2007年02月08日(木)  マタニティオレンジ75 授乳しながらランチ&シネマ

一見何の変哲もない茶色い布、Busy Baby(ビジー・ベビー)というブランドのNURSING WRAP(ナーシングラップ)、いわゆる授乳ケープ。周囲の視線は遮るけれど、おっぱいを飲む赤ちゃんの様子はママから見られるようにデザインされている。わたしより二か月早く二人目の女の子を出産した友人ユメちゃんから出産祝いに贈られた。ユメちゃんが一人目を出産したときにいたロサンゼルスでは「人前で授乳している母親をとがめてはならない」という条例があり、ショッピングモールやら公園やらあちこちのベンチで堂々とおおらかに授乳できたという。産後一か月でこれを贈られたときは「自分が使うことはあるのかな」と思ったけれど、出歩くことが増えた産後四か月頃から手放せなくなった。もちろん日本ではロスよりは人目をはばかる必要があるけれど、このケープは色といい質感といい目立ちすぎず、季節が冬になった今ではふわりと羽織る防寒具のようにも見える。実際あたたかいので屋外での授乳では風の冷たさから守ってくれる。日本でも通販で購入可能。

今日は贈り主のユメちゃんと六本木ヒルズでランチ&シネマ。いつもは哺乳瓶と湯冷ましを保険のために持ち歩くけれど、「哺乳瓶を一度も使っていない」というユメちゃんに便乗して、今日はケープだけで乗り切ってみることに。インフォメーションでベビーカーを借り、混みあう12時より前にウェストウォーク5階のロイズに入ると、奥まった席に案内してもらえる。六本木ヒルズはどの店もベビーカーでいやな顔をされたことがない。しばらくは貸し切り状態。「授乳天国ね」とおそろいのケープで授乳しながら食事。220グラムのハンバーグをしっかり味わう。ウェストウォーク5階には授乳室もあり、施錠して貸し切りで使える。

ベビーたちの腹ごしらえとおむつ替えを済ませ、ママズクラブシアターで『幸せのちから』を観る。劇場予告を観たときからわたし好みの予感がしていた作品。全財産21ドルから億万長者になった実在の人物クリス・ガードナーの半生を映画化したもので、主演の父子をウィル・スミスと実の息子が演じていることで話題になっている。医療機器のセールスマンだったクリスは、大量に仕入れた高価な機器が思うように売れず、借金は膨れるばかり。ある日、一流企業が並ぶオフィス街で満ち足りた顔の男をつかまえ、「何をやって? どうやって?(このようになったのか)」と聞くと、彼は株のトレーダーであり、学歴がなくても数字と人に強ければなれる、という答え。その言葉に一念発起し、証券会社の正社員の夢に賭けることに。6か月の無給研修の後に採用されるのは20人に一人だけ。妻に逃げられ、家賃が払えず家を追い出され、モーテル代も払えなくなったクリスは息子とともに路頭に投げ出される。研修を早退して教会のベッドの行列に並び、息子を寝かしつけると、月明かりの下で勉強に励む。果たして夢は叶うのか……というストーリー。人種差別を入れ込んだあざとい展開を予想したのだけれど、登場人物は基本的にいい人で、立ちはだかる壁は「貧乏」に絞られていて、父子の絆がそれを跳ね返す力の源となっている。親の目線にのっかれるかどうかで感情移入度合いが分かれるかもしれない。

原題は"Pursuit of Happyness"。Happinessのiがyになっているミススペルは、クリスが息子を預ける託児所のドアの落書きのもの。Pursuit of Happinessはアメリカ独立宣言(The Declaration of Independence)にLife(生存)、 Liberty(自由)と並んで誰にも侵せない権利(unalienable rights)としてうたわれている。「なぜトマス・ジェファーソンは"幸福"ではなく、"幸福の追求"としたのか」とクリスの台詞がある。幸福は与えられるものではなく追い求めて手に入れるもの、というメッセージが全編から伝わった。クリスが息子に「夢を持ったら守りぬけ。不可能だなんて誰にも言わせるな。たとえ親にでもだ」と語るシーンに、自分もこんな言葉を贈れる親でありたい、と思った。親の力でしてやれる幸福には限度があるけれど、幸福は自分の力でつかむものだと気づかせ、その「幸せのちから」を引き出すことが親の役割なのかもしれない。再びおなかを空かせたたまに授乳しながら、そんなことを考えた。

2006年02月08日(水)  クリピロ様セネガル行ってらっしゃい会
2005年02月08日(火)  映画『不良少年の夢』試写会
2004年02月08日(日)  FRIDAYの亀ちゃん
2002年02月08日(金)  フライングワイン

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