つれづれ日記。
つれづれ日記。

2010年04月30日(金) 委員長のゆううつ。26

 文化祭は順調すぎるくらい順調だった。学校以外の人も来るから客層は老若男女様々。客寄せには目立つ人をピックアップし、裏方にはそっち専門の助っ人を備えた。
 あたしは番長として裏方業務といきたいけれど。人手が足りないからタイトスカートに蝶ネクタイ、その上にエプロンといったウェイターを兼務する。
「委員長、カレーとイチゴクレープ一つ」
「はいはい」
 調理版から料理を受け取り机を重ねたテーブルにのせる。
「お待たせしました」
 テーブルの上にはクリーム色のテーブルクロス。手続きが面倒だったから家のお古を持ってきた。
 クレープを運んで、引換券をうけとって集計して。
 売り上げはまずまず。出だしは好調のようだ。
「高木、先に休憩入っていいぞ」
 クラスの一人に促され、一足先に戦場を離脱することにする。エプロンを脱いだ先にはあたしと同じエプロン姿のクラスメートの後ろ姿。
「ごくろうさん」
 肩をたたくと、クラスメートがふり返る。
「大沢って実は統率力あったんだね。いつも以上に輝いて見える」
「ほっといてくれ」
 憮然とした面持ちの彼。ほめたつもりなのに、彼にとっては不本意なものだったらしい。
「クレープの方は?」
「順調、順調。お互い死力をつくして戦いましょう」
 そう言うとのびをして教室を後にした。






過去日記
2007年04月30日(月) 「EVER GREEN」11−12UP
2006年04月30日(日) 「EVER GREEN」8−12UP
2005年04月30日(土) 創竜伝
2004年04月30日(金) 本気で書きそうです

2010年04月29日(木) 委員長のゆううつ。25

 それからちょくちょく顔を合わせることになるかと思いきや。
「まったく会わないのよね」
 先輩と顔を合わせることはなくなった。
 先輩は2年5組であたしは1年6組。1年と2年の教室棟は花壇を挟んで反対側にある。いるかいないかは2年棟にいけばすぐわかるんだろう。でもあたしと先輩はそこまで親密な間柄でもなく。仮に教室をのぞいて女の先輩方に変な視線を向けられるのはもってのほか。仕方ないから心の片隅で気になりつつ今日という日を迎えていた。
 今日は11月の半ば。楠木高校の文化祭だ。
「調子はどう? 大沢」
 クラスメイトの男子に声をかける。
「任務完了。いつでもいける」
 あたし達1年6組の出し物はクレープ屋さん。多数決で決まった。次点はカラオケだったけど、わざわざお店に取り付けるのも面倒だったからこっに決まってくれてほんとありがたい。
「準備はできた。あとはこいつを戦場に送るのみ」
 声をあげると、クラス全員の顔つきが変わった。この雰囲気があたしは好き。ひとつのことをみんなでなしとげていく。それなりに困難はあるけれど、まとまった時の高揚感や達成感は感慨深いものがある。
「開店!」
 パパンッ!
 クラッカーが勢いよく鳴り、入り口が開く。こうして1年6組の文化祭は幕を開けた。






過去日記
2005年04月29日(金) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,53UP
2004年04月29日(木) 「EVER GREEN」5−13UP

2010年04月28日(水) 委員長のゆううつ。24

「責任感じてるから言ってんじゃないか。こういう時は素直に守られておきなさい」
 毛布の上からでも先輩が苦笑してるのがわかる。

「委員長じゃないです」
「だってイインチョウだって自分で言ったじゃないか」
 そうだけど。そうじゃない。
「高木です。高木詩帆」
 学校では委員長だと認めたけれど。こんなわけのわからないところまで委員長よばわりされてもたまったもんじゃない。
「ぼくも先輩じゃないけど」
 そう言えば、今まで先輩としか呼んだことなかった。今さらながらにその事実に気づく。
「先輩の名前って何でしたっけ」
「ひっどーい。あれだけ一緒の時間をともにしたのに」
「誤解を招くような発言はやめてください!!」
 毛布の中から怒声をあげるとその調子とけらけら笑われた。なんだか始終先輩のペースに乗せられてる気がする。
 黙っていると、ぽんぽんと毛布の上から頭上に手をのせられる。
「おやすみ。詩帆ちゃん」
「おやすみなさい。……セイル先輩」
 ぱたんとドアの閉められた音がしたのを確認すると、はじめて毛布から顔を出す。
 なんでかわからないけど見ず知らずの場所にいて。目の前には顔見知りの先輩がいて。元にもどるまでの間、先輩は自分を守ると言ってくれた。
 顔見ておけばよかったな。案外真面目な顔してたのかも。
 なんて現実逃避していても駄目なんだよね。
「……寝よ」
 さっきよりもさらに毛布を深くかぶり、その日は体力保持に努めたのだった。






過去日記
2006年04月28日(金) ただいま帰宅
2005年04月28日(木) やっぱり花粉症
2004年04月28日(水) 師匠について。その2?

2010年04月27日(火) 委員長のゆううつ。23

 ありったけの絶叫の後には何もすることはなく。男子二人を追い出し一人毛布にくるまる。ここって毛布やベッドもあったのね。地面に寝そべるレベルの生活水準じゃなくてよかった。そういえば、そもそもここって異世界とやらのどこなんだろう。
「起きてる?」
 ためらいがちなノックの後、ゆっくりとドアが開く」
「死んでます。入ってこないで下さい」
「起きてんじゃん」
 入ってきたのは銀色の髪の男子。
「なんだかややこしい話になっちゃってごめんね」
 声には覇気がない。少しは責任を感じてるんだろうか。
「まさかそばにいただけでこうなるとは思わなかったからさ。ほんとごめん」
 まったくもってその通りなので返事の代わりに毛布を頭からすっぽりかぶる。
「地球の帰り方を知ってる人には明日会えるよ。ぼくが手配しておいた」
 これも当然のことなので返事をしないでおく。
「ちょっと時間はかかるかもしれないけど。それまで委員長はぼくが守るよ」
 頭上で声がする。真面目で透き通った声。
「ん? 何?」
 身じろぎしたのがわかったんだろう。先輩が問いかける。
「そういうことは好きな人にでも言って下さい」
 そう返すのが精一杯だった。






過去日記
2006年04月27日(木) 書き直し
2005年04月27日(水) まだまだ花粉症
2004年04月27日(火) 書き溜め中

2010年04月26日(月) 委員長のゆううつ。22

「言い方が悪かったですね。正確には僕達にもわからないんです」
 カリンさんが言うにはこうだった。今までここの惑星に、霧海(ムカイ)にたどり着いた人は0ではなく。逆に、ここから地球や他の惑星にたどりついた人もそれなりにいるらしい。
「『旅人』って言うらしいよ。なかなか風流だよね」
 生まれ育った場所とは別の世界にたどりついて、そこから元の世界へ帰ってきた人もそれなり。それなりっていうのがどれくらいの割合なのかとっても気になるとことだけど。それでも、帰れる確率は0ではない。それを聞いて少しだけ安心した。
「たぶん、ぼくにも原因あると思う」
 あえて流していた先輩の声に、ふと顔を上げる。珍しく決まり悪そうに自分のほおをかいている。
「媒介者っていうのが必要なんだってさ」
「はい?」
「要するに別の世界へいったことがある人が身近にいると、ハプニングに遭遇する確率が高いんだって」
 霧海にいて、そこから地球にもいた変な人。そんな人にあたしはほんのちょっとだけど関わりがあったということで。
 それはつまり。
「な……」
「な?」
「なんてことしてくれちゃったんですか、アンタは――!!!!!」

 部屋にはあたしの涙声だけが響いていた。






過去日記
2004年04月26日(月) 遊んできました♪

2010年04月25日(日) 「Sel'ge Liebe auf den Mund」UP。

久しぶりの短編です。


本当に遅くなってしまってすみません(涙)。
まどかさんと勝義さんのお話。相変わらずのバカップルぶりです。だんだんまどかおかーさんがツンデレ化してます。というよりも元々こんな感じです。かつさんは相変わらずのバカです。

「Der Kus〜心に咲く花の名は」に提出したものです。
 Sel'ge Liebe auf den Mundは「唇の上なら 愛情のキス」だそうです。なんだかどきどきするなあ。






過去日記
2007年04月25日(水) いろいろいじってみよう
2004年04月25日(日) 第三部

2010年04月24日(土) 委員長のゆううつ。21

「実はこれは夢なんです」
 求めていたのはそんなオチ。そうじゃなくても日本内にいることを望んでいた。だって、あたしはれっきとした女子高生だ。別に人から恨まれることは――まあ、職業柄やっかまれることはあるかもしれないけれど。それでも誘拐されるとか危害を加えられる覚えはない。
 話は楠木市内レベルから世界レベル、ましてや惑星レベルになってしまった。親はどうしてるだろう。一人娘が帰ってこないんじゃ心配するに決まってる。
「捜索願……は出さないだろうな。うん」
 目の前に人がいることにもかまわず一人つぶやく。あの母親がちょっとやそっとで驚くたまじゃない。でも帰ったらこっぴどくしかられそう。
「驚きましたか?」
「驚かない方が無理です」
「そのわりには即答だったよね」
 カリンさんと先輩とあたしの声はほぼ同時。ちなみに一番最後の台詞が先輩だ。 
 見ず知らずの変な場所にいて、しかもそこは生まれ育った場所はおろか世界、惑星(ほし)レベルでもないって言われたら驚かないわけがない。
「あの。質問なんですけど」
 今までで一番気になった疑問を口にする。
「あたしは元の世界に帰れるんですか?」
 これで二度と帰れないとなればあまりにも理不尽だ。
 満を持して投げかけた問いに二人は顔を見合わせて。
『さぁ』
 まるで、明日の天気なんかわからないよと言うようなそぶりで。いとも簡単にのけたのだった。 






過去日記
2005年04月24日(日) お金の使い方
2004年04月24日(土) お絵かき

2010年04月23日(金) 委員長のゆううつ。20

「どのあたりから話せばいいでしょうか」
 はじめに切り出したのは長身の男の人だった。
「その前にお名前教えてもらってもいいですか」
 そう言えばまだ名前も聞いてなかった。サンドイッチや紅茶までごちそうになってたのに。
「僕はカリン・エイクと言います。これからどうかよろしくお願いしますね」
 そう言って深々と頭を下げる。さっきから思ってたけどなかなか腰の低い人だ。
「高木詩帆(たかぎしほ)です。楠木高校の1年6組29番です」
「わかりました。シホさんとお呼びすればいいですか」
「はい。私もカリンさんって呼ばせてもらいます」
「そんなにかしこまらなくてもいいですよ。……と言っても緊張してしまいますよね」
 翡翠色の瞳は表情と同じく優しい。初対面がこの人でよかった。他の人だったらどんな目にあっていたことやら。
「彼はセイルです。お知り合いのようですね」
「まあ」
「当然。ぼくって先輩だから」
 胸をはるのは銀色の髪の男の人。どうでもいいけど『先輩』ってフレーズがお気に入りみたいだ。そのわりにはさっきサンドイッチを横取りされたけど。
「ここが学校じゃないってことは理解できる?」
 首を縦にふる。
「じゃあ、ここがニホンってところじゃないってことは?」
 なんだか話が世界規模になった。
「じゃあ、ここが地球ってところじゃないことは」
 最後に話が地球規模になった。
「じゃあ、ここってどこなんですか」
 眉根を寄せると二人の男の人達は互いに顔を見合わせる。
 腕組みをした後、口を開いたのは先輩の方だった。
「霧海(ムカイ)ってとこ(世界)だよ。ここは」






過去日記
2005年04月23日(土) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,52UP
2004年04月23日(金) 「EVER GREEN」5−12UP

2010年04月22日(木) 委員長のゆううつ。19

「なんでぼくがこんな目に遭わないといけないのさ」
 ほおをさすりつつ、なおも恨みがましい視線を向ける先輩をよそに今度は紅茶に口をつける。
「案外、女々しかったんですね」
 一口ふくんだ途端に口のなかに甘い味が広がる。おいしい。あとでもう一杯もらおう。
「覚えておいて下さい。自分のほおをひっぱるのは夢か現実かを見分けるうえで、重要な動作なんです」
「それはあなたの世界でなんですか?」
「そうです。とりわけ日本人の」
 間に入った長身の男の人(まだ名前は聞いてない)にうなずきを返す。
「でもぼくが痛いだけじゃ何の意味もないだろ」
 そこはのりです。
 と言うよりもちょっとした嫌がらせです。ということは表面におくびも出すこともなく。紅茶を飲み干しながら今までのことをふり返る。
 学校からの帰り道に何かがおこってこうなった。目の前には久しぶりに見る銀色の髪の先輩と見ず知らずの長身の男の人。
 ここが今までいた場所じゃないってことだけはよくわかった。わかったからにはやるべきことは一つ。
「状況説明をお願いします」
 空になったカップを机の上に置くと、目の前の二人に向かって深々と頭を下げた。






過去日記
2007年04月22日(日) 「EVER GREEN」11−11UP
2004年04月22日(木) 健康診断

2010年04月21日(水) つかれてるひと。7

 無意味な時間を過ごしてしまった。
「風鈴ねぇ」
 さっきのおっさんから買い取った代物。はっきりいって使い物にならない。
 いや。今なら使い物にならないことも……ないか。
 硝子の風鈴。硝子の部分が透き通るような藍色だ。下の部分は対して真っ白。小さな文字も書かれている。
 部屋にかけられた温度計を見る。二十八度。夜ならもう少し冷えてもいいんじゃないか。
「これで、よし」
 風鈴を軒下につるす。

 ちりん。
 風にゆられて風鈴の音がなる。
 ほんの少しだけ。涼しくなったような気がした。
 
「まだまだ暑いですね」
 ああ。そうだな。
「冷たいものでもお作りしましょうか?」
 麦茶でも飲みたい。確か冷蔵庫にあったはずだ。
「冷蔵庫ですね。わかりました」
 そうだな。頼む。
 そこまできてふと我にかえる。俺は一体誰と話しているのだろう。
「はい。どうぞ」
 目の前に差し出されたのは麦茶。受け取って、飲み干して。
「涼しくなりましたか?」
 さっきの七倍。背筋が凍りついた。






過去日記
2006年04月21日(金) 最近の近況
2004年04月21日(水) とある兄弟の会話・2

2010年04月20日(火) 委員長のゆううつ。18

 学校に通って、終わったら家の仕事を手伝って。たまに先生に呼び出されてクラスの仕事を手伝って。
 そんな毎日が続くはずだったのに。なぜか目の前には銀色の髪の先輩がいて。
 一体、何が、どこで間違ったんだろう。
「ちょっと失礼」
 口で言ったのと行動に移したのはほぼ同時。
「いててててて!!」
 非難じみた抗議の声はこの際無視する。
 いつも通りに学校に行って。友達と別れてまっすぐ家路に向かったはずなのに。
「ちょっと、シホさん痛いんですけど!?」 
 ……ちょっと待って。正確には家路に向かう途中、何かがあったような気がする。もっと言えば、冬にも何かあったような気がする。
 具体的には2月の修学旅行で。その頃にはあたしと目の前の男の人の接点はほぼなくなってたはずだ。
「そのへんにしてあげてはどうですか?」
 サンドイッチを差し出してくれた男の人に促され、しぶしぶ手を離す。
「痛そうですね」
「痛い」
 恨みがましい視線を向けられるのもこの際無視。
 自分の部屋ではなくて、真っ白な霧だらけの外。でも学校の保健室というわけでもなくて。何よりも、目の前の人達の容姿が尋常じゃない。
「現実だってことがよくわかった?」
 悔しいけど、認めざるをえなかった。






過去日記
2006年04月20日(木) これからの予定?
2005年04月20日(水) 「EVER GREEN」7−6UP
2004年04月20日(火) 集計中

2010年04月19日(月) 委員長のゆううつ。17

「じゃあそれも?」
「は?」
 今度はあたしが眉根を寄せると先輩はぴっと指先をあたしの顔に向ける。
「それもイインチョウだから?」
「……委員長だからです」
 そんなわけあるか。
 単に視力が悪いのとコンタクトが合わなかったからだ。
「メガネは委員長の専売特許なんです」
 そう答えるのもめんどくさくなってきたので曖昧にうなずく。
「勉強してると視力が悪くなるから仕方ないんです」
 たわいもない話をしているうちに家に帰る時間になる。
「付き合ってくれてありがとう。近いうちにまた埋め合わせするよ」
「約束しちゃいましたからね」
 成り行きとは言え言ってしまったからには仕方ない。
 あたしは委員長。
 小学校中学年からはじまって中学、果てには高校までクラス委員を歴任してしまった。いわば、筋金入りの委員長。
 かといって、生徒会役員やましてや会長ほど多忙な業務を行うわけでもなく。どちらかというと先生達や生徒会の伝達事項を受け継いだり、逆に、数十人のクラスメイトの意見や苦情を聞いたり。いわば、しがない中間管理職ってところ。
 でも任されたからにはやるしかない。先生に呼び出されては雑用を手伝い、行事があればみんなを一つにまとめていく。
 転校生がきたら嫌な顔ひとつせず――というわけにはいかないけど、それなりに学校を案内してあげ、必要に応じては相談事にものる。
 そう。あたしは委員長。何があっても動じることはない。たぶん。
「じゃあまたね。詩帆ちゃん」
 そのはずなのに。
 この時点であたしは大いなる災難の渦中に片足を突っ込んでいたのだ。
 






過去日記
2004年04月19日(月) 方言

2010年04月18日(日) 委員長のゆううつ。16

 確かにカロリーは半分になった。でも太るのは間違いない。かといって、押しつけたままも気がひける。
 仕方なく半分を口にしていると先輩は顔を近づけてきた。かといって何か話すわけでもなく。もぐもぐとパンを口に入れたままこっちをじっと見つめている。
 正直やめてほしい。そんなに見られる容姿でもないし、異性に顔を近づけられてどぎまぎしない人はあんまりいない。それとも外国人ってこんなものなのか。
 ごっくんと飲み込む音が聞こえた後、先輩はにっと笑った。
「君ってさ、人いいよね」
「は?」
 言われている意味がわからない。眉根を寄せると先輩は続けて言った。
「見ず知らずの人間に二つ返事で道案内するなんてさ。おまけに食べ物までくれちゃって。場所が場所なら襲われかねない」
「馬鹿にしてますか?」
「ほめてるんだよ。ここの世界の人間ってみんなそうなのかい?」
 そうは言いつつも、先輩の言動や瞳からは別の意図がみてとれる。ような気がする。うまくは言えないけど。
「それは」
「それは?」
 おうむ返しに尋ねる先輩についさっきと同じ答えを返す。 
「委員長だからです」
 委員長だから親切にしないといけない。記録物や物事の取り締まりはもちろんとして。大抵のことはやっておかなければ。
 もれなく内申点もあがるし。
「大変だなぁ。イインチョウって」
「大変です」






過去日記
2004年04月18日(日) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,9UP

2010年04月17日(土) 委員長のゆううつ。15

「それで。今日は何を買ってくれるの?」
 本題に入ってくれたので咳払いをひとつして言う。
「シャープペンとノート。あとメロンパンを一つ」
「320円ね」
 財布から五百円玉を出して手渡す。しばらくするとお釣りと一緒に渡されたのは小ぶりの紙袋と二つの紙パックだった。
「頼んでませんけど」
「サービス。その代わり次はちゃんと買ってね」
 片目をつぶる中村さんに頭を下げると、先輩をつれて売店を後にした。


「せっかくもらったんだから一休みしましょう」
 紙袋をあけたのは売店を後にしてから30分後のこと。一通り案内も終わり、教室の片隅で紙パックを取り出す。
「それは?」
「私の自前です」
 鞄(かばん)から取り出したのはさっきのと同じくらいの大きさの紙袋。その中からさらに取り出したのは小さな菓子パン。
「もしかして、手作り?」
「正確には親の、ですけど」
 もっと正確には、余ったから処分しろと半ば強制におしつけられたものだけど。
 そのへんは口外しないでおく。人間、黙っていたほうがいいことはたくさんある。
 シンプルなピザパン。たっぷりのチーズの上にベーコンとコーンがのっている。もちろんカロリーもたっぷりだから食べあぐねていたのだ。まじまじと見つめた後、先輩はそれを二つにちぎる。
「半分。これなら大丈夫でしょ」






過去日記
2006年04月17日(月) 「EVER GREEN」8−11UP
2005年04月17日(日) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,51UP

2010年04月16日(金) 委員長のゆううつ。14

「ここが売店」
 寝そべっていた先輩を半強制的に起こし、同じく半強制的に裏庭から近くの売店に移動する。
「筆記用具やちょっとした菓子パンが売ってあります。小腹が空いたときはここで勝手に買っていってください」
 隣を見ると先輩はふむふむとうなずいている。
「ちなみに食堂はありません。お弁当をもってきてない時は朝の10時までにここの中村さんに欲しいお弁当を伝えて下さい」
 補足説明すれば。中村さんは28歳の独身。あたしとはちょっとした顔見知りだ。もっとも売店を使うここの生徒のほぼ全員が顔見知りなんだろうけど。
「おねーさん初めまして。これからよろしくね」
「はいはい。よろしく」
 二人笑顔でハイタッチ。紹介したあたしが馬鹿みたいだ。
「詩帆ちゃんも隅に置けないわねー。いつの間にかこんな彼氏なんか作っちゃって。しかも外人さん?」
 そこそこの美人なのに言動と動作がかみ合ってない。今だって右手をぱたぱたさせて、これじゃあまるで中年のおばさんみたいだ。
「おばさんじみた発言はやめてください」
 思ったことをそのまま口にすると中村さんの表情にすごみがます。
「誰がおばさん?」
「……おねえさんです」
 笑顔の威圧に慌てて訂正すると、わかればよろしいと表情を元に戻した。






過去日記
2004年04月16日(金) 企画中〜♪

2010年04月15日(木) 委員長のゆううつ。13

 授業を受けてきて下さいとは言ったものの。
 あれで素直に言うことを聞いてくれたとは思えない。
「なんでここにいるんですか」
「君が言ったんじゃないか。ジュギョウを受けてきたらここを案内してくれるって」
 学校の裏庭。教室と売店との中間地点で。プラチナブロンドの男の人は先日と同じ格好で寝そべっていた。
「先輩」
「そう、それ!」
 ぱっと顔を輝かせて指をならす。
「その響きっていいね。新鮮だ」
 あたしにとっては新鮮でもなんでもないけれど。それとも外国じゃあ先輩後輩って間柄はないんだろうか。生まれてこのかた十五年と少し。日本生まれの日本育ちのあたしには全く理解できない。
「じゃあ、さっそくお願いしますよ。先輩」
 嬉々として声をかける先輩に今度はあたしが目を白黒させる。
「私がですか?」
「ここについてはぼくより詳しいんでしょ?」
 そう言って片目をつぶる。確かに案内すると言ったのはあたしだし、授業を受けてくださいと言ったのもあたしだ。もっとも後者は普通にうけてもらいたいものだけど。
「わかりました。着いてきて下さい。後輩」
 先輩にならい、そう言って息をついた。






過去日記
2007年04月15日(日) 「EVER GREEN」11−10UP
2006年04月15日(土) ありがとうございます
2004年04月15日(木) 「EVER GREEN」5−11UP

2010年04月14日(水) 委員長のゆううつ。12

「先輩でも転入生には代わりないですもんね。特別サービスで案内してあげます」
 なんて言ってしまう自分が悲しくなる。何が悲しくて転入生の道案内をしなけりゃいけないのだ。
「テンニュウセイ?」
「他の学校から引っ越してきた人のことです。この学校初めてでしょう?」
「うん、そう。ぼくって転入生なの」
 でも一度言ってしまったものは仕方ない。あたしはそういう質(たち)なのだ。
「ですから。とっとと教室にもどって午後の授業を受けてきて下さい」
 指を突きつけると彼はおどけたように笑って見せた。
「怖いね。クラスイインってやつみたいだ」
「みたいじゃなくて、そうなんです」
 そう。あたしはそういう性質(たち)。
「高木詩帆、県立楠木(くすのき)高校、1年6組委員長です」
 正確には五回目の。心の中でそう付け加える。
 小学四年生からはじまって、中学でも抜擢され。高校入学と同時に見事に選ばれてしまった。
「ですから。私の目の前ではそんな不用意な発言しないでください。先輩」
「センパイ?」
「昨日も言ったでしょう。同じ学校で学年が上だったら立派な先輩です」 
 そう言うと先輩はあたしの顔をじっと見る。変なことを言ったつもりはない。事実だし、目の前でサボり宣言されたら見過ごすわけにはいかない。
 ぱち、ぱちと二回まばたきした後。
「うん、そう。ぼくって先輩なの」
 思い起こさなくても、あれが全ての元凶だったのだ。






過去日記
2006年04月14日(金) 「SkyHigh,FlyHigh!」エピローグUP
2005年04月14日(木) ナチュラルサイトレーラー
2004年04月14日(水) とある兄弟の会話

2010年04月13日(火) 委員長のゆううつ。11

 二度と近づくもんか。
 そう思っていたはずなのに。
「なんでここにいるんですか」
「だってここ、あったかいじゃん」
 その人はあたしの目の前にいた。
 お昼を買おうと売店に直行して。ショートカットしようといつもと違う路をえらんだらこれだ。
「教室にいても言ってることわかんないからさ。こうしてここでお昼寝してるわけ」
「猫ですかあんた」
 思わず素で言ってしまうと彼はそうかもねとくったくなく笑った。
「友達とか話す人いないんですか」
「ぼくって人見知りだからさあ。あそこだとういちゃうわけ」
 本当だか嘘なんだか。そういって片目をつぶる先輩に大きく息をつく。
 留学生もホームシックとかかかるんだろうか。言語が通じないとか。ってことはないか。この前あんなにべらべらしゃべってたんだし。
 それにしても。
「今日一日ずっとここにいるつもりなんですか」
「どうっしようかなあ。それこそ猫になってごろごろしようかなあ」
 こんな男は各国共通なのか。どうせならあたしの目にとどかないところでごろごろしてほしい。
「約束でしたよね。世界のことはわかりませんけど、学校のことなら案内します」 






過去日記
2006年04月13日(木) 風の歌 星の道
2005年04月13日(水) 職場
2004年04月13日(火) 好きなゲームで語ってみよう

2010年04月12日(月) 委員長のゆううつ。10

 本当に無意味な時間を過ごしてしまった。
「何が人殺しよ」
 学校から自転車で20分で自宅に到着。玄関をあけて真っ先に自分の部屋に向かう。
 ああいう人間が世界を駄目にするのだ。そんなこと言ってればかっこいいと思うのか。残念だけど、あんな人はどの国にでもいるのね。とにかくああいう人間には近づかないに限る。
「ただいま」
 私服に着替えて階段を下りて。
「おかえりなさい」
 一階から母が顔を出す。
「遅くなったけど大丈夫?」
「今日はへんなのにつかまっちゃったから」
 心の底からそう言うとお母さんが苦笑する。
「勧誘でもあったの? 駄目よ。気をつけないと」
「そうね。本当に気をつける」
 と言うよりも、二度と近づくもんか。
 決意をあらたにエプロンをにぎった。






過去日記
2006年04月12日(水) 最近ごぶさただったので
2004年04月12日(月) SHFH11−8

2010年04月11日(日) つかれてるひと。6

 買い物を済ませ、妙なおっさんと一悶着を終え。ようやく自宅にたどり着いた。
「ただいま」
 とは言っても返事はない。当たり前だ。ここには家族などいない。
 念のために言っておくが、天涯孤独というわけではない。単に自宅から遠く離れた場所に一人暮らしをしているからだ。
 それでも声をかけてしまうのは小さな頃からの習慣だ。
 財布と鍵を放り投げ、買い物袋を床におろす。本来ならここで一息つきたいところだが、腐られても困るので袋の中身を冷蔵庫に入れる。
 卵。今日一番のお買い得だった。夕飯はこれで決まりだ。
 ウインナー。切れてたから買ってしまった。普段より割安だったからよしとする。
 きゅうり。旬の食材は体にいい。冷蔵庫にトマトの残りがあったから一緒に添えよう。
 塩、こしょう。昨日切れてたんだった。これがなければ今日のメインは作れない。醤油という手もあるがここは一つ、シンプルにいくに限る。
 風鈴。煮ても焼いても食えない。ましてや油で炒めても食べれないことうけあいだ。
「って、食えるかい」
 思わず自分で自分に突っ込みを入れてしまった。

 






過去日記
2005年04月11日(月) お疲れ様でした
2004年04月11日(日) 姓名判断

2010年04月10日(土) 委員長のゆううつ。9

 まず八月イコール夏休みという認識が間違っている。全員が夏休みというわけではないのだ。
 身元引受人は親ってことなんだろう。
 八月くらいに外国から日本にやってきて、編入試験を受けるために勉強するよう両親にしっかり言われた。こんなとこか。オーバーにもほどがある。これも外国人だからなんだろうか。
「仕事があるのでここで失礼します」
 なおもしつこくつきまとってくる先輩に冷たく言い放つ。
「どうしてさ。コーコーセイは働く必要ないんだろ?」
「他の人はわかりませんけど。私にはあるんです」
「ぼくも仕事してるんだ。ちょっとへまやっちゃけどね」
 だから同業者。そう言って笑う先輩にさらに冷たい視線を向ける。
「参考までに聞きますけど。先輩ってどんなバイト仕事してるんですか」
「ばいと?」
 小首をかしげる先輩に――見ようによってはちょっと可愛いかもしれない。少しだけ訂正して続ける。
「アルバイトです。何の仕事をしてるんですか」
 ここまで言えばわかってもらえるだろう。ぽんと手を打つと彼は陽気にこう答えてくれた。
「ぼくのお仕事ね。簡単だよ」 
 本当に陽気な声で。
「人殺しさ」 






過去日記
2005年04月10日(日) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,50UP
2004年04月10日(土) 「EVER GREEN」5−10UP

2010年04月09日(金) 委員長のゆううつ。8

 この世界。
 目の前の男子ははっきりそう言った。
「シホちゃんって言うんだ」
「……高木詩帆(たかぎしほ)です」
 学校からの帰り道。あたしの右隣にはなぜかさっきの男子生徒がいる。暇だからとなぜか後をついてこられ、無視をしていたものの、あまりのうっとうしさにだったら隣を歩いて下さいと根負けしたあたしがなくなく頼んだのと自ら名乗り出るはめになってしまったためだ。
「ぼくはセイル。セイルくんでもセイルちゃんとでも呼んでね」
「わかりました。先輩ですね」
 再びあたしと男子生徒――先輩の声が重なる。
 先輩だとわかったのは彼が根ほり葉ほり質問してきたからだ。

 2年4組で出席番号は一番最後の41番。飛び入りだったから仕方ないね。でもなんとなくかっこいい感じがしない?
 こっちの八月って『ナツヤスミ』って呼ぶんだっけ。その日にこの世界にきてさ。右も左もわからないわけ。一応、ミモトヒキウケニンってやつがいるけどそいつらが言うには、ぼくくらいの年齢の人間は学校に行かないといけないらしいね。死にものぐるいで勉強させられたよ。これって虐待じゃないのかなあ。だからこうしてのんびり休憩させてもらっていたわけ。

「色々と日本語が間違ってます。もう一度、一から勉強しなおして下さい」
 一通り話し終えた後、彼にむかってぴしゃりと言い放つ。
「そもそも話の内容と表情に説得力が全然ありません。同意を得たいのならもう少し神妙な顔をしてください」 






過去日記
2004年04月09日(金) お花見

2010年04月08日(木) 委員長のゆううつ。7

 サファイアを散りばめたような深い青。透明感のあるそれには誰もが目を奪われる――
 大げさに言ったらこんなところかしら。でも差し引き半分にしても、目の前の男の人の瞳は青だった。
「さっきからずっと見てたよね。ぼくに何か用?」
 口調とは裏腹に、あたしの方をじっと見ている。耳に聞こえるそれはれっきとした日本語。ちゃんと話せるのね。英語でもしゃべられたらどうしようかと思った。
「ひょっとしてぼくに気があるの?」
「うぬぼれないで下さい」
 目の前の男子とあたしの声が重なったのはほぼ同時。
「風邪でもひいてないかと思ったけど。その様子なら大丈夫ですね」
 瞳の色は宝石色でも話してるのが日本語ならあたしにも太刀打ちできる。
「ぶしつけに見てしまってすみませんでした。あたしは用事があるので帰ります」
 背はあたしよりも高い。正確に言えば男子の中でもそこそこ高い。かといって2メートル近くもありそうなのっぽさんというわけでもない。中肉中背といったところだろうか。みんながカッコいいと言ってたのもなんとなくうなずける。
 なんて考えてても仕方ない。あたしには本当に用事があるのだ。
 一礼した後鞄を握りなおし帰路につこうとすると。
「ちょうどよかった。この世界のこと案内してくれない?」
 それが彼、先輩との出会いだった。 






過去日記
2007年04月08日(日) 「EVER GREEN」11−9UP
2006年04月08日(土) お花見
2004年04月08日(木) SHFH11−7

2010年04月07日(水) 委員長のゆううつ。6

 ――プラチナブロンドって生で初めて見た――
 確かに。
 プラチナブロンドの和名って銀髪でよかったかしら。近所のおじいちゃんと同じ髪の色に見えないこともない――って言ったら失礼か。どちらにしてももうちょっと近づかないとわからない。
 そろそろと近づいてみる。
 留学生と呼ぶにふさわしい真っ白な肌。うらやましい。黄色人種のあたしとはえらい違いだ。
 背。あたしよりも高い。当たり前か。
 両腕を枕にして寝そべっている。膝も少し曲げてるから正確な身長はわからないけど。
 でも日も暮れてきたし。見ず知らずの人とはいってもこのままだと風邪をひいてしまう。かといって見ず知らずの他人を起こすのもなんだか。 
 どうするべきか考えあぐねていると。 
「なかなか大胆だね。君って」
 瞼にとざされたはずの瞳はしっかり青だった。 






過去日記
2006年04月07日(金) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,100UP
2005年04月07日(木) 「佐藤さん家の日常」学校編その7UP
2004年04月07日(水) SHFH11−6

2010年04月06日(火) 委員長のゆううつ。5

 どこの学校でも授業は6時間で終わる。ましてや平日じゃよくて5時間だ。
 ――そんなことはどうでもいいとして。
 今日も授業を終え、
「詩帆、今日もバイト?」
「半分、家の手伝いだけどね」
 友達に軽く別れの挨拶を交わした後、鞄を持って教室を出る。
 そう言えばさっきの外国人がいたのってこの先だったっけ。ふとお昼休みの会話が脳裏に浮かぶ。
 プラチナブロンド、かあ。確かにかっこよさそうな響きよね。男の人だっていうのはわかったけど実際はどんな容姿だったんだろう。
 まあ、さすがにこの時間じゃ同じ場所にいることはないだろうけど。
 そんなことを考えながら校庭にさしかかると。
「……ん?」
 彼は、いた。






過去日記
2008年04月06日(日) サイト名あいうえお作文バトン です
2005年04月06日(水) まつけんさんば
2004年04月06日(火) SHFH11−5

2010年04月05日(月) 委員長のゆううつ。4

 時間は少しさかのぼる。
 ――って、正確にはそんな大げさなものじゃないけど。
「詩帆(しほ)。しーほ」
 声をかけられたのはお弁当を食べ終わった後。 
「どしたの?」
「あそこの先輩かっこよくない?」
 あそこ。
 お弁当箱を片付けながら、友達の視線を追う。窓の外。校庭にいたのはこの学校には珍しい容姿をした男子生徒だった。
「プラチナブロンドって生で初めて見た」
 銀髪とも言うけど。
 わたしと同じ学校の制服を着た銀髪の男子は校庭の芝生の上に寝転んでいる。
「この学校って交換留学生とかあったんだ」
「外人の先生がいるくらいだからいるんじゃない?」
 確かに。公立の中学校でさえ外国の教師が授業をすることだってあるのだ。高校で外国人の先生や生徒がいても今の時代、それほど珍しくないのかもしれない。
 ……ん?
「なんでかっこいいってわかるの」
 男子は寝転んでいた。寝転ぶっていうのは目をつぶっているということ。
 正確には男子は校庭でわたし達がいるのは二階の教室。よほど視力がいいならいざしらず、窓の外からは大まかな外見しかわからない。
「先生がかっこいいんだから生徒もかっこよくなくちゃ」
「ふうん……」
 このときのあたしは、さしたる感慨もなく友人の声に耳を傾けていたのだった。






過去日記
2007年04月05日(木) オリキャラメイキングバトン。SHFH編
2006年04月05日(水) 成分分析
2004年04月05日(月) 未だに出会いなし

2010年04月04日(日) 委員長のゆううつ(仮)。3

「そう言うと思いました。でも失礼ですが、お腹がすいていたようでしたので」
 スープとサンドイッチを差し出してくれたのは長身の男の人。黒い髪に緑の瞳。黒に緑といってもそんじょそこらの黒と緑じゃない。黒は黒でも漆黒で、緑は緑でも宝石の色――そう。まるでエメラルドを模したかのような色だ。
 うん。普通にカッコいい。ピンチの時にはぜひこんな男の人に助けてもらいたいなあ。
 一方、背後から声をかけた人はというと。
「ここまできて盛大に腹の音ならしてんだもの。君って度胸あるんだね」
 銀色の髪に青の瞳。
 茶目っ気というよりは、なんとなく斜にかまえたような色で。あたしと同じくらいの背格好で、あたしと同じ学校の制服を着た男子は皿の上のサンドイッチをぱくりと食べた。   
 まだ食べたかったのに。恨みがましい視線を向けると『そんなに食い意地はってたの?』って視線返しされた。食べ物の恨みは怖いんだから。
 って――
「せん……ぱい?」
「うん、そう。ぼくって先輩なの。ここではね」
 そう言って男子は、先輩は肩をすくめてみせた。






過去日記
2007年04月04日(水) 寝る前にちょっとだけ
2006年04月04日(火) 三周年
2005年04月04日(月) 気づけば本・二周年。
2004年04月04日(日) 本・一周年

2010年04月03日(土) 「つかれてるひと。」プロローグUP。

とはいってもたまに書いてるものまとめただけなんですけど。


なんとなくほのぼの系を書ければいいなー、と。できればラブコメっぽいものを。
目標としては連れさんっぽいもの(?)を書けたらいいんですが。書くのが自分なのでどんな方向にいくかわかりません。

とりあえず一人と一人(?)の男と女がおりなすほのぼのコメディ。っぽいもの。になればいいと思います。←まわりくどすぎ



余談ですが。
各お話のページの一番下にあるしおり機能。IEだといいんですがFireFoxだと変な表示になるみたいです。長編を読んでいる方には便利かも。
しおりを挟みたいページを開いた後、ここのページを開いて登録すれば大丈夫そうです。こういうプログラム? が作れる人ってすごいなー。






過去日記
2007年04月03日(火) 色々いじってました
2006年04月03日(月) わりと暇な一日
2004年04月03日(土) 4月です

2010年04月02日(金) 委員長のゆううつ(仮)。2

 目の前にあったのは、真っ白な霧だった。
「気がつきました?」
 声とともに差し出されたのは白いマグカップ。
「スープです。体が温まりますよ」
 カップから湯気がたちのぼる。口をつけると、磯の香りが広がった。
「おいしい」
 素直に感想を口にすると声の主は笑みを浮かべていた。
「口にあったみたいでよかったです。おかわりもありますから遠慮無く言ってくださいね」
 そう言ってさらに差し出されたのはサンドイッチ。
 磯の代わりに今度は卵とレタスの絶妙なハーモニーが口の中で広がる。お腹がすいていたものだから、一気に二つ食べてしまった。
 三つ目を食べようとして。
「よく食べるねぇ。君」
 別の声に阻まれてしまう。
「現状わかってないんじゃないの?」
 背後からかかってきたものだからむせてしまう。胸をたたいて、残りのスープを飲み干して。
 えーと。
 うん。うすうす気づいてはいたけれど。食欲には勝てなかった。
 口の中のものを飲み込むと、声のした方へ質問をぶつける。
「あの。ここはどこでしょう?」






過去日記
2007年04月02日(月) 中間報告二十回目
2005年04月02日(土) 仮面ライダー
2004年04月02日(金) 「EVER GREEN」5−9UP。

2010年04月01日(木) 委員長のゆううつ(仮)。1

 あたしだって好きでこうなったわけじゃない。
 なんて言うけど、やっぱり好きでこうなっちゃのかなあ。
 正確にはそうならざるをえなかったのだ。状況が状況だったのだ。つもりつもってああなった、ってところ。
 因果応報(いんがおうほう)。よい行いをした人には良い報い、悪い行いをした人には悪い報いがある。その四文字熟語に異論を唱えるつなりはない。

 でも神様。いくらなんでもこの仕打ちはあんまりじゃありませんか……?






過去日記
2007年04月01日(日) わたぬき
2006年04月01日(土) エイプリルフール
2005年04月01日(金) つくづく騙されやすい人間です
2004年04月01日(木) SHFH11−4
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香澄かざな 

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