2003年12月21日(日)  SLばんえつ物語X’masの旅 2日目:喜多方

8時起床。誰と旅行に行っても、わたしはいちばん最後に布団からはい出す。同室の女性3人が朝風呂を浴び、身支度を整えたところでむっくり起きだし、朝食へ。予約が15人に達しなかったため、川下り遊覧船は断念。予約していたSLより40分早い在来線電車で鹿の瀬より喜多方へ。喜多方は蔵の町。「飢饉に備えて米蔵を建てさせたんです」と博識のK氏。この人、膨大な量の本を読んで生きて来たのではと思われるが、蓄えられた知識がきちんと整理され、絶妙なタイミングで引き出されるところがすごい。干し柿を見れば、「砂糖が出回る前、干し柿は存在する最も甘い物でした。江戸時代の和菓子は干し柿の甘さを超えてはいけないとされていたそうです」という具合。

みぞれまじりの雪がちらつく中、第一のラーメン屋『あべ食堂』をめざす。ラーメンの前に出される豚の煮こごりのようなものがおいしい。チャーシューもとろとろしていて、ここのカツ丼が隠れた名物というのもうなずける。

腹ごしらえを終えて、大和川酒蔵北方風土館を見学。映画『ジェニファ』のホームステイ先を酒造所で考えたことがあったので、酒作りについてはずいぶん勉強した。本で読んだことをなぞる感覚で興味深い体験。案内のお姉さんの美声と名調子にうっとり聞き惚れ、「こんな風に作った酒を飲みたい!」気分が最高潮になったところで試飲コーナーへ。ほとんどが無料だが、高いお酒は有料。1升15000の酒がおちょこ1杯400円となれば、飲んでしまう。お土産のお酒もついつい買ってしまう。

「では今井さんのためにカフェめぐりを」と気をきかせてもらい、庄屋のお屋敷の応接間でお茶を飲めるカフェへ。お屋敷の雰囲気は素晴らしいのだが、応接間は土産屋と混然となっていて情緒半減。メニューも大半が「(冬なので)やってません」でがっかり。冬季限定メニューでお汁粉を出すとか、ひと工夫すれば人気が出そうなのに、もったいない。喜多方は他にも気になるカフェがいくつかあったので、次回リベンジしたい。

帰りのSL発車まで1時間を切ったところで、「もう一軒行くぞ!」と2軒目のラーメン屋『まこと』へ。おなかいっぱいのはずなのに一同ペロリ。1軒目との違いはよくわからなかった。汁を飲み干したときに器の底に当たりが出ると記念品がもらえるそうだが、ここでも「冬はやってません」。

「発車まであと20分!」となり、駅までひた走る。皆さん、食後によく走ること。ラーメン&マラソン大会をやったら上位に食い込むのではなかろうか。無事、新潟行ばんえつ物語号に間に合う。座席に着くなり、酒盛り開始。昨日と同じく乗車記念証と葉書が配られ、抽選大会が行われる。大阪の親と東京の親に手紙を書き、車中の郵便ポストに投函。特製スタンプが押されるとのこと。

白いツリーがきらめく展望車ではゴスペルコンサート。喜多方の駅のホームで練習していた姿を見かけ、「ゴスペラーメンズだね」と勝手に名付けていたのだが、新潟を拠点に活動する『REJOICING(リジョイシング)』というグループだった。生で聞くゴスペルは心地よく、SLの中というシチュエーションも手伝って、メロディも歌詞も心に染みた。大きな窓から銀世界を臨みながら大好きなWhite Christmasを聴けたのが最高だった。乗客の方に「ノリいいですねえ」と話しかけられるほど、ほろ酔いご近所8人組はノリノリで聴いていたらしい。

新潟から上野の新幹線は東京ディズニーランド20周年の広告一色。座席の背もたれカバーも20周年仕様。駅弁を肴に日本酒を飲み、1泊2日の思い出話や新年会の企画で盛り上がる。ご近所さんと旅行に行くのも初めてならば、SLに乗るのも初めて、そばの里・山都もラーメンの里・喜多方も初めて訪れた場所だったし、今年初めての雪を踏んだ。「今回のSL旅行をシナリオに書こうかな」と言うと、「誰が犯人?」。電車が舞台のドラマ=サスペンスと思われているらしい。

2002年12月21日(土)  切手占いと『鉄カフェ』1st drip
2001年12月21日(金)  サプライズ

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