説明書きに「たった一日しかもちません(中略)本物が持つ美味しさは一日のはかなさのなさに、と拘り続けてまいりました」とある。その姿勢にほれぼれし、昨日いただいたのだから、急いで食べなくては、とまず3本。止まらず、ひと箱5本ぺろりと平らげる。だんごもたれも上品でやさしくて、これは危険。ブレーキがかかりません。

2008年02月05日(火)  マタニティオレンジ234 牛乳を飲みたい
2007年02月05日(月)  マタニティオレンジ72 出産ドキュメント
2002年02月05日(火)  3つの日記がつながった

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