休日ぐらいはダンナの子育て戦力をあてにしたいところだが、休みの日こそゴロゴロしていたいダンナは、一歳児のたまよりもよく寝る。整骨院に行く間の30分だけ見ててと言い置いて家を出たら、帰宅したとき、ビエ〜ンと泣く娘の傍らで、高いびきをかいていた。二時間後に目を覚ましたダンナに「あれだけ泣いてるそばで、よく寝れるよね。死んでるかと思った」と恨み言を述べたら、「ひょっとして、パパが死んじゃったと思って、泣いてたんじゃない?」と切り返された。子育て戦力は頼りないが、鈍感力は堂々たるもの。怒る気も失せ、吹き出してしまった。目を離している間にケガをしたわけじゃないし、「ま、いっか。笑わせてもらったし」とこちらも鈍感力で応じた。いま、『求めない』(加島祥造)という詩集が売れているという。書評などから察すると、「求めることをやめると、気持ちが楽になり、幸せになれる」という内容らしい。期待するとそこからの引き算になるのでソンした気分になるが、期待しないとゼロから積み上げるのでトクした気分を味わえる。これ、自分の子育てにあてはめると、説得力がある。ダンナに子育て戦力として期待すると、「おむつを替えてくれない」「子どもが起きているのに寝てる」などと不満たらたらになってしまうが、「いないよりはまし」ぐらいに思っておくと、イライラも半減する。 2006年11月11日(土) ウーマンリブvol.10『ウーマンリブ先生』2003年11月11日(火) 空耳タイトル2002年11月11日(月) 月刊デ・ビュー
2006年11月11日(土) ウーマンリブvol.10『ウーマンリブ先生』2003年11月11日(火) 空耳タイトル2002年11月11日(月) 月刊デ・ビュー
友人でCMプロデューサーの山下さんから「東京で本格的に仕事することになった関西の女優さんと会うんですが」と声をかけていただき、新宿御苑のミュンヘ。山下さんから女優の内田淳子さんと所属事務所ユマニテのマネージャー・玉井さんを紹介される。山下さんは十年ほど前に舞台で内田さんを観て雷に打たれ、以降、足しげく舞台を見ては「お仕事しませんか」と声をかけてきたのだけど、まだ成立はしていないという。それだけ長い知り合いでありながら、一緒に食事をするのは初めてということで、「こんな貴重な場に居合わせちゃっていいんですか」と恐縮。石川県出身で大学は京都だったという内田さん。わたしの学生時代の下宿のすぐ近くに住んでいたことがわかり、食べ物屋の話で盛り上がる。玉井さんのお姉さんが前田哲監督と親しいこともわかり、共通の話題が接着剤になって、あっという間に打ち解けてしまった。舞台の内田さんは素顔とはがらりと変わり、「神憑り」になるのだという。「今井さんも一度観たらびっくりしますよー」と山下さん。知る人ぞ知るすごい女優さんなのだった。舞台版『紙屋や悦子の青春』のヒロインも務めていたそうで、「出産前に見た最後の映画があれだったんですよ。元祖・紙屋悦子は内田さんだったんですかー」と興奮。ぜひとも生のお芝居を観てみたくなる。12月12日(水)〜16日(日)、こまばアゴラ劇場にて上演される壁ノ花団の第三回公演『悪霊』で「だだっ広いジャガイモ畑に生えている女」の役をやるのだそう。二次会は、以前山下さんに連れてもらったことのある新宿三丁目のburaへ。ここは映画関係者がよく集まる店とのこと。「『子ぎつねへレン』の」と山下さんが紹介してくれると、プロデューサーの名前がすぐに挙がり、「ときどき見えますよ」とのこと。三人の共通の知り合いであるキャスティングの山内さんも合流し、内田さんのマネージャーの玉井さんがうちの娘のたまに似ているという話、内田さんが京都でのアルバイトで知り合った嘘のような本当のお嬢様の話、など時間を忘れて話しこむ。夜飲みに出かける機会が年に数えるほどになると、ここぞとばかり楽しもうという気持ちになり、ありがたみがある。 2004年11月10日(水) トレランス二人芝居『嘘と真実』2002年11月10日(日) 黒川芽以フォトブック
2004年11月10日(水) トレランス二人芝居『嘘と真実』2002年11月10日(日) 黒川芽以フォトブック
啓蒙ビデオ『冷凍食品のふしぎ』のお仕事でご一緒した島袋千栄さんの個展へ。今回は島袋さんのキャラクターのひとつ、「メリーさん」という女の子が主人公。目が離れていて鼻ぺちゃなファニーフェイスのメリーさんは、わが娘たまに雰囲気がそっくり。いつも以上に親しみを覚えて見せていただく。
2006年11月09日(木) マタニティオレンジ26 六本木ヒルズはベビー天国2005年11月09日(水) 『ブレーン・ストーミング・ティーン』がテレビドラマに2003年11月09日(日) 小選挙区制いかがなものか2002年11月09日(土) 大阪弁
近所にオープンした整骨院に8月から通っている。気持ちがよくて、体調がよくなるほかに、楽しみなのが、おしゃべり。院長(三十代男)と天然ボケの助手のウキちゃん(二十代女)のかけあいは漫才のようで、つい噴き出してしまう。そこにわたしや他の患者さん(カーテンに隔てられて顔は見えない)も加わって、長屋の立ち話のようになる。日頃から「頭のテープレコーダー」を回し、ネタの仕入れに余念がないわたしにとって、助手のウキちゃんの際立ったキャラは、ネタの宝庫。その面白さを一言で言い表わすと、「意表を突かれる」ところにある。実生活で出会ったことがなく、ドラマや映画でもお目にかかったことがなく、頭を捻っても産まれそうになく、飛び出すネタは予測不可能。そんな天然記念物級キャラを徒歩五分で拝めるとは、ありがたい。拝むといえば、ウキちゃんには「鎌倉で拝まれた伝説」がある。待ち合わせで立っていたら、大仏を見に来たおばあさんが手を合わせたのだという。事実ではなく誰かが始めた作り話らしいが、「聞いた人が皆、真に受けてしまう」うちに伝説となってしまった。整骨院の二軒隣にあるインドカレー屋のインド人も、ウキちゃんを見ると「ナマステ」と手を合わせる。これは院長が目撃した、とまことしやかに語られている。大仏に間違われるほどスケールが大きなウキちゃん、体は縦にも横にも大きく、迫力では院長を優にしのぎ、ときどき「院長です」と勝手に名乗る。院長が「何かあったら連絡してよ」と言い置いて留守にしても、「何かあっても絶対連絡しねーし」と言い返し、「あたしも人生考えちゃいますよー。院長についてきちゃっていいのかなーとか」と患者に愚痴ったり、言いたい放題。でも、上には上がいて、院長とウキちゃんが働いていた前の整骨院でウキちゃんに「最低!」呼ばわりされたニキちゃん(男)は、「やったね。最低ってことはこれ以上悪くならないってことだね。あとは上がる一方だよ」と喜んだとか。整骨院の笑いのレベルはけっこう高いのかもしれない。顔のパーツも大きく、「ロシア出身」の噂もあるウキちゃん。院長は「オホーツク海を渡って水揚げされたんですよ」と真顔で言う。「水揚げされたときからは、だいぶ日本語もうまくなったんですけど」。とはいえ、ウキちゃんの言葉づかいは独特。とくに接続詞の使い方が怪しい。「部屋探してんですよねー。ドームのそばは高いし。ないしは、院長と住むか」。「ないしはって何だよ!」と家庭を持っている院長が突っ込む。巨人ファンで東京ドームが好きなウキちゃん。ドームを見ると、「わたしってまだまだ小さいなあ」と思うのだそうだ。ドームを見下ろせる部屋に住むのが夢らしい。やることなすことでっかいウキちゃん。整骨院のすぐ近くにあるお肉屋さんの牛タタキがおいしいですよ、と教えてあげたときのこと。「軽く表面を凍らせて、薄〜く切って食べるのがおすすめです」とおすすめしたら、「ここ、包丁置いてないんで、まるかぶりですね」と豪快。また、パソコンがうまくつなげなくて、コールセンターに電話したときのこと。「マックですか、ウィンドウズですか」と聞かれて「ノート型です」と答え、相手を絶句させた。勘違いや思いこみのスケールも、半端じゃない。整骨院の自動ドアを「オートドア」と誰かが言ったとき、「ウォーター=水」と知った瞬間のヘレン・ケラーのように「オートって自動って意味っすかー!」と感動に打ちふるえ、「じゃあオートバイって何だと思ってたの?」と院長に突っ込まれると、「商品名」と答えた。居合わせた女子高生に「常識」と言われ、「お前、何でも知ってんな」とウキちゃんはいたく感心したとか。その会話、ライブで聞きたかった。日々、伝説を生産中のウキちゃん。自分たちだけで笑っているのはもったいないので、「ブログ書いたら」とすすめている。「今日の猫村さん」ならぬ「今日のウキちゃん」の四コマ漫画も人気が出そう。それを一話一分ぐらいの超ショートムービーにして……。プロデューサー様方、いかがでしょう。 2003年11月06日(木) よかったよ、ガキンチョ★ROCK
2003年11月06日(木) よかったよ、ガキンチョ★ROCK
ここ数か月、9キロ前後で横ばいを続けていた娘のたまの体重が、先月保育園で測定した9.1キロからひと月で9.6キロにふえた。ひさしぶりに体重貯金をしようと郵便局へ行ったら、ATMは故障中。窓口に並ぶと、わたしの前で「この近くにATMはないんですか」と70歳代ぐらいのご婦人が訴えていた。窓口で送金するよりATMからのほうが手数料が安いのだが、最寄りのATMまでは歩くとちょっと距離がある。かといって、本来払わなくていい割高な手数料を払うのは納得がいかない。そんな状況だと察した。「困ったわねえ。どうしましょう」「申し訳ありません」と押し問答がしばらくあったが、結局、ご婦人は窓口での送金をあきらめたようで、窓口を離れた。後ろに並んでいたわたしとすれ違う時、耳に飛び込んできた一言が強烈だった。「この役立たず」。それまでの困り果てたやりとりからは品のようなものも感じられたのだが、あれは同情を買うための演技だったのか。捨て台詞に本性見たり、と怖くなった。窓口のお姉さんにも聞こえていたはずで、ご婦人が出て行った後、お姉さんの反撃の台詞が聞けるかと耳を済ませたが、この手の罵倒には慣れているのか、仕事モードだからか、何もなかったかのように「いらっしゃいませ」と次の客であるわたしを出迎えた。 2005年11月05日(土) 開東閣にて「踊る披露宴」2004年11月05日(金) 『催眠リスニング』1か月
2005年11月05日(土) 開東閣にて「踊る披露宴」2004年11月05日(金) 『催眠リスニング』1か月
「紙コップの使い方」の話を書いた矢先、今朝の朝日新聞に「ものは潜在する用途の束だ」という言葉を見つけた。丸いグラスを「文鎮」として。あるいは円を描く「定規」として、ときには「武器」として使う例が挙げられていて、「グラスで100案」を考えるのも面白そうだと誘惑にかられた。武蔵野美術大学の原研哉教授のキャンパスブログというコラムで、今日のテーマは「ガムテープ」。ものと同じくイメージもまた「潜在する用途の束」であるとし、大学の講義で出した「ガムテープの2番目の機能をデザインしなさい」という課題に答えた学生のアイデアが紹介されていた。海苔のビジュアルをプリントしたガムテープを白いエアパッキンにくるんだ食器を巻きつけると、「おにぎり」のできあがり。「お、お、お……。」「う、う、う……。」といった言葉が印刷されたガムテープは、荷物のうめき声を聞こえさせる。感心したのは、ブルー地のテープに豆粒大のサーファーのイラストを点在させたデザイン。「テープを手でちぎると、ちぎった部分に紙の白地が露出して波のように見える」というくだりを読んで、いいとこに目をつけたなあ、と膝を打った。わたしだったら、と真っ白なガムテープを思い浮かべてみた。まっ先に考えたのは、目盛りを入れるデザイン。ガムテープに巻尺がついているというか、巻尺に接着機能がついているというか、荷物のサイズが計れて便利。実際にあるかもしれない。次にイメージしたのは、ランダムに音符を並べた五線譜。どこを切り取るかで違うフレーズが生まれる。他には、いろんな国の言葉で「大切に扱ってください」とメッセージする、延々と続く漫画、いっそ映画のリールを焼きつける。でも、トイレットペーパーでもいいわけで、ガムテープの特性を活かせていない。サーファー案ほど面白くないけど、ちぎり目の白をかじり目に見せて、ウエハースやビスケットを印刷するのはどうだろう。いっそガムテープにちなんでガムもいいけど、包み紙がついていないと、粉をふいた板にしか見えない気もする。 2006年10月29日(日) おいしい国、日本。2005年10月29日(土) お茶→シュウマイ→お茶 6時間プレ同窓会2003年10月29日(水) 日米合作映画『Jenifa』完成試写2002年10月29日(火) 『風の絨毯』ワールドプレミア
2006年10月29日(日) おいしい国、日本。2005年10月29日(土) お茶→シュウマイ→お茶 6時間プレ同窓会2003年10月29日(水) 日米合作映画『Jenifa』完成試写2002年10月29日(火) 『風の絨毯』ワールドプレミア
昨日の愛知工業大学での出前講義で、発想力を筋トレする一人ブレストの例題として取り上げた「紙コップの使い方」は、わたしが就職した広告会社の入社試験に出た一問。試験前夜、対策のために読んだ発想法の本にアイデアをひねり出すコツが書いてあった。アイデアは組み合わせである。たとえば、あるモノの使い方を考えるとき、そのモノとは別なモノをどんどん思い浮かべて、こじつけでも組み合わせればよろしい、と。読みは当たり、わたしは答案用紙を「紙コップの使い方」で埋め尽くすことができた。紙コップから発想するとすぐに行き詰まってしまっただろうけれど、紙コップから離れたところにヒントを探る方法だと、答えは引き出しやすくなる。その発想本には「まずは100案ひねり出せ」とあった。100案足し上げようとしたら、離れ業や飛び道具が必要になってくる。そこに突拍子もない発想が生まれるチャンスがある。頭をやわらかくする体操をしながら、跳躍の機会をうかがえ、というわけだ。大学四年生だったわたしは100案をひねり出したと思われるが、今もそれができるだろうか、と名古屋へ向かう新幹線の中でふと不安になった。入社試験は「紙コップの使い方」「十色そろった地下足袋のネーミングとキャッチコピー」「『馬の耳に念仏』の解釈を1000字以内で」の合わせて三問を制限時間三時間で答えるというものだった。三時間。新幹線で東京から大阪に移動できるだけの時間。今だったら集中力が持たないが、将来を懸けた勝負に若さと意地で食らいついていたのだろう。今のわたしは、若さと体力は衰えたけれど、発想力は鍛えられている自負はある。過去の自分に挑戦するつもりで、名古屋到着の45分前あたりから頭をひねってみることにした。まずは基本から。キッチンのテーブル周りに紙コップを置く。このとき、ビジュアルをできるだけ具体的に思い浮かべるのがコツ。ドリンクを飲む スナックを入れる 唐揚げを入れる 野菜スティックを立てる かき氷を入れる 計量カップにする 調味料をまぜる ごはんの型を抜く型を抜くといえば、クッキーの型を抜く 粘土の型を抜く残りものに虫がつかないように、蓋をする虫をよけるのと逆の発想で、虫をつかまえる 虫かごキッチン周りでもうすこし膨らませて、紙コップを食器棚や冷蔵庫やオーブンに移動させてみる。醤油さしを受ける 辛子チューブを立てる ゼリーを固める カップケーキの型にする そうだ、前にこんなことがあったと思い出した。しゃもじにするそれがありなら、これもありだろう、といもづる式にスプーンにする おたまにする 穴をあけて穴杓子にする マッシャーにする めん棒にする穴を開けたら、こんな使い方も。プラネタリウム シャワー じょうろ 水切り網 粉ふるい 展開したら、鍋つかみ 鍋しき 皿 うちわこの辺でキッチンから洗面所に移動。薬を飲む 歯みがき うがい 入れ歯入れ コンタクトレンズ消毒洗面所から書斎に移動。ペン立て メガネ立て 携帯立て クリップ入れ 絵の具バケツ 画鋲ホルダー(差して保管) 書斎にはコンパスがあるけれど、紙コップも丸い。円を描く ちょっと変化球で、面積を求める 体積を求める 苦しいけれど、やれないこともない、しおり ブックエンド こじつけついでに、ドアストッパー 家具の転倒防止ストッパーふさぐつながりで、シューキーパー 穴をふさぐ そうだ、紙コップは紙ではないか。メモ帳 便せん キャンバス スクリーン 名刺(パーティで名刺ないときに名前書いて渡す人、いるいる) 加工するなら、ステンドグラス工作表面に印刷して、広告媒体そういえば、この形は何かに似ている。ランプシェードその場合、底の丸は抜いたほうがいいかもしれない。その形は、人形のスカート メガホン屋内から屋外に移動して、ベランダへ。バケツ スコップ 植木鉢 植物の名札 ふるい 落ち葉を集める植木鉢の鉢つながりで、金魚鉢 金魚をすくう(昔、死んだ金魚をすくったことを思い出した)落ち葉を集める、から基本を思い出す。ゴミ箱 ちりとり 灰皿 検尿ベランダの花を活けなくちゃ。花瓶他にベランダで使うものといえば、キャンドルホルダー 洗濯バサミ受けキャンドルといえば、キャンドルを固める固めるといえば、雪を固める 雪といえば、雪かきシャベル 雪だるまの帽子かぶりものつながりで、鼻にする 耳にする さるぐつわにする 目隠しにする 大切なところを隠す 身に着けるものつながりで、腕輪 首輪 足かせ ギブスおもちゃにするのを忘れていた。手品 糸電話 丁か半か 輪投げの的 転がす 蹴る 投げる 犬のおもちゃ(歯がため) 赤ちゃんのおもちゃ ドラム 音が鳴るものを入れてつなげてマラカスここで100案超えたけれど、重複してるっぽいものも多いので、余分にもう少し。中の詰め物をぎっしりにしたら、ダンベル まくら 重石ひっくり返して、アリ相撲の土俵 ネズミの傘 小人のテーブルそうか、使う人がうんと小さかったら、まだまだ出てくる。小人の船 小人の風呂 小人のプールそろそろ百案。割れものを守る ラッピング材 音響をよくする 部屋を飾る110案超え。苦しくなると、こんなのが出てくる。並べてベッド サンドバッグ(ストレス発散) 肘置き 紙吹雪 リサイクルする 燃やして暖を取る 灰を肥料にするこれで121案。大学を出てからコピーライター時代も脚本を書くようにかってからもブレスト道場で百戦錬磨したおかげで、頭はさびついてない様子。視点をどんどん変えていくこと、連想でどんどんつなげていくには持ちネタの引き出しの数がものを言う。その引き出しが、年の功で充実してきたようだ。まだ引き出しが少ない場合は、雑誌や新聞やネットを脳みその出張所に使えばいい。雑誌のページをアトランダムに開いて、紙コップを置いてみる。花のページなら花瓶、魚のページなら金魚鉢、車のページなら灰皿、という風に、そのページにあるものと紙コップの接点を見つけていく。大事なのは、出てきた答えよりも、それを引き出す過程にある。脳みそに嵐を起こして、在庫確認と整理をしつつ使える情報を選び取るブレーン・ストーミングの作業は、頭の引き出しを使いやすくする。脳のウォーミングアップにかかる時間が短くなり、エンジンがかかるのが早くなる。こじつけでもひとつのモノの可能性をつきつめて考える練習をしておくと、「新製品の売り出し方法」などに応用したときにもひらめき確率がアップする。脚本を書く場面では「主人公の職業」「男女の出会い」などを何通りものパターンから選びとる作業が発生するが、そんなとき、短い打ち合わせ時間の中で光る組み合わせを思いつく瞬発力がモノを言う。学生だったら、入社試験の制限時間内に最大限の発想力を発揮しなくてはならない、という状況の時に、筋トレの成果が出る。「消しゴム」「手ぬぐい」「縄跳び」など、身近にあるものを例題にやってみると、めきめき力がつくこと間違いなし。 2004年10月27日(水) TakashimaKazuakiの服
2004年10月27日(水) TakashimaKazuakiの服
益田祐美子さんの紹介で、愛知工業大学での1コマ90分の時間をいただいた。昨夜、たまを寝かしつけたついでに一緒に寝てしまい、「しまった! パワーポイントが未完成」と二時過ぎに飛び起き、ファイルを仕上げたのが四時前。頭で組み立てたスライドの順番と、実際に話そうとする感覚の順番のずれを試行錯誤で調整していると、びゅんびゅん時間が過ぎる。プレゼン前っていつもこうだったな、と広告会社時代を思い出したりした。新幹線の前でもう一度おさらい。名古屋駅で担当の森豪教授に迎えていただき、タクシーで大学へ。愛・地球博の跡地を通り過ぎ、高速代も含めると九千円を超える距離。移動しながら「学生は六千人ほどで、女子は約一割」「来年創立五十周年。それに合わせて学生の手で映画を作る計画がある」「今回の講義は、学生に広い視野を養ってもらうためのもの」といったお話をうかがう。益田人脈の十五人の映像関係者が週替わりで持論を語る90分。わたしの学生時代に受けてみたかった。事務室で講義開始時間を待つ間、和紙職人であり大学職員である佐藤友泰さんより奥の深い和紙の世界を語っていただく。もとは、書道用の紙を極めたのがきっかけで、この道三十年。利益を追い求めると妥協が生まれるからと、収入は定職から得て紙では稼がない、と決めているところが職人。広い大学構内の移動に時間がかかり、五分遅れて講義をスタート。百人に絞り込まれたという学生さん、男子が圧倒的多数。開始早々居眠りを決め込む者、若干名。この人たちを起こすつもりで話しはじめる。脚本家の仕事は動詞ひとつでくくると「つなげる」ではないか、というbukuの連載エッセイ第一弾での発見をふくらませ、「発注の9割はコネ 作業の9割はブレスト」であることを今井雅子作品の実例で紹介。今日の講義もコネ×ブレスト。自分と学生さんたちとの接点=「わたしもかつて学生であり、彼らはやがて社会人になる」をとっかかりに連想ゲーム感覚で構成を組み立てた。後半は実践編。人をつなげる「人脈」とアイデアをつなげる「発想力」のかけあわせで「つなげる力」は最大化されること、それぞれの強化方法などを話す。そして、わたしが就職した広告会社の入社試験に出題された「紙コップの使い方を思いつく限り考えよ」を例題に、学生さんたちに一人ブレストに挑戦してもらう。壇から降りてマイクを向けると、しどろもどろになりながらも「糸電話」が出た。さらに助け船を出して「水を飲む」「採尿」を引き出す。もう一人は、考え込んでしまったので、「コップをベランダに移動させてみましょう。このとき、ビジュアルを思い浮かべるのがポイント。さて、あなたのベランダには何がありますか」と問い方を変えると、「洗濯物があります」の答え。わたしはとっさに「紙コップに洗濯物を入れるのは難しいですが、洗濯バサミを挟むのには使えますね」と返したけれど、「長袖の内側に入れて、ピンっと張らせるのに使えますね」という答えがあったと後で気づいた。スライドをあと十枚ほど残したところで突然「ありがとうございます」と森教授に言われて面食らう。4時20分から5時50分までのコマだったので、てっきり最終だと思っていたのだが、まだこの後に講義があり、おしりがつかえていた。駆け足で十枚を消化し、わたしの書いた本にサインを求められたときに添えるメッセージを贈る言葉としたところで時間になり、学生さんたちは一斉に大移動を開始した。次の教室に移動する頃には、聞いた話はほとんど消えてしまって、週末を超えれば、何も残っていないかもしれない。それでも、一言二言、あるいは言葉という形でなくても、何かこれからの人生につながるものを受け取ったと言ってくれる学生さんが一人でもいてくれたら、「つなげる仕事」を果たせたことになる。 2004年10月26日(火) ジュアールティー1年分
2004年10月26日(火) ジュアールティー1年分
今日10月22日で娘のたまは14か月になった。13か月まで続いた月例(齢)の誕生日ケーキはやめ、誕生日らしいことは何もしなかったけれど、「22日」という日付には、「また一か月経ったな」という感慨を覚えた。先月の末に大阪に帰って、わたしの実家の広い床をのびのび歩いた成果か、歩き方はずいぶんしっかりしてきた。食欲は旺盛で、好き嫌いなくもりもり食べる。気持ちいい食べっぷりであり、まだ食べるか、と呆れるほどでもある。いつの間にか歯は奥のほうまで生えてきていて、蓮根も人参も噛んでつぶして食べている。歯磨きをいやがるのが悩みのタネ。歯ブラシをおもちゃがわりに振り回したり噛んだりはするけれど、仕上げ歯磨きをやろうとすると逃げ回る。子ども用歯ブラシのビニールの歯の先っぽが消えていて、どうやら遊んでいるうちに噛み切ったらしい。ビニールの先っぽは胃の中に消えたのか、だとしたら、その後体外に出てきたのか気になる。しっかり固まったいいウンチを毎日欠かさず、便秘に悩むこともない。言葉も歌も教え込もうとはしていないけれど、少しずつ吸収している様子。歌やダンスが好きで、わたしが歌ったり踊ったりすると、よく反応する。表情が豊かで、声を上げてよく笑ってくれるので、育てがいはある。あいかわらずおっぱいから卒業する気配はないけれど、二足歩行をするようになり、上下セパレートの服を着るようになると、赤ちゃんというより子どもと呼びたくなる。赤ちゃんの時代ってずいぶん短い。 2006年10月22日(日) マタニティオレンジ23 たま2/12才2005年10月22日(土) おばあちゃん99歳2004年10月22日(金) クリオネプロデュース『バット男』2002年10月22日(火) 大阪では5人に1人が自転車に『さすべえ』!
2006年10月22日(日) マタニティオレンジ23 たま2/12才2005年10月22日(土) おばあちゃん99歳2004年10月22日(金) クリオネプロデュース『バット男』2002年10月22日(火) 大阪では5人に1人が自転車に『さすべえ』!
友人マツエが遊びに来た。最後に会ったときのことも日記に書いたけれど(2004年4月27日 二級建築士マツエ)、そのとき以来ということは、三年半ぶり。広告会社時代に組んで仕事をしていたアートディレクターのミキの美大での同級生で、ミキもまじえてスキーに行ったりミキの実家に泊まりに行ったりしたかと思うと、次に会うのは一年後というような関係だったのだけど、ときどき思い出したように会っても、空いた時間を感じさせない。マイペース同士、波長が合うようだ。キッチンまわりのインテリアデザイナーとして独立したマツエの事務所にわたしが名前をつけたので、お礼がてらごはん食べようということになり、ひさしぶりの再会が叶った。「子どもいるし、うちでごはん食べられると助かるんだけど、なんか食べるもの適当に持ってきて」。三年半ぶりでもそんなことをお願いできてしまう。タッパーに詰めたおかずと自由が丘のロールケーキを持って現れたマツエに、わたしはカレーをふるまった。「カレーとアボカドが合う」ということを最近知ってはまっているのだけれど、マツエも「うちでもやってみよう」とよろこんでくれた。ネーミングのお礼にと贈られたのは、輸入雑貨ショップpetitcoquin(プチコキャン)(ここのものはとてもわたし好みでハズレがない)のオレンジ×ハートのちりとり。かなり強烈な存在感だけど、はじめからわが家にあったかのようにしっくりなじむ。マツエはわたしの一人暮らしのアパートには来たことがあったけれど、今の家もたぶんこういう感じだろうと読んだらしい。さすが。ちなみに、マツエには13案の名前を提案。わたしの一押しは、「マツエトモコ」の名前から連想した「トマト」。 TOMOKO MATSUE TOMOKO という名刺のデザインまで勝手に考えて、真っ白いキッチンに映える真っ赤なトマトのビジュアルも浮かんだのだけど、「色がつきすぎるかなあ」と敬遠された。たしかにインテリアデザインに大切なのは「想像の余地」であり、名前がイメージを語りすぎるのはよくないかもと気づかされる。他に、これも「マツエトモコ」の名前の響きになんとなく似ている「ZIMMER」(ツィンマー 独語で「部屋」)。キッチン周りの単語で「ESSEN」(エッセン 独語で「食べる」)「CUCINA」(クチーナ 伊語で「台所」「料理」)「SPOON」「SOUP」「SPICE」「CUP」。響きのいい名前ってことで「COCOON」(コクーン まゆ)「COTTON」(コットン 綿)「COZY」(コージー ここちよい)「PETAL」(ぺタル 花びら)。毎日使う場所だから「DAYS」「EVERYDAY」。四角い箱を自由にデザインするということで「CUBE」。和風な名前もマツエっぽいかなと思って「それから」(ここから会話とか何かがはじまりそうな感じ)。この中から「最初は通り過ぎてたんだけど、何度か見ているうちにいいなあと思えてきた」とマツエが選んだ名前が「DAYS」。主張しすぎず、さりげなく日常に寄り添う、そんな立ち位置は、マツエがめざすデザインの方向性とも一致するよう。 2006年10月19日(木) マタニティオレンジ22 めぐる命と有機野菜2005年10月19日(水) 新宿TOPS 2階→8階→4階2003年10月19日(日) 100年前の日本語を聴く〜江戸東京日和2002年10月19日(土) カラダで観る映画『WILD NIGHTS』
2006年10月19日(木) マタニティオレンジ22 めぐる命と有機野菜2005年10月19日(水) 新宿TOPS 2階→8階→4階2003年10月19日(日) 100年前の日本語を聴く〜江戸東京日和2002年10月19日(土) カラダで観る映画『WILD NIGHTS』
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