つれづれ日記。
つれづれ日記。

2010年06月30日(水) 委員長のゆううつ。その2−30

「でも霧があるから大丈夫だって」
「ある程度は、ですけど」
 ということは、ある程度は身に危険があるってことか。
「異世界って大変なんですね」
 何度言ったかわからない台詞を口にすると、頭の上に手を置かれた。
「少しずつ慣れていけばいいと思いますよ」
 軽く二回。……男の人ってこういう仕草になれてるんだろうか。
「あたし、ちょっと水くんできます!」
 制止の声はあえて無視してその場を後にした。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「異世界には危険がつきものかぁ」
 水をくんだついでにため息一つ。 
 男子に免疫がないわけではないけれど。そういうことはほとんどなく。高木詩帆、悲しいかな生まれてこの方十六年一度も付き合ったことがない。加えるならキスすらしたことがない。
 先輩には毛布越しに、さっきのカリンくんには二回も頭に触れられた。学校だったらまずあり得ない光景だ。そもそも学校では委員長だったあたし。委員長ってことは時にいらぬことまで口を挟まないといけないからやっかみを受けることも多々ある。ましてやお世辞にも気が弱いとか大人しいといった部類には絶対入らないあたし。男子にはさぞかしやっかいな存在だったんだろうな。
「少しは女らしくするべきなのかしら」
 そんな時だった。






過去日記
2006年06月30日(金) もうしわけありませんが
2004年06月30日(水) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,13UP
2003年06月30日(月) 弓道、その後

2010年06月29日(火) 委員長のゆううつ。その2−29

 戦うという動作ができなくて、一介の女子高生にすぎないあたしができることといえば。
「皿洗いですか」
 消去法でいけば自然とそうなるだろう。
「カリンくんまで手伝わなくてもよかったのに」
 隣でお皿を拭いてくれている長身の男の人に視線を向ける。あたしよりも頭一つ以上高い背丈。翠玉の瞳が優しげにこちらを見つめている――わけではなく。今はお皿を磨き上げるのにせいをだしてるようだ。
「女性一人に苦労をさせるわけにはいきませんから」
 リズさん達も手伝ってくれればいいでしょうにとつぶやくカリンくんに曖昧に笑みを返す。実は手伝うとは二人とも言ってくれた。でも何もできないのもしゃくに障ったので自分でできることは自分でやりますと丁重にことわった。ちなみにじゃあ別のこと準備しとくねとさっさといなくなってしまった。何の準備なのか非常に気になるところではある。先輩はがんばってねーと手をひらひらさせながらどこかに行ってしまった。まったくもって先輩らしき言動だ。
「カリンくんは戦うことってできるんですか?」
 今まで何度も言われてきたのでものはついでと尋ねてみる。
「どういう行動をもって戦うというのかはわかりませんが。ずっとこの世界で生きてきましたから」
 優しげな表情からはそんなことをしてきたとはとうてい思えない。それとも謙遜してるのかしら。
「ですが、自分の身を守れるくらいにはなっておいた方がいいですね」
「治安が悪いんですか?」
「先ほどもリズさんが言ってましたよね。海獣と呼ばれる物がいると」






過去日記
2006年06月29日(木) メガネ到着
2005年06月29日(水) 現実って
2004年06月29日(火) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,12UP
2003年06月29日(日) 弓道に行ってきました

2010年06月28日(月) 委員長のゆううつ。その2−28

 戦う云々といった物騒な話はおいとくとして。まずは地上について、リドックという場所を目指すことになった。
 携帯電話のストラップをつけているおかげで視界は良好とまではいかないものの、それなりに見えるようにはなった。でも自分が今現在どこにいるかまではわかるはずもなく。
「地図とかないんですか?」
 声をかけるとカリンさんがさっと差し出してくれた。方角は絵柄で何となくわかるとして、問題はところどころに書いてある文字だ。
「これ、なんて読むんですか」
「海言葉(うみことば)」
 またわけのわからない単語が出てきた。なんでも霧海(ムカイ)独自の言語だとか。さらに言えば水の里発祥の言葉らしい。とは言われても、地球生まれで地球育ちのあたしにはわかるはずもなく。霧海の皆様方に教えていただくこととなった。
「ここがいまいる場所で、リドックって場所がここ」
「……森みたいに見えますけど」
「見えるじゃなくて、まんま森さ」
 目的地の前に見えるのは大きな森。
「回り道をするってことは――」
「してもいいけど、かなりやっかいなことになるよ」
 水の次は森ですか。






過去日記
2005年06月28日(火) ラテラルサイトレーラーへの道
2004年06月28日(月) ヘタレについて
2003年06月28日(土) SHFH6−5

2010年06月27日(日) 委員長のゆううつ。その2−27

「人の生まれ故郷をそんな悪者みたいに言わないでよね」
 柳眉をあげたのはリズさんだった。
「だってなんにも見えないんだもの。気づいたら身動きとれないし、獣だって出てくるしさぁ」
「それは運が悪かっただけ。わたしがちゃんと手当してあげたでしょ」
 どうやら先輩とあたしは考えていることは同じだったらしい。
「霧があるから僕たちはまだこうして歩けるんですよ」
 意外な発言をしたのはカリンくんだった。
「詩帆さんはこの霧のことは知ってますか」
「確か冰(ヒョウ)って言うんですよね」
 先輩から聞いた。霧の正体だって。なぜか宙に浮いている大きな月のかたまり。それが地上に落ちてきて、陽の光に照らされて光る霧ができあがりだって。
 この霧。当然ながら視界がよくない。周りが見えないから相手も自分も動くに動けず、もちろんそんなの平気で襲いかかってくる獣もいるらしい。要は、霧のおかげで獣、リズさん達いうところの『海獣』との遭遇率が少なくなってるんだそうだ。
「先輩はどうやって戦うんですか」
 めいいっぱい抵抗はあるけれども聞いてみると、後でのおたのしみとのこと。あと語尾にはーとまーくがついてた。
「大丈夫。そのへんもわたしが何とかしてあげるから」
「前に同じこと言ってとんでもないことになりませんでしたか」 






過去日記
2006年06月27日(火) 血のつながりを感じる時
2004年06月27日(日) 梅雨
2003年06月27日(金) ビーチバレー。

2010年06月26日(土) 委員長のゆううつ。その2−26

 考えてもみてほしい。あたし、高木詩帆は正真正銘十六歳の女子高校生だ。体育の授業ならまだしも日常生活に戦うなんて言葉出てくるはずもなく。
「先輩はできるんですか」
「何が?」
「その。……戦うってこと」
 うらみがましくきいてみると。
「できるよ。当り前でしょ」
 あっさり肯定された。そういえば初めて会ったときに聞いたような気がする。

 人殺しさ。

 明日の天気でも告げるような声で言ってた。冗談だとは思う。でも。
「この世界って、そんなに危険な場所なんですか」
「ちょっと違う。詩帆ちゃんの世界が平和すぎたんだよ」
「そんなこと」
「ないって言えるの? 道を歩いているだけで襲われることは? 命の危機にさらされたことは?」
「……ないです」 
 幸いそんな犯罪沙汰になったことはない。道を歩いてるだけでってどこの映画の世界なんだ。
「なら詩帆ちゃんの世界は平和なんだよ。そしてこの世界はそんなに優しくない」
 悔しいけど事実だった。そして先輩も、やっぱり優しくない。






過去日記
2006年06月26日(月) 梅雨です
2004年06月26日(土) SHFH12−5
2003年06月26日(木) 「EVER GREEN」2−11UP

2010年06月25日(金) 委員長のゆううつ。その2−25

 地上に出た後は、相も変わらずの霧の大地。
 霧。
 霧。
 霧だらけ。と言いたいところだけど、リズさんと会ってからはちょっと違う。
「これもリズさんの力?」
「半分かな」
 詳しくはリズさんの作ったものを持つことによって耐性ができたらしい。なんだか常人から離れていってるような気がするけど気にしないでおく。
「とりあえずはリドックって場所でいいんですよね」
「うん。いいよ」
「何事もなければいいんだけどね」
 怖いことを言わないで下さい。
「確認なんだけどさ」
 何を確認なんだろう。
「何です?」
「詩帆ちゃんって獣と戦ったことってある?」
 まるで包丁使った料理できる? とでも聞かれたみたい。それくらいさらっとしていて。
 えーと。
「今、なんて言いました?」
「戦ったことあるって」
「……何と?」
「獣」
 なんですと。
「せーちゃん違うよ」
 リズさんが否定の声をあげる。
「ここでは海獣(カイジュウ)って呼ぶんだよ」
「へぇ。それは知らなかった」
 あたしもです。
 って、やっぱり違う。






過去日記
2006年06月25日(日) 復活
2005年06月25日(土) 中間報告十回目
2004年06月25日(金) 「EVER GREEN」6−5UP
2003年06月25日(水) 我が家と本

2010年06月24日(木) 委員長のゆううつ。その2−24

「依り代って何なのさ」
 あたしよりも早く。先輩が疑問を口にする。
「まずはあたしに触ってみなよ」
 促されるがまま、マリーナさんの手をとろうとした。
 うん。したけれど、手は見事に彼女を通りこしてしまった。
「あたし達精霊には実体がないのさ。だからどうしても不安定になってしまう」
「だから、変わりの実体をもったものがあれば、マリーナは一休みできるしそれを通じて動くこともできるの」
 要は簡易寝床ってとこかしら。なったほうはとんでもないだろうけど。
「その依り代は、どんなものがいいんですか?」
「道具でもいいし、生き物でもいい。とにかくここに実在していることが重要なの」
 実際は道具に宿ることが多いらしい。もしくは物を長く使っていくうちに精霊が宿るとか。どこかの昔話みたい。
「でも、生き物を依り代にしたら、それまでの動物の人格とかはどうなるんですか」
「なくなるってことにはならないよ。そいつと精霊と半分半分かな。たまに元の性質がでちまうかもしれないけど」
「じゃあ、人間を依り代にすることは?」
「できないことはないけど。やったことはないからね」
 なんなら試してみる? という提案にあたしは丁重にお断りした。






過去日記
2006年06月24日(土) Home
2005年06月24日(金) ミュージカル・バトン
2004年06月24日(木) 「弟子の憂鬱」UP
2003年06月24日(火) やってもうた

2010年06月23日(水) 委員長のゆううつ。その2−23

「もしかして病気とか?」
「そんな大げさなもんじゃないよ」
 マリーナさんが言うにはこうだ。海の精霊だから、当然海の中にいるのが普通。その方が動きやすいし力も増す。逆に海から離れると力が弱ってしまうとのこと。
「もうおばあちゃんだもんね」
「アンタに言われたくないよ」
 じゃあ同じ海の住人のリズさんは? という疑問が当然わく。でも彼女はチカラとやらで耐性があるんだそうだ。それで、叔母さんの近くにいるとそれなりに耐性がつくんだそうだ。
「でも今ひとつなんだよ。何かしたかねぇ」
「ぎっくり腰とか」
 先輩が言ったら睨まれた。ちょっと怖い。
「あたしは里ができてからずっとここにいたんだ。たかだか十数年しか生きてないひよっこに言われたくはないね」
「人生経験は豊富だと思うけど」
「あたしに比べりゃまだまだひよっこさね」
 そんなもんなのかしら。
 異世界にきて一週間。時間と年齢の感覚だけは絶対なれないだろうなと脳裏でぼんやりと思った。
「依り代でもあったほうがいいのかも」
 依り代? 






過去日記
2005年06月23日(木) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,61UP
2004年06月23日(水) SHFH12−4

2010年06月21日(月) 委員長のゆううつ。その2−22

 柱を抜けるとそこは地上だった。
「ああ、大地が恋しい」
 今ならほおずりだってできそうな気がする。しないけど。
「海の中もいいけどやっぱり地上が一番だね」
 先輩も同意見だったらしく地上に着くなり大きくのびをしている。
「わたしは海の中に慣れてるから大丈夫だけど。カリンくんもそう?」
「そうですね。僕も地上の方が慣れてますから」 
 そうなんだ。てっきり霧海(ムカイ)の人だから海中の方になれてるのかと思った。そういえば朝に地上人だって言ってたっけ。
「マリーナは?」
 リズさんが隣に問いかける。マリーナさんは自分で海の妖精って言ってるくらいだから当然海の方が慣れてるんだろうな。
 そう思って視線をめぐらせると。
「マリーナ?」
 返事はない。どうしたんだろう。心なしか緑の輝きが薄くなってるような気がする。
「マリーナさん?」
 今度はあたしが声をかけると、緑の輝きが増した。
「今ひとつかな。久々の地上だからね」
「やっぱり調子悪いの?」
 自称叔母さんの声に、なんでもないと苦笑した。






過去日記
2005年06月21日(火) 気になっていたもので
2004年06月21日(月) 台風
2003年06月21日(土) SHFHプロローグUP。

2010年06月20日(日) 委員長のゆううつ。その2−21

「これで、何が起るんですか」
「大事な情報がわかるの」
 そう言って瞳を閉じる。光の具合からして本当にすごいことなのかも。そう思った矢先。
「今日の降水確率は30パーセント。ところにより一時、にわか雨がふるでしょう」
 天気予報ですか。
 少しして今度は柱の周りが空洞になった。
「乗って」
 促されるまま台の上に乗る。しばらくすると台が上昇しはじめた。
 まるで壁が透明なエレベーターにのってるような、そんな感じ。なんとなく幻想的な世界を想像していただけになんだか圧倒されてしまう。
「やろうと思えば海と地上を行ったり来たりできるんだろうけど。実際にする人は少ないかな」
「そうなんですか?」
 これだけ便利なものがあれば、海に旅行に行き放題なのに。そう思って尋ねると、海の方が気候も重力も安定してるんだそうだ。そういえば昔、そういうことを理科の授業で習ったような気もする。
 ……ん?
「これって一方通行なんですか?」
「そんなことないよ。ちゃんと地上からここまで降りれるよ」
 ということは。
「あたしを突き落とす必要なかったじゃないですか!」
「ちゃんとお姫様だっこしてあげたでしょ。だからチャラね」
「言い訳になってない!」
 天昇台の中はあたし達のそんなやりとりでごったがえしていた。






過去日記
2007年06月20日(水) アンケートを設置してみました。
2006年06月20日(火) こんな昇はいやだ。
2004年06月20日(日) ショックだったこと
2003年06月20日(金) 「EVER GREEN」2−10UP。

2010年06月19日(土) 委員長のゆううつ。その2−20

「柱ですね」
「うん。柱」
「どこからどう見ても大きな立派な柱だ」
 あたし、リズさん、先輩が思い思いのことを口にする。だって、そうとしか言いようがなかったから。
 海の中にそびえ立つ柱。横幅は三メートルくらい、縦幅は水面にさえぎられて見えない。水の中から上を見上げるなんてこと、そうそうはないだろうな。見上げながらふと思う。おかげで首が痛くなりそうだ。
「天昇台(てんしょうだい)って言うの。これで海の状態がわかるんだよ」
 マリーナお願いと言うと、マリーナさんは二つ返事でうなずいた。青の光が柱の前で止まる。しばらくすると、光が強さを増した。
「地上は晴れてるみたいだね。これならよさそう」
 あたしにはちっともわからない。天気予報みたいなもんだろうか。
「でも、ここからどうやって出発するんですか」
 リドックっていう場所が水の中ならいざ知らず。神殿もその場所も地上にあるらしい。じゃあどうやって行くのかというと。
「ここから行くの」
 柱を指さしたのは先輩だ。行きは水中に飛び降りて、帰りは柱ですか。ファンタジーってすごい。
「リズっちお願い」
 先輩が片目をつぶってお願いする。相変わらず軽いなぁ。任されたリズさんは同じく微笑むと柱の前に手を添えた。
「我は海を司りし者。我と竜の加護を受けし者の名において、汝(なんじ)を使役する」
 柱が青から、今度は蒼色に変わった。







過去日記
2005年06月19日(日) 「EVER GREEN」7−10UP
2004年06月19日(土) もうすぐ30000
2003年06月19日(木) 台風とバレー。

2010年06月18日(金) 委員長のゆううつ。その2−19

「準備もすんだことだしそろそろ出発しよっか」
 全員が集まったのを確認するとリズさんはそう言った。
「確か、時の城とやらに行くんですよね」
「うん。そう」 
「ここからそこまでって、どれくらいかかるんですか」
 地球時間では三月二十三日。春休みに入って三日目だ。ただでさえ無理を行ってこっちに来てるのに、長引くことになったらとんでもない。
 固唾をのんで見守るなか、自称叔母さんはこう言ってのけた。
「地球時間で一ヶ月くらいかなあ」
 ちょっと待った。
「リドックを通るには準備がいるんじゃないですか?」
「そっか。じゃあ二ヶ月かな」 
 なおさら待った。
「リドックってどんなとこ? ぼく行ってみたいな」
 先輩の話はどうでもいい。
「順序をおって話そうか」
 マリーナさんが言うにはこうだ。時の城とは霧海(ムカイ)や地球よりもずっと遠い場所にあるとのこと。そこに行くためには青の神殿とやらに行かないといけないらしくて。さらにそこへ行くためにはリドックという場所を径由しないといけないらしい。らしいらしいの連続だけど、見たことも行ったこともないから簡単に断定はできない。
 じゃあ、ここからどうやってリドックへ行くかというと。
「今日はその第一歩」
 目の前にあったもの。それはあたしが湖から落っこちてきた先にあった大きな柱だった。 






過去日記
2006年06月18日(日) 兄弟バトンです
2005年06月18日(土) 浄水器は我が家に必要か?
2004年06月18日(金) 「EVER GREEN」6−4UP
2003年06月18日(水) 嫌なことといいこと。

2010年06月17日(木) 近況です

前回書くだけ書いておきながら、続きをほったらかしにしていたもので。


正直に言えば。乳癌になりました。


とは言っても初期なので手術と薬云々でなんとかなりそうです。放射線治療までなるとちょっときついのですが。そこらへんは経過次第なのであまり考えないようにしようと思います。
体調的な変化はあまりないんですが。どちらかというと精神的なダメージが大きいかな。家の中でわけもなく泣いてしまうこともあったし。

今も完全にふっきれたというわけではありませんが。それでも連れさんがいるのでなんとかなってます。
落ち着いてきたらこっちの日記でも色々書いていこうと思います。



……って、どう見ても読んだ皆様を心配させているような(汗)。





とりあえず自分から言えることは。
自覚症状がなくても乳癌検診は早めに受診しましょうってことです(切実)。






過去日記
2006年06月17日(土) これってさ。ある意味自分との戦いだよね
2005年06月17日(金) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,60UP
2004年06月17日(木) 節約?
2003年06月17日(火) 昨日に引き続き。

2010年06月16日(水) 委員長のゆううつ。その2−18

 押し問答の結果、カリンくんと呼ぶことで一致した。口調は生まれつきなのでそう簡単には変えられないとのこと。
「カリンさんはどうやってみんなと知り合ったんですか?」
 だから別の質問をした。
 今いるのカリンくんに先輩、リズさんにマリーナさんの四人。それについ先日あたしが加わって合計五人になってしまった。もしゲームだったら五人パーティーといったところだろう。
「怪我をしているところを手当してもらったんです」
「怪我って、事故にでもあったんですか?」
「そんなところです。もしかしたら死んでいたかもしれませんが」
 意外だった。物腰柔らかい目の前の人が怪我をするようなおおごとをおこすなんて。
「僕は地上人(ちじょうびと)ですから。あんなことがなければ本来なら海人のリズさんとはまず会うことはないんでしょうけどね」
 あんなところの指すものを是非おしえてもらいたいところだけど。ここは自分から話してくれるまで聞くべきではないんだろう。
「怪我はもういいんですか?」
「さすがに一年もあれば完治しますよ」
 一年って。絶句しそうになり、ふと以前の会話を思い出す。
「あの。カリンくんっていくつなんですか?」
 見た目はあたしや先輩とほぼ変わらない。でも、リズさんのこともある。ここは見た目と年齢が一致しない異世界なのだ。今度、先輩も歳も確認しておこう。
「見た目通り普通ですよ。180歳です」
 全然普通じゃなかった。
「シホさんは? 僕と同じくらいに見えますが」
 そんなに長生きできるはずはない。
「……普通に16歳です」
 この人の一年はあたし達地球人のいうところの何日になるんだろう。そして、自称叔母さんの実年齢はいくつなんだろう。背筋が凍ってしまった。
「ある人から密命を受けているんです。それが完了するまで死ぬことはできません」
「それがイオ様?」
 問いかけにカリンくんが答えることはなく。
「行きましょう。みなさん待ってますよ」
 この時はまだ、彼の言葉の意味に気づくこともなく。異世界を理解するのに精一杯だった。






過去日記
2007年06月16日(土) きゅうりを飲んでみよう
2006年06月16日(金) 「EVER GREEN」9−5UP
2004年06月16日(水) 体重計
2003年06月16日(月) やばい(汗)。

2010年06月15日(火) 委員長のゆううつ。その2−17

 部屋を出ると、カリンくんに遭遇した。
「おはようございます。早いんですね」
 いつもと変わらぬ民族衣装。翠玉の瞳はあいも変わらずきれいで。
 腰には剣をたずさえている。たぶん、物語に出てくる騎士とかってこんな感じじゃないかしら。ぼんやりとそう思う。
「あたしは習慣づいちゃって」
 家では朝六時半に起きて準備をする。課学校までは駅まで徒歩五分と電車で二十分、終点から徒歩十五分の合計四十分かかる。課外は受けてないし八時過ぎに着けば充分だから、早めに起きて家で勉強することもある。人間、長年つちかった習慣はなかなか抜け出せないということだ。
「カリンくんも早いですね。いつもそうなんですか?」
 同じ言葉を返すと彼はそうですと続けた。
「なんだか寝付けなくて。うとうとしていたらこんな時間になってしまいました」
「寝付けないって、何か気になることでも?」
「いえ。海の中は何度来ても慣れないもので。 
 あと、皆さんは元気にしているのか、イオ様はどうしてらっしゃるのかと思うと」
「イオ様って?」
 何気なく聞いただけなのに、なんでもないですと淡く微笑まれる。むしろ、それよりもと顔を近づけられた。
「どうしてセイルさんは『センパイ』なのに僕は名前のままなんですか?」
 真顔で何を言い出すんだこの人。
「カリンくんは同じ学校に通っていたわけじゃないですし」
「だったらせめて、彼と同じように呼んで下さい」
 なんだか無茶苦茶な気もする。
「じゃあ、あたしに対する態度が変わったら私もあらためます。それまではくんづけで勘弁して下さい」
「僕は生まれつきだからいいんです」
 やっぱり無茶苦茶だった。 






過去日記
2008年06月15日(日) オリキャラ実は…バトンです。
2006年06月15日(木) 中間報告十七回目
2005年06月15日(水) 「EVER GREEN」7−9UP
2004年06月15日(火) パソコン教室
2003年06月15日(日) 父の日。

2010年06月14日(月) 委員長のゆううつ。その2−16

 異世界生活も四日目。身の回りの生活にはなんとなく慣れた。朝起きて、目の前にくらげが浮いてるのも驚かないしむしろ時間を確かめれるようにもなった。
「六時四十分か」
 ちなみに地球と霧海(ムカイ)の時差は六時間。腕時計の時間と照らし合わせて判明した。海月時計があるからする必要はないんだろうけど。それでも自分が地球人だというアイデンティティを確認するためにあえてはめている。
 顔を洗って髪をゆってメガネをはめて、といきたいところだけどここには水道がない。そもそも水の中に水があるというのも変な話だし。じゃあ飲まず食わずかというと、同じ海水を飲んでいる。魚だって水飲まなくても生活してるものね。身をもって感じることになるとは思わなかったけど。
 ストラップの石のおかげで水の中でも息はできるし霧の中でもある程度の見通しはつくようになった。本当は水を飲まなくても生活できるようになるらしい。その効果も加えようかと提案されたもののつつしんで辞退した。ただでさえとんでもない世界にきてるのに、このままとんでも体験ばかりしてるとそのうち魚になってしまう。だから、水のかわりにこうしてジュースを飲んでいる。洗面の代わりにはタオルで顔をふいている。これも家では毎日やってることだけどここではそう簡単にはいかない。
 制服の代わりにクロップドパンツ、キャミドレスに着替えて。
「よし」
 軽く頬をたたいて扉を開ける。今日は父親捜し第一日目だ。






過去日記
2004年06月14日(月) 家族って。
2003年06月14日(土) SHFHについて。

2010年06月13日(日) 委員長のゆううつ。その2−15

「じゃあ『時の城』ってところに向かう。当面の目的はそれでいいんですね」
 確認の意味をこめてリズさんを見つめる。
「うん。いーよ」
 にこにこと、やっぱり笑顔で。
 それ以上は突っ込まないことにする。詳しいことはおいおい話してもらうことにしよう。
「あとはこれ」
 携帯電話を指さされる。今はこれが名実共に地球との接点をつなぐ道具だ。
「そっちは?」
 次にさされたのはポケットに入った財布、のファスナーについてるストラップ。の先についてる石の飾り。手渡されたのは売店のお姉さんからだけど、よくよく聞くと、地球産なのはストラップの紐だけで他の石は霧海(ムカイ)産なんだそうだ。さらにたどればリズさんを径由してもらったとか。道理でこっちにきてしまったわけだ。
「それじゃあリズっちと愉快な仲間達、出発だね」
 何が愉快な仲間だかわからないけど、先輩が合いの手を入れる。
「ものは考えようか」
 発想の転換とも言うべきか。せっかくの春休みは有効に使わないとだし。さっさと捜してきっちり殴ってとっとと終わらせよう。

 こうして異世界での三日目は過ぎていったのだった。
  






過去日記
2007年06月13日(水) 中間報告二十一回目
2006年06月13日(火) 名前について
2004年06月13日(日) 「師匠と弟子と壺の一日」UP
2003年06月13日(金) SHFH6−1

2010年06月12日(土) 委員長のゆううつ。その2−14

「お父さんをぶん殴るには居場所をつきとめないとね」
 確かに筋は通ってる。でもそれですぐ見つかれば苦労はないし、そもそも母親が捜してすでにぶんなぐってる。
「心あたりはあるんですか?」
「あるよ」
 あっさり言われた。
「どこなんです」
「時の城」
 またわけのわからない単語が出てきた。今度はご近所の土産物屋にもない名前だ。
「その時の城とやらは、どうやったら行けるんです?」
「教えてもいいけど、しーちゃん一人で行くつもり?」
 図星をつかれた。
 この面々を信用してないわけじゃないけれど、顔を合わせたのはつい先日で。ここで手間取ってるよりも直にのりこんだほうが早いんじゃないかと思ったのも事実だ。なにしろ母曰く『ふらっと出てきてふらっといなくなる人』らしいから。今だって本当にそこにいるかも怪しい。
「気持ちはわかるけどさ。ちょっと落ち着きな」
 マリーナさんにたしなめられるも憮然としない。
「簡単に行けるところじゃないからね。ちょっとした手順をふまなきゃならないのさ」
 そうなの? と叔母さんを見ると紫色の瞳はにこにこと微笑んでいた。
「お兄ちゃんはあれでも神様だったから。でもわたしが着いてればだいじょうぶ」
「そうそう。急いてはことをしそんじるってね」
「前からおもってましたけど。先輩ってやけに日本のことわざ詳しいですね」
「そりゃあ、ぼくって勤勉家だから」
 一体どこまで本当なんだか。 






過去日記
2007年06月12日(火) ありがとうございました。
2006年06月12日(月) 乙女バトン
2005年06月12日(日) エウレカセブン
2004年06月12日(土) ふと思うこと
2003年06月12日(木) ビーチバレーと父の日。

2010年06月11日(金) 委員長のゆううつ。その2−13

「身支度もととのったしそろそろいくさね」
 マリーナさんの声に顔をあげる。
「今日はどこへ行くんですか?」
 気づいたら異世界で翌日は湖にダイビング。三学期の終業式が終われば即異世界へ。いい加減この展開にも慣れてきた。
 今いるのは『水の里』。地元にも同じ名前のお土産屋さんがある。実家にもどった時に念のために立ち寄ってみたけどそことは何の関係もなかった。手ぶらで帰るのも気がひけたから手近にあったふりかけを霧海(ムカイ)の手土産に買ってきたというエピソードもある。
「出発だよ」
 出発?
「しーちゃんの目的は何?」
 リズさんに顔をのぞきこまれる。旅の目的が何かと訊かれたら答えるのはただひとつ。
「親父を捜してぶん殴る」
「おー、詩帆ちゃん勇ましい!」
 隣で先輩が合いの手を入れる。だってそうじゃないか。わけのわからない場所に飛ばされたのは先輩に接触したからで、加えれば自称叔母さんのリズさんに興味を持たれたからで。叔母さんということは母親もしくは父親の妹ってこと。お母さんに妹はいないから残るは父親ってことで。元はと言えば、父親のとばっちりでこんなことになったわけ。顔もろくに覚えてないけどお母さんのぶんとあたし、二人分の落とし前はしっかりつけてもらおう。






過去日記
2006年06月11日(日) もうすぐ父の日
2005年06月11日(土) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,59UP
2004年06月11日(金) 「EVER GREEN」6−3UP
2003年06月11日(水) またまた変更です。

2010年06月10日(木) 委員長のゆううつ。その2−12

 参考までに、ここで男子二人の服装をチェックしておこう。
 先輩はフードつきのジャケットに中は七分袖のシンプルなカットソー。さらに下に黒い裾が見えてるから重ね着してるんだろうな。これまではそこから先に包帯が巻かれていたけれど、昨日全部とっちゃったからきれはしが見えることもない。足下は動きやすそうなパンツに靴。なんとなく場慣れしてると感じるのは気のせいだろうか。
 一方のカリンくんはというと。ゆったりとした大きな上着にズボン。まるでどこかの民族衣装みたいだ。翠玉の瞳とよく映えてるし。
 最後のマリーナさんはというと。本や図鑑によっては羽だけついてて服は着てないってこともあるけど。本人に聞いたら『そんなセクハラはやめとくれ』って言われました。異世界でもセクハラは通用するんですね。これであたしが当事者になっても一安心です。当事者が着ているのは生成のシャツワンピ。裾がレースになってて可愛い。服のセンスは次は絶対マリーナさんに選んでもらおう。
 こうしてみると、このメンバーってすっごいばらつきがあるのよね。自分がいたところに近いものからお姫様系というか。
 うん。なんというか。本当にすごい。
「この格好であたしの街歩いてたら絶対変な目で見られてますよ。異世界ってすごいですね」
「詩帆ちゃん、なんか感心するところがずれてない?」
 気のせいです。






過去日記
2007年06月10日(日) 「EVER GREEN」エピローグUP
2004年06月10日(木) 目標

2010年06月09日(水) 委員長のゆううつ。その2−11

 シャツの上にキャミワンピース。もちろん下には膝より長めのベージュのパンツをはいている。それだけだと寒いから、上にはパーカーをはおった。もうちょっと可愛くしてもいいのにというリズさんのつぶやきは聞こえなかったことにしておく。
「露出度が減った」
「変なこと言わないで下さい!」
 さっきの方が絶対可愛かった。先輩のつぶやきも当然無無視。そもそも一体どこまで本気なんだか。
「カリンくんはどう思う?」
 リズさんの視線があたしから唯一? の常識人に移る。彼はじっとあたしを見つめた後、一言。
「可愛いですよ」
 頬にはうっすらと赤みがさしている。お世辞とはわかっていても、つられてこっちまで紅くなってしまう――
「ですが、その。足を露出しすぎなんじゃないかと」
 ことはなかった。
「露出って」
「初めて会ったときも思ったんですが、リズさんもみなさん露出しすぎです。目のやり場に困ります」
 先輩の苦笑に頭をふってこの台詞。ちなみに前述したように薄地のキャミワンピースではあるものの、下にはパンツをはいてるし、肌が見えるといっても膝より少し下。制服の時は膝上五センチ。極端に長くも短くもない。
「わかった。君ってむっつりなんだろ」
「変なこと言わないで下さい!」
 変かどうかはともかくとして。今時珍しい純情青年ということはよくわかった。 

 






過去日記
2006年06月09日(金) 「EVER GREEN」9−4UP
2004年06月09日(水) 大阪日記。その4

2010年06月08日(火) いろいろぶっちゃけちゃおうということで

「ため込むよりもはき出したほうがいい」
というおたっしがあったので。さっそく書いてみようと思います。

一言で言えば、手術を受けることになりました。


二言で言えば、検査もろもろの結果が悪性でした。
(不幸中の幸いといえば)初期のものだったので治療としては手術と経過を見ながら薬剤投与、もしくはホルモン療法ということに。



正直、いつもの思い過ごしもしくはオーバーリアクション(自分で言うのもなんですが)だと思ってたのでショックといえばショックでした。まさか本当にそうなるとは。
話を聞いたとき泣きはしなかったものの動揺はしていたらしく。隣で連れさんが一緒にいてくれなかったらちょっとすごかったかも。


でも家についたらやっぱり泣いてました。「ごめんね」ばかり繰り返してたような。

手術までは普通に生活していいとのことだったので。仕事もいつも通りにやってます。
しばらくは後ろ向きなことばかり書いているでしょうが、それでもいつかは前向きになっていければと思います。





道のりは長いでしょうが無理しない程度に連れさんとがんばっていきます。






過去日記
2006年06月08日(木) おかげさまで
2004年06月08日(火) 大阪日記。その3

2010年06月07日(月) 委員長のゆううつ。その2−10

 プラム色のボレロを羽織ったような感じのワンピース。裾はふわっと広がっていて、スカートの部分は生成り色。フレア袖というんだろうか。手元はびらっと広がってるし胸元に施された細やかなピンタック。おまけにところどころにリボンがくっついている。
 良家のお姫様やお嬢様が着るには申し分ないけど一階の高校生が着るには荷が重すぎる。正直に言えば、恥ずかしい。男性陣の目がなければ急いで制服に着替えてるところだ。あたし、高木詩帆の身長は160センチジャスト。大柄ではないけど小柄でもなく。おまけにメガネもかけたままだからまったくもって似合ってない。リズさんもメガネかけてるけど。
「だったらはずせばいいじゃん」
 抵抗する間もなくメガネをはずされる。
「似合ってるよ。ほんと」
「……本当に?」
「ほんとほんと」
 視界がぼやけて表情がよく見えない。でもお世辞だってことはよくわかる。もしくは女慣れしてるのか。彼にいたっては両方だろう。たぶん。
「本当によく似合ってますよ」
 メガネを返してくれたのは翠玉の瞳の男の人。
 じゃあこのままでいこうかなと一瞬思ったものの。
「…………」
 あらためて自分の格好を見回して。
「もう少し、落ち着いたものにしてください」
 やっぱり人間、着慣れた格好に限る。かくして服選びは一時間も費やしたのだった。






過去日記
2006年06月07日(水) ダウン中
2004年06月07日(月) 大阪日記。その2

2010年06月06日(日) 委員長のゆううつ。その2−9

「そんなに大声出さなくても」
 懇願も空しくカーテンは開けられて。それでも見られるのは嫌だから残ったカーテンで体をかくす。
「いつまでもそのままじゃラチあかないだろ」
 隣でマリーナさんがつぶやく。事実なんだけどやっぱりやだ。
「こんなに似合ってるのに」
「リズさんはいいんです!」
 そう言って隣の自称叔母さんをかえりみる。ミント色の服は藍色の髪によくあっている。襟元にはリボンと中央にカメオ。裾や袖にはフリルがふんだんに使ってあって、その色はチョコレート。長袖のヨークドレスと言うんだろうか。俗に言うゴシックロリータとは少し違うものの、小柄と言うよりも華奢な身体にはよく映えている。
 対してあたしはというと。
「いいから出て行きなよ。これじゃ先に進めない」
「じゃあ進まないでください」
「そんな無茶苦茶な」
 無茶苦茶でも嫌なものは嫌なんだ。でもこのままじゃいけないってこともわかってる。せめてまともな服があれば。
 ああでもないこうでもないと考えあぐねていると。
「わっ」
 煮えをきらした先輩に残りのカーテンをひっぺがされた。
 じいっと見つめられること数分。
「似合うじゃん」






過去日記
2006年06月06日(火) 不幸体質
2005年06月06日(月) 「EVER GREEN」7−8UP
2004年06月06日(日) 大阪日記。その1

2010年06月05日(土) 委員長のゆううつ。その2−8

「絶っ対嫌です!」
 店中にあたしの声がこだまする。
「なんで? 可愛いよ」
 そりゃあ、あなたはいいでしょーが。似たような格好してるんだし。
「動きにくいじゃないですか」
 そもそもこんな格好自体着慣れてないんだし。
「その点は大丈夫。ね」
 なにが『ね』なのかわからない。『ね』の隣には緑色の発光体が。正確には小さな羽のついた女の人。
「マリーナ・クルヴェス。海の妖精さ」
「私は高木詩帆です」 
 海の妖精ってなんですか。と突っ込んだら失礼だろうか。ここは無難に頭を下げる。って、それどころじゃない。現状はまだ打破されてないんだから。
「動きにくいじゃないですか」
「長いことずっとこいつの相手をしてるけど。こいつは年中この格好でうろうろしてるよ」
 それに伸縮性があって汚れにくい素材を使ってるしと余計な情報を教えてくれた。なんでも、彼女がこしらえてくれたとか。この小さい体でどうやってとか思うけど、やっぱり今はそれどころじゃない。
「リズっちまだー?」
 しびれをきらしたのか、男性陣の声がする。
「いいよー」
「よくないです!」
「開けるよ」
「開けるなー!!」
 抗議の声も空しく。カーテンは開けられたのだった。






過去日記
2006年06月05日(月) ハヤテのごとく!
2004年06月05日(土) 「EVER GREEN」6−2UP

2010年06月04日(金) 委員長のゆううつ。その2−7

「その格好はよくないと思うの」
 翌日。開口一番に言われた台詞はこれ。
「どこがですか」
「目立つじゃん」
 あたしの問いに先輩が応える。今のあたしの格好はというと。紺色のブレザーにプリーツスカートという学校の制服。春休みになったとはいえ通学している学生はごまんといるし大して珍しい格好じゃない。
 ただし、ここが異世界だということをのぞけば。
「目立ちますか?」
「だから目立つって」
 先輩は無視してカリンくんに呼びかける。詩帆ちゃーん、もうちょっと優しさをわけてくれてもいいと思うんだけどって声が聞こえるも無視。最近、スルースキルが以前にもまして上達したような気がする。
「僕の故郷では珍しい服装かもしれません」
 翠玉の瞳は苦い笑みを浮かべている。やっぱり目立つらしい。あたしの学校では約300人の生徒がこれを着用してるんだけど、と言ってもここでは通用しないんだろう。
「わかりました。着替えます」
 多数決によりしぶしぶ同意する。目立つのは好きじゃないし、いらぬ被害はさけるにかぎる。でも今のあたしが持ち合わせる服といえば、今着ている制服とパジャマ代わりのシャツにジャージ。動きやすくはあるものの見た目はちょっといただけない。学校の運動着を持ってくる案もあったけどそれこそ目立つから却下。やっぱり夜着を着るしかないかと考えあぐねていた時。
「大丈夫。服ならわたしがしっかり準備してるから」
 自称、叔母さんの視線と笑みがなんとも怖かった。






過去日記
2006年06月04日(日) バランスボール
2004年06月04日(金) 白くま

2010年06月03日(木) 委員長のゆううつ。その2−7

「ずいぶん仲がいいんですね」
 半分苦笑混じりに言うと、そうかもねと返ってきた。
「彼女はぼくの恩人だから。できることはちゃんとかえしていきたい」
 真面目な顔。さっきまでとは全然違う。そんな顔もできるんだ。なんだかへんなの。
「もしかして妬いた?」
 かと思いきや、あっという間に元の表情にもどった。
「先輩は平和でいいですね」
「いいでしょ」 
 嫌みも通じないのか。それともわかっててそう言ってるんだか。
「本当にお父さんかは妖しいところですけど。こっちにきたからには二週間しっかり同行させてもらいます」
 もともと駄目もとというよりもうさんくさいし。リズさんが本当に叔母さんかというのも妖しいところだし。
「二週間、よろしくお願いします。先輩」
「こちらこそよろしく」
 こうして異世界三日目、正確には春休み一日目の夜はふけていった。






過去日記
2009年06月03日(水) ご無沙汰してました
2007年06月03日(日) 「EVER GREEN」11−15UP
2005年06月03日(金) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,58UP
2004年06月03日(木) Iさんパソコンをうつ

2010年06月02日(水) 転ががされたのを拾ってみた(笑)

和さんのところから勝手に拾ってきました。


1自分の書いた話の中で思い入れのある作品とキャラクターは何?

EVER GREENかなぁ。やっぱり。
学生時代からずっとあたためていた話。

と書くと聞こえはいいが、世界観が広がりすぎて三つくらいにわけてしまった作品。UPするようになって完結するまで五年かかってしまった。
具体的に言えば、とある高校生が斜め四十五度の下り坂人生をおくるお話。最終的には斜め十三度の上り坂になりました。
無事に完結できてよかったなぁ。
そういえば、A&Cのチャットで『鈍器使い』という大変不名誉な(?)二つ名をもらったことがあります。


2この人の書いたこの作品にもの申す〜

同じく愛の叫びということで。

「砂の楔」 高月祐さん
本当に好きでした。今も好きだけど。
主人公もだけど、セナくんがいい。あのひたむきな報われなさが……って、あれ?
興味本位でのぞいてみたら止まらない止まらない。個人的には三人の花火のシーンが印象的でした。あたたかくて、でもどこか切ない感じがして。
A&Cに入るきっかけをつくってもらった恩人(勝手に)です。

「Anjel Wings」 平塚ミドリさん
スペルが違っていたかも。すみません。
A&Cに入会して、初めて読ませてもらった作品。自分のサイトを作るにあたって色々読みまくって参考にさせてもらいました。
文字通りAnjel Wingsをめぐる物語。丁寧な描写が印象的でした。

お二方とも現在は作品をよむことができてませんが、そのうち復活してくれないかなぁと切実に思ってます。
と言いますか、皆様知ってたらぜひ教えて下さい。


3創作にあたって、自分が気をつけていることは何?

なんだろう。本当に感覚に頼ってたような気がする。普通はたくさん本読んで勉強してるんですよね。前に『もっと本読め』って連れさんにつっこまれたことあったし。
強いて言えば、視点がぶれないように気をつけました。三人称だとぶれまくりだけど。
あとキャラに対しては誰がボケか突っ込みかをはじめに決めるようにしてます。
……創作には全く関係のないことだなあ(遠い目)。
 

4あなたの創作に対する愛をぶちまけろ〜

基本的に文章書いたり読んだりするのが好きなんでしょうね。
これからも自分のペースで書いたり読んだりしていきたいです。






過去日記
2006年06月02日(金) 「EVER GREEN」9−3UP
2004年06月02日(水) やっと

2010年06月01日(火) 委員長のゆううつ。その2−6

「そっち(地球)に行ってもよかったけど、まずは恩を返そうかと思ってさ」
 いつもの表情にもどって言う。
「先輩って意外と義理堅い人間だったんですね」
「うん、そう。ぼくって義理人情に厚い人間だから」
 どの口がそう言うか。とつっこみたいところだけど。なまじ合ってるから
何も言えない。道案内をしてくれたからとあたしとリズさんを引き合わせてくれて。まがりなりにも守るとか言ってもらって。

『詩帆のことはちゃんと守るから』

 白馬の王子を待つ乙女というわけではないけれど。面と向かって言われると照れるものがある。実際は毛布越しだったから表情は見えなかったけど。それでも真剣だってことだけはわかった。
『人殺しさ』
 明るい声で言った台詞は現実とはあまりにもかけ離れていて。あたしの人生もそこそこドラマチックだけど、先輩にもきっと何かがある。それは予感じゃなくて確信。そもそも普通の人間なら暗殺なんて物騒な言葉は使わないし腕にそんな傷をおったりもしない。だけど、この時のあたしは許容量がいっぱいで、何かがあるとは思いつつも心のすみにとどめておくことにした。
「どうなるかわからないけど、のんびりじっくりやってくよ」
 そこだけは、あたしも賛同しかねるところだったけど。
「あたし、二週間しか時間ないんですけど」
「大丈夫だいじょーぶ。時間の感覚ならリズっちがなんとかしてくれるから」
 なまじできそうなだけに末恐ろしい。 それにしても『せーちゃん』だの『リズっち』だの仲が大変よろしいことで。






過去日記
2007年06月01日(金) ホームページビルダーで小説サイトを作ってみよう 1
2006年06月01日(木) ミクシをはじめてみよう
2004年06月01日(火) SHFH12−3
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香澄かざな 

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