2008年12月24日(水)  クリスマスイブの朝の「ちいさいゆめ」

今朝、「よく寝た?どんな夢見た?」と聞くと、「ちいさいゆめ」という答え。夢はでっかいものという先入観を持つ身には新鮮で、「小さい夢。へえ〜」となると、「てんとうむしがいたの」。てんとうむしサイズの夢ってどんなのだろうと想像して、今日の子守話が生まれた。

クリスマスらしいことをとくにせず、母娘二人でごはんと焼き魚というイブを過ごしたので、今夜の夢もサンタがやって来る大きい夢にはならない気がする。昨日にも増して夢が縮みませんように。

子守話35 ちいさいゆめ

たまちゃんが、おひるねからさめると、おかあさんがいつものように「たまちゃん、どんなゆめみたの?」とききました。「ちいさいゆめ」とたまちゃんはこたえました。たまちゃんは、てんとうむしのゆめのなかに、あそびにでかけたのです。

たまちゃんは、はっぱのベッドにねっころがって、てんとうむしとおはなしをしました。てんとうむしは、きいろいチョウチョのことがすきなのですが、もじもじして、こえをかけられませんでした。

いっぱいおはなしして、のどがかわくと、たまちゃんとてんとうむしは、うえのはっぱからこぼれてくるしずくを、ごっくんとのみました。それから、はっぱのベッドをすべりだいにして、したへしたへとすべっていきました。いちばんしたのはっぱからおちたときに、じめんにしりもちをついて、たまちゃんはめがさめました。

2006年12月24日(日)  マタニティオレンジ48 クリスマスプレゼント
2005年12月24日(土)  ラクーアのクリスマス
2003年12月24日(水)  PLAYMATE#03『ワンダフルボーイ』
2001年12月24日(月)  イベント大好き


2008年12月23日(火)  3軒目のお菓子の家と2008年クリスマス

今年は仕事が立て込んで、サンタクロース計画をダンナと相談する時間もないまま、なんとなく「今年のクリスマスは、何もなしでもしょうがないか」という気分になっていた。ところが一昨日、わたしの本を読んでファンになってくれた元バレリーナのミキさんより「今年もクリスマスのおうちを焼いて、引き取り手を募集中なんですけど」と電話があった。「ぜひ、うちにください!」と飛びつき、ミキさんをゲストに肉を焼いてクリスマスを祝うことにした。

ミキさんにお菓子の家を贈ってもらうのは、11/12才の誕生日(>>>2007年7月22日)、去年のクリスマス(>>>2007年12月16日)についで、3軒目。初めて焼いたという11/12才のときから回を経るごとにフォルムも焼き上がりも進化している。娘のたまの反応にも成長が感じられ、「おうちねえ。ブーブーとまってるねえ」などと熱心に観察していた。ミキさんのこともしっかり記憶したようで、夕食が終わって見送った後、「バレリーナのおねえちゃん、かえっちゃったの?」と淋しそうにしていた。

親がクリスマスを後回しにしている分、今年は、まわりの人たちのクリスマスパワーに助けられた。近所のイルミネーションや飾り付けにクリスマス気分をお裾分けしてもらい、クリスマスに向けて日に日に盛り上がる保育園では、2日にわたってクリスマス会を開いて(1日目はおたのしみ会、2日目はお食事会)もらった。

ドイツのペンフレンド、アンネットからの毎年恒例のクリスマスプレゼントも、わが家のクリスマス不足を補ってくれた。クリスマス模様の包装紙をひとつひとつ破き、中から現れたぬいぐるみやおもちゃに目を丸くする。そのイベントが何よりの贈りものになった様子。

イルミネーションのお裾分けといえば、東京ディズニーリゾートのキラキラの夜に、たまは大喜びしていた。今年は獲得した言葉で「きれいねえ」「きらきらしてるね」などとしきりと愛でてくれるので、親も見せ甲斐がある。

アンバサダーホテルの幻想的な青いイルミネーションには、大人も
うっとり。
遠出してイルミネーション見物もいいものだ、と地元に戻ったら、家の近くの東洋大学が気合いの入ったキラキラを放っていて驚いた。去年もイルミネーションはあった気がするけど、今年から発光ダイオードになったのか、光り方が違う。そういえば、近所の整骨院でも「今年の東洋大はすごいきれい。そこらの名所に負けてない」と話題になっていた。夢中で写真を撮っていたら、「たまちゃんもとってよー」とたまが割り込んで来て、ポーズ。この光景も思い出だなと思う。

あちこちからお借りしたり贈られたり、の2008年クリスマス。

2006年12月23日(土)  マタニティオレンジ47 たま4/12才
2002年12月23日(月)  横浜めぐり


2008年12月22日(月)  おはなしを語りはじめた、たま2才4か月。

2006年8月22日生まれの娘のたまは、今日で2才4か月。この一か月で、さらに言葉がふえて、つっかえつっかえ単語をつなげていたのが、ずいぶんなめらかになった。放っておくと長い文章をしゃべっていて、たま語銀行貯蓄用に、わたしの記憶の一時保存では追いつかず、メモを引っ張って書き留めることがふえた。

夢で見たことを話してくれたり、物語めいたものを語るようになったのが、この一か月の大きな変化。毎朝、目が覚めると、「どんな夢見た?」と聞き出し、寝る前には、自分がお話を聞かせる代わりに「たま、なんかお話ししてよ」とこちらからせがむようになった。「ある日ってお話しして」と言うと、「あるひ パパのひ ママのひ たまちゃんのひ ぜーんぶ たまちゃんのひ」などとボケをかますこともある(それはそれで詩のようだ、と思ってしまう親バカ)けれど、「あるひ ママがゾウさんにのったの」などと、2歳児なりにお話しを作って聞かせてくれる。「ちょうちょさんとおそらとんだの。ぶんぶんもいたの。しらすもいたの。ちょうちょさんのおうち、エレベーターなの。ママもいっしょにいこうね」などと夢がそのままお話しになっていることもあり、原案をもらって共作するような形で子守話もふえた。

靴下もズボンも一人で上手にはけるようになり、保育園では、保育士さんが手伝ってあげようとすると、「ダメ。たまちゃん、じぶんでやるの」と言い張るらしい。「どうやったら、こんな風に自分のことは自分でやる子になるんですか」と保育士さんに聞かれたけれど、親の手が回らないせいで、必要に迫られて、しっかりした子になってしまっている。その割に、おむつはなかなか外れないけれど、便座には喜んで座ってくれるようになった。たまに「トイレでウンチ」に成功して、「ウンチさん、バイバーイ。うみにかえりなさーい」と得意げに水洗レバーを押す。

一人遊びも上手になって、ボーネルンドの積み木のおうち(「おうちおうちする」と言う)がお気に入り。絵本は『やこうれっしゃ』『きかんしゃトーマス』『しんかんせんシールブック』と鉄道尽くし。『やこうれっしゃ』は毎日読んでも飽きないらしく、「ウォーリーをさがせ」感覚で、絵の中にお目当ての乗客(泣いている赤ちゃんなど)を探す遊びを楽しんでいる。

わたしがパソコンに向かっていると、「ママ おしごとちゅう」と邪魔しないように離れ、休日に「ママおしごとするの?」と察すると、自分からパパを散歩に誘ったりする。その物わかりの良さについ甘えてしまうけれど、わたしが相手できるときの甘えっぷりを見ると、いつも我慢しているんだなあと思う。いまだに卒乳しないのも、ママを独り占めできるこの時間だけは譲れないという意思表示なのかもしれない。「とんとん(=おっぱい)」を飲むときの会話も、またちょっと進化して、日によって味の形容が変わったりする。たとえば、昨日の冬至バージョン。

たま「とんとん、はいってますか?(とノック)」
わたし「とんとんは出かけております」
たま「ただいまー。おじゃましまーす(とシャツにもぐりこんで飲みはじめる)」
わたし「とんとん、飲んでるかー?」
たま「のんでるよー」
わたし「何の味?」
たま「みかんのあじ。みかんのおふろはいったから」

2006年12月22日(金)  マタニティオレンジ46 ブックスタート
2002年12月22日(日)  ロッテルダムとロンドンとベルリン


2008年12月21日(日)  柚子風呂で「みかんちゃん」のお世話ごっこ

娘のたまに冬至のゆず風呂のことを「今日は、みかんと一緒にお風呂に入るんだよ」と教えると、お風呂の時間になって、「みかんはどこ?」と催促された。浮力のあるみかんが、どぼんとお湯に飛び込んで浮き沈みするたびに、たまは大歓声。「みかんちゃん」とひとしきり遊んだ後、お風呂から上がると、妹をかわいがるように甲斐甲斐しく世話を焼いていた。そんな光景から今夜の子守話が生まれた。湯上がりのおっぱいを「みかんのあじ。みかんのおふろはいったから」と言ったのも採用。

子守話34 みかんのおふろ

「きょうは、みかんといっしょにおふろにはいるのよ」とママがいいました。たまちゃんは、みかんちゃんのおせわをすることになりました。みかんちゃんはすぐにぶくぶくとおぼれてしまうので、「みそしる」のコップにうかべてあげることにしました。コップは、みかんちゃんにはちょうどいいおおきさでした。おふろからあがると、おてふきタオルでからだをふいてあげました。たまちゃんのかおよりちょっぴりおおきなタオルが、みかんちゃんのからだをすっぽりつつむバスタオルになりました。おてふきタオルをとりかえて、おふとんにしてあげました。ならんでねると、いいにおいがしました。みかんちゃんとおふろにはいったので、ママのおっぱいもみかんのあじがしました。

2006年12月21日(木)  マタニティオレンジ45 4か月検診
2003年12月21日(日)  SLばんえつ物語X’masの旅 2日目:喜多方
2002年12月21日(土)  切手占いと『鉄カフェ』1st drip
2001年12月21日(金)  サプライズ


2008年12月20日(土)  スパイス番長とタンドール番長

料理ユニット東京カリー番長の調理主任、水野仁輔くんのカレーパーティへ。数ある著書のひとつ、東京カレーバイブルを片手に都内のカレー名店めぐりを楽しんでいるダンナも飛びつき、カレー好きな娘も連れて、一家で馳せ参じた。

以前東京カリー番長特製カレーに舌鼓を打って以来、「ぜひぜひまた自慢の手づくりカレーを食べたい!」と熱望していたのだけど、ちょくちょく開かれているカレーイベントとはなかなか日程の折り合いがつかず、満を持してのカレーパーティ。カリー番長とは別に「スパイス番長」というユニットを組んでスパイス料理の研究を始めたのだが、その成果を披露し合うために、ときどき試食会をやっているのだという。そこにお邪魔させていただいた。

小粋な庭に、どーんと存在感のあるタンドール釜。写真を撮りそびれたのだけど、タンドール釜職人がドラム缶を改造して作った釜は、オレンジのグラデーションでとってもわたし好みなたtずまいに、「TOKYO TANDOR BANCHO」(タンドールのスペルはこれで正解?)と記されている。「タンドール番長」というユニットもあるらしい。こちらの研究も始まったばかりで、試行錯誤しながらナンやシーカバブ(シシカバブではなく、シーカバブが正しいとのこと)を焼いている。

和気あいあいとカレーやスパイスの蘊蓄を傾けながら、研究にいそしむ番長たち。本当に好きなんだなあ、と見ていて感心し、微笑ましくなる。作った料理はフォトグラファーさんが記録。行く行くは本にまとめる予定とのこと。夢中でやってることが形になり、仕事になるのは何より幸せなことだけど、この人たちの味に傾ける情熱を見ていると、水野君や番長たちの発信するレシピや店案内の人気の秘密がわかる気がしてくる。おいしさにたどり着くまでのワクワク感を、彼らは人一倍楽しんでいる。材料の配合や熱の加え方で味が変化する料理は、化学の実験に似たところがあるけれど、仕上がりに一喜一憂する番長たちの目の輝きは、理科室でフラスコをのぞきこんでいる少年のようにも見える。

料理はサブジというのだろうか、野菜のドライカレーのような感じのものが中心。カリフラワーが、じゃがいもが、こいもが、初めて出会うスパイスにまぶされ、あら思いがけない、なんなのこの後引くおいしさ、とおかわりしてしまう。2才児娘も「うまいねー」と果敢に攻めて、呆れるほどよく食べていた。濃厚な魚のスープ、シーカバブ、ナン、蒸し混ぜ御飯のようなもの、それからカレー。さんざん食べて、デザートは別腹。東銀座のナイルレストランの3代目、ナイル善己さんが作った濃厚なのマンゴープリンは、これまでの人生で口にした数十個の最高峰!と唸った。

2006年12月20日(水)  マタニティオレンジ44 お・風・呂!
2005年12月20日(火)  シナリオ作家協会の忘年会
2003年12月20日(土)  SLばんえつ物語X’masの旅 1日目:山都〜鹿瀬
2002年12月20日(金)  生爪様
2001年12月20日(木)  幸せの粒


2008年12月19日(金)  シルク・ドゥ・ソレイユと「ハートばたけ」

娘のたまを連れてシルク・ドゥ・ソレイユ『ZED』を観に行く。子ども連れOKとなっているけれど、大人っぽい内容だし、子どもには怖がったりわかりにくかったりするかもとためらいはあった。でも、夏に登場ディズニーシーのショーを食い入るように見ていたのを思い出し、膝に乗せて鑑賞(椅子がいらない3歳未満児は無料)することに。結果は予想以上の食いつき。たまはまばたきも忘れて舞台に吸い寄せられていた。人間離れした綱渡り(綱の上での縄跳びや宙返りに仰天!)やジャグリングに親のわたしはハラハラしているのに、たまは「人いっぱいいるね」「ぐるんぐるんしてるね」「ぶーらんぶーらんしてるね」などと拍子抜けするような大らかな反応。初めてのサーカスを、たっぷりの親近感を抱いて楽しんでいた。

幕間の30分休憩に外に出ると、ちょうど東京ディズニーランド/シーの花火が見られるようになっている。たまが興奮しながら叫んだ言葉は、「セピー!」。わたしとダンナの友人セピー君の鎌倉のセカンドハウスで夏に花火を見たことを覚えていたことに驚く。今夜のサーカスも記憶に残って、のちのち取り出せるといいなと思う。

帰り道。駅貼り広告を見ていて、たまがふとつぶやいた「ハートばたけ」という言葉がヒントになって子守話が生まれた。わたしのハート好きを受け継いで、街でハートを見つけると、たまはうれしそうに指差す。数日前にドイツから贈られてきたクリスマスプレゼントの包装紙にハートがいっぱい並んでいたのが印象に残っていて、「ハートばたけ」なんて名前を思いついたのかもしれない。「ハート」と「はたけ」の結婚、はじめてのサーカスを見て、言葉のくっつく力が強くなったのかなとも想像する。

子守話33 ハートのはたけ

たまちゃんが、おさんぽのとちゅうで、ハートのたねをみつけました。おにわにうえてみると、たねとおなじあかいろをしたハートがみのりました。そのハートを、たまちゃんはとおりがかったおんなのこにあげました。

なんにちかして、おんなのこが、おかあさんといっしょに、たまちゃんのおうちにやってきました。ハートの「み」から、たねがふたつでてきました、とおんなのこがたねをさしだしました。ひとつはさいしょのたねとおなじあかいろで、もうひとつは、きいろでした。あかときいろのたねを、たまちゃんがおにわにうえると、あかときいろのハートがみのりました。たまちゃんは、とおりがかったふたごに、そのふたつのハートをあげました。

なんにちかして、ふたごが、おとうさんとおかあさんといっしょに、たまちゃんのおうちにやってきました。あかいハートからはあかとあおの、きいろいハートからはきいろとみどりのたねがでてきたのです。あかとあおときいろとみどりのたねを、たまちゃんがおにわにうえると、あかとあおときいろとみどりのハートがみのりました。たまちゃんは、とおりがかったおとうさんとおかあさんとおとこのことおんなのこの4にんかぞくに、その4つのハートをあげました。

なんにちかして、4にんかぞくがおじいちゃんとおばあちゃんをふたりずつつれて、たまちゃんのおうちにやってきました。あかいハートからはあかとももいろの、あおいハートからはあおとむらさきの、きいろいハートからはきいろとだいだいいろの、みどりのハートからはみどりとしろのたねがでてきたのです。

8つのいろのたねをたまちゃんがおにわにうえると、たねとおなじいろをした8つのハートがみのり、ふたつずつたねがでてきました。とおりがかったひとが、ハートをもらっては、たねをもってもどってきて、ハートのいろは16になり、32になり、64になり、とうとうかぞえきれなくなりました。

たまちゃんのおうちのおにわは、ハートのはたけになりました。いちごやトマトみたいにたべることはできませんが、はたけいちめんのハートをながめていると、ごちそうをたべたときのように、しあわせなきもちになれるのでした。

2007年12月19日(水)  車内の電話に考えさせられたこと
2002年12月19日(木)  クリスマス・ファンタジー2002
2001年12月19日(水)  害虫


2008年12月18日(木)  子守話32『バナナとみかづき』

なぜかお月見の季節がとっくに終わった今週突然「うーさぎうさぎ 何見てはねる?」の歌を歌い出した娘のたま。メロディが気に入ったのか、「バーナナバナナ、なにみてはねる」という替え歌まで飛び出した。それを聞いて、バナナと三日月のお月様は似ているかもとひらめいたのが、今日の子守話

子守話32 バナナとみかづき

そらにうかぶみかづきをみあげて、バナナがいいました。「みかづきさん、みかづきさん。あたしとおなじいろ、おなじかたちをしているのに、どうしてあなたはそんなたかいところから、あたしをみおろしているの」。だけど、みかづきはこたえずに、しずかにやみをてらしていました。バナナはくやしくなって、みかづきにむかってとびあがりました。けれど、ほんの1ミリほど、はねただけでした。みかづきはまだまだとおくにいて、じんわりとひかっていました。まるでみかづきにわらわれたようで、バナナはますますくやしくなりました。とそのとき、バナナのからだがふわりとうきました。みかづきにちかづいたぞ、とよろこんでいるうちに、バナナはするするとふくをぬがされて、たべられてしまいました。

2006年12月18日(月)  映画『Hard Candy』で知ったこと、いろいろ
2004年12月18日(土)  クリスマス映画『ポーラーエクスプレス』
2001年12月18日(火)  シンクロニシティ〜天使からの小さな贈り物


2008年12月17日(水)  アンネットからの2008年クリスマスギフト

昨日、ドイツのペンフレンド、アンネットから恒例のクリスマスギフトが届いた。毎年、大きな箱が航空便で届くと、「しまった。今年もまだ送ってない」と焦ってギフト選びを始めるので、わたしからのプレゼントは年を越してしまう。娘のたまは「これなあに?」と興味しんしん。頑丈なビニールテープをビリビリ外して箱を空けるところから参加して、ひとつひとつのクリスマスラッピングをほどいたり破いたりして、海を渡ってきたプレゼントと対面した。一番喜んだのが、着色料たっぷりなラムネのようなお菓子が詰まったオモチャのラッパと、ネズミとカバのパペット。早速手にはめて即興人形劇を見せると、大喜び。キャンドルホルダーが入っていた紙箱をエレベーターに見立てて二匹を乗せるのが気に入り、「もういっぺんエレベーター」と何度もせがんだ。


そんなことがあった翌日の今日、早く帰ってきたダンナとわたしの前で、たまがいきなりパペットショーを始めた。「ネズミです。カバです。ふたりそろってネズカバです。よろしくね」。昨日わたしが見せたとき、そんな風に言ったのだっけ。一生懸命さがおかしくて、いとおしくて、びっくりして笑いながら涙が出て来た。

たまは最近、お話らしきものを聞かせてくれる。子守話で寝かしつける代わりに「何かお話しして」とリクエストすると、「あるひ……」と語りだす。今日の子守話は、たまが聞かせてくれたお話が原作。「あるひ、ママはぞうさんをのって、こうえんをいくの。どうぶつがいたの。ぶたがいたの。モーモーとしまうまがいたの。バナナたべた。カレーたべた。あそんだ。たまちゃんポポちゃんとんだ。ちょうちょもとんだ。かりんちゃんそうちゃんりおくん、せんせい、しゅっしゅって、それで、でんしゃのって、こうえんいった。ぞうさんのって、こんにちはっていったの。ぞうさん、おはようっていったの」。そのうちネズカバの子守話も登場するかもしれない。

子守話31 ママのこうしん

ゾウさんにのって、ママがこうえんにやってきました。みなのもの、ひかえおれー。ママはとってもえらそうなので、みんなははーっとひれふして、みちをあけました。ふだんはいばっているライオンも、おおきなからだのクマも、みんなゾウさんのうしろにさがって、ぞろぞろとついていきます。なんだなんだ、なんのこうしんだ。めずらしがってウサギやリスやタヌキやキツネもついてきました。あんまりぎょうれつがながくなったので、いちばんうしろをあるいていたネズミのうしろに、ママをのぜたゾウさんがくっつきました。だれがせんとうだかわからないけれど、みんなぐるぐるとこうしんをつづけました。




2006年12月17日(日)  『めぞん一刻』の浪人生、中林大樹くん
2001年12月17日(月)  映画を編む


2008年12月16日(火)  だからファミレスはやめられない 

締切前で、2日続けてファミレスでランチ。昨日はココスへ。ココスの窓際のテーブルで食事を待っていると、隣のテーブルのおばさまが突然店内に響き渡る大声を張り上げ、携帯電話で話し始めた。「今ね、ガオスにいるの! ガオス!」と席からガラス戸越しに見える外の看板「COCOS」を見ながら叫ぶ。その大声に店中の客が「ちゃうで! ココスやで!」と突っ込みを入れたに違いない。電話の相手はどうやらこちらに向かって、彼女と落ち合おうとしているらしい。果たしてガオスを見つけられるのか。「ガオスって言ってたけどココスだよな」と気づくには、あまりにも遠過ぎる。ここはやはりお節介だけど「すみません。ガオスではなくココスですよ」と教えたほうがいいのだろうか。万が一「ガオス」が二人だけに通じる愛称だとしたら、余計なお世話だ。などと思いめぐらせていると、再び隣のおばさまの携帯電話が鳴った。「そう。ココスよ。わかった?」。どうやら相手は彼女の居場所を突き止められたらしい。2度の通話の間に彼女に話しかけた人はなかったけれど、「ガオス」と呼んだことなどなかったかのように「ココス」と言ってのけた彼女は、いつ本名に気づいたのだろう。

しばらくファミレスに足を運んでいなかったのだけど、やはりファミレスにはネタがあるなと今日はデニーズへ。わたしが来る前から隣のテーブルにいて、わたしが去ってからもそこにいたのは、わたしと同世代の女性三人組。女性週刊誌の見出しのような話題を次々とテーブルに取り出してはかき回すおしゃべりは果てることなく、「なぜミスチルは今年紅白に出るのか?」に始まり、ミスチルだけで10分語る。「きっとNHKのえらい人が頭を下げたのよ」と一人が言い、あとの二人が深くうなずき、別な一人が「ミスチルって他のバンドとギターとベースの位置が違うのよ」と言い、「どう違うの?」と聞かれて、「普通はギターが右が左なんだけど、その反対側がベースなんだけど、ミスチルは逆なのよ」。結局どっちが右でどっちが左かはわからなかったけれど、紅白で確認する楽しみが出来た。

2日にわたるファミレスランチで有川浩(ありかわひろ)さんの『阪急電車』を読んだ。阪急電車の各駅を舞台にした短編連作集。片道ではなく往復になっていて、行きの電車の登場人物のその後を折り返しの電車で見せてくれる。大阪出身のわたしにはおなじみの路線であり、人生と線路を重ねているところも共感度大。各編の登場人物のつながり方も実にうまく、小物使いも気が利いている。作者のサービス精神があちこちに感じられて、読んでいて気持ちよかった。何より、どの人物も毒を含めて愛せる、というより、毒ゆえに愛おしく感じられて、もっとこの人の作品を読みたくなった。今年読めた本は3桁には届かず80冊ほどだったけれど、年の暮れに年間ベストの上位に挙げたい一冊に出会えた。

今日の子守話は、ちょうちょの話。保育園のお迎えの帰り、「なんのお話がいい?」と聞くと、「ママちょうちょとたまちゃんちょうちょ」をリクエストされた。みんなが飛ぶならリボンかなあとちょうちょの羽根色の黄色いリボンを思い浮かべた。

子守話30 ママちょうちょとたまちゃんちょうちょ

ママがきいろいリボンをかってきました。ぐるぐるまきのながいながいリボンです。はしっこをきって、ちょうちょむすびにすると、きいろいちょうちょみたいになりました。ちょうちょのリボンをかみのけにつけると、たまちゃんはちょうちょになったきぶんです。そっとりょうてをはばたかせてみると、からだがふわりとうきました。それをみていたママも、ちょうちょのリボンをかみにつけて、たまちゃんのまねをしました。

たまちゃんとママは、ぐるぐるまきのきいろいリボンをもって、ひらひらとそとにとんでいきました。そして、おともだちをみつけると、リボンをきって、ちょうちょのリボンをつくってあげました。いつもじめんばっかりみているダックスフントはおおよろこび。おいかけてきたかいぬしも、いっしょにそらをとびました。

ひがくれて、かぜがつよくなってきました。ちょうちょむすびにしたリボンがほどけてしまい、たまちゃんたちはじめんにドスンとしりもちをつきました。玉ちゃんとママはみんなからあつめたばらばらのリボンをむすびなおし、おおきなちょうちょむすびをつくりました。いちにのさん、でそらになげると、おおきなちょうちょのリボンは、ちからづよくはばたいて、そらのかなたにきえてしまいました。

2007年12月16日(日)  以心伝心クリスマスギフト
2006年12月16日(土)  マタニティオレンジ43 作詞作曲兼ボーカル兼ダンサー
2002年12月16日(月)  シナリオ作家協会の忘年会
2001年12月16日(日)  こだま


2008年12月15日(月)  「頭の中を再現する実験」のニュースが出た数日後

つい最近、新聞で読んで興味を惹かれたのが、「頭の中で考えたことを再現する実験」の話。脳を流れる電流の信号を読み取る仕組みだったか、被験者が思い浮かべたアルファベットの再現に成功したという。研究を突き進めると、想像したことをそのまま映像で再現することも可能になるという。言葉でコミュニケーションする能力を失った人が意志を伝えることも可能になり、介護の現場で役立ちそうだという記事だったが、わたしは「これがあれば仕事がはかどる」と思ってしまった。脚本家は「思いつきを文章にする」ことが仕事だけれど、頭の中のイメージをプロデューサーや監督にうまく説明できなかったり、夢で見た天才的なひらめきを忘れてしまったり、ということがよく起こる。頭に電極をつないで想像をめぐらせるだけで自動的に脚本に変換されるような装置ができればラクチンだ、と考えたのだった。近い将来、脚本家の作業は「書く」ことから「念じる」ことに移行するかもしれない。

そんな妄想を働かせた数日後の今朝、目覚めた娘のたまに、いつものように「どんな夢見た?」と聞くと、「ちょうちょさんとおそらとんだの。ぶんぶんもいたの。しらすもいたの。ちょうちょさんのおうち、エレベーターなの。ママもいっしょにいこうね」という返事があった。ちゃんとお話しになってる、とびっくりして、今日の子守話が生まれた。娘が見た夢を思い浮かべながら、「たまが見た夢と、わたしが想像する夢は決して同じにはならない」ことが面白いのだと思った。頭の中をのぞいてみたい気持ちに駆られる一方で、そのままをのぞけないから想像する楽しみが残されているのだと気づく。おはなしを創造するためには、「頭の中変換機」は、存在しないほうがいいのかもしれない。それに、もし「頭の中変換機」が実現したら、文字を知らない子どものほうが面白い脚本を作ってしまいそうで、ライバル激増の心配もある。しらすが空飛ぶなんてぶっ飛んだ発想は、わたしにはない。

子守話29 ちょうちょさんのおうちはエレベーター

ひらひら ひらひら ちょうちょさん
たまちゃん おててを つなぎましょう
いち にの さんで とんだ とんだ

ぶんぶん ぶんぶん みつばちさん
ぼくも なかまに くわえてよ
なかよく ならんで とんだ とんだ

きらきら きらきら おさかなさん
あんまり たのしそうなので
いけから とびだし とんだ とんだ

ちょうちょさんの おうちで ひとやすみ
ちょうちょさんの おうちは エレベーター
あがったり さがったり あがったり さがったり
おそらをとんで いるみたい

2006年12月15日(金)  1=0.99999999........?
2002年12月15日(日)  Weihnachtsgeschenk

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