つれづれ日記。
つれづれ日記。

2004年04月01日(木) SHFH11−4

SkyHigh,FlyHigh!

Part,11−4

「まったく。男の子ってデリカシーがないんだから」
 ショウの後姿を見ながらシェリアが憤然と言う。
「ほら。シーナもそんな顔してないで早く体ふいて」
 あらかじめ用意していたのだろう。大きなタオルを体にかぶせる。
「本当はお風呂に入ったほうがいいんだけど。これで我慢してね」
「うん……」
 シェリアになすがままにされながら、まりいは弱弱しくうなずいた。
「……何も聞かないの?」
「これから話してくれるんでしょ?」
「…………」
 タオルがあってよかった。まりいは心底そう思った。
 まりいは涙を必死にこらえていた。
 いじめられっ子だった子供時代。何かがあるたびに部屋の片隅で一人で泣いていた。それは、まりいにとって精一杯の抵抗だった。
 人に涙を見せるのは嫌だから。特に顔見知りには知られなくなかった。心配をかけたくないから? ……違う。愛想をつかされることが――嫌われてしまうことが怖かったのだ。足手まといには――いらない子供にはなりたくない。
「はい、終わり。次はこれに着替えて」 
 体をふき終わると今度は紙袋を差し出す。
「これ私のじゃ――」
「気分転換よ。大切な話をするんでしょ?」
「…………」
 こらえていた涙が、また出そうになっていた。






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香澄かざな 




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