2007年02月11日(日)  切り抜く代わりに書き抜き新聞記事

出産前に家の大掃除をして、かなりモノを捨てたのだが、その大半が新聞紙だった。目に留まった記事を片っ端から切り抜いて、「人」「病」「言葉」「老」といったジャンル別に分類してファイルに納めていく、ということを脚本を書き始めた頃からやっているのだけど、整理する時間が取れないままに、切り抜いただけの記事が溜まりに溜まって山となり、雪崩を起こして床を覆いつくしていた。そのひとつひとつを読み返し、いるものといらないものに分けるだけでも軽く数週間かかったのだが、なぜ切り抜いたのかわからない記事がかなりあり、半分ぐらいは迷いなく捨てられ、手元に置いておく必要を感じたものはほんの少しだった。古い記事には90年代の日付があり、当時は目新しかったものが時の流れで色あせてしまった、ということもあった。

そういうわけで、最近は、よっぽどの記事でない限り切り抜かないことにしているのだけど、あいかわらず誘惑に駆られてはハサミを握りそうになる。「思い出は甘く ケーキの飾り付け」は昨年12月3日の毎日。来春から取り壊される小学校の円形校舎をクリスマスケーキに見立ててろうそくやイチゴなどのオブジェを飾り、ライトアップ。小学校は兵庫県の湯村温泉にあり、温泉の旅館飲料組合が企画したとのこと。「睡眠時を除く一生をビデオで録画し続け、テレビで見られる程度にデータを圧縮すれば50テラバイトで足りるという。1テラバイトのハードディスクが10万円程度で買える今、500万円で一生が記録できる」(1月4日 朝日)。だけど、思い出という付加価値の部分は録画できない。記録は記憶を呼び覚ます手がかりにはなれても別物なのだと考えさせられる。

「開店!王妃のタコヤキ店」の見出しは、1月6日の読売夕刊。インドネシアの古都ジョグジャカルタで現地王室の王妃がタコヤキ店を開店。本文を読むと、一昨年知ったサイト『インドネシア黄金の繭』(>>>2005年2月24日の日記)で紹介されていた王室だと気づく。サイトで紹介されていた王妃の披露宴の模様も見ていたので、あの王妃とわが故郷の味がつながったとは、とうれしくなる。1月7日の朝日Beサイエンス版には「220枚の硬貨から成る284円」と題する中ザワヒデキ氏のアート作品。220と284は『博士の愛した数式』にも登場する「友愛数」で、片方の数字のその数以外の約数を足すと他方の数字になる。この関係性を目に見えるアートにしようという発想がお見事。「308620枚の硬貨から成る389924円」まである。

2月7日読売夕刊には「5000年の愛」の見出しと、抱き合う二体の白骨のカラー写真。5000〜6000年前、新石器時代に埋葬された若い男女とみられるという。昔、考古学者が発掘した男女の人骨と学者が三角関係に……というラジオドラマを考えた(「おしゃべりな骨」というタイトル)もののディレクターに「変なこと考えますね」の一言で片付けられたけど、事実はドラマより奇なり。これだから国際面も目が離せない。そこだけ手でちぎったので日付が不明だけれど、パソコンでの変換ミスコンテストの応募作品、「お客彷徨う(様用)トイレ」「遅れてすいません。怪盗アンデス(回答案です)」にも笑った。

2004年02月11日(水)  口福の餃子
2002年02月11日(月)  こどもの詩

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