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最後の短編「サブサハラの蠅」を読んで「蝉かえる(櫻田智也)」読了。 色々と考えることの多い短編集だった。 前作「サーチライトと誘蛾灯」では魞沢泉が探偵という記号のようで(作者自身もそう言っている)イマイチ魅力がなかったが、 今回は魞沢自身にしっかりとした血肉がつき輪郭もはっきりしたことからとても魅力的になったと思う。 そうはいっても流行りのキャラ立ちではなく、飄々とした態度と少しだけ悲しみを含んだ優しいまなざしを持って世界に溶け込むような存在としてそこにいる。 いい奴だなあ。 そんなふうに思える人間だ。 サブサハラ〜は魞沢の大学時代の一つ上の同級生、江口海(えぐちかい)と空港で再会するところから始まる。 2人ともアフリカ帰りで魞沢が海外に?とびっくりしたものの(なんとなく日本国内しか旅しないような気がしていた)行先がエジプトと聞いて納得した。 そうか、ここで「彼方の甲虫」と繋がるのか、と。 江口が提起した問題は痛いところをついてくるが、かといって江口のやりようを肯定できるはずもない。 確かに頭上にミサイルが飛んでこない限り対岸の火事になるだろうと思う。 でも、全てに目を向けることなどできやしない。 それでなくても生きることはなかなかしんどいのだ。 ただ、知らないよりは知っていた方がいい。 知って、それを抱えていくこともまた自分にできることの一つだと思うから。 巻末の法月綸太郎の解説が秀逸でそれを読めばこんな感想なんかいらないかもしれない。 でも備忘録だからメモっとく。 いい作家さんだ。 追いかけるよ(文庫でね)
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