NM Syndrome DiaryINDEX|past|will
久しぶりにいいお天気で小春日和の陽気だった。 縮こまらないで外を歩くのは気持ちがいい。 マフラーなしでも大丈夫。 このまま春になりそうと錯覚してしまうが勿論そんなわけはない。 まだまだ大寒が控えている。 冬本番はこれからですわ.........。 「幻月と探偵」伊吹亜門著 重たい気分を抱えたまま夜中に読了したので昨夜は寝つきが悪くて困った。 厳寒の哈爾濱(ハルピン)の凍てつく寒さ、ぬかるんだ道路、ウォッカ、煙草、阿片、関東軍、憲兵、露西亜、漢人、猶太(ユダヤ)人......。 多国籍で雑多、いかがわしく混沌とした闇、不穏な空気の中を一人探偵が往く。 思い出したのは森川久美の「南京路に花吹雪」シリーズだった。 あれは中国を舞台にしていたと思うけど多分時代はリンクしている筈。多分。 このあたりの歴史は非常に不得意とするところなのでどうにもあやふやだ。 五族協和なんて初めて聞いた気がする(忘れてるだけ?) 学校でも駆け足でなぞっただけなんじゃなかろうか。 もしかしたら日本人として正面から向き合いたくない時代なのかもしれない。 歴史ミステリーではあるが極めてオーソドックスなハードボイルド探偵譚でもある。 犯人当てとしてはこの人かなと推測した人物がやっぱり犯人でそこに意外性はないしトリックというほどのものもない。 勿論そこが主眼ではないだろうからどうでもいい。 動機に納得がいかない人もいるようだが、個人的にはわからなくはなかった。 そのために巻き込まれた人々は気の毒だけれど。 探偵である月寒にもう少し強烈なキャラクターがあれば、とも思ったが、逆にこの没個性が探偵らしいとも言える。 輪郭が全く想像できないものの、ヘヴィスモーカーで仁和寺の近くに実家があり甘粕正彦と知り合いで石原莞爾の案件を解決した、という月寒三四郎。 ふむ、これだけでは全然ビジュアルが想像ができない(笑) ただもうやたらと煙草を吸う。 一人に事情を聞く間に5,6本は吸っているんじゃないだろうか。 ...........嫌いじゃないよ。 満州という土地ときな臭い時代を一人の探偵と共に往くのは魅力的だ。 ぜひシリーズ化して欲しい。 ネタバレになるかもしれないので下の方に書いておく。 毒殺という手段はとても女性的だと思う。 あと最初に持ち込まれた事件との関連はすぐに気づきそうだけどなあ。 似たような事案だったし。 「三つの太陽」は特徴的な語句なので小柳津氏の過去の軍歴に絡むというのも推測できそうだけどそのあたりは展開が甘かったかな。
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