NM Syndrome DiaryINDEX|past|will
このところずっとラノベの海賊にどっぷりで(何せ作品がたくさんある)それ以外読んでなかったからそろそろ別のものも読まねばという謎の心境に。 あまりにもハマり過ぎるとちょっと怖くなるのよね(笑) で、しばらく積んでいたポーの一族の新刊を読む。 おお、なんかとても良かったよ。 正直私の中のポーの一族はアランが炎の中に消えた時に終わっているようなもので、 あの少ないセリフと余白の中に詩情が霧のように漂っていた美しい物語はもう二度と戻らないと思っている。 ただ、長い時を経てもう一度紡ぎ出された物語は別の意味で美しいポーの一族だった。 アーサー・クエンティン卿はもっと頑固で偏屈だったイメージがあったけど実際は繊細で臆病で運のない人だった。 とても人間的な魅力があり彼がエドガーとアランと共にいることにホッとする。 ここまで丁寧にクエンティン卿の人生を描かれたら彼を愛さないわけにはいかないじゃない。 ラストでアーサーがジョン・オービンと会話しているところが良かった。 オービン100歳にして変わりなく元気そうで何より。 あとシルバー。 シルバー好き(笑)←この(笑)の中にシルバーの良さが全て詰まってる 巻末のショート「満月の夜」は泣けた。 幼少時から仕えてきたアーサーの執事マルコが満月の夜に見た夢。 エドガーとアランと共にいるアーサーの姿。 遠ざかる彼の姿に呼びかけるマルコの言葉が自分の近況なのがいい。 「だんな様っ…12月のクリスマスには パトリック様ご一家がお泊りにいらっしゃいます わたくしはけっこう忙しくしております」 そしてぽつんと 「だんな様…美しい満月です」 この余韻が本当に良くて何度も読み返してしまった。 限りある生と永遠の生はもう交わらない。 ポーを読み終わってからアリスン・モントクレアの「ロンドン謎解き結婚相談所」を読み始めたらこれがかなり面白くて。 女性が主人公だと相性が合わないと全く読む気になれないんだけどこの二人のウィットに富んだ会話はとてもいい。 思い切って買ってよかった。 新刊も出たからそっちも買っておこう。 しばらく彼女達と共に戦後まもなくのロンドンへトリップするわ。
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